説明

折畳自在容器

【課題】折畳自在であり折畳状態とされた複数の容器をスタッキング可能とした容器を提供する。
【解決手段】可撓性素材により一体成形された容器本体(1a)は、底壁の周縁から鉛直線に対して角度θ1で外向き傾斜して起立する第1周壁(3a)と、第1周壁から第1ヒンジ部(5a)を介して鉛直線に対して外向き傾斜して起立する第2周壁(3b)と、第2周壁から第2ヒンジ部(5b)を介して鉛直線に対して角度θ2で外向き傾斜して起立する第3周壁(3c)を構成し、前記角度θ1と角度θ2を等しく形成している。ヒンジ部(5a,5b)の折曲により容器本体(1a)を折畳した状態で、第1周壁部(3a)と第3周壁部(3c)が平行状態とされた外向き傾斜姿勢を保持するので、折畳状態とされた複数の容器をスタッキング可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳自在であると共に折畳状態とされた複数の容器をスタッキング可能とした容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周壁を蛇腹状に形成することにより伸縮自在とした容器が提案されている。このような伸縮自在容器は、不使用時に周壁を押し潰すことにより背を低くすることが可能であり、使用時に周壁を引き上げることにより伸長させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−193168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の伸縮自在容器は、伸長させた状態においても蛇腹部分が隣接する山と谷を形成するので、使用勝手が悪い。しかも、不使用時にコンパクトに縮めた状態で、複数の容器をスタッキングできないため、保管等に際して不便である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、周壁を押し潰すことにより簡単に折畳自在であり、周壁の上部を引き上げることにより簡単に展開自在であり、しかも、折畳状態とされた複数の容器をスタッキング可能とした容器を提供するものである。
【0006】
そこで、本発明が手段として構成したところは、底壁から周壁を立設した上部開口状の容器本体を可撓性素材により一体成形して成る構成において、前記周壁は、底壁の周縁から鉛直線Vに対して角度θ1で外向きに傾斜して起立する第1周壁と、前記第1周壁から第1ヒンジ部を介して上方に延長されると共に鉛直線Vに対して外向きに傾斜して起立する第2周壁と、前記第2周壁から第2ヒンジ部を介して上方に延長されると共に鉛直線Vに対して角度θ2で外向きに傾斜して起立する第3周壁とから構成され、前記角度θ1と前記角度θ2を等しくなるように形成し、前記第1ヒンジ部により第1周壁と第2周壁を容器本体の内側に対して山折り自在に構成すると共に、前記第2ヒンジ部により第2周壁と第3周壁を容器本体の内側に対して谷折り自在に構成して成る点にある。
【0007】
前記第1周壁と第2周壁の外側面は、前記第1ヒンジ部の外側に位置して角度θ3で屈折し、前記第2周壁と第3周壁の内側面は、前記第2ヒンジ部の内側に位置して角度θ4で屈折しており、前記角度θ3と前記角度θ4を等しくするように形成しており、前記第1ヒンジ部を山折り状に折曲すると共に、前記第2ヒンジ部を谷折り状に折曲したとき、第2周壁の内側に位置する第1周壁と外側に位置する第3周壁が相互に平行する傾斜姿勢を保持するように構成されている。
【0008】
前記第1ヒンジ部は、容器本体の内側から前記第1周壁と第2周壁の連設部に向けて上下から対向するテーパ面を形成することにより該連設部に薄肉部を形成すると共に、第2周壁の内面に向かう上側のテーパ面を鉛直線Vに沿って形成している。
【0009】
