説明

折りたたみ式すべり台

【課題】 すべり降り部と階段部とを容易かつ迅速に開閉できるのは勿論、台および保護柵内にバランス良く収容して容易かつ安全に移動かつ保管できるようにする。
【解決手段】 台1の頂面板10の両側に保護囲い2を立設する。頂面板10の前後にすべり降り部3および階段部4を開閉自在に取り付ける。すべり降り部3を台1および保護囲い2内に収容自在に、また階段部4を保護囲い2内に収容自在に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保育所、幼稚園等の子供用施設で、しかも主に室内で用いられる遊具の一種であるすべり台に関し、特に折りたたみ自在なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から前記すべり台として例えば図7で示すものが知られている。これはすべり降り部と階段部とを軸着して全体を略倒V字状に形成し、図8で示すように折りたたむものである。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、すべり降り部は階段部より傾斜が緩いため、折りたたんだ場合には図8で示すようにすべり降り部と階段部との長さが不揃いになり、バランスが悪く、寝かせざるを得ず、これを迅速に移動したり、確実に収容することが難しい。特に最近需要の多い木製すべり台では全体の重量が20kg前後になり、折りたたみ運搬作業が厄介である。
本発明は前記の不都合を解消することを課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1に本発明は、台の頂面板の両側に保護囲いを立設し、前記頂面板の前後にすべり降り部および階段部を開閉自在に取り付け、しかも前記すべり降り部を前記台および保護囲い内に収容自在に、また前記階段部を前記保護囲い内に収容自在に取り付けることを特徴とするものである。
【0005】
第2に本発明は第1の発明に加え、保護囲いの前方内向面にガイド路を垂直に形成し、すべり降り部の上端に前記ガイド路に沿って上下動する摺動手段を一体的に設け、支腕の一端を台内下方に、他端を前記すべり降り部の中間下面にそれぞれ軸着して前記すべり降り部を前記台および保護囲い内に収容自在にすることを特徴とするものである。
【0006】
第3に本発明は第2の発明に加え、ガイド路が断面凹状であり、摺動手段が突軸であることを特徴とするものである。
【0007】
なお、第3の発明ではガイド路が断面凹状で、摺動手段が突軸という関係にしたが、逆にガイド路が断面凸状で、摺動手段が前記凸状部に外嵌する断面凹状のタイプでもよいが、第3の発明の方が製造が容易であり、好ましい。
【0008】
第4に本発明は第1の発明に加え、階段部が間隔をおいて対向する1対の側板間に段部を一体的に形成し、前記各側板の内端上部を保護囲いの後方に軸着して前記階段部を前記保護囲い内に収容自在に取り付けることを特徴とするものである。
【0009】
第5に本発明は第1の発明に加え、台の両側板に出入り口を形成することを特徴とするものである。
【0010】
第6に本発明は第1または第5の発明に加え、台の下面板にすべり片を取り付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、折りたたみ時に保護囲いと台内にすべり降り部が収まり、階段部が保護囲い内に収まり、バランスが良く、迅速に折りたたみかつ移動でき、確実に直立したまま片付けることができ、しかも移動作業は床面上を押して行くだけで足り、この結果、すべり台自体を大型にすることもできる。
【0012】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、すべり降り部の上端は保護囲いに沿って垂直に上昇し、起立時には保護囲い上端から突出することがなく、また下端は上昇していく摺動手段を中心に回動して行くので、操作が容易であるとともにすべり降り部全体を台と保護囲い内に確実に収めることができる。
【0013】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加え、製造が容易で安価に提供することができる。
【0014】
第4の発明によれば、第1の発明の効果に加え、1対の側板により、階段での昇降を安全にすることができ、しかも階段部を折りたたんだ際に保護囲い内に嵌挿させることができる。
【0015】
第5の発明によれば、第1の発明の効果に加え、トンネルの潜り抜け、内部でのままごと遊びなど、遊びのパターンを増やすことができる。
【0016】
第6の発明によれば、折りたたみ時の運搬作業が極めて容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施の形態は室内用で、しかも後述する軸部分を除いて、木製であり、全体の重量が約20kgである。
【0018】
本実施の形態の使用時つまり展開時は図1・3・4で示すように、下面板13の四隅に支柱16、16、16、16を立設するとともに前後各2本の支柱16、16中程に梁17、17を掛設し、左右側縁に間隔を置いて一対の側板11、11を立設し、各側板11に出入口12を切欠く。
【0019】
下面板3の前端から距離L内方に前面板14を立設して収容空間15を形成し、側板11の上方を支持材18、18で連結し、支持材18、18上に頂面板10を水平に取付けて台1を形成する。
【0020】
各梁17に複数板、具体的には3板の柵板22a、22b、22cを立設し、各柵板および各前後1対の支柱16、16の各上端に手摺材23を掛設して保護囲い2を形成する。
【0021】
図5で示すように前方かつ左右1対の柵板22a、22aに垂直溝からなるガイド路20、20を穿設し、下面板13の接床面の四隅にフッ素樹脂具体的にはテフロン(商標名)製の四片からなるすべり片6を取付ける。
【0022】
