折り畳み式ヘアブラシ
【課題】 本発明は、折り畳み式ヘアブラシであって、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮する折り畳み式ヘアブラシを提供することを課題とする。
【解決手段】 本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有する。
【解決手段】 本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯に便利な折り畳み式ヘアブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式ヘアブラシであって、把持部材が閉じられているときはブリッスルが収縮しており、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開するヘアブラシは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−257924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、折り畳み式ヘアブラシであって、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮する折り畳み式ヘアブラシを提供することを課題とする。
【0004】
特許文献1に記載されたヘアブラシのように、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開して使用状態とすることができるヘアブラシは従来から存在する。しかし、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮するヘアブラシは存在しない。
【0005】
特許文献1のヘアブラシは、ヘアブラシの基板の裏面を表面側に向かって押圧するための押圧部材が設けられている。この押圧部材は把持部材の一端に形成されている。そして、この押圧部材は、ヘアブラシを使うために把持部材を開いた状態にしたときに、把持部材と共に回動して基板の裏面を押し上げるように形成されている。押し上げられた基板は表面方向に向かって撓むので、それに連動してブラシが広がりヘアブラシとして使用可能な状態となる構成である。
【0006】
また、特許文献1の本体と把持部材は支軸によってヒンジ結合されている。そして、押圧部材は把持部材の一端に形成されていて、把持部材と共に支軸を中心として回動し基板の裏面を押し上げる構成である。押圧部材が基板を押し上げる作用をしているときは、押圧部材は支軸を通る縦方向の垂直線を中心として本体側に存在している。そして、把持部材を閉じるときはその回転と共に押圧部材も回転し、把持部材を完全に閉じたときに押圧部材は支軸を通る縦方向の垂直線を中心として本体と反対側に突出する。このような構造であるから、閉じられている把持部材を開いて使用状態にするときに、押圧部材は支軸を通る縦方向の垂直線を越えて基板の裏側に到達して押圧する。したがって、押圧部材が基板の裏側に接触して押圧するために、基板の裏面を覆う部材があってはならない。押圧部材がその部材に当たって基板の裏面に到達しないからである。このために、基板の裏面は本体の底面から剥き出し状態であり、把持部材を閉じても埃などがブラシ内に侵入してしまうという欠点がある。また、押圧部材が本体と反対側に突出するので携帯時に邪魔であり、バッグから取り出すときなどに引っ掛かるおそれもある。そこで、本発明は、本体と把持部材を折り畳んだときに本体の底面から埃が侵入することがなく、邪魔な突出部の存在しない洗練された外観を有する折り畳み式ヘアブラシをも提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有する構成である。
【0008】
請求項2は、把持部材を開くときに基板が変形し表面側に凸状に突出してブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときに基板が元の位置に戻ってブリッスルが自動的に収縮する要素が請求項1に付加された構成である。
【0009】
請求項3は、可動部材が基板の裏面に結合され、その可動部材が把持部材の開閉と共に移動しながら基板を変形させることによりブリッスルを拡開させ又はブリッスルを収縮させる要素が請求項1又は請求項2のいずれか一項に付加された構成である。
【0010】
請求項4は、本体と把持部材はヒンジ結合され、前記可動部材はヒンジ軸と平行な軸線のまわりに旋回可能にヘアブラシに取り付けられ、その可動部材の端部が基板の裏面と結合しており、可動部材の旋回によって可動部材の端部が上昇又は下降して基板を変形させる要素が請求項3に付加された構成である。
【0011】
請求項5は、可動部材がアームと基部とから成り、アームが基板と本体の底面部との間に存在している状態で可動部材が旋回する要素が請求項4に付加された構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1は、本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有する構成である。したがって、従来のように把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開すると共に、把持部材を閉じるときにもブリッスルが自動的に収縮するので取り扱いに便利である。従来の折り畳み式ヘアブラシは、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮せず、指でブリッスルを本体内に押し込めていたので面倒であったが、本発明はそのような面倒さがなく使いやすい。
【0013】
