説明

指輪

【課題】外輪を回転させることでその内側に配設されたボールが転がる楽しさ、美的変化、及びリラックス効果を生じさせることのできる指輪を提供する。
【解決手段】外輪11のすぼみ部11cとボールストッパーリング15の拡開部15aと内輪13の溝13aとによりボール収納空間14が形成されている。かかる構成において、内輪13は人の指に装着される。外輪11はこの内輪13に対し回動自在である。外輪11を回動させると、ボール7が転がり、ボール7の透過光や反射光によりボール7が美しく輝いて見える。ボール7が転がることで装着した人に対し楽しさ及びリラックス感を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は指輪に係わり、特に外輪を回転させることでその内側に配設されたボールが転がる楽しさ、美的変化、及びリラックス効果を生じさせることのできる指輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外輪が回転する構造を有する指輪として特許文献1に記載された指輪が知られている。この指輪では、外輪と内輪との間にボールを介在させたボールベアリング構造を有し、既成のボールベアリングを使用できる旨記載されている。そして、製造においては、ボールベアリングの周知又は公知の技術のみによって製造できる旨記載されている。
【特許文献1】特開2002−330804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ボールベアリングの周知の製造工程について図7から図9を基に説明する。まず、図7において、外輪1の内側に内輪3を挿入し、この内輪3を外輪1の内周面に当接させる。このときできた隙間5にボール7を必要個数分挿入する。その後、ボール7を隙間5の狭くなる方向に周状にバランスよく移動させつつ、内輪3が外輪1の中心位置に来るまで移動させる。この内輪3が外輪1の中心位置に来たときの様子を示したのが図8である。
【0004】
その後、ボール7を隙間5の適所に均等配置し周方向に移動できないようにするため、保持部材9をボール7同士の間に介在させる。このときの様子を図9に示す。
【0005】
しかしながら、ボール7による装飾効果を考えたときに、ボール7が隙間5に対し周方向に隙間無く連設された方が美的インパクトを強く出せる。この場合に前述したボールベアリングの製造方法では、配設の特殊性から対処できなかった。
【0006】
また、ボール7以外の保持部材9も外部から見えることから美的効果が薄くなるし、保持部材9の取り付け工程自体も緻密な作業であり極めて煩雑であった。そして、この保持部材9の必要な分、部品面及び作業面からコスト高にもなっていた。
【0007】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、外輪を回転させることでその内側に配設されたボールが転がる楽しさ、美的変化、及びリラックス効果を生じさせることのできる指輪を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明の指輪は、外輪と、該外輪の内側に配置され、指に装着される内輪と、該内輪の外周面及び/又は前記外輪の内周面に対し周状に形成された段差部と、該段差部に沿って該段差部の高さを埋めつつ挿入自在の少なくとも一つのボールストッパーリングと、前記段差部を利用して、該ボールストッパーリングと前記外輪と前記内輪の間に周状に形成されたボール収納空間と、該ボール収納空間に収納されたボールとを備えた指輪であって、該ボールは、前記外輪が回動されることで前記ボール収納空間中を周方向に移動自在であることを特徴とする。
【0009】
外輪と内輪の間にボールストッパーリングを設けたことで、ボールをボール収納空間に収納する作業が簡単に行える。ボールをボール収納空間中に隙間無く配設すれば、美的効果は非常に高い。内輪は人の指に装着される。外輪はこの内輪に対し回動自在である。外輪を回動させると、ボールが転がり、ボールの透過光や反射光によりボールが美しく輝いて見える。ボールが転がることで装着した人に対し楽しさ及びリラックス感を与えることができる。
【0010】
また、本発明の指輪は、前記外輪及び/又は前記内輪の周方向複数箇所に前記ボールの直径よりも狭い長孔が設けられたことを特徴とする。
【0011】
このことにより、長孔からもボールの転がる様子が見えるため一層の楽しさ及び美的効果を生ずることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、外輪と内輪の間にボールストッパーリングを設けたことで、ボールをボール収納空間に収納する作業が簡単に行える。ボールをボール収納空間中に隙間無く配設すれば、美的効果は非常に高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態である指輪の全体斜視外観図を図1に、また図1中のA−A矢視断面図を図2に示す。更に、図3には、指輪の分解斜視構成図を示し、また、図4には、図3の縦断面図を示す。なお、図7〜図9と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
【0014】
図1〜図4において、指輪10の外輪11は筒状の外壁11aを有している。そして、この外壁11aの下端部には、内側に向けて突設された段差部11bを有している。そして、この段差部11bと外壁11aとの間には、表面が連続しつつ開口面積が次第に小さくなるようにすぼみ部11cが形成されている。すぼみ部11cは、ボール7の球体形状に一致する曲面を有しており、ボール7の一部外周が当接自在なようになっている。ボール7は例えばサファイヤクリスタルにて形成される。
【0015】
内輪13は、この外輪11の外壁11aの内側に挿入可能なようになっている。内輪13も筒状であるが、外輪11と対峙する外周面の中央に周方向にU字状の溝13aが刻設されている。溝13aは断面がボール7の球体形状に一致する曲面を有しており、ボール7の一部外周をガイドレールとして当接自在に受けることが可能なようになっている。
