説明

手袋

【課題】本発明の第1の目的は、耐久性を低下させずに内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることが可能な手袋の提供にあり、第2の目的は、サイズ違いの使用であっても内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることが可能な手袋の提供にある。
【解決手段】本発明の手袋10では、タッチパネル30等の導通対象物との導通のために指袋12の腹部の外面を外部導電層22にて被覆したので、従来のように導通のために指袋の先端腹部に導電糸を縫い付けて凹凸や縫製針の通し孔が形成されるようなことはない。また、指袋12のうち先端腹部より基端側に導電糸23及び内部導電層24が配置されているので、指先が指袋12の先端腹部に届かないような場合であっても、指袋12の内部で導電糸23及び内部導電層24に指を接触させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋を装着した状態でタッチパネル等の導通対象物に手袋内の手を導通接続させることが可能な手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手袋として、指袋の先端腹部(人の指先腹部に相当する部分)に、導電糸を貫通させるように縫い付けたものが知られている。そして、この手袋では、指袋の先端腹部のうち内面側の導電糸に人の指先腹部を押し付け、指袋の先端腹部のうち外面側の導電糸をタッチパネル等の導通対象物に押し付けることで、導電糸を通して手袋の内部の手と外部の導通対象物とを導通させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−81896号公報(段落[0022]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した構成では、手袋のうち物に触れる頻度が比較的高い部位である指袋の先端腹部に導電糸が縫い付けられて、凹凸や縫製針の通し孔が形成されるので、手袋の耐久性が低下する事態が生じ得た。また、手袋のサイズに比べて小さい手の人が使用した場合に、人の指先腹部を手袋内で導電糸に押し付けることができず、手袋の内部の手と外部の導通対象物との間の導通を図れない場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、耐久性を低下させずに、内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることが可能な手袋の提供にあり、第2の目的は、サイズ違いの使用であっても内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることが可能な手袋の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る手袋は、指を収容可能な複数の指袋を備え、人の指先腹部に相当する指袋の先端腹部で触れる導通対象物と手袋の内部の手との間を前記手袋の構成生地を貫通した導電糸を通して導通可能とした手袋において、指袋の先端腹部とそれ以外の部位とを含む手袋の一部の外面を外部導電層で被覆すると共に、手袋のうち指袋の先端腹部以外で外部導電層に被覆された部位に導電糸を縫い付けたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の手袋において、導電糸と導通しかつ手袋の内面を被覆する内部導電層を設けたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の手袋において、指袋のうち先端腹部より基端側に、導電糸又は、導電糸と導通しかつ手袋の内面を被覆する内部導電層を配置したところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の手袋において、人の指の甲部に相当する指袋の甲部に、導電糸又は、導電糸と導通しかつ手袋の内面を被覆する内部導電層を配置したところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の手袋において、親指以外の指用の指袋の甲部のうち長手方向の先端から2/3となる位置に導電糸又は内部導電層を配置したところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の手袋において、手袋の構成生地同士を縫製する縫製用糸の少なくとも一部に導電糸を使用したところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の手袋において、外部導電層は、導電性パウダーを含有したアクリル系樹脂層又はウレタン系樹脂層であるところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の手袋において、導電性パウダーは、カーボンナノチューブのパウダーであるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1の発明]
