説明

抗VEGF治療によって治療された患者におけるタンパク尿の初期マーカー

本願は、療法(例えば、ベバシズマブ療法などの抗VEGF療法)を受けているヒトがタンパク尿を発症しているかまたは発症するリスクがあるかどうか確認することに関する方法および材料を提供する。例えば、抗VEGF療法を受けているヒトにタンパク尿または腎損傷があるかまたはそれを発症するリスクがあるかどうか確認するために、尿中糸球体上皮細胞を検出するための方法および材料が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年12月21日に出願された米国特許仮出願第61/288,514号の恩典を主張する。先願の開示は本願の開示の一部とみなされる(参照として本願の開示に組み入れられる)。
【0002】
背景
1.技術分野
本願は、抗VEGF療法を受けているヒトに糸球体上皮細胞尿(podocyturia)(例えば、糸球体上皮細胞(podocyte)の尿中排出)があるかどうか確認することに関与する方法および材料に関する。例えば、本願は、ヒトがタンパク尿もしくは腎損傷を発症しているかまたは発症するリスクがあるかどうか確認するために、抗VEGF療法を受けているヒト由来の尿試料中の糸球体上皮細胞の有無を検出するための方法および材料を提供する。
【背景技術】
【0003】
2.背景情報
血管形成は、悪性腫瘍の成長、浸潤、および転移において重要な役割を有する。癌治療へのアプローチとしての血管形成阻害剤の使用は癌療法の分野においてかなり進展してきた。血管内皮増殖因子(VEGF)シグナル伝達経路を標的とする薬剤が臨床開発において進歩している。しかしながら、抗VEGF療法を受けている癌患者の約30%における副作用がタンパク尿である(24時間尿試料中の総タンパク質が>300mgである)。タンパク尿は、腎毒性につながる、糸球体内皮症(glomerular endotheliosis)の特徴的な腎臓病理学的変化と関連づけられることがある。抗VEGF療法の一例は、ヒト化組換え抗VEGFモノクローナル抗体であるベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。
【発明の概要】
【0004】
概要
本願は、抗VEGF療法(例えば、ベバシズマブ)を受けているヒトがタンパク尿を発症しているかまたはタンパク尿を発症するリスクがあるかどうか確認することに関連した方法および材料を提供する。例えば、本願は、抗VEGF療法を受けているヒトに、糸球体上皮細胞尿により示されるようなタンパク尿もしくは腎損傷があるかまたはそれを発症するリスクがあるかどうか確認するために、尿中糸球体上皮細胞を検出するための方法および材料を提供する。糸球体上皮細胞尿のある患者を特定することで、薬物の臨床使用の結果として毒性を有するかまたは毒性を発症するリスクのあるこのような患者を、効果的に治療することができる。さらに、糸球体上皮細胞尿のない患者を特定することで、不必要な抗VEGF療法中止を避けることができる。本明細書に記載のように、尿中糸球体上皮細胞の存在を使用して、抗VEGF療法を受けているヒトを、糸球体上皮細胞尿により示されるようなタンパク尿があるかまたはそれを発症するリスクがあると特定することができる。
【0005】
一般的に、本願の1つの局面は、タンパク尿または腎損傷を発症するリスクについて、抗VEGF療法を受けているヒトを評価するための方法を特徴とする。前記方法は、抗VEGF療法を受けているヒト由来の尿試料が、尿中糸球体上皮細胞もしくは尿中糸球体上皮細胞の形跡(例えば、糸球体上皮細胞の残遺物)を含有するかどうかを確認する工程を含むかまたはその工程から本質的になる。このような糸球体上皮細胞の存在は、そのヒトにタンパク尿を発症するリスクがあることを示す。
【0006】
別の局面において、本願は、タンパク尿について、抗VEGF療法を受けているヒトを評価するための方法を特徴とする。前記方法は、抗VEGF療法を受けているヒト由来の尿試料が、尿中糸球体上皮細胞もしくは尿中糸球体上皮細胞の形跡(例えば、糸球体上皮細胞の残遺物)を含有するかどうかを確認する工程を含むかまたはその工程から本質的になる。このような糸球体上皮細胞の存在は、そのヒトにタンパク尿があることを示す。
【0007】
別の態様において、本願は、タンパク尿について、抗VEGF療法を受けているヒトを評価するための方法について述べる。ここで、タンパク尿の検出は腎損傷を証明する。
【0008】
抗VEGF療法は、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、ソラフェニブ療法、または他の公知のもしくは有効な療法でもよい。療法はモノクローナル抗体療法またはポリクローナル抗体療法でもよい。
【0009】
別の局面において、抗VEGF療法について本明細書に記載するように、抗VEGF療法の代わりにまたは抗VEGF療法に加えて、抗上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)療法を受けているヒトを、タンパク尿について、またはタンパク尿もしくは腎損傷を発症するリスクについて、評価することができる。
【0010】
場合によっては、糸球体上皮細胞は、例えば、ポドシンなどの糸球体上皮細胞によって発現されるタンパク質に対する抗体を用いて尿試料中に検出することができる。場合によっては、抗体は、ポドカリキシンポリペプチド、ネフリンポリペプチド、またはシナプトポジン(synaptopodin)ポリペプチドに対する抗体でもよい。糸球体上皮細胞またはその断片は、細胞染色法、免疫細胞化学法、およびフローサイトメトリーを含むが、それに限定されるわけではない任意の適切な方法を用いて、例えば、抗ポドシン抗体を用いて検出することができる。
【0011】
