説明

把手及びこれを用いた化粧板

【課題】把手を化粧板の上端部又は下端部以外の適所に配置する。
【解決手段】帯状の指掛けリップ片3を前端に有する前方が開放された溝状の引手4と、該引手4の上下の夫々に該引手4と同一幅を有する上方及び下方化粧板2a、2bの上方及び下方連結部5、6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家具の引出し前板や扉に取付けて使用する把手と、この把手を用いた前記扉等を構成する化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具の引出し前板や扉としては、アルミニウム製等の金属製にして、前方が開放された溝状の引手を設けた把手を、化粧板の上端部又は下端部にその幅方向に渡って取り付けたものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3651458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記把手は化粧板の上端部又は下端部にしか取付けられないため、家具の製作において、その把手の位置が限定されて汎用性に欠けるといった課題を有している。
そこで、本発明では、化粧板の上端部又は下端部以外の適所に配置できる様にした把手及びこれを用いた化粧板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題に鑑み、本発明に係る把手は、帯状の指掛けリップ片を前端に有する前方が開放された溝状の引手と、該引手の上下の夫々に該引手と同一幅を有する上方及び下方化粧板の上方及び下方連結部を設けたことを特徴とする。
又、上記引手において高さ方向に渡り同一円弧状に形成された上方及び下方化粧板の各前面左右端縁に対応する箇所を、前記各前面左右端縁の円弧形状に対応する様に平面視円弧状に形成したことを特徴とする。
更に本発明に係る化粧板は、同一幅を有する上方及び下方化粧板間にその幅方向に渡って前端に帯状の指掛けリップ片を有する前方が開放された溝状の引手を設けた把手を介装したことを特徴とする。
又、上方及び下方化粧板の各前面左右端縁は高さ方向に渡り同一円弧状に形成されると共に、把手において前記各前面左右端縁に対応する箇所をその円弧形状に対応する様に平面視円弧状に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
要するに請求項1、3に係る発明によれば、同一幅を有する上方及び下方化粧板間にその幅方向に渡って前端に帯状の指掛けリップ片を有する前方が開放された溝状の引手を設けた把手を介装したので、上方及び下方化粧板を把手で連結した一枚の化粧板を構成することができ、この一枚の化粧板の上下方向の適宜位置に把手を横手に配することができるため、その化粧板における把手を所望高さ位置に変更可能と成すことができ、かかる化粧板を家具の引出し前板や扉に用いることでバリエーションに富んだ家具を構成できる。
又、化粧板における把手の高さ位置が自由に設定されるので、従来品では使用できない扉、例えばクロゼットなどに使用される背丈ほどある長尺な折戸や観音開きの扉にも適用可能であり、汎用性に富んだ把手及び化粧板を提供できる。
【0006】
請求項2、4に係る発明によれば、上方及び下方化粧板の各前面左右端縁は高さ方向に渡り同一円弧状に形成されると共に、把手において前記各前面左右端縁に対応する箇所をその円弧形状に対応する様に平面視円弧状に形成したので、把手を配した化粧板は、その前面の左右端縁がその高さ方向に渡り同一の円弧状に形成されるため、デザイン的に統一のとれた美観を呈すると共に、把手が取付けられた化粧板を家具の引出し前板や扉として使用した時に、引手に差し入れられる指先が傷つくことはなく安全であり、更に化粧板の前面左右端縁も円弧状のため、かかる部位が体の各所に触れても傷を負うことはなく、家具をより安全に使用できる等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る把手の斜視図、図2は図1の一部破断正面図、図3は図1の一部破断背面図、図4は図1の一部破断平面図、図5は図1の側面図である。
この把手1は化粧板2に取付けられ、流し台、厨房台、洗面化粧台等の家具における引出し前板や扉、或いはクロゼットや間仕切り等に装備される折戸や観音開き扉などに使用される。
【0008】
把手1は、アルミニウム、ステンレス等の金属製にして、帯状の指掛けリップ片3を前端に有する前方が開放された溝状の引手4と、該引手4の上下の夫々に該引手4と同一幅を有する上方及び下方化粧板2a、2bの上方及び下方連結部5、6とを設けている。
そして、把手1の上下の夫々に上方及び下方連結部5、6にて上方及び下方化粧板2a、2bを連結することにより把手1を介装した一枚の化粧板2を構成する。
【0009】
引手4は、上方及び下方化粧板2a、2bと同一幅で所定長さを有する帯状の背板7と、該背板7前面の上方部位より前方へ水平突設した帯状の水平板片8と、背板7において水平板片8の基端より下方部位から前方に向かって斜め下方へ傾斜突設した帯状の傾斜板片9とにより前方が開放された溝状に形成される。
【0010】
水平板片8は、背板7と同幅で上方化粧板2aの下端肉厚と同一奥行きを有し、その前端には指掛けリップ片3を垂設しており、該指掛けリップ片3の上端は、水平板片8より上方へ若干突出して成り、かかる指掛けリップ片3の上端と水平板片8より突出している背板上方部7aとにより、水平板片8上部を上方化粧板2aの下端を挿嵌可能な凹溝状の上方連結部5と成し、背板上方部7aには、その幅方向に所定間隔を置いて皿ビスを挿通する複数の座繰り穴10を貫設している。
【0011】
傾斜板片9は、その下端が背板7の下端より上方に位置すると共に、傾斜板片9の下端前端面には、背板7と平行で丈の短い帯状の突片11を設け、傾斜板片9と背板下方部7bとで下方化粧板2bの上端を挿嵌可能な下方連結部6と成し、背板下方部7bには、その幅方向に所定間隔を置いて皿ビスを挿通する複数の座繰り穴12を貫設している。