請求項2は、把持部材を開くときに基板が変形し表面側に凸状に突出してブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときに基板が元の位置に戻ってブリッスルが自動的に収縮する構成である。すなわち、基板を変形させてブリッスルを自動的に拡開し又は変形した基板を元の位置に戻すことでブリッスルを自動的に収縮するので構造を簡単なものにすることができる。また、基板を変形させるための基板変形部材が移動したり変形したりすることにより基板が変形してブリッスルが自動的に拡開したあとで、ブリッスルを自動的に収縮させるときに、基板変形部材がその移動又は変形した軌跡を逆方向にたどって元の位置に復帰してブリッスルが収縮するようにすることもできる。このように構成した場合は、基板変形部材の一定方向への往復運動によりブリッスルを拡開及び収縮できるから、さらに簡単な構造でヘアブラシを製造できる。
【0014】
請求項3は、可動部材が基板の裏面に結合され、その可動部材が把持部材の開閉と共に移動しながら基板を変形させることによりブリッスルを拡開させ又はブリッスルを収縮させる構成である。可動部材が基板の裏面に結合されているので、基板を確実に変形させることができ、特に拡開しているブリッスルを確実に収縮させることができる。
【0015】
請求項4は、本体と把持部材はヒンジ結合され、前記可動部材はヒンジ軸と平行な軸線のまわりに旋回可能にヘアブラシに取り付けられ、その可動部材の端部が基板の裏面と結合しており、可動部材の旋回によって可動部材の端部が上昇又は下降して基板を変形させる構成である。前述したように特許文献1の押圧部材は把持部材と共にヒンジ軸を中心に回転する構造であったから、把持部材を閉じたときに押圧部材が折り畳んだヘアブラシの延長方向に突出して邪魔であり、ヘアブラシの折り畳み効果が半減していた。請求項4の可動部材は特許文献1の押圧部材に相当する部材であるが、その可動部材はヒンジ軸を中心に回転する構造でなく、ヒンジ軸の周りを旋回する構造である。したがって、その旋回は基板の裏側で行うことが可能であるから、把持部材を閉じたときも可動部材が折り畳んだヘアブラシの延長方向に突出することがなく、コンパクトな折り畳み式ヘアブラシを提供することができる。
【0016】
請求項5は、可動部材がアームと基部とから成り、アームが基板と本体の底面部との間に存在している状態で可動部材が旋回する構成である。したがって、本体の底面部を全面的に閉じても可動部材が旋回するから、本体の底面部を全面的に閉じることができる。これにより、本体の底面部から埃などが侵入することがなく、ヘアブラシ全体を洗練された外観にすることもできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の折り畳み式ヘアブラシ1を開いて使用状態とした斜視図である。ヘアブラシ1は、本体2と、基板3と、ブリッスル4と、把持部材5を含む。さらに、本発明のヘアブラシ1は、図7に示すように可動部材6を含む。本体2と把持部材5はヒンジ結合され、折り畳むことができる。
【0018】
本体2は、中空でほぼ矩形に形成されており、端部に蓋36が取り付けられている。本体2の両側面部8,8は共に断面がコ字形に形成されることにより、両側面部8,8の内面の長さ方向に条溝45,45が形成されている。この条溝45,45は、基板3を取り付けるためのものである。本体2のヒンジ側の端部には、ヒンジを構成する第一軸受9と第二軸受10と、さらにそれらの内側に凹面38、39が設けられている。また、本体2の底面部35のヒンジ側端部から長さ方向に凹所37が設けられている。この凹所37の凹所面43に可動部材6がこすれながら旋回しつつ基板3を裏面から押圧する。
【0019】
基板3は、合成樹脂などの弾力性のある材料で形成されており、その表面に多数のブリッスル4が一体に設けられている。ブリッスル4は基板3と一体でなく接着によるものでも植毛によるものでもよい。図3又は図4に示すように、基板3は薄板状に形成され、形状はほぼ矩形をなす。基板3の長さ方向の両側に丸棒状の棒状縁部7,7が一体に設けられている。この棒状縁部7,7は、本体2に設けられた条溝45,45に緩やかに嵌め込まれている。図3に示すように、把持部材5が閉じられた状態で基板3は下方すなわち本体2の底面部35側に凸の弧状をなすように曲がり、基板3に設けられたブリッスル4はブリッスル同士が近づく収縮状態にある。また、把持部材5の内面が弧状であり、収縮したブリッスル4の先端がこの弧状内面に接触してブリッスル4の収縮状態を適切に維持する。基板3は弾力性のある材料で形成されており、且つ棒状縁部7,7は条溝45,45に緩やかに嵌め込まれているので、基板3は図4に示すように上方すなわち本体2の底面部35から離れる方向に凸の弧状をなすように撓むことができる。このとき、基板3に設けられたブリッスル4はブリッスル同士が離れるように拡開する。したがって、図3はヘアブラシ1を使用しない状態を示し、図4はヘアブラシ1を使用する状態を示している。
【0020】
把持部材5は、中空でほぼ矩形に形成されており、端部に蓋40が取り付けられている。把持部材5のヒンジ側の端部には、ヒンジを構成する第三軸受11と第四軸受12と、さらにそれらの外側に凹面41,42が設けられている。把持部材5は両側面部44,44を有しており、把持部材5を閉じたときに把持部材5の両側面部44,44と本体2の両側面部8,8が密接し、把持部材5の蓋40と本体2の蓋36が密接するので、ヘアブラシ1の内部に埃が入り込まない。また、把持部材5の両側面部44,44と本体2の両側面部8,8が密接することにより、ヘアブラシ1は折り畳み状態を維持することができ、外から押す力などが加わったときもつぶれたりすることがなく、ブリッスル4の変形や破損を防止できる。
【0021】
次に、把持部材5を本体2に対して開閉可能にする構造について説明する。把持部材5を本体2に対して開閉可能にする手段はヒンジ構造である。図5は、そのヒンジ構造の分解図である。図5において、ヒンジ構造の対象となる部材又は部分は、本体2に設けられた第一軸受9及び第二軸受10と、把持部材5に設けられた第三軸受11及び第四軸受12と、ヒンジ軸13と、ヒンジユニット14である。連結軸28は可動部材6を連結するためのものであって、ヒンジ構造の対象ではない。本体2と把持部材5がヒンジ結合されるとき、第三軸受11と第四軸受12は、第一軸受9と第二軸受10との間に位置する。本体2のヒンジ部分に設けられた円弧状の凹面38,39、及び把持部材5のヒンジ部分に設けられた円弧状の凹面41,42は、それぞれヒンジを円滑に回転するためのものである。
