説明

指標推計装置、指標推計方法、及び指標推計プログラム

【課題】確立された手段により推計対象の指標の算出を行うことを可能とする指標推計装置を提供する。
【解決手段】指標推計装置1において、企業価値算出部100は、予め定められる評価対象企業の指標情報に基づいて評価対象企業の所定の価値を示すスコアを算出する。入力部101は、スコアと予め定められる企業規模の指標情報と推定対象の指標情報を入力する。モデル生成部102は、スコアと企業規模の指標情報と推定対象の指標情報を変数とする2次曲面モデルの係数の係数を算出し、2次曲面モデルを生成する。額推計部103は、生成された2次曲面モデルを用いて、既知のスコアと企業規模の指標情報とから推定対象となる未知の指標情報を算出する。可視化部105は、額推計部103が算出した推定対象の指標情報から2次曲面座標データ200を算出して可視化結果出力部106に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、企業の過去の財務指標等から営業利益などを推計する指標推計装置、指標推計方法、及び指標推計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業戦略の策定・投資などの目的から、大量の財務情報を用いた統計的な手法により、企業の利益や売上を推計することが行われている。こうした数値を推計する技術として主に用いられる統計モデルとしては、重回帰モデルがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
重回帰モデルでは、以下のような手順で推計を行う。まず与えられたモデル構築用のデータ、例えば、過去の財務指標のデータ等を用いて、以下のような式(1)のようなモデルを構築、すなわち、式(1)のaからaまでの係数パラメータを推定する。
【0004】
【数1】

【0005】
式(1)において、xは、分析に用いる指標としての説明変数であり、yは、売上高や利益など推計対象となる指標としての目的変数であり、aは、指標にかかる係数である。
【0006】
ここで、分析対象となるデータが式(1)で十分に表現できない場合は、次式(2)のような2次項、あるいは相互項を導入したモデルが用いられることもある。
【0007】
【数2】

【0008】
重回帰モデルにおける、推定額の算出は、上記の式(1)または式(2)に対して評価対象企業のデータを代入することによって行われる。
【0009】
従来、企業の営業利益などを予想するための分析対象データとして、例えば、過去の財務データがあり、当該財務データに基づく営業利益を目的変数として、分析対象の企業の財務指標から営業利益を推計することが行われてきた。分析対象の具体例としては他に、広告宣伝費と従業員数から売上の推計を行う等の事例がある(例えば、非特許文献2参照)。
【非特許文献1】統計学入門、東京大学教養学部統計学教室、東京大学出版、1996.
【非特許文献2】多変量解析の実践(上)、菅 民郎、現代数学社、1993.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、企業分析において、利益や売上高などの指標を推計対象とする際、上記式(1)や式(2)に当てはまる財務指標を組み合わせて所望の精度が得られる統計的モデルの構築を行わなければならない。しかし、これらの統計的モデルを構築するためには、試行錯誤を重ねて採用する指標を選択する必要があり、確立した手段に基いて所望の精度が得ることが出来ないという問題がある。
【0011】
また、上記式(2)の3項目のような、非線形項の推定を省略するためにニューラルネットワークを用いたモデル構築が成されることもあるが、ユーザの決めるべきパラメータが多く、また、パラメータの特定手段として確立された手段が存在しないため、この場合もモデル構築を行うためには試行錯誤を重ねなければならないという問題がある。
【0012】
また、上記のように試行錯誤を重ねて作成したモデルに対し、時間経過に伴ってモデルの更新が必要になった際には、再度データ整理およびモデル作成を繰り返さなければならないという問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、確立された手段により推計対象の指標の算出を行うことを可能とする指標推計装置、指標推計方法、及び指標推計プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するために、本発明は、複数の指標で表される評価対象に対して、前記複数の指標の情報である指標情報のいずれかを推計対象指標情報とし、前記推計対象指標情報を既知である他の指標情報により算出する指標推計装置であって、予め定められる評価対象の指標情報に基づいて前記評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出する価値算出手段と、前記価値算出手段から算出される価値情報と、予め定められる前記価値情報に対応する前記推計対象指標情報以外の指標情報である第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力される前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報、並びに前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出する係数算出手段と、前記係数算出手段により算出された係数が設定される2次曲面モデルと、前記価値情報と、前記第1の指標情報とに基づいて、前記推計対象指標情報を算出する推計手段と、を備えたことを特徴とする指標推計装置である。
