説明

手袋

【課題】作業性を損なうことなく、液ダレの問題を解消した手袋を提供する。
【解決手段】樹脂又はゴムからなる手袋1の裾部2の内側に、少なくとも1個の環状の厚地部3と少なくとも1個の環状の薄地部4が設けられ、少なくとも1個の厚地部3が薄地部4よりも裾5側に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手袋に関し、更に詳しくは、水や薬品等の液体が手袋の表面を伝って腕や衣服の袖等を汚染することを防止する手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭における炊事、風呂場の清掃等の水回り関連作業、産業界における食品加工業等においては、水や薬品等の液体から腕や衣服を保護するために、通常、樹脂製又はゴム製の手袋が着用される。
【0003】
しかしながら、このような作業において、手袋が水平よりも上方に向けられると、手袋表面に付着した水や薬品等の液体が手袋表面を伝って裾の方に垂下し(以下、液ダレと記す場合がある)、腕や衣服の袖等を汚染することが避けられない。その結果、例えば、手袋に危険な薬品が付着しているような場合には、炎症や火傷等の深刻な事態を招く場合もある。
【0004】
かかる液ダレの問題を解決するために、手袋本体の裾の部分に、厚地部と非厚地部を交互に設け、手袋本体の裾部を折り返して吸水部を形成した液ダレ防止付きゴム手袋が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、手袋の開口部の裾に袖汚れ防止ゴムリングを設けた袖汚れ防止機能付ゴム手袋が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−342478号公報
【特許文献2】特開2002−309419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手袋のように、手袋の裾の部分に円周方向に厚地部と非厚地部を交互に設けることは技術的に容易ではなく、また、厚地部と非厚地部とが円周方向に交互に配されているため、円周方向に作用する抗張力が弱くなり、その結果、折り返し部が折り返し前の元の状態に戻ろうとするのを阻止する力が小さくなる。そのため、作業中に折り返し部が元の状態に戻り、折角折り返し部により形成される液溜部に溜まった汚水等の液体が腕や袖を汚すことがある。更に、折り返し部には、厚地部が内側に、即ち、液溜部に向けて突出するため、液の流入が妨げられる。
また、特許文献2の手袋のように開口部の裾に袖汚れ防止ゴムリングを設けた手袋は、開口部の裾に、手袋とは別体である袖汚れ防止ゴムリングを装着する作業が面倒であり、また、手袋の裾は手の挿脱をスムーズにするために大き目に作られているため、該ゴムリングが裾の周りに密着することは困難で、従って、手袋の裾とゴムリングとの隙間から汚水等の液体が洩れ、腕や袖を汚す虞れがある。更に、装着したゴムリングが作業中に気になったり邪魔になり、作業の快適さを減じたり、作業能率を低下させる一因ともなる。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑み、上記の如き従来の問題点を解消し、製造が容易で、作業性を損なうことなく液ダレを防止する手袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の請求項1は、樹脂又はゴムからなる手袋の裾部の内側に、少なくとも1個の環状の厚地部と少なくとも1個の環状の薄地部が設けられ、少なくとも1個の厚地部が薄地部よりも裾側に設けられていることを特徴とする手袋を内容とする。
【0009】
本発明の請求項2は、厚地部の厚みが薄地部の厚みの1.2〜2.5倍であることを特徴とする請求項1記載の手袋を内容とする。
【0010】
本発明の請求項3は、薄地部の厚みが0.08〜1.0mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の手袋を内容とする。
【0011】
本発明の請求項4は、厚地部の幅が2〜5cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の手袋を内容とする。
【0012】
本発明の請求項5は、薄地部の幅が0.5cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の手袋を内容とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の手袋は、手袋の裾部の内側に、少なくとも1個の環状の厚地部と少なくとも1個の環状の薄地部が設けられ、少なくとも1個の厚地部が薄地部よりも裾側に設けられていることを特徴とする。
従って、環状の薄地部の部分で外側に容易に折り返すことができ、しかも、一旦折り返すと、少なくとも1個の厚地部により円周方向に抗張力が働き、折り返した形状を保持しようとするばかりでなく、上方から折り返し部をずらせて折り返し前の元の状態に戻そうとするような負荷が加わっても厚地部がこれに抗するように作用するので、作業中に折り返しが下方にずれたり、折り返し前の元の状態に戻ることが防止される。その結果、汚水等は折り返し部により形成された液溜部に溜められる。
【0014】
また、環状の厚地部は裾部の内側に設けられ、折り返した際には、環状の厚地部は外側に向くので、折り返し部の内部に形成される液溜部には液の流入を妨げる突起物は全く存在しない。従って、手袋の表面を垂下する液はスムーズに液溜部内に入り溜められ、また、液溜部の容積も厚地部により減じられることはない。
【0015】
更に、環状の厚地部は手袋の製造時に手袋と同じ材料を用いて作製されるので、別途材料を準備し、加工するといった面倒な手間は不要で、安価に使い勝手の良い手袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の手袋の一例を示す一部切り欠き断面図である。
【図2】図2は、本発明の手袋の裾部を折り返して使用する状態を示す一部切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の手袋は、樹脂又はゴムからなる手袋の裾部の内側に、少なくとも1個の環状の厚地部と少なくとも1個の環状の薄地部が設けられ、少なくとも1個の厚地部が薄地部よりも裾側に設けられていることを特徴とする。
【0018】