別の局面において、本願は、タンパク尿を発症するリスクについて、抗VEGF療法を受けたことのあるヒトを評価するための方法を特徴とする。前記方法は、抗VEGF療法を受けているヒト由来の尿試料が、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞または1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の形跡を含有するかどうか確認する工程を含むかまたはこの工程から本質的になり、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞またはその形跡の存在は、そのヒトにタンパク尿を発症するリスクがあることを示す。抗VEGF療法は、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法からなる群より選択することができる。確認する工程は、抗体を用いて、糸球体上皮細胞を検出する工程を含んでもよい。確認する工程は、フローサイトメトリーを用いて、糸球体上皮細胞を検出する工程を含んでもよい。抗体は抗ポドシン抗体でもよい。前記方法は、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の存在を検出する工程を含んでもよい。前記方法は、少なくとも部分的に1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の存在に基づいて、タンパク尿を発症するリスクがあるとして哺乳動物を分類する工程を含んでもよい。前記方法は、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の非存在を検出する工程を含んでもよい。前記方法は、少なくとも部分的に1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の非存在に基づいて、タンパク尿を発症するリスクがないとして哺乳動物を分類する工程を含んでもよい。ヒトは妊娠していないヒトでもよい。前記方法は、尿試料が、1つの強拡大顕微鏡視野(400X)につき、約3個より多い、またはそれより多いレベルの尿中糸球体上皮細胞(例えば、3個より多い、4個より多い、5個より多い、6個より多い、7個より多い、8個より多い、9個より多い、10個より多い、11個より多い、12個より多い、13個より多い、14個より多い、15個より多い、またはそれより多い尿中糸球体上皮細胞)を含有するかどうか確認する工程を含んでもよい。
【0012】
別の局面において、本願は、タンパク尿についてまたはタンパク尿を発症するリスクについて、抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けたことのあるヒトを評価するための方法を特徴とする。前記方法は、抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けているヒト由来の尿試料が、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞または1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の形跡を含有するかどうか確認する工程、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞またはその形跡が尿試料中に存在すれば、タンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあるとしてヒトを分類する工程、および1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞およびその形跡が尿試料中に存在しなければ、タンパク尿もなく、タンパク尿を発症するリスクもないとしてヒトを分類する工程を含むか、あるいはこれらの工程から本質的になる。ヒトは、抗VEGF療法を受けたヒトでもよい。抗VEGF療法は、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法からなる群より選択することができる。確認する工程は、抗体を用いて、糸球体上皮細胞を検出する工程を含んでもよい。抗体は抗ポドシン抗体でもよい。確認する工程は、フローサイトメトリーを用いて、糸球体上皮細胞を検出する工程を含んでもよい。前記方法は、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の存在を検出する工程を含んでもよい。前記方法は、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の非存在を検出する工程を含んでもよい。ヒトは妊娠していないヒトでもよい。前記方法は、尿試料が、1つの強拡大顕微鏡視野(400X)につき、約3個より多い、またはそれより多いレベルの尿中糸球体上皮細胞(例えば、3個より多い、4個より多い、5個より多い、6個より多い、7個より多い、8個より多い、9個より多い、10個より多い、11個より多い、12個より多い、13個より多い、14個より多い、15個より多い、またはそれより多い尿中糸球体上皮細胞)を含有するかどうか確認する工程を含んでもよい。
【0013】
別の局面において、本願は、抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けたことのあるヒトに、タンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあると特定するための方法を特徴とする。前記方法は、抗VEGF療法もしくは抗EGFR療法を受けたヒトの尿試料中の1つもしくは複数の糸球体上皮細胞の存在を検出する工程、および少なくとも部分的に糸球体上皮細胞の存在に基づいて、タンパク尿があるかもしくはタンパク尿を発症するリスクがあるとしてヒトを分類する工程を含むかまたはこれらの工程から本質的になる。ヒトは、抗VEGF療法を受けたヒトでもよい。抗VEGF療法は、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法からなる群より選択することができる。