説明

折畳み式スクリーン装置

【解決手段】 折畳み式スクリーン装置は、蝶番手段2によって開閉可能に連結された2枚のパネル部材1と、一端が一方のパネル部材の開放端側に、他端が他方のパネル部材の開放端側に連結されたスクリーン5とを備えており、該スクリーンは両パネル部材1が閉じられた際に内部の収容空間内に収容されるようになっている。上記該スクリーン5の少なくとも一端は、張力付与手段11を介してパネル部材に連結してあり、この張力付与手段は、両パネル部材を開いたときにスクリーンに張力を付与して、該スクリーンを弛みなく張設するようになっている。
【効果】 長期間の使用によってスクリーンに伸びが生じたとしても、上記張力付与手段11によって常にスクリーン5を弛みなく張設することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み式スクリーン装置に関し、より詳しくは、折畳み式スクリーン装置を開いた際にスクリーンを弛みなく張設することができるようにした折畳み式スクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンを折畳めるようにした折畳み式スクリーン装置として、蝶番手段によって開閉可能に連結されるとともに、閉じた際に内部に収容空間を形成する2枚のパネル部材と、一端が一方のパネル部材の開放端側に連結され、他端が他方のパネル部材の開放端側に連結された可撓性を有するスクリーンとを備えており、上記スクリーンを、両パネル部材を閉じたときに上記収容空間に収容し、両パネル部材を開いたときに平面状に展開させるようにしたものが知られている(特許文献1の図7参照)。
【特許文献1】特開平10−186520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記スクリーンを展開した際の張りは、両パネル部材を開くことによって確保されるようになるが、長期間の使用によりスクリーンが伸びてしまうと、両パネル部材を開いてもスクリーンに弛みが生じてしまうという欠点があった。
本発明はそのような事情に鑑み、長期間の使用により仮にスクリーンに伸びが生じても、常に確実にスクリーンを弛みなく張設することができるようにした折畳み式スクリーン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち請求項1の発明は、蝶番手段によって開閉可能に連結されるとともに、閉じた際に内部に収容空間を形成する2枚のパネル部材と、一端が一方のパネル部材の開放端側に連結され、他端が他方のパネル部材の開放端側に連結された可撓性を有するスクリーンとを備え、このスクリーンは、両パネル部材を閉じたときに上記収容空間に収容され、両パネル部材を開いたときに平面状に展開されるようになっている折畳み式スクリーン装置において、
上記スクリーンの少なくとも一端を、上記パネル部材に張力付与手段を介して連結し、この張力付与手段は、両パネル部材を開いたときにスクリーンに張力を付与して、該スクリーンを弛みなく張設することができるようにしたものである。
また請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、上記スクリーンの両端部は、両パネル部材が最大に開いた最大開放位置となる手前の位置で、該両端部と両パネル部材の回転中心とを結ぶ直線A上に位置するようになっており、上記張力付与手段は、両パネル部材が上記手前の位置を越えて上記最大開放位置となってもスクリーンに張力を付与して該スクリーンを弛みなく張設すると同時に、その張力により両パネル部材を最大開放位置に保持することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
上記請求項1の発明によれば、両パネル部材を開いた際には、張力付与手段によってスクリーンに張力が付与されるので、長期間の使用によってスクリーンに伸びが生じたとしても、上記張力によって常にスクリーンを弛みなく張設することができるようになる。
また請求項2の発明によれば、両パネル部材を最大に開いた最大開放位置に位置させた状態においても、スクリーンには張力付与手段の張力が付与されるので、該スクリーンを弛みなく張設することができる。
