説明

投影型表示装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スクリーン面にカラー画像を投影表示する投影型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、液晶表示パネルまたは陰極線管等の表示体を用いてテレビジョン画像等の画像を表示させ、この表示体の表示画像を投影レンズによりスクリーン面に拡大投影してスクリーン面に大画面の画像を表示する投影型表示装置が開発されている。
【0003】しかし、一般に知られている投影型表示装置は、表示体の表示画像をそのまま拡大してスクリーン面に投影するものであるため、スクリーン面に投影された画像が、1つ1つの画素が大きく拡大された荒れた画像となり、特に赤、緑、青の三原色画素が交互に並ぶカラー画像を表示する表示体の表示画像をスクリーン面に投影する投影型表示装置の場合は、スクリーン面に拡大投影された画像が、赤、緑、青の画素が目立つ見づらい画像となってしまうという問題をもっていた。
【0004】このため、従来から、表示体が表示するカラー画像を2つの画像に分割してスクリーン面に投影し、この2つのカラー画像をスクリーン面において互いにずらして重ね合せて1つのカラー画像を合成する投影型表示装置が提案されている(特開昭59−122291号公報参照)。
【0005】この投影型表示装置は、カラー画像を表示するカラー陰極線管の前面にプリズム板を配置して、カラー陰極線管の表示面の各点からの光をそれぞれプリズム板により2方向の光に分割し、この2方向の光を投影レンズによってスクリーン面に投影するようにしたもので、カラー陰極線管が表示するカラー画像は、プリズム板の光分割作用によって2つの画像(同一画像)に分割され、この2つの画像がスクリーン面に結像する。
【0006】したがって、その第1の画像と第2の画像とを、その両方の画素が互いにずれて重なり、かつ同色の画素同士が重なり合わないようなずれ量をもたせてスクリーン面に結像させるようにしておけば、第1の画像と第2の画像とをスクリーン面で重ね合せた合成画像の画素列数が、カラー陰極線管が表示するカラー画像の画素列数の2倍となって合成画像の画素幅が小さくなるから、スクリーン面に表示される合成画像を、1つ1つの画素が目立たない見やすい画像にすることができる。
【0007】なお、スクリーン面に結像する第1の画像と第2の画像とのずれ量は、カラー陰極線管の表示画像をそのままスクリーン面に拡大投影した場合における赤、緑、青の3個1組の画素ピッチに満たない範囲であればよいとされており、この程度のずれ量であれば、同一の画像を2つずらして重ねてもその合成画像に歪みが生ずることはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は、第1の画像と第2の画像とのスクリーン面におけるずれ量を、その両方の画素が互いにずれて重なり、かつ同色の画素同士が重なり合わない範囲にすればよいとしているだけであるために、第1の画像と第2の画像との画素同士の重なり幅つまり合成画像の画素幅にばらつきがあり、そのために、幅の大きな画素の色が強く、幅の小さな画素の色が弱くなって、その結果スクリーン面に表示される合成画像に色むらが生じるという問題をもっていた。
【0009】本発明は上記のような実情にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、表示体が表示するカラー画像を2つの画像に分割してスクリーン面に投影し、この2つの画像をスクリーン面において互いにずらして重ね合せて1つのカラー画像を合成するようにしたものでありながら、スクリーン面に結像する第1の画像と第2の画像との画素同士の重なりによってつくられる合成画像の画素幅をバランスさせて、色むらのない高品質の合成画像を表示することができる投影型表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、表示体からスクリーン面への投影光路中に、表示体が表示するカラー画像の三原色画素の並び方向に対して直交するストライプ状のプリズム部を複数本その幅方向に連続させて形成したプリズム板を配置し、かつこのプリズム板の各プリズム部を、前記表示体からの画像光を2方向の光に分割する断面三角形のプリズム部とするとともに、この各プリズム部の傾斜面の傾斜角度を、このプリズム部で分割された2方向の光のスクリーン面におけるずれ量がスクリーン面に結像する画素幅のほぼ3/2となる角度としたものである。
【0011】
