説明

指針を用いた表示装置

【課題】エネルギーの回生または回収を的確にイメージさせるために、指針1の見え方を変化させ、感性価値の高い指針1を用いた表示装置を得る。
【解決手段】電極12及び13間に挟んだエレクトロルミネセンス(EL)から成る発光体2を予め捻って指針1を成型する。この指針1を、指針ボス部16を中心とした左右に回動させ、メータとしての表示機能を果たす。それと共に、ギヤ32及び33、中心軸34、並びに指針ボス部16内の歯車機構で、根元ボス部15を指針ボス部16に対して回動させ、根元ボス部に結合された指針1を捻るように回動させ、指針先端部4側から指針根元部3側にかけて指針1側面の発光体2が太くなるように表示し、回生または回収状態を強くイメージさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針を用いて物理量の表示を行う表示装置に関し、特に、ハイブリッド車等の車載メータにおいて、「指針を回動する」という物理的作動により指針の発光体の見え方を変化させ、走行エネルギーの消費及び回生の状況を運転者に表示するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のハイブリッド車用表示装置が公知である。この従来のハイブリッド車に見られるパワーゲージでは、「CHARGE/ECO/POWER」といった「意味合い」または「単位あるいは次元」の違う情報を、一つのゲージ上に表示している。
【0003】
また、特許文献2には、バッテリの電力を消費する場合と、バッテリに回生電力で充電する場合とを、目盛上で区別して、通常の指針の動きで表示するハイブリッド車用表示装置が記載されている。
【0004】
更に、特許文献3には、ECOとPOWERの目盛表示上に判定基準を表す区切り表示を設けて、通常の指針の動きで、走行効率がECO域であるかPOWER域であるかを表示するエコメータを備えたハイブリッド車用表示装置が記載されている。
【0005】
更に、特許文献4には、指針が一方側にあるときは白色であり、指針がメータとして回動して他方側に近づくにつれて次第に赤みがかり、他方を指す状態に成ると赤色を呈するものが記載されている。これは、指針を透明体とし、この透明体に液晶計器パネル側の偏光板の偏光軸との関係で、指針の回転に伴って色または模様が変化する装飾用偏光板を取付けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−114791号公報
【特許文献2】特開2007−230446号公報
【特許文献3】特開2007−253727号公報
【特許文献4】特開2003−43471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1乃至4の様な表示において、エネルギーの「消費と回生」の意味合いの違いを直感的に認識できる更に新たな表示装置が求められている。つまり、環境問題が声高に叫ばれる昨今、エネルギーの「消費」ではなく、「回生または回収」こそが、ユーザーにとっての嬉しさに繋がるものであり、これについて、感性価値の高い新たな表示装置が求められているのである。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、指針の目に見える物理的なアクションにより、指針の見え方を変化させることで、上記問題点を解決する指針を用いた表示装置を提供することにある。
【0009】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、物理量の状態または量を示す表示部と、該表示部の表面側に位置し、該表面側を移動することにより物理量の状態または量を表示する指針とを備える表示装置であって、指針の伸長方向の軸を中心として、該指針を回動させる回動手段を備えることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、指針が通常のメータとしての作動を成して、物理量の状態または量を表示することが出来、かつ指針の伸長方向の軸を中心として、該指針を回動させることで、指針の見え方を変化させて、表示の状況に合わせた指針の見え方を演出することが出来る。
【0012】
請求項2に記載の発明では、指針は略直方体の形状を有していて、その肉厚が伸長方向と直行する面の幅方向の長さよりも小さい寸法を有する構成とされていることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、指針は略直方体の形状を有していて、その肉厚が伸長方向と直行する面の幅方向の長さよりも小さい寸法を有しているから、指針の伸長方向の軸を中心として、該指針を回動させることで、指針の見え方が変化し、表示の状況に合わせた指針の見え方を演出することが出来る。
