振動型アクチュエータの制御装置
【課題】振動体の振幅を検出せず、急激な負荷変動に対しても印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えない制御で、安定した駆動が可能な振動型アクチュエータの制御装置を提供する。
【解決手段】振動体に励起される振動波で移動体を相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、振動体に印加する交流電圧の周波数を指令する指令手段と、指令手段の指令に基づき、振動体に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段5と、交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、変動付与手段が出力する変動を入力とし、振動体の振動に応じて変化する物理量を出力とする、一つ以上の所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段12と、を備え、共振周波数推定手段13から出力された共振周波数の推定値に応じて、交流電圧生成手段5が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する。
【解決手段】振動体に励起される振動波で移動体を相対移動させる振動型アクチュエータの制御装置であって、振動体に印加する交流電圧の周波数を指令する指令手段と、指令手段の指令に基づき、振動体に印加する交流電圧を生成する交流電圧生成手段5と、交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、変動付与手段が出力する変動を入力とし、振動体の振動に応じて変化する物理量を出力とする、一つ以上の所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段12と、を備え、共振周波数推定手段13から出力された共振周波数の推定値に応じて、交流電圧生成手段5が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気−機械エネルギー変換素子に交流電圧を印加することによって振動体に振動波を発生させ、その振動波によって移動体を摩擦駆動する振動型アクチュエータの制御装置に関する。
特に、振動体を加振する加振力の周波数を振動体の共振周波数より高い周波数領域で制御することにより振動型アクチュエータの速度制御を行う際に、加振力の周波数が振動体の共振周波数より低い周波数領域に達し急停止する現象を防ぐ制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
振動型アクチュエータの速度は、振動体に励起される振動波の振幅に応じて変化する。そのため、振動体に設けられた電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧の振幅や周波数を変化させることで制御する。
そして、温度による振動体の共振周波数の変動や振動体の共振周波数の個体差等の影響を少なくするために、交流電圧の周波数を変化させて速度を制御する方式が多く用いられている。
しかし、目標速度が高すぎる場合や負荷トルク又は推力が想定以上にかかった場合、上記交流電圧の周波数が振動体の共振周波数に達しても目標速度に到達しない場合がある。
そのため、振動型アクチュエータは急減速又は急停止し、異音の発生や場合によっては振動体や移動体の摩擦面に損傷を与えてしまい、耐久性能を低下させる等の問題があった。
従来においては、これらの現象に対処するために、予め負荷条件や目標速度に十分な余裕を設ける方法や、共振周波数を計測し、予め最低周波数を決めておく方法等が提案されている。
また、上記交流電圧の周波数と振動体の共振周波数の差に応じて変化する物理現象を計測し、上記交流電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えないように制御する方法等が提案されている。
【0003】
このような方法の一つとして、特許文献1ではつぎのような方法が提案されている。
この特許文献1による方法では、振動体の振動を計測するセンサを設け、電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧に対する振動の位相遅れ量又は振動振幅を検出する。
そして、これに基いて該交流電圧の下限周波数を決定し記憶手段に下限周波数を記憶しておく。
また、上記交流電圧の周波数を制御する際には、この下限周波数を超えて低い周波数領域に入らないように該交流電圧の周波数を制御する。
また、特許文献2ではつぎのような方法が提案されている。この特許文献2による方法では、振動型アクチュエータの電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧に圧電素子の制動容量計測用の交流電圧を重畳して制動容量を計測する。
そして、圧電素子に流れる交流電流から制動容量に流入する交流電流分を引いた直列共振回路電流を求めている。
この直列共振回路電流は振動体の振動速度に比例して流れるため、圧電素子に印加される交流電圧とこの直列共振回路電流との時間的位相差を求め、この位相差を所定の位相(例えば0°)となるように上記交流電圧の周波数を制御している。
そうすることで、上記交流電圧の周波数を直列共振回路の共振周波数の変化に追従させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3340522号明細書