検出する工程は、抗体を用いて、1つもしくは複数の糸球体上皮細胞を検出する工程を含んでもよい。抗体は抗ポドシン抗体でもよい。検出する工程は、フローサイトメトリーを用いて、1つもしくは複数の糸球体上皮細胞を検出する工程を含んでもよい。ヒトは妊娠していないヒトでもよい。尿試料中の1つもしくは複数の糸球体上皮細胞の存在は、1つもしくは複数の糸球体上皮細胞の残遺物の存在を検出することによって検出することができる。前記方法は、尿試料が、1つの強拡大顕微鏡視野(400X)につき、約3個より多い、またはそれより多いレベルの尿中糸球体上皮細胞(例えば、3個より多い、4個より多い、5個より多い、6より多い、7より多い、8より多い、9より多い、10より多い、11より多い、12より多い、13より多い、14より多い、15より多い、またはそれより多い尿中糸球体上皮細胞)を含有するかどうか確認する工程を含んでもよい。
【0014】
特に定義のない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明を実施するために、本明細書に記載のものと同様のまたは等価な方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料を下記で説明する。本明細書で述べた全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全てが参照として組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は例示のためだけであり、限定することは意図していない。
【0015】
本発明の1つまたは複数の態様の詳細が添付の図面および以下の説明において示される。本発明の他の特徴、目的、および利点は説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コラーゲンコーティングスライド上にプレートされ、24時間培養され、ポドシン免疫反応性があるかどうか染色された尿中細胞の写真を掲載する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本願は、抗VEGF療法を受けたヒトまたは抗VEGF療法を受けているヒトが、糸球体上皮細胞尿により示されるようなタンパク尿を発症しているかまたは発症するリスクがあるかどうか確認するための方法および材料を提供する。例えば、本願は、抗VEGF療法によって治療されたヒト(例えば、非妊娠の癌患者)に高レベルの尿中糸球体上皮細胞があるかどうか確認するための方法および材料を提供し、高レベルの尿中糸球体上皮細胞は、ヒトがタンパク尿を発症しているかまたは発症するリスクがあることを示す。本明細書において開示されるように、ヒトの尿中での1つもしくは複数の糸球体上皮細胞または糸球体上皮細胞の形跡(例えば、糸球体上皮細胞の残遺物)の検出は、ヒトがタンパク尿を発症しているかまたは発症するリスクがあることを示す。タンパク尿の存在は、ヒトが腎損傷を経験しているかまたは腎損傷を発症するリスクがあることを示している可能性がある。重篤なタンパク尿はネフローゼ症候群を示している可能性がある。
【0018】
本明細書に提供する方法および材料は、抗VEGF療法、抗EGFR療法、または抗VEGF療法および抗EGFR療法の組み合わせを受けたまたは受けている任意のタイプのヒトを評価するのに使用することができる。例えば、本明細書に提供する方法および材料は、タンパク尿についてまたはタンパク尿を発症するリスクについて男性または女性のヒトを評価するのに使用することができる。場合によっては、本明細書に提供する方法および材料は、タンパク尿についてまたはタンパク尿を発症するリスクについて、抗VEGF療法、抗EGFR療法、または抗VEGF療法および抗EGFR療法の組み合わせを受けたまたは受けている妊娠していないヒトを評価するのに使用することができる。抗VEGF療法の例には、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法が含まれるが、これらに限定されるわけではない。抗EGFR療法の例には、セツキシマブ療法、パニツムマブ療法、トラスツズマブ療法、ラパチニブ療法、エルロチニブ療法、およびゲフィチニブ療法が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0019】
ヒト尿中の糸球体上皮細胞のレベルを確認するために、任意の適切な方法を使用することができる。例えば、糸球体上皮細胞または糸球体上皮細胞によって発現されたポリペプチドに結合する抗体の使用を含む細胞染色法を使用することができる。このような抗体の例には、ポドシンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.7657615;アクセッション番号NP 055440.1)、ポドカリキシンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.66277202、アクセッション番号NP 001018121.1;GenBank GI No.33598950、アクセッション番号NP 005388.2;GenBank GI No.7271815、アクセッション番号AAB61574.1;およびGenBank GI No.7657465、アクセッション番号NP_056535.1)、ネフリンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.10441644;アクセッション番号AAG17141.1)、シナプトポジンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.33323347;アクセッション番号AAQ07403.1)、Neph1ポリペプチド(例えば、GenBank GI No.14572521;アクセッション番号AAK00529.1.)