説明

手鏡

【課題】顔の一部分のみを見る時には見やすく、且つ、顔全体や顔と他の箇所を一緒に見る時にはより広い範囲を見ることができる手鏡を提供する。
【解決手段】本発明に係る手鏡は、平面鏡111と、平面鏡111の鏡面上に着脱可能な凹レンズ121と、を有する。この手鏡では、顔の一部分のみを見る時には、凹レンズ121が鏡面に装着されていない状態で使用することにより、通常の手鏡と同様の像を見ることができる。また、顔全体や顔と他の箇所を一緒に見る時には凹レンズ121を鏡面に装着することにより、人や物からの光が凹レンズ121を通過することによって縮小された像が形成されるため、凹レンズ121が装着されていない場合よりも広い範囲のものが平面鏡111に映し出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯型その他の、主に顔を映すための小型の鏡(手鏡)に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型手鏡は携帯可能な小型の鏡であり、一般的に鏡面が小さいため、顔を映そうとするとその一部分しか映らない。そのため、携帯型手鏡では、口紅やアイシャドー等を塗る際のように顔の一部分(口や目の周りなど)のみを見る時には特に問題は生じないが、顔全体を映すことができないため、顔全体での化粧のバランスを確認することが難しい。また、顔の一部又は全体と、顔よりも下の衣服、ネックレス、スカーフ、ネクタイ等を一緒に映すことも難しい。
【0003】
特許文献1には、平面鏡の鏡面にそれと同程度の大きさの凹レンズを一体に装着した「凹レンズ組み合わせ鏡」が記載されている。この文献には、凹レンズ組み合わせ鏡によれば、物体からの光が凹レンズを通過することによって縮小された像が作られるため、凹レンズがない時と比べてより広い範囲のものが平面鏡に映し出される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-111822号公報(実用新案登録請求の範囲、第1〜2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の凹レンズ組み合わせ鏡では、常に人や物が実際よりも縮小されて映される。そのため、口紅やアイシャドー等を塗る際のように、顔の一部分のみを見る時には却って見難くなる。
【0006】
このような問題は、携帯用手鏡だけではなく、アクセサリー入れの蓋に取り付けられた鏡など、小型の鏡全般において共通に生じる。本発明が解決しようとする課題は、顔の一部分のみを見る時には見やすく、且つ、顔全体や顔と他の箇所を一緒に見る時にはより広い範囲を見ることができる手鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために成された本発明に係る手鏡は、
a) 平面鏡と、
b) 前記平面鏡の鏡面上に着脱可能な凹レンズと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る手鏡においては、顔の一部分のみを見る時には凹レンズが鏡面上に装着されていない状態で使用する。これにより、通常の携帯型手鏡等と同様に顔の一部分が比較的大きく映る。一方、顔全体や顔と他の箇所を一緒に見る時には凹レンズを鏡面上に装着して使用する。これにより、物体(物や人)からの光が凹レンズを通過することによって縮小された像が形成されるため、凹レンズが装着されていない場合よりも広い範囲のものが平面鏡に映し出される。
【0009】
前記手鏡は、前記凹レンズの前記平面鏡側とは反対側の凹レンズ面上に着脱可能な蓋を備えていることが望ましい。この蓋により、手鏡を使用しない時に衝撃や汚れから凹レンズを保護することができる。
【0010】
本発明に係る手鏡において、前記凹レンズを前記鏡面上にクリックストップさせる凹レンズクリックストップ装置を備えることが望ましい。また、本発明に係る手鏡が前記蓋を備える場合には、該蓋を前記凹レンズ面上にクリックストップさせる蓋クリックストップ装置を備えることが望ましい。これらのクリックストップ装置を用いることにより、手鏡を使用しない時に、平面鏡(及び、蓋クリックストップ装置を用いる場合には凹レンズ)が不意に外部に晒されることがなく、衝撃や汚れから保護される。
【0011】