【0014】
請求項3に記載の発明では、指針は、その一部において、略直方体形状の一方の面とこれに対向する他方の面とが互いに略直交するように捻られた形態とされており、該捻られた指針を回動手段にて該指針の伸長方向の軸を中心として回動させることにより、指針の表示形態が肉厚部分と面との間で切り替わることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、指針が、回動することにより、指針の見え方が捻じれに伴って変化し、効果的に指針の表示形態を切替えることが出来る。
【0016】
請求項4に記載の発明では、表示装置は、エネルギー消費状態とエネルギー回生または回収状態を表示することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、エネルギー消費状態とエネルギーの回生または回収状態を指針の表示体の変化により、イメージできるように表示することが出来る。
【0018】
請求項5に記載の発明では、指針は、その一部において、略直方体形状の一方の面とこれに対向する他方の面とが互いに略直交するように捻られた形態とされており、該捻られた指針を回動手段にて該指針の伸長方向の軸を中心として回動させることにより、指針の表示形態が肉厚部分と面との間で切り替わり、指針が、該指針の軸周りに所定角度旋回して指針の表示形態が肉厚部分と面との間で切り替わることにより、エネルギーの回生または回収状態を表示することを特徴としている。
【0019】
この発明によれば指針が、該指針の軸周りに所定角度旋回して指針の表示形態が肉厚部分と面との間で切り替わることにより、エネルギーが回生または回収されている状態が、的確にイメージ出来る。
【0020】
請求項6に記載の発明では、エネルギーの回生または回収状態のときに、エネルギーの回生量または回収量に応じてさらに指針が表示部の表面側を移動することを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、エネルギーの回生量または回収量に応じてさらに指針が表示部の表面側を移動するから、回生または回収をイメージさせ続けながら、回生または回収の状態または量を表示することが出来る。
【0022】
請求項7に記載の発明では、指針はその指針根元部を中心として表示部の表面側を扇形の軌跡にて回動するように構成されており、表示部のうち該指針の指針根元部に位置する領域を照明する照明部を備えており、エネルギーの回生または回収状態のときに、領域が照明されることを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、表示部のうち該指針の指針根元部に位置する領域を照明する照明部を備えているから、回生または回収を更に強くイメージさせることが出来る。
【0024】
請求項8に記載の発明では、表示装置は、指針をエネルギー回生状態、及びエネルギー消費状態のレンジの範囲内で、指針を表示部の表面側を正逆方向に移動させるとともに、指針を該指針の伸長方向の軸を中心として正逆方向に回動させるよう駆動手段を制御する制御部装置と、を具備しており、
指針がエネルギー消費状態のレンジの範囲内で移動する場合と、エネルギー回生状態のレンジの範囲内で移動する場合とで、指針の正逆方向への回動を切換えるよう駆動手段を制御することを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、エネルギー回生状態のレンジの範囲内で指針を駆動するときと、エネルギー消費状態のレンジの範囲内で指針を駆動するときとに応じて、指針の見え方を的確に切替えることが出来る。
【0026】
請求項9に記載の発明では、指針は肉厚部が光輝する構成とされていることを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、物理量が、どのような方向に移動しているのかのイメージを、光輝する肉厚部で、明確に表示することが出来る。
【0028】
請求項10に記載の発明では、指針は、互いに対向する通電用の電極と、該電極の間に挟持され該電極間に通電することにより発光するエレクトロルミネセンス素子とを包含する構成を備えることを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、電極間に挟まれた部分が発光することにより、電極を、不要な光の漏れを防止する遮光板として活用することが出来る。
【0030】
