押しボタンロックを有する呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法
本発明の呼吸器アクセスアセンブリは、1つのポート及びカフを有する遠位プレートと、第1のポートと第2のポートを有し前記遠位プレートと互いに軸方向に整列された近位プレートとを含む。遠位プレートは近位プレートに対して移動可能に構成されている。本発明の呼吸器アクセスアセンブリは、複数の所定の位置を有するアクチュエータを含む。アクチュエータを移動許可位置に位置させたときは、近位プレートの第1のポートの閉鎖を維持しつつ、両プレートの移動を可能にする。アクチュエータを第1のロック(開)位置に位置させたときは、前記両プレートは互いにロックされ、遠位プレートのポート及び近位プレートの第1のポートが互いに整列され、整列した両ポートに吸引カテーテルを通過させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、この参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる、2008年12月12日付けで出願されたJohn Brewerらによる「押しボタンロックを有する回転式呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法」なる標題の米国特許出願第12/333,916号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、一般的に、挿管患者のための医療ケアの向上に関し、より詳細には、新規な多重アクセス呼吸器ポート、アセンブリ、マニホールド、接続具、アダプタ、コネクタ及び/またはアクセス制御アセンブリの発明及びそれに関連する、幼児、若者及び成人を含む挿管患者の換気、吸引、モニタリング、サンプリング及び気道への治療送達の提供のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器患者のケアは、医療において急速に発展している分野であり、幼児から老人までに必要とされている。そのような患者が患う一時的及び慢性的な呼吸器疾患の範囲は、様々である。例えば、挿管患者の処置の範囲には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、外観検査、インライン診断、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれる。現在の問題のほとんどは、同時に行う必要がある。患者の複数のニーズ及び複数の治療の適用に集中している。患者にとって一番の利益となる複数の治療を容易に、効率的に、かつ安全に実現するための機器が存在しないことが依然として懸念されている。
【0004】
例えば、未熟児や気腫を患っている成人などの肺気量が低い患者の場合、1つの問題は、蓄積した肺分泌物を除去することである。そのような患者の分泌物除去プロセス中に、酸素を欠乏させることは望ましくない。分泌物の除去は、そのような患者の肺に空気(酸素及び他の気体)を提供するために、呼吸器アクセスアセンブリを介して、人工気道すなわち患者の気道の一部に配置された気管内チューブ内に一時的に配置される吸引カテーテルによって実現される。
【0005】
挿管されたまま呼吸器ケアを受けているそのような及び他の患者には、呼吸器アクセスアセンブリに関連する問題を含む問題が生じるおそれがある。換気、吸入、吸引及び他の機能のための呼吸器アクセスアセンブリの長時間の安全でない使用は、例えば、人工呼吸器関連肺炎などの院内感染を発生させ得る。また、そのような呼吸器アクセスアセンブリの信頼性に対しても懸念がある。さらに、機器及び他の治療処置を行うために人工呼吸器回路を開く必要があることに対しても懸念がある。
【0006】
呼吸器アクセスアセンブリは、患者の医療ケアの質を低下させることなく、迅速にかつ容易に除去または交換する必要がある。また、呼吸器アクセスアセンブリの誤作動により、閉鎖された呼吸器系から解放された呼吸器系へ意図せずに変換されることが呼吸器アクセスアセンブリに対する懸念である。また、呼吸器アクセスアセンブリの故障に起因する、閉鎖呼吸器系における患者の肺へのまたは肺からの気道の意図しない部分的な閉塞によって発生する患者のストレスも問題である。さらに、様々な製造業者により製造された、呼吸器アクセスアセンブリを形成するための互換性のない様々な部品の大量の在庫の処理も、医療ケア提供者にとっての関心事である。そのため、多様な目的で挿管患者の呼吸器システムに対して安全で予測可能な閉鎖系アクセスを提供することができ不注意による閉鎖呼吸器系のダメージを減少または無くするための安全機能を有し、かつ操作が容易で安全な閉鎖系呼吸器アクセスアセンブリが望まれている。
【0007】
本発明は、上述の要求に対処し、安全ロックを備えた、閉鎖系に使用される呼吸器アクセスアセンブリを提供する。すなわち、本発明は、現行の呼吸器アクセスアセンブリまたはデバイスにおいて生じる問題を実質的に緩和する。本発明は、呼吸器系の閉鎖回路カテーテルを危険にさらすことなく、かつ換気ガスの患者への流れを中断することなく、閉鎖換気系内で操作することができると共に、挿管患者の呼吸器系への複数のアクセスに適合する。例えば、これらに限定されないが、患者の肺をガスで換気するため、肺から分泌物を吸引するため、二酸化炭素残留物を除去または減少させるべく肺へ酸素を提供するため、患者の呼吸器系の選択された部分を視覚的に検査するため、唾液や気体を採取するため、流速、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗浄するため、薬剤、気体及び/または洗浄液を投与するための、1以上のアクセス部位を通じた閉鎖呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の困難及び問題に対応して、本発明は、呼吸器アクセスアセンブリを提供する。本発明の呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。前記ポートは、患者の人工気道に機能的に連通するように配置されている。本アセンブリはまた、近位プレートを含む。近位プレートは、第1のポートと第2のポートを有する。遠位プレートは、近位プレートに積層形態で対向配置される。各プレートは、互いに対して移動可能に構成される。加えて、本アセンブリは、少なくとも1つのプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの移動を可能にする。アクチュエータは、移動禁止位置に位置したときは、前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックし前記両プレートを互いに対して所定の位置にロックする。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも1つのポート内に挿入され、移動禁止位置に位置したときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有する。
【0009】
本発明の別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。本発明の呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。前記ポートは、患者の人工気道に機能的に連通するように配置されている。本アセンブリは、第1のポートと第2のポートを有する近位プレートを含む。遠位プレートは、近位プレートに積層形態で対向配置される。各プレートは、互いに対して移動可能に構成される。本アセンブリは、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリをさらに含む。閉鎖式吸引カテーテルアセンブリは、開口が形成された接続端部と、吸引カテーテルと、吸引カテーテルを覆うように配置され、少なくとも前記接続端部に接続されるスリーブとをさらに含む。前記接続端部は、第1のポートに着脱自在に結合される。加えて、本アセンブリは、少なくとも1つのプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの移動を可能にする。アクチュエータは、移動禁止位置に位置したときは、前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックし前記両プレートを互いに対して所定の位置にロックする。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも1つのポート内に挿入され、移動禁止位置に位置したときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有する。アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となる。遠位プレートのポートを近位プレートの第2のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、アクチュエータが移動禁止位置に位置し、遠位プレートのポート及び近位プレートの第2のポートが第1の開位置において互いに軸方向に整列する。この位置のときは、吸引カテーテルが整列した前記両ポートを通過可能となる。加えて、この位置のときは、近位プレートの第2のポートが閉位置に位置することとなる。
【0010】
本発明のさらなる別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリの使用方法が提供される。本発明の方法は、ポートを有する遠位プレートを含む呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含む。前記ポートは、患者の人工気道に機能的に連通するように配置されている。また、アセンブリは、第1のポートと第2のポートを有する近位プレートを含む。遠位プレートは、近位プレートに積層形態で対向配置される。遠位プレート及び近位プレートは、互いに対して移動可能に構成される。アセンブリは、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリをさらに含む。この閉鎖式吸引カテーテルアセンブリは、少なくとも、開口が形成された接続端部と、吸引カテーテルと、吸引カテーテルを覆うように配置され少なくとも前記接続端部に接続されたスリーブとを含む。前記接続端部は、第1のポートの第1のカフに着脱自在に結合される。加えて、本アセンブリは、少なくとも1つのプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの移動を可能にする。アクチュエータは、移動禁止位置に位置したときは、前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックし前記両プレートが互いに対して所定の位置にロックする。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも1つのポート内に挿入され、移動禁止位置に位置したときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有する。本発明の方法は、前記両プレートを互いに対して移動可能にすると共に、前記ブロック部を前記ポートの少なくとも一部に移動させるために、アセンブリを移動許可位置に移動させるステップを含む。本発明の方法は、遠位プレートのポート及び近位プレートの第1のポートが第1の開位置において互いに軸方向に整列するように、少なくとも1つのプレートを移動させるステップをさらに含む。同時に、第2のポートが、遠位プレートに隣接する閉位置に移動される。さらに、本発明の方法は、遠位プレート及び近位プレートを移動禁止位置に位置させると共に、ブロック部をポートから出して前記ポートが開放されるように、アクチュエータを移動禁止位置に移動させるステップを含む。そして、本発明の方法は、患者から分泌物を吸引するために、ポート同士が整列されたアセンブリに吸引カテーテルを挿入するステップを含む。
【0011】
定義
【0012】
本明細書中で用いられる以下の用語は、文脈が異なる意味を要求するかあるいは異なる意味が示されていない限りは、特定の意味を有し、また、他に指定のない限りは、単数形は複数形を一般的に含み、複数形は単数形を一般的に含む。
【0013】
本明細書中で用いられる「含む」、「含んでいる」なる語及び「含む」なる語幹からの他の派生語は、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を除外しないような非制限的な語であることが意図されている。同様に、「包含する」及び/または「有する」なる語及びそれらの派生語は、「含む」なる語として翻訳されることが意図されており、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を除外しないような非制限的な語であることが意図されている。
【0014】
本明細書中で用いられる「ポート」なる語は、物体及び/または液体及び/または気体を通すための、構成要素を貫通する開口を意味する。ポート及びそのカフを、集合的に「ポート」と呼ぶこともある。また、2つのポートとそれらのカフも、集合的に「ポート」と呼ぶこともある。本明細書中で用いられる「カフ」なる語は、貫通形成された開口部を有し、ポートの上側に位置すると共にポートの一部を形成する略円筒状の構成要素を意味する。
【0015】
本明細書中で用いられる「機能的な連通」なる表現は、特定の目的のための2つの位置及び/または2つの構造体の間の伝達路または通路を意味する。この例では、機能的な連通は、気体の通過を可能にすると共に、物体の通過を可能にするように形成された通路であり得る。
【0016】
本明細書中で用いられる「吸引カテーテル」なる語は、気道からの分泌物の除去に使用される長くて柔軟なチューブを意味し、通常は5〜20フレンチの様々な長さ、一般的には15〜25インチ(38〜64cm)の様々なサイズで入手可能である。吸引カテーテルは、ラテックスまたは他のポリマーから作製され得る。
【0017】
吸引カテーテルは、公知であり、様々な医療用途のために幅広く市販されている。吸引は、「開放」系かまたは「閉鎖」系で行われる。開放系では、吸引カテーテルは、柔軟性ルーメン内に挿入される単なる柔軟性プラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端は吸引源に接続される。患者上にまたは患者の近傍に「滅菌野」を形成するために、ルーメンへの挿入前に吸引カテーテルが接触する全てのものは滅菌状態に維持する必要がある。吸引カテーテルに使患者の分泌物が付着するおそれがあるので、使用後の吸引カテーテルは注意深く扱う必要がある。対照的に、例えば、共同所有されている米国特許第4,569,344号(特許文献1)に開示されている「閉鎖」系では、使用前の吸引カテーテルの汚染を無くするかまたは最小限に抑えるために、分泌物の吸引に使用されるデバイスは、略円筒状のプラスチックバック内に封入されている。これは、「閉鎖式吸引カテーテル」と一般的に呼ばれており、バラード・メディカル・プロダクツ社(BALLARDR Medical Products)(Kimberly-Clark Corporation)社からTRACH CARE (登録商標)の商品名で市販されている。患者が分泌物の人為的な除去を必要とするときは、吸引カテーテルを、プラスチックバッグの一端を通過させ、接続具を通過させ、柔軟性ルーメンへ前進させる。吸引カテーテルの他端(近位端)は、吸引源に接続される。吸引は、例えば、吸引カテーテルの近位端に設けられた、指で制御できるバルブを用いて行われ、分泌物が除去される。このようにして、閉鎖系を維持した状態で、分泌物を吸引カテーテルチューブのルーメンに引き込んで除去することができる。吸引カテーテルはその後、柔軟性ルーメンから引き出され、回路を閉鎖状態に保つためにプラスチックバッグに戻される。閉鎖式吸引システムは、医療ケア提供者を患者の分泌物から保護することができるので、医療ケア提供者にとっては一般的に好ましい。また、閉鎖式吸引システムは、開放式吸引系では必要とされる滅菌野を患者の吸引を行う度に形成する必要がないので、容易にかつ素早く使用することができる。閉鎖吸引カテーテルは、柔軟性ルーメンの近位端に、恒久的に結合されるか、または定期的に交換することができるように着脱自在に結合される。
【0018】
本明細書中で用いられる「開」及び「開位置」なる語及び/または表現あるいはそれらの派生語は、本明細書中で説明される整列されたポートの位置であって、物体(例えば、吸引カテーテルや気管支鏡の一部)が通過して患者の気道の一部に入ることが可能となる位置を指す。
【0019】
本明細書中で用いられる「閉」及び「開位置」なる語及び/または表現あるいはそれらの派生語は、1以上のポートの位置であって、ポートが整列されておらず、大きな物体(例えば、吸引カテーテルや気管支鏡の一部)が「閉じた」ポートを通過することができない位置を指す。上述したような物体がポートを通過することができないように、ポートを「閉じる」または「塞ぐ」ことができる。ポートは、完全に塞ぐまたは閉じることはできず、気体及び/または液体は、少なくともある場合には、塞がれたまたは閉じられたポートを通過し続けることが可能である。
【0020】
本明細書中で用いられる「吸引カテーテル通路」なる語は、吸引カテーテルアセンブリに結合されたまたは結合可能な本明細書中で定義された構成要素を含む。吸引カテーテル通路と吸引カテーテルアセンブリを互いに整列させたときに、吸引カテーテルを通過させることが可能な互いに軸方向に整列された通路が形成される。
【0021】
本明細書中で用いられる「固定ディスク」なる語は、近位ディスクまたは遠位ディスクを指し、医療ケア提供者が掴むことにより相対的に固定された「静止」位置に保持されたときに、医療ケア提供者によって一方のディスクが3つの所定の位置のうちの1つへ回転移動させることができる。両ディスクは、両ディスクを固定位置(移動不能位置)に位置させ互いにロックしたときに、相対的に「静止ディスク」となり得る。
【0022】
本明細書中で用いられる「回転ディスク」なる語は、両ディスクのロックを解除し、互いに対して回転可能となった近位ディスクまたは遠位ディスクを指す。遠位ディスク及び近位ディスクは、3つの所定の位置に位置することができるように構成されている。両ディスクのロックが解除されたとき、遠位ディスク及び近位ディスクの両方は、互いに対して自由に回転することができ、相対的に反対方向(最大で180度またはそれ以下の角度で)に回転することができる。両ディスクがロックされていない位置に位置したときは各ディスクは医療ケア提供者によって反対方向に自由に回転することができるので、両ディスクが「回転ディスク」となることもあり得る。
【0023】
本明細書中で用いられる「プレート」なる語は、これらに限定しないが、例えば、円形、正方形、長方形などを含む、任意の形状及び構造のプレートを意味する。プレートは、弧状、弓状、平面状、凸状、凹状などで有り得る。
【0024】
本明細書中で用いられる「結合」なる語は、これらに限定しないが、2つの物を互いに一体的にまたは介在的に、接合する、接続する、締結する、連結する、(接着剤を用いて)接着するまたは結び付けることを含む。
【0025】
本明細書中で用いられる「構成する」または「構成」なる語及びそれらの派生語は、特定の用途または使用を視野に入れて設計、配置、構築または形状することを意味する。例:起伏の多い地形用に構成された軍事車両;システムパラメータを設定することによってコンピュータを構成した。
【0026】
本明細書中で用いられる「実質的な」または「実質的に」なる語は、何かが大きな範囲または程度で;相当量または大量になされなことを指す。例えば、「実質的に」覆われたという表現は、或る物体が少なくとも70%覆われたことを意味する。
【0027】