【作用】すなわち、本発明の投影型表示装置は、前記表示体からの画像光をプリズム板の各プリズム部によって2方向の光に分割することにより、表示体が表示するカラー画像を2つの画像に分割してスクリーン面に投影するとともに、前記プリズム板の各プリズム部の傾斜面の傾斜角度を上記のように設定することにより、スクリーン面に結像する第1の画像と第2の画像とが、スクリーン面に結像する画素幅のほぼ3/2のずれ量をもって重なり合うようにしたものであり、このようにすれば、第1の画像と第2の画像との異なる色の画素同士が全て画素幅のほぼ1/2ずつ重なり合うから、スクリーン面に結像する第1の画像と第2の画像との画素同士の重なりによってつくられる合成画像の画素幅をバランスさせて、色むらのない高品質の合成画像を表示することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、表示体として液晶表示パネルを使用する投影型表示装置について図面に基づき説明する。
【0013】図1は投影型表示装置の全体を示す平面図である。図1において、図中1は赤、緑、青の画素が交互に並ぶカラー画像(この実施例ではフルカラー画像)を表示するマトリクス型液晶表示パネルである。
【0014】このマトリクス型液晶表示パネル1には、赤、緑、青の各カラー画素R,G,Bがそれぞれ垂直なストライプ状に並ぶ図4(a)に示すような画素配列パターンのカラー画像aを表示する単純ストライプ型のものと、赤、緑、青のドット状カラー画素R,G,Bが水平方向(行方向)および垂直方向(列方向)に交互に並ぶ図4(b)に示すような画素配列パターンのカラー画像aを表示するドット型ものとがある。また、ドット型の液晶表示パネルには、図4(b)に示した画素配列パターンのものの他に、奇数行と偶数行の各画素R,G,Bを互いに1/2ピッチずらした画素配列パターンのものもある。
【0015】また、図1において、2は前記液晶表示パネルの後方に配置された光源であり、この光源2は、光源ランプ3と、この光源ランプ3からの光を液晶表示パネル1に向けて反射させるリフレクタ4とからなっており、リフレクタ4は、光源ランプ3からの放射光をリフレクタ光軸に平行な平行光として反射させる放物面鏡リフレクタとされている。
【0016】5は液晶表示パネル1の前方に配置された大口径の集光レンズ、6はこの集光レンズ5の前方に配置された投影レンズであり、光源2から液晶表示パネルに1に向けて照射されてこの液晶表示パネル1を透過した光、つまり液晶表示パネル1の表示画像光は、集光レンズ5によって投影レンズ6の集光され、この投影レンズ6によってその前方に配置されたスクリーンS面に拡大投影される。なお、このスクリーンSは、反射型のものでも透過型のものでもよい。
【0017】一方、図1において、7は液晶表示パネル1と集光レンズ5との間に配置されたプリズム板であり、このプリズム板7は、液晶表示パネル1に近接させてこの液晶表示パネル1の表示面(光出射面)と平行に配置されている。
【0018】このプリズム板7は、前記液晶表示パネル1が表示するカラー画像aの三原色画素R,G,Bの並び方向に対して直交する垂直ストライプ状のプリズム部8を複数本その幅方向に連続させて形成したもので、この実施例では、上記プリズム板7として、図6(a)に示すように、光屈折率の異なる2枚の透明板を7a,7bを密着させてその境界面にプリズム部8を形成したものか、あるいは図6(b)に示すように、1枚の透明板の一面にプリズム部8を形成したものを使用している。
【0019】また、このプリズム板7の各プリズム部8は、前記液晶表示パネル1からの画像光を2方向の光に分割するように断面三角形のプリズム部とされており、この各プリズム部8の傾斜面の傾斜角度は、このプリズム部8で分割された2方向の光のスクリーンS面におけるずれ量がスクリーンS面に結像する画素幅のほぼ3/2となる角度に設定されている。
【0020】この投影型表示装置は、液晶表示パネル1からの画像光を前記プリズム板7の各プリズム部8によって2方向の光に分割することにより、液晶表示パネル1が表示するカラー画像を2つの画像に分割し、この2つのカラー画像を投影レンズ6によりスクリーンS面に同一の拡大率で拡大投影するもので、プリズム板7はその各プリズム部8を垂直ストライプ状に形成したものであるため、液晶表示パネル1からのカラー画像は、プリズム板7によって水平方向にずれた第1と第2の2つの画像に分割され、第1の画像A1 は図1に実線で示した経路でスクリーンS面に結像し、第2の画像A2 は図1に破線で示した経路でスクリーンS面に結像する。