【0022】
ヒンジ軸13を挿通するための軸孔として、第一軸受9に第一軸孔15が設けられ、第三軸受11には図6に示すように第三軸孔17が設けられている。ヒンジ軸13は、第一軸孔15を通って第三軸孔17まで挿通されている。ヒンジ軸13が第一軸受9及び第三軸受11に完全に取り付けられたときに、ヒンジ軸13の中心軸線は把持部材5の回転中心を通りヒンジ軸線と一致する。また、ヒンジユニット14を挿通するための軸孔として、第二軸受10に第二軸孔16が設けられ、第四軸受12に第四軸孔18が設けられている。ヒンジユニット14は第二軸孔16を通って第四軸孔18まで挿通されている。ヒンジユニット14が第二軸受10及び第四軸受12に完全に取り付けられたときに、ヒンジユニット14の中心軸線も把持部材5の回転中心を通りヒンジ軸線と一致する。ヒンジユニット14は、把持部材5を開くときに把持部材5が完全に開くやや前でヒンジに回転付勢を与え、その回転付勢により把持部材5が自動的に回転して完全に開くようにするための部品である。また、そのヒンジユニット14は完全に開いた把持部材5を、回転付勢により開いた状態に維持する作用もなす。このヒンジユニット14は把持部材5が閉じるときも同様の作用をなす。ヒンジユニット14は公知の部品であって、携帯電話の蓋が完全に開く瞬間にヒンジに回転付勢を与えて自動的に勢いよく開くようにするための部品と同じものであり、公知の構造である。以上述べた本体2と把持部材5の結合構造により把持部材5は本体2に対し開閉自在であって、把持部材5が完全に開くやや前にヒンジユニット14が与える回転付勢によって把持部材5は自動的に開く。なお、符号19は取り付けたヒンジユニット14の端部を覆う蓋である。
【0023】
次に、図3に示すようにブリッスル4が収縮した状態から、図4に示すように基板2が上方に凸の弧状をなすように撓んでブリッスル4が拡開して使用状態とし、さらにその使用状態から元の収縮した状態に復帰する構成について説明する。基板3を直接的に変形させる部材は、図7に示す可動部材6である。可動部材6は合成樹脂で一体に形成されている。可動部材6は、く字形に曲がっており、その屈曲点20よりも前方すなわち図7で左側にあるアーム21と後方すなわち図7で右側にある基部22とから成る。アーム21の端部は基板3の裏面23に設けられた結合突起24と軸25を中心に回動可能に結合されている。また、基部22には連結用軸孔26が設けられている。この連結用軸孔26と、把持部材5の第三軸受11に設けられた連結用軸孔27と、第四軸受12に設けられた連結用軸孔46とに連結軸28を挿通することによって、可動部材6の基部22が第三軸受11と第四軸受12に連結される。なお、符号33は、可動部材6の屈曲点20に設けられた突起であって、可動部材6の移動を安定させるためのものである。
【0024】
ヘアブラシ1が組み立てられたときに、図1に示すようにヒンジ部分において最も外側に本体2の第一軸受9と第二軸受10が位置し、その内側に把持部材5の第三軸受11と第四軸受12が位置し、最も内側である中央に可動部材6の基部22が位置する。把持部材5を開いて使用状態としたときの全長は約170mmである。折り畳んだときの長さ方向の長さは約90mmであり、幅は約36mmであり、最大厚みは約25mmである。ただし、本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0025】
図10は、図5に示された第三軸受11の内面29を表した図である。図5は把持部材5が本体2に対して開いた状態の分解図であり、この把持部材5が開いた状態で内面29の頂点30は図10に示すように右下に存在する。符号31はヒンジ軸線、すなわち把持部材5の回転中心を表示したものである。このことから、連結用軸孔27は回転中心31から偏倚していることが理解できる。連結用軸孔46も同様である。図9は、把持部材5を閉じたときの第三軸受11の内面29を表した図である。把持部材5は開閉により180度回転するから、第三軸受11の内面29も第9図から第10図の状態になるまで180度回転している。頂部30の位置の変化が把持部材5の動きを示している。把持部材5を閉じた状態の図9から把持部材5を開くと、連結用軸孔27は半円32上を矢印方向に移動して図10の位置となる。連結用軸孔27と連結用軸孔46と可動部材6の連結用軸孔26に連結軸28が挿通されていて、可動部材6の基部22を把持部材5の第三軸受11と第四軸受12に連結している。したがって、把持部材5を閉じた状態から徐々に開いていくと、図9に示すように連結用軸孔27は半円32上を円運動し、同時に連結軸28及び可動部材6の連結用軸孔26も連結用軸孔27と位置を同じくして円運動する。また、連結用軸孔46も同様に円運動する。可動部材6はこのように移動するので、可動部材6は連結用軸孔26に挿通された連結軸28に対して相対的に回転するが、連結軸28自身が回転中心31を中心に円運動している。したがって、可動部材6の運動は回転中心31を中心とした回転運動とはならず、可動部材6は回転中心31のまわりで旋回運動をする。
【0026】