本明細書中で用いられる「整列」なる語は、複数の物体を直線的に配置または位置させたときの空間的特性を指す
【0028】
本明細書中で用いられる「方向」または「位置」なる語は、本明細書中では互換的に使用され、或る物体を配置した位置または方向の位置の空間的特性を指す;例えば、「時計の針の位置」。
【0029】
本明細書中で用いられる、「約」なる語は、記載されている数の±10パーセントの量を指す。
【0030】
これらの用語は、本明細書の残りの部分でさらなる説明により定義されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの使用時の状態を示す斜視図であり、アセンブリの遠位端には、気管内チューブに取り付けられた呼吸器マニホールドが結合されており、アセンブリの近位端には、フイルタ及び吸引カテーテルアセンブリが結合されている。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの分解斜視図である。
【図3】図1及び図2の遠位ディスクの斜視図である。
【図4】図1及び図2の近位ディスクの斜視図である。
【図5A】図1及び図2のカラーの斜視図であり、親指置き部を示している。
【図5B】図5Aのカラーの斜視図であり、複数のフランジを示している。
【図5C】図5A及び図5Bのカラーの斜視図であり、内面に形成された一対のタブを示している。
【図6】図4の近位ディスクの側面図である。
【図7】図6の近位ディスクの近位面の平面図であり、ボタン、ばね及びOリングを示している。
【図8】図3の遠位ディスクの近位面の平面図であり、望ましくは近位面上に配置されるシール部材を示している。
【図9A】図1及び図2のボタンの近位側平面図である。
【図9B】図9Aのボタンの遠位側平面図である。
【図9C】図9A及び図9Bのボタンの側面図である。
【図9D】図9Aないし図9Cのボタンの別の側面図である。
【図10A】図1、図2、図4及び図6の近位ディスクの近位面の平面図であり、ボタンが押し込まれた位置(移動許可位置)に位置し、ボタンのプランジャが第1のポートを塞いでいる状態を示している。
【図10B】図10Aの遠位ディスクの遠位面の平面図である。
【図10C】図10Aの近位ディスクの遠位面の平面図であり、ボタンが外へ出た位置(移動禁止位置)に位置し、プランジャが第1のポートから外へ出た状態を示している。
【図10D】図10Cの近位ディスクの遠位面の平面図である。
【図11】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第1の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートに対して軸方向に整列した状態を示す。
【図12】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、閉位置(全ポートが閉鎖される)において、遠位ディスクのポートが、近位ディスクの第1のポートと第2のポートとの間に位置した状態を示す。
【図13】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第2の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第2のポートに対して軸方向に整列した状態を示す。
【図14】図1及び図11〜13に示した本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、アセンブリに貫通配置された吸引カテーテルを示している。
【図15】図1及び図11〜13に示した本発明の呼吸器アクセスアセンブリの別の側面図である。
【図16】別の呼吸器アクセスアセンブリの使用時の状態を示す斜視図であり、アセンブリの遠位端には、気管内チューブに取り付けられた呼吸器マニホールドが結合されており、アセンブリの近位端には、フイルタ及び吸引カテーテルアセンブリが結合されている。
【図17】図16の呼吸器アクセスアセンブリの上側分解斜視図である。
【図18】図16及び図17の呼吸器アクセスアセンブリの下側分解斜視図である。
【図19】図16〜18の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第1の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートに対して整列した状態を示している。
【図20】図16〜18の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、閉位置(全ポートが閉鎖される)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートと第2のポートとの間に位置した状態を示している。
【図21】図16〜18の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第2の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第2のポートに対して整列した状態を示している。
【図22】さらなる別の呼吸器アクセスアセンブリの使用時の状態を示す斜視図であり、アセンブリの遠位端には、気管内チューブに取り付けられた呼吸器マニホールドが結合されており、アセンブリの近位端には、フイルタ及び吸引カテーテルアセンブリが結合されている。
【図23】図22の呼吸器アクセスアセンブリの上側分解斜視図である。
【図24】図22及び図23の呼吸器アクセスアセンブリの下側分解斜視図である。
【図25】図22〜24の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第1の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートに対して整列した状態を示している。
【図26】図22〜24の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、閉位置(全ポートが閉鎖される)において、遠位ディスクのポートが、近位ディスクの第1のポートと第2のポートとの間に位置した状態を示している。
【図27】図22〜24の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第2の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第2のポートに対して整列した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の1若しくは複数の実施形態及び実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。各実施例及び実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定することは意図していない。例えば、ある実施形態の一部として説明または図示されている要素を他の実施形態に用いることによって、さらなる実施形態を創出することができる。本発明は、本発明の範囲及び精神に包含される限り、これらの及び他の改変及び変形を含むことを意図している。
【0033】
呼吸器アクセスアセンブリの現行のデザインの多くは、ポートを1つしか有していない。このような場合、例えば気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などの他の医療タスクを行う必要があるときは、吸引カテーテルを除去しなければならない。吸引カテーテルを除去することにより挿管患者の閉鎖換気系が開放されると、前述したように、感染が起こるおそれがある。また、複数アクセスポートマニホールド及び/またはアセンブリの現行のデザインは、安全ロックを備えていない。このような場合、安全ロックを備えていないために、マニホールドポートを通じて導入した吸引カテーテルの一部が切断されて、患者の肺に吸い込まれるおそれがある。その場合、気道閉塞、感染、さらには死亡という、重大な問題が生じるおそれがある。さらに、十分なシール(密閉)がなされないと、呼吸器アクセスアセンブリに呼吸終末陽圧(PEEP)障害が生じ、それにより準最適換気が引き起こされ、その結果、患者の肺に肺胞虚脱が発生するおそれがある。本発明は、閉鎖換気系を開くことなく複数アクセスを可能にする機能と、吸引カテーテルのどの部分も失わないようにするための安全ロック機能とを備えた呼吸器アクセスアセンブリを開示する。
【0034】
以下、実質的に同様な3つのアセンブリの実施形態について図示及び説明する。第1及び第2のアセンブリの実施形態は、互いに積層され整列されたディスクを説明及び図示する。第3のアセンブリの実施形態は、互いに積層され整列されたプレートを説明及び図示する。これらの3つの実施形態の全ては、非限定的な例として意図される。
【0035】
図面を参照すると、図1ないし図15に示すような、回転式の呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。アセンブリ10は、図1ないし図3、図6ないし図8、図10Aないし図10D及び図11ないし図15に示すように、互いに重ね合わせかつ互いに互いに軸方向に整列させた形態で互いに隣接して配置された、遠位ディスク若しくはプレート12と、近位ディスク若しくはプレート14とを含む。遠位ディスク若しくはプレート12は、少なくとも1つの、角度が付けられたポート16を有する(図1ないし図3、図8)。ポート16の開口は、角度が付けられたカフ18を貫通する。近位ディスク若しくはプレート14は、角度が付けられた第1のポート20と、角度が付けられた第2のポート22とを有する。ポート20及び22の各開口は、角度が付けられたカフ24、26をそれぞれ貫通する(図1、図2、図4、図10Aないし図10D、図11ないし図15)。遠位ディスク若しくはプレート12を移動または回転させると、遠位ディスク若しくはプレート12のポート16が、近位ディスク若しくはプレート14の第1のポート20と互いに軸方向に整列する位置が提供される(図11)。また、遠位ディスク若しくはプレート12を移動または回転させると、遠位ディスク若しくはプレート12のポート16が、近位ディスク若しくはプレート14の第2のポート22と互いに軸方向に整列する位置が提供される(図13)。どちらの場合も、一組のポートが互いに軸方向に整列したときは、近位ディスク若しくはプレート14の互いに整列されなかったポートは遠位ディスク若しくはプレート12の一部によって塞がれる。また、遠位ディスク若しくはプレート12を移動または回転させると、遠位ディスク若しくはプレート12の遠位ポート16が、近位ディスク若しくはプレート14の第1のポート20及び第2のポート22のいずれとも整列しない位置が提供される。この位置では、ポート16、20及び22は、遠位ディスク若しくはプレート12または近位ディスク若しくはプレート14の一部によって閉位置で塞がれ、どのポートも互いに整列されない(図12)。
【0036】
図2、図3及び図8に示すように、遠位ディスク12はまた、ディスク12の外縁部30に位置するリップ28を含むことが望ましい。リップ28は、その周囲に、第1のノッチ31、第2ノッチ32及び第3のノッチ33の3つのノッチを有する。3つのノッチ31、32及び33は、他の要素と協働して、ディスク12、14を互いに係脱自在にロックする3つの所定の位置を提供する。また、第1、第2及び第3のノッチ31、32及び33に対して各々隣接する複数のランプ(集合的に符号34で示す)がリップ28上に設けられる。ランプ34は、結合力に対抗する機械的安定性及び強度を提供することが望ましい。さらに、ランプ34は、ボタンに設けられたばね及び/またはプランジャ(詳細については後述する)のためのクリアランスを提供する。遠位ディスク12の近位面40の少なくとも一部に、リップ28のジャンクション42及び遠位ディスク12のエッジ30に隣接して、溝38を設けることが望ましい。溝38は、遠位ディスク12の内周面43の一部に沿って設けることが望ましい。あるいは、ディスク12に溝を設けないこともできる(図示せず)。また、遠位ディスク12の内周面43の一部に沿って延在するリブ44を設けることが望ましい。あるいは、リブの代わりに、一対のストップタブを用いることもできる(図示せず)。これらの構成要素は、近位ディスク14の構成要素(詳細については後述する)と協働して、遠位ディスク12及び近位ディスク14の回転を可能にする。また、遠位ディスク12の近位面40上に、柔軟性ポリマー製の弾性シール部材48を配置することが望ましい。シール部材48は、遠位ディスク12と近位ディスク14との間の閉鎖換気系の密閉状態を維持するために用いられる。
【0037】
図2及び図8に示すように、シール部材48は、ディスク状の形状を有すると共に、遠位ディスク12の内周面43の周辺長さよりも若干小さい周辺長さを有することが望ましい。シール部材48の遠位面54は実質的に平坦であるが、近位面56はその周辺50に沿って延在する周辺リブ58を有する。同様に、シール部材48には、これに限定しないが、少なくともポート16の形状に適合するように構成された開口62が貫通形成されている。開口62は、第1のポート20及び第2のポート22と少なくとも実質的に適合することが望ましい。シール部材48の近位面56の開口62に沿ってポートリブ64が形成されている。周辺リブ58及びポートリブ64は、近位ディスク14の遠位面65の構成要素と協働して、シール部材48と近位ディスク14との間に密閉状態を形成する(詳細については後述する)。シール部材48を遠位ディスク12の近位面40上に同心的に配置した場合、周辺リブ58、遠位ディスク12の近位面40の一部、及び遠位ディスク12のリップ28が互いに協働して溝38(図示せず)を提供することが理解できるであろう。
【0038】
遠位ディスク12は、その遠位面66に、ポート16の周囲に形成されたカフ18を有する(図1ないし図3)。カフ18は、人工気道に連結されるか、人工気道の一部を形成するコネクタまたはマニホールド175に対して着脱自在に結合できるように構成されることが望ましい。カフの結合は、例えば、摩擦的に回転させること、ルアーロック、インターロッキングタブ、ねじ部品などによって行うことができる。
【0039】
近位ディスク14は、遠位面68と外縁部70を有する(図1、図2、図4、図6、図7、図10Aないし図10D)。外側リップ72が、外縁部70に隣接してまたは外縁部70の近傍に形成されており、外縁部70と協働して遠位ディスク12のリップ28を覆うように構成されている。外側リップ72は1以上のノッチを有しており、外側リップ72には2つのノッチ(集合的に符号74で示す)が形成されることが望ましい。内側リブ76が、近位ディスク14の遠位面68上における、外側リブ72から内側に短い距離を隔てた位置に形成されている。内側リブ76は、外側リップ72の内周面79に沿って、完全な円形では延在していない。前記短い距離は、遠位ディスク12のリップ28を受容することができる形状の回転溝80を画定する。ストップタブとしての役割を果たすタブ81が、内側リブ76に設けられる。
【0040】
作業時は、遠位ディスク12のリップ28は、近位ディスク14の外側リップ72と内側リブ76との間に形成された溝80に嵌合される(図8、図10Aないし図10D)。そして、近位ディスク14のタブ81は、遠位ディスク12の溝38に協働的に嵌合され、それにより、遠位ディスク12が、溝38の範囲内で近位ディスク14に対して回転することを可能にする。遠位ディスク12のリブ44は、ストップとしての役割も果たし、それにより、遠位ディスク12がそれ以上回転することを阻止する。さらに、これらの構成要素は、回転式アクセスポート10を貫通して配置される吸引カテーテルにねじれを生じさせる可能性がある過剰な回転を防止する。近位ディスク14に戻って、第1及び第2のポート20、22の周囲に、周囲リブ82、83が形成される。第1のポート20と第2のポート22との間には、閉位置を提供するのに用いられる略D字状の部分84が設けられる(詳細については後述する)。2つの周囲リブ82及び83の間に延在しかつ両リブを接続するチャンネル86が設けられる。チャンネル86は、第1及び第2のポート20、22が互いに気体的に及び流体的に連通することを可能にする。なお、近位ディスク12の第1及び第2のポート20、22の間にチャンネルを形成しない場合もあり得ることを理解されたい(図示せず)。開口部88が回転溝80の一部を貫通して形成されている。開口部88は、ボタンハウジング90内に延在しており、ブロック部またはプランジャ92と、ボタン94を有するアクチュエータまたはボタンアセンブリ91を少なくとも部分的に収容するように形成されている(図4、図6、図7、図9Aないし図9D、図10Aないし図10D)。
【0041】
ボタンハウジング90は、近位ディスク14の近位面96の一部から形成される。近位面96は、第1及び第2のポート20、22をそれぞれ取り囲む第1及び第2のカフ24、26を有する。第1及び第2のポート20、22とそれに対応する第1及び第2のカフ24、26の各々は、前述したように、互いに重ね合された遠位及び近位ディスク12、13に対して或る角度をなして設けられる。
【0042】
これに限定しないが、ボタンハウジング90の少なくとも一部は、第1のポート20の第1のカフ24と、これに限定しないが約90度の角度で交差するように形成される。ハウジング90は、ボタンアセンブリ91及び該アセンブリと一体的に形成されたまたは該アセンブリに結合されたボタン94及びプランジャ92の形状に対して適合するように、例えば半円筒状に(すなわち、これに限定しないが、例えば略C字状またはU字状に)形成され得る(図4、図6、図7、図10Aないし図10D)。また、ボタンハウジング90は、近位ディスク14の外側リップ72の一部に、第1のカフ24に貫通形成された開口と連通する側方開口部100を有するように形成されることが望ましい。近位ディスク14は外側リップ72にノッチまたはディボット99を有しており、ボタン94の一部がディボット99と当接することにより、ボタン94を遠位及び近位ディスク12、14に対して保持する。ディボット99は、第1のポート20の第1のカフ24内で側方開口部100と連通するように形成される。柔軟性ポリマー製の弾性Oリング102を、側方開口部100の内周面に隣接配置することが望ましい。Oリング102は、PEEP圧力損失に対抗するためのプランジャのシールと、ばね104の設置領域を提供する。ばね104は、金属、プラスチックまたはそれらの任意の組み合わせから製造されることが望ましい。ばね104は、プランジャ92上に配置され、Oリング102とボタン94の間に延在し、ボタン94及びプランジャ92を外側に向けて付勢する。ばね104は、コイルばねであるが、他の非コイルばねや付勢手段を用いることもできる。
【0043】
図9Aないし図9Dに示すように、ボタン94は、親指押し領域106と外側シェル108を含むことが望ましい。外側シェル108は、ボタンハウジング90の形状に実質的に沿うような、略C字状またはU字状の形状を有する。また、ボタン94は、外側シェル108から短い距離を隔てて離間配置された、同様なC字状またはU字状の内側シェル110を含む。プランジャ92は、親指押し領域106の内面に結合されている。プランジャ92は、内側シェル110から短い距離を隔てて離間配置されている。第1のカフ24内で第1のポートを閉鎖するために、ハウジング90から側方開口部100に挿入するためにプランジャ92を或る位置で保持することができるように、ボタンハウジング90は外側及び内側シェル108、110の間にスタックされるかまたは配置されることが望ましい(図7、図10Aないし図10D)。さらに、内側シェル110の周縁部113は、保持タブ114、ロックタブ116及び移動許可部118を有する。移動許可部118は、複数の所定の位置におけるボタン94及びプランジャ92の移動及び係脱自在なロックの両方のために、ボタン94及びプランジャ92の移動を可能にする働きをする。
【0044】