請求項1の手袋では、導通対象物との導通のために指袋の先端腹部の外面を外部導電層にて被覆したので、従来のように導通のために指袋の先端腹部に導電糸を縫い付けて凹凸や縫製針の通し孔が形成されるようなことはない。また、外部導電層は手袋のうち指袋の先端腹部以外の部位も被覆し、指袋の先端腹部以外で外部導電層に被覆された部位に導電糸が縫い付けられているので、先端腹部の外部導電層で触れた導通対象物と手袋内の手とを、外部導電層と導電糸とを通して導通させることができる。即ち、本発明の手袋によれば、耐久性を低下させずに、内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることができる。
【0015】
なお、本発明において、「人の指先腹部」とは、指の腹部のうち第1関節の内側に形成されている曲げ線より先端側の部位を指す。また、「人の指先腹部に相当する指袋の先端腹部」とは、指袋のうち、人の指の全長の指先腹部が占める位置・割合と同じ位置・割合となる部位を指す。なお、人差指、薬指の指先腹部は、実測すると先端から全長の約3/8の範囲に相当するので、人差指用及び薬指用の指袋の場合には、その先端から全長の約3/8の範囲が、指袋の先端腹部に相当し、中指の先端腹部は、実測すると先端から全長の約1/3の範囲に相当するので、中指用の指袋の場合には、その先端から全長の約1/3の範囲が、指袋の先端腹部に相当し、さらに、小指の先端腹部は、実測すると前端から全長の約5/12の範囲に相当するので、小指用の指袋の場合には、その先端から約5/12の範囲が、指袋の先端腹部に相当する。
【0016】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、導電糸と導通しかつ手袋の内面を被覆する内部導電層を設けたので、手と手袋との間の導通接触面積を広く確保することができ、導通状態が安定する。
【0017】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、指先が指袋の先端腹部まで届かない場合も、指袋のうち先端腹部より基端側に配置された導電糸又は内部導電層に指を接触させることができる。即ち、本発明の手袋によれば、サイズ違いの使用であっても内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることができる。
【0018】
[請求項4及び5の発明]
請求項4の構成では、導電糸又は内部導電層を指袋の甲部に配置したので、手袋内の指を曲げて導通対象物に触れる操作を行った場合に、指の甲が導電糸又は内部導電層に押し付けられ、導通状態がより安定する。特に、請求項5の構成のように、親指以外の指用の指袋の甲部のうち、長手方向の先端から略2/3となる位置に導電糸又は内部導電層を配置すれば、指を曲げたときに最も尖る第2関節の甲が導電糸又は内部導電層に高い接圧で押し付けられて、導通状態が一層安定する。
【0019】
[請求項6の発明]
請求項6の手袋では、手袋の構成生地同士を縫製する縫製用糸の少なくとも一部に導電糸を使用したので、導電糸を目立たせないようにすることができ、手袋のデザイン性をそこなうことがなく、また、コストアップをおさえることもできる。
【0020】
[請求項7の発明]
請求項7の構成によれば、アクリル系樹脂層又はウレタン系樹脂層のエマルジョンに導電性パウダーを混合した塗料を手袋の構成生地に塗布することで、外部導電層を容易に形成することができる。
【0021】
[請求項8の発明]
請求項8の構成のように、導電性パウダーをカーボンナノチューブのパウダーとすることで、通常のカーボンパウダーを使用した場合に比べて外部導電層の透明性が高くなる。これにより、外部導電層を任意の色に着色したり、手袋の構成生地を透視させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る手袋の甲部の正面図
【図2】手袋の腹部の正面図
【図3】手袋の構成生地の断面模式図
【図4】手袋における指袋を裏返しにして甲部裏面側から見た正面図
【図5】手袋における指袋の側断面図
【図6】サイズ違いで使用された手袋における指袋の側断面図
【図7】第2実施形態に係る手袋の甲部の正面図
【図8】手袋の腹部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の手袋10は、手袋本体部16から5つの指袋11,12,13,14,15が突出した構造になっている。なお、図1及び2には、左右の一方の手袋10のみが示されているが、手袋10は対にして設けられ、それら両方の手袋10は、左右対称の同一構造になっている。