前記第2ヒンジ部は、容器本体の外側から前記第2周壁と第3周壁の連設部に向けて上下から対向するテーパ面を形成することにより該連設部に薄肉部を形成すると共に、第2周壁の内面に向かう下側のテーパ面を鉛直線Vに沿って形成している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、可撓性素材により一体成形して成る容器本体1aは、底壁2の周縁から鉛直線Vに対して角度θ1で外向きに傾斜して起立する第1周壁3aと、前記第1周壁3aから第1ヒンジ部5aを介して鉛直線Vに対して外向きに傾斜して起立する第2周壁3bと、前記第2周壁3bから第2ヒンジ部5bを介して鉛直線Vに対して角度θ2で外向きに傾斜して起立する第3周壁3cにより周壁3を構成し、前記角度θ1と前記角度θ2を等しくなるように形成し、前記第1ヒンジ部5aを山折り自在に構成すると共に、前記第2ヒンジ5bを谷折り自在に構成しているので、底壁2をテーブルや床の上に載置した状態で、上部開口縁を押し下げると、第1周壁部3aの外周に第2周壁部3bが位置し、第2周壁部3bの外周に第3周壁部3cが位置するように折畳され、周壁3の高さが低くなるように簡単に折畳することができる。そして、使用に際しては、底壁2を押さえつけた状態で、第3周壁3cを引き上げれば、第2周壁部3bを屈撓させることにより、第1ヒンジ部5a及び第2ヒンジ部5bが折曲状態から展開され、容器1の使用姿勢を形成することができる。
【0011】
特に本発明によれば、折畳状態とされた容器本体1aは、第1周壁部3aと第3周壁部3cを平行状態とされた外向き傾斜姿勢に保持されるので、下側の容器1の第1周壁部3aの内面に上側の容器1の第1周壁部3aの外面を嵌合させ、下側の容器1の第3周壁部3cの内面に上側の容器1の第3周壁部3cの外面を嵌合させることができ、これにより第1周壁部3aと第3周壁部3cを密着嵌合させた状態で複数の容器1、1をスタッキングすることが可能になるという顕著な効果がある。
【0012】
そして、第1周壁部3aと第2周壁部3bと第3周壁部3cを順に下から上に向けて外向きに傾斜させた構成に加えて、山折り自在な第1ヒンジ部5aの内側に形成したテーパ面のうち上側のテーパ面8aを鉛直線Vに沿って形成し、谷折り自在な第2ヒンジ部5bの外側に形成したテーパ面のうち下側のテーパ面11bを鉛直線Vに沿って形成しているので、容器1をインジェクション成形するに際して、内側に配置された雄金型Mを上方に移動し、外側に配置された雌金型Fを下方に移動することにより、金型の離型を可能とすることができ、インジェクション成形により、安価に量産することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施形態に係る折畳自在容器の正面図である。
【図2】本発明の1実施形態に係る折畳自在容器の側面図である。
【図3】本発明の1実施形態に係る折畳自在容器の平面図である。
【図4】本発明の1実施形態に係る折畳自在容器の底面図である。
【図5】図3のA−A線に沿う縦断面図である。
【図6】図3のA−A線に直交する縦断面図である。
【図7】周壁とヒンジ部の詳細を示しており、(A)は周壁を示す縦断面図、(B)はB部の拡大断面図、(C)はC部の拡大断面図である。
【図8】容器本体の折畳状態を示す縦断面図である。
【図9】折畳部分の拡大断面図である。
【図10】折畳された複数の容器をスタッキングした状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0015】
本発明の折畳自在容器は、一般家庭におけるインドアー用として、リビング用小物の収納や、洗濯かごや、ダストボックス等として使用可能であり、また、アウトドアー用として、キャンプ時に河川や海等で飲料ボトル又は飲料缶を冷やしたり、濡れたタオルを入れたりするために使用可能であり、更に、ペットのお風呂として使用したり、衣類のつけ置き洗いのために使用したりすることが可能であり、広範囲にユティリティ容器として使用可能とされている。
【0016】
図1ないし図6に示すように、容器1は、平面視が真円形に形成されると共に、底壁2から周壁3を立設した上部開口状の容器本体1aを可撓性素材により一体成形することにより形成され、開口縁の直径方向に対向する位置に外向きに傾斜して起立する提手4を一体に形成している。
【0017】
容器本体1aを一体成形する可撓性素材は、例えば、ポリエチレン、その他のプラスチックから選択することが好ましいが、弾性を有するシリコン樹脂等の合成ゴム、その他のエラストマから選択することも可能であり、従って、「可撓性」は、弾性を包含する意味であることを諒解されたい。
【0018】
前記周壁3は、底壁2の周縁から起立する第1周壁3aと、該第1周壁3aから第1ヒンジ部5aを介して上方に延設された第2周壁3bと、該第2周壁3bから第2ヒンジ部5bを介して上方に延設された第3周壁3cを構成しており、前記第3周壁3cの開口縁に位置して外向きに折曲されると共に厚肉に形成された縁取り部6を備えている。