保持タブ114は、移動禁止位置(結合位置)にあるときに、遠位及び近位ディスク12、14に対してボタン94を結合させることができる形状に形成されている(図9Aないし図9D、図10Aないし図10D)。保持タブ114は、遠位ディスク12のリップ28と当接し、ばね104がボタン94を外側に向けてすなわちディスク12、14から離れる方向に付勢したときでさえも、互いに積層されたディスク12、14からボタン94が離れないようにする。ロックタブ116は、回転ディスク12のリップ28に設けられた第1、第2及び第3のノッチ31、32、33の各々に嵌合し当接することができるような形状に構成される。ロックタブ116が、ノッチ31、32または33を介してリップ28と当接するように位置されときは、ロックタブ116は、遠位ディスク12の近位ディスク14に対する回転をロックまたは阻止する。移動許可部118は、遠位ディスク12のリップ28の下側に延びるような形状に構成される。この位置では、ロックタブ116は、遠位ディスク12の内周面43に対して対向位置する。したがって、ロックタブ116の遠位ディスク12に対する係合を解除すると、近位ディスク14の前述した所定の範囲内(すなわち、約180度以下)で遠位ディスク12が回転することが可能となる。移動許可部118は、ユーザがボタン94を内側に向けて押下したときにのみ、ディスク12、14へ向かう移動を可能にし、遠位ディスク12の回転を開始すると共に、ボタン94を押下位置に保持する。このようにして、ロックタブ116が移動禁止位置に位置し、ブロック部であるプランジャ92が側方開口部100を介して第1のポート20の第1のカフ内に延びることによって、第1のポート20を効率的に閉鎖し、吸引カテーテルが第1のポート20を通過することを防止する。プランジャ92は、遠位ディスク12が回転し、第1、第2及び第3のノッチ31、32、33の1つが移動許可部118と交差するまでは、第1のポート20内に残る。第1、第2及び第3のノッチ31、32、33は、周縁部113の外側へ向かう移動を可能にする十分なスペースを提供し、それにより、ばねによって付勢されたプランジャ92及びボタン94が、遠位及び近位ディスク12、14の外縁部30、70から離れる外側へ向かう移動することを可能にする。そして、ロックタブ116が、第1、第2及び第3のノッチ31、32、33のいずれか1つと嵌合し、遠位ディスク12の回転を妨げることによって、遠位ディスク12を固定された移動不能な位置にロックする。この位置では、プランジャ92は、第1のポート及び/または第1のカフ24を貫通する開口から離れた位置に再び位置され、ボタンハウジング90内に戻ることによって第1のポート20の閉鎖を解除する。
【0045】
遠位ディスク12、遠位ディスク12のシール部材48、近位ディスク14、ばね104、Oリング102及びボタンアセンブリ91は、互いに協働してアセンブリ10の3つの所定の位置を画定する。図11に示すように、第1の位置は、遠位ディスクのポート16及びカフ18と近位ディスクの第1のポート20及び第1のカフ24とが互いに整列される開位置(第1の開位置)を画定する。整列されたポート16、20、カフ18、24は互いに軸方向に整列され(一直線に並び)、互いに連通される。遠位ディスク12上に配置されたシール部材48及びそのリブ58、64は、PEEPが維持されるように密閉状態を形成し、分泌物を実質的にアセンブリ10及び閉鎖回路換気系内に保持する役割を果たす。この第1の位置では、シール部材48と遠位ディスク12の近位面40は、第2のポート22を閉鎖する。第2のポート22は、該ポートを閉鎖するためのキャップ(図示せず)を有し得る。
【0046】
図12に示すように、遠位ディスク12が第1及び第2のポート20、22の間の位置に回転したときに、第2の位置は、遠位ディスクのポート16が近位ディスクの第1及び第2のポート20、22に対して閉鎖される閉位置を画定する。このとき、シール部材48は、閉鎖された全てのポート16、20、22を密閉状態にする働きをする。この位置では、遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、近位ディスク14の第1のポート20または第2のポート22のいずれに対しても軸方向に整列されていないことに注意されたい。第1及び/または第2のカフ24、26もまた、各カフを閉鎖するためのキャップ(図示せず)を有し得る。あるいは、カフ24または26には、各カフを閉鎖するための吸引カテーテルアセンブリまたは他のデバイスが結合され得る。
【0047】
図13に示すように、第3の位置は、遠位ディスク12のポート16及びカフ18と近位ディスク14の第2のポート22及び/第2のカフ26とが互いに整列される開位置(第2の開位置)を画定する。この位置では、ポート16、22及びカフ18、26の軸方向の整列及び機能的な連通が形成される。遠位ディスク12上に配置されたシール部材48及びそのリブ58、64は、PEEPが維持されるように、密閉状態を形成し、分泌物を実質的にアセンブリ10及び閉鎖回路換気系の内部に保持する役割を果たす。この第3の位置(第2の開位置)では、シール部材48と遠位ディスク12の近位面40は、第1のポート22を閉鎖する。第1のポート20は、該ポートを閉鎖するためのキャップ(図示せず)を有し得る。あるいは、第1のポート20には、該ポートを閉鎖する役割を果たす吸引カテーテルアセンブリまたは他のデバイスが結合され得る。
【0048】
図1、図2、図5Aないし図5C及び図11ないし図15に示すように、アセンブリ10は、円形カラー部材130を含み得る。カラー部材130は、その外周面134上に、ユーザの把持性を高めるための複数のリブ136を有する親指置き部132を有し得る。また、カラー部材130は、ボタンハウジング90及びボタンアセンブリ91に適合させるための切欠部138を有する。カラー部材130は、その内面140に、近位ディスク14の外側リップ72の2つのノッチ74と協働してカラー部材130をディスク12、14の周囲の位置に保持する一対のタブ142を有し得る。また、カラー部材130は、望ましくは、カラー部材130に対して実質的に垂直に形成された複数のフランジ144を有する。フランジ144は、遠位ディスク12の遠位面65の一部を覆うように配置され、回転位置において、近位ディスク14に対して遠位ディスク12を保持するのを助けるような形状に形成されている。カラー部材130は、遠位及び/または近位ディスク12、14に対してロック‐タブ位置に保持してもよいし、あるいは、近位ディスク14に部分的に接着してもよい。さらに、カラー部材130は、近位ディスク14の周囲に摩擦的に嵌合してもよい。なお、アセンブリ10は、カラー部材130を用いずに構成して、これに限定しないが、例えば、近位ディスク14の外縁部、遠位ディスク12の外縁部、またはその両方(図示しない)の適合によって互いに連結させるようにしてもよいことに留意されたい。
【0049】
図1に示すように、吸引カテーテルアセンブリ150は、少なくとも、遠位端コネクタ152を含む。遠位端コネクタ152は、近位ディスク14の第1のポート20の第1のカフ24と着脱自在に結合できることが望ましい(図示せず)。あるいは、図1に示すように、吸引カテーテルアセンブリは、第1のカフ24に着脱自在に結合された、着脱が容易な中間コネクタ180に対して直接的に結合される。少なくとも吸引カテーテル154を実質的に覆うように延在するスリーブ153が、遠位端コネクタ152に結合されることが望ましい。スリーブ153は、吸引カテーテル154を実質的に覆うための近位端コネクタ(図示する)を含み得る。吸引カテーテル154は、少なくとも1つの開口(図示せず)を有する遠位端156を含む。また、吸引カテーテル154は、貫通形成されたルーメンと開口近位端(図示せず)を有する細長い本体部157を含む。吸引カテーテル154の近位端は、吸引カテーテル154に吸引力を提供する吸引装置(図示せず)の少なくとも一部と結合できるように構成される。吸引カテーテル154は、人工気道から分泌物を吸引するために、アセンブリ10、アセンブリ10に結合されたコネクタまたはマニホールド175、及び気管内チューブまたは人工気道164を貫通して患者の気道の一部に到達することができるような十分な長さを有することに留意されたい。吸引の中断時は、患者の気道及び/または人工気道164及びアセンブリ10から吸引カテーテル154を引き出して、スリーブ153内に戻すことが望ましい。このようにして、吸引カテーテル154の全長はスリーブ160内に収容され、分泌物の吸引のために再び必要とされるまでは、患者の閉鎖回路換気系の外部に配置される。
【0050】
遠位ディスク12のポート16及びカフ18と、近位ディスク14の第1及び第2のポート20、22並びに第1及び第2のカフの24、26は、ポート16及びカフ18が第1のポート20及び第2のカフ24に対して整列されたときにポート16、20及びカフ18、24が互いに協働して軸方向の整列を提供する限りは、様々な角度に角度付けすることができる。同様に、遠位ディスク12のポート16及びカフ18が近位ディスク14の第2のポート22及び第2のカフ26に対して整列されたときは、ポート16、22及びカフ18、26は互いに協働して軸方向の整列を提供する。さらに、それぞれの整列において、アセンブリ10の構成要素が、少なくとも近位側に結合された患者の人工気道の外部部材に対して実質的に軸方向に整列されることに留意されたい。そのような軸方向の整列は、ポート16、20、22及びそのカフ18、24、26を貫通した吸引カテーテルのねじれや意図しないクリッピングを防止することができるので望ましい。これは、吸引カテーテルが軽量で柔軟な材料から作製されており、曲がり角を通過させるために力を加えたときに、重なる、折れる、ねじれる及び/またはクリッピングして吸引能力に影響を与える傾向があるためである。
【0051】
第1の位置(第1の開位置)に位置したときは、図11に示すように、近位ディスク14の第1のポート20及び第1のカフ24は、遠位ディスク12及び近位ディスク14の各面の少なくとも一部と平行な軸165に対して約35度ないし約55度の角度をなして位置されることが望ましい。遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、約215度ないし約235度の角度をなして位置されることが望ましい。なお、第1の開位置に位置したときは、第1のポート20及び第1のカフ24とポート16及びカフ18は互いに協働して、吸引カテーテル154を貫通配置することが可能となる約180度の角度を提供する(一直線に並ぶ)ことに留意されたい。
【0052】
第1の位置では、近位ディスク14の第2のポート及び第2のカフ26(図11)は、図11ないし図13に示すように、ディスク12、14を通る軸165に対して約125度ないし約145度の角度をなして位置されることが望ましいなお、遠位ディスク12のポート16及びカフ18を第2のポート22及び第2のカフ26に対して第3の位置(図13)(第2の開位置)に回転移動させたとき、ポート16及びカフ18は、軸165に対して約305度ないし約325度の角度をなして位置される。第3の位置(第2の開位置)に位置したときは、第2のポート22及び第2のカフ26とポート16及びカフ18は互いに協働して約180度の角度を提供し(一直線に並び)、例えば、気管支鏡の一部やカテーテルの一部などの器具を貫通配置することができる開位置が形成されることに留意されたい。
【0053】
第2の位置(閉位置)では、遠位ディスク12のポート及びカフ18は、第1のポート20及び第2のポート22の両方に対して整列しない位置に位置される。遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、軸165に対して約90度の角度をなして位置される。なお、図12に見ることができるように、ポート16及びそのカフ18は、軸165に対して別の軸(図示せず)に配置される。
【0054】
使用方法において、アセンブリ10は、患者の人工気道164にマニホールド175を介して間接的に取り付けることが望ましいが、患者の人工気道164に直接的に取り付けてもよい(図示せず)。また、この例では、これに限定しないが、図11及び図14に示すように、患者の人工気道及び気道から分泌物を吸引して除去すべく、吸引カテーテル154がアセンブリ10を貫通することを可能にするために、アセンブリ10は複数の所定位置のうちの1つすなわち第1の位置に配置される。この第1の位置では、遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、近位ディスク14の第1のポート20及び第1のカフ24と軸方向に整列して位置される。ボタンアセンブリ91の周縁部113に設けられたロックタブ116は遠位ディスク12の第1のノッチ31を通って位置し、それにより、遠位ディスク12及び近位ディスク14を固定位置に互いに保持する。この位置では、プランジャ92は、ボタンハウジング90内に位置し、第1のポート20または第1のカフ24のどの部分も塞がない。このようにして、ポート16、20及びカフ18、24を互いに整列させることにより、アセンブリ10を患者の人工気道164及び気道に機能的に連通させると共に、吸引カテーテル154をアセンブリ10の開位置、すなわち吸引カテーテル通路166を通過させて人工気道及び/または患者の気道内に挿入することにより、人工気道及び/または患者の気道から分泌物を吸引することができる。
【0055】
ボタンアセンブリ91のボタン94を押し下げたとき、ポート16、20及びカフ18、24を貫通して配置された吸引カテーテル154の存在に起因して、プランジャ92は第1のカフ24の側方開口部100を通って第1のポート20の開口に入ることができないので、ボタンはほとんど押し下げることができない。ボタン94を内側に向けて完全に押し下げることができないので、遠位ディスク12をロックタブ116から脱離させることができない。そのため、ディスク12、14は互いに対して回転することができず、吸引カテーテル154は、アセンブリ10の前記軸方向整列によって形成された吸引カテーテル通路166を貫通して位置される。このようにして、吸引カテーテル154の一部がユーザによって意図せずに切断されることがないように、安全ロックが形成される。
【0056】
ユーザが吸引カテーテル154を引き出してスリーブ153内に完全に戻したとき、近位ディスク14を回転させるために、医療ケア提供者またはユーザが遠位ディスク12の一部を把持して動かないようにした状態でアクチュエータまたはボタンアセンブリ91のボタン94を移動許可位置(図10A、図10B)へ押し下げる。遠位ディスク12のリブ44は、近位ディスク14の停止タブ81と協働して、近位ディスク14の回転をこれに限定しないが約180度またはそれ未満に制限する。ボタン94をディスク12、14の外縁部30、70に対して完全に押し下げたとき、ロックタブ116は、遠位ディスク12のリップ28の第1のノッチを通って出る。また、ボタン94を完全に押し下げたとき及びディスク12、14の第1、第2及び第3の位置の間での回転の間は、ボタン94を押し下げ位置に保持しながら、ブロック部すなわちプランジャ92が第1の位置に位置することによって第1のポート20は閉鎖される。この方法のこの時点では、周縁部113の移動許可部118は遠位ディスク12のリップ28の下方に移動され、ロックタブ116はリップ28の内周面43に対してさらに内側に位置され、それにより、遠位及び近位ディスク12、14をそれらを互いにロックしている位置から開放する。ディスク12、14の回転移動はアセンブリ10のこの移動許可部内で可能にされ、少なくとも近位ディスク14の第1の方向への回転移動が可能となることが望ましい。ディスク12、14は、ボタン94の周縁部113の移動許可部118が遠位ディスク12のリップ28の第2のノッチ32と衝突しない限りは回転することができる。なお、リップ28の第2のノッチ32が移動許可部118と交差したときは、第2のノッチ32は周縁部113の外側に向かう移動を許可し、ロックタブ116が第2のノッチ32を通って外側に向かって移動して遠位ディスク12のリップ28と当接することによって遠位ディスク12のさらなる回転を阻止する。同時に、プランジャ92は外側に向かって移動し、第1のポート20から出て、ボタンハウジング90に入る。その結果、ディスク12、14はロックされ、遠位ディスク12のポート16は、閉鎖されロックされた第1及び第2のポート20、22と互いに軸方向に整列しない閉位置にロックされる。よって、図12に示すように、ポート16が近位ディスク14の閉鎖された遠位面65に対向して位置されると共に、第1及び第2のポート20、22が遠位ディスク12の近位面40及びその上に配置されたシール部材48に隣接して位置される。第1及び第2のカフ24、26を塞ぐのに、閉鎖キャップ(図16ないし図18に示す)を使用してもよいことを理解されたい。ボタン94を再び押すまでは、アセンブリ10は望ましくは閉位置に保たれる。
【0057】
アクチュエータまたはボタンアセンブリ91のボタン94を再び内側に向けて(移動許可部内に)押し下げたとき、前述したように、近位ディスク14は望ましくは遠位ディスク12に対して第1の方向172に回転し、ロックタブ116は再び遠位ディスク12のリップ28の第2のノッチ32を通って出る。周縁部113の移動許可部118は、遠位ディスク12のリップ28の下方に移動し、ロックタブ116は再びリップ28の内周面43に対向して位置し、それにより、ディスク12が第1の方向172へ回転移動する間に、ボタン94を押し下げ位置に保持する。同時に、プランジャ92は、第1のポート20及び第1のカフ24を通って前記開口内に移動して第1のポートを塞ぐ。近位ディスク14は、望ましくは、遠位ディスク12のリップ28がボタンアセンブリ91の周縁部113の移動許可部118を移動する限りは、遠位ディスク12に対する回転を継続する。なお、リップ28の第3のノッチが移動許可部118と交差したとき、第3のノッチ33は周縁部113の移動を許可し、ロックタブ116が第3のタブ32を通って外側に向かって移動して遠位ディスク12のリップ28に当接しディスク12、14のさらなる回転を阻止する。この位置では、ボタン94は、ディスク12、14の外縁部30、70から離れる方向へ移動する。ボタンアセンブリ91のロックタブ116は、望ましくは、遠位ディスク12の第3のノッチを通って位置され、それによりディスク12、14を固定位置に互いに保持する。この位置では、プランジャ92は、第1のポート20から離れてハウジング90内に再び位置される。そのため、図13に示すように、ポート16及びそのカフ18は、第2のポート22及びそのカフ26と互いに軸方向に整列して位置される。この整列により、第2のポート22を人工気道164及び患者の気道と連通する通路が形成され、第2のポート22に気管支鏡や気管支肺胞洗浄システムなどを接続することによって、人工気道及び患者の気道の治療、洗浄、観察などを行うことが可能となる。このとき、第1のポート20は、閉位置に位置される。
【0058】
前記プロセスは逆の順序で行うこともでき、近位ディスク14を第1の方向172だけでなく第2の方向174にも移動させることもできることを理解されたい。さらに、ボタンアセンブリ91を外側に、すなわちディスク12、14から離れる方向に移動させたとき、プランジャ94は第1のポート20及び第1のカフ24に対して閉位置から移動されることに留意されたい。また、ユーザが第1、第2及び第3の位置のいずれかの位置での「停止」を望まない場合は、遠位ディスク12が所定の第1、第2または第3の位置に移動されるまで、ユーザはボタン94を押し下げてボタン94を押し下げ位置に維持するだけでよいことを理解されたい。また、取外し可能な吸引カテーテルアセンブリ150は望ましくは第1のポート20の第1のカフ24に着脱自在に結合されるが、吸引カテーテルアセンブリ150を第2のポート22の第2のカフ26に簡単に結合させるだけで、同様の結果を得ることができることに留意されたい。
【0059】
