説明

投写装置

【目的】 同一構成の投写ユニットを用いてスクリーンサイズや投写角の変化に対応できる、低コストで、信頼性の高い投写装置を得る。
【構成】 投写管21とスペーサブロック22の間に投写管パッキン29を設けて水密状態に封止するとともに、スペーサブロック22の内壁面と投写レンズの最終レンズ28bの外周面との間に環状の調節パッキン47を設けて水密状態に封止し、かつ、スペーサブロック22と投写レンズ28の間を可動自在に連結して投写管21と投写レンズ28の間に冷却液32を充填してなる同一構成の3本の投写ユニット83を用い、各投写ユニット83の投写管21と投写レンズ28の姿勢を、赤,緑,青の各投写光に対応させて設置した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像を拡大投影するプロジェクタにおける投写管と投写レンズの間に冷却液が充填されて成る投写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15は例えば実公平2−41979号公報に示された従来のプロジェクタの投写装置の断面図であり、図16はその分解斜視図である。図において、21は陰極線管の如き投写管、22はアルミダイカスト等の熱伝導のよい材料で作られたスペーサブロックである。また、このスペーサブロック22の投写管21が取り付けられる側には、ネジ穴22dを有したボス部22cが設けられている。23は投写管21のファンネル部21bと当接する当接穴23aを有した押え板で、四隅に取付穴23bが設けられている。この押え板23を均等に押し付けるため、押え板23の取付穴23bを通して一端がスペーサブロックのボス部22cに当接するポスト24と、このポスト24の外周にスプリング25を一端が押え板23に当接するように設置する。さらに、ワッシャ26に挿通したネジ27を上記ポスト24に貫通させてボス部22cのネジ穴22dに締め付けることにより、スプリング25の押し付け力で投写管21をスペーサブロック22に取り付ける。36は投写管に取付けられた偏向ヨーク、37はフォーカスマグネット、38はCRT基板である。
【0003】一方、前記スペーサブロック22の投写管側と反対側には、投写レンズ28の鏡筒28aがネジ27で取り付けられている。このとき、前記投写管21のフェース面21fと前記スペーサブロック22の投写管設置面22fとの間、および、前記投写レンズ28の最終レンズ28bと前記スペーサブロック22のレンズ設置面22gとの間には、各々投写管パッキン29とレンズパッキン30が配設され、投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31を水密状態に保つようになっている。
【0004】32は空間31内に充填されたエチレングリコール等の冷却液で、投写管21で発光した光の蛍光面への戻りを阻止して投影像のコントラスト劣化を防止するとともに、プロジェクタが動作時に前記投写管21のフェース面21fで発生する熱を、当該冷却冷媒液32を介してスペーサブロック22に伝え外部に放熱されるようになっている。33は冷却液32が熱膨張したときに、膨張分が収納されるタンクである。
【0005】また、他の従来例として、特開平4−352141号公報に示されたプロジェクタの投写装置の断面図を図17に示し、そのシール部の要部断面図を図18R>8に示す。図において、投写管フレーム51の投写管側の開口周縁に設けられた環状溝51aに装着された第一Oリング52を介して投写管21が水密状態で取付けられている。一方、レンズフレーム53のレンズ側の開口周縁に設けられた環状溝53aに装着された第二Oリング54を介して投写レンズ28が水密状態で取付けられている。
【0006】55はカプラーとしてのベローズで、軸線方向に付勢力をもつステンレス等の鉄系金属材料によって形成された円筒ベローズからなり、前記投写管フレーム51と前記レンズフレーム53との間に設置されている。その設置方法は以下のとうりである。すなわち前記ベローズ55の両端部には、周方向に間隔をもって配列された複数の取付孔56a,57aを有する取付用のフランジとしての環状体A56、環状体B57が溶接されている。そして投写管フレーム51のレンズ側の開口周縁に設けられた環状溝51bに装着された第三Oリング58を介して環状体A56の取付孔56aをネジ60で締め付けて水密状態にする。同様に、レンズフレーム53の投写管側の開口周縁に設けられた環状溝53bに装着された台四Oリング59を介して環状体B57の取付孔57bをネジ60で締め付けて水密状態にしている。
【0007】61は投写管21が第一Oリング52を介して投写管フレーム51に取付けられた投写管ブロック81と、投写レンズ28が第二Oリング54を介してレンズフレーム53に取り付けられたレンズブロック82とを連結する保持部で、両者の相対角度、および距離が可変できる調整機構98が設けられている。