そしてこれと同時に、上記スクリーンの両端部は、両パネル部材が最大に開いた最大開放位置となる手前の位置で、該両端部と両パネル部材の回転中心とを結ぶ直線A上に位置するようになっており、かつ最大開放位置では上記スクリーンの両端部は上記直線Aを超えているので、上記張力付与手段の張力は両パネル部材をさらに開かせる方向に作用することになる。その結果、張力付与手段の張力は両パネル部材を最大開放位置に保持させるように作用し、したがって両パネル部材は最大開放位置に安定した状態で保持されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1において、折畳み式スクリーン装置は2枚の長方形状のパネル部材1を備えており、この2枚の長方形状のパネル部材1はその長手方向の一側が蝶番手段2によって相互に開閉可能に連結されている。
各パネル部材1はそれぞれ周囲の方形の枠体3と、各枠体3の一側面を覆う蓋体4とを備えており、図2に示すように、蓋体4が外側となるように両パネル部材1を閉じたとき、枠体3の内部にスクリーン5を収容する収容空間を形成することができるようになっている(図3参照)。
上記スクリーン5は柔軟性を有する材質から製造してあり、このスクリーン5の両端部は、両方のパネル部材1における長手方向の他側に、すなわち両パネル部材1を開いたときに相互に離れて開放端となる枠体3の内側に、それぞれ連結してある。そして両パネル部材1を開いた状態では、スクリーン5を例えば28インチスクリーンのように横長の状態で張設できるようにしてある。
【0007】
また、一方のパネル部材1とスクリーン5との間に反転防止手段6を設けてあり、この反転防止手段6によって両パネル部材1を閉じる際に、閉じられる両パネル部材1の外側にスクリーン5の中央部が突出して両パネル部材1内に収容できなくなることがないようにしてある。
図示実施例では、反転防止手段6として長方体形状に形成したスポンジ等の柔軟性部材を利用しており、この柔軟性部材をパネル部材1の内面とスクリーン5の裏面との双方に接着剤などによって固定してある。
【0008】
上記スクリーン5の一方の端部は、断面角型のパイプからなる固定用部材10に固定してあり、この固定用部材10は図示しないねじや接着剤などで一方の枠体3の内側に固定してある。
これに対し上記スクリーン5の他方の端部は、張力付与手段11を介して他方の枠体3の内側に連結してある。この張力付与手段11により、両パネル部材1を開いたときにスクリーン5に張力を付与して、該スクリーン5を弛みなく張設させることができるようにしてある。
【0009】
本実施例では、上記張力付与手段11は、断面角型のパイプからなるテンション用部材12と、このテンション用部材12の上下2箇所に配置したボルトなどの係止部材13と、この係止部材13とテンション用部材12との間に弾装したばねなどの付勢手段14とを備えており、上記スクリーン5の他方の端部は上記テンション用部材12に連結固定してある。
そして上記係止部材13はそれぞれテンション用部材12に摺動自在に貫通させて枠体3に連結固定してあり、それによってテンション用部材12を係止部材13の長手方向に沿って、横長となるスクリーン5の長手方向(図1の矢印方向参照)に進退動できるようにしてある。
また上記付勢手段14は各係止部材13の大径の頭部とテンション用部材12との間に圧縮させて弾装してあり、それによってテンション用部材12を図1における右方(矢印方向)に付勢し、両パネル部材1を開いた際には、スクリーン5に張力を付与することができるようにしてある。
【0010】
ここで上記張力付与手段11の作用を説明すると、上記両パネル部材1を閉じた状態では、上記テンション用部材12は付勢手段14の弾発力により枠体3に弾接された状態となっている。この状態では、スクリーン5は弛んだ状態で両パネル部材1の内部の収容空間に折畳まれて収容されているが、スクリーン5の中央部に折り目が形成されることは無い(図3参照)。
図4に示すように、例えば左方のパネル部材1を固定して右方のパネル部材1を反時計方向に回転させながら両パネル部材1を開いていくとしたとき、両パネル部材1が最大に開かれた最大開放位置P(図4の実線の位置)となる手前の位置Pで、スクリーン5は弛みのある状態から弛みのない状態に張設されるようになる。
この状態となった後、さらに両パネル部材1を開いていくと、スクリーン5の長さは一定であるのに対し、両パネル部材1の両開放端部間の間隔は拡がっていくので、その開放動作に伴ってテンション用部材12は付勢手段14の付勢力に抗して枠体3から離隔し、枠体との間に間隙δが形成されるようになる。
そしてこの間隙δは、スクリーン5の両端部5aが、該両端部5aと両パネル部材1の回転中心すなわち上記蝶番手段2の回転中心Oとを結ぶ直線A上に位置したときに、最大となる(図4の間隙最大位置P参照)。
【0011】