この可動部材6の旋回運動は図11及び図12に表されている。図11は把持部材5を閉じた状態である。したがって、可動部材6の連結用軸孔26は、図9の連結用軸孔27の位置にある。図12は把持部材5を開いた状態である。したがって、可動部材6の連結用軸孔26は、図10の連結用軸孔27の位置にある。図9に示したように、連結用軸孔27は把持部材5を開いたときに移動後の連結用軸孔34に移動する。これにより、連結用軸孔27は移動後にやや下方すなわち図9で下方向で、やや前方すなわち図9で左方向に位置を変える。連結用軸孔26も同様である。したがって、可動部材6の連結用軸孔26も同じように移動する。可動部材6の連結用軸孔26が下がるときに、可動部材6の屈曲点20は本体2の凹所面43に当たって下がることができない。そこで、可動部材6は屈曲点20が下がらないことの反作用として基板3を押圧する。ここで、可動部材6は旋回運動を開始し、可動部材6の屈曲点20が凹所面43上をこすれながらやや前方に移動しつつ、可動部材6は屈曲点20を支点とする梃子運動によりそのアーム21の端部が上昇して基板3を裏面から押圧するのである。そして、裏面から押圧された基板3は上側に凸状に変形して突出する。これにより、図4に示すようにブリッスル4は拡開する。この際、前述したように連結用軸孔27及び連結用軸孔46は移動後にやや下方でやや前方に位置を変えるから、押圧され変形した基板3もやや前方に移動することになる。上側に凸状に突出した基板3は、ヒンジユニット14の作用及び可動部材の屈曲点20と本体2の凹所面43の摩擦力により、基板3自身の弾力で元の位置に戻ることはない。
【0027】
以上の操作により、把持部材5を開くと自動的にブリッスル4が拡開しヘアブラシとして使用することができる。使用後は把持部材5を閉じるのであるが、把持部材5を閉じると共に可動部材6は把持部材5を開くときと反対の方向に旋回し基板3を引き下げる。これによりブリッスル4は自動的に収縮する。このように、ブリッスル4を拡開させ、又は収縮させるための作用はすべて本体2の底面部35と基板3との間で行われる。したがって、底面部35が本体2の底面を全面的に覆う構造とすれば、その底面から本体2の内部に埃が入らない。ただし、ブリッスル4が拡開し収縮することができれば、底面部35が本体2の底面の全面を覆わなくてもよい。例えば、可動部材6を用いたときに、それとこすれあう本体2の凹所面43が確保できればよい。
【0028】
図1及び図2に示すように、本体2及び把持部材5は携帯電話機の外形に似た形状である。したがって、携帯電話機と同じように携帯に適した形状である。また、あたかもおしゃれな携帯電話機を操作するような感覚で使用することができる。人前で使用するときにはそのおしゃれな形状で人目を引くことができる。
【0029】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、本体2及び把持部材5を透明としてブリッスル4が外側から目視でき、あるいはブリッスル4が収縮状態から拡開状態に変化する構造を目視できるようにしてもよい。また、把持部材5を開く際に、ブリッスル4に薬剤や芳香剤や整髪剤を供給する装置を設けてもよい。また、把持部材5を開くときに自動的にブリッスル4を加温する装置を設けてもよい。さらに、把持部材5の開閉に合わせて音を出したり点灯したりする装置を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】把持部材を開いた本発明の斜視図
【図2】把持部材を閉じた本発明の側面図
【図3】図2におけるA−A端面図
【図4】把持部材を開いた状態のA−Aの部分の端面図
【図5】本体を左側に置いた状態のヒンジ部分の分解図
【図6】本体を右側に置いた状態のヒンジ部分の分解図
【図7】可動部材とそれに結合された基板の側面図
【図8】可動部材とそれに結合された基板の裏面図
【図9】把持部材を閉じた状態の第三軸受の内面図
【図10】把持部材を開いた状態の第三軸受の内面図
【図11】ブリッスルが収縮している状態を示す断面図
【図12】ブリッスルが拡開している状態を示す断面図
【符号の説明】
【0031】
1 ヘアブラシ
2 本体
3 基板
4 ブリッスル
5 把持部材
6 可動部材
7 棒状縁部
8 本体の側面部
9 第一軸受
10 第二軸受
11 第三軸受
12 第四軸受
13 ヒンジ軸
14 ヒンジユニット
15 第一軸孔
16 第二軸孔
17 第三軸孔
18 第四軸孔
19 蓋
20 屈曲点
21 アーム
22 基部
23 基板の裏面
24 結合突部
25 軸
26 連結用軸孔
27 連結用軸孔
28 連結軸
29 第三軸受の内面
30 頂点
31 回転中心
32 半円
33 突起
34 移動後の連結用軸孔
35 本体の底面部
36 蓋
37 凹所
38 凹面
39 凹面
40 蓋
41 凹面
42 凹面
43 凹所面
44 把持部材の側面部
45 条溝
46 連結用軸孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯に便利な折り畳み式ヘアブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式ヘアブラシであって、把持部材が閉じられているときはブリッスルが収縮しており、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開するヘアブラシは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−257924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、折り畳み式ヘアブラシであって、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮する折り畳み式ヘアブラシを提供することを課題とする。
【0004】
特許文献1に記載されたヘアブラシのように、把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開して使用状態とすることができるヘアブラシは従来から存在する。しかし、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮するヘアブラシは存在しない。
【0005】