【0008】次に動作について説明する。プロジェクタは投写管の電気信号画像を投写レンズによって拡大投映して大画面を作り出す装置であるが、非常に高温になる投写管21のフェース面21fの熱を、冷却液32を介して熱伝導のよいアルミニウム製のスペーサブロック22から放熱させている。そのため、冷却液32が漏れないようにすることが大切で、前記投写管パッキン29と前記レンズパッキン30を所定の位置に設置した状態で、投写管21と投写レンズ28によりスペーサブロック22の設置面22f,22gに確実に圧接しなければならないシール構造は重要なポイントである。
【0009】また通常のプロジェクタでは、図19に示すように投写装置を高輝度化するため投写管21と投写レンズ28とスペーサブロック22とから構成される投写ユニット83を赤,緑,青の3ユニットとして使用したものが広く知られている。そして、このようなプロジェクタにおいては、各投写管21x,21y,21zによる画像がスクリーン99上の或る点で一致するように各投写ユニット83x,83y,83zの投写軸を互いに傾斜させており、さらに、両側の投写ユニット83x,83zにおいては周辺のフォーカスを合わせるために、投写管と投写レンズの相対角度および距離を変えている。
【0010】ところで、この種のプロジェクタにおいては、スクリーンサイズ、投写距離あるいは投写角等の投写系の変更に伴い、集中角θ1と打ち上げ角(図示せず)が変化することから、各投写管21x,21y.21zの水平方向の集中補正角θ2、および垂直方向の補正角(図示せず)を変更してスクリーンの中央と周辺のフォーカスを調整する必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来のプロジェクタの投写装置では、1つの投写装置を3つの投写ユニットで構成しており、スペーサブロックが3種類必要であったり、また、投写距離やスクリーンサイズの異なる機種を生産する際には、新しくスペーサブロックを作り直す必要があり、設計時間やダイカスト金型の費用が多くかかる問題点があった。
【0012】さらに、投写レンズに対する投写管の取付け姿勢は、スペーサブロックの加工精度で決まり、組み付け誤差が生じても補正する手段がないなどの問題点を有していた。
【0013】また、図17,図18に示した特開平4−352141号公報に記載の投写管と投写レンズとの姿勢が可変できるものでも、冷却液のシール部が4箇所あるため、シール部材が4個必要であったり、液洩れの危険箇所も4箇所となるのでコスト的にも信頼性の面でも不利であった。
【0014】また、 ベローズをネジ固定する際に投写管フレームかレンズフレームのいずれかが邪魔になり作業性も悪かった。
【0015】また、ベローズが金属でできているため柔軟性に欠けたり、投写管の発熱で冷却冷媒液が膨張しても内容積を変化させられない問題点も有していた。
【0016】さらに、ベローズ取付けのために、投写管フレームとレンズフレームとの間に長い距離が必要であった。
【0017】本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、1種類のスペーサブロックで赤,緑,青の3つの投写ユニットに対応するとともに、投写距離やスクリーンサイズの異なる機種にも対応可能で、且つ低コストで信頼性が高く作業性のよい構造の投写装置を得ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る投写装置は、投写管を水密状態で保持するスペーサブロックと投写レンズのレンズ面との間にパッキンを配設し、水密状態を維持しながら投写レンズに対してスペーサブロックを可動自在に組み付けたものである。
【0019】請求項2の発明は、投写管を水密状態で保持するスペーサブロックに設けられた孔部の内壁面と投写レンズの外側面との間にパッキンを配置することにより、両者の水密状態を維持しながら投写レンズに対してスペーサブロックを可動自在に組み付けたものである。
【0020】請求項3の発明は、投写管を水密状態で保持するスペーサブロックの孔部の内壁面に傾斜面または曲面を設け、この面と所定の間隔をもつ投写レンズの外側コーナ面との間にパッキンを配置することにより、両者の水密状態を維持しながら投写レンズに対してスペーサブロックを可動自在に組み付けたものである。
【0021】請求項4の発明は、投写管を水密状態で保持するスペーサブロックの孔部の内壁面と所定の間隔をもつ投写レンズの外側面のいずれか一方、もしくは両方に段部を設け、この段部にパッキンを装着することにより、両者の水密状態を維持しながら投写レンズに対してスペーサブロックを可動自在に組み付けたものである。
【0022】請求項5の発明は、投写管を水密状態で保持するスペーサブロックの孔部の内壁面と所定の間隔をもつ投写レンズの外側面との間に配置されるパッキンに、両者の水密状態を維持するシール部とは別にスペーサブロックまたは投写レンズに固定する装着部を設け、投写レンズに対してスペーサブロックを可動自在に組み付けたものである。
【0023】請求項6の発明は、投写管を水密状態で保持するスペーサブロックの孔部の内壁面と所定の間隔をもつ投写レンズの外側面との間に配置されるパッキンをスペーサブロックまたは投写レンズに接着固定し、両者の水密状態を維持しながら投写レンズに対してスペーサブロックを可動自在に組み付けたものである。
