説明

打数カウントシステム

【課題】大規模な設備を必要とせず自動的に打数のカウントが出来る装置を提供する。
【解決手段】ゴルフボール1に物体の加速度を検出する加速度センサ2と、加速度センサ2からの信号を無線データとして送信する無線モジュール3を備え、一定の加速度を超えると加速度センサ2が無線モジュール3に信号を送ることにより無線モジュール3が無線データを送信し、無線データを受信する受信機がゴルフボール1からの無線データを受信することにより自動的に打数のカウントをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ競技者の打数を自動的にカウント可能とした打数カウントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ競技において、打数のカウントは競技者自身が行い、頭の中でカウントしておいて1ホール終了時に合計をスコアカードに記入するのが一般的である。若しくは、補助的なカウント記憶手段を用い、一打毎に記憶手段に入力することにより、1ホール終了時にその時の数字を見れば総打数を確認することでができるという方法もある。
【0003】
しかし、何れの方法を採用してもカウントミスが発生する恐れがあり、また、競技者自身もプレーに専念するということの妨げになっている。
【0004】
そのため、ゴルフボールに無線機能を装備し、ゴルフ場のエリア内にアンテナを張り巡らしてゴルフボールの動きをセンターで集中的に監視し、それぞれのボールの打数もカウントしていくという方法も考えだされている。
【0005】
このような無線装置を内蔵したゴルフボールの対応方法については例えば特許文献がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、ゴルフボールに無線タグを備え、ゴルフ場の地面の下とティーグランド及びグリーンにアンテナを設置することにより、ゴルフボールの動きをアンテナで受信し、コンピュータで監視して打数をカウントする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2003−518994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の文献による無線タグ内蔵のゴルフボールの場合、ゴルフボールの位置を把握する為に、ゴルフ場の各ホールに複数のアンテナを設置し、アンテナからの信号を集中監視するコンピュータに接続するという大規模な設備が必要であるという課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ゴルフボール自体にカウントを検出する機能を持たせ、競技者が携帯可能な小型の受信機に無線データを送ることにより、自動的に打数のカウントが出来る装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の打数カウントシステムは、物体の加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検知された加速度の信号を無線データとして送信する無線モジュールと、前記加速度センサと前記無線モジュールとに電力を供給する電池と、を有するゴルフボールと、前記無線モジュールからの前記無線データを受信する無線受信手段と、前記無線データの受信回数の合計を計算する計算手段と、を有する受信機とを備えており、前記加速度センサで検知される加速度が予め設定された閾値を超える場合に前記無線モジュールが前記無線データを前記受信機へ送信する制御がなされるよう構成されており、かつ、前記無線データの受信回数の合計に基づいて、前記ゴルフボールの打数を自動的にカウントする制御がなされるように構成されている打数カウントシステムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の打数カウントシステムを用いることにより、大規模な設備を導入することなく自動的に打数のカウントが出来る装置を装備することが出来、競技者はプレーに専念することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における打数カウントシステムのゴルフボール構成図
【図2】本発明の実施の形態1における打数カウントシステムの受信機構成図
【図3】本発明の実施の形態1における加速度と衝撃力の相関図
【図4】本発明の実施の形態3における打数カウントシステムのゴルフボール構成図
