説明

押釦装置並びに押釦装置の入力方法

【課題】無線機能を有し、押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置の押釦信号の特性の向上、機能向上、操作性向上を図る。
【解決手段】
押釦と、前記押釦に対応して配置し、電界又は磁界を用いた第1の無線により前記押釦側の情報を発送する発送部と、前記押釦に対応して配置し、前記押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体とを有する押釦装置であって、前記記憶媒体の上面に発送部からの第1の無線による押釦側の情報を受信する押釦側情報受信部を設け、前記記憶媒体の側面に種別情報記憶部からの押釦の種別情報を第2の無線により送信する種別情報送信部を設けた。記憶媒体に押釦の種別情報を受信する種別情報受信部を設け、前記種別情報受信部が受信した押釦の種別情報を送信部から送信する。押釦の停止前の押下中に押釦の到来を電界又は磁界を用いた無線により検出する入力方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機能を有し、押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置並びにその押釦装置の入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1(特開平8−222069号)の図1には、電界の変化を利用した押しボタンスイッチが開示され、又、図5には、磁界の変化を利用したスイッチが開示されている。
又、特許文献2(特開2006−58997号)には、設置の自由度を高めるため、無線ICタグに指などの人体の一部が接触することによりマイクロ波で成る電波が遮断され、ICタグを検出する入力パネルが開示されている。
又、特許文献3(特開2007−115166号)には、キーのレイアウト変更を容易にするため、キーユニット11側にRFタグ16を備えたキー入力装置が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1(特開平8−222069号)には、押釦種別情報を記憶した記憶部を含む媒体は開示されていない。
【0004】
又、特許文献2(特開2006−58997号)のICタグ13等は、マイクロ波を遮断してタグを特定するもので、このマイクロ波は全方位にわたって放射されており、従って、外部からの雑音電磁波に弱く、パネルの入力信号の特性は悪い。
【0005】
又、特許文献3(特開2007−115166号)のRFタグ16は、キーユニット11側に設けられており、本発明のように、電界又は磁界を用いた第1の無線を上面で検出し、押釦種別情報を第2の無線により送信する送信部を側面に設けた記憶媒体は開示されていない。さらに、本発明のような、記憶媒体間で押釦種別情報の送信、受信を行なうこと、押釦の停止前の押下中に押釦の到来を検出すること等は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−0222069号公報
【特許文献2】特開2006−058997号公報
【特許文献3】特開2007−115166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、無線機能を有し押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置の押釦信号の特性を向上することにある。
【0008】
さらに、無線機能を有し押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置の機能を向上することにある。
【0009】
さらに、無線機能を有し押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置の操作性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の押釦装置は、押釦と、前記押釦に対応して配置し、前記押釦側の情報を電界又は磁界を用いた第1の無線により発送する発送部と、前記押釦に対応して配置し、前記押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体とを有する押釦装置であって、前記記憶媒体の上面に、前記発送部からの前記電界又は磁界を用いた第1の無線による押釦側の情報を受信する押釦側情報受信