【0015】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記推計手段が算出した前記推計対象指標情報と、当該推計対象指標情報の算出元となる前記価値情報及び前記第1の指標情報とに基づいて、係数が設定される2次曲面モデルの3次元座標上での座標位置を算出する座標位置算出手段と、前記座標位置算出手段が算出した座標位置を3次元座標上に出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記所定の演算とは、最小自乗誤差基準に基づく山登り法、あるいはニュートン法であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記所定の価値とは、前記第1の指標情報の影響が低くなるような前記価値であり、前記価値情報と前記第1の指標情報とは、単調増加あるいは単調減少の関係にあることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、複数の指標で表される評価対象に対して、前記複数の指標の情報である指標情報のいずれかを推計対象指標情報とし、前記推計対象指標情報を既知である他の指標情報により算出する指標推計方法であって、予め定められる評価対象の指標情報に基づいて前記評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出するステップと、算出した価値情報と、予め定められる前記価値情報に対応する前記推計対象指標情報以外の指標情報である第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を入力するステップと、入力する前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報、並びに前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出するステップと、算出した係数が設定される2次曲面モデルと、前記価値情報と、前記第1の指標情報とに基づいて、前記推計対象指標情報を算出するステップと、を含むことを特徴とする指標推計方法である。
【0019】
また、本発明は、複数の指標で表される評価対象に対して、前記複数の指標の情報である指標情報のいずれかを推計対象指標情報とし、前記推計対象指標情報を既知である他の指標情報により算出する指標推計装置の制御コンピュータに、予め定められる評価対象の指標情報に基づいて前記評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出する手順と、算出した価値情報と、予め定められる前記価値情報に対応する前記推計対象指標情報以外の指標情報である第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を入力する手順と、入力する前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報、並びに前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出する手順と、算出した係数が設定される2次曲面モデルと、前記価値情報と、前記第1の指標情報とに基づいて、前記推計対象指標情報を算出する手順とを実行させるための指標推計プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、指標推計装置は、予めモデル生成のために定められる評価対象の指標情報に基づいて評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出し、算出した価値情報と、予め定められる価値情報に対応する評価対象の推計対象指標情報以外の第1の指標情報及び推計対象指標情報を入力する。入力する価値情報及び第1の指標情報及び推計対象指標情報、並びに価値情報及び第1の指標情報及び推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出し、算出した係数が設定される2次曲面モデルと、価値情報と、第1の指標情報とに基づいて、推計対象指標情報を算出する構成とした。これにより、2次曲面モデルの係数を算出するという確立された手段により、既知の推計対象指標情報及び価値情報及び第1の指標情報に対応する2次曲面モデルを生成することが可能となる。また、算出した係数が設定された2次曲面モデルと、既知の価値情報及び第1の指標情報とにより、未知の推計対象指標情報を算出することが可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、指標推計装置は、算出した推計対象指標情報と、当該推計対象指標情報の算出元となる価値情報及び第1の指標情報とに基づいて、係数が設定される2次曲面モデルの3次元座標上での座標位置を算出し、算出した座標位置を3次元座標上に出力する構成とした。これにより、評価対象の指標情報に基づく傾向が2次曲面として表示することができ、視認によりその傾向を確認することが可能となる。
【0022】
また、本発明によれば、指標推計装置における所定の演算とは、最小自乗誤差基準に基づく山登り法、ニュートン法である構成とした。これにより、2次曲面モデルの係数を算出する手段を特定の手段に固定することができ、全体として確立された手段で推計を行うことが可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、指標推計装置における所定の価値とは、第1の指標情報の影響が低くなるような価値であり、価値情報と第1の指標情報とは、単調増加あるいは単調減少の関係にある構成とした。これにより、価値情報と第1の指標情報は、互いに独立した相補的因子となり、価値情報と第1の指標情報とは単調増加あるいは単調減少の関係にあることから2次曲面モデルを構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による指標推計装置1を示す概略ブロック図である。