上記両パネル部材1が最大に開かれた最大開放位置Pは、上記直線A上の間隙最大位置Pを越えた位置に設定してあり、両パネル部材1が最大開放位置Pとなると、本実施例では蝶番手段2を取り付けた枠体3の背面3a部分が相互に衝突し、それ以上両パネル部材1を開くことができないようになっている。
上記両パネル部材1が最大開放位置Pに位置された状態においても、テンション用部材12と枠体3との間に間隙δが形成されているように設定してあり、したがってスクリーン5に加わる付勢手段14の弾発力は、スクリーン5に作用してこれを弛みなく張設させた状態に保持するとと同時に、そのスクリーン5に作用する張力は両パネル部材1をさらに開かせる方向に作用するようになる。これにより上記張力は、上記背面3a部分を相互に衝突した状態に保持するようになるので、両パネル部材1は最大開放位置Pに安定した状態で保持されるようになる。
【0012】
本実施例では、上記両パネル部材1の最大開放位置Pは、両パネル部材1がほぼ180度開いた状態に設定してある。そして両パネル部材1を180度開いた状態が、上記直線Aの最大間隙位置Pを越えた位置となるようにするために、両パネル部材1を180度開いた状態で、上記蝶番手段2の回転中心Oがスクリーン5の手前側(視聴者側)となるように、つまりスクリーン5の両端部5aが上記直線Aを越えた位置となるように設定してある。
そしてこの状態で、平面上に張設されたスクリーン5が枠体3に接触することがないように、蝶番手段2を取り付けた側の枠体3を他の部分の枠体3の表面よりも窪ませて逃げ部3b(図1参照)を形成してあり、これによってスクリーン5の中央部分が手前側(視聴者側)に突出されてしまうのを防止している。
【0013】
さらに両パネル部材1を上記最大開放位置Pから閉じる際には、スクリーン5の裏面の一部が反転防止手段6によって一方のパネル部材1の内面に連結されているので、スクリーン5の中央部分が手前側(視聴者側)に大きく突出して両パネル部材1によって挟まれてしまうことがなく、したがって両パネル部材1を閉じることによって確実にスクリーン5を両パネル部材1内に収容することができる。
【0014】
なお上記実施例では、枠体3の背面3a部分を、両パネル部材1の開放を停止させるストッパ手段として用いているが、これに限定されるものではない。このストッパ手段として、例えば枠体3の一方の背面3a部分にねじを螺合して該ねじの頭部を他方の背面3aに当接させて、両パネル部材1の開放を停止させるようにしてもよい。この場合には、ねじの螺合量を調整することにより、両パネル部材1が最大開放位置Pとなる際の開放角度を適宜に調整することが可能となる。
また、上記枠体3に上記逃げ部3bを形成すると、両パネル部材1を閉じた際にその逃げ部3bによって開口が形成されてしまうので、例えば上記枠体3の両方の背面3a部分に亘って柔軟性を有するカバー部材15を貼着してもよい(図2参照)。
このカバー部材15は、上記逃げ部3bによって形成される開口を覆うことによって、両パネル部材1を閉じた際の美観を向上させることができるとともに、その開口からパネル部材1の内部にごみが侵入してスクリーン5を汚してしまうことを防止することができる。また、両パネル部材1を開いた際には、平面上に張設されたスクリーン5に向けて突出するようになるが、充分な柔軟性を持たせておけば、仮にスクリーン5の裏面に当接したとしても該スクリーン5の中央部分を手前側(視聴者側)に突出させるようなことはなく、したがってスクリーン5の平面性を阻害することはない。
【0015】
次に、本実施例に係る折畳み式スクリーン装置は、上記パネル部材1を閉じた閉鎖位置と上記最大開放位置とに選択的に保持するばね機構20を備えている。このばね機構20は、図1に示すように、パネル部材1の上下2箇所に、蝶番手段2に隣接させた位置に設けてある。
上記ばね機構20は、図4に示すように、C字状のばね21と、このばね21の各端部を各パネル部材1にそれぞれ連結する連結具22とを備えている。各連結具22は、両パネル部材1を開いた際に相互に当接する背面3a部分に隣接した位置に設けてあり、かつ、上記蝶番手段2の回転中心Oとは離して、両パネル部材1を閉じた際に両パネル部材1の外側となる位置に設けてある。
上記C字状のばね21は、上記張力付与手段11における付勢手段14の付勢力よりも大きな付勢力を有しており、かつC字状のばね21の両端部の2つの連結具22を常に接近する方向に付勢している。つまり、両パネル部材1を最大開放位置Pに位置させた状態では、上記C字状のばね21は2つの連結具22を相互に接近する方向に付勢しているので、上記蝶番手段2の回転中心Oを中心として図4の右方のパネル部材1を反時計方向に、左方のパネル部材1を時計方向に付勢することとなる。
