説明

指人形

【目的】 大人や子供など太さの異なる指を挿入しても抜け落ちないようにした指人形を提供する。
【構成】 合成樹脂製の円筒体の一端の開口部から3つのスリット15を軸方向に沿って形成し、このスリット15により3本の高脚状の周壁16を形成して指サック12を構成する。この指サック12に、例えば突起17と凹部18との嵌合により、人形本体13を取付ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、合成樹脂製の円筒体からなる指サックを備え、太さの異なるどの指に挿入しても抜け落ちないようにした指人形に関する。
【0002】
【従来の技術】
指人形は、体を布で袋のように作り、その中に人が手を入れて指でいろいろな動作をさせるようにした人形として、古くから知られている。この指人形の指を入れる部分は、竹、紙、合成樹脂などからなる円筒の指サックをなしている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の指人形は、指サックが単なる円筒からなるので、太い指に合わせたものは、細い指を挿入すると直ぐ抜け落ちてしまう。また、細い指に合わせたものは、太い指を挿入しようとしても入れることができない。このように、指人形を一度作ると、指の太さがあまり変わらない人でないと遊ぶことができない。
【0004】
したがって、親、兄弟姉妹などの指の太さの異なる人達と自由に人形を交換して遊ぶことができない。また、同じ子供でも成長したり、太ったり痩せたりすると遊べなくなる。
【0005】
本考案は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、太さの異なるどの指に挿入しても抜け落ちないようにした指人形を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案の指人形は、指の先端部に被せられる指サックと、この指サックに取付けられる人形本体とを備えたものであって、 前記指サックが、少なくとも一端が開口された合成樹脂製の円筒体と、この円筒体の一端の開口部から他端に向けて、しかも他端までは至らないように、軸方向に沿って形成された3つのスリットと、これらのスリットによって形成された3本の高脚状の周壁とで構成されていることを特徴とする。
【0007】
本考案において、指サックをなす円筒体は、お母さんの太い指を入れても開いたままにならず、子供の指を挿入しても押えることができ、しかも指が痛くならない、弾力ある材質からなるものが好ましい。このような材質として、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ゴムなどの合成樹脂が好ましく使用される。
【0008】
上記円筒体は、子供の指を挿入しても抜け落ちない程度の内径と、子供の指を入れても長すぎない長さを有していることが好ましい。具体的には、円筒体の内径は、8〜12mm程度が好ましく、10mm前後がより好ましい。また、円筒体の長さは、20〜35mm前後が好ましい。
【0009】
円筒体に設けられるスリットは、円筒体の指を挿入する側の開口部から、円筒体の軸方向に沿って、他端部近傍に達するように形成される。スリットの幅は、任意に定めることができるが、広すぎると高脚状に残った円筒の壁部分が弱くなるので、円筒体を前記材質及び大きさとした場合には、好ましくは5mm以下、より好ましくは3〜4mmとする。
【0010】
スリットの数は、2箇所(すなわち円筒体の裾部を2分割する)では、指を挿入したとき開口部の広がりが少ないため、大人のように太い指を挿入するのが困難なことがあり、4箇所以上だと、分割された周壁からなる高脚部が細くなってその弾力が弱くなり、指を挿入して人形を激しく動かしたときに抜け落ちやすくなる。したがって、スリットは、好ましくはほぼ等間隔で3箇所に設け、円筒体の裾部が3本の高脚状となるようにすることが必要である。
【0011】
なお、上記のようなスリットを設けた円筒体を合成樹脂で射出成形すると、成形時の内部応力に起因すると思われる作用によって、円筒体のスリットを設けた裾部がすぼみ、上部の直径より小さくなり、指を挿入したとき落ち難くなる働きがみられる。
【0012】
本考案は、上記のような合成樹脂製の円筒体からなる指サックを備えていることを特徴とし、人形本体の形状、構造は、どのようなものであってもよい。
【0013】
人形本体の好ましい態様の一つとしては、人、動物などを形どった合成樹脂成形品からなり、この人形本体が、指サックのスリットが形成されない端部に着脱自在に取付けられた態様が挙げられる。このような態様によれば、指サックを挿着した状態で、種類の異なる人形本体を自由につけ替えて遊ぶことができる。この場合、人形本体と指サックとを着脱自在に連結する構造としては、いずれか一方に突起を形成しておき、他方にその突起に嵌合する凹部を形成した構造などが挙げられる。
【0014】
また、人形本体の他の好ましい態様としては、手を挿入できるように袋状に作られ、少なくとも人形の頭部となる部分に指サックが取付けられ、袋の内部で指サックに指を挿入できるようにされたものが挙げられる。これによれば、従来の指人形と同様に、手を袋の中に入れて指を指サックに挿入し、人形の頭部等を動かすことができる。
【0015】
なお、人形本体と指サックとが合成樹脂で一体に成形されていてもよい。これによれば、指サック自体が人形となるので、生まれて間もない幼い子供でも指につけて遊ぶことができる。
【0016】
【作用】
本考案の指人形は、合成樹脂製の円筒体に3つのスリットを設けて、3本の高脚状の周壁を形成した指サックを備えているので、太さの異なる指であっても上記高脚状の周壁が適度に開いて挿入することができる。そして、上記高脚状の周壁が指を弾性的に挟み込み、抜け落ちるのを防止することができる。