【0025】
本実施形態では、企業分析に用いる統計モデルとして、次式(3)で表される2次曲面の数式をモデルとして統計的モデルの構築を行う。モデル構築は、企業価値を表す企業価値スコアの指標情報(x)、企業規模の指標情報(x)、及び推計対象となる目的変数としての指標情報(y)の組み合わせに基づいて、係数パラメータb、b、b、b、b、bを推定することにより行う。
【0026】
【数3】

【0027】
上記の式(3)は、上述した式(2)と同じ構成の式であるが、本実施形態で用いる企業価値スコアの指標情報と企業規模の指標情報は、一般的な企業の指標情報の場合、単調増加、あるいは単調減少の関係があるため、2次曲面のモデルに対応付けることができることを前提としている。
【0028】
指標推計装置1において、企業価値算出部100は、分析対象の企業の指標情報を入力として、当該企業に対する企業価値スコアを算出する。ここで、企業価値算出部100が算出する企業価値スコアは、企業分析に用いられる指標情報を用いて算出されるが、算出される企業価値スコアは、企業規模の指標情報の影響を低くした情報となっていることを前提としている。つまり、本実施形態の指標推計装置1では、企業規模の指標情報の影響を低くした企業価値スコアと、当該企業価値スコアとは独立した相補的な関係にある企業規模の指標情報に基づいて、推計対象の売上高や、売上利益などを算出することになる。
さらに、企業価値スコアと企業規模の指標情報が独立した相補的因子であることを前提としている。
【0029】
入力部101は、n×3のサイズの行列で表されるモデル生成用データをモデル生成用DB(Data Base)110に記録する。ここで、nは、モデル生成に用いる企業のサンプル数を示し、また、データの次元数である3の値は、指標情報の数であり、モデル生成用データが企業価値算出部100が算出した企業価値スコアの指標情報(x)と、企業規模を示す指標情報(x)と、推計対象となる目的変数としての指標情報(y)とを示している。また、入力部101は、n’×2のサイズの評価対象企業データを、評価対象企業DB130に記録する。ここで、n’は、実際に評価の対象となる企業データの数を示し、また、データの次元数である2の値は、それぞれ、説明変数となる、評価対象企業の企業価値スコアの指標情報(x)及び企業規模を示す指標情報(x)を含んでいることを示している。また、入力部101は、モデル生成用の係数パラメータb、b、b、b、b、bの初期値をモデル生成部102に入力する。
【0030】
なお、指標情報(x)に用いられる企業規模を示す情報は、資産総額や従業員数などの情報であり、推計対象となる指標情報(y)は、売上高や営業利益などの情報であり、モデル生成に用いられる指標情報の種類と、評価対象企業データの指標情報の種類は同じになるようにしておく。
【0031】
また、企業価値算出部100から入力される企業価値スコア以外の指標情報については、予め入力部101に設定されているものとするが、企業価値算出部100にて用いた情報を流用してもよく、その場合、企業価値算出部100から入力されることになる。
【0032】
モデル生成部102は、モデル生成用の係数パラメータb、b、b、b、b、bの初期値と、モデル生成用DB110に記憶されているモデル生成用データに基づいて、最適化した係数パラメータb、b、b、b、b、b(以下、最適係数パラメータと記載)を算出し、算出した最適係数パラメータb、b、b、b、b、bを2次曲面モデルDB120に記録する。以下、2次曲面モデルDB120に記憶される係数パラメータb、b、b、b、b、bを2次曲面モデル情報と記載する。
【0033】
額推計部103は、2次曲面モデルDB120に記憶される2次曲面モデル情報に基づいて、上記の式(3)を設定し、設定した式(3)に評価対象企業DB130に記憶されている評価対象企業データを逐次入力し、それぞれの評価対象企業ごとの推計額(y)を算出する。推計額結果出力部104は、額推計部103により算出された評価対象企業ごとの推計額を出力する。可視化部105は、2次曲面モデルDB120に記憶される2次曲面モデル情報に基づいて、モデル生成用データあるいは、評価対象企業データ及び当該評価対象企業データに基づいて推計された推計額を、3次元座標上に表示するための2次曲面座標データ200を算出する。可視化結果出力部106は、可視化部105により算出された2次曲面座標データ200を3次元座標上に表示する。
【0034】
なお、企業価値スコアとして、財務指標の金額を推計するのであれば、後述する企業価値算出部100にて算出される「知の潜在力スコア」などの企業価値スコアを用い、倒産額を推計する場合には、倒産可能性スコアを企業価値スコアとして用いることになる。これら企業価値スコアに対して、推計する金額の大きさを決める要因となる企業規模の指標情報を組み合わせることで、額の推計を実現することが可能となる。
【0035】
次に、図2から図11を参照して、企業価値算出部100による企業評価価値スコアの算出手順について説明する。図2は、企業価値算出部100の内部構成を示す概略ブロック図である。
【0036】
企業価値算出部100において、入力部10は、企業価値スコアを算出するためのモデル構成用企業データと、評価対象企業データ及びモデル構成用パラメータを入力し、モデル構成用パラメータ及びモデル構成用企業データをモデル構成用企業DB13に記録し、評価対象企業データを評価対象企業DB17に記録する。
【0037】