部を設け、前記記憶媒体の側面に、前記種別情報記憶部からの押釦の種別情報を第2の無線により情報処理部側へ送信する種別情報送信部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の押釦装置は、第1、第2の押釦と、前記第1、第2の押釦に夫々対応して配置し、前記第1、第2の押釦側の情報を電界又は磁界を用いた無線により夫々発送する第1、第2の発送部と、前記第1、第2の押釦に夫々対応して配置し、前記第1、第2の押釦の種別情報を夫々記憶する第1、第2の記憶部を含む第1、第2の記憶媒体とを有する押釦装置であって、前記第1、第2の記憶媒体に、前記第1、第2の発送部からの前記電界又は磁界を用いた無線による押釦側の情報を受信する第1、第2の受信部を夫々設け、前記第1、第2の記憶部からの押釦の種別情報を情報処理部側へ送信する第1、第2の送信部を夫々設け、さらに前記第2の記憶媒体に前記第1の記憶媒体からの第1の押釦の種別情報を受信する種別情報受信部を設け、前記種別情報受信部が受信した前記第1の押釦の種別情報を、前記第2の送信部から情報処理部側へ送信することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の押釦装置は、請求項1若しくは2に記載の押釦装置において、前記送信部からの送信は、電界又は磁界による無線を用いることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の押釦装置は、請求項1若しくは2に記載の押釦装置において、前記押釦側の情報の発送と、前記押釦の種別情報の送信は互いに種類の異なる無線を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の押釦装置は、請求項1若しくは2に記載の押釦装置において、前記記憶媒体は、前記押釦の種別情報以外の情報を記憶できる記憶部を有することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の無線機能を有し、押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置の入力方法は、押釦を押下する第1のステップと、前記押釦の停止前の押下中に前記押釦側の情報を電界又は磁界を用いた無線により受信する第2のステップと、前記受信した無線により前記押釦の到来を検出し、前記押釦に対応して配置された記憶媒体内の押釦種別情報記憶部から種別情報を取出し、情報処理部側へ送信する第3のステップとを有することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の押釦装置の入力方法は、請求項6記載の入力方法において、前記押釦種別情報に関する情報を前記押釦の押下中に表示部に表示する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1によれば、電界又は磁界を用いた無線は外部からの雑音電磁波に強いので、押釦信号の特性が向上する。
又、押釦側の情報の発送方向と、押釦の種別情報の送信方向が直交するので指向性が向上し、外部からの雑音電磁波に強くなり、押釦信号の特性が向上する。
【0018】
請求項2によれば、電界又は磁界を用いた無線は外部からの雑音電磁波に強いので、押釦信号の特性が向上する。
又、第2の記憶媒体の第2の押釦種別情報送信部を利用して第1の記憶媒体からの押釦種別情報を送信するので、第1の記憶媒体からの押釦種別情報を情報処理部へ送信するための専用の送信路が不要になり、構成が簡易になる。
【0019】
請求項3によれば、電界又は磁界を用いた無線は外部からの雑音電磁波に強いので、押釦信号の特性が向上する。
【0020】
請求項4によれば、情報の発送と、送信に異なる種類の無線を用いるので、互いの干渉が低減し、押釦信号の特性が向上する。
【0021】
請求項5によれば、押釦の種別情報の他に種々の情報を記憶させることができるので、押釦装置を情報処理部の記憶部の一部として利用することができ、押釦装置の機能が向上する。また、情報処理部の負担が軽減する。
【0022】
請求項6によれば、電界又は磁界を用いた無線は外部からの雑音電磁波に強いので、押釦信号の特性が向上する。
又、押釦を停止位置まで押す必要がないので、反力を受けず操作者の疲労が軽減し、操作性が向上する。
又、押釦に対応して種別情報記憶部を配置したため、必要に応じて押釦毎に閾値を設定でき、親指用の押釦と小指用の押釦とで閾値を変えることが容易にできる。