【0024】
本実施形態の手袋10は、例えば、複数の織布(本発明の「構成生地」に相当する)を縫製してなる。具体的には、「人の手の腹部」に相当する手袋本体部16の腹部と、「人の手の甲部」に相当する手袋本体部16の甲部とは、別々の織布で構成されて、それら織布同士が手袋本体部16の側面で縫い合わされている。
【0025】
「人の指の腹部」に相当する指袋11,12,13,14,15の腹部と、「人の指の甲部」に相当する指袋11,12,13,14,15の甲部も別々の織布で構成されている。また、図2に示すように、指袋11,12,13,14,15の腹部の織布は、手袋本体部16側で一体になっている。また、指袋12,13,14,15の隣り合った側面の「マチ」と呼ばれる部位は、別の織布で構成されている。そして、これら織布同士が指袋11,12,13,14,15の側面で縫い合わされている。
【0026】
上記した手袋10を構成する複数の織布は、例えば、外面をエラストマー層で覆われた防水織布20と、外面がエラストマー層で覆われていない通気織布21とからなり、図1及び図2では、防水織布20に斜線のハッチングが付されている。即ち、図2に示すように、手袋10の腹部では、手首側の端部を除く全体に防水織布20が使用されている。また、図1に示すように、手袋10の甲部では、手袋本体部16の縦方向の中間位置を横切って延びた帯状領域と、各指袋11,12,13,14,15における一部の領域とに防水織布20が使用されている。
【0027】
具体的には、中指用及び薬指用の指袋13,14では、それらの甲部の全領域のうち例えば先端側の約1/3の領域に防水織布20が使用されている。小指用の指袋15では、その甲部の全領域のうち薬指側の先端寄り位置と、その反対側の基端位置との間を結ぶ縫製線L15より先端側に防水織布20が使用されている。親指用の指袋11に関しては、その甲部の全領域のうち人差指側の基端位置と、その反対側の先端寄り位置との間を結ぶ縫製線L11より先端側に防水織布20が使用されている。人差指用の指袋12に関しては、その甲部の全領域のうち中指側の先端寄り位置と、その反対側の基端位置との間を結ぶ縫製線L12より先端側に防水織布20が使用されている。
【0028】
なお、図5に人差指用の指袋12を代表例として示したように、各指袋11,12,13,14,15では、通気織布21が甲部全体に使用され、その通気織布21の外側に防水織布20が重ねて縫製されている。
【0029】
手袋10のうち一部の防水織布20の外面は、本発明に係る外部導電層22によって被覆されている。これにより、防水織布20の一部は、図3に示すように、織布層20Aの外側にエラストマー層20Bが積層され、さらにその外側に外部導電層22が積層された構造になっている。また、外部導電層22は、例えば、カーボンナノチューブのパウダーを、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂のエマルジョンに混合してなる塗料を、防水織布20の外面に塗布して形成されている。
【0030】
図1及び図2には、手袋10の外面のうち外部導電層22で被覆された部分が、ドットのハッチングで示されている。即ち、本実施形態の手袋10では、親指用と人差指用と中指用の指袋11,12,13の防水織布20と手袋本体部16の一部の防水織布20の外面が外部導電層22にて被覆されている。
【0031】
より詳細には、手袋10の腹部では、図2に示すように、親指用の指袋11のうち、人の指先腹部に相当する先端腹部11Aの外面が外部導電層22で被覆されている。また、人差指用及び中指用の指袋12,13の腹部全体と、手袋本体部16の腹部におけるそれら指袋12,13の付け根部分とに亘った範囲が連続して外部導電層22で被覆されている。また、人差指用及び中指用の指袋12,13の間の「マチ」と呼ばれる部位も全体が外部導電層22で被覆されている。一方、手袋10の甲部では、図1に示すように、親指用の指袋11の甲部における防水織布20全体と、人差指用の指袋12の甲部における防水織布20全体が外部導電層22で被覆されている。
【0032】
本実施形態の手袋10では、親指用と人差指用の指袋11,12の甲部の防水織布20,20における基端縁を通気織布21に縫い付ける縫製糸に導電糸23が使用されている。導電糸23は、上記した外部導電層22を形成するための塗料を、例えば木綿糸に含浸させてなる。そして、導電糸23が、防水織布20と通気織布21とを貫通して、手袋10の外面と内面の両方に露出している。この導電糸23が指袋11,12に縫い付けられており、かつ、その後に、外部導電層22を塗布により形成して、その一部分と接している。
【0033】