【0024】
【作用】本発明によれば、スペーサブロックと投写レンズとの間をパッキンで可動自在で且つ水密状態に連結したので、冷却液を充填した状態で投写管と投写レンズの相対位置を任意に変えられるため、同一の投写ユニットでスクリーンサイズや投写角の変化に対応できる。したがって、スペーサブロックを赤,緑,青の3種類、あるいはスクリーンサイズ毎や投写角毎に製作する必要がない。
【0025】また、冷却液のシール箇所が少ないので液洩れの危険箇所が少なくなるほか、作業性もよくなる。
【0026】また、冷却液を充填した状態で投写管と投写レンズとの相対角度、および距離を容易に変更できるので、製品化した後にユーザの要望により投写位置やスクリーンサイズを変更する場合に容易に対応できる。
【0027】
【実施例】
実施例1.以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。図1は本発明の実施例1における投写装置を示す断面図である。図において、従来例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0028】スペーサブロック22には、投写光を通過させる孔部22vが形成されており、この孔部22vの投写管側の開口周縁部に設けられた環状溝22mに投写管パッキン29が装着されている。投写管21は前記投写管パッキン29に当接して設置され、従来例と同様にスプリング25の力で押え板23を押しつけることにより投写管21とスペーサブロック22を水密状態で取り付ける。
【0029】投写レンズ28は複数枚のレンズ群をレンズ鏡筒28aで保持して構成されており、最も投写管21に近い最終レンズ28bが前記スペーサブロック22のレンズ側の面であるレンズ設置面22gと所定の間隔Lをもって配置される。上記最終レンズ28bとレンズ設置面22gとの間に、シール部材として環状の調節パッキン47を配設して両者を水密状態に保つ。このようにして投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31に、冷却液32をスペーサブロック22に設けられた注入口22wより充填する。74は注入口パッキン75を介してネジ込まれる注入口ネジであり、冷却液32の流出を防ぐ蓋の役目を果たす。
【0030】この冷却液32は、例えばエチレングリコールやシリコンオイルなどが使用され、動作時に投写管21のフェース面21fから発生する熱をスペーサブロック22に伝えて外部に放熱する役目の他、投写管21や投写レンズ28の材料であるガラスと屈折率が同等であるため、投写管からの光を屈折させずに投写レンズ28に入射させて、光が蛍光面に戻ることを阻止してコントラストの劣化を防ぐ役目もする。
【0031】71はカバー72で固定されたダイヤフラムで、動作時や非動作時に冷却液32の膨張、収縮による体積変化をダイヤフラム71の伸び縮みで吸収して空間31内の圧力を一定に保つようになっている。このダイヤフラム71も周囲に設けられた凸部71aにより水密状態を保つようになっている。73は投写レンズ28がネジ27で固定されるベースである。
【0032】投写レンズ28とスペーサブロック22とは、所定の姿勢を維持するよう間に間隔部材48を挟んでネジ27で締め付けて固定される。したがって、この間隔部材48の左右、または上下の厚みを変えることで投写レンズ28に対する投写管21の角度を任意に設定することができる。しかも、シール箇所を増やすことなく構成されるので液漏れの危険性が増さずにすみ、かつ部品点数も増えないのでコスト的にも有利である。
【0033】実施例2.図2は本発明の実施例2における投写装置を示す断面図、図3はその分解斜視図、図4は3本の投写ユニットを機器内に設置した状態を示す要部断面図である。図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0034】スペーサブロック22と投写管21の取付構造は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0035】投写レンズ28は複数枚のレンズ群をレンズ鏡筒28aで保持して構成されており、最も投写管21に近い最終レンズ28bの外周面28sが前記スペーサブロック22の内壁面22sと所定の間隔Lをもって配置される。上記最終レンズ28bの外周面28sとスペーサブロック22の内壁面22sとの間に、シール部材として環状の調節パッキン47を配設して両者を水密状態に保つ。このようにして投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31に、冷却液32をスペーサブロック22に設けられた注入口22wより充填する。また、ダイヤフラム71の取付構造、および作用も実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0036】73は投写レンズ28がネジ27で固定されるベースである。また、36は偏向ヨーク、37はフォーカスマグネット、39はCRT基板である。