【0023】
請求項7によれば、押釦の停止前の押下中に押釦の種別情報に関連した情報を表示部に表示できるので、押釦の誤操作が低減する。
又、押釦を見ないで表示部だけを見ての高速入力が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る実施形態1の押釦装置の模式図で、Aの(1)、(2)、(3)は作動順序を示す図、Bは作動順序に対応した波形図である。
【図2】Aは本発明に係る押釦装置に用い得るタグの内部ブロック図、Bは他の例の内部ブロック図である。
【図3】Aは図1に用い得るタグの例1の模式図、Bは他の例の模式図である。
【図4】Aは図1に用い得るタグの例2の模式図、Bは他の例の模式図である。
【図5】Aは実施形態1の応用例1の模式図、Bはその作動状態の模式図である。
【図6】Aは図5に用い得るタグの模式図、B、Cは主要部断面図、Dはそのブロック図である。
【図7】Aは図5の変形例の模式図、Bはそのブロック図である。
【図8】Aは図7の変形例の模式図、Bはそのブロック図である。
【図9】本発明に係る実施形態2の押釦装置の模式図で、(1)、(2)は作動順序を示す図である。
【図10】Aは実施形態2の応用例1の模式図、Bはその作動状態の模式図である。
【図11】Aは図10に用い得るタグの模式図、B、Cは主要部断面図、Dはそのブロック図である。
【図12】実施形態2の全体斜視図である。
【図13】図10の変形例の摸式図である。
【図14】各実施形態の応用例の全体斜視図である。
【図15】本発明の実施形態の押釦情報の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明の好適な実施の形態を図面に従って説明する。
【0026】
実施形態1
図1のAは、本発明の実施形態1に係る押釦装置の要部を模式的に示し、(1)は押釦KTの静止状態、(2)は停止前の押下中の状態、(3)は停止状態を示す。
押釦KTは基板KB上の支持ばねSPにより上下動自在に支持され、指FGにより押下される。押釦KTの下方の対応した位置には、押釦KTと共に上下動し、押釦KTの上下方向の位置情報を無線MS1により発信する押釦位置情報発信部GEを設ける。基板KB上には、押釦KTの発信部GEに対応する位置に記憶媒体(以下タグと称す)TGを配置する。タグTGは、押釦KTの種類を識別する押釦の種別情報を記憶している記憶部MMを含む集積又は大規模集積又は超大規模集積回路部ICを有する。タグTGの上面JMには、発信部GEからの押釦位置情報を無線MS1により受信する位置情報受信部RCを設ける。タグTGの側面RSには、記憶部MMからの押釦の種別情報を、無線MS2により側面方向に向けて送信する種別情報送信部TRを設ける。無線MS1には、電界又は磁界を用いる。無線MS2には、電界、磁界の他に、可視光、赤外光その他の電磁波を用いることができる。基板KBに設けた電力送信部PTは、タグTGに設けた電力受信部PRに有線YPにより電力を常時送信する。
【0027】
押釦種別情報を入力するため、押釦KTを指FGにより押下すると押釦は下降し、無線MS1をタグTGの上面JMの受信部RCが受信し、図1Bに示す如く、深さS1まで押すと押釦KTの位置の検出信号がE0からE1に上昇する。このE1を押釦の到来検出の閾(しきい)値として押釦検出信号K1を生成する。この押釦到来の検出に応答して、記憶部MMから押釦の種別情報を取り出し、タグTGの側面RSから無線MS2により送信する。このように、無線MS1による押釦KTの位置情報をタグTGの上面JMで受信し、押釦KTの種別情報を無線MS2により側面RS方向に送信するように構成したので、押釦の位置情報の発信、受信方向と押釦の種別情報の送信方向が直交し、指向性が向上する。従って外部からの雑音電磁波に強くなり、押釦信号の特性が向上する。又、有線YSを用いて押釦の種別情報を送信することもできる。
【0028】
押釦KTを押し続けた場合、押釦KTはさらに下降し、(3)の停止状態で停止し、位置検出信号がE2に達する。しかし、押釦検出信号K1はすでに生成されているので停止位置まで押す必要はなく、停止する前に指FGを押釦KTから離しても良い。この場合、停止位置からの反力を指FGが受けないので操作者の疲労が軽減する。又、押釦KTが停止する前の押下中に、押釦の到来を検出し、後述の表示部で押釦の種別情報に関連した文字パターン等を表示、確認できるので、押釦を見ないで表示部だけを見て操作ができ、高速に入力できる。又、小指用の押釦は、深さSをS1よりも浅くし、親指用の押釦は、S1よりも深く閾値を設定することもできる。又、深さS2の停止位置で発生する信号K2を押釦検出信号としても良い。しかし、非接触式で、接点を有しないので、接点の劣化は発生しない。又、押釦KT側を固定し、基板KB側を可動として、指FGは基板KBを押下するようにしても良い。