【特許文献2】特許第3286606号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の方法では、振動体に設けた振動検出センサと印加電圧の間の位相差により共振状態を検出する。そのため、振動体の振幅が小さいと振動体と移動体の加圧接触状態の変化によって位相差にオフセットが重畳されることがあり不安定であるという課題を有している。
また、予め共振状態を検出する工程で下限周波数を記憶しておく方法は温度変化による振動体の共振周波数変化に対応することが難しい。
また、上記特許文献2の方法では、直列共振回路電流を計測することで振動体の振動を検出し印加電圧と振動との位相差により共振状態を検出しているが、共振周波数から離れた周波数で振動体の振幅が小さい時において位相差の検出精度に課題を有している。
また、現在の共振状態を振動センサで検出する方法では急な負荷変動等により印加電圧の周波数を高速に掃引すると、振動検出センサによる位相検出の遅れにより印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えてしまう場合が生じる。
また、上記特許文献1、2どちらのものにおいても、共振状態を検出するために振動検出センサを必要とする。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、振動体の振幅を検出することなく、急激な負荷変動に対しても印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えないように制御し、安定した駆動が可能となる振動型アクチュエータの制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうち、少なくとも周波数を指令する指令手段と、
前記指令手段の指令に基づき、前記振動体に加振力を印加するための交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段が出力する変動を入力とし、振動体の振動に応じて変化する物理量を出力とする、一つ以上の所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性から、前記振動体の共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記共振周波数推定手段から出力された共振周波数の推定値に応じて、前記交流電圧生成手段が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する周波数範囲制限手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動体の振幅を検出することなく、急激な負荷変動に対しても印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えないように制御し、安定した駆動が可能となる振動型アクチュエータの制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図2】本発明の実施例1における振動型アクチュエータを説明する図であり、(a)は振動型アクチュエータの例を示す構成図、(b)は振動型アクチュエータの振動の様子を示す図。
【図3】本発明の実施例1における圧電素子に設けられた給電用電極パターンを示す図。
【図4】本発明の実施例1における振動体の振動周波数と振動体の振動振幅の関係を示す図。
【図5】(a)は本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性を示すボード線図。(b)は圧電素子に印加される交流電圧の振幅に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性を示すボード線図。
【図6】本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数に対するロータの速度の周波数応答特性を示すボード線図。
【図7】本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数と振動体の共振周波数との周波数差に対する周波数応答特性のゲイン及び位相の変化を示す図。
【図8】本発明の実施例1における制御演算手段の構成例を示すブロック図。
【図9】本発明の実施例2における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図10】本発明の実施例2における圧電素子に印加される交流電圧の振幅に対するロータの速度の周波数応答特性を示すボード線図。
【図11】本発明の実施例2における圧電素子に印加される交流電圧の周波数と振動体の共振周波数との周波数差に対する周波数応答特性のゲイン及び位相の変化を示す図。
【図12】本発明の実施例2における周波数制限動作を説明する図。
【図13】本発明の実施例3における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図14】本発明の実施例3におけるCPUの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0011】
[実施例1]
実施例1として、発明を適用した振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