【0037】投写レンズ28とスペーサブロック22とは所定の姿勢を維持するよう間に間隔部材48を挟んでネジ27で締め付けて固定される。したがって、この間隔部材48の左右、または上下の厚みを変えることで投写レンズ28に対する投写管21の角度を任意に設定することができる。しかも、シール箇所を増やすことなく構成されるので液漏れの危険性が増さずにすみ、且つ部品点数も増えないのでコスト的にも有利であるのは実施例1と同様である。
【0038】次に動作について説明する。通常のプロジェクタは図4に示すように、高輝度化のため投写管21、投写レンズ28、スペーサブロック22から構成される投写ユニット83を赤,緑,青の3ユニットとして使用するものが広く知られている。そして、このようなプロジェクタにおいては各投写管21x,21y,21zによる画像がスクリーン99上の或る点で一致するように投写ユニット83x,83zの投写軸Px,Pzを、投写ユニット83yの投写軸Pyに対して集中角θ1だけ傾斜させている。さらに、両側の投写ユニット83x,83zにおいては周辺のフォーカスを合わせるために投写軸Px,Pzに対して投写管21の管軸Kx,Kzを集中補正角θ2だけ傾斜させて構成している。また、95は投写ユニット83がネジ27で取り付けられたユニットベースであり、97は機器の外装である。
【0039】ところで、この種のプロジェクタにおいては、スクリーンサイズや投写距離あるいは設置姿勢が変わると、上記で説明した集中角θ1および集中補正角θ2と、上下の投写角度である打ち上げ角、打ち上げ補正角(いずれも図示せず)を変更してスクリーンの中央と周辺のフォーカスを調整する必要がある。この投写レンズ28と投写管21との相対角度を変更するには以下の方法による。すなわち、投写レンズ28とスペーサブロック22を固定しているネジ27を緩めると、スペーサブロック22が移動自由になるので、スペーサブロック22に押え板23とスプリング25で固定されている投写管21の姿勢を自由に変更することができる。このとき、投写管21を投写レンズ28に対して所定の角度に設定するには間隔部材48の上下、または左右の厚さを所定の厚みのものに変更することにより行う。しかも、投写レンズ28の最終レンズ28bとスペーサブロック22とは調整パッキン47で両者が可動しても水密状態を保つようになっているので、冷却液32が漏れることはない。
【0040】この実施例2における投写装置は、プロジェクタ内の赤,緑,青の3ユニットを共通のスペーサブロック22で構成でき、しかもスクリーンサイズ、投写距離、設置姿勢が異なっても同一の投写装置で対応できる。
【0041】また、投写管21と投写レンズ28の姿勢を任意に変更できる構造であって、シール箇所を増やすことなく構成しているので、液漏れの危険性が増えない。しかも、スペーサブロック22を可動させる角度は小さいので両者の円周方向の間隔Lの変化量は微小であり、最終レンズ28bの円周方向に配置された調節パッキン47の圧縮代の変化も微小となる。この点でも液漏れの危険性が減り、また、部品点数も増えないのでコスト的にも有利である。
【0042】実施例3.図5は本発明の実施例3における投写装置を示す断面図である。図において図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。また、スペーサブロック22の構造、および投写管21が投写管パッキン29を介して水密状態で取り付けられているのは実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0043】投写レンズ28は複数枚のレンズ群をレンズ鏡筒28aで保持して構成されており、最も投写管21に近い最終レンズ28bの外周面28sには傾斜面28kが設けられている。また、前記スペーサブロック22の内壁面22sには最終レンズ28bの上記傾斜面28kと所定の間隔Lをもって傾斜面22kが設けられている。この最終レンズ28bとスペーサブロック22の両傾斜面28k,22kとの間に、シール部材として環状パッキン47を配設して両者を水密状態に保つ。このようにして投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31に、冷却液32をスペーサブロック22に設けられた注入口22wより充填する。
【0044】ダイヤフラム71の取付構造および作用も実施例1と同様であるので説明を省略する。また、投写レンズ28とスペーサブロック22とを所定の姿勢で保持する構造も実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0045】次に動作について説明する。通常のプロジェクタが3つの投写ユニット83から構成されていることや、その両側の投写ユニットにおいては、集中角θ1だけ傾斜させて配置し、且つ投写軸Pと管軸Kを集中補正角θ2だけ傾斜させて構成していることは従来例と同様である。また、スクリーンサイズや設置姿勢が変わると集中角θ1、集中補正角θ2なども変える必要があり、そのために投写レンズ28とスペーサブロック22との間で水密状態のまま可動させる構造は実施例2と同様でるので説明を省略する。