、GLEPP1ポリペプチド(例えば、GenBank GI No.885926;アクセッション番号AAA82892.1)、WT1ポリペプチド(例えば、GenBank GI No.AAH46461.2;アクセッション番号110611793)、CD2APポリペプチド(例えば、GenBank GI No.11321634;アクセッション番号NP_036252.1)、アクチンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.4501881;アクセッション番号NP 001091.1)、アクチニンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.3157976;アクセッション番号AAC17470.1)、カドヘリンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.2281027;アクセッション番号BAA21569.1)、カテニンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.4503131;アクセッション番号NP_001895.1)、インテグリンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.47078292;アクセッション番号NP_000203.2)、ビンキュリンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.340237;アクセッション番号AAA61283.1)、タリンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.6682361;アクセッション番号AAF23322.1)、パキシリンポリペプチド(例えば、GenBank GI No.704348;アクセッション番号AAC50104.1)、またはZO-1ポリペプチド(例えば、GenBank GI No.116875767;アクセッション番号NP_003248.3)に結合する能力を有する抗体が含まれるが、それに限定されるわけではない。場合によっては、ヒト尿試料中に存在する糸球体上皮細胞のレベルを確認するために、フローサイトメトリー法を使用することができる。尿試料中に検出される糸球体上皮細胞は、生存能力のある糸球体上皮細胞、生存能力のない糸球体上皮細胞、またはその組み合わせでもよい。場合によっては、生存能力のない糸球体上皮細胞は、特定可能な糸球体上皮細胞の残遺物でもよい。
【0020】
抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、もしくは単鎖抗体、あるいは結合活性を有する抗体断片、例えば、Fab断片、F(ab')断片、Fd断片、Fab発現ライブラリーによって産生された断片、VLドメインもしくはVHドメインを含む断片、または前記のいずれかのエピトープ結合断片でもよいが、それに限定されるわけではない。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG4、もしくはIgA2)、またはサブクラスの抗体でよい。さらに、抗体は、鳥類および哺乳動物を含むが、それに限定されるわけではない任意の動物に由来してもよい。例えば、抗体は、ヒト抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、またはヤギ抗体でもよい。抗体は天然でもよく、組換えでもよく、または合成でもよい。抗体は、任意の適切な方法を用いて作製および精製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術、もしくはファージディスプレイ技術、またはこのような技術の組み合わせを用いて調製することができる。場合によっては、抗体断片は、部分的な抗体配列をコードする遺伝子から合成または組換えにより作製することができる。糸球体上皮細胞を検出するのに使用することができる、いかなる抗体(例えば、抗ポドシン抗体、抗ポドカリキシン抗体、抗ネフリン抗体、または抗シナプトポジン抗体)も、その抗原に対して、少なくとも104mol-1 (例えば、少なくとも101、106、107、108、109、1010、1011、または1012mol-1)の結合親和性を有してもよい。例えば、少なくとも104mol-1 (例えば、少なくとも101、106、107、108、109、1010、1011、または1012mol-1)の親和性でポドシンポリペプチドに結合する抗ポドシン抗体を、本明細書に記載のように使用することができる。
【0021】
尿中糸球体上皮細胞レベルに関して本明細書で使用する「高レベル」という用語は、タンパク尿がないと分かっている無作為な妊娠していないヒト集団(例えば、タンパク尿がないと分かっている5人、10人、15人、20人、30人、40人、50人、100人、500人、またはそれより多い無作為な妊娠していないヒト集団)由来の尿中に存在する糸球体上皮細胞の中央値レベルを上回る任意のレベルである。例えば、無作為な妊娠していないヒト集団は、そのヒトにタンパク尿が無ければ、抗VEGF療法を受けている妊娠していないヒト集団でもよく、抗VEGF療法を受けていない妊娠していないヒト集団でもよい。場合によっては、無作為な妊娠していないヒト集団は、そのヒトにタンパク尿が無ければ、抗EGFR療法を受けている妊娠していないヒト集団でもよく、抗EGFR療法を受けていない妊娠していないヒト集団でもよい。場合によっては、高レベルの尿中糸球体上皮細胞は、尿試料中の検出可能なレベルの糸球体上皮細胞(例えば、ポドシン陽性細胞)でもよい。このような検出可能なレベルの糸球体上皮細胞(例えば、ポドシン陽性細胞)の有無は、抗ポドシン抗体を用いて確かめることができる。
【0022】