その結果、両パネル部材1を最大開放位置Pに位置させた状態では、上記背面3a部分には相互に当接する方向にC字状のばね21の付勢力が作用するので、両パネル部材1は開いた状態に保持されることになる。
【0016】
他方、図5から理解されるように、両パネル部材1を上記最大開放位置Pから閉じていくと、例えば左方のパネル部材1を固定して右方のパネル部材1を時計方向に回転させながら両パネル部材1を閉じていくと、右方のパネル部材1に連結された連結具22は、左方のパネル部材1に連結された連結具22と蝶番手段2の回転中心Oとを結ぶ直線B上を超えて時計方向に移動するようになる。
2つの連結具22は、両者が上記直線B上に同時に位置した際に、最も離れた状態となる。したがって、上記最大開放位置Pから右方のパネル部材1を時計方向に回転させながら両パネル部材1を閉じていく際には、右方のパネル部材1に連結した連結具22が、他方のパネル部材1に連結した連結具22と蝶番手段2の回転中心Oとを結ぶ線Bを越える手前までは、両パネル部材1には常にこれを開く方向の付勢力が作用することになる。
他方、右方の連結具22が、左方の連結具22と蝶番手段2の回転中心Oとを結ぶ線Bを越えると、両パネル部材1には常にこれを閉じようとする付勢力が作用することになる。
その結果、上記線Bを越えるまで両パネル部材1を閉じれば、後はC字状のばね21の付勢力により自動的に両パネル部材1が閉鎖位置まで閉じられるようになり、かつその閉鎖状態が保持されることになる。
これとは逆に、上記線Bを越えるまで両パネル部材1を開けば、C字状のばね21の付勢力は張力付与手段11の付勢手段14の付勢力よりも大きいので、後はC字状のばね21の付勢力により自動的に両パネル部材1が最大開放位置まで開かれるようになり、かつその開放状態が保持されることになる。
【0017】
なお、上記C字状のばね21は全体として概ねC字状であればよい。すなわち、円形の一部を切欠いた形状や、楕円形の長軸側又は短軸側の一部を切欠いた形状であってよいことは勿論であるが、その他、両端部を直線状に伸ばして馬蹄形状としたものや、一部を折り曲げてコ字形状としたものであってもよい。
【0018】
さらに図1に示すように、本実施例に係る折畳み式スクリーン装置は、2つの脚部材30を備えており、この脚部材30は、両パネル部材1を閉じた際には自動的にパネル部材1の長手方向に沿った収納位置に位置されるとともに(図2参照)、両パネル部材1を開いた際には自動的にパネル部材1に対して交差した支持位置に回転されて、両脚部材30によって両パネル部材1を開いた状態で自立させることができるようになっている。
図6に示すように、各脚部材30は、それぞれ細長い平板状の脚部31と、その中央部に立設した回転軸部32とを備えており、この回転軸部32を各パネル部材1における下方の枠体3に回転自在に軸支している。
【0019】
すなわち、上記枠体3は断面角型のパイプを組んで構成してあり、この枠体3の下面に上記回転軸部32を回転自在に挿通させる穴33を穿設してある。また枠体3の上面には上記穴に向き合わせて合成樹脂製のキャップ34を嵌合させる穴35を穿設してあり、このキャップ34の下部に形成した係合突部34aを上記回転軸部32の上部に形成した係合凹部32aに係合させることができるようにしてある。
したがって脚部材30を枠体3に取付ける際には、枠体3の下方から上記回転軸部32を穴33内に挿通させ、この状態でキャップ34を穴35内に嵌合させながら、該キャップ34の係合突部34aを上記回転軸部32の係合凹部32aに係合させて両者を一体に連結すればよい。
この状態では、回転軸部32とキャップ34とは一体的に枠体3に対して回転することができるようになっている。
【0020】
上記パイプからなる枠体3の内部には、回転軸部32に巻回したトルクスプリング36を収容している。このトルクスプリング36の一端は、回転軸部32の軸方向に沿って形成した係合溝32bに係合させてあり、またトルクスプリング36の他端は枠体3の内面に当接させている。そしてこのトルクスプリング36により、脚部材30を一方向に回転させることができるようにしてある。そしてこのトルクスプリング36弾発力は、上記C字状のばね21の弾発力よりも小さく設定してある。
また、上記脚部31の所要位置にはストッパ37を設けてあり、このストッパ37は、上記トルクスプリング36によって脚部材30が一方向に回転され、該脚部材30がパネル部材1に対して交差した上述の支持位置となった際に枠体3に当接して、それ以上脚部材30が回転されるのを阻止するようになっている。
【0021】