請求項11に記載の発明では、駆動手段は指針回動駆動部を備えており、指針の指針根元部が結合された根元ボス部と、該根元ボス部が回動可能に連結されている指針ボス部を有し、指針回動駆動部は、指針ボス部を回転駆動する指針ボス部駆動部と、一部が指針ボス部内に組み込まれて根元ボス部を指針ボス部に対して回動させる根元ボス部駆動部から成ることを特徴としている。
【0031】
この発明によれば、指針ボス部を回転駆動する指針ボス部駆動部によって、指針が通常のメータとしての作動を成して、物理量の状態または量を表示することが出来、根元ボス部を指針ボス部に対して回動する根元ボス部駆動部によって、指針が回動するから、指針の見え方を変化させて、メータ作動の状況に合わせた見え方を演出することが出来る。
【0032】
なお、特許請求の範囲及び上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態における表示装置を模式的に説明する指針並びに指針駆動機構の正面構成図である。
【図2】上記図1の右側面を示す一部断面構成図である。
【図3】図2の上部方向から見た平面構成図である。
【図4】上記第1実施形態における表示装置を模式的に説明する指針並びに指針駆動機構の斜視構成図である。
【図5】本発明の第2実施形態における表示装置を搭載したハイブリッド車全体の制御ブロック図である。
【図6】上記第2実施形態に用いるハイブリッド車の動力分割機構を示す概略構成図である。
【図7】上記第2実施形態におけるエネルギー消費時の表示装置となるパワーメータの斜視図である。
【図8】上記第2実施形態におけるエネルギー回生時のパワーメータの斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態の表示装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。図1は、この第1実施形態の表示装置を模式的に説明する指針並びに指針駆動機構の正面構成図である。図2は図1の右側面を示す一部断面構成図である。図3は、図2の上部平面方向から見た平面構成図、図4は、指針1並びに指針駆動機構10の斜視構成図である。
【0035】
図1において、指針1は、フィルム状のEL(エレクトロルミネセンス)から成る発光体2が、電極を兼ねるアルミニウム板12及び13で挟み込まれて形成されている。そして、指針1の指針根元部3と指針先端部4が90度の角度で時計回りに捻られた形で成型されている。この状態においては、指針根元部3では電極12の前面が、また、指針先端部4では電極12と13との間に配設されている発光体2の側面全体が運転者により視認されることになる。また、指針先端部4から指針根元部3に向かうに従って、視認される発光体2の側面の幅が減少していくことになる。
【0036】
指針根元部3は、根元ボス部15に固定されている。根元ボス部15には、出力側傘歯車37が固定されており、出力側傘歯車37が回動すると、根元ボス部15及び指針1が回動する。根元ボス部15は、指針ボス部16とは別部品であり、指針ボス部16に対して回動可能に連結されている。指針ボス部16内には、出力側傘歯車37に噛合う入力側傘歯車36が設けられている。指針ボス部16と中空軸24は一体に連結されており、中空軸24が回動すると、指針ボス部16、根元ボス部15、及び指針1が回動して、通常のメータ用の指針1としての動きを行う。
【0037】
中空軸24内にはベアリング部を介して中心軸34が回転可能に設けられ、中心軸34の先端には、入力側傘歯車36が固定されている。
【0038】
指針1のメータ本来の回動について説明する。図2及び図3において、第1ステップモータまたは交差コイル型のムーブメントからなる指針回動駆動部20のシャフト21の回転は、第1歯車22から第2歯車23に伝達される。
【0039】
第2歯車23と一体の中空軸24は、指針ボス部16に連結されている。これにより、指針回動駆動部20の回動に合わせて図示しないメータ表示板の平面に沿って、指針1が回動し、通常のメータとしての機能を果たす。
【0040】
つまり、中空軸24を介して、指針1を回動させ、従来のメータと同様に、図示しない目盛または指標となる表示部のいずれかの場所を指し示す。
【0041】
次に、指針1の捻り作動について説明する。図2及び図3において、第2ステップモータ30のシャフト31から、第3歯車32と第4歯車33を介して、上記中空軸24内に挿入された中心軸34を回動させる。
【0042】
中心軸34の回動により、指針ボス部16に内蔵された入力側傘歯車36と出力側傘歯車37から成る傘歯車機構36及び37が回動する。そのため、出力側傘歯車37と一体の根元ボス部15が、指針ボス部16に対して軸1aを中心に回動し、指針1が捻れるように回動する。42は、図示しないメータ表示板に接合される軸貫通部である。