【0046】この実施例3における投写装置は、プロジェクタ内の赤,緑,青の3ユニットを共通のスペーサブロック22で構成でき、しかもスクリーンサイズ、投写距離、設置姿勢が異なっても同一の投写装置で対応できる。
【0047】また、投写管21と投写レンズ28の姿勢を任意に変更できる構造であって、シール箇所を増やすことなく構成しているので液漏れの危険性が増えない。しかも、スペーサブロック22を可動させる角度は小さいので両者の円周方向の間隔Lの変化量は微小であり、最終レンズ28bの円周方向に配置された調節パッキン47の圧縮代の変化も微小となる。この点でも液漏れの危険性が減り、また、部品点数も増えないのでコスト的にも有利である。
【0048】図6は実施例3の変形例を示す要部断面図である。図において、最終レンズ28bの外周面のコーナ部は曲率面28rに形成されており、一方のスペーサブロック22の内壁面には前記曲率面28rと所定の間隔Lをもって曲率面22rに形成されている。この最終レンズ28bとスペーサブロック22の両曲率面28r,22rとの間に、シール部材として環状パッキン47を装着し両者を水密状態に保つ構造でも同様の効果を奏する。
【0049】実施例4.図7は本発明の実施例4における投写装置を示す断面図である。図において図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。また、スペーサブロック22の構造、および投写管21が投写管パッキン29を介して水密状態で取り付けられていることも実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0050】投写レンズ28は複数枚のレンズ群をレンズ鏡筒28aで保持して構成されており、最も投写管21に近い最終レンズ28bの外周面28sが前記スペーサブロック22の内壁面22sと所定の間隔Lをもって配置される。当該最終レンズ28bの外周面28sとスペーサブロック22の内壁面22sとの間に、シール部材として環状の調節パッキン47を配設して両者を水密状態に保つ。このとき最終レンズ28bの外周凸部28tと鏡筒28aの最終レンズ取付円筒部28nとで形成された段部28dに調節パッキン47が装着される。このようにして投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31に、冷却液32をスペーサブロック22に設けられた注入口22wより充填する。
【0051】ダイヤフラム71の構成とその作用、および投写レンズ28とスペーサブロック22とを所定の姿勢で保持する構造も実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0052】次に動作について説明する。通常のプロジェクタが3つの投写ユニット83から構成されていることや、その両側の投写ユニットにおいては、集中角θ1だけ傾斜させて配置し、且つ投写軸Pと管軸Kを集中補正角θ2だけ傾斜させて構成していることは従来例と同様である。また、スクリーンサイズや設置姿勢が変わると集中角θ1、集中補正角θ2なども変える必要があり、そのために投写レンズ28とスペーサブロック22との間で水密状態のまま可動させる構造は実施例2と同様でるので説明を省略する。
【0053】この実施例4における投写装置は、プロジェクタ内の赤,緑,青の3ユニットを共通のスペーサブロック22で構成でき、しかもスクリーンサイズ、投写距離、設置姿勢が異なっても同一の投写装置で対応できる。
【0054】また、投写管21と投写レンズ28の姿勢を任意に変更できる構造であって、シール箇所を増やすことなく構成しているので液漏れの危険性が増えない。しかも、スペーサブロック22を可動させる角度は小さいので両者の円周方向の間隔Lの変化量は微小であり、最終レンズ28bの円周方向に配置された調節パッキン47の圧縮代の変化も微小となる。この点でも液漏れの危険性が減るり、また、部品点数も増えないのでコスト的にも有利である。
【0055】さらに、調節パッキン47の設置位置が前記最終レンズの段部28dから外れることがないので、シール箇所が一定し液漏れに対する信頼性を増す他、スペーサブロック22に投写レンズ28を挿入する際に調節パッキン47が外れることがなく組立て性が良くなる効果もある。
【0056】図8は実施例4の変形例を示す断面図である。図において、最終レンズ28bの外周面28sには環状の凹部28eが形成されている。この凹部28eに調節パッキン47を装着しても同様の効果を奏する。
【0057】また、図9は実施例4の他の変形例を示す要部断面図である。図において、スペーサブロック22の内壁面22sの所定の位置に段部22zが一体で形成されており、この段部22zに調節パッキン47を装着する構造でも同様の効果を奏する。
【0058】さらに、図10は実施例3と実施例4とを組み合わせた構成例を示す断面図である。図において最終レンズ28bの外周面28sに設けられた傾斜面28kと所定の間隔Lを隔てて配設されたスペーサブロック22の傾斜面22kにV字状の断部22zが形成されている。この断部22zに調節パッキン47を装着してスペーサブロック22と投写レンズ28を水密状態にする構造でも同様の効果を奏する。また、図示しないが、最終レンズ28b側にV字状の断部を形成しても良いし、あるいは、スペーサブロック22と最終レンズ28bの両方にV字状の断部を形成してもよい。