特許文献1のヘアブラシは、ヘアブラシの基板の裏面を表面側に向かって押圧するための押圧部材が設けられている。この押圧部材は把持部材の一端に形成されている。そして、この押圧部材は、ヘアブラシを使うために把持部材を開いた状態にしたときに、把持部材と共に回動して基板の裏面を押し上げるように形成されている。押し上げられた基板は表面方向に向かって撓むので、それに連動してブラシが広がりヘアブラシとして使用可能な状態となる構成である。
【0006】
また、特許文献1の本体と把持部材は支軸によってヒンジ結合されている。そして、押圧部材は把持部材の一端に形成されていて、把持部材と共に支軸を中心として回動し基板の裏面を押し上げる構成である。押圧部材が基板を押し上げる作用をしているときは、押圧部材は支軸を通る縦方向の垂直線を中心として本体側に存在している。そして、把持部材を閉じるときはその回転と共に押圧部材も回転し、把持部材を完全に閉じたときに押圧部材は支軸を通る縦方向の垂直線を中心として本体と反対側に突出する。このような構造であるから、閉じられている把持部材を開いて使用状態にするときに、押圧部材は支軸を通る縦方向の垂直線を越えて基板の裏側に到達して押圧する。したがって、押圧部材が基板の裏側に接触して押圧するために、基板の裏面を覆う部材があってはならない。押圧部材がその部材に当たって基板の裏面に到達しないからである。このために、基板の裏面は本体の底面から剥き出し状態であり、把持部材を閉じても埃などがブラシ内に侵入してしまうという欠点がある。また、押圧部材が本体と反対側に突出するので携帯時に邪魔であり、バッグから取り出すときなどに引っ掛かるおそれもある。そこで、本発明は、本体と把持部材を折り畳んだときに本体の底面から埃が侵入することがなく、邪魔な突出部の存在しない洗練された外観を有する折り畳み式ヘアブラシをも提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は、本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有する構成である。
【0008】
請求項2は、把持部材を開くときに基板が変形し表面側に凸状に突出してブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときに基板が元の位置に戻ってブリッスルが自動的に収縮する要素が請求項1に付加された構成である。
【0009】
請求項3は、可動部材が基板の裏面に結合され、その可動部材が把持部材の開閉と共に移動しながら基板を変形させることによりブリッスルを拡開させ又はブリッスルを収縮させる要素が請求項1又は請求項2のいずれか一項に付加された構成である。
【0010】
請求項4は、本体と把持部材はヒンジ結合され、前記可動部材はヒンジ軸と平行な軸線のまわりに旋回可能にヘアブラシに取り付けられ、その可動部材の端部が基板の裏面と結合しており、可動部材の旋回によって可動部材の端部が上昇又は下降して基板を変形させる要素が請求項3に付加された構成である。
【0011】
請求項5は、可動部材がアームと基部とから成り、アームが基板と本体の底面部との間に存在している状態で可動部材が旋回する要素が請求項4に付加された構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1は、本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有する構成である。したがって、従来のように把持部材を開くときにブリッスルが自動的に拡開すると共に、把持部材を閉じるときにもブリッスルが自動的に収縮するので取り扱いに便利である。従来の折り畳み式ヘアブラシは、把持部材を閉じるときにブリッスルが自動的に収縮せず、指でブリッスルを本体内に押し込めていたので面倒であったが、本発明はそのような面倒さがなく使いやすい。
【0013】
請求項2は、把持部材を開くときに基板が変形し表面側に凸状に突出してブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときに基板が元の位置に戻ってブリッスルが自動的に収縮する構成である。すなわち、基板を変形させてブリッスルを自動的に拡開し又は変形した基板を元の位置に戻すことでブリッスルを自動的に収縮するので構造を簡単なものにすることができる。また、基板を変形させるための基板変形部材が移動したり変形したりすることにより基板が変形してブリッスルが自動的に拡開したあとで、ブリッスルを自動的に収縮させるときに、基板変形部材がその移動又は変形した軌跡を逆方向にたどって元の位置に復帰してブリッスルが収縮するようにすることもできる。このように構成した場合は、基板変形部材の一定方向への往復運動によりブリッスルを拡開及び収縮できるから、さらに簡単な構造でヘアブラシを製造できる。
【0014】
請求項3は、可動部材が基板の裏面に結合され、その可動部材が把持部材の開閉と共に移動しながら基板を変形させることによりブリッスルを拡開させ又はブリッスルを収縮させる構成である。可動部材が基板の裏面に結合されているので、基板を確実に変形させることができ、特に拡開しているブリッスルを確実に収縮させることができる。
【0015】
請求項4は、本体と把持部材はヒンジ結合され、前記可動部材はヒンジ軸と平行な軸線のまわりに旋回可能にヘアブラシに取り付けられ、その可動部材の端部が基板の裏面と結合しており、可動部材の旋回によって可動部材の端部が上昇又は下降して基板を変形させる構成である。前述したように特許文献1の押圧部材は把持部材と共にヒンジ軸を中心に回転する構造であったから、把持部材を閉じたときに押圧部材が折り畳んだヘアブラシの延長方向に突出して邪魔であり、ヘアブラシの折り畳み効果が半減していた。請求項4の可動部材は特許文献1の押圧部材に相当する部材であるが、その可動部材はヒンジ軸を中心に回転する構造でなく、ヒンジ軸の周りを旋回する構造である。したがって、その旋回は基板の裏側で行うことが可能であるから、把持部材を閉じたときも可動部材が折り畳んだヘアブラシの延長方向に突出することがなく、コンパクトな折り畳み式ヘアブラシを提供することができる。
【0016】