【0019】
図7に示すように、前記第1周壁3aは、底壁2の周縁から鉛直線Vに対して角度θ1で外向きに傾斜するように形成され、前記第2周壁3bは、第1ヒンジ部5aから鉛直線Vに対して角度θで外向きに傾斜するように形成され、前記第3周壁3cは、第2ヒンジ部5bから鉛直線Vに対して角度θ2で外向きに傾斜するように形成されており、前記角度θ1と前記角度θ2が等しくなるように形成されている。図例の場合、前記角度θ1及び角度θ2は、何れも5度に形成されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、また、角度θ1及び角度θ2は厳格に等しくなくても、ほぼ等しく形成されていれば良い。これに対して、前記角度θは、角度θ1及び角度θ2よりも大きい、つまり、θ>θ1、θ>θ2となるように形成されている。
【0020】
前記第1周壁3aと第2周壁3bの外側面は、前記第1ヒンジ部5aの外側に位置して角度θ3で屈折し、前記第2周壁3bと第3周壁3cの内側面は、前記第2ヒンジ部5bの内側に位置して角度θ4で屈折している。上述のように、鉛直線Vに対する第1周壁3aの角度θ1と第2周壁3bの角度θ2は等しくなるように形成されているので、前記角度θ3と前記角度θ4も等しくなるように形成される。
【0021】
前記第1ヒンジ部5aは、容器本体1aの内側から前記第1周壁3aと第2周壁3bの連設部7に向けて上下から対向するテーパ面8a、8bを形成することにより該連設部7に薄肉部9を形成しており、第2周壁3bの内面に向かう上側のテーパ面8aを鉛直線Vに沿うように形成している。
【0022】
前記第2ヒンジ部5bは、容器本体1aの外側から前記第2周壁3bと第3周壁3cの連設部10に向けて上下から対向するテーパ面11a、11bを形成することにより該連設部10に薄肉部12を形成しており、第2周壁3bの内面に向かう下側のテーパ面11bを鉛直線Vに沿うように形成している。
【0023】
容器1は、内側に配置された雄金型Mと外側に配置された雌金型Fの間に形成されるキャビティに可撓性素材を充填するインジェクション成形により一体形成される。このため、上述のように、第1周壁3a、第2周壁3b、第3周壁3cを外向きに傾斜するように形成し、インジェクション成形後の金型の離型時に、雄金型Mを上方に移動し、雌金型Fを下方に移動することにより、離型可能となるように構成している。この際、第1ヒンジ部5aにおいては、上側のテーパ面8aを鉛直線Vに沿うように形成しているので、雄金型Mが上方に移動可能とされ、また、第2ヒンジ部5bにおいては、下側のテーパ面11bを鉛直線Vに沿うように形成しているので、雌金型Fが下方に移動可能とされ、これにより金型の離型を可能とする。
【0024】
上記構成の容器1によれば、底壁2をテーブルや床の上に載置した状態で、上部開口縁を押し下げると、図8に示すように、第1ヒンジ部5aが山折り状に折曲され、第2ヒンジ部5bを谷折り状に折曲されることにより、第1周壁部3aの外周に第2周壁部3bが位置し、第2周壁部3bの外周に第3周壁部3cが位置するように折畳される。図示実施形態の場合、第1周壁部3aと第2周壁部3bと第3周壁部3cが周壁3の全高をほぼ3等分するように形成されているので(但し、第2周壁部3bの高さは第1周壁部3a及び第3周壁部3cよりも高い)、容器本体1aは、折畳される前の高さに対してほぼ三分の一の高さまで背を低くすることができる。
【0025】
図9に示すように、第1ヒンジ部5aは、第2周壁部3bに対して外向きの復元力P1を作用させるが、第2ヒンジ部5bは、第2周壁部3bに対して内向きの復元力P2を作用させる。従って、第2周壁部3bは、前記復元力P1、P2の相殺により、折畳状態を保持する。この際、第3周壁部3cは、第2ヒンジ部5bにより外向きの復元力P3を受けるが、上部開口縁の縁取り部6により該復元力P3の方向への移動を阻止されている。従って、上述のように角度θ1と角度θ2を等しくするように形成された第1周壁部3aと第3周壁部3cは、第2周壁部3bの内側と外側に位置した状態で、相互に平行する傾斜姿勢を保持される。
【0026】
