説明

折畳みシート積層体

【課題】折畳みシートを1枚ずつ取り出す際の使い勝手などに不具合を生じさせず、包装作業性などを考慮して両側縁部の高さを容易かつ適正に変更することが可能な折畳みシート積層体を提供する。
【解決手段】折畳みシート積層体A1は、上側から下側に向けて、V折りシート1、Z折りシート2、変形Z折りシート3、V折りシート1、Z折りシート2、逆V折りシート1A、逆Z折りシート2A、変形逆Z折りシート3A、逆V折りシート1A、および逆Z折りシート2Aの順序で循環配置され、V折りおよび逆V折りシート1,1Aの上片部10aは、その上側に位置する他のシートの下片部20cまたは30b上に重なり、V折りおよび逆V折りシート1,1Aの下片部10bは、その下側に位置する他の折畳みシートの上片部20aまたは30aの下面側に重なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティシュなどの折畳みシートを積層させた折畳みシート積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェットティシュの積層体の一例として、特許文献1に記載のものがあり、これを図10に示す。同図に示すウェットティシュの積層体Bは、平状シートを折り返して形成された複数の折畳みシート2,2A,3,3Aを有している。これらの折畳みシート2,2A,3,3Aは、より詳しくは、中間片部20bの両側縁部に上片部20aおよび下片部20cが繋がったZ折りシート2、これと左右略対称の逆Z折りシート2A、上片部30aの一側縁に下片部30bが繋がり、かつこの下変部が2つ折りにされた変形Z折りシート3、およびこれと左右略対称の変形逆Z折りシート3Aである。本明細書では、説明の便宜上、折畳みシート2,2A,3,3Aの称呼について、特許文献1とは異なる称呼を用いている。
【0003】
折畳みシート2,2A,3,3Aは、上側から下側に向けて、変形Z折りシート3、逆Z折りシート2A、変形逆Z折りシート3A、およびZ折りシート2の順序で繰り返して並ぶように積層されている。Z折りおよび逆Z折りシート2,2Aは、その上片部20aが変形Z折りおよび変形逆Z折りシート3,3Aの下片部30b上に重ねられ、下片部20cが変形Z折りおよび変形逆Z折りシート3,3Aの上片部30aに重ねられた構成である。
【0004】
このような構成によれば、Z折りおよび逆Z折りシート2,2Aを形成する際のシート折り曲げ位置を変更し、それらの上片部20aや下片部20cの長さを変えると、これら上片部20aや下片部20cと変形Z折りおよび変形逆Z折りシート3,3Aとの重なり幅L1,L2が変更される。このため、積層体Bを包装した状態において、その上側から折畳みシート2,2A,3,3Aを1枚ずつ包装体の外部に取り出す際には、2枚目のシートの一部分のみを包装体の外部に露出させるようにしつつ、この2枚目のシートが1枚目のシートに繋がって外部に取り出されないように設定することが可能となる。
【0005】
しかしながら、前記したウェットティシュの積層体Bにおいては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0006】
すなわち、ウェットティシュの積層体は、たとえばピロー包装機を用いて樹脂製の包装フィルムにより包装された商品形態で提供される。したがって、このような積層体としては、包装作業性が良好なものとすることが望まれる。積層体の包装作業性を良好にするには、たとえば図9(a)に模式的に示す積層体9のように、幅方向両側縁部90の高さHbが幅方向中央部の高さHaと比較して余り高くはなく、両側縁部90が大きく嵩張った状態にならないようにすることが好ましい。ピロー包装機では、包装フィルムの筒状に形成された部分に、積層体9を搬入させるために、この積層体9の両側縁部90が嵩張ったのでは、この両側縁部90が前記包装フィルムに引っ掛かりを生じ、包装不良が発生し易くなるからである。一方、同図(b)に示すように、積層体9は、軟質な包装袋R内に収容されて、保管または運搬時などにおいて、上下多数段に積み重ねられる場合がある。この場合、積層体9が容易に荷崩れしないように、その積み重ね性を良好にすることが望まれる。積層体9の積み重ね性を良好にするには、積層体9の両側縁部90の高さHbと、幅方向中央部の高さHaとの差を小さくして、積層体9の上面をできる限りフラットにする必要がある。このように、ウェットティシュの積層体9においては、包装作業性を良好
にすることや、上下に複数積み重ねる際の積み重ね性を良好にすることなどが求められる場合がある。
【0007】