本発明に係る手鏡は蓋の一部又は全部として容器に取り付けられていてもよい(鏡付容器)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1個の手鏡だけで、顔の一部分のみを見る時には見やすく、且つ、顔全体や顔と他の箇所を一緒に見る時にはより広い範囲を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る手鏡の第1の実施例である携帯型手鏡を示す斜視図。
【図2】第1実施例の携帯型手鏡の分解斜視図。
【図3】第1実施例の携帯型手鏡の縦断面図。
【図4】第1実施例の携帯型手鏡の凹レンズ部を平面鏡側から見た斜視図。
【図5】第1オス連結部材の側面図(a)及び斜視図(b)並びに第1メス連結部材の斜視図(c)。
【図6】第1実施例の携帯型手鏡の使用状態を示す斜視図。
【図7】第1実施例の携帯型手鏡の変形例を示す分解斜視図(a)、平面鏡部11Aの上面図(b)、凹レンズ部12Aの下面図(c)及び上面図(d)、並びに蓋部13Aの下面図(e)。
【図8】本発明に係る手鏡の第2の実施例である携帯型手鏡を示す斜視図。
【図9】第2実施例の携帯型手鏡の使用状態を示す斜視図。
【図10】第1実施例及び第2実施例の変形例である携帯型手鏡を示す斜視図(a)及びその携帯型手鏡をケースに収容する様子を示す正面図(b)。
【図11】第1実施例及び第2実施例の変形例である、ストラップ取付部を有する携帯型手鏡を示す斜視図。
【図12】第1実施例及び第2実施例の変形例である柄付きの手鏡を示す斜視図。
【図13】第1実施例及び第2実施例の変形例である吸盤付きの手鏡を示す斜視図。
【図14】本発明の第3実施例である鏡付容器を示す斜視図。
【図15】鏡付容器の第1の変形例を示す斜視図。
【図16】鏡付容器の第2の変形例の全体を示す斜視図(a)、平面鏡部31Bと凹レンズ部32B、及び凹レンズ部32Bと凹レンズの蓋38の接続を示す斜視図(b)、並びに平面鏡部31Bを下側から見た斜視図(c)。
【図17】鏡付容器の第3の変形例を示す斜視図。
【図18】鏡付容器の第4の変形例を示す斜視図。
【図19】鏡付容器の第5の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図19を用いて、本発明に係る手鏡及び鏡付容器の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、図1〜図6を用いて、第1実施例の手鏡である携帯型手鏡10について説明する。携帯型手鏡10は、図1に示すように、平面鏡部11、凹レンズ部12及び蓋13から成る。これら平面鏡部11、凹レンズ部12及び蓋13はいずれも全体形状が円形である。なお、これら平面鏡部11、凹レンズ部12及び蓋13の全体形状は楕円形、長方形、正方形等、いずれの形状であってもよいが、本実施例では、使いやすさ及びデザインの観点から円形とした。
【0016】
平面鏡部11は図2及び図3に示すように、平面鏡111と、平面鏡111の縁及び裏面を保持する平面鏡保持枠112を有する。凹レンズ部12は、凹レンズ121と、凹レンズ121の縁を保持する凹レンズ保持枠122を有する(図2、図3)。凹レンズ121は、片面のみ凹状である片凹レンズ(図3(a))、両面が凹状である両凹レンズ(b)のいずれであってもよい。本実施例では、平面鏡保持枠112、凹レンズ保持枠122及び蓋13はいずれもプラスチック(ABS樹脂)製である。凹レンズ121の材料にはアクリル樹脂を使用した。なお、平面鏡保持枠112、凹レンズ保持枠122又は/及び蓋13には、ポリプロピレンやセルロイドなど、ABS樹脂以外のプラスチックから成るものを用いることができる。また、これら平面鏡保持枠112、凹レンズ保持枠122又は/及び蓋13には、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の金属製、紙製、ゴム製のもの等、本実施例で用いた材料以外のものを用いてもよい。また、凹レンズ121についても、ガラス製のもの等、本実施例で用いた材料以外のものを用いてもよい。
【0017】