【0043】
なお、捻れて成形された指針1が回動するだけであり、指針1自体が捻れ運動するわけではなく、運転者から見て最大90度まで捻れるように見えるのである。
【0044】
そのため、図4の斜視構成図に示すように、指針先端部4の発光体2の幅が、指針根元部3の発光体2の幅よりも大きく運転者から視認される状態から、時計回り方向に90度回動すると、指針根元部3の発光体2の幅が、指針先端部4の発光体2の幅よりも大きく運転者から視認されるようになる。なお、中空軸24内には、発光体2への給電のための図示しない配線が貫通している。なお、上記配線の一部を導電部材からなる図2の傘歯車機構36及び37が兼ねるようにしても良い。
【0045】
なお、上記エレクトロルミネセンス(Electroluminescence:EL)は、正確には、真性EL(薄膜型EL)と呼ばれ、電界により加速した電子が半導体内で発光中心に衝突して、発光中心を励起されて発光するものである。この薄膜EL素子は、厚さ0.5mm程度の板状の発光体2の面上で、均一かつ広範囲にわたる発光が可能である。なお、発光体にジアミン類などの有機物を使う有機ELであっても、硫化亜鉛などの無機物を使う無機ELであっても良い。なお、上記電極を構成するアルミニウム板12、13は光不透過性であるので、発光体2の発光はその側面より目視される。
【0046】
なお、図2のように、指針1の電極となるアルミニウム板13は、三角形状に孔40が3つ空けられている。これによって、指針1が時計回り方向に回動するとき、指針1の発光体2における運転者から視認される発光面が、あたかも、指針先端部4側から指針ボス部16側に移動する様に視認されるとき、三角形状の孔40から薄膜EL素子の光が漏れ、三角形の群れが矢印となって、上記イメージを助長することが出来る。しかし、この三角形状の孔40は、省略することも可能である。
【0047】
なお、図2において、指針回動駆動部20の回動に合わせて図示しないメータ表示板の平面に沿って、指針1が回動し、通常のメータとしての機能を果たしているとき、つまり、中空軸24を介して、指針1を回転させ、従来のメータと同様に、図示しない目盛または指標となる表示部のいずれかの場所を指し示す。
【0048】
このように指針1が回動するときは、出力側傘歯車37のみが、作動を停止している入力側傘歯車36に対して動くと、出力側傘歯車37及び指針1が回動してしまう。これを防止し、指針1が軸1a回りに回動しないで、指針回動駆動部20の回動に合わせてメータ表示板の平面に沿って、指針1が回動し、通常のメータとしての機能を果たすようにするためには、指針回動駆動部20の回動に合わせて、第2ステップモータ30のシャフト31から、第3歯車32と第4歯車33を介して、上記中空軸24内に挿入された中心軸34と入力側傘歯車36を連動して回動させる必要がある。
【0049】
なお、指針1の捻れるような回動は、入力側傘歯車36と出力側傘歯車37の相対的な回転差によって発生するため、指針1を捻るときには、この回転差が生じるように第2ステップモータ30を駆動すれば良い。
【0050】
次に、指針1の捻り作動について説明する。以下の説明では、説明を簡略にするために、指針回動駆動部20が回転していない場合について説明する。図2及び図3において、第2ステップモータ30のシャフト31から、第3歯車32と第4歯車33を介して、上記中空軸24内に挿入された中心軸34を回動させる。
【0051】
上述のように上記第1実施形態においては、指針1を捻るように回動することによって、
指針1の側面の発光体2の見え方を変化させることが出来、発光体2の見え方を、指針1の上方が太くなるようにも、指針1の下方が太くなるようにも変化させることが出来る。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図5ないし図8を参照して説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成及び特徴について説明する。上記第1実施形態は、指針1を、正面上方から見て(図1の指針先端部4側から指針根元部3方向に見て)時計回りに捻って成形したが、この第2実施形態(図7及び図8参照)は、反時計回りに捻って成形したものである。このように指針の捻る方向は、適宜選択することが出来る。
【0053】