【0029】
図2A、Bは、本発明に用い得るタグTGの内部ブロック図であり、集積回路部ICは、閾値検出部TH、記憶部MMと制御部CCを含む。閾値検出部THは、深さSの所定閾値が設定、検出される。この閾値の設定は親指用の押釦と小指用の押釦とで変えることができる。制御部CCは、受信部RC、送信部TR、記憶部MMの動作を制御する。記憶部MMは、押釦に対応した種別情報例えば文字コードや命令コード等のキーコード情報を記憶している部分KCと、それ以外の種々の情報を記憶する部分OMを有する。OMの記憶容量を増大すれば、情報処理部の記憶部の一部として使用することができ、処理部の負担が軽減する。又、図2BのタグTG2のように、演算部CPを有させれば、押釦の位置情報の演算、判別が可能で、受信信号の処理が正確になり、誤った押釦信号の発生が低減し、押釦信号の特性が向上する。又、情報処理部側の演算部との同時演算や並列演算が可能になり、情報処理部の演算部を小型にでき、処理部の負担が軽減する。さらにタグTG2の左側面LS2にも無線MS12や有線YS12により他の押釦の種別情報を受信する受信部LR2を設け、送信部TR2を用いて情報処理部側へ送信させるようにすれば(図5参照)、押釦の種別情報の専用の情報送信路が不要になり、構成が簡易になる。
【0030】
図3A、Bは、図1に用い得るタグTGの例1の模式図にして、直方体や立方体等の立体形状とする。集積回路部ICは、タグTGの内部又は表面に設ける。タグTGの上面JMには、単一又は複数の平板状導体で成る位置情報受信部RCを設ける。押釦KTに設けられた位置情報発信部GEも平板状導体で形成し、無線MS1として電界を用いる。受信部RCの表面には不図示の絶縁体層を設ける。タグTGの側面RSの送信部TRにも、導体を平板状(図3A)や渦巻状(図3B)に形成し、無線MS2として電界又は磁界を用いる。押釦KTを押すと、発信部GEと受信部RC間の静電容量が変化し、所定閾値以上に達すると押釦KTの到来を検出し、この検出に応答して、集積回路部IC内の記憶部MMに記憶されている押釦の種別情報を、送信部TRから電界又は磁界を用いた無線MS2により側面方向に送信する。電界や磁界による通信距離は、数ミリから数センチのため外部から到来し、雑音と成る電磁波に影響されにくい。又、上下方向に設定した押釦の位置情報の発信、受信方向と直交する側面方向に押釦の種別情報を送信するので指向性が向上し、押釦信号の特性が向上する。ここで側面とは、上面とほぼ直交(約70度〜110度)する面まで含むものとする。又、発信部GE、受信部RCの両方を渦巻状導体で形成し、押釦の到来検出に磁界を用いても良い。又、集積回路部ICは、有線YPにより電力を常時受信するため、無線による電力受信に比べて安定して動作させることができ、雑音に強くなり、押釦信号の特性が向上する。又、側面RSの有線YSにより押釦種別情報を送信するようにしても良い。
【0031】
図4A、Bは、図1に用い得るタグTGの例2の模式図で、Aは、発信部GEとしてエレクトレット等の永久誘電体ETを用い、単一又は複数の平板状導体で成る受信部RCを上面JMに設けた例である。Bは、発信部GEとしてマグネット等の永久磁性体MGを用い、受信部RCとして渦巻状導体を上面JMに設けた例である。ここで、無線MS1に電界を用いたときは、無線MS2に磁界を用い、無線MS1に磁界を用いたときは、無線MS2に電界を用いれば、無線の種類が異なるため、互いの干渉が低減し、押釦信号の特性が向上する。又、図1の支持ばねSPを導体で形成し、発信部GEとして機能させても良い。又、マグネットMGの代わりに渦巻状導体を用いても良い。いずれも押釦KTの押下により運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、蓄電部CD内のコンデンサCに蓄え、集積回路部ICを付勢することができ、これにより専用の電力送信部が不要又は簡易になる。
【0032】