一方のディスクを回転させる際にユーザが他方のディスクを静止位置に保持しない限りはディスクは両方とも移動可能なので、一方のディスクの移動は、他方のディスクに対しての相対的なものである。回転位置においてディスク12、14の一方を回転させる際に、他方のディスクは静止位置に保持され得ることを理解されたい。
【0060】
ディスク12、14、カラー部材130及びボタンアセンブリ91は、望ましくは、1若しくは複数のポリマーから形成される。そのような材料の例としては、これらに限定しないが、ポリカーボネートやアクリルなどがある。また、弾性シール部材48及びOリングも、1若しくは複数のポリマーから形成することが望ましい。そのようなポリマーの例としては、これに限定しないが、熱可塑性エラストマーなどがある。
【0061】
本実施形態では、図1ないし図15に一般的に示すように、各ディスク12、14のカフ及びポートは、ディスク12、14に対して90度(垂直)ではない角度をなして配置される。カフ及びポートは、医療ケア関係者以外の者や患者にとってアセンブリ10がより小さくなりかつ「機械的な外観」とならないようにするために、ここに示した及び/または説明した角度をなして設けられる。すなわち、角度が付けられたカフ及びポートは、カフ及びポートをディスクの表面に対して略垂直に配置した場合よりも、アセンブリを約30%小型化することを可能にする。さらに、角度が付けられたカフ及びポートは、カフ及びポートをディスクの表面に対して略垂直に配置した場合よりも、アセンブリを約40%小型化することを可能にする。加えて、アセンブリ10のフットプリントをより小さくしても、人工気道164に対する軸方向の整列は重要なことに依然として可能である。このようにして、アセンブリ10は、吸引カテーテル154の人工気道164へのアクセス及び使用を注意深く制御することができると共に、小型であまり目立たなく構成されていることによりベンチレータ及び他の目立つモニタリング装置がすでに接続された患者やその家族の不安レベルを減少させることができる。
【0062】
図16ないし図21に示す本発明の別の実施形態のアセンブリ210は、ポート216及びカフ218が遠位プレートまたはディスク212に対して約90度(垂直)の角度をなして設けられたこと以外は、図1ないし図15に図示し詳細に説明したアセンブリ10と実質的に同様である。また、第1及び第2のポート220、222とその第1及び第2のカフ224、226も、近位プレートまたはディスク214に対して約90度の角度(直角)をなして設けられている。
【0063】
アクチュエータまたはボタン294はボタン94とは形状が異なるがボタン94について前述したのと同様の役割を果たし、これに限定しないが、図16ないし図18に示したようにばね(図示せず)によって付勢されること望ましい。同様に、ボタンハウジング290は、ボタンハウジング90とは形状が若干異なるが、ボタンハウジング90について前述したのと同様の役割を果たす。カラー部材230は、カラー130とは形状が若干異なり、テザー232によってカラー部材230に各々結合された一対のキャップ231を有する。
【0064】
ピンアセンブリ(図示せず)が、ディスク212、214を互いに結合させるのに使用される。あるいは、ディスク212、214は、前に図示及び/または説明したようにして互いに結合される。望ましくは、遠位及び近位プレートまたはディスク212、214は、前に図示及び/または説明したのと同じ機能を有する。さらに、プレートまたはディスク212、214は、ポート216、220、222及びそのカフ218、224、226の角度が主な相違であるが、同様に機能することが望ましい。密閉を提供するために、シール部材48と同様のシール部材あるいは1若しくは複数のOリング(図示せず)がディスク212、214に使用され得る。
【0065】
図16に最もよく図示されている吸引カテーテルアセンブリ250は、前に図示及び説明した吸引カテーテルアセンブリ150と同様であるが、同一ではない。コネクタまたはマニホールド275は、コネクタまたはマニホールド275に対するさらなる接続を可能にする追加的なポートを有すること以外は、前に図示及び説明したマニホールド175と同様である。
【0066】
アセンブリ210は、アセンブリ10について前に図示及び/または説明したのと操作方法が実質的に同じであることが望ましい。すなわち、アセンブリ210はポート間で移動可能であり、前述したような及び図19ないし図21に図示するような所定の位置、すなわち2つの開位置と1つの閉位置を有する。
【0067】
アセンブリ210の構成は、アセンブリ10と比較すると、より大きな「フットプリント(footprint)」を必要とすることに留意されたい。これは、一つには、ポート216、222、224のカフ218、224、226のそれぞれに接続するのに、適切に接続または結合するためには少なくともカフ224、226の間に十分なスペースを必要とする標準的なコネクタが使用されるためである。
【0068】
図22ないし図27に示す本発明のさらなる別の実施形態のアセンブリ310は、図1ないし図15及び図16ないし図21に示し詳細に説明したアセンブリ10及び210と同様である。遠位ディスク若しくはプレート312及び近位ディスク若しくはプレート314は、互いに対して移動またはスライドし、かつ互いの少なくとも一部が互いに対向するように構成された長方形プレートとして設けられている。さらに、図25ないし図27に示すように、ポート316、320、322及びそれらのカフ318、324、326は、遠位及び近位ディスクまたはプレート312、314に対して約90度(直角)の角度をなして設けられている。
【0069】
アクチュエータまたはボタン394は、ボタンまたはアクチュエータ294と形状が同様であるが、ボタン94について前述したのと同じ態様で機能し、図22ないし図24に示すように、ばね304によって付勢され得る。同様に、ボタンハウジング390は、ハウジング290と形状が同様であるが、ボタンハウジング90とは形状が若干異なる。ハウジング90、290、390の各々は、前に図示及び/または説明したのと同じ態様で機能することが望ましい。
【0070】
アセンブリ310は、1つのカラー部材(カラー部材130または230のような)または細長い縁部341の各々に沿って1つのカラーが延びる一対のカラー部材(図示せず)を含み得る。あるいは、図22ないし図24に最もよく図示されたようなカラー部材を含まないアセンブリ310が提供される。テザーを有するまたは有さないキャップをカラー部材の一部として、あるいは、アセンブリ310の任意の部材に設けてもよい(図示せず)。
【0071】
図23及び図24に示すように、本発明では、遠位及び近位ディスク312、314は、両ディスクを互いに移動可能に結合することを可能にするための、フランジまたは他の構成要素(図示せず)を有する少なくとも1つの溝332内に移動可能に配置された少なくとも一本のレール330を有し得る。他の代替例では、ディスク若しくはプレート312、314は、プレート312、314を実質的に取り囲むカバー内に、互いに移動またはスライド可能に保持される(図示せず)。望ましくは、ディスク若しくはプレート312、314は、ディスクまたはプレートの移動及び所定位置へのロックを可能にする、前に図示及び/または説明したのと同じ機能を有する。加えて、ディスク312、314は、2つの大きな違い以外は、ディスク12、14及び212、214と同様の態様で機能することが望ましい。1つ目の違いは、図25ないし図27に示すように、ポート316、320、322及びそれらのカフ318、324、326の角度が直角であることである。2つ目の違いは、プレート312、314は、回転移動するのではなくて、直線移動することである。遠位プレート若しくはディスク12及び近位プレート若しくはディスク14に設けられたリブ、溝及び他の機能が遠位及び近位プレート312、314に設けられることが望ましいが、前記機能等は、図23及び図24に示すように、円形に配置されるのではなく、直線的に配置される。密閉を提供するために、1若しくは複数のシール部材または1若しくは複数のOリング(図示せず)あるいはそれらの組み合わせがディスク312、314に使用され得る。
【0072】
吸引カテーテルアセンブリ350は、前に図示及び説明した吸引カテーテル250及び150と同様であるが同一ではない。コネクタまたはマニホールド375は、図1及び図16に図示した及び前述したコネクタやマニホールド275と実質的に同様である。
【0073】
アセンブリ310は、プレートが回転するのではなく長手方向の経路に沿って摺動すること以外は、前に図示及び/または詳述したアセンブリ10及びアセンブリ210と実質的に同様な態様で使用され機能することが望ましい。すなわち、アセンブリ310は、ポート間で移動可能またはスライド可能であり、前述したように及び図25ないし図27に図示するように、少なくとも2つの開位置及び1つの閉位置を有することが望ましい。
【0074】
アセンブリ310の構成は、アセンブリ210またはアセンブリ10のいずれよりも大きなフットプリントを必要とすることに留意されたい。これは、一つには、ディスクまたはプレート312、314を互いに対して移動またはスライドさせるためのスペースが必要なためである。加えて、これは一つには、ポート316、322、324のカフ318、324、326のそれぞれに接続するのに、適切に接続または結合するためには少なくともカフ324、326間に十分なスペースを必要とする標準的なコネクタが使用されるためである。
【0075】
加えて、いくつかの構成要素を或る角度で説明及び示したが、アセンブリが図示及び説明したように機能する限り、任意の構成要素を任意の角度または角度の組み合わせで配置することができることを理解されたい。
【0076】
平坦なまたは平面状なディスクまたは平面的なプレートの代わりに、湾曲したまたは弓形のプレートや、凸状または凹状のディスクまたはプレートを使用してもよいことを理解されたい。ディスクまたはプレートは、図示または説明したように機能する限り、任意の形状を含み得る。同様に、図示及び/または説明した結果を実現すべく機能することができる限りは、ディスクは互いに対して様々な態様で回転、旋回、スライドまたは移動することができる。
【0077】
アセンブリ10、210、310は、遠位ディスク若しくはプレートが2以上のポート及びカフを有し、近位ディスク若しくはプレートが3以上のポート及びカフを有するように構成してもよい。また、アセンブリ10、210、310は、コネクタまたはマニホールド175、275、375あるいは当該技術分野で既知の他のマニホールドを含み得る。さらに、アセンブリ10、210、310は、吸引カテーテルアセンブリ150、250、350あるいは当該技術分野で既知の他の吸引カテーテルアセンブリを含み得る。さらなる代替形態では、アセンブリ10、210、310は、吸引カテーテルアセンブリのみならずコネクタまたはマニホールドを含み得る。
【0078】
いくつかの好適実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明に含まれる主題はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれ得る全ての代替形態、改変形態及び均等物を包含することを意図している。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、この参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる、2008年12月12日付けで出願されたJohn Brewerらによる「押しボタンロックを有する回転式呼吸器アクセスポートアセンブリ及びその使用方法」なる標題の米国特許出願第12/333,916号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、一般的に、挿管患者のための医療ケアの向上に関し、より詳細には、新規な多重アクセス呼吸器ポート、アセンブリ、マニホールド、接続具、アダプタ、コネクタ及び/またはアクセス制御アセンブリの発明及びそれに関連する、幼児、若者及び成人を含む挿管患者の換気、吸引、モニタリング、サンプリング及び気道への治療送達の提供のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器患者のケアは、医療において急速に発展している分野であり、幼児から老人までに必要とされている。そのような患者が患う一時的及び慢性的な呼吸器疾患の範囲は、様々である。例えば、挿管患者の処置の範囲には、換気、吸引、酸素供給、サンプリング、外観検査、インライン診断、圧力モニタリング、フラッシング、投薬及び/または洗浄が含まれる。現在の問題のほとんどは、同時に行う必要がある。患者の複数のニーズ及び複数の治療の適用に集中している。患者にとって一番の利益となる複数の治療を容易に、効率的に、かつ安全に実現するための機器が存在しないことが依然として懸念されている。
【0004】
例えば、未熟児や気腫を患っている成人などの肺気量が低い患者の場合、1つの問題は、蓄積した肺分泌物を除去することである。そのような患者の分泌物除去プロセス中に、酸素を欠乏させることは望ましくない。分泌物の除去は、そのような患者の肺に空気(酸素及び他の気体)を提供するために、呼吸器アクセスアセンブリを介して、人工気道すなわち患者の気道の一部に配置された気管内チューブ内に一時的に配置される吸引カテーテルによって実現される。
【0005】
挿管されたまま呼吸器ケアを受けているそのような及び他の患者には、呼吸器アクセスアセンブリに関連する問題を含む問題が生じるおそれがある。換気、吸入、吸引及び他の機能のための呼吸器アクセスアセンブリの長時間の安全でない使用は、例えば、人工呼吸器関連肺炎などの院内感染を発生させ得る。また、そのような呼吸器アクセスアセンブリの信頼性に対しても懸念がある。さらに、機器及び他の治療処置を行うために人工呼吸器回路を開く必要があることに対しても懸念がある。
【0006】
呼吸器アクセスアセンブリは、患者の医療ケアの質を低下させることなく、迅速にかつ容易に除去または交換する必要がある。また、呼吸器アクセスアセンブリの誤作動により、閉鎖された呼吸器系から解放された呼吸器系へ意図せずに変換されることが呼吸器アクセスアセンブリに対する懸念である。また、呼吸器アクセスアセンブリの故障に起因する、閉鎖呼吸器系における患者の肺へのまたは肺からの気道の意図しない部分的な閉塞によって発生する患者のストレスも問題である。さらに、様々な製造業者により製造された、呼吸器アクセスアセンブリを形成するための互換性のない様々な部品の大量の在庫の処理も、医療ケア提供者にとっての関心事である。そのため、多様な目的で挿管患者の呼吸器システムに対して安全で予測可能な閉鎖系アクセスを提供することができ不注意による閉鎖呼吸器系のダメージを減少または無くするための安全機能を有し、かつ操作が容易で安全な閉鎖系呼吸器アクセスアセンブリが望まれている。
【0007】
本発明は、上述の要求に対処し、安全ロックを備えた、閉鎖系に使用される呼吸器アクセスアセンブリを提供する。すなわち、本発明は、現行の呼吸器アクセスアセンブリまたはデバイスにおいて生じる問題を実質的に緩和する。本発明は、呼吸器系の閉鎖回路カテーテルを危険にさらすことなく、かつ換気ガスの患者への流れを中断することなく、閉鎖換気系内で操作することができると共に、挿管患者の呼吸器系への複数のアクセスに適合する。例えば、これらに限定されないが、患者の肺をガスで換気するため、肺から分泌物を吸引するため、二酸化炭素残留物を除去または減少させるべく肺へ酸素を提供するため、患者の呼吸器系の選択された部分を視覚的に検査するため、唾液や気体を採取するため、流速、圧力及び/または温度などのパラメータを検出するため、溶液で洗浄するため、薬剤、気体及び/または洗浄液を投与するための、1以上のアクセス部位を通じた閉鎖呼吸器システムへのアクセスが提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の困難及び問題に対応して、本発明は、呼吸器アクセスアセンブリを提供する。本発明の呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。前記ポートは、患者の人工気道に機能的に連通するように配置されている。本アセンブリはまた、近位プレートを含む。近位プレートは、第1のポートと第2のポートを有する。遠位プレートは、近位プレートに積層形態で対向配置される。各プレートは、互いに対して移動可能に構成される。加えて、本アセンブリは、少なくとも1つのプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの移動を可能にする。アクチュエータは、移動禁止位置に位置したときは、前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックし前記両プレートを互いに対して所定の位置にロックする。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも1つのポート内に挿入され、移動禁止位置に位置したときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有する。
【0009】
本発明の別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリが提供される。本発明の呼吸器アクセスアセンブリは、ポートを有する遠位プレートを含む。前記ポートは、患者の人工気道に機能的に連通するように配置されている。本アセンブリは、第1のポートと第2のポートを有する近位プレートを含む。遠位プレートは、近位プレートに積層形態で対向配置される。各プレートは、互いに対して移動可能に構成される。本アセンブリは、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリをさらに含む。閉鎖式吸引カテーテルアセンブリは、開口が形成された接続端部と、吸引カテーテルと、吸引カテーテルを覆うように配置され、少なくとも前記接続端部に接続されるスリーブとをさらに含む。前記接続端部は、第1のポートに着脱自在に結合される。加えて、本アセンブリは、少なくとも1つのプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの移動を可能にする。アクチュエータは、移動禁止位置に位置したときは、前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックし前記両プレートを互いに対して所定の位置にロックする。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも1つのポート内に挿入され、移動禁止位置に位置したときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有する。アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となる。遠位プレートのポートを近位プレートの第2のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、アクチュエータが移動禁止位置に位置し、遠位プレートのポート及び近位プレートの第2のポートが第1の開位置において互いに軸方向に整列する。この位置のときは、吸引カテーテルが整列した前記両ポートを通過可能となる。加えて、この位置のときは、近位プレートの第2のポートが閉位置に位置することとなる。
【0010】