図1、図2は、本発明の手袋の代表的な一例を示すもので、図1は一部切り欠き断面図、図2は裾を折り返した状態を示す一部切り欠き断面図である。
これらの図において、本発明の手袋1は、裾部2の内側に、少なくとも1個の環状の厚地部3と少なくとも1個の環状の薄地部4が設けられ、少なくとも1個の厚地部3が薄地部4よりも裾5の側に設けられる。
【0019】
本発明の手袋の材料としてと用いられる樹脂またはゴムとしては、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、特に手袋の材料として汎用的に用いられている塩化ビニル樹脂、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム等が好ましい。中でも、最も炊事用手袋として汎用的に用いられている塩化ビニル樹脂が特に好ましい。
樹脂又はゴムには、樹脂又はゴムに一般的に使用される添加剤、例えば、可塑剤、安定剤、増粘剤、減粘剤、着色料等を必要に応じて配合することができる。
配合物の粘度は、通常、500 〜10000mPa ・ s程度に調整され、好ましくは2000〜9000mPa ・ s 、より好ましくは3000〜8000mPa ・ s に調整される。
【0020】
厚地部3の厚みは薄地部4の厚みの1.2〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜2.0倍、更に好ましくは1.5〜2.0倍である。1.2倍未満では、厚地部3と薄地部4との差が小さすぎて裾部2の折り返しが困難となる傾向があり、また、折り返した後、折り返し部6が元の状態に戻りやすい傾向があり、一方、2.5倍を越えると、裾部2の折り返しは容易であるが、厚地部3の重量が大きくなり、手袋の指先を下方に向けて使用する場合には、その自重により折り返し部6がずれ落ち、その結果、手袋による保護が不十分となり、腕や袖が汚染される場合がある。
ここで、厚地部3の厚みとは、環状に設けた厚地部3の幅の中心線上に5箇所の測定箇所を任意に選択し、当該選択箇所の断面において、手袋を構成するゴム又は樹脂の厚みをデジタル顕微鏡により測定し、それらを平均して得た値をいう。
【0021】
厚地部3の幅は2〜5cm程度が好ましく、より好ましくは2〜4cm程度、更に好ましくは3〜4cm程度である。2cm未満では、例えば1個の厚地部を折り返した場合、折り返し部の幅が小さいことにより、折り返し前の元の状態に戻り易くなる傾向があり、元の状態に戻った際に液溜部7に溜まった汚水等により腕や袖が汚染される場合がある。一方、5cmを越えると、折り返し部6の領域が広くなり、折り返し部の外側に汚れ等が付着しやすい状態となり、特に折り返し部を元に戻した際に、その汚れ等が腕や袖を汚染する場合がある。
ここで、厚地部3の幅とは、厚地部3の両端の隆起が始まる2点間の距離をいう。
【0022】
薄地部4の厚みは、0.08〜1.0mm程度が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8mm程度、更に好ましくは0.2〜0.6mm程度である。0.08mm未満の厚みは技術的に困難であり、一方、1.0mmを越えると手袋そのものが硬くなり使い勝手が低下する傾向がある。
ここで、薄地部4の厚みとは環状に設けた薄地部において、任意に選択した5箇所の測定箇所の断面における手袋を構成するゴム又は樹脂の厚みをデジタル顕微鏡により測定し、それらを平均して得た値である。
【0023】
薄地部4の幅は0.5cm以上であれば良く、特に厚地部と厚地部に挟まれた薄地部は0.5〜5cm程度が好ましく、より好ましくは1〜3cm程度、更に好ましくは1〜1.5cm程度である。0.5cm未満では裾部2の折り返しが困難となる傾向がある。
【0024】
厚地部3は、環状に少なくとも1個設けられる。厚地部3を設ける方法は特に制限されないが、手袋の製造時に設けるのが好ましく、例えば、樹脂やゴムの原料に手型を浸漬して乾燥、冷却した後、厚地部3を形成したい所定の箇所に更に原料を刷毛、その他のコーター等で塗布又は付着させ、乾燥、冷却することにより形成することができる。
【0025】
薄地部4は、環状に少なくとも1個設けられるが、薄地部4は特に意図的に設けず、上記のように厚地部3を設けることにより、厚地部3を設けない部分を薄地部4とするのが好都合である。
【0026】
厚地部3及び薄地部4の個数の上限は手袋の裾部の長さ、厚地部や薄地部の幅の大きさ等により一概には規定されないが、製造コストや実用性の面からは、好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下が好ましい。更に好ましくは、それぞれ2個以下である。
例えば、厚地部3及び薄地部4を5個設けた場合、任意の薄地部4の箇所で折り返して装着した手袋の裾部の長さを調整することができる。
【0027】
上記した図1は、厚地部3として2個の環状の厚地部3a、3bを設け、薄地部4として同じく2個の環状の薄地部4a、4bを設けた手袋の例を示す。図2は、薄地部4bの箇所で裾部を外側に折り返した例を示す。図2中、6は折り返し部、7は折り返し部6により形成されたV字状の液溜部である。
【0028】
本発明の手袋は、薄地部4(4b)で折り返されるため、折り返しは極めて容易である。また、一旦折り返されると厚地部3(3b)が環状に手袋1の裾部2を取り巻いているため、円周方向に抗張力が働き折り返した環状を保持しようとし、更に、折り返し部6に上方から折り返し部6をずらせて折り返し前の元の状態に戻そうとするような負荷が加わっても厚地部3(3b)がこれに抗するように作用するので、作業中に不用意に折り返し部6が下方にずれたり、元の状態に戻ることが防止される。
【0029】
更に、環状の厚地部3は手袋の製造時に手袋と同じ材料を用いて作製されるので、別途材料を準備し、加工するといった面倒な手間は不要で、安価に使い勝手の良い手袋を提供することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
また、実施例によって得られた手袋の厚地部と薄地部の厚みや手袋の特徴等の詳細を表3に、比較例によって得られた詳細を表4に記す。厚地部と薄地部の測定には「DIGITAL MICROSCOPE VHX−900((株)KEYENCE製)」を使用した。
尚、表3、表4における手袋の特性はそれぞれ下記の特性を意味し、○:良好、△:やや不良、×:不良、で評価した。