【0017】
この場合、スリットの数を3つにしたことにより、大人の指でも挿入できる程度に開くことができ、しかも指が痛くならない程度の適度な弾性を付与することができる。前述したように、スリットの数が2つでは、大人の指を挿入できなくなることがあり、スリットの数が4つ以上では、指を挟み込む弾性力が弱くなって抜け落ちやすくなる。
【0018】
【実施例】
図1は、本考案による指人形の一実施例を示す斜視図である。この指人形11は、指サック12と、人形本体13とで構成されている。
【0019】
指サック12は、合成樹脂製の円筒体からなり、その上端は閉塞され、下端は開口していて、この開口部から指14を挿入するようになっている。指サック12の内径は10mm前後とされ、長さは20〜35mm前後とされている。指サック12の下端開口から上端に向けて軸方向に沿って、3つのスリット15がほぼ等間隔で形成されている。この3つのスリット15によって、指サック12の裾部に3本の高脚状の周壁16が形成されている。なお、スリット15の幅は3〜4mmとされている。指サック12の上端には、板状の突起17が形成されている。
【0020】
人形本体13は、この実施例の場合、女の子を形どった合成樹脂の成形品からなり、その下面に凹部18が形成されている。
【0021】
この指人形11の遊び方は、まず、指サック12の下端開口から指14を挿入して、指14に指サック12を装着する。そして、指サック12の突起17を人形本体13の凹部18に挿入して嵌合させ、指サック12に人形本体13を取付けて遊ぶことができる。なお、人形本体13として、いろいろものを用意しておくことにより、指サック12をつけたままで、人形本体をつけ替えて遊ぶことができる。
【0022】
指サック12は、上記のように3つのスリット15で形成された3本の高脚状の周壁16で指を弾性的に挟む構造をなし、小さな子供ばかりでなく、両親や兄弟の太い指でも挿入でき、しかも抜け落ちないように装着することができる。したがって、年齢や体の大きさの異なる人と一緒に遊ぶことができ、また、人差し指、中指など、太さの異なる指に装着することができる。
【0023】
図2は、本考案による指人形の他の実施例を示す斜視図である。この指人形21は、指サック12と、人形本体22とで構成されている。指サック12は、前記実施例と実質的に同じ構成からなるので、その説明を省略することにする。
【0024】
人形本体22は、手23を挿入できるように袋状に形成された体部24を有しており、この体部24に、頭部25、両手26、27が取付けられている。そして、体部24の内部において、頭部25に上端が挿入されるように、指サック12が取付けられている。指サック12は、前述したように、3つのスリット15と、それによって形成された3本の高脚状の周壁16を有している。
【0025】
この指人形21の遊び方は、手23を袋状の体部24に挿入し、例えば人差し指を指サック12に挿入し、中指を一方の手26の方に伸ばし、親指を他方の手27の方に伸ばして、指を折り曲げて動作をさせながら遊ぶことができる。この実施例の場合も、指サック12は、3本の高脚状の周壁16で指を弾性的に挟む構造をなすため、大人でも子供でも指を入れて遊ぶことができる。
【0026】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案の指人形によれば、指サックが合成樹脂製の円筒体に3つのスリットを設けて3本の高脚状の周壁を形成してなるので、大人の指でも子供の指でも挿入することができ、しかも抜け落ちないように適度な弾性力で挟むことができる。したがって、この指人形を使うことにより、お母さんや兄弟姉妹が小さな子供と一緒に遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による指人形の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本考案による指人形の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
11、21 指人形
12 指サック
13、22 人形本体
15 スリット
16 高脚状の周壁
17 突起
18 凹部
24 人形の体部
25 人形の頭部
26、27 人形の手

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 指の先端部に被せられる指サックと、この指サックに取付けられる人形本体とを備えた指人形において、前記指サックは、少なくとも一端が開口された合成樹脂製の円筒体と、この円筒体の一端の開口部から他端に向けて、しかも他端までは至らないように、軸方向に沿って形成された3つのスリットと、これらのスリットによって形成された3本の高脚状の周壁とで構成されていることを特徴とする指人形。
【請求項2】 前記指サックの材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びABS樹脂からなる群より選ばれた1種である請求項1記載の指人形。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】実開平6−11789
【公開日】平成6年(1994)2月15日
【考案の名称】指人形
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−56420
【出願日】平成4年(1992)7月17日
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)