これに対し、図10に示した従来の積層体Bは、Z折りおよび逆Z折りシート2,2Aの折り曲げ位置を変更しても、前記した重なり幅L1,L2が変更されるに過ぎない。従来の積層体Bにおいては、積層体Bの包装作業性や積み重ね性の兼ね合いなどを考慮して、積層体Bの幅方向両側縁部の高さHを適宜変更することは困難であり、この点において未だ改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3,819,914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、折畳みシートを1枚ずつ取り出す際の使い勝手などに不具合を生じさせることなく、包装作業性や積み重ね作業性などを考慮して両側縁部の高さを容易かつ適正に変更することが可能な折畳みシート積層体を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本発明により提供される折畳みシート積層体は、平状シートを折り返して形成された複数の折畳みシートとして、中間片部の両側縁にこの中間片部よりも幅狭な上片部および下片部が折り返されて繋がったZ折りシートと、このZ折りシートとは左右略対称の逆Z折りシートと、上片部の一側縁に下片部が折り返されて繋がり、かつこの下片部が2つ折りにされて前記上片部よりも幅狭に形成された変形Z折りシートと、この変形Z折りシートとは左右略対称の変形逆Z折りシートと、を備えている、折畳みシート積層体であって、前記複数の折畳みシートとして、平状シートが2つ折りにされて上片部と下片部とを有しているV折りシート、およびこれとは左右略対称の逆V折りシートを、さらに備えており、前記複数の折畳みシートは、上側から下側に向けて、V折りシート、Z折りシート、変形Z折りシート、V折りシート、Z折りシート、逆V折りシート、逆Z折りシート、変形逆Z折りシート、逆V折りシート、および逆Z折りシートの順序で循環配置されており、前記V折りおよび逆V折りシートの上片部は、その上側に位置する他の折畳みシートの下片部上に重なって、その下片部の折り返し部に対して接近または離間した構成とされ、かつ前記V折りおよび逆V折りシートの下片部は、その下側に位置する他の折畳みシートの上片部の下面側に重なって、その上片部の折り返し部に対して接近または離間した構成とされていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
【0013】
第1に、V折りおよび逆V折りシートの折り曲げ位置を変更して、それらの上片部と下片部との幅を変更することにより、折畳みシート積層体の幅方向両側縁部の高さ(厚み)を容易に変更することが可能である。より具体的に説明すると、V折りおよび逆V折りシートは、折り曲げ位置を変更することにより、上片部および下片部のそれぞれの幅を容易に変更することが可能であり(たとえば、上片部を長くすると、その分だけ下片部は短くなる)、たとえばそれら上片部および下片部のいずれか一方を長くした場合、この長くされた上片部または下片部を、Z折りシートや変形Z折りシートなどの他の折畳みシートの幅方向側縁部に位置する所定の折り返し部に接近させることができる。このように設定す
ると、前記所定の折り返し部およびその近傍部分の厚みが大きくなり、その分だけ折畳みシート積層体の幅方向側縁部の高さが高くなる。これとは異なり、たとえばV折りおよび逆V折りシートの上片部および下片部の双方が他の折畳みシートの折り返し部から離間するように設定すると、前記折り返し部およびその近傍部分の厚みが小さくなり、折畳みシート積層体の幅方向側縁部の高さを抑制することができる。このようなことから、本発明によれば、V折りおよび逆V折りシートの上片部および下片部の幅を変更することにより、折畳みシート積層体の両側縁部の高さを容易に変更することが可能である。その結果、本発明では、たとえば折畳みシートの両側縁部の高さの嵩張りを抑制して包装作業性を良くしたり、あるいは両側縁部の高さと幅方向中央部の高さとの差を小さくして上面部をフラットに近い状態として、積み重ね性を良くするといったことが容易に実現できる。
【0014】
第2に、本発明によれば、先に説明した従来技術と比較して、V折りおよび逆V折りシートが追加して設けられているものの、後述する実施形態から理解されるように、各折畳みシートの上片部を、それよりも上側に位置する他の折畳みシートの下片部上に重なるように設定することができる。このため、折畳みシート積層体を包装した状態において、その上側から折畳みシートを1枚ずつ包装体の外部に取り出す際に、2枚目のシートの一部分のみを包装体の外部に適切に露出させるように設定することができる。
【0015】