これにより、図10に示すように、折畳状態とされた複数の容器1、1を入れ子状にスタッキングすることが可能になる。即ち、各容器1における第1周壁部3aと第3周壁部3cが平行して外向き傾斜姿勢を保持しているので、下側の容器1の第1周壁部3aの内面に上側の容器1の第1周壁部3aの外面を嵌合させ、下側の容器1の第3周壁部3cの内面に上側の容器1の第3周壁部3cの外面を嵌合させることが可能になり、これにより第1周壁部3aと第3周壁部3cを密着嵌合させた状態で複数の容器1、1をスタッキングすることが可能である。
【0027】
容器1を折畳状態から使用状態にするためには、底壁2を押さえつけた状態で、提手4又は上部開口縁を引き上げれば、第2周壁部3bを屈撓させることにより、第1ヒンジ部5a及び第2ヒンジ部5bが折曲状態から展開され、図5及び図6に示すような容器1の使用姿勢を形成することができる。尚、このような使用状態の姿勢においても、複数の容器1、1を上下にスタッキングすることが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 容器
1a 容器本体
2 底壁
3 周壁
3a 第1周壁
3b 第2周壁
3c 第3周壁
5a 第1ヒンジ部
5b 第2ヒンジ部
7 連設部
8a、8b テーパ面
9 薄肉部
10 連設部
11a、11b テーパ面
12 薄肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(2)から周壁(3)を立設した上部開口状の容器本体(1a)を可撓性素材により一体成形して成る構成において、
前記周壁(3)は、底壁(2)の周縁から鉛直線Vに対して角度θ1で外向きに傾斜して起立する第1周壁(3a)と、前記第1周壁から第1ヒンジ部(5a)を介して上方に延長されると共に鉛直線Vに対して外向きに傾斜して起立する第2周壁(3b)と、前記第2周壁から第2ヒンジ部(5b)を介して上方に延長されると共に鉛直線Vに対して角度θ2で外向きに傾斜して起立する第3周壁(3c)とから構成され、
前記角度θ1と前記角度θ2を等しくするように形成し、前記第1ヒンジ(5a)により第1周壁(3a)と第2周壁(3b)を容器本体(1a)の内側に対して山折り自在に構成すると共に、前記第2ヒンジ(5b)により第2周壁(3b)と第3周壁(3c)を容器本体(1a)の内側に対して谷折り自在に構成して成ることを特徴とする折畳自在容器。
【請求項2】
前記第1周壁(3a)と第2周壁(3b)の外側面は、前記第1ヒンジ部(5a)の外側に位置して角度θ3で屈折し、前記第2周壁(3b)と第3周壁(3c)の内側面は、前記第2ヒンジ部(5b)の内側に位置して角度θ4で屈折しており、前記角度θ3と前記角度θ4を等しくするように形成しており、
前記第1ヒンジ部(5a)を山折り状に折曲すると共に、前記第2ヒンジ部(5b)を谷折り状に折曲したとき、第2周壁(3b)の内側に位置する第1周壁(3a)と外側に位置する第3周壁(3b)が相互に平行する傾斜姿勢を保持するように構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の折畳自在容器。
【請求項3】
前記第1ヒンジ部(5a)は、容器本体(1a)の内側から前記第1周壁(3a)と第2周壁(3b)の連設部(7)に向けて上下から対向するテーパ面(8a,8b)を形成することにより該連設部に薄肉部(9)を形成すると共に、第2周壁(3b)の内面に向かう上側のテーパ面(8a)を鉛直線Vに沿って形成し、
前記第2ヒンジ部(5b)は、容器本体(1a)の外側から前記第2周壁(3b)と第3周壁(3c)の連設部(10)に向けて上下から対向するテーパ面(11a,11b)を形成することにより該連設部に薄肉部(12)を形成すると共に、第2周壁(3b)の内面に向かう下側のテーパ面(11b)を鉛直線Vに沿って形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳自在容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−98746(P2011−98746A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253788(P2009−253788)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(390035091)スケーター株式会社 (23)
【Fターム(参考)】