平面鏡保持枠112の縁の上面(平面鏡111と平行な面)には第1メス連結部材141が設けられている。また、凹レンズ保持枠122の縁の下面の一部には窪み15が設けられており、その窪み15内に第1オス連結部材142が設けられている(図4)。一方、凹レンズ保持枠122の縁の上面であって、第1オス連結部材142から凹レンズ121を挟んで対面する位置には第2メス連結部材161が設けられ、蓋13の下面には第2オス連結部材162が設けられている。平面鏡部11と凹レンズ部12は第1メス連結部材141と第1オス連結部材142により接続され、凹レンズ部12と蓋13は第2メス連結部材161と第2オス連結部材162により接続されている。なお、第2メス連結部材161は第1オス連結部材142の直上に設けることも可能ではあるが、そのような構成を採ると両者の位置を縦方向にずらす必要性が生じ、それにより凹レンズ部12が厚くなる。そのため、本実施例では、第1オス連結部材142は、第2メス連結部材161から横方向にずらして、凹レンズ121を挟んで対面する位置に設けた。
【0018】
ここで、これらオス連結部材及びメス連結部材の構成について、第1オス連結部材142及び第1メス連結部材141を例に説明する。第2オス連結部材162及び第2メス連結部材161はそれぞれ第1オス連結部材142及び第1メス連結部材141と同様の構成を有する。
【0019】
第1オス連結部材142は、図5(a)(b)に示すように、半球状の頭部1421と、頭部1421の底面からそれに垂直に延びる軸部1422を有する。頭部1421は半球の一部がその底面に垂直な平面であるオス側平面1423で切断された形状を有する。また、頭部1421及び軸部1422は軸に平行な面で120°刻みに3分割されている。一方、第1メス連結部材141は、図5(c)に示すように、第1筒部1411と、第1筒部1411よりも内径が小さい第2筒部1412を軸方向に接続した形状を有する。第1筒部1411は円筒の一部が軸に平行なメス側平面1413で切断された形状を有し、上面(第2筒部1412の反対側)は閉鎖されている(なお、図5(c)で第1筒部1411の内部を示すために、上面を省略して描いている)。第1筒部1411と第2筒部1412の境界には、両者の径の差に応じた、軸に垂直な段1414が設けられている。第2筒部1412は円筒状の形状を有する。
【0020】
第1オス連結部材142は第2筒部1412側から第1メス連結部材141に差し込まれており、頭部1421が第1筒部1411内に、軸部1422が第2筒部1412内にある。そのため、頭部1421の半球の底面が段1414に引っ掛かり、第1オス連結部材142が第1メス連結部材141から抜けることはない。なお、携帯型手鏡10の製造時に第1オス連結部材142を第1メス連結部材141に差し込む際には、3分割された頭部1421が第2筒部1412の壁に押されて小さくなるため第2筒部1412を通過する。
【0021】
第1実施例の携帯型手鏡10の使用方法を、図6を用いて説明する。
携帯型手鏡10は、持ち運びの際など、鏡を使用しない時には、図1に示すように平面鏡部11、凹レンズ部12及び蓋13を重ねた状態にしておく。この状態では、オス側平面1423とメス側平面1413の位置が一致しており、オス側平面1423の縁がメス側平面の縁に引っ掛かるため、凹レンズ部12と蓋13の相対的な位置が固定される(クリックストップ)。同様に、平面鏡部11と凹レンズ部12も第2オス連結部材162と第2メス連結部材161によりクリックストップされる。これらのクリックストップ装置を用いているため、携帯型手鏡10の持ち運びの際に、凹レンズ121に関して蓋13が開くこと、及び平面鏡111に関して凹レンズ部12が開くことがなく、凹レンズ121が及び平面鏡111が衝撃や汚れから保護される。
【0022】
口や目の周りなど、顔の一部分を見る時には、使用者は片手で平面鏡保持枠112を保持し、その反対の手で凹レンズ保持枠122を平面鏡111に平行な方向に押す。すると、オス側平面1423の縁がメス側平面1413の縁を越え、凹レンズ部12が第1オス連結部材142の軸の周りに回動する。これにより、凹レンズ部12がスライドして平面鏡111が表に現れる(図6(a))。そのため、使用者は通常の携帯用手鏡と同様に顔の一部分を平面鏡111に映すことができる。
【0023】
顔全体を見る時、あるいは顔と顔よりも下を一緒に見る時のように、平面鏡111だけでは映すことができない時には、使用者は片手で凹レンズ保持枠122を保持し、その反対の手で蓋13を平面鏡111に平行な方向に押す。これにより、蓋13が第1オス連結部材142の軸の周りに回動する。これにより蓋13がスライドし、凹レンズ121が表に現れる(図6(b))。使用者は凹レンズ121を通して平面鏡111を見る。すると、手鏡に映そうとする人や物からの光は凹レンズ121を通過して平面鏡111に反射され、再び凹レンズ121を通過する。そのため、使用者には、凹レンズ121を装着しない場合よりも像が縮小され、より広い範囲のものが見える。