第3に、V折りおよび逆V折りシートは、Z折りシートや変形Z折りシートと比較して形状が単純であり、折り用機器の構造も簡素である。本発明においては、従来技術の折畳みシート積層体のうち、形状が比較的複雑なZ折りおよび変形Z折りシートなどの一部を、V折りおよび逆V折りシートに差し替えた構成とすればよいために、折畳みシート積層体の製造コストを低減し、また設備コストも廉価にすることが可能である。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記V折りおよび逆V折りシートとして、上片部および下片部が略同一の幅に揃えられて、ともに前記下片部の折り返し部および前記上片部の折り返し部から離間した構成とされたものと、上片部および下片部が異なる幅とされて、それらのいずれか一方が前記下片部の折り返し部または前記上片部の折り返し部に接近した構成とされたものと、を有している
【0017】
このような構成によれば、前記したV折りおよび逆V折りシートのうち、前者の構成のもの(上片部および下片部が略同一の幅に揃えられたもの)と、後者の構成のもの(上片部および下片部が異なる幅とされたもの)のそれぞれの数、あるいはその比率を変更することにより、折畳みシート積層体の両側縁部の高さを容易に変更することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明に係る折畳みシート積層体の一例を示す概略断面図であり、(b)は、(a)のI部拡大断面図である。
【図2】(a),(b)は、図1に示す折畳みシート積層体に用いられているV折りおよび逆V折りシートの断面図である。
【図3】(a),(b)は、V折りおよび逆V折りシートの他の例を示す断面図である。
【図4】(a),(b)は、V折りおよび逆V折りシートの他の例を示す断面図である。
【図5】(a),(b)は、図1に示す折畳みシート積層体に用いられているZ折りおよび逆Z折りシートの断面図である。
【図6】(a),(b)は、図1に示す折畳みシート積層体に用いられているZ折りおよび逆Z折りシートの断面図である。
【図7】(a)は、本発明に係る折畳みシート積層体の他の例を示す概略断面図であり、(b)は、(a)のVII部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る折畳みシート積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図9】(a)は、折畳みシート積層体を模式的に示す説明図であり、(b)は、(a)に示す折畳みシート積層体の包装体を上下に複数積み重ねた状態を模式的に示す説明図である。
【図10】従来技術の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
なお、以降の実施形態において、図10に示した従来技術と同一または類似の要素については、前記従来技術と同一の符号を付している。また、図1、図7、図8については、折畳みシートの種別を明確にすることを目的として、異なる種別の折畳みシートについては、異なる線を用いて表わしている。
【0021】
図1(a)に示す折畳みシート積層体A1は、湿潤液が含浸された紙製または不織布製のウェットティシュとして構成された複数の折畳みシート1〜3,1A〜3Aが後述する一定の順序で上下に積層されたものである。折畳みシート積層体A1は、上面部に取出口50を有する包装袋5内に収容される。包装袋5は、たとえば可撓性を有する樹脂製フィルムからなるが、これに代えて、たとえば硬質の容器を用いることもできる。取出口50は、封緘片(図示略)を用いて閉塞可能であり、ウェットティシュの乾燥防止が図られる。
【0022】
複数の折畳みシート1〜3,1A〜3Aは、具体的には、V折りシート1、Z折りシート2、変形Z折りシート3、逆V折りシート1A、逆Z折りシート2A、および変形逆Z折りシート3Aである。これらの折畳みシート1〜3,1A〜3Aは、いずれも横幅が略同一幅(たとえば、180mm)の平状シートを折り曲げて形成されたものであり、ともに平面視矩形状である。また、図1の紙面と直交する方向における長さは、略同一寸法に揃えられている。
【0023】
Z折りおよび逆Z折りシート2,2Aと、変形Zおよび変形逆Z折りシート3,3Aは、先に述べた従来技術のものと同様な形態である。図5(a)に示すように、Z折りシート2は、偏平なZ状の断面形状であり、幅W1の中間片部20bの左右両側縁部に、折り返し部20a’,20c’を介して、幅W5の上片部20aおよび下片部20cが繋がっている。幅W1は、たとえば100mmであり、幅W5は、たとえば40mmである。図5(b)に示すように、逆Z折りシート2Aは、Z折りシート2と左右略対称な構成(左右反転させたのと同様な構成)である。なお、本実施形態では、上片部20aおよび下片部20cを同一幅W5に揃えているが、これとは異なり、それらの幅を相違させた構成とすることもできる。
【0024】