【図5】本発明の実施の形態3における打数カウントシステムのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の打数カウントシステムは、物体の加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検知された加速度の信号を無線データとして送信する無線モジュールと、前記加速度センサと前記無線モジュールとに電力を供給する電池と、を有するゴルフボールと、前記無線モジュールからの前記無線データを受信する無線受信手段と、前記無線データの受信回数の合計を計算する計算手段と、を有する受信機とを備えており、前記加速度センサで検知される加速度が予め設定された閾値を超える場合に前記無線モジュールが前記無線データを前記受信機へ送信する制御がなされるよう構成されており、かつ、前記無線データの受信回数の合計に基づいて、前記ゴルフボールの打数を自動的にカウントする制御がなされるように構成されたものである。
【0013】
これにより、競技者は打数のカウントを気にすることなく、プレーに専念することができる。
【0014】
また、打数カウントシステムの前記受信機に表示手段を設け、合計した回数を表示するようにしたものである。
【0015】
これにより、競技者は受信機の表示部を確認するだけで、自分の打数を認識することができる。
【0016】
次に、打数カウントシステムの前記ゴルフボールにタイマー手段を備え、前記タイマ手段で設定された一定の時間、加速度センサーからの信号が出力されない場合に前記無線モジュールが無線データを送信するようにしたものである。
【0017】
これにより、坂道等のころがり状態でゴルフボールが動いており、競技者が打っていない状態での誤カウントを防ぐことができる。
【0018】
そして、打数カウントシステムの前記加速度センサから前記無線モジュールへの信号出力を決定する加速度値により、前記タイマ手段の設定時間を変更するようにしたものである。
【0019】
これにより、パターやアプローチ等の1打から次の1打までの時間が短い場合も正確にカウントすることができる。
【0020】
さらに、打数カウントシステムの前記加速度センサを衝撃センサに置き換えるようにしたものである。
【0021】
これにより、より正確に打数のみをカウントすることができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1及び図2は本発明の実施の形態における打数カウントシステムの構成図である。図1において、1はゴルフボール、2は加速度センサ、3は無線モジュール、4は電池である。図2において、5は受信機、6は無線受信手段、7は計算手段である。
【0024】
図3は、ゴルフボール1の加速度とゴルフボール1に加わる衝撃力の相関を示す図である。
【0025】
以下、図1、図2及び図3を参照しながら本発明の打数カウントシステムの動作について説明する。
【0026】
ゴルフボール1の内部には、電池4を電力源として動作する加速度センサ2と無線モジュール3を装備している。加速度センサ2は、ゴルフボール1にかかる加速度を検出し、一定の加速度を超えると無線モジュール3に信号を出力する。図3に示す様に、ゴルフボール1にかかる加速度と、ゴルフボール1に加わる衝撃力は相関関係にあり、競技者がゴルフクラブにより衝撃を加えたと判断する為に、一定の衝撃力、すなわち一定の加速度を超えると1打と判断する。そして、この信号を受けた無線モジュール3は、受信機5に対して無線データを送信する。
【0027】
受信機5には、無線受信手段6と計算手段7が装備されている。ゴルフボール1の無線モジュール3からの無線データは無線受信手段6により受信され、計算手段7に送られる。計算手段7では、無線受信手段6からの信号を受ける回数を「1」としてカウントし、受ける度にカウントを増やしていくことにより、ゴルフボール1が受ける衝撃回数、すなわち競技者の打数をカウントすることになる。
【0028】
図示はしないが、受信機5は、電池4を内蔵して競技者一人一人に携帯させても良いし、ゴルフカートに装備し、ゴルフカートの電力を供給する構成にしても良い。また、受信機5にスイッチを設け、各ホールが終了する毎に競技者がスイッチを押すことにより、ホール毎の打数を合計する構成にしても良いし、ゴルフカートに1ホール終了を確認出来る手段(例えば、競技者全員がシートに座った場合に無線データを送出する機能を付ける)によりホール毎の打数を合計する構成にしても良い。そして、受信機5に内蔵メモリーを装備し、計算手段7のカウントデータを記憶し、競技終了後に取り出す様にしてもよい。
【0029】
(実施の形態2)
また、受信機5に表示部を装備し、計算手段7からのデータを表示することにより、競技者は常に現在の打数を目で確認することができる。
【0030】
(実施の形態3)
次に、図4に示す様に、ゴルフボール1の加速度センサ2と無線モジュール3の間に内蔵タイマー手段8を装備し、図5のフローチャートの様に、内蔵タイマー手段8で設定された一定の時間、加速度センサ2からの信号が出力されない事を確認した場合、その後の信号を無線モジュール3へ送信する。一定時間内に加速度センサ2から信号が来た場合は、無線モジュール3へは送信しないようにする。