また、この第2実施形態は、ハイブリッド車のパワーメータに、本発明を適用したものである。図5は、第2実施形態の表示装置を搭載したハイブリッド車全体の制御ブロック図である。図5において、ハイブリッド車は、エンジン120と、モータジェネレータ(MG)140とを含む。モータジェネレータは、ある時はモータとして、別の時にはジェネレータ(発電機)として機能する。よって時間の変化につれて機能が異なるモータジェネレータをハイブリッド車全体の制御ブロック図である図5で説明する都合、単一のモータジェネレータ140を、モータジェネレータ140A、またはモータジェネレータ140Bとも表現する。
【0054】
このモータジェネレータ140がジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれ、車両の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されて、車両が減速される。
【0055】
ハイブリッド車は、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動力をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達したりする減速機180を備える。
【0056】
また、エンジン120が発生する動力を、駆動輪160とモータジェネレータ140Bとの2経路に分配する動力分割機構200を有する。
【0057】
また、モータジェネレータ140を駆動するための電力を充電する走行用バッテリ220と、走行用バッテリ220の直流とモータジェネレータ140A及びモータジェネレータ140Bの交流とを相互に変換しながら電流制御を行なうインバータ240を有する。
【0058】
また、走行用バッテリ220のバッテリ充電状態(SOC; State of Charge)を管理制御するバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECUという)260と、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280を有する。更に、ハイブリッド車の状態に応じてモータジェネレータ140、バッテリECU260、及びインバータ240を制御するMG_ECU300を有する。
【0059】
また、バッテリECU260、エンジンECU280、及びMG_ECU300を相互に制御して、ハイブリッド車が最も効率よく運行できるように、ハイブリッドシステム全体を制御するHV_ECU320を有する。
【0060】
このHV_ECU320には、エンジン120を作動させないで車両を走行するEVモードを運転者が選択するためのスイッチであるEVスイッチ1200から、EVモード要求信号が入力される。走行用バッテリ220とインバータ240との間には、昇圧コンバータ242が設けられている。
【0061】
図6は、動力分割機構200を示す概略構成図である。図6において、動力分割機構200は、エンジン120の動力を、駆動輪160(図5)とモータジェネレータ140Bとの両方に振り分けるために、遊星歯車機構が使用されている。モータジェネレータ140Bの回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。
【0062】
エンジン120の回転力は、上記遊星歯車機構を成すプラネタリキャリア206に入力され、それがプラネタリギヤ204を介してサンギヤ202に伝わる。このサンギヤ202よって、モータジェネレータ140Bに動力が伝達される。
【0063】
また、プラネタリギヤ204及びリングギヤ208によって、モータジェネレータ140A及び減速機180(図5の駆動輪160側)に動力が伝えられる。
【0064】
回転中のエンジン120を停止させる時には、エンジン120が回転しているので、この回転の運動エネルギーをモータジェネレータ140Bで電気エネルギーに変換して、エンジン120の回転数を低下させる。
【0065】
図5に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車においては、車両の状態について予め定められた条件が成立すると、HV_ECU320は、モータジェネレータ140Aのみによりハイブリッド車の走行を行なうように、エンジンECU280等を介して、エンジン120等を制御する。
【0066】
例えば、予め定められた条件とは、走行用バッテリ220の上記バッテリ充電状態SOCが、予め定められた値以上であるという条件である。
【0067】
このようにすると、発進時や低速走行時等であって、エンジン120の効率が悪い場合に、モータジェネレータ140Aのみによりハイブリッド車の走行を行なうことができる。
【0068】