振動型アクチュエータは金属やセラミック製の弾性体をその固有振動モードの共振現象を利用して振動させ、弾性体に接触または間接的に接続される移動体を相対的に移動させるアクチュエータであって、今日では様々な原理のアクチュエータが提案されている。励振するための加振力の発生源としては主に圧電素子が用いられるが原理的にはどのような加振手段を用いても実現可能である。
例えば、磁歪素子、電歪素子、ボイスコイル、静電アクチュエータ等様々なアクチュエータを用いて励振することができる。
これらのアクチュエータは加振周波数と同じ周波数の交流電圧又は交流電流を入力することで加振力を発生させることができ、圧電素子の場合は印加する交流電圧、ボイスコイルなら交流電流が加振力に相当する。以下は圧電素子を例に説明する。
【0012】
図2(a)は振動型アクチュエータの例を示す構成図、図2(b)は振動型アクチュエータの振動の様子を示す図である。
これらの図において、1は圧電素子、2−a、2−bは弾性体で圧電素子1を挟持している。圧電素子1と弾性体2−a、2−bは一体となって振動体2を構成している。
3は圧電素子1に給電するためのフレキシブル基板、4は振動体2の上面に形成される楕円振動との間に生ずる摩擦力によって回転するロータである。
振動体2には直交する2つの方向の曲げ振動の固有振動モードがある。この2つの固有振動モードの振動を時間的に位相を90°ずらして発生させると図2(b)のように振動体2の上部構造がくびれ部分を支点として振れ回るように回転振動する。
この振動の力を不図示の加圧手段によって振動体2の上部に押し付けられたロータ4に摩擦力を介して伝達し、回転出力を取り出している。
【0013】
図3は圧電素子1上に形成された給電用の電極パターンを示している。
電極は4つの区画に分割されており、各電極にはφA又はφBの交流電圧がフレキシブル基板3を介して供給されている。
圧電素子1の電極1−a(+)、1−a(−)、 1−b(+)、1−b(−)の符号は圧電素子1の分極方向を示しており、対向する電極は極性が逆方向に分極されている。
そして、対向する電極には同じ駆動電圧を印加することによって逆方向の加振力を発生し、φA、及びφBに対応して夫々一つの固有振動モードの振動が励振される。
【0014】
図4は上記振動型アクチュエータの振動体2に励起された振動の周波数と振動体2の振動振幅との関係を示す図である。
Frは振動体2の共振周波数を示しており、共振周波数Frでは振動体2の振動振幅はVmaxとなっている。
また、周波数が共振周波数Frより高い領域から共振周波数Frに近付くと序々に振動体2の振動振幅は増加してVmaxに近付いてゆく。
そして、共振周波数Frより低い周波数になると振動振幅が急に減少する非対称な特性となっている。
また、共振周波数Frより200Hz高い周波数では振動体2の振動振幅はV1となり、400Hz高い周波数では振動体2の振動振幅はV0となる。
この各周波数における周波数変化に対する振動体2の振動振幅変化の割合を比較すると、共振周波数Frより200Hz高い周波数の場合の方が400Hz高い周波数の場合より高い変化率を示している。
【0015】
図5(a)は上記振動型アクチュエータの振動体2を加振する交流電圧の周波数の変化に対する振動体2の振動振幅変化の周波数応答特性を示すボード線図である。
実線の特性は図4で示した共振周波数Frより200Hz高い周波数を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性で、一点鎖線の特性は共振周波数Frより400Hz高い周波数を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性を示している。
また、破線の特性は共振周波数Frの近傍を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性を示している。
共振特性を利用する振動型アクチュエータの周波数応答特性は共振周波数Fr近傍では、概ね振動体のQ値に依存して折点周波数が変化する。
また、共振周波数Frから離れた周波数領域では、共振周波数Frと振動体2を加振する交流電圧の中心周波数との差に依存して折点周波数が変化する。
従って、実線は共振周波数Frより200Hz高い周波数を中心として交流電圧の周波数を変化させた場合の特性なので、ほぼ200Hzを折点周波数としてゲイン特性が減衰する特性となっている。
一点鎖線の特性は共振周波数Frより400Hz高い周波数を中心として交流電圧の周波数を変化させた場合の特性なので、ほぼ400Hzを折点周波数としてゲイン特性が減衰する特性となっている。
また、位相特性を見ると各折点周波数でほぼ−90°となっており、周波数が高くなると−180°近傍に収束していることがわかる。
破線の特性は交流電圧の周波数が共振周波数Fr近傍での特性である。交流電圧の周波数と共振周波数Frの周波数差が0に近いが折点周波数は60Hzとなっている。
この折点周波数は振動体2の振動性能を表すQ値に依存して決まる周波数で、交流電圧の周波数と共振周波数Frの周波数差が小さくなると折点周波数は下限周波数(本例では60Hz)に収束する。
【0016】
つぎに、低周波域でのゲインの大きさについて説明する。
図4に示したように交流電圧の周波数変化に対する振動体2の振動振幅変化は、交流電圧の周波数が共振周波数Frに近付くと振動体2の振動振幅の変化率が増加している。
従って交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Frに近いほどゲインが大きくなる。