尚、背板7と傾斜板片9の基端との間は補強のため肉付けされており、このため下方連結部6内は台形溝状に形成される。
【0012】
上方及び下方化粧板2a、2bは、木製から成り、各前面左右端縁13、14は図6に示す様に高さ方向に渡り同一円弧状に形成されると共に、上方及び下方化粧板2a、2bの表面には図示しない化粧シートを貼着している。
上方化粧板2aは、その上端面が水平に形成され、下端は上方連結部5の凹型に合致させてその後端面に背板上方部7aの形状に対応した切欠15を形成している。
下方化粧板2bは、上端が傾斜板片9と背板下方部7bとの間に挿嵌可能と成す様に断面略台形状に形成され、上端の後端面は背板上方部7aの形状に対応した切欠16が形成されており、下方化粧板2bの下端面は水平に形成されている。
尚、上方及び下方化粧板2a、2bの高さは、使用用途によって適宜設定される。
【0013】
又、引手4において上方及び下方化粧板2a、2bの各前面左右端縁13、14に対応する箇所X、Y、即ち水平板片8の前方左右隅角部と指掛けリップ片3の左右端部(前方左右隅角部X)、傾斜板片9の下端左右隅角部と突片11の左右端部(前方左右隅角部Y)を、上方及び下方化粧板2a、2bの各前面左右端縁13、14の円弧形状に対応する様に平面視円弧状に切欠形成している(図2、4、6参照)。
【0014】
そして、把手1における上方及び下方連結部5、6の夫々に上方及び下方化粧板2a、2bの下端及び上端を挿嵌し、背板上方部7a及び背板下方部7bに設けた座繰り穴10、12に挿通した皿ビス(図示せず)を上方及び下方化粧板2a、2bにねじ込むことにより、上下方向の適宜位置に把手1を横手に配した化粧板2が構成され、把手1の前方左右隅角部X、Yの円弧形状は、化粧板2(上方及び下方化粧板2a、2b)の前面左右端縁13、14の円弧に合致する。
この化粧板2における把手1の高さ位置は、上方及び下方化粧板2a、2bの高さによって変更可能である。
【0015】
そして、化粧板2を家具の引出し前板や扉、クロゼット等の折戸や観音開きの扉として備え付ける。
尚、化粧板2(把手1)を上下反転して引出し前板や扉として使用することも可能である。
図7は、化粧板2を家具(図示例ではキッチンキャビネット)の扉Pとして備え付けた一例を示す。
尚、化粧板2を扉として使用する場合、上方及び下方化粧板2a、2bの両方又は一方に板硝子Gを配しても良い。
又、図7においては、化粧板2を扉として用いたもののみを示したが、引出しの前板としても使用可能である。
【0016】
又、この化粧板(上方及び下方化粧板2a、2b及び把手1)2における前方左右端縁13、14、X、Yは、その高さ方向に渡り同一円弧状に形成されているため、平面視及び正面視においてデザイン的に統一のとれた美観を呈すると共に、使用において、前方左右隅角部X、Yが角張らず円弧状のため、引手4に差し入れられる指先が傷つくことはなく、又化粧板(上方及び下方化粧板2a、2b)2の前面左右端縁13、14も円弧状のため、かかる部位が体の各所に触れても傷を負うこともなく安全である。
【0017】
把手1は上方及び下方化粧板2a、2bの高さを変更することで化粧板2における高さ位置を自由に設定できるので、従来品では使用できない扉、例えばクロゼットなどに使用される背丈ほどある長尺な折戸や観音開きの扉にも適用可能であり、その一例として図8に化粧板2を用いたクロゼットの扉を示す。
図8に示すクロゼットの扉は、クロゼット開口部の左右に化粧板2を2枚一組の折戸Qとして備え付けており、この場合でも各化粧板2を反転して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】把手の斜視図である。
【図2】図1の一部破断正面図である。
【図3】図1の一部破断背面図である。
【図4】図1の一部破断平面図である。
【図5】図1の側面図である。
【図6】把手を取付けた化粧板の斜視図である。
【図7】把手及び化粧板をキッチンキャビネットに用いた使用例を示す正面図である。
【図8】把手及び化粧板をクロゼットに用いた使用例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 把手
2a 上方化粧板
2b 下方化粧板
3 指掛けリップ片
4 引手
5 上方連結部
6 下方連結部
13 前面左右端縁
14 前面左右端縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の指掛けリップ片を前端に有する前方が開放された溝状の引手と、該引手の上下の夫々に該引手と同一幅を有する上方及び下方化粧板の上方及び下方連結部を設けたことを特徴とする把手。
【請求項2】
引手において高さ方向に渡り同一円弧状に形成された上方及び下方化粧板の各前面左右端縁に対応する箇所を、前記各前面左右端縁の円弧形状に対応する様に平面視円弧状に形成したことを特徴とする請求項1記載の把手。
【請求項3】
同一幅を有する上方及び下方化粧板間にその幅方向に渡って前端に帯状の指掛けリップ片を有する前方が開放された溝状の引手を設けた把手を介装したことを特徴とする化粧板。
【請求項4】
上方及び下方化粧板の各前面左右端縁は高さ方向に渡り同一円弧状に形成されると共に、把手において前記各前面左右端縁に対応する箇所をその円弧形状に対応する様に平面視円弧状に形成したことを特徴とする請求項3記載の化粧板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−228860(P2008−228860A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70035(P2007−70035)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(391054992)株式会社榊原 (6)