説明

折りたたみ可能な洗髪器

【課題】 側壁部に空気を注入する必要がない折りたたみ洗髪器を提供すること。
【解決手段】 折りたたみ可能な洗髪器10は、上面開口した容器状の本体20と、本体20に形成された排水用の孔25、26に接続可能なホース50とを備え、本体20の側壁部22の一部分において、側壁部22の上端部22aから下方に凹部27が形成され、凹部27に人の首を置いてその人の頭を本体20内に入れることができ、本体20はその形状を保持可能な弾力ある合成樹脂で形成されている。さらに、本体20に外力を加えたときに、本体20は折りたたみ可能である。また、本体20の側壁部22の上端部22aに一対の折りたたみ用切欠28、29が形成され、この一対の折りたたみ用切欠28、29は本体20の側壁部22の互いに対向する位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病人等の頭髪を洗うのに適した折りたたみ可能な洗髪器に関し、特に、折りたたみが容易な折りたたみ可能な洗髪器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折りたたみ可能な洗髪器として、空気注入により膨張する柔軟性チューブで構成した側壁と、この側壁の下端全域にわたって張設される底布とからなり、前記側壁の一部を首保持部としたボウル状本体を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2592886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、側壁を膨張させるときに空気を注入する必要があり、また側壁を折りたたむときには側壁から空気を排気する必要があるので、手間がかかるという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、側壁に空気を注入する必要がない折りたたみ可能な洗髪器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、上面開口した容器状の本体と、この本体に形成された排水用の孔に接続可能なホースとを備え、前記本体の側壁の一部分において、前記側壁の上端部から下方に凹部が形成され、この凹部に人の首を置いて前記人の頭を前記本体内に入れることができ、前記本体はその形状を保持可能な弾力ある合成樹脂で形成され、さらに、前記本体に外力を加えたときに、前記本体は折りたたみ可能であることを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器である。
これにより、折りたたみ可能な洗髪器の上面開口した容器状の本体の側壁部の上端部から下方に形成された凹部に洗髪する人の首をおいてその人の頭を前記本体内に入れてその人の頭髪を洗うことができる。そして、洗髪に使用した水は前記本体の排水用の孔から排水される。また、前記本体はその弾力性によりその形状を保持する。さらに、前記本体の弾力性により、前記本体に外力を加えて前記本体を折りたたむことができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1に記載した折りたたみ可能な洗髪器であって、前記本体の側壁の上端部に一対の折りたたみ用切欠が形成され、この一対の折りたたみ用切欠は前記本体の側壁の互いに対向する位置に形成されていることを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器である。
これにより、前記本体の側壁の上端部の互いに対向する位置に形成された一対の折りたたみ用切欠を折目として前記本体を折りたたむことができる。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1〜2に記載した折りたたみ可能な洗髪器であって、前記本体は発泡ポリエステル、発泡ウレタンもしくはウレタンゴムにて一体に成形されていることを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器である。
これにより、前記本体が発泡ポリエステル、発泡ウレタンもしくはウレタンゴムにて一体に成形されているので、前記請求項2記載の本体を構成するのに適したものとなる。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1〜3に記載した折りたたみ可能な洗髪器であって、前記本体の内側の底部に面ファスナーにより枕を着脱自在に取付けたことを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器である。
これにより、前記本体の内部の底部に取付ける枕の位置を変えることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、洗髪器を持ち運び可能および折りたたみ可能とすることができる。また、洗髪器の本体の側壁部に空気を注入しないので、本体を折りたたむときに本体の側壁部から空気を排気する必要がない。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、洗髪器の本体を折りたたむことが容易になる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1〜2に記載した発明の効果とともに、折りたたみ可能な洗髪器を構成することが容易になる。
さらに、請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3記載の発明の効果とともに、洗髪する人の頭部の位置に合わせて洗髪器の本体の枕の位置を調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る折りたたみ可能な洗髪器を示し、図2は図1の折りたたみ可能な洗髪器の接続部を分解して示し、図3は図1の折りたたみ可能な洗髪器の枕を示す。また、図4は図1の折りたたみ可能な洗髪器を折りたたむ途中の状態を示し、(a)は平面を示し、(b)は右側面を示し、図5は図1の折りたたみ可能な洗髪器を折りたたんだ状態を示し、(a)は平面を示し、(b)は右側面を示す。さらに、図6は図1の折りたたみ可能な洗髪器の使用例を示す。
【0010】
図1に示すように、折りたたみ可能な洗髪器10は上面開口した容器状の本体20と、この本体20に形成された一対の排水用の孔25,26に接続可能なホース50とを備えている。具体的には、本体20の上面に開口部21が形成されている。孔25、26は側壁部22の下端の互いに対向する箇所に形成されている。なお、本体20の開口面は長方形状または正方形状である。
【0011】
また、図2に示すように、ホース50を本体20の排水用の孔25に接続する接続部30は、側壁部22の外側から孔25に差し込まれている筒状の差込部材31、側壁部22の内側で差込部材31に螺合して差込部材31を側壁部22に固定するナット状部材36およびナット部材36と側壁部22との間に介在されるパッキン35を備えている。なお、差込部材31はフランジ32、差込部材31の外面に形成された雄ネジ33および差込部材31の内面に形成された雌ネジ34を備えている。ナット状部材36は前記雄ネジ33に螺合する。ホース50の筒状先端の外面に雄ネジ51が形成され、この雄ネジ51が