図6(a)に示すように、変形Z折りシート3は、上側が下側よりも長めとされたZ状の断面形状であり、幅W1の上片部30aの一側縁部に、折り返し部30b’を介して下片部30bが繋がり、かつこの下片部30bは、幅W5の2つ折り状に形成されている。幅W1,W5の具体的な寸法は、たとえば図5に示したW1,W5の具体例と同じである。図6(b)に示すように、変形逆Z折りシート3Aは、変形Z折りシート3と左右略対称な構成である。
【0025】
図2(a)に示すように、V折りシート1は、平面状シートを2つ折りにして形成されたものであり、上片部10aの一側縁部に下片部10bが折り返されて繋がっている。上
片部10aおよび下片部10bは、ともに幅W2であり、同一幅に揃えられている。幅W2は、たとえば90mmである。逆V折りシート1Aは、図2(b)に示すように、V折りシート1と左右略対称な構成である。
【0026】
本発明でいうV折りおよび逆V折りシートとしては、図2に示したV折りおよび逆V折りシート1,1Aに代えて、または加えて、たとえば図3および図4に示すようなものを用いることも可能である。図3(a)に示すV折りシート1’は、上片部10aの幅W3よりも下片部10bの幅W1の方が幅W4だけ大きくなるように形成されている。幅W1は、前記したように、たとえば100mmであるのに対し、幅W3は80mm、幅W4は20mmである(この点は、後述するV折りシート1”も同様)。図3(b)に示す逆V折りシート1A’は、V折りシート1’と左右略対称である。図4(a)に示すV折りシート1”は、V折りシート1’を上下反転させた形態に相当し、上片部10aが幅W1とされ、下片部10bはそれよりも狭い幅W3とされている。図4(b)に示す逆V折りシート1A”は、V折りシート1”と左右略対称である。
【0027】
図1(a)に示す折畳みシート積層体A1においては、その上側から下側に向けて、V折りシート1、Z折りシート2、変形Z折りシート3、V折りシート1、Z折りシート2、逆V折りシート1A、逆Z折りシート2A、変形逆Z折りシート3A、逆V折りシート1A、および逆Z折りシート2Aの順序で循環する配置とされている。図1(a)においては、最上層の折畳みシートがV折りシート1とされているが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、折畳みシート1〜3,1A〜3Aが前記した順序で循環する配置に並べられていればよく、起点となる最上層の折畳みシートをV折りシート1以外のシートとすることが可能である。
【0028】
折畳みシート積層体A1の上から2層目のZ折りシート2を一例に挙げて説明すると、このZ折りシート2の上片部20aは、このZ折りシート2の上側に位置するV折りシート1の下片部10b上に重なっている。このZ折りシート2以外の他の折畳みシート1〜3,1A〜3Aについても、前記と同様に、その上側に位置する他の折畳みシートの下片部上に重なった構造となっている。
【0029】
V折りおよび逆V折りシート1,1Aの上片部10a(最上層のV折りシート1の上片部10aを除く)は、その上側に位置する他の折畳みシートの下片部20c,30bのいずれかの上面側に重なっており、それらの折り返し部20c’,30b’のいずれかに対し、幅W6だけ離間している。W6=W1−W2の関係にあり、幅W6は、たとえば10mmである。一方、V折りおよび逆V折りシート1,1Aの下片部10bは、その下側に位置する他の折畳みシートの上片部20a,30aのいずれかの下面側に重なり、かつそれらの折り返し部20a’,30a’のいずれかに対して、やはり幅W6だけ離間している。
【0030】
次に、前記した折畳みシート積層体A1の作用について説明する。
【0031】
まず、折畳みシート積層体A1は,図10に示した従来技術と比較すると、V折りおよび逆V折りシート1,1Aが追加して設けられているものの、最上層のV折りシート1を除き、これ以外の折畳みシート1〜3,1A〜3Aの上片部10a,20a,30aの全てが、それよりも上側に位置する他の折畳みシートの下片部10b,20c,30b上に重なる構造を有している。このような構造は、折畳みシート1〜3,1A〜3Aを、前述した一定の順序で循環する配置としたことに基づき実現されたものである。前記した構造によれば、折畳みシート1〜3,1A〜3Aをその最上層位置から包装袋5の外部へ1枚ずつ取り出す際に、それに伴って2枚目の折畳みシートの一部分を取出口50の上方に適切に突出させることができる。もちろん、2枚目の折畳みシートが1枚目のシートに繋が
って取り出されないようにすることもできる。このように、この折畳みシート積層体A1では、従来技術と比較して使い勝手が悪くなるといった不具合はない。
【0032】