請求項5は、可動部材がアームと基部とから成り、アームが基板と本体の底面部との間に存在している状態で可動部材が旋回する構成である。したがって、本体の底面部を全面的に閉じても可動部材が旋回するから、本体の底面部を全面的に閉じることができる。これにより、本体の底面部から埃などが侵入することがなく、ヘアブラシ全体を洗練された外観にすることもできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の折り畳み式ヘアブラシ1を開いて使用状態とした斜視図である。ヘアブラシ1は、本体2と、基板3と、ブリッスル4と、把持部材5を含む。さらに、本発明のヘアブラシ1は、図7に示すように可動部材6を含む。本体2と把持部材5はヒンジ結合され、折り畳むことができる。
【0018】
本体2は、中空でほぼ矩形に形成されており、端部に蓋36が取り付けられている。本体2の両側面部8,8は共に断面がコ字形に形成されることにより、両側面部8,8の内面の長さ方向に条溝45,45が形成されている。この条溝45,45は、基板3を取り付けるためのものである。本体2のヒンジ側の端部には、ヒンジを構成する第一軸受9と第二軸受10と、さらにそれらの内側に凹面38、39が設けられている。また、本体2の底面部35のヒンジ側端部から長さ方向に凹所37が設けられている。この凹所37の凹所面43に可動部材6がこすれながら旋回しつつ基板3を裏面から押圧する。
【0019】
基板3は、合成樹脂などの弾力性のある材料で形成されており、その表面に多数のブリッスル4が一体に設けられている。ブリッスル4は基板3と一体でなく接着によるものでも植毛によるものでもよい。図3又は図4に示すように、基板3は薄板状に形成され、形状はほぼ矩形をなす。基板3の長さ方向の両側に丸棒状の棒状縁部7,7が一体に設けられている。この棒状縁部7,7は、本体2に設けられた条溝45,45に緩やかに嵌め込まれている。図3に示すように、把持部材5が閉じられた状態で基板3は下方すなわち本体2の底面部35側に凸の弧状をなすように曲がり、基板3に設けられたブリッスル4はブリッスル同士が近づく収縮状態にある。また、把持部材5の内面が弧状であり、収縮したブリッスル4の先端がこの弧状内面に接触してブリッスル4の収縮状態を適切に維持する。基板3は弾力性のある材料で形成されており、且つ棒状縁部7,7は条溝45,45に緩やかに嵌め込まれているので、基板3は図4に示すように上方すなわち本体2の底面部35から離れる方向に凸の弧状をなすように撓むことができる。このとき、基板3に設けられたブリッスル4はブリッスル同士が離れるように拡開する。したがって、図3はヘアブラシ1を使用しない状態を示し、図4はヘアブラシ1を使用する状態を示している。
【0020】
把持部材5は、中空でほぼ矩形に形成されており、端部に蓋40が取り付けられている。把持部材5のヒンジ側の端部には、ヒンジを構成する第三軸受11と第四軸受12と、さらにそれらの外側に凹面41,42が設けられている。把持部材5は両側面部44,44を有しており、把持部材5を閉じたときに把持部材5の両側面部44,44と本体2の両側面部8,8が密接し、把持部材5の蓋40と本体2の蓋36が密接するので、ヘアブラシ1の内部に埃が入り込まない。また、把持部材5の両側面部44,44と本体2の両側面部8,8が密接することにより、ヘアブラシ1は折り畳み状態を維持することができ、外から押す力などが加わったときもつぶれたりすることがなく、ブリッスル4の変形や破損を防止できる。
【0021】
次に、把持部材5を本体2に対して開閉可能にする構造について説明する。把持部材5を本体2に対して開閉可能にする手段はヒンジ構造である。図5は、そのヒンジ構造の分解図である。図5において、ヒンジ構造の対象となる部材又は部分は、本体2に設けられた第一軸受9及び第二軸受10と、把持部材5に設けられた第三軸受11及び第四軸受12と、ヒンジ軸13と、ヒンジユニット14である。連結軸28は可動部材6を連結するためのものであって、ヒンジ構造の対象ではない。本体2と把持部材5がヒンジ結合されるとき、第三軸受11と第四軸受12は、第一軸受9と第二軸受10との間に位置する。本体2のヒンジ部分に設けられた円弧状の凹面38,39、及び把持部材5のヒンジ部分に設けられた円弧状の凹面41,42は、それぞれヒンジを円滑に回転するためのものである。
【0022】
ヒンジ軸13を挿通するための軸孔として、第一軸受9に第一軸孔15が設けられ、第三軸受11には図6に示すように第三軸孔17が設けられている。ヒンジ軸13は、第一軸孔15を通って第三軸孔17まで挿通されている。ヒンジ軸13が第一軸受9及び第三軸受11に完全に取り付けられたときに、ヒンジ軸13の中心軸線は把持部材5の回転中心を通りヒンジ軸線と一致する。また、ヒンジユニット14を挿通するための軸孔として、第二軸受10に第二軸孔16が設けられ、第四軸受12に第四軸孔18が設けられている。ヒンジユニット14は第二軸孔16を通って第四軸孔18まで挿通されている。ヒンジユニット14が第二軸受10及び第四軸受12に完全に取り付けられたときに、ヒンジユニット14の中心軸線も把持部材5の回転中心を通りヒンジ軸線と一致する。ヒンジユニット14は、把持部材5を開くときに把持部材5が完全に開くやや前でヒンジに回転付勢を与え、その回転付勢により把持部材5が自動的に回転して完全に開くようにするための部品である。また、そのヒンジユニット14は完全に開いた把持部材5を、回転付勢により開いた状態に維持する作用もなす。このヒンジユニット14は把持部材5が閉じるときも同様の作用をなす。ヒンジユニット14は公知の部品であって、携帯電話の蓋が完全に開く瞬間にヒンジに回転付勢を与えて自動的に勢いよく開くようにするための部品と同じものであり、公知の構造である。以上述べた本体2と把持部材5の結合構造により把持部材5は本体2に対し開閉自在であって、把持部材5が完全に開くやや前にヒンジユニット14が与える回転付勢によって把持部材5は自動的に開く。なお、符号19は取り付けたヒンジユニット14の端部を覆う蓋である。