図4、5で示すようにすべり降り斜面板32の上端縁に沿って水平板33の一端を結合し、水平板33の他端を頂面板10の前端縁に近接する。すべり降り斜面板32の下端縁に沿って傾斜の緩い終着板34の一端を連結し、他端に手掛け切欠き部35、補強片35´を有する接床板36を連結する。
【0023】
すべり降り斜面板32、水平板33、終着板34、接床板36の左右側縁に沿って手摺り板37、37を取付け、各手摺り板37の上半身部37aを前記各板32、33、34より上方に突設し、下半身32bを前記各板32、33、34より下方に延出し、各手摺り板37の両端を弧状にするとともに下端部を水平な接床部37bにしてすべり降り部3を形成する。
【0024】
図5で示すように左右手摺り板37、37のそれぞれ上端近傍にビス31aを外方に突出するように埋設し、各外方突出部31bに木製の袋ナット31cを螺着して摺動手段30として円柱上の各突軸31を突設し、各ガイド路20に上下自在に嵌入する。
【0025】
前面板14の下端外側かつ下面板13上およびすべり降り斜面板32の下面かつ略中央部に各々1対ずつの軸受51a、51bおよび回動軸52a、52bを介して支腕5の各端部を回動自在に軸着する。
【0026】
図3・4・6で示すように、段部41、41の左右端に対向する側板40、40を取付けて階段部4を形成し、各側板40の下端縁43を接床し、下端縁43の内端にL字切欠部43aを切欠いて下面板13との衝突を回避し、各側板40の内端上部42を保護囲い2の一部である後方の支柱16で、しかも頂面板10位置よりやや高い位置にボルト7、ナット8を介して回動自在に軸着する。
【0027】
次に本実施の形態の使用法および作用を説明する。図1・4で示す床面9上での展開時においては子供は図4で示す段部41、41を登り、頂面板10に達し、水平板33でしゃがみ、腰を降ろし、手摺り板37上縁に触れながらすべり降り斜面板32をすべり降り、終着板34に達する。このとき各すべり片6が接床しているが、各接床部37b、各下端縁43が接床しているのに加え、各すべり片6には台1、保護囲い2の大きい荷重がかかっているので安定している。時には出入口12を利用して台1内でのままごと遊びやトンネルの潜り遊びをする。
【0028】
次に本実施の形態の不使用時には、図6で示すように手掛切欠き部35に手を掛け、突軸31をガイド路20内で摺動させながら押し上げて行く。このとき支腕5が回転軸52aを中心に回動し、すべり降り部3、突軸31、支腕5は図6の実線状態から1点鎖線位置に移動し、さらに支腕5を回動させつつ突軸31はガイド路20内を上昇し、最後に前記各部材は2点鎖線の位置に移動し、すべり降り部3全体が収容空間15内に納まる。
【0029】
続いてボルト7を中心に階段部4を180度、回動すれば図6の実線状態から2点鎖線状態に移動し、保護囲い2内に納まる。そして図2で示すように保育士等が手摺材23に手を掛け折りたたまれた本体を押して行く。なお、図2とは反対方向、つまりすべり降り部3側から本体を押して行っても、その押し方向は任意である。このとき下面板13にはすべり片6.6・・・が取付けられているので大きい力を必要とすることなく、大きい荷重の本体を所定の個所に移動させることができる。なお再び本体を展開するには前記と逆動作をすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の展開状態を示す斜視図である。
【図2】同上の折りたたみ状態を示す斜視図である。
【図3】同上の展開状態を示す一部を切り欠いた平面図である。
【図4】A−A断面図である。
【図5】本発明の支腕近傍を示す一部切欠き拡大平面図である。
【図6】同上の作用説明図である。
【図7】従来例の展開状態を示す斜視図である。
【図8】同上の折りたたみ状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 台
2 保護囲い
3 すべり降り部
4 階段部
5 支腕
6 すべり片
10 頂面板
11 側板
12 出入口
13 下面板
20 ガイド路
21 後方
30 摺動手段
31 突軸
40 側板
41 段部
42 内端上部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台の頂面板の両側に保護囲いを立設し、前記頂面板の前後にすべり降り部および階段部を開閉自在に取り付け、しかも前記すべり降り部を前記台および保護囲い内に収容自在に、また前記階段部を前記保護囲い内に収容自在に取り付けることを特徴とする折りたたみ式すべり台。
【請求項2】
保護囲いの前方内向面にガイド路を垂直に形成し、すべり降り部の上端に前記ガイド路に沿って上下動する摺動手段を一体的に設け、支腕の一端を台内下方に、他端を前記すべり降り部の中間下面にそれぞれ軸着して前記すべり降り部を前記台および保護囲い内に収容自在にすることを特徴とする請求項1の折りたたみ式すべり台。
【請求項3】
ガイド路が断面凹状であり、摺動手段が突軸であることを特徴とする請求項2の折りたたみ式すべり台。
【請求項4】
階段部が間隔をおいて対向する1対の側板間に段部を一体的に形成し、前記各側板の内端上部を保護囲いの後方に軸着して前記階段部を前記保護囲い内に収容自在に取り付けることを特徴とする請求項1の折りたたみ式すべり台。
【請求項5】
台の両側板に出入り口を形成することを特徴とする請求項1の折りたたみ式すべり台。
【請求項6】
台の下面板にすべり片を取り付けることを特徴とする請求項1または5の折りたたみ式すべり台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−173315(P2008−173315A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10057(P2007−10057)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(591060625)マスセット株式会社 (16)