折り返し性:裾部を外側に折り返すときの容易性
折り返し部保持性:折り返し部が折り返し前の状態に戻らず、折り返した状態を保持しようとする性質
裾ずれ:折り返し部の自重により折り返し部が手袋の指先の方にずれる裾ずれ(手袋の指先を下方に向けて作業する場合)
作業性:手袋を装着して作業する場合の作業性
【0031】
実施例1
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に5gずつ付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、粘度500mPa・s、固形分濃度30重量%のアクリル系接着剤溶液中に約10秒浸漬した後引き上げ、静電気植毛を施すことにより短繊維を被着させ、これを190 ℃で10分間、加熱した。その後、室温にて冷却後、手型から手袋を反転剥離して手袋を作製した。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例2
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥して、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0cm 〜4cm に表1 記載の配合により得られた原料を5g付着させ、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、粘度500mPa・s、固形分濃度30重量%のアクリル系接着剤溶液中に約10秒浸漬した後引き上げ、静電植毛を施すことにより短繊維を被着させた。これを190 ℃で10分間、加熱した。その後、室温にて冷却後、手型から手袋を反転剥離して手袋を作製した。
【0034】
実施例3
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に4gずつ付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥する工程を2 回繰り返した。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0035】
実施例4
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に5gずつ付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥する工程を2 回繰り返した。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0036】
実施例5
表1 記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に1.5gずつ付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥する工程を2 回繰り返した。その後は実施例1 と同様にして手袋を得た。
【0037】
実施例6
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に1gずつ付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0038】
実施例7
表2記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥して、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm に表1 記載の配合により得られた原料を1g付着させ、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例8
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。手型温度が60℃になるまで冷却した後、再度この工程を再度繰り返した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に5gずつ付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0041】
実施例9
表1記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させ、その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥させ、手型温度が60℃になるまで冷却させる工程を2 回繰り返した。さらに、表2 記載の配合により得られた原料に60℃まで冷却させた前記陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させ、その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥させ、手型温度が60℃になるまで冷却させる工程を2 回繰り返した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に5gずつ付着させ、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0042】
実施例10
撥水処理を施した綿製の繊維製手袋を60℃に加温した金属製手型に被せ、表1 記載の配合により得られた原料に浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手袋表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて0 〜4cm 、5 〜9cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料をそれぞれの箇所に5gずつ付着させ、190 ℃で10分間、加熱した。その後、室温にて冷却後、手型から手袋を反転させずに剥離して手袋を作製した。
【0043】
実施例11
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、0 〜4cm は0 〜2cm 、5 〜9cm は3 〜5cm として手袋を作製した。
【0044】
実施例12
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、0 〜4cm は0 〜5cm 、5 〜9cm は6 〜11cmとして手袋を作製した。