部分空間構成部11は、入力部10から入力されるモデル構成用データに基づいて、特定の尺度に基づいた部分空間を2つ構成する。ここで、特定の尺度とは、例えば、評価として企業の倒産可能性を評価する場合、倒産確率を特定の尺度とすることができる。倒産確率を特定の尺度とした場合、倒産する確率は0〜100%の値で示され、当該値に基づいて、例えば、倒産確率が50%以上の評価対象を「尺度の値の大きい側」として倒産企業群とし、倒産確率が50%未満の評価対象を「尺度の値の小さい側」として非倒産企業群とすることで2つの部分空間に分けることが可能となる。
【0038】
部分空間修正部12は、部分空間構成部11が構成した部分空間を、後述する適応的学習手法により、最終的に出力されるスコアの精度を高めるように部分空間を修正し、部分空間情報として部分空間DB14に記録する。
【0039】
スコア算出部18は、部分空間DB14から部分空間情報を読み出し、評価対象企業DB17から評価対象企業データを読み出し、読み出した部分空間情報に対応する部分空間における評価対象企業データのスコアを算出し、算出したスコアを指標推計装置1の入力部101に入力する。
【0040】
なお、部分空間構成部11は、入力部10から入力されるモデル構成用データを用いるのではなく、モデル構成用企業DB13からモデル構成用データを読み出し、読み出したモデル構成用データを用いるようにしてもよい。
【0041】
次に図3から図9を参照して、企業価値算出部100の企業価値スコアを算出する動作について説明する。図3から図5はそれぞれ、部分空間構成部11、部分空間修正部12、スコア算出部18の処理を示したフローチャートであり、図6から図8は、当該処理の手順を概念的に示した図である。
【0042】
最初に、図3及び図6を参照して部分空間構成部11の処理について説明する。
図3において、まず最初に部分空間構成部11は、入力部10からモデル構成用企業データ及び部分空間を構成するKL展開に用いられる部分空間の寄与率を定めるモデル構成用パラメータが入力される(ステップSa1)。ここで、モデル構成用企業データは、n’’×p行列(n’’:サンプル数(モデルとなる企業の数)、p:次元)で表される。
【0043】
なお、本実施形態では、モデル構成用企業データとしては、図6の「手順1」に示されるようにモデル構成用企業のデータの例として「売上高」、「売上原価」、「従業員数」の3次元(p=3)を用いることとしているが、指標推計装置1の入力部101が入力する指標情報と同じ指標情報を用いても、異なる指標情報を用いてもよい。
【0044】
また、サンプルの例として、A〜B社の3社(n’’=3)を用いるものとする。また、モデル構成用パラメータは、データが有する情報量(具体的にはデータの分散)のうち、どの程度をKL展開で構成される部分空間で近似するか、すなわちデータが有する誤差情報をどれだけ取り除くかに基づいて定められる値であり、0〜100%の値が設定される。
【0045】
次に、部分空間構成部11は、予め定められる特定の尺度の値に基づいて、モデル構成用企業データの中の企業ごとにラベルを割り当て、モデル構成用企業データを2つのデータ群に分割する。例えば、特定の尺度が倒産と非倒産の2値データで表されるラベルとして与えられる場合、そのラベルを用いてサンプルを倒産企業群と非倒産企業群のような2つのデータ群に分類する。また、特定の尺度が上述したように倒産確率等の0〜100%の連続値あるいはそれに順ずる値で与えられる場合には、尺度の値の分布において尺度の値の大きい側、小さい側の両側から所定の値のサンプルを選択して、倒産企業群と非倒産企業群に分類することができる。なお、上述した例では倒産確率の50%を境界として「尺度の値の大きい側」と「尺度の値の小さい側」とを分けたが、この分け方は確率値が半分の50%には限られず、例えば、分割されるサンプル数が同じになるような尺度で分けるようにしてもよい。
【0046】
このとき、分類されるモデル構成用企業データは、A(m×p行列)とB((n−m)×p行列)で表されることになる(ステップSa2)。具体的には、図6の手順1のイメージ図に示されるように「売上高」、「売上原価」、「従業員数」という3つの指標の場合、各企業のモデル構成用企業データは、3次元の空間の1点に配置され、特定の尺度である倒産確率に基づいて倒産企業群と非倒産企業群の2つのデータ群に分類する。
【0047】
次に、部分空間構成部11は、分類した2つのデータ群のそれぞれに対して、自己相関行列を算出し、算出した自己相関行列に対してKL(Karhunen-Loeve)展開を適用する。KL展開を用いることによって、自己相関行列から部分空間を構成するための基底行列を算出することができる。例えば、上記のように2つのデータ群に分けられたモデル構成用企業データA及びBに対して自己相関行列を算出するとAA’及びBB’として示され、それぞれの基底行列は、KL展開によりA’(p×q行列)及びB’(p×r行列)として算出される。なお、qとrは、上述した寄与率パラメータであるモデル構成用パラメータにより定められる値である。そして、部分空間構成部11は、算出した基底行列から部分空間を構成し(ステップSa3)、構成した部分空間を部分空間DB14に記録するとともに部分空間修正部12に出力する(ステップSa4)。
【0048】
なお、上記のKL展開とは、類別すべきカテゴリを特徴ベクトル成分の分布から形成される部分空間への射影を通して判定する統計的手法として知られている部分空間法において、変換するベクトル成分の固有ベクトル、すなわち上述した基底行列を計算するために用いられる手法である。このような固有ベクトルを算出できる計算方法であればKL展開以外の方法であっても適用することが可能である。
【0049】
次に、図4を参照しつつ部分空間修正部12の処理について説明する。