【0059】上記図10で示した変形例の構造ならスペーサブロック22を加工する時、アンダーカットにならないので成形性がよくなる利点も増える。
【0060】実施例5.図11は本発明の実施例5における投写装置を示す断面図である。図において図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。また、スペーサブロック22の構造、および投写管21が投写管パッキン29を介して水密状態で取り付けられていることは実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0061】投写レンズ28は複数枚のレンズ群をレンズ鏡筒28aで保持して構成されており、最も投写管21に近い最終レンズ28bの外周面28sが前記スペーサブロック22の内壁面22sと所定の間隔Lをもって配置される。当該最終レンズ28bの外周面28sとスペーサブロック22の内壁面22sとの間に、シール部材として環状の調節パッキン47を配設して両者を水密状態に保つ。このとき、調節パッキン47にはシール部47aの他に装着部47bが一体で形成されており、スペーサブロック22の内壁面22sの所定の位置に形成されてた装着溝22tに上記装着部47bを装着固定することで調節パッキン47を所定の位置に配置する。このようにして投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31に、冷却液32をスペーサブロック22に設けられた注入口22wより充填する。
【0062】また図示しないが、動作時と非動作時の冷却液32の体積変化を調節する構造および、投写レンズ28とスペーサブロック22とを所定の姿勢で保持する構造は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0063】次に動作について説明する。通常のプロジェクタが3つの投写ユニット83から構成されていることや、その両側の投写ユニットにおいては、集中角θ1だけ傾斜させて配置し、且つ投写軸Pと管軸Kを集中補正角θ2だけ傾斜させて構成しているは従来と同様である。また、スクリーンサイズや設置姿勢が変わると集中角θ1、集中補正角θ2なども変える必要があり、そのために投写レンズ28とスペーサブロック22との間で水密状態のまま可動させる構造は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0064】この実施例5における投写装置は、プロジェクタ内の赤,緑,青の3ユニットを共通のスペーサブロック22で構成でき、しかもスクリーンサイズ、投写距離、設置姿勢が異なっても同一の投写装置で対応できる。
【0065】また、投写管21と投写レンズ28の姿勢を任意に変更できる構造であって、シール箇所を増やすことなく構成しているので液漏れの危険性が増えない。しかも、スペーサブロック22を可動させる角度は小さいので両者の円周方向の間隔Lの変化量は微小であり、最終レンズ28bの円周方向に配置された調節パッキン47の圧縮代の変化も微小である。この点でも液漏れの危険性が減り、また、部品点数も増えないのでコスト的にも有利である。
【0066】されに、調節パッキン47の設置位置が調節パッキン47に一体で形成された装着部47bをスペーサブロック22の装着溝22tに取り付けて固定されるので、シール箇所が一定し液漏れに対する信頼性を増す。また、スペーサブロック22に投写レンズ28を挿入する際に調節パッキン47が外れることがなく組立て性が良くなる効果もある。
【0067】実施例6.図12は本発明の実施例6における投写装置を示す断面図である。図において図2と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。また、スペーサブロック22の構造、および投写管21が投写管パッキン29を介して水密状態で取り付けられていることは実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0068】投写レンズ28は複数枚のレンズ群をレンズ鏡筒28aで保持して構成されており、最も投写管21に近い最終レンズ28bの外周面28sが前記スペーサブロック22の内壁面22sと所定の間隔Lをもって配置される。当該最終レンズ28bの外周面28sとスペーサブロック22の内壁面22sとの間に、シール部材として環状の調節パッキン47を配設して両者を水密状態に保つ。このとき、調節パッキン47はスペーサブロック22の内壁面22sの所定の位置に設けられた段部22zに装着し、接着材49でスペーサブロック22に固定されている。このようにして投写管21と投写レンズ28およびスペーサブロック22で囲まれた空間31に、冷却液32をスペーサブロック22に設けられた注入口22wより充填する。