このとき図1に示すように、上記支持位置では、脚部31の前方端31aがスクリーン5の手前側(視聴者側)に突出するようにしてあり、この脚部31の前方端31aは、パネル部材1を閉じた際にはそれぞれ上記トルクスプリング36の弾発力に抗して、各パネル部材1の開放端側に回転されて、パネル部材1の長手方向に沿う収納位置に位置されるようになっている。
そして上記支持位置と収納位置との間の脚部31の回転角度は90度未満に、例えば70度に設定してあり、したがって両脚部31が支持位置に位置した状態では、両脚部31の前方端31aの間隔は、両脚部31の後方端の間隔よりも広くなってハの字形となるようにしてある。
【0022】
両パネル部材1が開かれた状態では、両脚部材30はトルクスプリング36とストッパ37とにより自動的に上記支持位置に保持されるようになり、この状態では、各脚部材30は両パネル部材1を自立させることができるようになっている。
これに対し、両パネル部材1を閉じる際には、図7に示すように、各脚部31の前方端31aが相互に当接するように設定してある。上述したように、各脚部31の前方端31aは支持位置(図7の実線の位置)と収納位置(図7の想像線の位置)とに亘って移動可能となっており、かつ支持位置と収納位置との間の回転角度は例えば70度に設定してあるので、各脚部31の前方端31aが相互に当接した状態から更にパネル部材1が閉じられると、各脚部31の前方端31aはそれぞれトルクスプリング36の弾発力に抗して収納位置に向けて回転されるようになる。
そして両パネル部材1が閉じられた状態となった際には、図2に示すように、両脚部31は相互に平行となって、上記収納位置に位置されるようになる。このとき、上記トルクスプリング36弾発力はC字状のばね21の弾発力よりも小さく設定してあるので、C字状のばね21の弾発力によって両脚部31は収納位置に位置された状態に保持されるようになる。
【0023】
図8は本発明の第2実施例を示したもので、上述の第1実施例とは張力付与手段の構成を異ならせたものである。本実施例の張力付与手段41は、断面をコ字形としたテンション用部材42と、このテンション用部材42の上下複数箇所に配置したC字形のばねからなる付勢手段44とを備えている。スクリーン45の左方端は上記実施例と同様に図示しない固定用部材を介して枠体に固定してあり、右方端は上記テンション用部材42に固定してある。
上記付勢手段44はC字形の本体部44aと、この本体部44aの先端部をそれぞれ同一方向(図8の右方向)に屈曲させて形成した屈曲部44bと、各屈曲部44bの先端部を逆方向に折返して形成した係止部44cとを備えており、各係止部44cと屈曲部44bとの間をそれぞれ折返し先端部44dとしてある。
したがって図8の右方の折返し先端部44dは、C字形の本体部44aの右端部から右方に向けて該本体部44aから外側に突出するようになり、また左方の折返し先端部44dは、C字形の本体部44aの左端部から右方に向けて該本体部44aの内側に向けて突出するようになる。
そして上記本体部44aは、両方の折返し先端部44dを互いに近接する方向に付勢している。
【0024】
上記テンション用部材42を進退動可能に連結すべき枠体43には、上記右方の折返し先端部44dが挿入される開口43aを形成してある。
この開口43aの大きさは、自然状態における係止部44cの自由端と屈曲部44bとの間隔よりも狭く設定してあり、それによって折返し先端部44dを開口43aに挿通させる際には、その係止部44cの自由端を屈曲部44b側に弾性変形させながら開口43aを通過させることができるようにしてある。
そして開口43aを通過した係止部44cの自由端は、自己の弾性復元力によって拡がって、開口43aの係止部44c側に形成した係合部43bに係合するようになっている。
このとき、上記折返し先端部44dは枠体43の内壁面43cに当接するようになっており、それによって係止部44cは、その左方の自由端が係合部43bに、右方の折返し先端部44dが内壁面43cに当接して、位置決めされるようになる。
【0025】
また上記テンション用部材42には、上記左方の折返し先端部44dが挿入される開口42aと、挿入された係止部44cの自由端が係合される係合部42bとを形成してある。
上記係合部42bは、断面コ字形のテンション用部材42における右側の壁部42cの内側に、上記スクリーン45と平行となるように形成した壁部42dの先端部をスクリーン45側に屈曲させて形成してあり、この係合部42bの先端部とテンション用部材42の内面との間を上記開口42aとしている。
