説明

挟持用スリット及び外面粘着テープ環作成具

【課題】 薄片を挟持するスリット形状及び当該スリットを備える挟持体、なかでも貼り剥がし容易な外面粘着テープ環を作成して被着物に貼付する、軽便な用具を提供する。
【解決手段】 薄片を挟持するスリット形状が、少なくとも一方の隙面に狭頂部を有して、他方の隙面と、薄片厚みに約0.05mm以下を加えた間隙を形成する。なかでも、管端から管長に沿う複数本の開口スリットを備える管体であり、当該スリットの少なくとも1本はテープ粘着面に向き合う隙面側が狭頂部を有して、外面粘着性のテープ環を作成するのに好適な形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄片を挟持するスリット形状及び当該スリットを備える挟持体、なかでも外面粘着テープ環を作成する用具に関する。
【背景技術】
【0002】
薄片を挟持する用具のなかで、溝や切れ目に挟持する用具にも、傾斜突起抵抗体を内装する挟持具(特許文献1)、弾性部材による挿し込み式クリップ(特許文献2)など多数ある。しかし、これらは挟持力を付加部材に依存すること等から形状が単純ではなく、軽便性と利用対象に制限がある。溝や切れ目形状に関しても、古くは鳥口を付けた文杖や文挿が使われ、現代でも単純な形状として一般に挟持用途に利用されている。しかし、前後に傾斜面を有する凸部状挟持部が他方の挟持部の凹部に嵌合する方法(特許文献3)など、摩擦抵抗材料の採用を含めて、薄片との接触面積を広げるか接触抵抗を大きくして挟持力を補強する工夫に止まり、薄片の離脱性に配慮した形状の工夫ではない。更に、粘着テープ類を挟持する用具として、挟持力だけに依存する従来の挟持具は全く不向きである。また、貼ったテープの剥がし難さを解決する方法に、外面粘着性のテープ環があるが、その簡便な作成用具は知られていない。
【特許文献1】特開2004−306397号公報
【特許文献2】特開2004−299215号公報
【特許文献3】特開2004−106249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上の不都合を解決する、薄片を挟持するスリット形状及び当該スリットを備える挟持体、なかでも、貼り剥がし容易な外面粘着テープ環を作成して被着物に貼付する、軽便な用具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明における薄片を挟持するスリット形状は、少なくとも一方の隙面に狭頂部を有して、他方の隙面と、薄片厚みに約0.05mm以下を加えた間隙を形成する。当該スリットを備える挟持体としては、平面体から曲面体まで、独立体から付属体まで、用途に応じて適当に選ぶことができる。なかでも、管端から管長に沿う複数本の開口スリットを備える管体であり、当該スリットの少なくとも1本はテープ粘着面に向き合う隙面側が狭頂部を有するスリット挟持具は、外面粘着テープ環を作成するのに好適である。
【0005】
本発明のスリット形状は、メモ・カード類などの薄片をスリットに挿入して挟持する簡便な形状であり、スリットの少なくとも一方の隙面が狭頂部の形状は、楔効果と接触面積の減少により、スリットと直角方向への摩擦力すなわち挟持力が強く、スリット方向の挟持力は弱い。狭頂形状自体も、連続直線山状のほか、断続、蛇行衝立状や上下波状など、製造上と保守上の手間を必要とするが、薄片との接触面積を加減する種々の工夫が可能である。つまり、薄片厚みに約0.05mm以下を加えた間隙と相俟って確実な挟持と容易な離脱を可能とする。薄片厚み相当の間隙で余裕がないと、挟持力が必要以上に強過ぎて、スリットと薄片の両方を傷めて取り扱いも困難になり、余裕あり過ぎてもスリット自体の拡幅性を生かせない。通常、約0.05mm以下を加えた約0.1mmの間隙が、かなり厚みのある薄片までの確実な挟持と容易な離脱を可能とする。
【0006】