【0024】
凹レンズ121の焦点距離は特に限定されないが、凹レンズ121を装着しない時は口や目の周りなどの顔の一部のみを映し、凹レンズ121を装着した時は顔全体を映すという使い方をする場合には120〜150mmとすることが好ましい。なお、凹レンズ121の曲率半径及び凹レンズ121の材料の屈折率は上記のように焦点距離を設定するように適宜調整されれば、特に限定されない。また、凹レンズ121の厚みは通常、焦点距離に与える影響が無視できるほど小さい。そのため、凹レンズ121の厚みは、持ち易さやスライド時の操作性に応じて凹レンズ部12の厚みを定めたうえで、その凹レンズ部12の厚みに応じて定めるとよい。
【0025】
次に、第1実施例の変形例である携帯型手鏡10Aについて説明する。本変形例の携帯型手鏡10Aは、図7に示すように、平面鏡部11A、凹レンズ部12A及び蓋部13Aとを備える。これら3個の構成要素は、以下に述べる点を除いて、第1実施例の携帯型手鏡10におけるものと同様の構成を有する。第1実施例の携帯型手鏡10との相違点はクリックストップ装置にある。本変形例では、平面鏡部11Aと凹レンズ部12Aはそれ自体クリックストップ機構を有しない第1オス連結部材171Aと第1メス連結部材171Bで連結され、凹レンズ部12Aと蓋部13Aはクリックストップ機構を有しない第1オス連結部材172Aと第1メス連結部材172Bで連結されている。そして、平面鏡部11Aの上面には、第1オス連結部材171Aを中心として互いに1/2回転対称となる位置に第1孔181及び第2孔182が設けられている(図7(b))。また、凹レンズ部12Aの下面には、平面鏡部11Aと凹レンズ部12Aを重ねた時に第1孔181に対応する位置に第1突起191が、第2孔182に対応する位置に第2突起192が、それぞれ設けられている(図7(c))。一方、凹レンズ部12Aの上面には、第2メス連結部材172Bを中心として互いに1/2回転対称となる位置に第3突起193及び第4突起194が設けられている(図7(d))。更に、蓋部13Aの下面には、凹レンズ部12Aと蓋部13Aを重ねた時に第3突起193に対応する位置に第3孔183が、第4突起194に対応する位置に第4突孔184が、それぞれ設けられている(図7(e))。
【0026】
本変形例の携帯型手鏡10Aの使用方法は、基本的には第1実施例の携帯型手鏡10と同様である。ここでは、本変形例におけるクリックストップ機構について説明する。まず、平面鏡部11Aと凹レンズ部12Aを重ねている時は、第1孔181と第1突起191が噛み合うと共に、第2孔182と第2突起192が噛み合うことにより、平面鏡部11Aと凹レンズ部12Aの相対的な位置が固定される。次に、図6(a)に示した場合と同様に凹レンズ部12Aを平面鏡部11Aに対して相対的に回動させると、第1突起191が第1孔181から外れると共に、第2突起192が第2孔182から外れる。そして、凹レンズ部12Aを、平面鏡部11Aと固定されていた位置から180°回動させると、第1孔181と第2突起192が噛み合うと共に、第2孔182と第1突起191が噛み合う。これにより、その位置に凹レンズ部12Aが固定される(クリックストップ)。そして、凹レンズ部12Aを平面鏡部11Aと重なる位置に戻すと、再び第1孔181と第1突起191が噛み合うと共に、第2孔182と第2突起192が噛み合うことにより、平面鏡部11Aと凹レンズ部12Aが固定される(クリックストップ)。同様に、凹レンズ部12Aと蓋部13Aもクリックストップさせることができる。
【実施例2】
【0027】
次に、図8及び図9を用いて、第2実施例の手鏡である携帯型手鏡20について説明する。
携帯型手鏡20は、第1実施例の携帯型手鏡10と同様に、平面鏡211と平面鏡保持枠212から成る平面鏡部21、凹レンズ221と凹レンズ保持枠222から成る凹レンズ部22、及び蓋23を有する。第1実施例との相違点は、平面鏡部21と凹レンズ部22、及び凹レンズ部22と蓋23がそれぞれ、平面鏡211に平行な軸を持つ蝶番24で接続されている点にある。
【0028】