ヒトの尿中糸球体上皮細胞レベルが確かめられたら、このレベルを評価して、このレベルが高レベルかどうか確かめることができる。高レベルの尿中糸球体上皮細胞の存在から、ヒトにタンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあることが分かる。高レベルの尿中糸球体上皮細胞を有するヒトにタンパク尿があることを確かめるために、さらなる臨床試験を行ってもよい。例えば、高レベルの尿中糸球体上皮細胞を有するヒトにタンパク尿があることを確かめるために、24時間採尿試験、尿試験紙タンパク質分析試験、および/またはタンパク質-クレアチニン比試験において、無作為な尿試料中の総タンパク質を測定することができる。高レベルの尿中糸球体上皮細胞を有するヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられたら、そのヒトはタンパク尿があると分類することができる。高レベルの尿中糸球体上皮細胞を有するヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられなければ、そのヒトは、タンパク尿を発症するリスクがあると分類することができる。
【0023】
場合によっては、ヒトの内部に存在する尿中糸球体上皮細胞レベルは、カットオフ値、例えば、クレアチニン1mgあたりに存在する0.85個の尿中糸球体上皮細胞を用いて評価することができる。例えば、ヒトの尿中糸球体上皮細胞レベルが確かめられたら、このレベルをカットオフ値(例えば、0.85個の尿中糸球体上皮細胞/mgクレアチニン)と比較することができる。カットオフ値を超えるまたはカットオフ値に等しい尿中糸球体上皮細胞レベルの存在から、ヒトにタンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあることが分かる。カットオフ値を超えるまたはカットオフ値に等しい尿中糸球体上皮細胞レベルを有するヒトにタンパク尿があることを確かめるために、さらなる臨床試験を行ってもよい。例えば、カットオフ値を超えるまたはカットオフ値に等しい尿中糸球体上皮細胞レベルを有するヒトにタンパク尿があることを確かめるために、24時間採尿試験、尿試験紙タンパク質分析試験、および/またはタンパク質-クレアチニン比試験において、無作為な尿試料中の総タンパク質を測定することができる。カットオフ値を超えるまたはカットオフ値に等しい尿中糸球体上皮細胞レベルを有するヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられたら、そのヒトはタンパク尿があると分類することができる。カットオフ値を超えるまたはカットオフ値に等しい尿中糸球体上皮細胞レベルを有するヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられなければ、そのヒトは、タンパク尿を発症するリスクがあると分類することができる。
【0024】
場合によっては、抗VEGF療法、抗EGFR療法、またはその両方によって治療されたヒトは、療法(例えば、抗VEGF療法、抗EGFR療法、またはその両方)によって治療されたヒト由来の尿試料中の糸球体上皮細胞レベルが、さらに早い時点(例えば、抗VEGF療法または抗EGFR療法による治療前の時間)においてヒトから得られた尿試料中の糸球体上皮細胞レベルより高いことが確かめられれば、タンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあると分類することができる。ある期間にわたって、このような尿中糸球体上皮細胞増加を経験しているヒトにタンパク尿あることを確かめるために、さらなる臨床試験を行ってもよい。例えば、ある期間にわたって尿中糸球体上皮細胞の増加を経験しているヒトにタンパク尿があることを確かめるために、24時間採尿試験、尿試験紙タンパク質分析試験、および/またはタンパク質-クレアチニン比試験において、無作為な尿試料中の総タンパク質を測定することができる。ある期間にわたって、尿中糸球体上皮細胞増加を経験しているヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられれば、そのヒトはタンパク尿があると分類することができる。ある期間にわたって、尿中糸球体上皮細胞増加を経験しているヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられなければ、そのヒトは、タンパク尿を発症するリスクがあると分類することができる。
【0025】
場合によっては、尿試料中の1つもしくは複数の糸球体上皮細胞の検出は糸球体上皮細胞尿を示している可能性がある。例えば、抗VEGF療法もしくは抗EGFR療法(またはその両方)を受けている非妊娠患者は、少なくとも部分的に尿試料中の1つもしくは複数の糸球体上皮細胞の検出に基づいて、タンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあると分類することができる。1つもしくは複数の検出可能な尿中糸球体上皮細胞を有するヒトにタンパク尿があることを確かめるために、さらなる臨床試験を行ってもよい。例えば、1つもしくは複数の検出可能な尿中糸球体上皮細胞を有するヒトにタンパク尿があることを確かめるために、24時間採尿試験、尿試験紙タンパク質分析試験、および/またはタンパク質-クレアチニン比試験において、無作為な尿試料中の総タンパク質を測定することができる。1つもしくは複数の検出可能な尿中糸球体上皮細胞を有するヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられれば、そのヒトはタンパク尿があると分類することができる。1つもしくは複数の検出可能な尿中糸球体上皮細胞を有するヒトを対象にして、さらなる臨床試験(例えば、24時間採尿試験における総タンパク質の測定)によってタンパク尿の存在が確かめられなければ、そのヒトは、タンパク尿を発症するリスクがあると分類することができる。
【0026】