本発明のさらなる別の態様では、呼吸器アクセスアセンブリの使用方法が提供される。本発明の方法は、ポートを有する遠位プレートを含む呼吸器アクセスアセンブリを提供するステップを含む。前記ポートは、患者の人工気道に機能的に連通するように配置されている。また、アセンブリは、第1のポートと第2のポートを有する近位プレートを含む。遠位プレートは、近位プレートに積層形態で対向配置される。遠位プレート及び近位プレートは、互いに対して移動可能に構成される。アセンブリは、閉鎖式吸引カテーテルアセンブリをさらに含む。この閉鎖式吸引カテーテルアセンブリは、少なくとも、開口が形成された接続端部と、吸引カテーテルと、吸引カテーテルを覆うように配置され少なくとも前記接続端部に接続されたスリーブとを含む。前記接続端部は、第1のポートの第1のカフに着脱自在に結合される。加えて、本アセンブリは、少なくとも1つのプレートに隣接して配置されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートと協働して少なくとも一方のプレートの移動を可能にする。アクチュエータは、移動禁止位置に位置したときは、前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックし前記両プレートが互いに対して所定の位置にロックする。アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも1つのポート内に挿入され、移動禁止位置に位置したときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有する。本発明の方法は、前記両プレートを互いに対して移動可能にすると共に、前記ブロック部を前記ポートの少なくとも一部に移動させるために、アセンブリを移動許可位置に移動させるステップを含む。本発明の方法は、遠位プレートのポート及び近位プレートの第1のポートが第1の開位置において互いに軸方向に整列するように、少なくとも1つのプレートを移動させるステップをさらに含む。同時に、第2のポートが、遠位プレートに隣接する閉位置に移動される。さらに、本発明の方法は、遠位プレート及び近位プレートを移動禁止位置に位置させると共に、ブロック部をポートから出して前記ポートが開放されるように、アクチュエータを移動禁止位置に移動させるステップを含む。そして、本発明の方法は、患者から分泌物を吸引するために、ポート同士が整列されたアセンブリに吸引カテーテルを挿入するステップを含む。
【0011】
定義
【0012】
本明細書中で用いられる以下の用語は、文脈が異なる意味を要求するかあるいは異なる意味が示されていない限りは、特定の意味を有し、また、他に指定のない限りは、単数形は複数形を一般的に含み、複数形は単数形を一般的に含む。
【0013】
本明細書中で用いられる「含む」、「含んでいる」なる語及び「含む」なる語幹からの他の派生語は、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を除外しないような非制限的な語であることが意図されている。同様に、「包含する」及び/または「有する」なる語及びそれらの派生語は、「含む」なる語として翻訳されることが意図されており、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を除外しないような非制限的な語であることが意図されている。
【0014】
本明細書中で用いられる「ポート」なる語は、物体及び/または液体及び/または気体を通すための、構成要素を貫通する開口を意味する。ポート及びそのカフを、集合的に「ポート」と呼ぶこともある。また、2つのポートとそれらのカフも、集合的に「ポート」と呼ぶこともある。本明細書中で用いられる「カフ」なる語は、貫通形成された開口部を有し、ポートの上側に位置すると共にポートの一部を形成する略円筒状の構成要素を意味する。
【0015】
本明細書中で用いられる「機能的な連通」なる表現は、特定の目的のための2つの位置及び/または2つの構造体の間の伝達路または通路を意味する。この例では、機能的な連通は、気体の通過を可能にすると共に、物体の通過を可能にするように形成された通路であり得る。
【0016】
本明細書中で用いられる「吸引カテーテル」なる語は、気道からの分泌物の除去に使用される長くて柔軟なチューブを意味し、通常は5〜20フレンチの様々な長さ、一般的には15〜25インチ(38〜64cm)の様々なサイズで入手可能である。吸引カテーテルは、ラテックスまたは他のポリマーから作製され得る。
【0017】
吸引カテーテルは、公知であり、様々な医療用途のために幅広く市販されている。吸引は、「開放」系かまたは「閉鎖」系で行われる。開放系では、吸引カテーテルは、柔軟性ルーメン内に挿入される単なる柔軟性プラスチックチューブであり、吸引カテーテルの近位端は吸引源に接続される。患者上にまたは患者の近傍に「滅菌野」を形成するために、ルーメンへの挿入前に吸引カテーテルが接触する全てのものは滅菌状態に維持する必要がある。吸引カテーテルに使患者の分泌物が付着するおそれがあるので、使用後の吸引カテーテルは注意深く扱う必要がある。対照的に、例えば、共同所有されている米国特許第4,569,344号(特許文献1)に開示されている「閉鎖」系では、使用前の吸引カテーテルの汚染を無くするかまたは最小限に抑えるために、分泌物の吸引に使用されるデバイスは、略円筒状のプラスチックバック内に封入されている。これは、「閉鎖式吸引カテーテル」と一般的に呼ばれており、バラード・メディカル・プロダクツ社(BALLARDR Medical Products)(Kimberly-Clark Corporation)社からTRACH CARE (登録商標)の商品名で市販されている。患者が分泌物の人為的な除去を必要とするときは、吸引カテーテルを、プラスチックバッグの一端を通過させ、接続具を通過させ、柔軟性ルーメンへ前進させる。吸引カテーテルの他端(近位端)は、吸引源に接続される。吸引は、例えば、吸引カテーテルの近位端に設けられた、指で制御できるバルブを用いて行われ、分泌物が除去される。このようにして、閉鎖系を維持した状態で、分泌物を吸引カテーテルチューブのルーメンに引き込んで除去することができる。吸引カテーテルはその後、柔軟性ルーメンから引き出され、回路を閉鎖状態に保つためにプラスチックバッグに戻される。閉鎖式吸引システムは、医療ケア提供者を患者の分泌物から保護することができるので、医療ケア提供者にとっては一般的に好ましい。また、閉鎖式吸引システムは、開放式吸引系では必要とされる滅菌野を患者の吸引を行う度に形成する必要がないので、容易にかつ素早く使用することができる。閉鎖吸引カテーテルは、柔軟性ルーメンの近位端に、恒久的に結合されるか、または定期的に交換することができるように着脱自在に結合される。
【0018】
本明細書中で用いられる「開」及び「開位置」なる語及び/または表現あるいはそれらの派生語は、本明細書中で説明される整列されたポートの位置であって、物体(例えば、吸引カテーテルや気管支鏡の一部)が通過して患者の気道の一部に入ることが可能となる位置を指す。
【0019】
本明細書中で用いられる「閉」及び「開位置」なる語及び/または表現あるいはそれらの派生語は、1以上のポートの位置であって、ポートが整列されておらず、大きな物体(例えば、吸引カテーテルや気管支鏡の一部)が「閉じた」ポートを通過することができない位置を指す。上述したような物体がポートを通過することができないように、ポートを「閉じる」または「塞ぐ」ことができる。ポートは、完全に塞ぐまたは閉じることはできず、気体及び/または液体は、少なくともある場合には、塞がれたまたは閉じられたポートを通過し続けることが可能である。
【0020】
本明細書中で用いられる「吸引カテーテル通路」なる語は、吸引カテーテルアセンブリに結合されたまたは結合可能な本明細書中で定義された構成要素を含む。吸引カテーテル通路と吸引カテーテルアセンブリを互いに整列させたときに、吸引カテーテルを通過させることが可能な互いに軸方向に整列された通路が形成される。
【0021】
本明細書中で用いられる「固定ディスク」なる語は、近位ディスクまたは遠位ディスクを指し、医療ケア提供者が掴むことにより相対的に固定された「静止」位置に保持されたときに、医療ケア提供者によって一方のディスクが3つの所定の位置のうちの1つへ回転移動させることができる。両ディスクは、両ディスクを固定位置(移動不能位置)に位置させ互いにロックしたときに、相対的に「静止ディスク」となり得る。
【0022】
本明細書中で用いられる「回転ディスク」なる語は、両ディスクのロックを解除し、互いに対して回転可能となった近位ディスクまたは遠位ディスクを指す。遠位ディスク及び近位ディスクは、3つの所定の位置に位置することができるように構成されている。両ディスクのロックが解除されたとき、遠位ディスク及び近位ディスクの両方は、互いに対して自由に回転することができ、相対的に反対方向(最大で180度またはそれ以下の角度で)に回転することができる。両ディスクがロックされていない位置に位置したときは各ディスクは医療ケア提供者によって反対方向に自由に回転することができるので、両ディスクが「回転ディスク」となることもあり得る。
【0023】
本明細書中で用いられる「プレート」なる語は、これらに限定しないが、例えば、円形、正方形、長方形などを含む、任意の形状及び構造のプレートを意味する。プレートは、弧状、弓状、平面状、凸状、凹状などで有り得る。
【0024】
本明細書中で用いられる「結合」なる語は、これらに限定しないが、2つの物を互いに一体的にまたは介在的に、接合する、接続する、締結する、連結する、(接着剤を用いて)接着するまたは結び付けることを含む。
【0025】
本明細書中で用いられる「構成する」または「構成」なる語及びそれらの派生語は、特定の用途または使用を視野に入れて設計、配置、構築または形状することを意味する。例:起伏の多い地形用に構成された軍事車両;システムパラメータを設定することによってコンピュータを構成した。
【0026】
本明細書中で用いられる「実質的な」または「実質的に」なる語は、何かが大きな範囲または程度で;相当量または大量になされなことを指す。例えば、「実質的に」覆われたという表現は、或る物体が少なくとも70%覆われたことを意味する。
【0027】
本明細書中で用いられる「整列」なる語は、複数の物体を直線的に配置または位置させたときの空間的特性を指す
【0028】
本明細書中で用いられる「方向」または「位置」なる語は、本明細書中では互換的に使用され、或る物体を配置した位置または方向の位置の空間的特性を指す;例えば、「時計の針の位置」。
【0029】
本明細書中で用いられる、「約」なる語は、記載されている数の±10パーセントの量を指す。
【0030】
これらの用語は、本明細書の残りの部分でさらなる説明により定義されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの使用時の状態を示す斜視図であり、アセンブリの遠位端には、気管内チューブに取り付けられた呼吸器マニホールドが結合されており、アセンブリの近位端には、フイルタ及び吸引カテーテルアセンブリが結合されている。
【図2】図1の呼吸器アクセスアセンブリの分解斜視図である。
【図3】図1及び図2の遠位ディスクの斜視図である。
【図4】図1及び図2の近位ディスクの斜視図である。
【図5A】図1及び図2のカラーの斜視図であり、親指置き部を示している。
【図5B】図5Aのカラーの斜視図であり、複数のフランジを示している。
【図5C】図5A及び図5Bのカラーの斜視図であり、内面に形成された一対のタブを示している。
【図6】図4の近位ディスクの側面図である。
【図7】図6の近位ディスクの近位面の平面図であり、ボタン、ばね及びOリングを示している。
【図8】図3の遠位ディスクの近位面の平面図であり、望ましくは近位面上に配置されるシール部材を示している。
【図9A】図1及び図2のボタンの近位側平面図である。
【図9B】図9Aのボタンの遠位側平面図である。
【図9C】図9A及び図9Bのボタンの側面図である。
【図9D】図9Aないし図9Cのボタンの別の側面図である。
【図10A】図1、図2、図4及び図6の近位ディスクの近位面の平面図であり、ボタンが押し込まれた位置(移動許可位置)に位置し、ボタンのプランジャが第1のポートを塞いでいる状態を示している。
【図10B】図10Aの遠位ディスクの遠位面の平面図である。
【図10C】図10Aの近位ディスクの遠位面の平面図であり、ボタンが外へ出た位置(移動禁止位置)に位置し、プランジャが第1のポートから外へ出た状態を示している。
【図10D】図10Cの近位ディスクの遠位面の平面図である。
【図11】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第1の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートに対して軸方向に整列した状態を示す。
【図12】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、閉位置(全ポートが閉鎖される)において、遠位ディスクのポートが、近位ディスクの第1のポートと第2のポートとの間に位置した状態を示す。
【図13】本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第2の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第2のポートに対して軸方向に整列した状態を示す。
【図14】図1及び図11〜13に示した本発明の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、アセンブリに貫通配置された吸引カテーテルを示している。
【図15】図1及び図11〜13に示した本発明の呼吸器アクセスアセンブリの別の側面図である。
【図16】別の呼吸器アクセスアセンブリの使用時の状態を示す斜視図であり、アセンブリの遠位端には、気管内チューブに取り付けられた呼吸器マニホールドが結合されており、アセンブリの近位端には、フイルタ及び吸引カテーテルアセンブリが結合されている。
【図17】図16の呼吸器アクセスアセンブリの上側分解斜視図である。
【図18】図16及び図17の呼吸器アクセスアセンブリの下側分解斜視図である。
【図19】図16〜18の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第1の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートに対して整列した状態を示している。
【図20】図16〜18の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、閉位置(全ポートが閉鎖される)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートと第2のポートとの間に位置した状態を示している。
【図21】図16〜18の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第2の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第2のポートに対して整列した状態を示している。
【図22】さらなる別の呼吸器アクセスアセンブリの使用時の状態を示す斜視図であり、アセンブリの遠位端には、気管内チューブに取り付けられた呼吸器マニホールドが結合されており、アセンブリの近位端には、フイルタ及び吸引カテーテルアセンブリが結合されている。
【図23】図22の呼吸器アクセスアセンブリの上側分解斜視図である。
【図24】図22及び図23の呼吸器アクセスアセンブリの下側分解斜視図である。
【図25】図22〜24の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第1の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第1のポートに対して整列した状態を示している。
【図26】図22〜24の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、閉位置(全ポートが閉鎖される)において、遠位ディスクのポートが、近位ディスクの第1のポートと第2のポートとの間に位置した状態を示している。
【図27】図22〜24の呼吸器アクセスアセンブリの側面図であり、開位置(第2の開位置)において、遠位ディスクのポートが近位ディスクの第2のポートに対して整列した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の1若しくは複数の実施形態及び実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。各実施例及び実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定することは意図していない。例えば、ある実施形態の一部として説明または図示されている要素を他の実施形態に用いることによって、さらなる実施形態を創出することができる。本発明は、本発明の範囲及び精神に包含される限り、これらの及び他の改変及び変形を含むことを意図している。
【0033】
呼吸器アクセスアセンブリの現行のデザインの多くは、ポートを1つしか有していない。このような場合、例えば気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄などの他の医療タスクを行う必要があるときは、吸引カテーテルを除去しなければならない。吸引カテーテルを除去することにより挿管患者の閉鎖換気系が開放されると、前述したように、感染が起こるおそれがある。また、複数アクセスポートマニホールド及び/またはアセンブリの現行のデザインは、安全ロックを備えていない。このような場合、安全ロックを備えていないために、マニホールドポートを通じて導入した吸引カテーテルの一部が切断されて、患者の肺に吸い込まれるおそれがある。その場合、気道閉塞、感染、さらには死亡という、重大な問題が生じるおそれがある。さらに、十分なシール(密閉)がなされないと、呼吸器アクセスアセンブリに呼吸終末陽圧(PEEP)障害が生じ、それにより準最適換気が引き起こされ、その結果、患者の肺に肺胞虚脱が発生するおそれがある。本発明は、閉鎖換気系を開くことなく複数アクセスを可能にする機能と、吸引カテーテルのどの部分も失わないようにするための安全ロック機能とを備えた呼吸器アクセスアセンブリを開示する。
【0034】
以下、実質的に同様な3つのアセンブリの実施形態について図示及び説明する。第1及び第2のアセンブリの実施形態は、互いに積層され整列されたディスクを説明及び図示する。第3のアセンブリの実施形態は、互いに積層され整列されたプレートを説明及び図示する。これらの3つの実施形態の全ては、非限定的な例として意図される。
【0035】
図面を参照すると、図1ないし図15に示すような、回転式の呼吸器アクセスアセンブリ10が提供される。アセンブリ10は、図1ないし図3、図6ないし図8、図10Aないし図10D及び図11ないし図15に示すように、互いに重ね合わせかつ互いに互いに軸方向に整列させた形態で互いに隣接して配置された、遠位ディスク若しくはプレート12と、近位ディスク若しくはプレート14とを含む。遠位ディスク若しくはプレート12は、少なくとも1つの、角度が付けられたポート16を有する(図1ないし図3、図8)。ポート16の開口は、角度が付けられたカフ18を貫通する。近位ディスク若しくはプレート14は、角度が付けられた第1のポート20と、角度が付けられた第2のポート22とを有する。ポート20及び22の各開口は、角度が付けられたカフ24、26をそれぞれ貫通する(図1、図2、図4、図10Aないし図10D、図11ないし図15)。遠位ディスク若しくはプレート12を移動または回転させると、遠位ディスク若しくはプレート12のポート16が、近位ディスク若しくはプレート14の第1のポート20と互いに軸方向に整列する位置が提供される(図11)。また、遠位ディスク若しくはプレート12を移動または回転させると、遠位ディスク若しくはプレート12のポート16が、近位ディスク若しくはプレート14の第2のポート22と互いに軸方向に整列する位置が提供される(図13)。どちらの場合も、一組のポートが互いに軸方向に整列したときは、近位ディスク若しくはプレート14の互いに整列されなかったポートは遠位ディスク若しくはプレート12の一部によって塞がれる。また、遠位ディスク若しくはプレート12を移動または回転させると、遠位ディスク若しくはプレート12の遠位ポート16が、近位ディスク若しくはプレート14の第1のポート20及び第2のポート22のいずれとも整列しない位置が提供される。この位置では、ポート16、20及び22は、遠位ディスク若しくはプレート12または近位ディスク若しくはプレート14の一部によって閉位置で塞がれ、どのポートも互いに整列されない(図12)。