【0045】
実施例13
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、0 〜4cm は0 〜1cm 、5 〜9cm は2 〜3cm として手袋を作製した。
【0046】
実施例14
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、0 〜4cm は0 〜6cm 、5 〜9cm は7 〜13cmとして手袋を作製した。
【0047】
実施例15
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、5 〜9cm は4.5 〜8.5cmとして手袋を作製した。
【0048】
実施例16
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、5 〜9cm は6 〜10cmとして手袋を作製した。
【0049】
実施例17
実施例1 と作製手順は同一である。ただし、実施例1 中、5 〜9cm は4.2 〜8.2cmとして手袋を作製した。
【0050】
実施例18
表1 記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、裾部末端5cm 部を残して、再度、表1 記載の原料に浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた上で、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、0cm 〜4cm 部分に表1 記載の配合により得られた原料を5g付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥させた。その後は実施例1 と同様にして手袋を得た。
【0051】
実施例19
表1 記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、指先の方向へ向けて2 〜6cm の部分に表1 記載の配合により得られた原料を5g付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥させた。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0052】
実施例20
表1 記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、裾部末端8cm 部を残して、再度、表1 記載の原料に浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた上で、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、2cm 〜6cm 部分に表1 記載の配合により得られた原料を5g付着させ、再度、250 ℃で1 分間加熱乾燥させた。その後は実施例1 と同様にして手袋を作製した。
【0053】
【表3】

【0054】
比較例1
表1 記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。その後、粘度500mPa・s、固形分濃度30重量%のアクリル系接着剤溶液中に約10秒浸漬した後引き上げ、静電植毛を施すことにより短繊維を被着させた。これを190 ℃で10分間、加熱した。その後、室温にて冷却後、手型から手袋を反転剥離して手袋を作製した。
【0055】
比較例2
表1 記載の配合により得られた原料に60℃に加温した陶器製手型を浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた。その後、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後、手型温度が60℃になるまで冷却した。次に、裾部の末端を0cm としたときに、裾部末端4cm 部を残して、再度、表1 記載の原料に浸漬して、原料が滴下しないように引き上げ、手型表面に原料を付着させた上で、250 ℃で1 分間加熱乾燥した。その後は比較例1 と同様にして手袋を作製した。
【0056】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0057】
叙上のとおり、本発明の手袋は、作業性を損なうことなく、液ダレの問題を解消することができ、炊事用手袋、食品加工用手袋をはじめとした手や衣服への汚れが懸念される用途に好適で、特に水や薬品等の使用を伴う作業用手袋として有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 手袋
2 裾部
3、3a、3b 厚地部
4、4a、4b 薄地部
5 裾(末端)
6 折り返し部
7 液溜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂又はゴムからなる手袋の裾部の内側に、少なくとも1個の環状の厚地部と少なくとも1個の環状の薄地部が設けられ、少なくとも1個の厚地部が薄地部よりも裾側に設けられていることを特徴とする手袋。
【請求項2】
厚地部の厚みが薄地部の厚みの1.2〜2.5倍であることを特徴とする請求項1記載の手袋。
【請求項3】
薄地部の厚みが0.08〜1.0mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の手袋。
【請求項4】
厚地部の幅が2〜5cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の手袋。
【請求項5】
薄地部の幅が0.5cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の手袋。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−26712(P2011−26712A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170173(P2009−170173)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(591161900)ショーワグローブ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】