携帯型手鏡20の使用方法を説明する。鏡を使用しない時には、第1実施例と同様に、図8に示すように平面鏡部21、凹レンズ部22及び蓋23を重ねた状態にしておく。顔の一部分を見る時には、片手で平面鏡保持枠212を保持し、その反対の手で凹レンズ部22と蓋23を重ねた状態で上げることにより、平面鏡211が表に現れる(図9(a))。また、平面鏡211だけでは映すことができない広い範囲を見る時には、片手で凹レンズ保持枠222を保持し、その反対の手で蓋23のみを上げることにより、凹レンズ221が表に現れる(図9(b))。平面鏡211が表に現れた時、及び凹レンズ221が表に現れた時の像の見え方は第1実施例の場合と同様である。
【0029】
次に、第1実施例及び第2実施例の変形例について説明する。
図10に示した携帯型手鏡10Aは、第1実施例における蓋13を省略したものである。この携帯型手鏡10Aは、第1実施例のものと同じ平面鏡部11Aと、第1実施例のものから蓋13と接続するための第2メス連結部材を省略した凹レンズ部12Aを有する。この携帯型手鏡10Aを携帯する際には、布等から成るケース171に収容することにより、平面鏡や凹レンズを衝撃や汚れから保護する。なお、ケース171には、第1実施例や第2実施例に示した、蓋が付いた携帯型手鏡を収容してもよい。
図11に示した携帯型手鏡10Bは、平面鏡部11Bの平面鏡保持枠に、ストラップを取り付けるためのストラップ取付部172を設けたものである。凹レンズ部12Bの構成は第1実施例のものと同様である。この例では、ストラップ取付部172にストラップを取り付けることにより、携帯型手鏡をネックレスや懐中時計に似た装飾性のある小物として用いることができる。
図12に示した手鏡10Cは、平面鏡部11Cの平面鏡保持枠に柄173を設けたものである。凹レンズ部12Cは携帯型手鏡10Aにおける凹レンズ部12Aと同様の構成を有し、また、携帯型手鏡10Aと同様にクリックストップ装置により平面鏡部11Cと接続されている。
図13に示した手鏡10Dは、平面鏡部11Dの裏面(平面鏡を取り付けた面と反対側の面)に吸盤174を取り付けたものである。凹レンズ部12Dの構成は携帯型手鏡10Aにおける凹レンズ部12Aと同様である。この吸盤174により、壁面やガラス窓など、様々な所にこの手鏡を取り付けることができる。
なお、図10〜図13では、第1実施例と同様に平面鏡部と凹レンズ部をクリックストップ装置で接続したものを示したが、これら変形例においても、第2実施例と同様に平面鏡部と凹レンズ部を蝶番で接続してもよい。
【実施例3】
【0030】
次に、図14を用いて、第3実施例である鏡付容器30について説明する。
鏡付容器30は、平面鏡311と平面鏡保持枠312から成る平面鏡部31、凹レンズ321と凹レンズ保持枠322から成る凹レンズ部32及び容器本体33を有する。平面鏡部31及び凹レンズ部32は第2実施例における平面鏡部21及び凹レンズ部22と同様の構成を有する。容器本体33は凹レンズ部22と同じ大きさの円形であって平底を有るものである。平面鏡部31と凹レンズ部32、及び凹レンズ部32と容器本体33は蝶番34で接続されている。なお、上記実施例では平面鏡部31、凹レンズ部32及び容器本体33が円形のものを示したが、これらは楕円形、長方形、正方形等、円形以外のものであってもよい。
【0031】
鏡付容器30の使用方法を説明する。鏡を使用しない時には、第2実施例と同様に平面鏡部31、凹レンズ部32及び容器本体33を重ねた状態にしておく(図14(a))。この時、平面鏡部31及び凹レンズ部32は容器本体33の蓋の役割を担っている。顔の一部分を見る時には、片手で凹レンズ部32を保持し、その反対の手で平面鏡部31を上げることにより、平面鏡311が表に現れる(b)。平面鏡311だけでは映すことができない広い範囲を見る時には、片手で容器本体33を保持し、その反対の手で平面鏡部31及び凹レンズ部32を重ねた状態で上げることにより、平面鏡311の表面が凹レンズ321で覆われた状態で現れる(c)。
【0032】
なお、ここでは平面鏡部と凹レンズ部を蝶番で接続した例を示したが、図15に示すように、平面鏡部31Aと凹レンズ部32Aを、第1実施例で説明した連結部材(オス連結部材及びメス連結部材)35で接続することにより、平面鏡部31Aが凹レンズ部32Aに対してスライドするようにしてもよい。
【0033】