部分空間修正部12は、部分空間構成部11から出力される部分空間構成部11が構成した2つの部分空間の情報を取得し、モデル構成用企業DB13からモデル構成用企業データを読み出す(ステップSb1)。次に、部分空間修正部12は、2つの部分空間の情報と、モデル構成用企業データとに基づいて、スコアを算出する。ここで、スコアの算出は、2つの部分空間A’とB’のぞれぞれと、個々のモデル構成用企業データから構成されるベクトルとの成す角度の差を算出することによって行われる。すなわち、部分空間A’(p×q行列)とベクトルの成す角度をangleAとし、部分空間B’(p×r行列)とベクトルの成す角度をangleBとした場合、その差分であるangleA−angleBがスコアの値となる。
【0050】
次に、部分空間修正部12は、算出したスコアを降順に並べて、特定の尺度により分類を行い、さらに次式(4)で示される再現率を算出することで評価を行う(ステップSb2)。
【0051】
【数4】

【0052】
なお、式(4)の分母である「倒産企業群の企業数」とは、モデル構成用企業データの各データに予め対応付けて記憶されている本来分類されるべきデータ群を示す情報、例えば、倒産あるいは非倒産のデータ群を示す情報に基づいて算出される数値である。
【0053】
次に、部分空間修正部12は、適応的学習によって部分空間の修正を行う。具体的には、部分空間を構成した基となる自己相関行列AA’とBB’に対して平均学習部分空間法に基づく次式(5)を適用することによって行う。
【0054】
【数5】

【0055】
式(5)において、Rには自己相関行列でありAA’あるいはBB’が代入される。下付き添え字のtは、更新時刻、あるいは更新回数を示している。また、γは更新幅のパラメータであり、予め更新させたい度合いに従って、例えば0.4程度の定数が設定される。
【0056】
R及びγの上付き添え字i及びkは、クラスラベルであり、例えばモデル構成用企業データAのラベルをaとし、モデル構成用企業データBのラベルをbとした場合には、i、kは、aあるいはbとなる。例えば、t=0の場合、Rは、AA’に対応し、Rは、BB’に対応する。
【0057】
また、R及びγの上付き添え字が(i,k)あるいは(k,i)のように2つあるものは、誤って分類されたサンプルに基づく行列であることを示している。例えば、R(i,k)は、Rt−1(i)を用いてスコアを算出し、算出したスコアに基づいて分類が行われたときに、本来iとして分類されるべきサンプルがk(i≠k)に分類された場合に、当該kに分類されたサンプルを検出し、検出したサンプルから生成される行列Cの自己相関行列CC’に対応する。
【0058】
ここで、図7を参照しつつ、式(5)によって行われる適応的学習について説明する。
学習前の部分空間として図7の(適応的学習の方法)の(a)の図に示されるような状態が存在したとする。式(5)のi=a:倒産を示すラベル、k=b:非倒産を示すラベルとした場合、式(5)の右辺のそれぞれは以下のような適応的学習の処理を示すことになる。
【0059】
(第1項):Rt−1:t−1時点で基礎となる倒産企業の自己相関行列の項である。
(第2項):γ(a,b)(a,b):真のラベルが倒産であるのに、非倒産として分類されたため、倒産のサンプルを取り込むように部分空間を回転及び移動させるために加算を行う自己相関行列の項である。
(第3項):−γ(b,a)(b,a):真のラベルが非倒産であるのに、倒産として分類されたため、非倒産のサンプルを遠ざけるように部分空間を回転及び移動させるために減算を行う自己相関行列の項である。
【0060】
図7の(b)の図が、第2項及び第3項の処理を2次元平面上で概念的に示した図であり、縦軸及び横軸は上記した指標に対応する。倒産企業の部分空間は、誤って分類されたサンプルを取り込むように回転及び移動し、非倒産企業の部分空間は、誤って分類されたサンプルから離れるように回転及び移動することになる。そして最終的に図7の(c)の図に示すように全てのサンプルについて本来分類されるべき部分空間に含まれることになる(ステップSb3)。
【0061】
次に、部分空間修正部12は、修正された部分空間に基づいて、再現率を算出し、前回の再現率と今回算出した再現率とに基づいて比較を行う(ステップSb4)。例えば、今回の再現率を前回の再現率で割った割合の値が予め定められる一定割合値を超えていない場合には、修正を進めるためステップSb4の処理に戻り、超えている場合には、部分空間の情報を出力し、部分空間DB14に記録する(ステップSb5)。
【0062】
次に、図5を参照しつつスコア算出部18の処理について説明する。
まず最初に、スコア算出部18は、部分空間修正部12によって構成され、部分空間DB14に記録された部分空間の情報を部分空間DB14から読み出す。また、評価対象企業データを評価対象企業DB17から読み出す(ステップSc1)。ここで、評価対象企業データは、n’’×p行列(n’’:サンプル数、p:次元)で構成されているとする。
【0063】
次に、スコア算出部18は、図8の手順3に示すように、読み出した部分空間の情報によって示される部分空間と、読み出した評価対象企業データとに基づいて、各評価対象企業データのスコアを算出する。スコアの算出は、部分空間修正部12の処理において説明したように、部分空間ごとの評価対象企業データから構成されるベクトルとの成す角度を算出し、算出した角度の差がスコアとなる(ステップSc2)。
【0064】
次に、スコア算出部は、他の評価対象企業データが存在するか否かを判定する(ステップSc3)。他の評価対象企業データが存在する場合には、ステップSc2の処理を繰り返し、他の評価対象企業が存在しない場合には、スコアを指標推計装置1の入力部101に出力する(ステップSc4)。
【0065】
次に、図9は、上記の企業価値算出部100を実際の企業データに適用して企業価値スコアを算出した例を示した図である。
【0066】