抗VEGF療法、抗EGFR療法、またはその両方によって治療されたヒトは、本明細書に提供する方法および材料を用いてモニタリングすることができる。タンパク尿が検出される前に、糸球体上皮細胞が患者の尿中に認められることがあり、従って、これが未決定の有害事象の初期予測因子となる。この初期の徴候によって、医療従事者は患者の抗VEGF治療計画もしくは抗EGFR治療計画を変更しても良く、またはタンパク尿治療を開始してもよい。例えば、抗VEGF療法または抗EGFR療法の用量の減少に応答してタンパク尿が持続するかどうか確かめるために、尿試料中の糸球体上皮細胞レベルを評価することができる。
【0027】
本願はまた、抗VEGF療法、抗EGFR療法、またはその両方によって治療されたヒトがタンパク尿を有するかまたはタンパク尿を発症しているかどうかの確認において医療専門家または研究専門家を支援する方法および材料を提供する。医療専門家は、例えば、医師、看護師、衛生検査技師、および薬剤師でもよい。研究専門家は、例えば、主任研究員、研究技術員、ポストドクタートレイニー、および大学院生でもよい。(1)尿試料中の尿中糸球体上皮細胞レベルを確認し、(2)専門家にレベルについての情報を伝達することによって、専門家を支援することができる。場合によっては、(1)尿中糸球体上皮細胞の存在について尿試料を評価し、(2)専門家に、尿中糸球体上皮細胞の存在についての情報を伝達することによって、専門家を支援することができる。
【0028】
任意の適切な方法を用いて、情報を別の人(例えば、専門家)に伝達することができる。例えば、情報を専門家に直接的または間接的に知らせることができる。さらに、任意のタイプの伝達を用いて情報を伝達することができる。例えば、手紙、電子メール、電話、および顔を合わせてのやりとりを使用することができる。情報はまた、その情報を専門家に電子的に入手可能にすることによって専門家に伝達することができる。例えば、専門家が情報にアクセスできるように、情報をコンピュータデータベースに置くことによって、専門家に情報を伝達することができる。さらに、情報を、専門家への仲介として病院、診療所、または研究施設に伝達することができる。
【0029】
本願はまた、タンパク尿を誘発する可能性を小さくする条件下で、ベバシズマブなどの抗VEGF療法、抗EFGR療法、またはその両方によってヒトを治療するための方法および材料を提供する。例えば、抗VEGF療法を必要とするヒト(例えば、ベバシズマブ治療を必要とするヒト癌患者)には、週1回、2週間に1回、または3週間に1回投与される限られた投与サイクル数で、標準的な用量のベバシズマブ(例えば、5〜15mg/kg/day)を投与することができる。治療して最初の3日の間、少なくとも1回、尿試料を入手し、本明細書に記載のように尿中糸球体上皮細胞について評価することができる。尿中糸球体上皮細胞が検出されるか、または尿中糸球体上皮細胞レベルの上昇が検出されれば、抗VEGF療法の用量を、ある期間にわたって、少なくとも30パーセント(例えば、30パーセント、40パーセント、50パーセント、75パーセント、80パーセント、90パーセント、または100パーセント)少なくすることができる。または、薬物療法が4週間毎または6週間毎に与えられるように、抗VEGF療法を、ある期間にわたって1回または2回の投与サイクルの間、省くことができる。この期間の後に、尿試料を入手し、本明細書に記載のように尿中糸球体上皮細胞について評価することができる。尿中糸球体上皮細胞が検出されなければ、または尿中糸球体上皮細胞レベルの上昇が検出されなければ、抗VEGF療法の用量を増やすことができる(例えば、元の用量まで、または元の用量よりある程度少ない量まで増やすことができる)。尿中糸球体上皮細胞が検出されるかまたは尿中糸球体上皮細胞レベルの上昇が検出されれば、さらなる期間にわたって、抗VEGF療法の用量または頻度をさらに少なくすることができる(例えば、週1回、2週間に1回、3週間に1回、またはそれより多いサイクル)。検出された尿中糸球体上皮細胞の存在またはレベルによって確かめられたように、タンパク尿を誘発しない用量の抗VEGF療法に達するまで、尿中糸球体上皮細胞または尿中糸球体上皮細胞レベルについての尿の評価および抗VEGF療法投与量の調節を複数回、繰り返すことができる。
【0030】
記載する方法および材料は、抗VEGF療法、抗EGFR療法、またはその両方を受けている患者を対象とすることが理解されるが、他の療法、例えば、非ステロイド性抗炎症薬、ビスホスホネート、トラスツズマブ、カペシタビン、パクリタキセル、またはアントラサイクリン療法を受けている患者もまた、糸球体上皮細胞尿により示されるようなタンパク尿についてまたはタンパク尿を発症するリスクについて評価され得ることに留意されたい。
【0031】
本発明を以下の実施例でさらに説明する。以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0032】
実施例1 スニチニブを用いた抗VEGF療法を受けている患者における糸球体上皮細胞尿の症例
症例研究
67歳の女性が、右腎臓の中心部および下部が関与する7.2×6.1cmの塊を呈した。腎機能は正常であり、クレアチニンは1.0であり、タンパク尿はなかった。その後に、彼女は、根治的右腎摘出術および後腹膜リンパ節切除術を受けた。病理検査によって、グレード2、T2、N0、M1腎細胞癌、明細胞型と確かめられた。スニチニブ療法を開始し、応答は良好であった。
【0033】
療法を開始して4ヶ月で、腎機能は悪化し、最大クレアチニンは1.5、24時間タンパク質は467mgであった。Diovanを用いてアンジオテンシン受容体遮断を開始した。さらなる副作用には、高血圧、手足症候群、および薬剤性甲状腺機能低下症が含まれた。
【0034】
7ヶ月の療法後、彼女のクレアチニンは1.3まで改善したが、依然としてタンパク尿が続き、24時間タンパク質の推定値は931mgであった。この時に、下記のように糸球体上皮細胞尿アッセイを行い、尿中糸球体上皮細胞の存在を確かめた(図1)。
【0035】
糸球体上皮細胞の検出