【0036】
図2、図3及び図8に示すように、遠位ディスク12はまた、ディスク12の外縁部30に位置するリップ28を含むことが望ましい。リップ28は、その周囲に、第1のノッチ31、第2ノッチ32及び第3のノッチ33の3つのノッチを有する。3つのノッチ31、32及び33は、他の要素と協働して、ディスク12、14を互いに係脱自在にロックする3つの所定の位置を提供する。また、第1、第2及び第3のノッチ31、32及び33に対して各々隣接する複数のランプ(集合的に符号34で示す)がリップ28上に設けられる。ランプ34は、結合力に対抗する機械的安定性及び強度を提供することが望ましい。さらに、ランプ34は、ボタンに設けられたばね及び/またはプランジャ(詳細については後述する)のためのクリアランスを提供する。遠位ディスク12の近位面40の少なくとも一部に、リップ28のジャンクション42及び遠位ディスク12のエッジ30に隣接して、溝38を設けることが望ましい。溝38は、遠位ディスク12の内周面43の一部に沿って設けることが望ましい。あるいは、ディスク12に溝を設けないこともできる(図示せず)。また、遠位ディスク12の内周面43の一部に沿って延在するリブ44を設けることが望ましい。あるいは、リブの代わりに、一対のストップタブを用いることもできる(図示せず)。これらの構成要素は、近位ディスク14の構成要素(詳細については後述する)と協働して、遠位ディスク12及び近位ディスク14の回転を可能にする。また、遠位ディスク12の近位面40上に、柔軟性ポリマー製の弾性シール部材48を配置することが望ましい。シール部材48は、遠位ディスク12と近位ディスク14との間の閉鎖換気系の密閉状態を維持するために用いられる。
【0037】
図2及び図8に示すように、シール部材48は、ディスク状の形状を有すると共に、遠位ディスク12の内周面43の周辺長さよりも若干小さい周辺長さを有することが望ましい。シール部材48の遠位面54は実質的に平坦であるが、近位面56はその周辺50に沿って延在する周辺リブ58を有する。同様に、シール部材48には、これに限定しないが、少なくともポート16の形状に適合するように構成された開口62が貫通形成されている。開口62は、第1のポート20及び第2のポート22と少なくとも実質的に適合することが望ましい。シール部材48の近位面56の開口62に沿ってポートリブ64が形成されている。周辺リブ58及びポートリブ64は、近位ディスク14の遠位面65の構成要素と協働して、シール部材48と近位ディスク14との間に密閉状態を形成する(詳細については後述する)。シール部材48を遠位ディスク12の近位面40上に同心的に配置した場合、周辺リブ58、遠位ディスク12の近位面40の一部、及び遠位ディスク12のリップ28が互いに協働して溝38(図示せず)を提供することが理解できるであろう。
【0038】
遠位ディスク12は、その遠位面66に、ポート16の周囲に形成されたカフ18を有する(図1ないし図3)。カフ18は、人工気道に連結されるか、人工気道の一部を形成するコネクタまたはマニホールド175に対して着脱自在に結合できるように構成されることが望ましい。カフの結合は、例えば、摩擦的に回転させること、ルアーロック、インターロッキングタブ、ねじ部品などによって行うことができる。
【0039】
近位ディスク14は、遠位面68と外縁部70を有する(図1、図2、図4、図6、図7、図10Aないし図10D)。外側リップ72が、外縁部70に隣接してまたは外縁部70の近傍に形成されており、外縁部70と協働して遠位ディスク12のリップ28を覆うように構成されている。外側リップ72は1以上のノッチを有しており、外側リップ72には2つのノッチ(集合的に符号74で示す)が形成されることが望ましい。内側リブ76が、近位ディスク14の遠位面68上における、外側リブ72から内側に短い距離を隔てた位置に形成されている。内側リブ76は、外側リップ72の内周面79に沿って、完全な円形では延在していない。前記短い距離は、遠位ディスク12のリップ28を受容することができる形状の回転溝80を画定する。ストップタブとしての役割を果たすタブ81が、内側リブ76に設けられる。
【0040】
作業時は、遠位ディスク12のリップ28は、近位ディスク14の外側リップ72と内側リブ76との間に形成された溝80に嵌合される(図8、図10Aないし図10D)。そして、近位ディスク14のタブ81は、遠位ディスク12の溝38に協働的に嵌合され、それにより、遠位ディスク12が、溝38の範囲内で近位ディスク14に対して回転することを可能にする。遠位ディスク12のリブ44は、ストップとしての役割も果たし、それにより、遠位ディスク12がそれ以上回転することを阻止する。さらに、これらの構成要素は、回転式アクセスポート10を貫通して配置される吸引カテーテルにねじれを生じさせる可能性がある過剰な回転を防止する。近位ディスク14に戻って、第1及び第2のポート20、22の周囲に、周囲リブ82、83が形成される。第1のポート20と第2のポート22との間には、閉位置を提供するのに用いられる略D字状の部分84が設けられる(詳細については後述する)。2つの周囲リブ82及び83の間に延在しかつ両リブを接続するチャンネル86が設けられる。チャンネル86は、第1及び第2のポート20、22が互いに気体的に及び流体的に連通することを可能にする。なお、近位ディスク12の第1及び第2のポート20、22の間にチャンネルを形成しない場合もあり得ることを理解されたい(図示せず)。開口部88が回転溝80の一部を貫通して形成されている。開口部88は、ボタンハウジング90内に延在しており、ブロック部またはプランジャ92と、ボタン94を有するアクチュエータまたはボタンアセンブリ91を少なくとも部分的に収容するように形成されている(図4、図6、図7、図9Aないし図9D、図10Aないし図10D)。
【0041】
ボタンハウジング90は、近位ディスク14の近位面96の一部から形成される。近位面96は、第1及び第2のポート20、22をそれぞれ取り囲む第1及び第2のカフ24、26を有する。第1及び第2のポート20、22とそれに対応する第1及び第2のカフ24、26の各々は、前述したように、互いに重ね合された遠位及び近位ディスク12、13に対して或る角度をなして設けられる。
【0042】
これに限定しないが、ボタンハウジング90の少なくとも一部は、第1のポート20の第1のカフ24と、これに限定しないが約90度の角度で交差するように形成される。ハウジング90は、ボタンアセンブリ91及び該アセンブリと一体的に形成されたまたは該アセンブリに結合されたボタン94及びプランジャ92の形状に対して適合するように、例えば半円筒状に(すなわち、これに限定しないが、例えば略C字状またはU字状に)形成され得る(図4、図6、図7、図10Aないし図10D)。また、ボタンハウジング90は、近位ディスク14の外側リップ72の一部に、第1のカフ24に貫通形成された開口と連通する側方開口部100を有するように形成されることが望ましい。近位ディスク14は外側リップ72にノッチまたはディボット99を有しており、ボタン94の一部がディボット99と当接することにより、ボタン94を遠位及び近位ディスク12、14に対して保持する。ディボット99は、第1のポート20の第1のカフ24内で側方開口部100と連通するように形成される。柔軟性ポリマー製の弾性Oリング102を、側方開口部100の内周面に隣接配置することが望ましい。Oリング102は、PEEP圧力損失に対抗するためのプランジャのシールと、ばね104の設置領域を提供する。ばね104は、金属、プラスチックまたはそれらの任意の組み合わせから製造されることが望ましい。ばね104は、プランジャ92上に配置され、Oリング102とボタン94の間に延在し、ボタン94及びプランジャ92を外側に向けて付勢する。ばね104は、コイルばねであるが、他の非コイルばねや付勢手段を用いることもできる。
【0043】
図9Aないし図9Dに示すように、ボタン94は、親指押し領域106と外側シェル108を含むことが望ましい。外側シェル108は、ボタンハウジング90の形状に実質的に沿うような、略C字状またはU字状の形状を有する。また、ボタン94は、外側シェル108から短い距離を隔てて離間配置された、同様なC字状またはU字状の内側シェル110を含む。プランジャ92は、親指押し領域106の内面に結合されている。プランジャ92は、内側シェル110から短い距離を隔てて離間配置されている。第1のカフ24内で第1のポートを閉鎖するために、ハウジング90から側方開口部100に挿入するためにプランジャ92を或る位置で保持することができるように、ボタンハウジング90は外側及び内側シェル108、110の間にスタックされるかまたは配置されることが望ましい(図7、図10Aないし図10D)。さらに、内側シェル110の周縁部113は、保持タブ114、ロックタブ116及び移動許可部118を有する。移動許可部118は、複数の所定の位置におけるボタン94及びプランジャ92の移動及び係脱自在なロックの両方のために、ボタン94及びプランジャ92の移動を可能にする働きをする。
【0044】
保持タブ114は、移動禁止位置(結合位置)にあるときに、遠位及び近位ディスク12、14に対してボタン94を結合させることができる形状に形成されている(図9Aないし図9D、図10Aないし図10D)。保持タブ114は、遠位ディスク12のリップ28と当接し、ばね104がボタン94を外側に向けてすなわちディスク12、14から離れる方向に付勢したときでさえも、互いに積層されたディスク12、14からボタン94が離れないようにする。ロックタブ116は、回転ディスク12のリップ28に設けられた第1、第2及び第3のノッチ31、32、33の各々に嵌合し当接することができるような形状に構成される。ロックタブ116が、ノッチ31、32または33を介してリップ28と当接するように位置されときは、ロックタブ116は、遠位ディスク12の近位ディスク14に対する回転をロックまたは阻止する。移動許可部118は、遠位ディスク12のリップ28の下側に延びるような形状に構成される。この位置では、ロックタブ116は、遠位ディスク12の内周面43に対して対向位置する。したがって、ロックタブ116の遠位ディスク12に対する係合を解除すると、近位ディスク14の前述した所定の範囲内(すなわち、約180度以下)で遠位ディスク12が回転することが可能となる。移動許可部118は、ユーザがボタン94を内側に向けて押下したときにのみ、ディスク12、14へ向かう移動を可能にし、遠位ディスク12の回転を開始すると共に、ボタン94を押下位置に保持する。このようにして、ロックタブ116が移動禁止位置に位置し、ブロック部であるプランジャ92が側方開口部100を介して第1のポート20の第1のカフ内に延びることによって、第1のポート20を効率的に閉鎖し、吸引カテーテルが第1のポート20を通過することを防止する。プランジャ92は、遠位ディスク12が回転し、第1、第2及び第3のノッチ31、32、33の1つが移動許可部118と交差するまでは、第1のポート20内に残る。第1、第2及び第3のノッチ31、32、33は、周縁部113の外側へ向かう移動を可能にする十分なスペースを提供し、それにより、ばねによって付勢されたプランジャ92及びボタン94が、遠位及び近位ディスク12、14の外縁部30、70から離れる外側へ向かう移動することを可能にする。そして、ロックタブ116が、第1、第2及び第3のノッチ31、32、33のいずれか1つと嵌合し、遠位ディスク12の回転を妨げることによって、遠位ディスク12を固定された移動不能な位置にロックする。この位置では、プランジャ92は、第1のポート及び/または第1のカフ24を貫通する開口から離れた位置に再び位置され、ボタンハウジング90内に戻ることによって第1のポート20の閉鎖を解除する。
【0045】
遠位ディスク12、遠位ディスク12のシール部材48、近位ディスク14、ばね104、Oリング102及びボタンアセンブリ91は、互いに協働してアセンブリ10の3つの所定の位置を画定する。図11に示すように、第1の位置は、遠位ディスクのポート16及びカフ18と近位ディスクの第1のポート20及び第1のカフ24とが互いに整列される開位置(第1の開位置)を画定する。整列されたポート16、20、カフ18、24は互いに軸方向に整列され(一直線に並び)、互いに連通される。遠位ディスク12上に配置されたシール部材48及びそのリブ58、64は、PEEPが維持されるように密閉状態を形成し、分泌物を実質的にアセンブリ10及び閉鎖回路換気系内に保持する役割を果たす。この第1の位置では、シール部材48と遠位ディスク12の近位面40は、第2のポート22を閉鎖する。第2のポート22は、該ポートを閉鎖するためのキャップ(図示せず)を有し得る。
【0046】
図12に示すように、遠位ディスク12が第1及び第2のポート20、22の間の位置に回転したときに、第2の位置は、遠位ディスクのポート16が近位ディスクの第1及び第2のポート20、22に対して閉鎖される閉位置を画定する。このとき、シール部材48は、閉鎖された全てのポート16、20、22を密閉状態にする働きをする。この位置では、遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、近位ディスク14の第1のポート20または第2のポート22のいずれに対しても軸方向に整列されていないことに注意されたい。第1及び/または第2のカフ24、26もまた、各カフを閉鎖するためのキャップ(図示せず)を有し得る。あるいは、カフ24または26には、各カフを閉鎖するための吸引カテーテルアセンブリまたは他のデバイスが結合され得る。
【0047】
図13に示すように、第3の位置は、遠位ディスク12のポート16及びカフ18と近位ディスク14の第2のポート22及び/第2のカフ26とが互いに整列される開位置(第2の開位置)を画定する。この位置では、ポート16、22及びカフ18、26の軸方向の整列及び機能的な連通が形成される。遠位ディスク12上に配置されたシール部材48及びそのリブ58、64は、PEEPが維持されるように、密閉状態を形成し、分泌物を実質的にアセンブリ10及び閉鎖回路換気系の内部に保持する役割を果たす。この第3の位置(第2の開位置)では、シール部材48と遠位ディスク12の近位面40は、第1のポート22を閉鎖する。第1のポート20は、該ポートを閉鎖するためのキャップ(図示せず)を有し得る。あるいは、第1のポート20には、該ポートを閉鎖する役割を果たす吸引カテーテルアセンブリまたは他のデバイスが結合され得る。
【0048】
図1、図2、図5Aないし図5C及び図11ないし図15に示すように、アセンブリ10は、円形カラー部材130を含み得る。カラー部材130は、その外周面134上に、ユーザの把持性を高めるための複数のリブ136を有する親指置き部132を有し得る。また、カラー部材130は、ボタンハウジング90及びボタンアセンブリ91に適合させるための切欠部138を有する。カラー部材130は、その内面140に、近位ディスク14の外側リップ72の2つのノッチ74と協働してカラー部材130をディスク12、14の周囲の位置に保持する一対のタブ142を有し得る。また、カラー部材130は、望ましくは、カラー部材130に対して実質的に垂直に形成された複数のフランジ144を有する。フランジ144は、遠位ディスク12の遠位面65の一部を覆うように配置され、回転位置において、近位ディスク14に対して遠位ディスク12を保持するのを助けるような形状に形成されている。カラー部材130は、遠位及び/または近位ディスク12、14に対してロック‐タブ位置に保持してもよいし、あるいは、近位ディスク14に部分的に接着してもよい。さらに、カラー部材130は、近位ディスク14の周囲に摩擦的に嵌合してもよい。なお、アセンブリ10は、カラー部材130を用いずに構成して、これに限定しないが、例えば、近位ディスク14の外縁部、遠位ディスク12の外縁部、またはその両方(図示しない)の適合によって互いに連結させるようにしてもよいことに留意されたい。
【0049】
図1に示すように、吸引カテーテルアセンブリ150は、少なくとも、遠位端コネクタ152を含む。遠位端コネクタ152は、近位ディスク14の第1のポート20の第1のカフ24と着脱自在に結合できることが望ましい(図示せず)。あるいは、図1に示すように、吸引カテーテルアセンブリは、第1のカフ24に着脱自在に結合された、着脱が容易な中間コネクタ180に対して直接的に結合される。少なくとも吸引カテーテル154を実質的に覆うように延在するスリーブ153が、遠位端コネクタ152に結合されることが望ましい。スリーブ153は、吸引カテーテル154を実質的に覆うための近位端コネクタ(図示する)を含み得る。吸引カテーテル154は、少なくとも1つの開口(図示せず)を有する遠位端156を含む。また、吸引カテーテル154は、貫通形成されたルーメンと開口近位端(図示せず)を有する細長い本体部157を含む。吸引カテーテル154の近位端は、吸引カテーテル154に吸引力を提供する吸引装置(図示せず)の少なくとも一部と結合できるように構成される。吸引カテーテル154は、人工気道から分泌物を吸引するために、アセンブリ10、アセンブリ10に結合されたコネクタまたはマニホールド175、及び気管内チューブまたは人工気道164を貫通して患者の気道の一部に到達することができるような十分な長さを有することに留意されたい。吸引の中断時は、患者の気道及び/または人工気道164及びアセンブリ10から吸引カテーテル154を引き出して、スリーブ153内に戻すことが望ましい。このようにして、吸引カテーテル154の全長はスリーブ160内に収容され、分泌物の吸引のために再び必要とされるまでは、患者の閉鎖回路換気系の外部に配置される。
【0050】
遠位ディスク12のポート16及びカフ18と、近位ディスク14の第1及び第2のポート20、22並びに第1及び第2のカフの24、26は、ポート16及びカフ18が第1のポート20及び第2のカフ24に対して整列されたときにポート16、20及びカフ18、24が互いに協働して軸方向の整列を提供する限りは、様々な角度に角度付けすることができる。同様に、遠位ディスク12のポート16及びカフ18が近位ディスク14の第2のポート22及び第2のカフ26に対して整列されたときは、ポート16、22及びカフ18、26は互いに協働して軸方向の整列を提供する。さらに、それぞれの整列において、アセンブリ10の構成要素が、少なくとも近位側に結合された患者の人工気道の外部部材に対して実質的に軸方向に整列されることに留意されたい。そのような軸方向の整列は、ポート16、20、22及びそのカフ18、24、26を貫通した吸引カテーテルのねじれや意図しないクリッピングを防止することができるので望ましい。これは、吸引カテーテルが軽量で柔軟な材料から作製されており、曲がり角を通過させるために力を加えたときに、重なる、折れる、ねじれる及び/またはクリッピングして吸引能力に影響を与える傾向があるためである。
【0051】
第1の位置(第1の開位置)に位置したときは、図11に示すように、近位ディスク14の第1のポート20及び第1のカフ24は、遠位ディスク12及び近位ディスク14の各面の少なくとも一部と平行な軸165に対して約35度ないし約55度の角度をなして位置されることが望ましい。遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、約215度ないし約235度の角度をなして位置されることが望ましい。なお、第1の開位置に位置したときは、第1のポート20及び第1のカフ24とポート16及びカフ18は互いに協働して、吸引カテーテル154を貫通配置することが可能となる約180度の角度を提供する(一直線に並ぶ)ことに留意されたい。