【0031】
この様にすることで、坂道等のころがり状態でゴルフボールが動いており、常に加速度センサ2からの信号出力が有る状態を誤検出せず、一定時間の加速度センサ2からの信号が無いことを確認することで、1打と1打の区切りを認識し、連続して競技者が打っていない状態での誤カウントを防ぐことができる。
【0032】
(実施の形態4)
更に、内蔵タイマー手段8において、加速度センサ2からの信号出力レベルに応じて、無線モジュール3への信号出力判断を行う時間を変更するようにする。加速度センサ2からの信号出力レベルが大きい(加速度度が大きい)場合には、次の無線モジュール3への信号出力可能までの時間を長くし、その間に加速度センサ2から入力された信号は出力しない様にする。逆に、加速度センサ2からの信号出力レベルが小さい(加速度が小さい)場合には、次の無線モジュール3への信号出力可能までの時間を短くする。
【0033】
これは、パッティングやアプローチ等、比較的短距離を飛ばす1打による加速度と、ティーショットやアイアンによる長距離や中距離を飛ばす1打の加速度では、測定レベルに明確な差があり、それぞれに関連して、短距離の1打の場合、次の1打もすぐに実行されるのに対し、中・長距離の1打の場合、次の1打までの移動時間を必要とすることによる。
【0034】
これにより、パターやアプローチ等の1打から次の1打までの時間が短い場合も正確にカウントすることができる。
【0035】
(実施の形態5)
そして、ゴルフボール1の加速度センサ2を衝撃センサに置き換えることにより、加速度と衝撃力の相関から衝撃レベルを擬似的に認識していたものを衝撃レベルを直接取り込めるようにすることで、より正確に1打の強さを認識することが出来る様になる。
【0036】
その結果、ショットの区別が出来ることになり、内蔵タイマー手段8を装備しなくても、正確に打数のみをカウントすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明にかかる打数カウントシステムは、ゴルフボールに加速度を検出して信号を無線データとして送信する機能を装備し、無線データを受信した受信機が自動的に打数のカウントをすることにより、競技者は打数のカウントを気にすることなく、プレーに専念することができる。また、内蔵タイマー手段を装備することにより、ショットの区別が出来る打数カウントシステムを構築できる。
【符号の説明】
【0038】
1 ゴルフボール
2 加速度センサ
3 無線モジュール
4 電池
5 受信機
6 無線受信手段
7 計算手段
8 内蔵タイマー手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検知された加速度の信号を無線データとして送信する無線モジュールと、前記加速度センサと前記無線モジュールとに電力を供給する電池と、を有するゴルフボールと、
前記無線モジュールからの前記無線データを受信する無線受信手段と、前記無線データの受信回数の合計を計算する計算手段と、を有する受信機と、
を備えており、
前記加速度センサで検知される加速度が予め設定された閾値を超える場合に前記無線モジュールが前記無線データを前記受信機へ送信する制御がなされるよう構成されており、かつ、前記無線データの受信回数の合計に基づいて、前記ゴルフボールの打数を自動的にカウントする制御がなされるように構成されていること、
を特徴とした打数カウントシステム。
【請求項2】
前記受信機に表示手段を設け、合計した回数を表示するようにしたことを特徴とした請求項1記載の打数カウントシステム。
【請求項3】
前記ゴルフボールにタイマー手段を備え、前記タイマー手段で設定された一定の時間、加速度センサからの信号が出力されない場合に前記無線モジュールが無線データを送信するようにしたことを特徴とした請求項2記載の打数カウントシステム。
【請求項4】
前記加速度センサから前記無線モジュールへの信号出力を決定する加速度値により、前記タイマー手段の設定時間を変更するようにしたことを特徴とした請求項3記載の打数カウントシステム。
【請求項5】
前記加速度センサを衝撃センサに置き換えたことを特徴とした請求項2記載の打数カウントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−224284(P2011−224284A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99476(P2010−99476)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)