無作為な尿試料(各25〜50mL)を、700g、室温で8分間遠心分離した。ペレットをヒト二倍体線維芽細胞(HDF)溶液で2回リンスした。次に、ペレットを、10%胎仔ウシ血清を含み、細菌汚染を阻止するために抗生物質を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)F-12培地に再懸濁した。1ミリリットルアリコートをコラーゲンコーティング組織培養スライド上にプレートし、その後に、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。翌日、培地を除去し、その後に、リン酸緩衝食塩水で2回洗浄した。スライドを、10分間、-20℃の氷冷メタノール1mLで固定した。スライドを、ポドシンに対する抗体(希釈、1:200)とインキュベートした。リン酸緩衝食塩水で洗浄した後に、二次フルオレセインイソチオシアネート標識抗体を1:40に希釈して30分間、添加した。全細胞と細胞断片との区別を容易にするために、沈降物をHoechst核染色液で対比染色した。カバーガラスをVectashield(Vector Labs, Burlington, Calif.)でマウントし、スライドを蛍光顕微鏡(Leica, Germany)によって観察した。陽性染色有核細胞を糸球体上皮細胞とみなした。存在する細胞の数およびポドシンが染色された細胞の割合を求めるために、腎臓病理学者が各試料を評価した。腎臓病理学者は臨床診断および検査所見については知らされなかった。
【0036】
示された患者に対して、スニチニブレジメンを変更し、用量を減らした。クレアチニン測定値に従って、彼女の腎機能は改善した。彼女は依然としてタンパク尿が続いていたが、腎機能は安定していた。
【0037】
それぞれの尿試料のクレアチニン含有量との比で表された糸球体上皮細胞数が0.85個の糸球体上皮細胞/mgクレアチニンより多ければ、タンパク尿検査は陽性である。
【0038】
本明細書に提供した結果は、高レベルの尿中糸球体上皮細胞は、抗VEGF療法によって治療されているヒトにおけるタンパク尿マーカーであることを示した。タンパク尿のない、抗VEGF療法を受けている2人の対照患者には、糸球体上皮細胞尿は観察されなかった。
【0039】
実施例2 癌に対してVEGF遮断療法によって治療された患者における糸球体上皮細胞尿
抗VEGF療法を受けると同時にタンパク尿を発症している患者において糸球体上皮細胞尿が存在するかどうか確かめるために、以下を行った(表1)。さらに、抗VEGF療法を受けており、タンパク尿が101〜9720mg/dの範囲である患者間での、尿中糸球体上皮細胞の排出を比較した(表1)。
【0040】
【表1】

GBM:多形性神経膠芽腫;SBC:小腸カルチノイド;B:ベバシズマブ;S/nib:ソラフェニブ;HPF:400x強拡大視野
【0041】
これらの結果から、抗VEGF療法を受けており、タンパク尿が2gr/dを超える患者の糸球体上皮細胞尿の程度は、同じ薬剤によって治療され、タンパク尿が<0.5gr/dの患者と比較して高いことが証明される。
【0042】
他の態様
本発明をその詳細な説明と共に記載してきたが、前述の説明は例示を目的とするものであり、本発明の範囲を制限しないことが理解されるはずである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。他の局面、利点、および変更は添付の特許請求の範囲の中にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク尿を発症するリスクについて抗VEGF療法を受けたことのあるヒトを評価するための方法であって、以下の工程を含む、方法:
抗VEGF療法を受けているヒト由来の尿試料が、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞(podocyte)または1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の形跡を含有するかどうか確認する工程であって、該1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞または該形跡の存在が、該ヒトがタンパク尿を発症するリスクがあることを示す、工程。
【請求項2】
抗VEGF療法が、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
確認する工程が、抗体を用いて糸球体上皮細胞を検出することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
確認する工程が、フローサイトメトリーを用いて糸球体上皮細胞を検出することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が抗ポドシン抗体である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の存在を検出する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも部分的に1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の存在に基づいて、タンパク尿を発症するリスクがあると哺乳動物を分類する工程を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の非存在を検出する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも部分的に1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の非存在に基づいて、タンパク尿を発症するリスクがないと哺乳動物を分類する工程を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ヒトが妊娠していないヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記尿試料が、1つの強拡大視野につき3個またはそれより多い尿中糸球体上皮細胞を含有するかどうか確認する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