【0016】
ボール7は、この溝13aに沿ってほとんど隙間無く環状に配設され、それぞれのボール7同士の間が隣接されている。
内輪13と外輪11の間で、かつ外輪11の外壁11aの内側には、上方よりボールストッパーリング15が挿入可能なようになっている。このボールストッパーリング15の下端部の径は、外方に向けて次第に拡開された拡開部15aを有している。そして、この拡開部15aは、ボール7の球体形状に一致する曲面を有しており、ボール7の一部外周が当接自在なようになっている。
【0017】
そして、外輪11のすぼみ部11cとボールストッパーリング15の拡開部15aと内輪13の溝13aとによりボール収納空間14が形成されている。
かかる構成において、内輪13は人の指に装着される。外輪11はこの内輪13に対し回動自在である。外輪11を回動させると、ボール7が転がり、ボール7の透過光や反射光によりボール7が美しく輝いて見える。ボール7が転がることで装着した人に対し楽しさ及びリラックス感を与えることができる。
【0018】
なお、外輪11及び内輪13のそれぞれに対し周方向複数箇所にボール7の直径よりも狭い長孔(図示略)を設ければ、この長孔からもボール7の転がる様子が見えるため一層の効果を生ずることができる。
【0019】
また、上記では、ボールストッパーリング15が外輪11の外壁11aの内側に挿入されているとして説明したが、外輪11の内側にU字状の溝を刻設し、かつ内輪13の外壁面に段差を設け、この内輪13の外壁面に沿ってボールストッパーリング15が挿入されるようにされてもよい。
【0020】
更に、外輪11の内側及び内輪13の外側の双方に対し段差を設け、この段差の高さを埋めるように外輪11の内側に一つのボールストッパーリングを配設し、かつ内輪13の外側にもう一つのボールストッパーリングを配設するようにされてもよい。
【実施例】
【0021】
次に、本発明の実施例について説明する。図5には、指輪10のリングサイズに対する内輪13の内側直径(ID)、外側直径(OD)及び、外輪11の内側直径(ID)、外側直径(OD)を示す。
【0022】
図5には、また、ボール7がクリアランスの中心に位置したと仮定したときのそれぞれのボール7の中心位置を貫通し、周状に見たときの円周長を示している。そして、この周状に配設されているボール7の個数を記載している。
【0023】
なお、これらの寸法の定義を図2に示す。更に、寸法関係をより明確にするために、図6に指輪10の部分縦断面図を示す。各指輪のリングサイズに対し、使用したボール7の直径は全て2.0mmである。外輪11及び内輪13の板厚はそれぞれ0.9mmである。U字状の溝13aは、半径1.05mmの円周を有するように形成されている。この溝13aの深さは0.6mmである。
【0024】
外輪11の内側直径(ID)と内輪13の外側直径(OD)の差は常に1.8mmである。このため、図6に示すように、ボール7は直径2mmの内0.9mmが外輪11と内輪13の隙間から見えるようになっている。
【0025】
指輪10を製造するに際しては、内輪13の溝13aに対し表1に記す数のボール7を周状に埋設した状態に保持しつつ外輪11に挿入する。このとき、ボール7はすぼみ部11cの段差に当接することで停止する。その後、ボールストッパーリング15を拡開部15aがボール7に面するように挿入する。そして、外輪11とボールストッパーリング15とを溶接する。
【0026】
なお、溶接に際しては、外輪11が内輪13に対し円滑に回動するように注意しつつ、外輪11と内輪13の垂直方向のずれを防止した状態で行う。また、ボール7と溝13a、すぼみ部11c及び拡開部15aとの間には、それぞれ0.05mmのクリアランスをもたせている。更に、外輪11の外壁11aの板厚とボールストッパーリング15の板厚の合計が、外輪11の段差部11bの板厚と同一となるように形成されるのが美的観点から望ましいが、異なるように形成されることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態である指輪の全体斜視外観図
【図2】図1中のA−A矢視断面図
【図3】指輪の分解斜視構成図
【図4】図3の指輪の縦断面図
【図5】指輪の寸法表
【図6】指輪の部分縦断面図
【図7】ボールベアリングの従来の製造工程(その1)
【図8】ボールベアリングの従来の製造工程(その2)
【図9】ボールベアリングの従来の製造工程(その3)
【符号の説明】
【0028】
10 指輪
11 外輪
11a 外壁
11b 段差部
11c すぼみ部
13 内輪
13a 溝
14 ボール収納空間
15 ボールストッパーリング
15a 拡開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪と、
該外輪の内側に配置され、指に装着される内輪と、
該内輪の外周面及び/又は前記外輪の内周面に対し周状に形成された段差部と、
該段差部に沿って該段差部の高さを埋めつつ挿入自在の少なくとも一つのボールストッパーリングと、
前記段差部を利用して、該ボールストッパーリングと前記外輪と前記内輪の間に周状に形成されたボール収納空間と、
該ボール収納空間に収納されたボールとを備えた指輪であって、
該ボールは、前記外輪が回動されることで前記ボール収納空間中を周方向に移動自在であることを特徴とする指輪。
【請求項2】
前記外輪及び/又は前記内輪の周方向複数箇所に前記ボールの直径よりも狭い長孔が設けられたことを特徴とする請求項1記載の指輪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−190205(P2007−190205A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11553(P2006−11553)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504014901)有限会社ソラ (10)
【Fターム(参考)】