【0069】また図示しないが、動作時と非動作時の冷却液32の体積変化を調節する構造および、投写レンズ28とスペーサブロック22とを所定の姿勢で保持する構造は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0070】次に動作について説明する。通常のプロジェクタが3つの投写ユニット83から構成されていることや、その両側の投写ユニットにおいては、集中角θ1だけ傾斜させて配置し、且つ投写軸Pと管軸Kを集中補正角θ2だけ傾斜させて構成している従来例と同様である。また、スクリーンサイズや設置姿勢が変わると集中角θ1、集中補正角θ2なども変える必要があり、そのために投写レンズ28とスペーサブロック22との間で水密状態のまま可動させる構造は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0071】この実施例6における投写装置は、プロジェクタ内の赤,緑,青の3ユニットを共通のスペーサブロック22で構成でき、しかもスクリーンサイズ、投写距離、設置姿勢が異なっても同一の投写装置で対応できる。
【0072】また、投写管21と投写レンズ28の姿勢を任意に変更できる構造であって、シール箇所を増やすことなく構成しているので液漏れの危険性が増えない。しかも、スペーサブロック22を可動させる角度は小さいので両者の円周方向の間隔Lの変化量はも微小であり、最終レンズ28bの円周方向に配置された調節パッキン47の圧縮代の変化も微小となる。この点でも液漏れの危険性が減り、また、部品点数も増えないのでコスト的にも有利である。
【0073】さらに、調節パッキン47が所定の位置でスペーサブロック22の内壁面22sに接着固定されているのでシール箇所が一定し、液漏れに対する信頼性を増す。また、スペーサブロック22に投写レンズ28を挿入する際に調節パッキン47が外れることがなく組立て性が良くなる効果もある。
【0074】また、図示しないが、調節パッキン47を最終レンズ28b側に接着しても同様の効果を奏する。
【0075】図13は投写レンズ28とスペーサブロック22との他の締結手段と、投写管21の他の取付け手段の一例を示しており、図14はその斜視図である。図において,投写管21は、スペーサブロック22の環状溝22mに装着された投写管パッキン29を介して設置され、投写管バンド76でスペーサブロック22に水密状態で取り付けられる。すなわち、投写管バンドの環状部76aが投写管21のファンネル部21bに緩衝材としてのゴムシート77を介して当接し、ネジ27を投写管バンド76の脚部76bに通してスペーサブロック22のボス部22cにねじ込むことにより投写管21を固定する。一方、スペーサブロック22と投写レンズの鏡筒28aとは、間にバネ78を介してネジ27で締結され、投写管21と投写レンズ28とをバネ78の反発力を利用して任意の姿勢で連結する。
【0076】また、上記各実施例において、投写レンズ28の調節パッキン47が当接する面に金属酸化物等のコーティングを施して平面性を増してもよい。
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明によるプロジェクタの投写装置は スペーサブロックと投写レンズとの間をパッキンで水密状態に連結したので、投写管と投写レンズの相対位置を任意に変えられるため、同一の投写ユニットでスクリーンサイズや投写角の変化に対応できる。したがって、スペーサブロックを赤,緑,青の3種類、あるいはスクリーンサイズ毎や投写角毎に製作する必要がない。
【0078】また、投写管と投写レンズが可動できる従来品と比較して、冷却液のシール箇所が少ないので液洩れの危険箇所が少なり信頼性が増す他、部品点数が少なくなり、作業性も良くなるのでコスト低減になる。
【0079】また、冷却液を充填した状態で投写管と投写レンズとの相対角度、および距離を容易に変更できるので、投写位置やスクリーンサイズの変更に容易に対応できる。
【0080】また、スペーサブロックの内壁面と投写レンズの外周面との間を可動自在にシール部材でシールしたので、投写管と投写レンズの間隔が狭くても構成することができ設計裕度が増す。
【0081】さらに、可動時は円周方向に動くので投写レンズとスペーサブロックのすき間の変化量が少ない、したがって、シール部材の圧縮量も微小であるのでシール性が優れている。
【0082】環状の調節パッキンをスペーサブロックの内周面に形成した段部に接着し、この環状の調節パッキンで最終レンズの外周面との間を水密に封止するようにしたので、組立時に環状の調節パッキンが外れることがなく、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例2を示す断面図である。
【図3】実施例2の分解斜視図である。
【図4】3本の投写ユニットを設置した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施例3を示す断面図である。
【図6】実施例3の変形例を示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施例4を示す断面図である。
【図8】実施例4の変形例を示す断面図である。