本発明のスリットの補助的な工夫として、広径の孔端とすることで、薄片を千切れたり傷つけずに着脱でき、間隙に切片ごみ等が詰まって除去困難になることがなく、且つ挟持する薄片の厚みで広げられる間隙変化に緩衝性を持たせて、スリット端からの亀裂を防止する。したがって、平面体から曲面体まで、独立体から付属体まで、材質と形状の選択はもとより、スリット自体の長さ・深さと、狭頂形状の隙面による間隙と広径孔の調整により、薄片を効果的に挟持すなわち着脱することができる。
【0007】
本発明のスリット形状は、間隙を連続的または断続的に変化させること、端部を曲げること等の工夫によっても、挟持力すなわち着脱力を調整することができる。さらに補助的な工夫として、メモ・カード類などの薄片を嵌入しやすいように管端で少なくとも一辺が円曲して例えば5mm以上の広い間隙を有することでスムーズに薄片を挿入でき、挟持力緩衝用かつスリット保全用の例えば2mm径の円孔端を有することにより薄片を傷つけない。当該スリツトは管外から管内に管厚を斜行して両スリット面が略同一平面内にある対スリットにすることで、薄片に挟み跡や曲げ癖等をつけることなく真っ直ぐのまま広い接触面積により一層確実な挟持を可能にする。また、曲面上のスリットは湾曲して効果的に薄片を挟持する。
【0008】
本発明のスリット挟持具は、なかでも管端から管長に沿う複数本の開口スリットを備える管体で、当該スリットの少なくとも1本は、テープ粘着面に向き合う隙面側が狭頂部を有して、薄片厚みに約0.05mm以下を加えた対隙面との間隙を形成するものは、透明乃至不透明プラスチック・紙・布テープ等の外面粘着性のテープ環を作成するのに好適である。つまり、前節の挟持効果に加えて、管端ほど間隙の広い狭頂形状の隙面が接触面積を小さくすることでスリット方向に粘着テープを一層抜き出しやすく、薄片厚みに約0.05mm以下を加えた間隙が連なるためスリットと直角方向へのテープ挟持力が強い。約0.05mm厚の透明プラスチック粘着テープには補助的な工夫として、広径孔端にするとともに、隙面の狭頂部を管体の内壁側に形成することにより、管内にあるテープ粘着面との接触面積を一層小さくでき、楔形状が管外方向への抜き出しを困難にする。一対のスリットを、広幅の管端にすると共に、その断面が管体の中心から外れてほぼ同一平面となるように形成することで、小弧側をテープ粘着面側に挿し込みやすくできる。また、スリット位置を明示する目印を管の適当部位につけることもできる。
【0009】
本発明のスリット形状と寸法及び材質は、上記の特徴を満たして目的に応じ適当に選択できる。平面体から曲面体まで、独立体から付属体まで、スリット自体の長さ・深さと、狭頂形状の隙面による間隙と広径孔の調整により、薄片を効果的に挟持すなわち着脱することができる。例えば、透明アクリルやポリエチレン等の汎用プラスチック製の円管あるいは多角管が利用できる。弾性・剛性ゴム管の変形性を利用できる。紙または布や木製にも、金属又はセラミックス製にもできる。スリット部を難粘着性の材料例えばフッ素樹脂乃至シリコン樹脂製ではめ込み型にするなり、広径孔に止め輪・係止フック等を通したり、管体部にずれ・外れ防止用の指当て部等を工夫できる。通常の製作例としては、ドリル刃で広径孔を開け、0.1mm厚の丸鋸刃でスリットを作成し、前後してカッター刃乃至やすりで狭頂形状に仕上げる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を有する。すなわち、メモ・カード類などの薄片を挿入して挟持する簡便なスリット形状であり、止め具や吊り具、固定具などとの併用も容易である。なかでも、透明乃至不透明プラスチック・紙・布テープ等の巻き粘着テープからの同じ大きさの外面粘着テープ環の作成と被着物への貼付を簡単に実施できる。外面粘着テープ環は両面テープ同様に被着物の望む位置同士を確実に貼り合わせて剥がれ難く、しかも両面テープと異なり剥がし易くて剥がし残しも生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