V折りおよび逆V折りシート1,1Aは、Z折りおよび変形Z折りシート2,3と比較すると、形状が単純であり、これらV折りおよび逆V折りシート1,1Aを形成するためのシート折り畳み用機器の構造も簡素である。折畳みシート積層体A1は、形状が比較的複雑なZ折りおよび変形Z折りシート2、3などの一部を、V折りおよび逆V折りシート1,1Aに差し替えた構成に相当するために、折畳みシート積層体A1の製造コストを低減し、また設備コストを廉価にすることが可能となる。
【0033】
本実施形態では、さらに重要な効果として、次のような効果も得られる。まず、図1(a)のI部の構造を説明すると、この部分においては、V折りシート1の下片部10bが、Z折りシート2の上片部20aと中間片部20bとの間に進入しているものの、下片部10bの先端は、上片部20aの折り返し部20a’から幅W6だけ離間している。このため、Z折りシート2のうち、前記した幅W6に相当する領域、すなわちZ折りシート2の一側縁部は、実際には、図1(b)に示すように、上片部20aと中間片部20bとが互いに密接した偏平状となっており、それらの厚みt1は小さい。
【0034】
V折りおよび逆V折りシート1,1Aは、たとえば計10枚の折畳みシート中に、計4枚存在する割合で設けられており、それらの上片部10aおよび下片部10bが進入している箇所の近傍部分(図1(a)の符号Iで示す箇所以外に、符号Iaで示す部分)においては、いずれも図1(b)に示したのと同様な構造が得られる。したがって、折畳みシート積層体A1の両側縁部40a,40bの高さH1が余り高くならないようにすることができる。図9(a)を参照した先の説明から理解されるように、本実施形態とは異なり、折畳みシート積層体A1の両側縁部40a,40bの高さH1が高くされて、折畳みシート積層体A1の上面の角部が大きく嵩張った場合には、この折畳みシート積層体A1をピロー包装する際に、前記の角部が包装フィルムに引っ掛かりを生じ易くなり、包装作業性が悪くなるが、本実施形態では、そのような不具合を適切に防止または抑制することが可能である。
【0035】
前記したV折りおよび逆V折りシート1,1Aに代えて、図3に示したV折りおよび逆V折りシート1’,1A’を用いることにより、図7(a)に示すような折畳みシート積層体A2を構成することが可能である。この折畳みシート積層体A2においては、たとえば図7(b)に示すように、V折りシート1’の下片部10bが、Z折りシート2の上片部20aと中間片部20bとの間の奥深くまで進入し、折り曲げ部20’に接近している。このため、Z折りシート2の側縁部の厚みt2は、V折りシート1’の下片部10bの厚みが加えられたものとなり、図1(b)で示した厚みt1との関係において、t2>t1となる。
【0036】
前記したように折畳みシートの側縁部が厚みt2となる構造は、図7(a)の符号VIIで示す箇所以外として、符号VIIaで示す箇所においても得られる。このようなことから、折畳みシート積層体A2の構成では、両側縁部40a,40bの高さH2を、図1の高さH1よりも高くすることができる。なお、図4に示したV折りおよび逆V折りシート1”,1A”は、V折りおよび逆V折りシート1’,1A’を上下反転させた形状であるため、V折りおよび逆V折りシート1’,1A’に代えて、V折りおよび逆V折りシート1”,1A”を用いた場合にも、前記したのと同様な作用を得ることが可能である。この点は、次に述べる図8の構成についても同様である。
【0037】
V折りおよび逆V折りシート1,1A,1’,1A’を混在させて使用した場合には、たとえば図8に示すような折畳みシート積層体A3を構成することができる。この場合、
V折りおよび逆V折りシート1,1Aが用いられた箇所においては、図1(b)で示したような構造が得られ、V折りおよび逆V折りシート1’,1A’が用いられた箇所では、図7(b)で示したような構造が得られる。このため、折畳みシート積層体A3の両側縁部40a,40bの高さH3と、前記した折畳みシート積層体A1,A2の高さH1,H2とは、H2>H3>H1の関係とすることができる。
【0038】
以上の説明から理解されるように、折畳みシート積層体A1においては、図2に示すV折りおよび逆V折りシート1,1Aに代えて、または加えて、図3および図4に示したV折りシート1’,1”、および逆V折りシート1A’,1A”のいずれかを用いことにより、両側縁部40a,40bの高さをH1〜H3のいずれにも変更することが可能である。両側縁部40a,40bの高さを低くすれば、ピロー包装作業性が良好となることは既に述べたとおりであるが、複数の積層体A1を上下に積み重ねる際の積み重ね性を良好とすべく、各積層体A1の上面をフラットに近い状態にすることが要望される場合もある。したがって、包装作業性や積み重ね性を考慮し、さらにはそれ以外の様々な条件などを考慮して、両側縁部40a,40bの高さ調整を行なうことが要望されるが、本実施形態の折畳みシート積層体A1(A2,A3)は、そのような要望に容易かつ的確に応えることができる。