この結果、走行用バッテリ220のバッテリ充電状態SOCを低下させることができる(これにより、走行用バッテリ220の充電容量が減少するので、その後の車両停止時に走行用バッテリ220を充分に回生電力にて充電することができる)。
【0069】
また、通常走行時には、動力分割機構200により、エンジン120の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行ない、他方でモータジェネレータ140Bを駆動して発電を行なう。
【0070】
また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力を、モータジェネレータ140Aに供給して、モータジェネレータ140Aの出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。
【0071】
一方、減速時には、駆動輪160により従動するモータジェネレータ140Bがジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。
【0072】
そして、図5のメータECU1000から、パワーメータ1100には、指針をCHARGE、ECO、及びPOWERの各レンジの範囲内で、どの位置に駆動すれば良いかの指令信号CSが出力される。
【0073】
図7は、走行用バッテリ220(図5)のエネルギー消費時のパワーメータ1100の斜視図、図8は、上記走行用バッテリ220にエネルギーを回生している時のパワーメータ1100の斜視図である。
【0074】
図5のモータジェネレータ140Aまたはエンジン120の力で走行中においては、上記指令信号CSによって、図7のパワーメータ1100の指針1の発光体2に通電されて、発光体2が発光する。同時に、ECOとPOWERの各文字部、及びメータ内表示部7a、7b、及び7cが透過照明の図示しないランプの光により浮かび上がるように表示される。
【0075】
そして、燃費効率の良い運転を行っているときは、ECO側(図7左側)に指針1を置き、燃費効率が悪い加速時等では、指針1をPOWER側に位置せしめて、運転者に燃費の状態を表示することが出来る。
【0076】
そして、指針1がECO側またはPOWER側に位置するときは、走行用バッテリ220(図5)のエネルギーは消費されるので、指針1の発光体2は、指針根元部3側から指針先端部4側に行くに従って太く表示される。つまり、指針1の捻り角度は、運転者から見て、上記太く表示される角度(図7の状態)に保たれたまま、指針1全体がメータの表示板の平面5上を左右に回動する。
【0077】
次に、回生制動によって、モータジェネレータ140B(図5)が、発電機になり、走行用バッテリ220が充電されると、図8のように、上記ECOとPOWERの各文字部裏の透過照明用ライトが消灯されて、図8のようにECOとPOWERの文字が、運転者から実質的に視認されなくなる(このときCHARGEの文字を浮かび上がらせてもよいが必須ではない)。
【0078】
そして、図8では、図7の状態から、指針1が軸1a周りに90度旋回(時計回り)している。そうすると、指針1の発光体2における運転者から視認される発光面は、運転者から見て、指針1の指針先端部4側から指針1の指針根元部3側に向かうにつれて、太く見えるようになる。
【0079】
つまり、図7の場合とは逆に、指針1の発光体2における運転者から視認される発光面は、根元側から先端側に行くに従って細くなるように見えることになる。これにより、走行用バッテリ220(図5)にエネルギーが回生されている状況を、運転者がイメージすることが出来る。
【0080】
なお、発光体2はメータが作動を始めると常時発光していてもよいし、捻れるように回動する前後においてのみ発光するようにしても良い。また、発光色は、薄膜EL素子として一般的なブルーが望ましいが、他の色や複数の色の組み合わせでも良い。
【0081】
図8おいて、エネルギー回生時は、指針1の発光体2の発光面は、指針1の根元側に向かって太くブルーの色で光り、指針1の発光体2の発光面が、あたかも、指針先端部4側から指針ボス部16側に移動するように視認される。
【0082】
なお、このとき、指針ボス部16の周りを発光ダイオードによってブルーの色で破線部40aのように間接照明し、指針根元部16の周囲が発光するようにして、視線を誘う演出を施しても良い。これにより、「周囲に発散していたエネルギーを、中心に向かって回収している」という事象を強調表現することができる。
【0083】
このように、この第2実施形態では、エネルギー消費時においては、指針1の先端側に向かって、発光体面積が広く、輝度が高く視認される。また、エネルギー回生時においては、指針1が90度捻られるように回動し、指針1の根元に向かって、発光体面積が広く、輝度が高く視認される。