【0021】そして、前記プリズム板7の各プリズム部8の傾斜面の傾斜角度は上記のように設定されているから、スクリーンS面に結像する第1の画素A1と第2の画像A2 とは、スクリーンS面において、このスクリーンS面に結像する画素幅(第1の画像A1 および第2の画像A2 の1つの画素の幅)のほぼ3/2だけ水平方向にずれて図2および図3に示すように重なり合うことになり、したがってスクリーンS面には、第1の画像A1 と第2の画像A2 との異なる色の画素同士が全て画素幅のほぼ1/2ずつ重なり合った合成画像Aが表示される。
【0022】この合成画像Aは、スクリーン面に結像する第1の画像と第2の画像との異なる色の画素同士(赤色画素Rと緑色画素G、赤色画素Rと青色画素B、緑色画素Gと青色画素B)の重なりによってつくられる赤と緑の中間色の黄色画素Yと、赤と青の中間色のマゼンタ色画素Mと、緑と青の中間色のシアン色画素Cとが交互に並んだ画素配列パターンの画像となる。
【0023】なお、合成画像Aの画素が中間色の画素Y,M,Cとなるのは、合成画像の各画素をつくる2つの色の原色画素がいずれも液晶表示パネル1において表示されている場合であり、液晶表示パネル1において2つの色の原色画素の一方だけしか表示されていない場合は合成画像の画素は赤、緑、青のいずれかの原色画素となり、また液晶表示パネル1において2つの色の原色画素の両方が無表示となっている場合は、合成画像の画素は黒となる。
【0024】図5(a),(b)は、液晶表示パネル1の画面全体に白を表示させたとき(全ての色の画素を表示させたとき)にスクリーンS面に表示される合成画像の画素配列パターンを示したもので、液晶表示パネル1が図4(a)に示すような画素配列パターンのカラー画像aを表示する単純ストライプ型のものの場合は、上記合成画像Aは黄、マゼンタ、シアンの各カラー画素Y,M,Cが垂直なストライプ状に並ぶ図5(a)に示すような画素配列パターンの画像となり、液晶表示パネル1が図4(b)に示すような画素配列パターンのカラー画像aを表示するドット型のものの場合は、上記合成画像Aは黄、マゼンタ、シアンの各カラー画素Y,M,Cが水平方向(行方向)および垂直方向(列方向)に交互に並ぶ図5(b)に示すような画素配列パターンの画像となる。
【0025】また、ドット型の液晶表示パネルには、図4R>4(b)に示した画素配列パターンのものの他に、奇数行と偶数行の各画素R,G,Bを互いに1/2ピッチずらした画素配列パターンのものもあるが、この液晶表示パネルを表示体とした場合は、合成画像Aの画素配列パターンは、図5(b)の画素配列パターンの奇数行と偶数行の各画素Y,M,Cを互いに1/2ピッチずらしたパターンとなる。
【0026】なお、第1の画像A1 の一側縁の3/2画素幅に相当する部分と、第2の画像A2 の他側縁の3/2画素幅に相当する部分とは重なり合わないために、上記合成画像Aの両側縁の2つずつの画素列は、赤、緑、青のうちの1つの原色画素となる。ただし、この2つずつの画素列のうち外側の画素の幅は上記中間色画素Y,M,Cの幅2倍であるが、内側の画素の幅は、中間色画素Y,M,Cの幅と同じである。
【0027】しかして、上記投影型表示装置においては、液晶表示パネル1が表示するカラー画像をプリズム板7によって2つの画像に分割し、この2つの画像を互いにずらしてスクリーンS面で重ねて合成することにより、赤、緑、青の三原色画素のうちの異なる色の2つの画素の重なりでつくられる画素が交互に並んだ画素配列パターンのカラー画像をスクリーンS面に表示するようにしているから、スクリーン面の合成画像Aの各画素Y,M,Cの幅を小さくすることができるし、また液晶表示パネル1が白を表示したときは、合成画像の画素が赤、緑、青の三原色に比べて純色度がない中間色(黄、マゼンタ、シアン)となるために、スクリーンS面の合成画像Aを、1つ1つの画素が目立たない見やすい画像とすることができる。
【0028】なお、液晶表示パネル1が合成画像の各画素をつくる2つの色の原色画素の一方だけしか表示しない場合は、合成画像の画素は赤、緑、青のいずれかの原色画素となるが、この場合は、上記原色画素の横にその半分の幅の黒色部ができるから、この場合も合成画像Aは見やすい画像となる。
【0029】そして、上記投影型表示装置では、液晶表示パネル1からの画像光を2方向の光に分割するプリズム板7の各プリズム部8の傾斜面の傾斜角度を、このプリズム部8で分割された2方向の光のスクリーンS面におけるずれ量がスクリーンS面に結像する画素幅のほぼ3/2となる角度としているために、スクリーンS面に結像する第1の画像A1 と第2の画像A2 とが、スクリーンS面に結像する画素幅のほぼ3/2のずれ量をもって重なり合うことになる。
【0030】したがって、この投影型表示装置によれば、第1の画像A1 と第2の画像A2との異なる色の画素同士が全て画素幅のほぼ1/2ずつ重なり合うから、スクリーンS面に結像する第1の画像A1 と第2の画像A2 との画素同士の重なりによってつくられる合成画像Aの画素幅を全てほぼ均一な幅にバランスさせて、色むらのない高品質の合成画像を表示することができる。