図5は、実施形態1の応用例1の模式図で、押釦は、KT0、KT1、KT2等複数有し、各押釦の下方に対応して配置された発信部GE0、GE1、GE2と共に弾性支持板FSに支持される。タグはTG0、TG1、TG2等のように各押釦に対応して基板KB上に配置される。各タグの右側面RS0、RS1、RS2には送信部TR0、TR1、TR2を、左側面LS0、LS1、LS2には受信部LR0、LR1、LR2を設け、各タグ間に通信路が形成される(図2B参照)。各タグの記憶部には、少なくとも各押釦に対応した種別情報が記憶される。押釦KT1を押下すると、図5BのようにタグTG1の上面JM1に設けた受信部RC1が無線MS11による押釦KT1の位置情報を受信し、タグTG1に記憶されている押釦KT1の種別情報を、右側面RS1の送信部TR1から無線MS12により側面方向に送信する。
【0033】
この種別情報を隣接したタグTG2の左側面LS2の受信部LR2が受信し、次いでタグTG2の右側面RS2の送信部TR2から無線MS23により情報処理部PC側へ送信する。押釦KT1の種別情報は、処理部PCで押釦KT1に対応した文字、記号等のパターンで成る図形情報に変換され、処理部PCに接続された表示部LCで押釦に対応した図形情報として表示される。この図形情報はタグTG1の記憶部(図2のOM)に記憶させても良い。押釦KT0が押下されたときは、タグTG0の記憶部からの押釦KT0の種別情報をタグTG1の左側面の受信部LR1が受信し、送信部TR1からタグTG2の受信部LR2、送信部TR2を介して処理部PC側へ送信し、表示部LCで押釦KT0に対応する文字等の図形情報を表示する。
【0034】
ここで、タグTG1の右側面RS1の送信部TR1に発光素子、タグTG2の左側面LS2の受信部LR2に受光素子を設け、無線MS12は可視光や赤外光で成る電磁波を用いても良く、又有線YS12,23を用いても良い。このように押釦KT1の種別情報を受信する受信部LR2をタグTG2に設け、押釦KT2の種別情報を送信する送信部TR2を用いて、押釦KT1の種別情報を処理部PC側へ送信するように構成したので、処理部PCに送信する各押釦の専用の送信路が不要になり、構成が簡易になる。又、各タグに図2のOMとして示すような押釦種別情報以外の記憶部を設け、さらに各タグと処理部PCを双方向通信できるようにすれば、処理部PCの記憶部の一部として機能させることができる。又、図2のCPとして示すような各タグの演算部を処理部PCの演算部の一部として機能させても良い。これにより、処理部PCの負担が軽減する。
【0035】
図6は、図5に用い得るタグの模式図で、Aは斜視図、B、Cは断面図、Dはブロック図で、タグTG1を構成する可撓性基材KZ1の上面JM1に集積回路部IC1、受信部RC1を設け、右側面RS1に送信部TR1を、左側面LS1に受信部LR1を設ける。Bに示すように、平板状の可撓性基材KZ1の上面JM1に印刷技術により受信部LR1、RC1、送信部TR1を設け、さらに集積回路部IC1を載置する。その後、Cに示すように、基材KZ1の左右の端部を角部CR、CLで直角に折り曲げて、上面と直交するように側面LS1、RS1を形成する。これにより、印刷工程が簡易になる。
【0036】
図7は、図5の変形例の模式図で、図6例のように折り曲げる必要がない。即ちタグTG1、2、3の上面JM1、2、3の左側に、図7Bのように渦巻状の導体で成る受信部LR1、2、3を、右側に同様に渦巻状の送信部TR1、2、3を印刷技術により形成し、無線MS12、MS23等として磁界を用いる。押釦KT1を押下すると、集積回路IC1内の記憶部からの押釦種別情報が送信部TR1、受信部LR2、送信部TR2、受信部LR3、送信部TR3と順に磁界によりタグの側面方向に伝達され、処理部PC側へ送信される。これによれば、印刷された導体を折り曲げないので断線の危険性が低減する。又、薄型に構成できる。又、送信部TR1等に受信機能、受信部LR1等に送信機能を有させれば双方向の順次通信もできる。又、図8に示すようにタグTG1の右端とタグTG2の左端を重ねて送信部TR1の下方に受信部LR2が対応するように配置し、上下方向に送受信するように構成しても良い。又、位置情報の発信、受信に電界を用いれば、磁界MS12等との干渉が少ないので押釦信号の特性が向上する。
【0037】
実施形態2