モデル構成用データ及び評価対象データとして、日経メディアマーケティング株式会社のデータバンクNEEDS財務データを用い、モデル構成用データとして2002年度のデータを利用し、評価用データとして2003年度のデータを使用している。サンプル数は、2002年度のデータにおいて195社であり、2003年度のデータにおいて190社である。また、分析には112個の指標を用いている。
【0067】
当該実施例では知的財産価値評価の一手法により用いられる「知の潜在力」を特定の尺度としており、当該尺度に基づいて2002年度のサンプルと2003年度のサンプルを予め分類した。分類結果は、2002年度のサンプルである195社は、上位(知の潜在力ありとして分類される企業)が97社であり、下位(知の潜在力なしとして分類される企業)98社として分類され、2003年度のサンプルである190社は、上位92社、下位98社として分類された。
【0068】
図9は、企業価値算出部100を適用し、知の潜在力の企業価値スコアの算出を行った結果のうち、上位19社の結果を示した図である。図9において、「知の潜在力あり」の項目に示される数値は、知の潜在力ありに対応する部分空間と当該企業の評価対象企業データから構成されるベクトルとの成す角度であり、「知の潜在力なし」の項目に示される数値は、知の潜在力なしに対応する部分空間と当該企業の評価対象企業データから構成されるベクトルとの成す角度である。また、「差分」の項目は、「知の潜在力あり」の項目の数値と「知の潜在力なし」の項目の数値との差であり、当該「差分」の値がスコアとなる。なお、特定の尺度として上記の「倒産」を用いる場合には、倒産可能性を企業価値スコアとして算出することになる。
【0069】
上記の企業価値算出部100の処理により、企業規模を示す指標情報の影響を低くして相対的な企業の価値を示すスコアを得ることができ、このスコアと、企業規模の指標情報とを用いて、以下に推計対象の指標を算出するための2次曲面モデルの生成について説明する。
【0070】
次に、図10から図12を参照しつつ、指標推計装置1の動作について説明する。
図10は、指標推計装置1のモデル生成部102の動作を示したフローチャートである。まず、入力部101から入力される係数パラメータb、b、b、b、b、bの初期値を上記の式(3)に設定する(ステップSi1)。
【0071】
次に、モデル生成用DB110からn個の企業データのサンプルからなるn×3の行列のモデル生成用データを読み出し、読み出したモデル生成用データに含まれる企業価値スコアの指標情報(x)と、企業規模を示す指標情報(x)とを説明変数とし、推計対象の指標情報(y)を目的変数として、上記式(3)を設定し、非線形最小自乗基準に基づく山登り法や、ニュートン法などを用いて、係数パラメータb、b、b、b、b、bの最適値を算出する(ステップSi2)。
【0072】
そして、算出した最適係数パラメータb、b、b、b、b、bを2次曲面モデル情報として2次曲面モデルDB120に記録する(ステップSi3)。
【0073】
図11は、指標推計装置1の額推計部103の動作を示したフローチャートである。まず最初に、額推計部103は、2次曲面モデルDB120から2次曲面モデル情報を読み出して、上記の式(3)を設定し、評価対象企業DB130から最初の評価対象企業データを読み出す(ステップSj1)。そして、額推計部103は、2次曲面モデル情報、すなわち最適係数パラメータb、b、b、b、b、bが設定された式(3)に、評価対象企業データに含まれるx及びxの情報を入力して、推計額(y)を算出する(ステップSj2)。次に、額推計部103は、評価対象企業DB130に他の評価対象企業データが存在するか否かを判定する(ステップSj3)。他の評価対象企業データが存在すると判定した場合、ステップSj2の処理を行う。一方、次の評価対象企業データが存在しない場合、算出した評価対象企業ごとの推計額を推計額結果出力部104と可視化部105に出力する。推計額結果出力部104は、額推計部103から出力された評価対象企業ごとの推計額(y)を出力する。
【0074】
図12は、指標推計装置1の可視化部105の動作を示したフローチャートである。可視化部105は、モデル生成データを可視化する場合と、評価対象企業データに基づいて推計した推計額及び評価対象企業データを組み合わせたデータを可視化する2つの動作を行う。
【0075】
モデル生成データを可視化する場合、可視化部105は、可視化対象のデータとして、モデル生成用DB110に記憶されるモデル生成用データと、2次曲面モデルDB120に記憶される2次曲面モデル情報を取得する(ステップSk1)。そして、可視化部105は、モデル生成用データに含まれるn×3行列のデータと、2次曲面モデル情報に含まれる最適化されたパラメータb、b、b、b、b、bに基づいて3次元座標に表示するための2次曲面座標データ200を算出する。可視化結果出力部106は、可視化部105によって算出された2次曲面座標データ200を3次元座標に表示する(ステップSk2)。
【0076】
推計した推計額のデータを可視化する場合、可視化部105は、可視化対象のデータとして、額推計部103から出力される推計額のデータと、当該推計額を推計する際に用いられた評価対象企業データと、2次曲面モデルDB120に記憶される2次曲面モデル情報とを取得する(ステップSk1)。そして、可視化部105は、2次曲面モデル情報に含まれる最適係数パラメータb、b、b、b、b、bと、推計額のデータと、当該推計額のデータに対応する評価対象企業データとに基づいて3次元座標に表示するための2次曲面座標データ200を算出する。可視化結果出力部106は、可視化部105によって算出された2次曲面座標データ200を3次元座標に表示する(ステップSk2)。
【0077】