また、図16に示すように、平面鏡部31Bを容器本体33Bへのネジ式の蓋とすることもできる。図16に示した例では、容器本体33Bの上側の縁に雄ネジ331を設けると共に、平面鏡部31Bの平面鏡保持枠312Bの下側の内面に雌ネジ311を設ける。平面鏡部31Bと凹レンズ部32B、及び凹レンズ部32Bと凹レンズの蓋38(第1実施例の蓋13に相当)は、第1実施例で説明した連結部材で接続する。あるいは、図17に示すように、平面鏡部31Bと凹レンズ部32B、及び凹レンズ部32Bと凹レンズの蓋38は蝶番34Bで接続してもよい。なお、平面鏡部31Bと凹レンズ部32B、又は凹レンズ部32Bと凹レンズの蓋38のいずれか一方を蝶番34で接続し、他方を第1実施例の連結部材で接続してもよい。更には、図18に示すように、内側に雌ネジ(図示せず)を設けた中空円筒状の蓋部材39の上に、蝶番又は連結部材により凹レンズ部32Cを接続し、凹レンズ部32Cの上に蝶番又は連結部材により平面鏡部31Cを接続したものを容器本体33Bの蓋として用いてもよい。
【0034】
なお、図16〜図18では平面鏡部31Bを容器本体33Bの蓋とした例を示したが、容器本体の底に凹レンズ部を設け、その凹レンズ部の下に平面鏡部を設ける(第1実施例の携帯型手鏡10における蓋13の代わりに容器本体を設ける)ことにより、容器本体を凹レンズ部の蓋とした構成をとることもできる。
【0035】
鏡付容器の蓋は、ここまでに述べたように平面鏡部と凹レンズ部から成るものであることは必須ではなく、例えば図19に示すように、容器本体33Aの蓋36の裏面に平面鏡部及び凹レンズ部から成る第1鏡37を取り付けたものであってもよい。なお、図19の例では、蓋36の裏面に第1鏡371と共に、通常の平面鏡である第2鏡372を並べて設けた。
【符号の説明】
【0036】
10、10A、10B、20…携帯型手鏡
10C、10D…手鏡
11、11B、11C、11D、21、31、31A、31B、31C…平面鏡部
111、211、311…平面鏡
112、212、312、312B…平面鏡保持枠
12、12B、12C、12D、22、32、32A、32B、32C…凹レンズ部
121、221、321…凹レンズ
122、222、322…凹レンズ保持枠
13、23…蓋
141…第1メス連結部材
1411…第1メス連結部材の第1筒部
1412…第1メス連結部材の第2筒部
1413…メス側平面
1414…第1筒部1411と第2筒部1412の境界の段
142…第1オス連結部材
1421…第1オス連結部材の頭部
1422…第1オス連結部材の軸部
1423…オス側平面
161…第2メス連結部材
162…第2オス連結部材
24、34、34B…蝶番
33、33A、33B…容器本体
331…雄ネジ
35…連結部材
36…容器の蓋
371…第1鏡
372…第2鏡
38…凹レンズの蓋
39…蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 平面鏡と、
b) 前記平面鏡の鏡面上に着脱可能な凹レンズと、
を備えることを特徴とする手鏡。
【請求項2】
前記凹レンズを前記鏡面上にクリックストップさせる凹レンズクリックストップ装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の手鏡。
【請求項3】
前記凹レンズの前記平面鏡側とは反対側の凹レンズ面上に着脱可能な蓋を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の手鏡。
【請求項4】
前記蓋を前記凹レンズ面上にクリックストップさせる蓋クリックストップ装置を備えることを特徴とする請求項3に記載の手鏡。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の手鏡が蓋の一部又は全部として取り付けられていることを特徴とする鏡付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−56067(P2011−56067A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209377(P2009−209377)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(592123990)市川甚商事株式会社 (3)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)