図9は、本発明の実施形態2の模式図を示し、押釦KT1の下方の対応した位置にタグTG11を設ける。このタグTG11は、記憶部MM11を含む集積回路部IC11を有し、押釦KT1と共に上下動する。下面には前例同様の位置情報発信部GE11及び記憶部MM11からの情報を無線MS121により送信する送信部1としてTR11を設ける。記憶部MM11は種々の情報を記憶させることが可能である。押釦KT1及びタグTG11の下方の対応した位置にタグTG21を設け、記憶部MM21には前例同様に押釦KT1の種別情報を記憶させる。タグTG21の上面JM21には、押釦の位置情報を受信する受信部1としてRC211を設け、さらに、送信部1のTR11からの無線MS121を受信する受信部2としてRC212を設ける。又、無線電力送信部MT1を設け、タグTG11の下面KM11に設けた無線電力受信部MR1に無線MP1による電力を常時送信する。タグTG21の電力受信部PR1には、基板KBの電力送信部PT1から有線YP1により電力が常時送信され、記憶部MM11の情報が送信部TR11から受信部RC212に送信される。タグTG21の側面RS21には前例同様に送信部2としてTR21を設け、無線MS111、121も前例同様に電界又は磁界による無線を用いることができる。無線MP1は電界、磁界の他に種々の電磁波を用いることができる。
【0038】
図9(2)のように押釦KT1が押下され、所定深さSまで達すると前例のように、押釦KT1の位置情報を受信部RC211が受信し、所定閾値に達すると押釦の到来が検出され、記憶部MM21に記憶されている押釦KT1の種別情報が送信部TR21から送信され、無線MS112により側面RS21方向に送信される。又、記憶部MM11の情報も必要に応じて送信部TR21から送信される。ここで、送信部TR11に受信機能、受信部RC212に送信機能を有させて、双方向通信させるようにしても良いし、タグTG11に受信部、タグTG21に送信部を専門に設けて双方向通信させるようにしても良い。又、送信部TR11に、発信部GE11の機能を有させ、受信部RC212に受信部RC211の機能を有させても良い。又、所定深さSまで達したときに無線MP1を受信部MR11が受信し、集積回路ICが付勢され、記憶部MM11からの情報を送信部TR11から送信させるようにしても良い。
【0039】
又、無線MP1のおよぶ高さを異なるようにすれば、親指用と小指用とで押す深さを異なえることができる。又、無線MP1の搬送波を変調してタグTG21からタグTG11に情報を送信するようにしても良く、さらに、無線電力受信部MR1に送信部としての機能を有させ、記憶部MM11からの情報を送信させるようにしても良い。押釦KT1の種別情報は、押釦側の記憶部MM11に記憶させても良い。この場合、記憶部MM11と押釦KT1は一体的に移動可能になるため、押釦の配置変更が容易になる。この場合、タグTG21は省略し、基板KBには受信機能と送信機能だけを有させるようにしても良い。
又、記憶部MM11からの押釦種別情報を取出すための電力を親指用と小指用とで異なえるようにしても良い。このように、押釦に対応した位置に複数の記憶媒体を設け、いずれかの記憶部に押釦種別情報を記憶させ、その他の記憶部に種々の情報の記憶が可能になるので、情報処理部PCの記憶部の一部として機能させることができる。又、各タグに演算部を設け、情報処理部PCの演算部の一部として機能させても良い。これにより、情報処理部PCの負担が軽減する。ここで、押釦の位置情報又は記憶部からの押釦種別情報を押釦側の情報と呼び、発信部GE11及び又は送信部TR11を簡略して発送部GT11と呼ぶことにする。
【0040】
図10は、実施形態2の応用例1の模式図を示す。押釦KT0、1、2に対応してタグTG10、11、12を設け、各タグの下面に押釦側の情報発送部GT0、1、2を設け、又、無線電力受信部MR0、1、2を設ける。又、各タグに対応して基板KB上にタグTG20、21、22を配置し、各記憶部に押釦の種別情報を記憶させる。各タグの右側面RS20、21、22には送信部TR20、21、22を、左側面LS20、21、22には受信部LR20、21、22を設ける。図10Bのように押釦KT1を押下すると、タグTG21の上面JM21の受信部RC211が無線MS111による押釦KT1の位置情報を受信し、停止位置に達する前に押釦KT1の種別情報を右側面RS21の送信部TR21から無線MS112により側面方向に送信する。隣接したタグTG22の左側面LS22の受信部LR22がこれを受信し、次いでタグTG22の右側面RS22の送信部TR22から無線MS123により不図示の情報処理部PC側へ押釦KT1の種別情報を送信する。次いで不図示の表示部LCで押釦KT1に対応した文字、記号等のパターンで成る図形情報を表示する。このように押釦KT1の種別情報を受信する受信部LR22をタグTG22に設け、押釦KT2の種別情報を送信する送信部TR22を用いて押釦KT1の種別情報を処理部PC側へ送信するように構成したので、処理部PCに送信する各押釦の専用の送信路が不要になり、構成が簡易になる。押釦の種別情報は、押釦側のタグTG10、11、12に記憶させても良い。