【0052】
第1の位置では、近位ディスク14の第2のポート及び第2のカフ26(図11)は、図11ないし図13に示すように、ディスク12、14を通る軸165に対して約125度ないし約145度の角度をなして位置されることが望ましいなお、遠位ディスク12のポート16及びカフ18を第2のポート22及び第2のカフ26に対して第3の位置(図13)(第2の開位置)に回転移動させたとき、ポート16及びカフ18は、軸165に対して約305度ないし約325度の角度をなして位置される。第3の位置(第2の開位置)に位置したときは、第2のポート22及び第2のカフ26とポート16及びカフ18は互いに協働して約180度の角度を提供し(一直線に並び)、例えば、気管支鏡の一部やカテーテルの一部などの器具を貫通配置することができる開位置が形成されることに留意されたい。
【0053】
第2の位置(閉位置)では、遠位ディスク12のポート及びカフ18は、第1のポート20及び第2のポート22の両方に対して整列しない位置に位置される。遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、軸165に対して約90度の角度をなして位置される。なお、図12に見ることができるように、ポート16及びそのカフ18は、軸165に対して別の軸(図示せず)に配置される。
【0054】
使用方法において、アセンブリ10は、患者の人工気道164にマニホールド175を介して間接的に取り付けることが望ましいが、患者の人工気道164に直接的に取り付けてもよい(図示せず)。また、この例では、これに限定しないが、図11及び図14に示すように、患者の人工気道及び気道から分泌物を吸引して除去すべく、吸引カテーテル154がアセンブリ10を貫通することを可能にするために、アセンブリ10は複数の所定位置のうちの1つすなわち第1の位置に配置される。この第1の位置では、遠位ディスク12のポート16及びカフ18は、近位ディスク14の第1のポート20及び第1のカフ24と軸方向に整列して位置される。ボタンアセンブリ91の周縁部113に設けられたロックタブ116は遠位ディスク12の第1のノッチ31を通って位置し、それにより、遠位ディスク12及び近位ディスク14を固定位置に互いに保持する。この位置では、プランジャ92は、ボタンハウジング90内に位置し、第1のポート20または第1のカフ24のどの部分も塞がない。このようにして、ポート16、20及びカフ18、24を互いに整列させることにより、アセンブリ10を患者の人工気道164及び気道に機能的に連通させると共に、吸引カテーテル154をアセンブリ10の開位置、すなわち吸引カテーテル通路166を通過させて人工気道及び/または患者の気道内に挿入することにより、人工気道及び/または患者の気道から分泌物を吸引することができる。
【0055】
ボタンアセンブリ91のボタン94を押し下げたとき、ポート16、20及びカフ18、24を貫通して配置された吸引カテーテル154の存在に起因して、プランジャ92は第1のカフ24の側方開口部100を通って第1のポート20の開口に入ることができないので、ボタンはほとんど押し下げることができない。ボタン94を内側に向けて完全に押し下げることができないので、遠位ディスク12をロックタブ116から脱離させることができない。そのため、ディスク12、14は互いに対して回転することができず、吸引カテーテル154は、アセンブリ10の前記軸方向整列によって形成された吸引カテーテル通路166を貫通して位置される。このようにして、吸引カテーテル154の一部がユーザによって意図せずに切断されることがないように、安全ロックが形成される。
【0056】
ユーザが吸引カテーテル154を引き出してスリーブ153内に完全に戻したとき、近位ディスク14を回転させるために、医療ケア提供者またはユーザが遠位ディスク12の一部を把持して動かないようにした状態でアクチュエータまたはボタンアセンブリ91のボタン94を移動許可位置(図10A、図10B)へ押し下げる。遠位ディスク12のリブ44は、近位ディスク14の停止タブ81と協働して、近位ディスク14の回転をこれに限定しないが約180度またはそれ未満に制限する。ボタン94をディスク12、14の外縁部30、70に対して完全に押し下げたとき、ロックタブ116は、遠位ディスク12のリップ28の第1のノッチを通って出る。また、ボタン94を完全に押し下げたとき及びディスク12、14の第1、第2及び第3の位置の間での回転の間は、ボタン94を押し下げ位置に保持しながら、ブロック部すなわちプランジャ92が第1の位置に位置することによって第1のポート20は閉鎖される。この方法のこの時点では、周縁部113の移動許可部118は遠位ディスク12のリップ28の下方に移動され、ロックタブ116はリップ28の内周面43に対してさらに内側に位置され、それにより、遠位及び近位ディスク12、14をそれらを互いにロックしている位置から開放する。ディスク12、14の回転移動はアセンブリ10のこの移動許可部内で可能にされ、少なくとも近位ディスク14の第1の方向への回転移動が可能となることが望ましい。ディスク12、14は、ボタン94の周縁部113の移動許可部118が遠位ディスク12のリップ28の第2のノッチ32と衝突しない限りは回転することができる。なお、リップ28の第2のノッチ32が移動許可部118と交差したときは、第2のノッチ32は周縁部113の外側に向かう移動を許可し、ロックタブ116が第2のノッチ32を通って外側に向かって移動して遠位ディスク12のリップ28と当接することによって遠位ディスク12のさらなる回転を阻止する。同時に、プランジャ92は外側に向かって移動し、第1のポート20から出て、ボタンハウジング90に入る。その結果、ディスク12、14はロックされ、遠位ディスク12のポート16は、閉鎖されロックされた第1及び第2のポート20、22と互いに軸方向に整列しない閉位置にロックされる。よって、図12に示すように、ポート16が近位ディスク14の閉鎖された遠位面65に対向して位置されると共に、第1及び第2のポート20、22が遠位ディスク12の近位面40及びその上に配置されたシール部材48に隣接して位置される。第1及び第2のカフ24、26を塞ぐのに、閉鎖キャップ(図16ないし図18に示す)を使用してもよいことを理解されたい。ボタン94を再び押すまでは、アセンブリ10は望ましくは閉位置に保たれる。
【0057】
アクチュエータまたはボタンアセンブリ91のボタン94を再び内側に向けて(移動許可部内に)押し下げたとき、前述したように、近位ディスク14は望ましくは遠位ディスク12に対して第1の方向172に回転し、ロックタブ116は再び遠位ディスク12のリップ28の第2のノッチ32を通って出る。周縁部113の移動許可部118は、遠位ディスク12のリップ28の下方に移動し、ロックタブ116は再びリップ28の内周面43に対向して位置し、それにより、ディスク12が第1の方向172へ回転移動する間に、ボタン94を押し下げ位置に保持する。同時に、プランジャ92は、第1のポート20及び第1のカフ24を通って前記開口内に移動して第1のポートを塞ぐ。近位ディスク14は、望ましくは、遠位ディスク12のリップ28がボタンアセンブリ91の周縁部113の移動許可部118を移動する限りは、遠位ディスク12に対する回転を継続する。なお、リップ28の第3のノッチが移動許可部118と交差したとき、第3のノッチ33は周縁部113の移動を許可し、ロックタブ116が第3のタブ32を通って外側に向かって移動して遠位ディスク12のリップ28に当接しディスク12、14のさらなる回転を阻止する。この位置では、ボタン94は、ディスク12、14の外縁部30、70から離れる方向へ移動する。ボタンアセンブリ91のロックタブ116は、望ましくは、遠位ディスク12の第3のノッチを通って位置され、それによりディスク12、14を固定位置に互いに保持する。この位置では、プランジャ92は、第1のポート20から離れてハウジング90内に再び位置される。そのため、図13に示すように、ポート16及びそのカフ18は、第2のポート22及びそのカフ26と互いに軸方向に整列して位置される。この整列により、第2のポート22を人工気道164及び患者の気道と連通する通路が形成され、第2のポート22に気管支鏡や気管支肺胞洗浄システムなどを接続することによって、人工気道及び患者の気道の治療、洗浄、観察などを行うことが可能となる。このとき、第1のポート20は、閉位置に位置される。
【0058】
前記プロセスは逆の順序で行うこともでき、近位ディスク14を第1の方向172だけでなく第2の方向174にも移動させることもできることを理解されたい。さらに、ボタンアセンブリ91を外側に、すなわちディスク12、14から離れる方向に移動させたとき、プランジャ94は第1のポート20及び第1のカフ24に対して閉位置から移動されることに留意されたい。また、ユーザが第1、第2及び第3の位置のいずれかの位置での「停止」を望まない場合は、遠位ディスク12が所定の第1、第2または第3の位置に移動されるまで、ユーザはボタン94を押し下げてボタン94を押し下げ位置に維持するだけでよいことを理解されたい。また、取外し可能な吸引カテーテルアセンブリ150は望ましくは第1のポート20の第1のカフ24に着脱自在に結合されるが、吸引カテーテルアセンブリ150を第2のポート22の第2のカフ26に簡単に結合させるだけで、同様の結果を得ることができることに留意されたい。
【0059】
一方のディスクを回転させる際にユーザが他方のディスクを静止位置に保持しない限りはディスクは両方とも移動可能なので、一方のディスクの移動は、他方のディスクに対しての相対的なものである。回転位置においてディスク12、14の一方を回転させる際に、他方のディスクは静止位置に保持され得ることを理解されたい。
【0060】
ディスク12、14、カラー部材130及びボタンアセンブリ91は、望ましくは、1若しくは複数のポリマーから形成される。そのような材料の例としては、これらに限定しないが、ポリカーボネートやアクリルなどがある。また、弾性シール部材48及びOリングも、1若しくは複数のポリマーから形成することが望ましい。そのようなポリマーの例としては、これに限定しないが、熱可塑性エラストマーなどがある。
【0061】
本実施形態では、図1ないし図15に一般的に示すように、各ディスク12、14のカフ及びポートは、ディスク12、14に対して90度(垂直)ではない角度をなして配置される。カフ及びポートは、医療ケア関係者以外の者や患者にとってアセンブリ10がより小さくなりかつ「機械的な外観」とならないようにするために、ここに示した及び/または説明した角度をなして設けられる。すなわち、角度が付けられたカフ及びポートは、カフ及びポートをディスクの表面に対して略垂直に配置した場合よりも、アセンブリを約30%小型化することを可能にする。さらに、角度が付けられたカフ及びポートは、カフ及びポートをディスクの表面に対して略垂直に配置した場合よりも、アセンブリを約40%小型化することを可能にする。加えて、アセンブリ10のフットプリントをより小さくしても、人工気道164に対する軸方向の整列は重要なことに依然として可能である。このようにして、アセンブリ10は、吸引カテーテル154の人工気道164へのアクセス及び使用を注意深く制御することができると共に、小型であまり目立たなく構成されていることによりベンチレータ及び他の目立つモニタリング装置がすでに接続された患者やその家族の不安レベルを減少させることができる。
【0062】
図16ないし図21に示す本発明の別の実施形態のアセンブリ210は、ポート216及びカフ218が遠位プレートまたはディスク212に対して約90度(垂直)の角度をなして設けられたこと以外は、図1ないし図15に図示し詳細に説明したアセンブリ10と実質的に同様である。また、第1及び第2のポート220、222とその第1及び第2のカフ224、226も、近位プレートまたはディスク214に対して約90度の角度(直角)をなして設けられている。
【0063】
アクチュエータまたはボタン294はボタン94とは形状が異なるがボタン94について前述したのと同様の役割を果たし、これに限定しないが、図16ないし図18に示したようにばね(図示せず)によって付勢されること望ましい。同様に、ボタンハウジング290は、ボタンハウジング90とは形状が若干異なるが、ボタンハウジング90について前述したのと同様の役割を果たす。カラー部材230は、カラー130とは形状が若干異なり、テザー232によってカラー部材230に各々結合された一対のキャップ231を有する。
【0064】
ピンアセンブリ(図示せず)が、ディスク212、214を互いに結合させるのに使用される。あるいは、ディスク212、214は、前に図示及び/または説明したようにして互いに結合される。望ましくは、遠位及び近位プレートまたはディスク212、214は、前に図示及び/または説明したのと同じ機能を有する。さらに、プレートまたはディスク212、214は、ポート216、220、222及びそのカフ218、224、226の角度が主な相違であるが、同様に機能することが望ましい。密閉を提供するために、シール部材48と同様のシール部材あるいは1若しくは複数のOリング(図示せず)がディスク212、214に使用され得る。
【0065】
図16に最もよく図示されている吸引カテーテルアセンブリ250は、前に図示及び説明した吸引カテーテルアセンブリ150と同様であるが、同一ではない。コネクタまたはマニホールド275は、コネクタまたはマニホールド275に対するさらなる接続を可能にする追加的なポートを有すること以外は、前に図示及び説明したマニホールド175と同様である。
【0066】
アセンブリ210は、アセンブリ10について前に図示及び/または説明したのと操作方法が実質的に同じであることが望ましい。すなわち、アセンブリ210はポート間で移動可能であり、前述したような及び図19ないし図21に図示するような所定の位置、すなわち2つの開位置と1つの閉位置を有する。
【0067】
アセンブリ210の構成は、アセンブリ10と比較すると、より大きな「フットプリント(footprint)」を必要とすることに留意されたい。これは、一つには、ポート216、222、224のカフ218、224、226のそれぞれに接続するのに、適切に接続または結合するためには少なくともカフ224、226の間に十分なスペースを必要とする標準的なコネクタが使用されるためである。
【0068】
図22ないし図27に示す本発明のさらなる別の実施形態のアセンブリ310は、図1ないし図15及び図16ないし図21に示し詳細に説明したアセンブリ10及び210と同様である。遠位ディスク若しくはプレート312及び近位ディスク若しくはプレート314は、互いに対して移動またはスライドし、かつ互いの少なくとも一部が互いに対向するように構成された長方形プレートとして設けられている。さらに、図25ないし図27に示すように、ポート316、320、322及びそれらのカフ318、324、326は、遠位及び近位ディスクまたはプレート312、314に対して約90度(直角)の角度をなして設けられている。
【0069】
アクチュエータまたはボタン394は、ボタンまたはアクチュエータ294と形状が同様であるが、ボタン94について前述したのと同じ態様で機能し、図22ないし図24に示すように、ばね304によって付勢され得る。同様に、ボタンハウジング390は、ハウジング290と形状が同様であるが、ボタンハウジング90とは形状が若干異なる。ハウジング90、290、390の各々は、前に図示及び/または説明したのと同じ態様で機能することが望ましい。
【0070】
アセンブリ310は、1つのカラー部材(カラー部材130または230のような)または細長い縁部341の各々に沿って1つのカラーが延びる一対のカラー部材(図示せず)を含み得る。あるいは、図22ないし図24に最もよく図示されたようなカラー部材を含まないアセンブリ310が提供される。テザーを有するまたは有さないキャップをカラー部材の一部として、あるいは、アセンブリ310の任意の部材に設けてもよい(図示せず)。
【0071】
図23及び図24に示すように、本発明では、遠位及び近位ディスク312、314は、両ディスクを互いに移動可能に結合することを可能にするための、フランジまたは他の構成要素(図示せず)を有する少なくとも1つの溝332内に移動可能に配置された少なくとも一本のレール330を有し得る。他の代替例では、ディスク若しくはプレート312、314は、プレート312、314を実質的に取り囲むカバー内に、互いに移動またはスライド可能に保持される(図示せず)。望ましくは、ディスク若しくはプレート312、314は、ディスクまたはプレートの移動及び所定位置へのロックを可能にする、前に図示及び/または説明したのと同じ機能を有する。加えて、ディスク312、314は、2つの大きな違い以外は、ディスク12、14及び212、214と同様の態様で機能することが望ましい。1つ目の違いは、図25ないし図27に示すように、ポート316、320、322及びそれらのカフ318、324、326の角度が直角であることである。2つ目の違いは、プレート312、314は、回転移動するのではなくて、直線移動することである。遠位プレート若しくはディスク12及び近位プレート若しくはディスク14に設けられたリブ、溝及び他の機能が遠位及び近位プレート312、314に設けられることが望ましいが、前記機能等は、図23及び図24に示すように、円形に配置されるのではなく、直線的に配置される。密閉を提供するために、1若しくは複数のシール部材または1若しくは複数のOリング(図示せず)あるいはそれらの組み合わせがディスク312、314に使用され得る。
【0072】
吸引カテーテルアセンブリ350は、前に図示及び説明した吸引カテーテル250及び150と同様であるが同一ではない。コネクタまたはマニホールド375は、図1及び図16に図示した及び前述したコネクタやマニホールド275と実質的に同様である。
【0073】
アセンブリ310は、プレートが回転するのではなく長手方向の経路に沿って摺動すること以外は、前に図示及び/または詳述したアセンブリ10及びアセンブリ210と実質的に同様な態様で使用され機能することが望ましい。すなわち、アセンブリ310は、ポート間で移動可能またはスライド可能であり、前述したように及び図25ないし図27に図示するように、少なくとも2つの開位置及び1つの閉位置を有することが望ましい。
【0074】
アセンブリ310の構成は、アセンブリ210またはアセンブリ10のいずれよりも大きなフットプリントを必要とすることに留意されたい。これは、一つには、ディスクまたはプレート312、314を互いに対して移動またはスライドさせるためのスペースが必要なためである。加えて、これは一つには、ポート316、322、324のカフ318、324、326のそれぞれに接続するのに、適切に接続または結合するためには少なくともカフ324、326間に十分なスペースを必要とする標準的なコネクタが使用されるためである。
【0075】
加えて、いくつかの構成要素を或る角度で説明及び示したが、アセンブリが図示及び説明したように機能する限り、任意の構成要素を任意の角度または角度の組み合わせで配置することができることを理解されたい。
【0076】
平坦なまたは平面状なディスクまたは平面的なプレートの代わりに、湾曲したまたは弓形のプレートや、凸状または凹状のディスクまたはプレートを使用してもよいことを理解されたい。ディスクまたはプレートは、図示または説明したように機能する限り、任意の形状を含み得る。同様に、図示及び/または説明した結果を実現すべく機能することができる限りは、ディスクは互いに対して様々な態様で回転、旋回、スライドまたは移動することができる。
【0077】