【0084】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成及び特徴について説明する。図9は、第3実施形態の表示装置の正面図である。
【0085】
この第3実施形態では、特許文献1に書かれているパワーメータに本発明を適用したものである。図9において、1は指針、2は指針1側面のELから成る発光体であり、指針1がECO領域を指し示し、指針先端部4側の発光体2部分が運転者から見て太く表示されている。
【0086】
なお、POWER領域を指針1が指し示す場合も、指針先端部4側の発光体2部分が運転者から見て太く表示されるように設定されている。一方、CHARGE領域を指針1が指し示す場合は、指針根元部3側の発光体2部分が運転者から見て太く表示されるように、指針1が指針ボス部16に対して90度時計回りに回動される。つまり、指針1がECO領域とCHARGE領域の境目40を越えるときに、指針1が捻れるように回動し、発光体2の太く表示される部分(運転者に視認される発光面)が、指針先端部4側から指針根元部側3に移動するように見えたり、逆に、指針根元部3側から指針先端部4側に移動するように見える。
【0087】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、指針を90度に回動したが、180度反転させて指針の裏側を運転者に見せ、指針の表示が根元から先端側に向かう矢印表示から、先端から根元側に向かう矢印表示に反転させても良い。
【0088】
また、このときの矢印表示は、単一の三角形の矢印表示のみでもよく、また、太さが徐々に変わる細長い矢印表示であっても良い。要は、物理的に指針が回動し、運転者から見て、エネルギーの動きが指針の根元から先端側に移動するのか(放散されるのか)、または、エネルギーの動きが、指針の先端から根元側に移動するのか(回収されるのか)のイメージを表示できるものであれば良い。
【0089】
また、ハイブリッド車用のメータを例にとって説明したが、本発明は、ハイブリッド車等の車載用に限らず、物理的に指針が回動し、操作者から見て、物理量の動きが、指針の根元から先端側に移動するか、または、物理量の動きが指針の先端から根元側に移動するかのイメージ表示が有効な用途に採用できる。例えば、タンク内への液注入量の計器表示と抽出量の計器表示を行う用途に採用出来る。
【0090】
また、指針を回動させるために、図2の第1実施形態では、ステップモータ等の回転駆動部と傘歯車のような動力伝達機構を使用したが、指針ボス部16内に超小型のモータ、例えば超音波モータを内蔵して、この超音波モータで直接指針1並びに根元ボス部15を回動させても良い。
【0091】
なお、上記実施形態では、捻られて成形された指針1を回動することにより、指針1が、見かけ上捻られるように見せたが、指針1を実際に捻って回動させても良い。このように指針1を実際に捻るために、指針に埋め込まれ通電することにより指針の温度を変える図示しない発熱体と、指針1の温度の応じて捻れるバイメタルや形状記憶合金で指針1の一部を構成して、実際に指針1を捻るようにしても良い。さらに、指針1は捻らなくてもよい。
【0092】
即ち、該指針を略直方体形状として該指針の伸長方向の中心軸周りに回動することにより、指針の板厚部と板厚と直交する方向の幅広の面との間で指針の表示形態が切り替わるようにしても良い。
【0093】
また、断面円形の指針の先端から根元部の方向に螺旋状の模様を描き、この螺旋状の模様を描いた指針を、指針の伸長方向の軸を中心として回動させても良い。
【0094】
また、指針1の発光は必須ではなく、発光体2の代わりに、着色部や蛍光塗料部を使用してもよい。また、発光させるためにELを使用しないで、一部透明の合成樹脂製指針と、指針先端側または指針根元側から導入される発光ダイオード(LED)の光を利用して、指針の側面等を発光させても良い。
【0095】
また、指針1の回動角度は0度または90度の2値でなく、表示する物理量の状態または量に合わせた任意の角度だけ比較的緩慢に回動させて、捻れていく見え方を細かく変化させても良い。また、所定時間だけ連続的に指針1を360度以上回転させ続けても良い。
【符号の説明】
【0096】
1 指針
1a 指針の軸
2 発光体
3 指針根元部
4 指針先端部
10 指針駆動機構
12及び13 電極を兼ねるアルミニウム板
15 根元ボス部
16 指針ボス部
20 指針回動駆動部
24 中空軸
34 中心軸
36及び37 傘歯車機構
40a 指針ボス部の周りの間接照明
120 エンジン