【0041】
図11は、図10に用い得るタグの模式図で、Aは斜視図、B、Cは断面図、Dはブロック図を示し、基本構成は図6同様である。タグTG21等は、Aに示すように右側面RS21に隣接するタグTG22に情報を送信する送信部TR21を設ける。又、隣接するタグTG22からの情報を受信する受信部RR21を設ける。これにより基板KB上のタグ同士で情報の双方向の同時通信ができるようになる。
【0042】
図12は、図9の実施形態2の全体斜視図で、TG21等のタグTGは、左右側面の他に前後側面及び上下のタグにも送受信部を設け、全て隣接したタグを介して情報を送受信する例を示す。又、タグTGの二つ以上の夫々に演算部を設ければ同時演算や並列演算ができる。又、情報処理部PCの演算部とで、同時又は並列演算させても良い。又、情報の送受信には、電界又は磁界の他に、可視光、赤外光等の種々の電磁波で成る無線で行なっても良い。又、電力送信と情報送信を重畳させても良い。又、無線MSS又は有線により上方のタグTG10とTG11同士で通信させるようにしても良い。さらに、有線YSにより基板上のタグ同士で情報を送受信させるようにしても良い。
【0043】
図13は、図11の変形例の摸式図で、押釦の下方の対応した位置以外にもタグTG201、TG212等を設けた例である。例えばタグTG21からの押釦KT1の種別情報は無線MS112により隣接するタグTG212に、タグTG212から無線MS122により押釦KT2の下方に位置し、隣接するタグTG22へ送信される。さらにタグTG22の押釦種別情報送信部から無線MS123により情報処理装置PC側へと順に送信される。タグTG201、212も記憶部を有するので情報の記憶容量が増大する。電力送信部PT0、PT1等はタグTGの一つおきに有線により接続する。タグTG201、212等は隣接するタグTG20、21等から無線により電力が送信され、又、電力送信波を変調して情報を重畳する。これにより電力送信用の配線が低減する。さらに、基板KBの下面KKにも多数のタグTG及び半導体で成る情報処理部PCを設ける。タグTG10、11、12を支持する支持板は透明弾性支持板TFSとし、下方に電子的に書き換え可能な表示体EL0、EL1等を設け、表示体に押釦の種別を表わす文字、記号等のパターンで成る図形情報を表示させて押釦を構成する。タグTG10、11、12等にはこの図形情報も記憶させるようにする。これにより単一の押釦で複数の図形情報の表示が可能になるので、文字等を一義的に刻印したキーに比べて汎用性の高いキーボードを構成することができる。又、タグTG10、表示体EL0等は不図示の有線により電力が送信される。前例同様に各タグの押釦種別情報以外の記憶部や演算部は、情報処理部の一部として機能する。これによりいわゆるハードディスクが不要又は小型にでき、情報処理速度が速くなり、押釦装置又は情報処理部の機能が向上する。又、押釦はいわゆるタッチパネル式としても良い。
【0044】
図14は、各実施形態の応用例の全体斜視図である。前述のような押釦装置に起倒自在に表示部LCを取り付け、いわゆるノート型パソコンを構成する。図15は、押釦情報の入力流れ図である。ステップS1で、図15の押釦の種別情報を入力するため第1の押釦KT1を押下すると下降を開始(ステップS2)し、停止位置に到達する前の押下中(ステップS3)に電界又は磁界を用いた無線により押釦KT1の位置検出信号等の押釦側情報を検出する(ステップS4)。ステップS5で、押釦KT1の検出信号が所定閾値に達するか否かが判別され、所定閾値に達し、押釦KT1が到来したことを検出し、ステップS6で、押釦KT1に対応して配置された第1タグ内の記憶部から押釦KT1の種別情報を取出し、ステップS7で、押釦KT1の種別情報を情報処理部PC側へ送信する。これを隣接する第2のタグが受信(ステップS8)し、ステップS9で、第2のタグから情報処理部PC側へ押釦KT1の種別情報を送信する。ステップS10で、押釦KT1の種別情報に対応した情報即ち押釦KT1の表面に刻印されている例えば英大文字Vの図形情報を図15のような表示部LCに表示する。
【0045】