アセンブリ10、210、310は、遠位ディスク若しくはプレートが2以上のポート及びカフを有し、近位ディスク若しくはプレートが3以上のポート及びカフを有するように構成してもよい。また、アセンブリ10、210、310は、コネクタまたはマニホールド175、275、375あるいは当該技術分野で既知の他のマニホールドを含み得る。さらに、アセンブリ10、210、310は、吸引カテーテルアセンブリ150、250、350あるいは当該技術分野で既知の他の吸引カテーテルアセンブリを含み得る。さらなる代替形態では、アセンブリ10、210、310は、吸引カテーテルアセンブリのみならずコネクタまたはマニホールドを含み得る。
【0078】
いくつかの好適実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明に含まれる主題はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれ得る全ての代替形態、改変形態及び均等物を包含することを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通するように配置されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有し、前記遠位プレートに互いに対向して積層形態で配置された近位プレートと、
少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレート及び前記近位プレートは互い移動可能であり、
前記アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも一方のプレートと協働して前記少なくとも一方のプレートの移動を可能にし、移動禁止位置に位置したときは前記両プレートが互いに対して所定の位置にロックされるように前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックするように構成され、かつ
前記アクチュエータは、前記移動許可位置に位置されたときは少なくとも1つのポート内に挿入され、前記移動禁止位置に位置されたときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第1のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第1のポートが互いに軸方向に整列され、物体が通過することができる第1の開位置となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記近位プレートの前記第2のポートが閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記物体が吸引カテーテルであることを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
開口を有し、前記第1のポートに着脱自在に結合される接続端部と、
吸引カテーテルと、
前記吸引カテーテルを覆うように配置され、少なくとも前記接続端部に接続されるスリーブとを少なくとも備える閉鎖式吸引カテーテルアセンブリを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記所定の位置が少なくとも第2の開位置をさらに含み、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第2のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第2のポートが互いに軸方向に整列され、物体が通過することができる第2の開位置となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記近位プレートの前記第1のポートが閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項6に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記所定の位置が、全てのポートが閉鎖される閉位置をさらに含み、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記第1のポートと前記第2のポートとの間の位置に移動させ、前記第1及び第2ポートの両方と整列しないようにしたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第1及び第2のポートが互いに整列されておらず物体がどのポートも通過することができない閉位置となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記アクチュエータがボタンアセンブリを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンアセンブリがボタン及びブロック部をさらに有し、前記ブロック部がプランジャを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンが、ロックタブ及び移動許可部分を有し、
前記遠位プレートが、ノッチが設けられたリップ部を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを少なくとも一方のプレートに向けて内側に移動させたときは、前記遠位プレートの前記リップ部が前記ボタンの前記移動許可部分に位置し、それによって前記両プレートが互いに対して移動可能となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを外側に移動させて少なくとも一方のプレートから離間させたときは、前記ロックタブが前記ノッチを通って前記遠位プレートの前記リップ部と接触して前記遠位プレートの移動を阻止し、それによって前記両プレートが互いに対して移動禁止位置に位置させるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを内側に移動させたときは、前記プランジャが前記第1のポートに隣接する開口内に位置し、前記第1のポートを閉鎖することを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記カテーテルを前記第1のポートを貫通して配置し、前記ボタンが内側に移動することができないようにすることによって、前記遠位プレートが移動禁止位置に維持されるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
請求項13に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを外側に移動させたときは、前記プランジャが前記第1のポートに隣接する位置から出て、前記第1のポートが開放されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通するように配置されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有し、前記遠位プレートに互いに対向して積層形態で配置された近位プレートと、
前記両プレートを複数の所定の位置へ移動させ、各所定の位置において解除可能にロックするために、前記両プレートの移動を可能にする及び前記両プレートを互いにロックする手段とを含み、
前記遠位プレート及び前記近位プレートは移動可能であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記手段が移動許可位置に位置したときは、前記両プレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第1のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記手段が所定の移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第1のポートが第1の開位置において軸方向に互いに整列され、整列されたポートを物体が通過することができるようになり、かつ、前記近位プレートの前記第2のポートが閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ
【請求項19】
請求項18に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記手段が、前記遠位プレート及び前記近位プレートの両方に隣接して配置されたアクチュエータを含み、
前記アクチュエータは、前記移動許可位置に位置されたときは前記両プレートと協働して前記両プレートの移動を可能にし、前記移動禁止位置に位置されたときは前記両プレートと協働して前記両プレートを互いに対して固定位置にロックし前記両プレートが複数の所定の位置のうちの1つの位置にロックするように構成され、かつ
前記アクチュエータが、前記移動許可位置に位置されたときは少なくとも1つのポート内に挿入され、前記移動禁止位置に位置されたときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記複数の所定の位置が少なくとも第2の開位置をさらに含み、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、前記両プレートが互いに対して移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第2のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第2のポートが前記第2の開位置において軸方向に互いに整列され、整列されたポートを物体が通過することができるようになり、かつ、前記近位プレートの前記第1のポートが前記遠位プレートに隣接する閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ。
【請求項1】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通するように配置されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有し、前記遠位プレートに互いに対向して積層形態で配置された近位プレートと、
少なくとも一方のプレートに隣接して配置されたアクチュエータとを含み、
前記遠位プレート及び前記近位プレートは互い移動可能であり、
前記アクチュエータは、移動許可位置に位置したときは少なくとも一方のプレートと協働して前記少なくとも一方のプレートの移動を可能にし、移動禁止位置に位置したときは前記両プレートが互いに対して所定の位置にロックされるように前記両プレートと協働して前記両プレートを固定位置にロックするように構成され、かつ
前記アクチュエータは、前記移動許可位置に位置されたときは少なくとも1つのポート内に挿入され、前記移動禁止位置に位置されたときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第1のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第1のポートが互いに軸方向に整列され、物体が通過することができる第1の開位置となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記近位プレートの前記第2のポートが閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記物体が吸引カテーテルであることを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
開口を有し、前記第1のポートに着脱自在に結合される接続端部と、
吸引カテーテルと、
前記吸引カテーテルを覆うように配置され、少なくとも前記接続端部に接続されるスリーブとを少なくとも備える閉鎖式吸引カテーテルアセンブリを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項2に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記所定の位置が少なくとも第2の開位置をさらに含み、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第2のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第2のポートが互いに軸方向に整列され、物体が通過することができる第2の開位置となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記近位プレートの前記第1のポートが閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項6に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記所定の位置が、全てのポートが閉鎖される閉位置をさらに含み、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、少なくとも一方のプレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記第1のポートと前記第2のポートとの間の位置に移動させ、前記第1及び第2ポートの両方と整列しないようにしたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第1及び第2のポートが互いに整列されておらず物体がどのポートも通過することができない閉位置となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記アクチュエータがボタンアセンブリを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンアセンブリがボタン及びブロック部をさらに有し、前記ブロック部がプランジャを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンが、ロックタブ及び移動許可部分を有し、
前記遠位プレートが、ノッチが設けられたリップ部を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを少なくとも一方のプレートに向けて内側に移動させたときは、前記遠位プレートの前記リップ部が前記ボタンの前記移動許可部分に位置し、それによって前記両プレートが互いに対して移動可能となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを外側に移動させて少なくとも一方のプレートから離間させたときは、前記ロックタブが前記ノッチを通って前記遠位プレートの前記リップ部と接触して前記遠位プレートの移動を阻止し、それによって前記両プレートが互いに対して移動禁止位置に位置させるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを内側に移動させたときは、前記プランジャが前記第1のポートに隣接する開口内に位置し、前記第1のポートを閉鎖することを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項12に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記カテーテルを前記第1のポートを貫通して配置し、前記ボタンが内側に移動することができないようにすることによって、前記遠位プレートが移動禁止位置に維持されるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
請求項13に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記ボタンを外側に移動させたときは、前記プランジャが前記第1のポートに隣接する位置から出て、前記第1のポートが開放されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
呼吸器アクセスアセンブリであって、
患者の人工気道に機能的に連通するように配置されたポートを有する遠位プレートと、
第1のポート及び第2のポートを有し、前記遠位プレートに互いに対向して積層形態で配置された近位プレートと、
前記両プレートを複数の所定の位置へ移動させ、各所定の位置において解除可能にロックするために、前記両プレートの移動を可能にする及び前記両プレートを互いにロックする手段とを含み、
前記遠位プレート及び前記近位プレートは移動可能であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記手段が移動許可位置に位置したときは、前記両プレートが移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第1のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記手段が所定の移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第1のポートが第1の開位置において軸方向に互いに整列され、整列されたポートを物体が通過することができるようになり、かつ、前記近位プレートの前記第2のポートが閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ
【請求項19】
請求項18に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記手段が、前記遠位プレート及び前記近位プレートの両方に隣接して配置されたアクチュエータを含み、
前記アクチュエータは、前記移動許可位置に位置されたときは前記両プレートと協働して前記両プレートの移動を可能にし、前記移動禁止位置に位置されたときは前記両プレートと協働して前記両プレートを互いに対して固定位置にロックし前記両プレートが複数の所定の位置のうちの1つの位置にロックするように構成され、かつ
前記アクチュエータが、前記移動許可位置に位置されたときは少なくとも1つのポート内に挿入され、前記移動禁止位置に位置されたときは前記少なくとも1つのポートから引き出されるように構成されたブロック部を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載の呼吸器アクセスアセンブリであって、
前記複数の所定の位置が少なくとも第2の開位置をさらに含み、
前記アクチュエータが前記移動許可位置に位置したときは、前記両プレートが互いに対して移動可能となり、
前記遠位プレートの前記ポートを前記近位プレートの前記第2のポートと互いに整列する位置に移動させたときは、前記アクチュエータが前記移動禁止位置に位置され、前記遠位プレートの前記ポート及び前記近位プレートの前記第2のポートが前記第2の開位置において軸方向に互いに整列され、整列されたポートを物体が通過することができるようになり、かつ、前記近位プレートの前記第1のポートが前記遠位プレートに隣接する閉位置に位置することを特徴とするアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2012−511366(P2012−511366A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540240(P2011−540240)
【出願日】平成21年11月15日(2009.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055073
【国際公開番号】WO2010/067217
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月15日(2009.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055073
【国際公開番号】WO2010/067217
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
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