【0031】なお、液晶表示パネル1からの画像光を2方向の光に分割するプリズム板7の各プリズム部8の幅および本数は基本的には任意でよいが、プリズム部8の幅が大きいと、プリズム板7の各プリズム部8の形が筋模様となってスクリーンS面に現われるから、この投影型表示装置では、プリズム板7の各プリズム部8の幅を、液晶表示パネル1のある1点から出射した光線がプリズム板7に入射するときの広がりの幅よりも小さい幅(望ましくは光線の広がり幅の1/2以下)として、各プリズム部8を微小ピッチで配列形成している。
【0032】また、液晶表示パネル1が表示するカラー画像を上記プリズム板7によって2つの画像に分割する場合、この分割された2つの画像A1 ,A2 の明るさに差ができると、この2つの画像A1 ,A2 をスクリーンS面で重ねてつくられる合成画像Aに輝度むらが発生するから、この投影型表示装置では、上記プリズム部8をその両側の傾斜面の傾斜角度が等しい対称形もしくはそれに近い形状として、分割された2つの画像A1 ,A2の明るさに差ができるのを防いでいる。
【0033】次に、上記プリズム板7のプリズム部8の傾斜面の傾斜角度について説明する。図7はプリズム板7のプリズム部8で分割された2方向の光の虚像が結像する点を示したもので、液晶表示パネル1面の1点Oからプリズム板7に入射した光は、このプリズム板7のプリズム部8により図示のように2方向の光に分割され、この2方向の光の虚像がそれぞれO′a ,O′b の点に結像する。
【0034】ここで、プリズム部8をその両側の傾斜面の傾斜角度αが等しい対称形のものとすると、2つの虚像の結像点O′a ,O′b は液晶表示パネル1面の点Oからそれぞれ距離bだけずれた位置にあり、したがって2つの虚像結像点O′a ,O′b 間の距離つまりずれ量は2dである。
【0035】そして、プリズム板7で分割された第1の画像A1 と第2の画像A2 とを、その画素幅のほぼ3/2のずれ量をもって重なり合うようにスクリーンS面に結像させるためには、液晶表示パネル1面の点Oに対する各虚像結像点O′a ,O′b のそれぞれのずれ量dが、この虚像結像点O′a ,O′b を通る線上に結合するカラー画像(虚像)の画素幅のほぼ3/4(虚像結像点O′a ,O′b 間のずれ量2dが画素幅のほぼ3/2)になるようにプリズム部8の傾斜面の傾斜角度αを選べばよく、この傾斜角度αは次のようにして求めることができる。
【0036】まず、図8に示すように、点Oからプリズム部8に斜めに入射した光の虚像の結像点O′について考える。なお図8において、θはプリズム部8に入射する主光線の光水平線に対する角度、Lはプリズム部8の主光線入射点Pと点Oとの間の距離、L′はプリズム部8の光入射点と虚像結像点O′との間の距離、iはプリズム部8に対する光入射角、i′はプリズム部8の傾斜面で屈折されてプリズム部8を透過する光の屈折角、Δiは点Oからの光の拡がり角、Δi′は虚像結像点O′への光の集光角であり、またnはプリズム部8に入射する光が通る媒体(ここでは空気)の光屈折率、n′はプリズム板7の光屈折率を示している。図8より、i=θ+αであり、したがってスネルの法則により、i′= sin-1(n′/n sini)
θ′=i′−αである。ここで、プリズム部8に入射する光の幅に相当する辺wと点Oを含む三角形について考えると、正弦定理により、Δiが十分に小さいとすると、
【0037】
【数1】


同様に、上記辺wと点O′を含む三角形について考えると、
【0038】
【数2】


スネルの法則、n sini=n′ sini′の両辺をi′で微分すると、
【0039】
【数3】


よってΔi/Δi′=di/di′とすると、
【0040】
【数4】


したがってずれ量dは、
【0041】
【数5】


となる。
【0042】そして、プリズム板7が図6(a)に示したものである場合は、図9に示すように3つの屈折面、つまり入射面(傾斜角度0゜)と、プリズム部8の傾斜面(傾斜角度α1 ゜)と、出射面(傾斜角度0゜)とについて、L1 =L0 +t1 2 =L1 +t2 θ1 =θ0 ′ θ2 =θ1 ′ n0 ′=n11 ′=n2 2 ′=n0
【0043】として、上記3つの屈折面において屈折された光の仮想の虚像結像点と点Oとのずれ量d0 ,d1 ,d2 を前述した解法により求めると、全体としてのずれ両dは、d=d0 +d1 +d2となり、このdの値が画素幅のほぼ3/4(2dが画素幅のほぼ3/2)になるようにプリズム部の傾斜面の傾き角度α1 を決定すればよい。また、n1 =n0 またはn2 =n0 とすれば、図6(b)に示したプリズム板7となる。