【0023】
次に、図3に示すようにブリッスル4が収縮した状態から、図4に示すように基板2が上方に凸の弧状をなすように撓んでブリッスル4が拡開して使用状態とし、さらにその使用状態から元の収縮した状態に復帰する構成について説明する。基板3を直接的に変形させる部材は、図7に示す可動部材6である。可動部材6は合成樹脂で一体に形成されている。可動部材6は、く字形に曲がっており、その屈曲点20よりも前方すなわち図7で左側にあるアーム21と後方すなわち図7で右側にある基部22とから成る。アーム21の端部は基板3の裏面23に設けられた結合突起24と軸25を中心に回動可能に結合されている。また、基部22には連結用軸孔26が設けられている。この連結用軸孔26と、把持部材5の第三軸受11に設けられた連結用軸孔27と、第四軸受12に設けられた連結用軸孔46とに連結軸28を挿通することによって、可動部材6の基部22が第三軸受11と第四軸受12に連結される。なお、符号33は、可動部材6の屈曲点20に設けられた突起であって、可動部材6の移動を安定させるためのものである。
【0024】
ヘアブラシ1が組み立てられたときに、図1に示すようにヒンジ部分において最も外側に本体2の第一軸受9と第二軸受10が位置し、その内側に把持部材5の第三軸受11と第四軸受12が位置し、最も内側である中央に可動部材6の基部22が位置する。把持部材5を開いて使用状態としたときの全長は約170mmである。折り畳んだときの長さ方向の長さは約90mmであり、幅は約36mmであり、最大厚みは約25mmである。ただし、本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0025】
図10は、図5に示された第三軸受11の内面29を表した図である。図5は把持部材5が本体2に対して開いた状態の分解図であり、この把持部材5が開いた状態で内面29の頂点30は図10に示すように右下に存在する。符号31はヒンジ軸線、すなわち把持部材5の回転中心を表示したものである。このことから、連結用軸孔27は回転中心31から偏倚していることが理解できる。連結用軸孔46も同様である。図9は、把持部材5を閉じたときの第三軸受11の内面29を表した図である。把持部材5は開閉により180度回転するから、第三軸受11の内面29も第9図から第10図の状態になるまで180度回転している。頂部30の位置の変化が把持部材5の動きを示している。把持部材5を閉じた状態の図9から把持部材5を開くと、連結用軸孔27は半円32上を矢印方向に移動して図10の位置となる。連結用軸孔27と連結用軸孔46と可動部材6の連結用軸孔26に連結軸28が挿通されていて、可動部材6の基部22を把持部材5の第三軸受11と第四軸受12に連結している。したがって、把持部材5を閉じた状態から徐々に開いていくと、図9に示すように連結用軸孔27は半円32上を円運動し、同時に連結軸28及び可動部材6の連結用軸孔26も連結用軸孔27と位置を同じくして円運動する。また、連結用軸孔46も同様に円運動する。可動部材6はこのように移動するので、可動部材6は連結用軸孔26に挿通された連結軸28に対して相対的に回転するが、連結軸28自身が回転中心31を中心に円運動している。したがって、可動部材6の運動は回転中心31を中心とした回転運動とはならず、可動部材6は回転中心31のまわりで旋回運動をする。
【0026】
この可動部材6の旋回運動は図11及び図12に表されている。図11は把持部材5を閉じた状態である。したがって、可動部材6の連結用軸孔26は、図9の連結用軸孔27の位置にある。図12は把持部材5を開いた状態である。したがって、可動部材6の連結用軸孔26は、図10の連結用軸孔27の位置にある。図9に示したように、連結用軸孔27は把持部材5を開いたときに移動後の連結用軸孔34に移動する。これにより、連結用軸孔27は移動後にやや下方すなわち図9で下方向で、やや前方すなわち図9で左方向に位置を変える。連結用軸孔26も同様である。したがって、可動部材6の連結用軸孔26も同じように移動する。可動部材6の連結用軸孔26が下がるときに、可動部材6の屈曲点20は本体2の凹所面43に当たって下がることができない。そこで、可動部材6は屈曲点20が下がらないことの反作用として基板3を押圧する。ここで、可動部材6は旋回運動を開始し、可動部材6の屈曲点20が凹所面43上をこすれながらやや前方に移動しつつ、可動部材6は屈曲点20を支点とする梃子運動によりそのアーム21の端部が上昇して基板3を裏面から押圧するのである。そして、裏面から押圧された基板3は上側に凸状に変形して突出する。これにより、図4に示すようにブリッスル4は拡開する。この際、前述したように連結用軸孔27及び連結用軸孔46は移動後にやや下方でやや前方に位置を変えるから、押圧され変形した基板3もやや前方に移動することになる。上側に凸状に突出した基板3は、ヒンジユニット14の作用及び可動部材の屈曲点20と本体2の凹所面43の摩擦力により、基板3自身の弾力で元の位置に戻ることはない。
【0027】
以上の操作により、把持部材5を開くと自動的にブリッスル4が拡開しヘアブラシとして使用することができる。使用後は把持部材5を閉じるのであるが、把持部材5を閉じると共に可動部材6は把持部材5を開くときと反対の方向に旋回し基板3を引き下げる。これによりブリッスル4は自動的に収縮する。このように、ブリッスル4を拡開させ、又は収縮させるための作用はすべて本体2の底面部35と基板3との間で行われる。したがって、底面部35が本体2の底面を全面的に覆う構造とすれば、その底面から本体2の内部に埃が入らない。ただし、ブリッスル4が拡開し収縮することができれば、底面部35が本体2の底面の全面を覆わなくてもよい。例えば、可動部材6を用いたときに、それとこすれあう本体2の凹所面43が確保できればよい。
【0028】