上記C字形の本体部44aの左端部は、テンション用部材42における右側の壁部42cを越えて該テンション用部材42の内部に入り込み、左方の折返し先端部44dは、上記開口42aに左方から右方へ向けて挿入されるようになる。
この開口42aの大きさも上記開口43aと同様に設定してあり、したがって係止部44cの自由端を開口42aに挿通させれば、自己の弾性復元力によって係止部44cを係合部42bに係合させることができる。
またこの際、上記折返し先端部44dは壁部42cの内面に当接するようになっており、それによって係止部44cは、その左方の自由端が係合部42bに、右方の折返し先端部44dが壁部42cに当接して、位置決めされるようになる。
【0026】
上記構成を有する張力付与手段41によれば、これを組み立てる際には、上下の複数箇所に設けた各付勢手段44の右方の折返し先端部44dを枠体43の開口43aに挿通させ、また左方の折返し先端部44dをテンション用部材42の開口42aに挿通させればよいので、その組み立て性の向上を図ることができる。
そして付勢手段44を組み付けた状態では、各付勢手段44は両方の折返し先端部44dを互いに近接する方向に付勢するので、両パネル部材を開いた状態ではテンション用部材42を介してスクリーン45の右端部を右方の枠体43に向けて付勢させることができ、それによってスクリーン45を弛みなく張設させることができる。
【0027】
図9は本発明の他の実施例を示したもので、本実施例では各パネル部材1を閉じた際に外側となる部分に、プロジェクターなどの付属品を収容する収容ケース50を一体に設けたものである。
本実施例では、上記収容ケース50の容積を増大させるために、パネル部材1の外側となる部分で、かつ収容ケース50の内側となる部分に凹部51を形成してある。この凹部51の反対側の面は、両パネル部材1を閉じた際の内部の収容空間内に突出するようになるので、該凹部51を形成するに当たっては、各パネル部材1を閉じた際の収容空間内に確実にスクリーン5を収容できるように配慮した上で、できるだけ大きな容積の凹部51を確保できるように設計してあることは勿論である(図8の凹部51参照)。その他の構成は、上記実施例と同様に構成してある。
本実施例においては、パネル部材1に収容ケース50を一体に設けてあるので、スクリーン5とプロジェクターなどの付属品とを1つのパッケージとすることができ、したがってそれらの運搬が容易となる。
【0028】
なお上記実施例では、上記両パネル部材1が最大に開かれた最大開放位置Pは、上記直線A上の間隙最大位置Pを越えた位置に設定してあるが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えばばね機構21におけるC字状のばね21の付勢力を充分に大きく設定しておけば、このばね21の付勢力によって両パネル部材1を最大開放位置に保持することができる。或いは、両パネル部材1を最大開放位置に開いた状態で、両者をフックなどの固定具でその状態に固定するようにしてもよい。
また上記実施例では、スクリーン5、45はプロジェクターの映像を表示する反射形のスクリーンとして説明してあるが、これらのスクリーン5、45は、例えば有機ELのように薄型で柔軟性を有する面発光型のスクリーンであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示し、パネル部材1を最大に開いた状態を示す斜視図。
【図2】パネル部材1を閉じた状態を示す斜視図。
【図3】パネル部材1を半分開いた状態を示す斜視図。
【図4】パネル部材1を最大に開いた状態を示す平面図。
【図5】パネル部材1をほぼ閉じた状態を示す斜視図。
【図6】脚部材30をパネル部材1から分解して示す斜視図。
【図7】パネル部材1を閉じた際に2つの脚部31の前方端31aが相互に当接した状態を示す平面図。
【図8】本発明の第2実施例を示す要部の断面図。
【図9】本発明の第3実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0030】
1 パネル部材 2 蝶番手段
3a 背面 3b 逃げ部
5、45 スクリーン 5a 端部
6 反転防止手段 11、41 張力付与手段
12、42 テンション用部材 13 係止部材
14、44 付勢手段 20 ばね機構
21 C字状のばね 22 連結具
30 脚部材 31 脚部
31a 前方端 32 回転軸部
36 トルクスプリング 37 ストッパ
50 収容ケース O 回転中心
最大開放位置 P 手前の位置
間隙最大位置 δ 間隙