【図9】実施例4の他の変形例を示す要部断面図である。
【図10】実施例3と実施例4を組み合わせた構成例を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例5を示す要部断面図である。
【図12】本発明の実施例6を示す要部断面図である。
【図13】投写レンズとスペーサブロックの他の締結手段と、投写管の他の取付け手段を示す断面図である。
【図14】投写レンズとスペーサブロックの他の締結手段と、投写管の他の取付け手段を示す斜視図である。
【図15】従来例の投写装置を示す断面図である。
【図16】従来例の投写装置を示す分解斜視図である。
【図17】他の従来例の投写装置を示す断面図である。
【図18】他の従来例の投写装置のシール部を示す要部断面図である。
【図19】プロジェクタの投写原理を示す図である。
【符号の説明】
21 投写管
21f フェース面
22 スペーサブロック
22k 傾斜面
22m 環状溝
22r 曲率面
22s 内壁面
22v 孔部
22z 段部
23 押さえ板
25 スプリング
27 ネジ
28 投写レンズ
28b 最終レンズ
28d 段部
28e 環状の奥凹部
28k 傾斜面
28n 最終レンズ取付円筒部
28r 曲率面
28s 外周面
28t 外周凸部
29 投写管パッキン
32 冷却液
47 環状の調節パッキン
48 間隔部材
49 接着材
73 ベース
83 投写ユニット
99 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 投写管と投写レンズの間に冷却液を充填して構成される投写装置において、前記投写管を水密状態に保持するとともに投写光を通過させる孔部が設けられたスペーサブロックと、投写レンズを構成する投写管側の最終レンズとの間を水密状態に封止するシール部材を具備し、スペーサブロックと投写レンズの間を可動自在に連結したことを特徴とする投写装置。
【請求項2】 投写管と投写レンズの間に冷却液を充填して構成される投写装置において、前記投写管を水密状態に保持するとともに投写光を通過させる孔部が設けられたスペーサブロックと、当該スペーサブロックの孔部の内壁面に所定の間隔をもって配置された投写レンズの最終レンズ外周面との間を水密状態に封止するシール部材を具備し、スペーサブロックと投写レンズの間を可動自在に連結したことを特徴とする投写装置。
【請求項3】 投写管と投写レンズの間に冷却液を充填して構成される投写装置において、前記投写管を水密状態に保持するとともに投写光を通過させる孔部が設けられたスペーサブロックであって、当該孔部のレンズ側に設けられた傾斜面、もしくは曲面と所定の間隔をもって配置された投写レンズの最終レンズ角面との間を水密状態に封止するシール部材を具備し、スペーサブロックと投写レンズの間を可動自在に連結したことを特徴とする投写装置。
【請求項4】 投写管と投写レンズの間に冷却液を充填して構成される投写装置において、前記投写管を水密状態に保持するとともに投写光を通過させる孔部が設けられたスペーサブロックと、当該スペーサブロックの孔部の内壁面に所定の間隔をもって配置された投写レンズの最終レンズ外周面との一方、もしくは両方に段部を設け、この段部に配置されたシール部材を具備し、スペーサブロックと投写レンズの間を水密状態に封止するとともにこれらを可動自在に連結したことを特徴とする投写装置。
【請求項5】 投写管と投写レンズの間に冷却液を充填して構成される投写装置において、前記投写管を水密状態に保持するとともに投写光を通過させる孔部が設けられたスペーサブロックと、当該スペーサブロックの孔部の内壁面に所定の間隔をもって配置された投写レンズの最終レンズ外周面との間にシール部材を具備し、このシール部材にはスペーサブロックと投写レンズを水密状態に封止するシール部とスペーサブロックまたは投写レンズのいずれかに固定できる装着部を有し、スペーサブロックと投写レンズの間を可動自在に連結したことを特徴とする投写装置。
【請求項6】 投写管と投写レンズの間に冷却液を充填して構成される投写装置において、前記投写管を水密状態に保持するとともに投写光を通過させる孔部が設けられたスペーサブロックと、当該スペーサブロックの孔部の内壁面に所定の間隔をもって配置された投写レンズの最終レンズ外側面との間を水密状態に封止するシール部材を具備し、このシール部材のいずれか一方の当接面を接着固定した構造で、スペーサブロックと投写レンズの間を可動自在に連結したことを特徴とする投写装置。

【図1】
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【図2】
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【図18】
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【図19】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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