図4には、人差指用の指袋12を裏返しにして甲部裏面側から見た平面図が示されている。同図に示すように、人差指用の指袋12の内面のうち縫製線L12の導電糸23に沿った帯状領域は、本発明に係る内部導電層24によって被覆されている。この内部導電層24は、上記した外部導電層22を形成するための塗料を、通気織布21の内面に塗布してなる。そして、導電糸23によって、手袋10の外面側の外部導電層22と内面側の内部導電層24とが導通接続されている。図示しないが親指用の指袋11の内面も、人差指用の指袋12の内面と同様に、縫製線L11の導電糸23に沿った帯状領域が内部導電層24によって被覆されている。
【0034】
本実施形態の手袋10の構成に関する説明は以上である。次に、手袋10の作用効果について説明する。手袋10を手に装着したまま、図5に示すように、タッチパネル30を人差指用の指袋12の先端腹部で触れると、その指袋12における外部導電層22、導電糸23及び内部導電層24を通してタッチパネル30と内部の人差指とが導通接続される。これにより、手袋10を外さずにタッチパネル30を操作することができる。タッチパネル30を、親指用の指袋11の先端腹部で触れた場合も同様である。また、タッチパネル30を中指用の指袋13の先端腹部で触れた場合には、中指用の指袋13の外部導電層22と人差指用の指袋12の外部導電層22、導電糸23及び内部導電層24を通してタッチパネル30と内部の中指とが導通接続される。さらには、タッチパネル30以外に、例えば、静電容量センサ内蔵の車両用ドアノブ等の導通対象物を、手袋10を装着したままの手で触れた場合も同様に、導通対象物を作動させることができる。
【0035】
ここで、本実施形態の手袋10では、タッチパネル30等の導通対象物との導通のために指袋11,12,13の腹部の外面を外部導電層22にて被覆したので、従来のように導通のために指袋の先端腹部に導電糸を縫い付けて凹凸や縫製針の通し孔が形成されるようなことはない。これにより、手袋10の耐久性や意匠性や防寒性を低下させずに、内側の手と外側の導通対象物との間を導通させることができる。また、手袋10の内面を導電糸23に導通した内部導電層24で被覆したので、手と手袋10との間の導通接触面積を広く確保することができ、導通状態が安定する。さらに、本実施形態では、導電糸23を、指袋11,12の構成生地(防水織布20,通気織布21)の縫製用糸の一部として使用したので、導電糸23を目立たせないようにすることができ、手袋のデザイン性を損なうことがない。
【0036】
また、本実施形態の手袋10では、指袋11,12のうち先端腹部より基端側に導電糸23及び内部導電層24が配置されているので、図6に示すように、指先が指袋11,12の先端腹部に届かないような場合であっても、指袋11,12の内部で導電糸23及び内部導電層24に指を接触させることができる。即ち、本実施形態の手袋10では、サイズ違いの使用であっても内部の手と外部の導通対象物との間を導通させることができる。
【0037】
しかも、導電糸23及び内部導電層24が指袋11,12の甲部に配置されているので、手袋10内の指を曲げて導通対象物に触れる操作を行った場合に、図5及び図6に示すように、指の甲が導電糸23及び内部導電層24が強く押し付けられ、導通状態が安定する。また、人差指用の指袋12では、甲部のうち長手方向の先端から2/3となる位置を含んだ範囲に導電糸23及び内部導電層24が配置されている(図4参照)ので、サイズが合った人が手袋10を使用した場合に、指を曲げたときに最も尖る第2関節の甲が導電糸23及び内部導電層24に高い接圧で押し付けられることになり、導通状態の安定性が一層高くなる。
【0038】
なお、本実施形態では、外部導電層22を形成するための塗料に含める導電剤として、カーボンナノチューブのパウダーを使用したので、通常のカーボンパウダーを導電剤として使用した場合に比べて透明性が高く、外部導電層22を任意の色に着色し易く、手袋10の構成生地(防水織布20,通気織布21)を透視させることもできる。
【0039】
[第2実施形態]
本実施形態の手袋10Vは、図7及び図8に示されており、外部導電層22Vの配置のみが第1実施形態と異なる。即ち、本実施形態の手袋10Vでは、外部導電層22Vが、図8に示すように、人差指用の指袋12における先端腹部の外面と、図7に示すように、人差指用の指袋12の甲部における先端部(即ち、先端甲部)と縫製線L12に沿った帯状領域とに配置されている。また、これら人差指用の指袋12の先端腹部と先端甲部と縫製線L12に沿った帯状領域の外部導電層22は互いに導通している。上記以外の構成は、第1実施形態と同じである。本実施形態の手袋10Vは、前記第1実施形態の手袋10に比べて外部導電層22の被覆面積が小さいので、低コストで製造することができる。
【0040】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0041】