A、B 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蝶番手段によって開閉可能に連結されるとともに、閉じた際に内部に収容空間を形成する2枚のパネル部材と、一端が一方のパネル部材の開放端側に連結され、他端が他方のパネル部材の開放端側に連結された可撓性を有するスクリーンとを備え、このスクリーンは、両パネル部材を閉じたときに上記収容空間に収容され、両パネル部材を開いたときに平面状に展開されるようになっている折畳み式スクリーン装置において、
上記スクリーンの少なくとも一端を、上記パネル部材に張力付与手段を介して連結し、この張力付与手段は、両パネル部材を開いたときにスクリーンに張力を付与して、該スクリーンを弛みなく張設することを特徴とする折畳み式スクリーン装置。
【請求項2】
上記スクリーンの両端部は、両パネル部材が最大に開いた最大開放位置となる手前の位置で、該両端部と両パネル部材の回転中心とを結ぶ直線A上に位置するようになっており、上記張力付与手段は、両パネル部材が上記手前の位置を越えて上記最大開放位置となってもスクリーンに張力を付与して該スクリーンを弛みなく張設すると同時に、その張力により両パネル部材を最大開放位置に保持することを特徴とする請求項1に記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項3】
上記張力付与手段は、上記スクリーンの端部を連結したテンション用部材と、該テンション用部材とパネル部材との間に弾装されて該テンション用部材を、上記スクリーンに張力を付与する方向に付勢する付勢手段とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項4】
上記パネル部材とスクリーンとの間に、両パネル部材を閉じる際に、閉じられる両パネル部材の外側にスクリーンの中央部が突出するのを防止する反転防止手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項5】
上記反転防止手段は、パネル部材の内面とスクリーンの裏面とに固定した柔軟性部材であることを特徴とする請求項4に記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項6】
上記両パネル部材を、上記最大開放位置と両パネル部材を閉じた閉鎖位置とに選択的に保持するばね機構を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項7】
上記ばね機構は、両端部を接近させる方向に付勢するC字状のばねと、該C字状のばねの各端部を各パネル部材に連結する連結具とを備え、両連結具は、両パネル部材を閉鎖位置から最大開放位置へ移行させる中間位置で、両連結具と両パネル部材の回転中心とを結ぶ直線B上に位置すると同時に、相互に最も離隔することを特徴とする請求項6に記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項8】
上記各パネル部材に脚部材を設けて、各脚部材を、各パネル部材の長手方向に沿った収納位置と、各パネル部材の長手方向と交差して両パネル部材を自立させる支持位置とに回転可能とし、また各脚部材を上記支持位置に付勢する付勢手段を設け、
さらに上記脚部材は、パネル部材を閉じる際に相互に当接してそれぞれ付勢手段に抗して上記収納位置に向けて回動され、かつパネル部材が閉じられた状態で上記収納位置に位置されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項9】
上記各パネル部材を閉じた際に外側となる部分に、プロジェクターなどの付属品を収容する収容ケースを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の折畳み式スクリーン装置。
【請求項10】
上記スクリーンは、プロジェクターの映像を表示する反射形のスクリーン、又は有機ELなどの薄型で柔軟性を有する面発光型のスクリーンであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の折畳み式スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−241167(P2007−241167A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67057(P2006−67057)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000200666)泉株式会社 (24)
【Fターム(参考)】