雌ネジ34に螺合している。
【0012】
また、図1に示すように、排水用の孔26には接続部40が取付けられ、接続部40の外側は栓60で閉じられている。なお、栓60には図示しない雄ネジ(ホース50の雄ネジ51に相当する。)が形成され、この雄ネジが接続部40の雌ネジ(接続部30の雌ネジ34に相当する。)に螺合している。
そして、図6に示すように、本体20の側壁部22の一部分において、側壁部22の上端部22aから下方に凹部27が形成され、この凹部27に人83の首84を置いて前記人83の頭85を本体20に入れることができる。なお、上端部22aおよび凹部27には縁部23が連設されている。
本体20はその形状を保持可能な弾力ある合成樹脂で形成され、さらに、本体20に外力を加えたときに、本体20は折りたたみ可能である。例えば、本体20は発泡ポリエステル、発泡ウレタンもしくはウレタンゴムにて一体に成形されている。
【0013】
さらに、本体20の側壁部22の上端部22aに一対の折りたたみ用切欠28、29が形成され、この一対の折りたたみ用切欠28、29は本体20の側壁部22の互いに対向する位置に形成されている。なお、一対の折りたたみ用切欠28、29は縁部23をも切り欠いている。
さらに、本体20の内側の底部24に面ファスナー71により枕70を着脱自在に取付けることができる。具体的には、枕70の底面に面ファスナー71の一方の部材72が付設され、本体20の内部の底部24に面ファスナー71の他方の部材73が付設されている。この他方の部材73は凹部27の方に延びた帯状に形成されている。
【0014】
上記構成の折りたたみ可能な洗髪器10は、以下の動作をする。
図6に示すように、病人等の洗髪する人83が床88上のベッド89に寝ている。前記人83の首84を洗髪器10の本体20の側壁部22の上端部22aから下方に形成された凹部27において、その人83の頭85を本体20内に入れてその頭髪86を洗うことができる。ここで、ホース82が水道に接続されており、介護人87がホース82の先端のシャワー用ノズル81を手で持って人83の頭髪86にシャワー用ノズル81の水をかけている。そして、洗髪に使用した水は本体20内に溜まり、その後排水用の孔25からホース50を経てタンク53に導かれている。
なお、タンク53の配置等により、孔25の代わりに孔26を使用してもよい。
【0015】
さらに、図4および図5に示すように、本体20の弾力性により、本体20を折りたたむことができる。具体的には、本体20の側壁部22の上端部22aの互いに対向する位置に形成された一対の折りたたみ用切欠28、29を折目として本体20を折りたたむことができる。その際、枕70を本体20から取り外して本体20を折りたたむことができる。折りたたんだ本体20は平板状になる。
さらに、本体20が発泡ポリエステル、発泡ウレタンもしくはウレタンゴムにて一体に成形されているので、本体20の弾力性が充分なものとなる。
さらに、図3に示すように、本体20の内部の底部24に取付ける枕70の位置を変えることができる。
【0016】
さらに、本体20は、ベッド89上に横になった人83の頭髪86を洗う際に、寝具等の水濡れを軽減することができる大きさでありながら、使用しないときには、折りたたむなどして、コンパクトになる。
また、洗髪をされる人83が横になっていても、介護人87が寝具等の水濡れを心配することなく洗髪を施すことができる。また、高齢者、要介護者等が起きたり移動することなく、洗髪が可能となり、介護人87が洗髪器10を携帯して出張して高齢者、要介護者等の洗髪をすることができる。
【0017】
なお、上記実施の形態において、本体20および枕70の形状は図示されたものに限定されないで、種々の形状を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る折りたたみ可能な洗髪器を示す斜視図である。
【図2】図1の折りたたみ可能な洗髪器の接続部を分解して示す斜視図である。
【図3】図1の折りたたみ可能な洗髪器の枕を示す斜視図である。
【図4】図1の折りたたみ可能な洗髪器を折りたたむ途中の状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は右側面図である。
【図5】図1の折りたたみ可能な洗髪器を折りたたんだ状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は右側面図である。
【図6】図1の折りたたみ可能な洗髪器の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10 洗髪器
20 本体
21 開口部
22 側壁部
22a 上端部
25、26 排水用の孔
27 凹部
28、29 折りたたみ用切欠
50 ホース
83 人
84 首
85 頭
86 頭髪
70 枕
71 面ファスナー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口した容器状の本体と、この本体に形成された排水用の孔に接続可能なホースとを備え、
前記本体の側壁の一部分において、前記側壁の上端部から下方に凹部が形成され、
この凹部に人の首を置いて前記人の頭を前記本体内に入れることができ、
前記本体はその形状を保持可能な弾力ある合成樹脂で形成され、
さらに、前記本体に外力を加えたときに、前記本体は折りたたみ可能であることを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器。
【請求項2】
請求項1に記載した折りたたみ可能な洗髪器であって、
前記本体の側壁の上端部に一対の折りたたみ用切欠が形成され、この一対の折りたたみ用切欠は前記本体の側壁の互いに対向する位置に形成されていることを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器。
【請求項3】
請求項1〜2に記載した折りたたみ可能な洗髪器であって、
前記本体は発泡ポリエステル、発泡ウレタンもしくはウレタンゴムにて一体に成形されていることを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器。
【請求項4】
請求項1〜3に記載した折りたたみ可能な洗髪器であって、
前記本体の内側の底部に面ファスナーにより枕を着脱自在に取付けたことを特徴とする折りたたみ可能な洗髪器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−135691(P2007−135691A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330230(P2005−330230)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(390033411)株式会社喜田アイディア (3)
【Fターム(参考)】