【0044】なお、図6(a),(b)に示したプリズム板7は、そのいずれの面を液晶表示パネル1側に対向させて配置してもよい。また、プリズム板7は、図10に示すように、プリズム部形成面と反対面に図1に示した集光レンズ5に代わるサーキュラフレネルレンズ9を形成したものとしてもよく、この場合もプリズム板7はそのいずれの面を液晶表示パネル1側に対向させて配置してもよい。
【0045】また上記実施例では、プリズム板7を液晶表示パネル1に近接させて配置しているが、このプリズム板7は、液晶表示パネル1からスクリーンS面への投影光路中であれば、例えば図11に示すようにスクリーンS面に配置するなど、どのような位置に配置してもよい。ただし、この場合は、プリズム板7の光入射側に、入射光を平行光にしてプリズム板7に入射させるフレネルレンズ等を設けておくのが望ましい。
【0046】なお、上記実施例では、液晶表示パネル1を表示体とする投影型表示装置について説明したが、本発明は、カラー陰極線管等を表示体とする投影型表示装置にも適用できることはもちろんである。
【0047】
【発明の効果】本発明の投影型表示装置は、表示体からスクリーン面への投影光路中に、表示体が表示するカラー画像の三原色画素の並び方向に対して直交するストライプ状のプリズム部を複数本その幅方向に連続させて形成したプリズム板を配置し、かつこのプリズム板の各プリズム部を、前記表示体からの画像光を2方向の光に分割する断面三角形のプリズム部とするとともに、この各プリズム部の傾斜面の傾斜角度を、このプリズム部で分割された2方向の光のスクリーン面におけるずれ量がスクリーン面に結像する画素幅のほぼ3/2となる角度としたものであるから、表示体が表示するカラー画像を2つの画像に分割してスクリーン面に投影し、この2つの画像をスクリーン面において互いにずらして重ね合せて1つのカラー画像を合成するようにしたものでありながら、スクリーン面に結像する第1の画像と第2の画像との画素同士の重なりによってつくられる合成画像の画素幅をバランスさせて、色むらのない高品質の合成画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による投影型表示装置の原理構成を示す平面図。
【図2】図1のII部分における2つの結像画像の画素の重なり状態を示す拡大図。
【図3】図1のII部分をスクリーン正面側から見た拡大図。
【図4】液晶表示パネルの表示画像の画素配列パターン図。
【図5】スクリーン面に表示される合成画像の画素配列パターン図。
【図6】プリズム板の一部分の拡大断面図。
【図7】プリズム板による光の分割状態を示す図。
【図8】分割された光のずれ量を説明するための解析図。
【図9】分割された光のずれ量を説明するための解析図。
【図10】本発明の他の実施例を示すプリズム板の平面図。
【図11】本発明の他の実施例を示すプリズム板の平面図。
【符号の説明】
1…液晶表示パネル、2…光源、5…集光レンズ、6…投影レンズ、7…プリズム板、8…プリズム部、S…スクリーン、A…合成画像、A1 …第1の画像、A2 …第2の画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 赤、緑、青の三原色画素が交互に並ぶカラー画像を表示する表示体の表示画像をスクリーン面に投影する投影型表示装置において、前記表示体からスクリーン面への投影光路中に、前記カラー画像の三原色画素の並び方向に対して直交するストライプ状のプリズム部を複数本その幅方向に連続させて形成したプリズム板を配置し、かつこのプリズム板の各プリズム部を、前記表示体からの画像光を2方向の光に分割する断面三角形のプリズム部とするとともに、この各プリズム部の傾斜面の傾斜角度を、このプリズム部で分割された2方向の光のスクリーン面におけるずれ量がスクリーン面に結像する画素幅のほぼ3/2となる角度としたことを特徴とする投影型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【特許番号】第2541410号
【登録日】平成8年(1996)7月25日
【発行日】平成8年(1996)10月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−307660
【出願変更の表示】実願昭62−178615の変更
【出願日】昭和62年(1987)11月24日
【公開番号】特開平5−40245
【公開日】平成5年(1993)2月19日
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)