タンパク尿についてまたはタンパク尿を発症するリスクについて、抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けたことのあるヒトを評価するための方法であって、以下の工程を含む、方法:
抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けているヒト由来の尿試料が、1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞または1つもしくは複数の尿中糸球体上皮細胞の形跡を含有するかどうか確認する工程、
該1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞または該形跡が尿試料中に存在する場合、タンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあると該ヒトを分類する工程、ならびに
該1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞および該形跡が尿試料中に存在しない場合、タンパク尿もなく、タンパク尿を発症するリスクもないと該ヒトを分類する工程。
【請求項13】
前記ヒトが抗VEGF療法を受けた、請求項12記載の方法。
【請求項14】
抗VEGF療法が、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
確認する工程が、抗体を用いて糸球体上皮細胞を検出することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記抗体が抗ポドシン抗体である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
確認する工程が、フローサイトメトリーを用いて糸球体上皮細胞を検出することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項18】
1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の存在を検出する工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項19】
1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の非存在を検出する工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項20】
前記ヒトが妊娠していないヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項21】
前記尿試料が、1つの強拡大視野につき3個またはそれより多い尿中糸球体上皮細胞を含有するかどうか確認する工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項22】
抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けたことのあるヒトをタンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあると特定するための方法であって、以下の工程を含む、方法:
抗VEGF療法または抗EGFR療法を受けたヒトの尿試料中の1つまたは複数の糸球体上皮細胞の存在を検出する工程、および
少なくとも部分的に該存在に基づいて、タンパク尿があるかまたはタンパク尿を発症するリスクがあると該ヒトを分類する工程。
【請求項23】
前記ヒトが抗VEGF療法を受けた、請求項22記載の方法。
【請求項24】
抗VEGF療法が、ベバシズマブ療法、スニチニブ療法、およびソラフェニブ療法からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
検出する工程が、抗体を用いて1つまたは複数の糸球体上皮細胞を検出することを含む、請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記抗体が抗ポドシン抗体である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
検出する工程が、フローサイトメトリーを用いて1つまたは複数の糸球体上皮細胞を検出することを含む、請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記ヒトが妊娠していないヒトである、請求項22記載の方法。
【請求項29】
前記尿試料中の1つまたは複数の糸球体上皮細胞の存在が、1つまたは複数の尿中糸球体上皮細胞の残遺物の存在を検出することによって検出される、請求項22記載の方法。
【請求項30】
前記尿試料が、1つの強拡大視野につき3個またはそれより多い尿中糸球体上皮細胞を含有するかどうか確認する工程を含む、請求項22記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−515268(P2013−515268A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546149(P2012−546149)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061543
【国際公開番号】WO2011/084791
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(501083115)メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ (27)