図13は、可視化結果出力部106により画面に出力された3次元座標上に表示された2次曲面であり、横軸が企業価値スコアの指標情報(x)であり、奥行きが企業規模の指標情報(x)であり、縦軸が推計対象である推計額(y)からなる3次元座標上に、対応する指標情報(x)、指標情報(x)と、これらの指標情報から推計された推計額(y)をプロットすることにより2次曲面が構成されることになる。この2次曲面により、企業価値スコアの指標情報(x)と、企業規模の指標情報(x)とを特定するだけで、指標情報(y)を推計することが可能となる。
【0078】
次に、図14及び図16を参照して、従来の重回帰分析による推計手段と、本実施形態による推計手段の比較を行う。比較方法は、重回帰分析については、変数選択なしの場合と、変数選択ありの場合の2通りで推計を行い、本実施形態については、上述した手順により推計を行っている。ここで、重回帰分析における「変数選択あり」とは、重回帰分析において、候補となる変数から重相関係数Rの増分が最も大きい変数を1つ選択し、選択した変数を選択変数として用いる場合のことを意味する。一般的に、変数選択を行う方が、変数選択を行わない場合よりも精度が高くなることが知られている。
【0079】
また、比較に用いたデータは、上述した企業評価スコアの算出において用いた、日経メディアマーケティング株式会社のデータバンクNEEDS財務データであり、2002年度のデータをモデル生成用に適用し、2003年度のデータをテスト用、すなわち評価対象企業データとして適用している。また、企業価値スコアとしては、上述したようにNEEDS財務データに基づいて企業価値算出部100が算出した「知の潜在力によるスコア」を適用した。
【0080】
分析対象指標は、目的変数を営業利益の額とし、説明変数として、重回帰分析では、2次指標として、89指標を設定し、本実施形態の指標推計装置1に対しては、企業規模として資産総額、企業価値スコアとして「知の潜在力によるスコア」の2指標を設定した。
【0081】
また、評価は、推計営業利益と営業利益の絶対値の誤差と、推計営業利益と営業利益との順位の一致性を示す順位相関とに基づいて行った。
【0082】
図14及び図15は、それぞれ2002年度の評価対象企業データと、2003年の評価対象企業データに基づいて、本実施形態の指標推計装置1により算出された推計額である推計営業利益をプロットしたものであり、3次元座標における縦軸を、図面内の曲線で示したものである。図14及び図15から分かるように、本実施形態の指標推計装置1によれば、企業評価スコア(x)が小さく、資産総額(x)の大きい企業は、営業利益がマイナスとなる傾向が強く、企業評価スコア(x)及び資産総額(x)が大きい企業は、営業利益が大きくなる傾向が強いことが、表示されたグラフに示されている。
【0083】
図16は、上述した「変数選択なし」及び「変数選択あり」の両方の重回帰分析による推計額と、本実施形態の指標推計装置1による推計額の絶対値誤差と、順位相関を示したものである。絶対値誤差は値が小さい程、精度が高いことを示すことになり、順位相関は値が大きい程、精度が高いことを示すことになる。図16(a)は、モデルの生成に用いた2002年度の評価対象企業データに適用したものであり、図16(b)は、2002年度のモデル生成用データから得られた最適係数パラメータを用いて、2003年度の評価対象企業データに適用したものである。図16(a)及び(b)に示すように、いずれの年度においても、重回帰分析より、本実施形態の指標推計装置1による推計額の方が精度が高いことが示されている。
【0084】
上述したように、本実施形態の指標推計装置1により、確立された手段によりモデルを生成する際の係数パラメータを算出して、企業分析に用いられる指標の推計を行うことが可能となる。また、企業規模の指標情報と、企業価値スコアの指標情報を説明変数とし、推計対象の推計額を3次元座標上の2次曲面で示すことで、企業による指標の傾向を把握することが可能となる。また、推計により得られた指標は、従来の重回帰分析よりも高い精度のものを得ることが可能となる。
【0085】
なお、上記の実施形態では、例として企業のデータを用いたが、本発明はこれに限られず、指標によって示される様々なデータを対象とすることができる。
【0086】
また、本発明の価値算出手段は、企業価値算出部100に対応し、入力手段は、入力部101に対応し、係数算出手段は、モデル生成部102に対応し、推計手段は、額推計部103に対応し、座標位置算出手段は、可視化部105に対応し、出力手段は、可視化結果出力部106に対応する。
【0087】
上述の指標推計装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した2次曲面モデルの生成の処理、推計対象の指標情報の算出処理、2次曲面を表示する処理は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施形態の指標推計装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る企業価値算出部の内部構成を示したブロック図である。
【図3】同実施形態に係る部分空間構築部の処理を示したフローチャートである。
【図4】同実施形態に係る部分空間修正部の処理を示したフローチャートである。
【図5】同実施形態に係るスコア算出部の処理を示したフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る部分空間構築部の処理の概念図である。
【図7】同実施形態に係る部分空修正部の処理の概念図である。
【図8】同実施形態に係るスコア算出部の処理の概念図である。
【図9】同実施形態に係るスコアの算出結果例を示した図である。
【図10】同実施形態に係るモデル生成部の処理を示したフローチャートである。