【0039】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る折畳みシート積層体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0040】
本発明でいうV折りおよび逆V折りシートは、平状シートが2つ折りにされて上片部と下片部とを有する構成であり、図2〜図4に示した形状とは異なった形状とすることが可能であり、またその具体的なサイズも限定されない。Z折りおよび逆Z折りシートの上片部、中間片部、ならびに下片部や、変形Z折りおよび変形逆Z折りシートの上片部ならびに下片部のそれぞれの具体的なサイズ、あるいはそれらの比率なども、とくに限定されるものではない。本発明においては、複数の折畳みシートの積層体の少なくとも一部分が、本発明の意図する構造に構成されていればよい。一纏めに構成された折畳みシート積層体の中に、本発明が意図する構造が一部分でも含まれている限りは、これとは異なる他の積層構造が別途付加されていたとしても、本発明の技術的範囲に包摂される。
【0041】
本発明でいう折畳みシートとは、ウェットティシュに限らず、湿潤液が含浸されていないドライタイプのティシュなども含む概念である。その材質も、紙以外の合成紙、不織布、織布などとすることが可能であり、限定されない。
【符号の説明】
【0042】
A1〜A3 折畳みシート積層体
1,1A V折りおよび逆V折りシート(折畳みシート)
1’1A’,1”,1A” V折りおよび逆V折りシート(折畳みシート)
2,2A Z折りおよび逆Z折りシート(折畳みシート)
3,3A 変形V折りおよび変形逆Z折りシート(折畳みシート)
10a 上片部(V折りおよび逆V折りシートの)
10b 下片部(V折りおよび逆V折りシートの)
20a 上片部(Z折りおよび逆Z折りシートの)
20a’折り返し部
20b 中間片部(Z折りおよび逆Z折りシートの)
20c 下片部(Z折りおよび逆Z折りシートの)
20c’折り返し部
30a 上片部(変形Zおよび変形逆Z折りシートの)
30b 下片部(変形Zおよび変形逆Z折りシートの)
30b’折り返し部
40a,40b 両側縁部(折畳みシート積層体の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平状シートを折り返して形成された複数の折畳みシートとして、
中間片部の両側縁にこの中間片部よりも幅狭な上片部および下片部が折り返されて繋がったZ折りシートと、
このZ折りシートとは左右略対称の逆Z折りシートと、
上片部の一側縁に下片部が折り返されて繋がり、かつこの下片部が2つ折りにされて前記上片部よりも幅狭に形成された変形Z折りシートと、
この変形Z折りシートとは左右略対称の変形逆Z折りシートと、
を備えている、折畳みシート積層体であって、
前記複数の折畳みシートとして、平状シートが2つ折りにされて上片部と下片部とを有しているV折りシート、およびこれとは左右略対称の逆V折りシートを、さらに備えており、
前記複数の折畳みシートは、上側から下側に向けて、V折りシート、Z折りシート、変形Z折りシート、V折りシート、Z折りシート、逆V折りシート、逆Z折りシート、変形逆Z折りシート、逆V折りシート、および逆Z折りシートの順序で循環配置されており、
前記V折りおよび逆V折りシートの上片部は、その上側に位置する他の折畳みシートの下片部上に重なって、その下片部の折り返し部に対して接近または離間した構成とされ、かつ前記V折りおよび逆V折りシートの下片部は、その下側に位置する他の折畳みシートの上片部の下面側に重なって、その上片部の折り返し部に対して接近または離間した構成とされていることを特徴とする、折畳みシート積層体。
【請求項2】
前記V折りおよび逆V折りシートとして、
上片部および下片部が略同一の幅に揃えられて、ともに前記下片部の折り返し部および前記上片部の折り返し部から離間した構成とされたものと、
上片部および下片部が異なる幅とされて、それらのいずれか一方が前記下片部の折り返し部または前記上片部の折り返し部に接近した構成とされたものと、
を有している、請求項1に記載の折畳みシート積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−152310(P2012−152310A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12678(P2011−12678)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(511022029)カタオカキコー有限会社 (2)