図1及び図2に示すように、本体2及び把持部材5は携帯電話機の外形に似た形状である。したがって、携帯電話機と同じように携帯に適した形状である。また、あたかもおしゃれな携帯電話機を操作するような感覚で使用することができる。人前で使用するときにはそのおしゃれな形状で人目を引くことができる。
【0029】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、本体2及び把持部材5を透明としてブリッスル4が外側から目視でき、あるいはブリッスル4が収縮状態から拡開状態に変化する構造を目視できるようにしてもよい。また、把持部材5を開く際に、ブリッスル4に薬剤や芳香剤や整髪剤を供給する装置を設けてもよい。また、把持部材5を開くときに自動的にブリッスル4を加温する装置を設けてもよい。さらに、把持部材5の開閉に合わせて音を出したり点灯したりする装置を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】把持部材を開いた本発明の斜視図
【図2】把持部材を閉じた本発明の側面図
【図3】図2におけるA−A端面図
【図4】把持部材を開いた状態のA−Aの部分の端面図
【図5】本体を左側に置いた状態のヒンジ部分の分解図
【図6】本体を右側に置いた状態のヒンジ部分の分解図
【図7】可動部材とそれに結合された基板の側面図
【図8】可動部材とそれに結合された基板の裏面図
【図9】把持部材を閉じた状態の第三軸受の内面図
【図10】把持部材を開いた状態の第三軸受の内面図
【図11】ブリッスルが収縮している状態を示す断面図
【図12】ブリッスルが拡開している状態を示す断面図
【符号の説明】
【0031】
1 ヘアブラシ
2 本体
3 基板
4 ブリッスル
5 把持部材
6 可動部材
7 棒状縁部
8 本体の側面部
9 第一軸受
10 第二軸受
11 第三軸受
12 第四軸受
13 ヒンジ軸
14 ヒンジユニット
15 第一軸孔
16 第二軸孔
17 第三軸孔
18 第四軸孔
19 蓋
20 屈曲点
21 アーム
22 基部
23 基板の裏面
24 結合突部
25 軸
26 連結用軸孔
27 連結用軸孔
28 連結軸
29 第三軸受の内面
30 頂点
31 回転中心
32 半円
33 突起
34 移動後の連結用軸孔
35 本体の底面部
36 蓋
37 凹所
38 凹面
39 凹面
40 蓋
41 凹面
42 凹面
43 凹所面
44 把持部材の側面部
45 条溝
46 連結用軸孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有することを特徴とするヘアブラシ。
【請求項2】
把持部材を開くときに基板が変形し表面側に凸状に突出してブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときに基板が元の位置に戻ってブリッスルが自動的に収縮する請求項1記載のヘアブラシ。
【請求項3】
可動部材が基板の裏面に結合され、その可動部材が把持部材の開閉と共に移動しながら基板を変形させることによりブリッスルを拡開させ又はブリッスルを収縮させる請求項1又は請求項2のいずれか一項記載のヘアブラシ。
【請求項4】
本体と把持部材はヒンジ結合され、前記可動部材はヒンジ軸と平行な軸線のまわりに旋回可能にヘアブラシに取り付けられ、その可動部材の端部が基板の裏面と結合しており、可動部材の旋回によって可動部材の端部が上昇又は下降して基板を変形させる請求項3記載のヘアブラシ。
【請求項5】
可動部材はアームと基部とから成り、アームが基板と本体の底面部との間に存在している状態で可動部材が旋回する請求項4記載のヘアブラシ。
【請求項1】
本体と把持部材が開閉可能に結合された折り畳み式ヘアブラシであって、本体に取り付けられた基板の表面にブリッスルが設けられ、把持部材を開くときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが拡開し、且つ把持部材を閉じるときにその把持部材の動きに連動してブリッスルが収縮する手段を有することを特徴とするヘアブラシ。
【請求項2】
把持部材を開くときに基板が変形し表面側に凸状に突出してブリッスルが自動的に拡開し、把持部材を閉じるときに基板が元の位置に戻ってブリッスルが自動的に収縮する請求項1記載のヘアブラシ。
【請求項3】
可動部材が基板の裏面に結合され、その可動部材が把持部材の開閉と共に移動しながら基板を変形させることによりブリッスルを拡開させ又はブリッスルを収縮させる請求項1又は請求項2のいずれか一項記載のヘアブラシ。
【請求項4】
本体と把持部材はヒンジ結合され、前記可動部材はヒンジ軸と平行な軸線のまわりに旋回可能にヘアブラシに取り付けられ、その可動部材の端部が基板の裏面と結合しており、可動部材の旋回によって可動部材の端部が上昇又は下降して基板を変形させる請求項3記載のヘアブラシ。
【請求項5】
可動部材はアームと基部とから成り、アームが基板と本体の底面部との間に存在している状態で可動部材が旋回する請求項4記載のヘアブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−195269(P2009−195269A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36922(P2008−36922)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 貝印株式会社 刊行物名 「New Line−up 2008」と題されたパンフレット 発行年月日 平成19年12月13日
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 貝印株式会社 刊行物名 「New Line−up 2008」と題されたパンフレット 発行年月日 平成19年12月13日
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】
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