【図11】同実施形態に係る額推計部の処理を示したフローチャートである。
【図12】同実施形態に係る可視化部の処理を示したフローチャートである。
【図13】同実施形態に係る可視化結果出力部の出力例を示した図である。
【図14】同実施形態に係る推計結果を示した図である。
【図15】同実施形態に係る推計結果を従来例と比較した図(その1)である。
【図16】同実施形態に係る推計結果を従来例と比較した図(その2)である。
【符号の説明】
【0089】
1 指標推計装置
100 企業価値算出部
101 入力部
102 モデル生成部
103 額推計部
104 推計額結果出力部
105 可視化部
106 可視化結果出力部
110 モデル生成用DB
120 2次曲面モデルDB
130 評価対象企業DB
200 2次曲面座標データ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指標で表される評価対象に対して、前記複数の指標の情報である指標情報のいずれかを推計対象指標情報とし、前記推計対象指標情報を既知である他の指標情報により算出する指標推計装置であって、
予め定められる評価対象の指標情報に基づいて前記評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出する価値算出手段と、
前記価値算出手段から算出される価値情報と、予め定められる前記価値情報に対応する前記推計対象指標情報以外の指標情報である第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力される前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報、並びに前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出する係数算出手段と、
前記係数算出手段により算出された係数が設定される2次曲面モデルと、前記価値情報と、前記第1の指標情報とに基づいて、前記推計対象指標情報を算出する推計手段と、
を備えたことを特徴とする指標推計装置。
【請求項2】
前記推計手段が算出した前記推計対象指標情報と、当該推計対象指標情報の算出元となる前記価値情報及び前記第1の指標情報とに基づいて、係数が設定される2次曲面モデルの3次元座標上での座標位置を算出する座標位置算出手段と、
前記座標位置算出手段が算出した座標位置を3次元座標上に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の指標推計装置。
【請求項3】
前記所定の演算とは、最小自乗誤差基準に基づく山登り法、あるいはニュートン法であることを特徴とする請求項1または2に記載の指標推計装置。
【請求項4】
前記所定の価値とは、前記第1の指標情報の影響が低くなるような前記価値であり、
前記価値情報と前記第1の指標情報とは、単調増加あるいは単調減少の関係にある
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の指標推計装置。
【請求項5】
複数の指標で表される評価対象に対して、前記複数の指標の情報である指標情報のいずれかを推計対象指標情報とし、前記推計対象指標情報を既知である他の指標情報により算出する指標推計方法であって、
予め定められる評価対象の指標情報に基づいて前記評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出するステップと、
算出した価値情報と、予め定められる前記価値情報に対応する前記推計対象指標情報以外の指標情報である第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を入力するステップと、
入力する前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報、並びに前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出するステップと、
算出した係数が設定される2次曲面モデルと、前記価値情報と、前記第1の指標情報とに基づいて、前記推計対象指標情報を算出するステップと、
を含むことを特徴とする指標推計方法。
【請求項6】
複数の指標で表される評価対象に対して、前記複数の指標の情報である指標情報のいずれかを推計対象指標情報とし、前記推計対象指標情報を既知である他の指標情報により算出する指標推計装置の制御コンピュータに、
予め定められる評価対象の指標情報に基づいて前記評価対象の所定の価値を示す価値情報を算出する手順と、
算出した価値情報と、予め定められる前記価値情報に対応する前記推計対象指標情報以外の指標情報である第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を入力する手順と、
入力する前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報、並びに前記価値情報及び前記第1の指標情報及び前記推計対象指標情報を未知の変数とする2次曲面モデルに基づいて、当該2次曲面モデルの係数を所定の演算により算出する手順と、
算出した係数が設定される2次曲面モデルと、前記価値情報と、前記第1の指標情報とに基づいて、前記推計対象指標情報を算出する手順と
を実行させるための指標推計プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−249354(P2007−249354A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69047(P2006−69047)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)