140 モータジェネレータ
160 駆動輪
200 動力分割機構
220 走行用バッテリ
1100 パワーメータ
1200 EVスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量の状態または量を示す表示部と、該表示部の表面側に位置し、該表面側を移動することにより前記物理量の状態または量を表示する指針とを備える表示装置であって、
前記指針の伸長方向の軸を中心として、該指針を回動させる手段を備えることを特徴とする指針を用いた表示装置。
【請求項2】
前記指針は、略直方体の形状を有していて、その肉厚が前記伸長方向と直行する面の幅方向の長さよりも小さい寸法を有する構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項3】
前記指針は、その一部において、前記略直方体形状の一方の前記面とこれに対向する他方の前記面とが互いに略直交するように捻られた形態とされており、該捻られた指針を前記回動手段にて該指針の伸長方向の軸を中心として回動させることにより、前記指針の表示形態が前記肉厚部分と前記面との間で切り替わることを特徴とする請求項1または2に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、エネルギー回生または回収状態を表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項5】
前記指針は、その一部において、前記略直方体形状の一方の前記面とこれに対向する他方の前記面とが互いに略直交するように捻られた形態とされており、該捻られた指針を前記回動手段にて該指針の伸長方向の軸を中心として回動させることにより、前記指針の表示形態が前記肉厚部分と前記面との間で切り替わり、前記指針が、該指針の軸周りに所定角度旋回して前記指針の表示形態が前記肉厚部分と前記面との間で切り替わることにより、前記エネルギーの回生または回収状態を表示することを特徴とする請求項4に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項6】
前記エネルギーの回生または回収状態のときに、前記エネルギーの回生量または回収量に応じてさらに前記指針が前記表示部の表面側を移動することを特徴とする請求項5に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項7】
前記指針は、その指針根元部を中心として前記表示部の表面側を扇形の軌跡にて回動するように構成されており、前記表示部のうち該指針の前記指針根元部に位置する領域を照明する照明部を備えており、前記エネルギーの回生または回収状態のときに、前記領域が照明されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、前記指針をエネルギー回生状態、及びエネルギー消費状態のレンジの範囲内で、前記指針を前記表示部の表面側を正逆方向に移動させるとともに、前記指針を該指針の伸長方向の軸を中心として正逆方向に回動させるよう前記駆動手段を制御する制御部装置と、を具備しており、
前記指針が前記エネルギー消費状態のレンジの範囲内で移動する場合と、エネルギー回生状態のレンジの範囲内で移動する場合とで、前記指針の前記正逆方向への回動を切換えるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項9】
前記指針は前記肉厚部が光輝する構成とされていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項10】
前記指針は、互いに対向する通電用の電極と、該電極の間に挟持され該電極間に通電することにより発光するエレクトロルミネセンス素子とを包含する構成を備えることを特徴とする請求項9に記載の指針を用いた表示装置。
【請求項11】
前記駆動手段は指針回動駆動部を備えており、
前記指針の指針根元部が結合された根元ボス部と、該根元ボス部が回動可能に連結されている指針ボス部を有し、
前記指針回動駆動部は、前記指針ボス部を回転駆動する指針ボス部駆動部と、
一部が前記指針ボス部内に組み込まれて前記根元ボス部を前記指針ボス部に対して回動させる根元ボス部駆動部から成ることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の指針を用いた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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