スリット挟持具、なかでも巻き粘着テープからの外面粘着テープ環の作成と被着物への貼付を簡便に実施でき、貼ったテープもはみ出すことなく被着物に付着せしめ、剥がれ難く、両面テープと異なり剥がし易く剥がし残しがないという外面粘着テープ環作成具を、軽量、安価、堅牢で製作容易な構成により実現した。
【実施例1】
【0012】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図−1において、外面粘着テープ環作成具(1)は、外径10mm肉厚2mm長さ15cmの透明アクリル樹脂管であり、管端から管長に沿う2本の開口スリット(2)を備え管体の中心から外れて管外から管内に管厚を斜行して両スリット面が略同一平面内にある対スリットを構成している。管端が円曲して略5mmの広いスリット入口(2a)を形成し、スリット央部(2b)が0.05−0.1mmの間隙を形成する隙面の、テープ粘着面に対する側が狭頂形状であって、隙面の狭頂部を管体の内壁側に形成している。他端に2mm径のスリット端孔(2c)を有する。
使い方は、巻き粘着透明テープ(3)のテープ引出部(4)に対して、片手操作で外面粘着テープ環作成具(1)の大弧側スリット隙面をテープ非粘着面側に当てながら、小弧側の先端をテープ粘着面側に挿し込み、持ち上げてテープ端を係止部から剥がし、テープ端を管体内にずらしたうえで、管体を回してその周りに外面粘着テープ環(5)を作成し、通常は巻き粘着テープに付随するカッターで切断する。そしてテープ環を指で抜き取って一次被着物(6)に貼るか、そのまま一次被着物に押し付け貼って管体を抜き取り、二次被着物(7)を押し付けて貼り合わせる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
メモ・カード類などの薄片を任意の部位で挟持して、名札ホルダーとして胸ポケットに挿入、メニュースタンド、メモ立て、本等の開きページ文鎮、定規、線引き等、携帯用にも定置用にも応用できる。多数スリット付き着色曲面体によるディスプレイ利用、ゴム管継手、クリップ、吊りフック、固定テープ、台等との併用で一輪挿し用を含めて利用方法は一層広がる。なかでも外面粘着性のテープ環の作成具として、ポスター・広報類の掲示や、新聞切り抜き、写真、パンフレット、メモ書き等の種々形状物の、両面テープ的な縁内貼付け及び貼り剥がしに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の外面粘着テープ環作成具の実施方法例を示した、図−1(1)は外面粘着テープ環作成具の側面図と断面、平面図と断面、及び薄片を挟持したスリット断面拡大図、図−1(2)は外面粘着性のテープ環の作成・使用行程をa〜g段階に分けて概略示している。
【符号の説明】
【0015】
1 外面粘着テープ環作成具
2 開口スリット
2a スリット入口
2b スリット央部
2c スリット端孔
3 巻き粘着透明テープ
4 テープ引出し部
5 外面粘着透明テープ環
6 一次被着物
7 二次被着物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片を挟持するスリット形状に関し、当該スリットは少なくとも一方の隙面に狭頂部を有して、他方の隙面と、薄片厚みに約0.05mm以下を加えた間隙を形成することを特徴とする、挟持用スリット。
【請求項2】
管端から管長に沿う複数本の開口スリットを備える管体であり、当該スリットの少なくとも1本は請求項1の挟持用スリットであることを特徴とする、スリット挟持具、なかでも外面粘着テープ環作成具。

【図1】
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【公開番号】特開2007−78775(P2007−78775A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263337(P2005−263337)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(302006913)有限会社ハイライフ技研 (6)