押釦KT1が停止位置に到達する前に、隣接する第2の押釦KT2を押下する(ステップS11)。例えば英大文字Bが刻印されている押釦KT2の押下も押釦KT1と同様の過程(ステップS12〜S20)を経て、押釦KT2の種別情報に対応した情報即ち文字Bの図形情報を図15のように表示部LCに表示する。このように押釦が停止位置に到達する前の押下中に、押釦の図形情報を視認、確認できるので押釦を見なくても連続高速キー入力が可能になる。さらに、押釦を停止位置に到達させる必要がないので、停止位置からの反力を指が受けることなく、操作者の疲労が軽減する。又、押釦に対応して記憶媒体を配置したため、押釦毎に閾値を設定でき、親指用の押釦と小指用の押釦とで押す深さを変えることも容易にできる。
【0046】
尚、本発明には、以上の各実施形態の変形、組合せ、応用等も含まれることは明らかである。
【符号の説明】
【0047】
KT 押釦
GE 押釦位置情報発信部
TG 記憶媒体
MM 記憶部
JM 上面
RS 側面
RC 押釦位置情報受信部
TR 押釦種別情報送信部
MS 無線
YS 有線
PC 情報処理部
LC 表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
押釦と、
前記押釦に対応して配置し、前記押釦側の情報を電界又は磁界を用いた第1の無線により発送する発送部と、
前記押釦に対応して配置し、前記押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体と
を有する押釦装置であって、
前記記憶媒体の上面に、前記発送部からの前記電界又は磁界を用いた第1の無線による押釦側の情報を受信する押釦側情報受信部を設け、前記記憶媒体の側面に、前記種別情報記憶部からの押釦の種別情報を第2の無線により情報処理部側へ送信する種別情報送信部を設けたことを特徴とする押釦装置。
【請求項2】
第1、第2の押釦と、
前記第1、第2の押釦に夫々対応して配置し、前記第1、第2の押釦側の情報を電界又は磁界を用いた無線により夫々発送する第1、第2の発送部と、
前記第1、第2の押釦に夫々対応して配置し、前記第1、第2の押釦の種別情報を夫々記憶する第1、第2の記憶部を含む第1、第2の記憶媒体と
を有する押釦装置であって、
前記第1、第2の記憶媒体に、前記第1、第2の発送部からの前記電界又は磁界を用いた無線による押釦側の情報を受信する第1、第2の受信部を夫々設け、前記第1、第2の記憶部からの押釦の種別情報を情報処理部側へ送信する第1、第2の送信部を夫々設け、さらに前記第2の記憶媒体に前記第1の記憶媒体からの第1の押釦の種別情報を受信する種別情報受信部を設け、前記種別情報受信部が受信した前記第1の押釦の種別情報を、前記第2の送信部から情報処理部側へ送信することを特徴とする押釦装置。
【請求項3】
請求項1若しくは2に記載の押釦装置において、
前記送信部からの送信は、電界又は磁界による無線を用いることを特徴とする押釦装置。
【請求項4】
請求項1若しくは2に記載の押釦装置において、
前記押釦側の情報の発送と、前記押釦の種別情報の送信は互いに種類の異なる無線を用いることを特徴とする押釦装置。
【請求項5】
請求項1若しくは2に記載の押釦装置において、
前記記憶媒体は、前記押釦の種別情報以外の情報を記憶できる記憶部を備えたことを特徴とする押釦装置。
【請求項6】
押釦を押下する第1のステップと、
前記押釦の停止前の押下中に前記押釦側の情報を電界又は磁界を用いた無線により受信
する第2のステップと、
前記受信した無線により前記押釦の到来を検出し、前記押釦に対応して配置された記憶媒体内の押釦種別情報記憶部から種別情報を取出し、情報処理部側へ送信する
第3のステップと
を有することを特徴とする無線機能を有し、押釦の種別情報記憶部を含む記憶媒体を用いた押釦装置の入力方法。
【請求項7】
請求項6記載の押釦装置の入力方法において、前記押釦種別情報に関する情報を前記押釦の押下中に表示部に表示する第4のステップと
を備えたことを特徴とする押釦装置の入力方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−146336(P2011−146336A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8107(P2010−8107)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(510016885)
【Fターム(参考)】