(1)前記第1実施形態の手袋10は、防水織布20と通気織布21とで構成されていたが、手袋の構成生地は、どのようなものであってもよく、例えば、天然皮革、合成皮革、不織布、ニット、ゴム等であってもよい。よって、外部導電層、内部導電層に被覆される手袋の構成生地もどのようなものであってもよい。
【0042】
(2)前記第1実施形態では、導電糸23が指袋11,12に縫い付けられていたが、例えば、手袋本体部16の腹部や甲部に導電糸を縫い付けて、人の手本体(指を除く)に導電糸又は内部導電層を接触させてもよい。
【0043】
(3)前記第1実施形態の外部導電層22及び内部導電層24は、カーボンナノチューブを含有したエマルジョン系のアクリル系樹脂層又はウレタン系樹脂層であったが、本発明に係る外部導電層及び内部導電層は、以下のものを使用しても良い。導電体としては、カーボンナノチューブ以外の(例えば、金属粉、カーボンブラック、金属酸化物、金属箔)を使用してもよく、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂以外のベース材(ビニル、エポキシ)を使用してもよく、利用携帯としてはエマルジョン系のもの、溶剤系のものであってもよい。
【0044】
(4)外部導電層及び内部導電層を形成するための塗料の塗布方法としては、刷毛塗り、ディッピング、噴霧、漬けおき等が挙げられる。また、縫製後の手袋に塗料を塗布してもよいし、縫製前の手袋の構成生地に塗布してもよい。
【0045】
(5)前記第1実施形態の導電糸23は、カーボンナノチューブを含有したエマルジョン系のアクリル系樹脂又はウレタン系樹脂を含浸させたものであったが、本発明に係る導電糸としては、例えば、金属糸や、カーボンファイバー(例えば、ミクロンサイズのカーボンブラック粒子を練り込んだもの)や、金属メッキ糸(例えば、銅、ニッケル等のメッキで被覆した、アクリル繊維、モダアクリル繊維、メタ系アミド繊維)等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
10,10V 手袋
11,12,13,14,15 指袋
20 防水織布(構成生地)
21 通気織布(構成生地)
22,22V 外部導電層
23 導電糸
24 内部導電層
30 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指を収容可能な複数の指袋を備え、人の指先腹部に相当する指袋の先端腹部で触れる導通対象物と手袋の内部の手との間を前記手袋の構成生地を貫通した導電糸を通して導通可能とした手袋において、
前記指袋の先端腹部とそれ以外の部位とを含む前記手袋の一部の外面を外部導電層で被覆すると共に、前記手袋のうち前記指袋の先端腹部以外で前記外部導電層に被覆された部位に前記導電糸を縫い付けたことを特徴とする手袋。
【請求項2】
前記導電糸と導通しかつ前記手袋の内面を被覆する内部導電層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記指袋のうち前記先端腹部より基端側に、前記導電糸又は、前記導電糸と導通しかつ前記手袋の内面を被覆する内部導電層を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の手袋。
【請求項4】
人の指の甲部に相当する前記指袋の甲部に、前記導電糸又は、前記導電糸と導通しかつ前記手袋の内面を被覆する内部導電層を配置したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の手袋。
【請求項5】
親指以外の指用の前記指袋の前記甲部のうち長手方向の先端から2/3となる位置に前記導電糸又は前記内部導電層を配置したことを特徴とする請求項4に記載の手袋。
【請求項6】
手袋の構成生地同士を縫製する縫製用糸の少なくとも一部に前記導電糸を使用したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の手袋。
【請求項7】
前記外部導電層は、導電性パウダーを含有したアクリル系樹脂層又はウレタン系樹脂層であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の手袋。
【請求項8】
前記導電性パウダーは、カーボンナノチューブのパウダーであることを特徴とする請求項7に記載の手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−19086(P2013−19086A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155564(P2011−155564)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000127307)株式会社イノアック技術研究所 (73)
【Fターム(参考)】