図5(a)の10Hz以下の周波数領域でも交流電圧の周波数が共振周波数Frに近付くほどゲインが大きくなり、図4と同様の特性となっている。
また、図5(a)は交流電圧の周波数の変化に対する振動体2の振動振幅変化の特性を示したボード線図であったが、交流電圧の振幅や位相の変化に対する振動体2の振動振幅変化の特性についても同様の特性を示す。
共振周波数Frと交流電圧の周波数との差と上記折点周波数の関係は、周波数、振幅、位相のどの操作量についても周波数差が大きい領域では周波数差は折点周波数に近い値となり、周波数差が0に近い場合にはこのずれが大きくなっている。
図5(b)は交流電圧の振幅の変化に対する振動体の振幅変化の特性を示したボード線図である。
図5(a)に対して位相の変化が全体に少ない事と位相の変化のピーク値が交流電圧の周波数によって変化している点が異なっている。
実線、破線、一点鎖線の特性の違いは図5(a)と同じなので説明を省略する。また交流電圧の周波数の違いによるゲインの差が図5(a)と比較して大きいこと等がわかる。
【0017】
この様なボード線図の位相特性に現れる折点周波数と交流電圧の周波数との関係は図2(a)に示した振動型アクチュエータのみの性質ではない。
図2(a)には弾性体2−a、2−bと圧電素子1によって振動体2を構成したが、圧電素子のみ又は他の加振手段で振動体2を構成しても良い。
また、図2(a)は棒状の振動体であったが、円環状、円板状、矩形板状等の他、様々な形状の弾性体と圧電素子を組み合わせた振動型アクチュエータがある。これらの振動型アクチュエータの多くは弾性体と圧電素子からなる振動体の共振特性を利用しており、振動体の固有振動モードに依存する振動形状で振動体に振動波を形成することで振動体に接する被移動体を相対移動する。
共振現象を利用して共振周波数近傍の周波数で振動体を振動させるこの様なタイプの振動型アクチュエータであれば図5(a)、図5(b)で示すような周波数応答特性を持つ。
【0018】
図1は振動型アクチュエータの制御装置における実施例1を示すブロック図であり、不図示のロータ4の回転速度を、不図示の指令手段からの速度指令に応じて制御するシステムを構成している。
5は後述する加算手段10の出力する変動が加算された周波数指令に応じて2相の交流電圧を生成する交流電圧生成手段で、圧電素子1−a、1−bに位相差が90°の交流電圧φA、φBを印加している。
6は不図示のロータ4の回転速度を検出するロータリエンコーダ等の速度計測手段、7は不図示の指令手段からの速度指令と速度計測手段6の出力する速度信号を比較する速度比較手段である。
上記指令手段は、一つ以上の物理量と、該物理量の目標値の差に応じて周波数を指令するように構成することができる。
8は速度比較手段7の比較結果を比例積分演算して交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数を制御する制御演算手段である。
制御演算手段8は速度指令より速度信号の値が小さい場合には不図示のロータ4の回転速度を加速する為に交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数を低い周波数に変更して周波数を振動体2の共振周波数に近付けて行く。
そして、速度指令より速度信号が大きい場合には逆に高い周波数に変更するよう動作する。
【0019】
9は制御演算手段8の出力する信号が示す周波数に対して周波数範囲を制限するための周波数範囲制限手段である。
周波数範囲制限手段9は、後述する共振周波数推定手段の出力する不図示の振動体の共振周波数の推定値に応じて、交流電圧生成手段5が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する。そして、制御演算手段8の出力する信号が示す周波数に制限を与えた周波数指令を出力している。
10はこの周波数指令に後述するM系列乱数生成手段11の出力する乱数信号を加算して周波数指令に変動を付与する加算手段である。
11は公知のM系列信号を使った乱数生成手段であり、ホワイトノイズに近い擬似的な乱数信号を発生することが可能である。
この加算手段10とM系列乱数生成手段11とによって、振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段が構成される。
本実施例では、この変動付与手段によって、上記擬似乱数信号だけではなく、正弦波信号、ホワイトノイズ、等のうちのいずれかを付与する構成を採ることができる。
12は上記変動付与手段が出力する変動あるいは振動体の振動に応じて変化する物理量に対する、一つ以上の所定周波数での不図示のロータ4の周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段である。
周波数応答特性計測手段12は所定の変動周波数に対するゲイン特性と位相特性を出力している。
13は周波数応答特性計測手段12の出力する所定の変動周波数でのゲイン特性及び位相特性から不図示の振動体2の共振周波数を推定する共振周波数推定手段である。これにより交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差を出力している。
周波数範囲制限手段9はこの周波数差を基に現在の周波数指令と周波数差を加算した周波数に対し予め決められた周波数だけ高い周波数を下限周波数とし、更に所定周波数高い周波数を上限周波数としている。
【0020】
つぎに、どのように共振周波数推定手段9が振動体2の共振周波数を推定するかについて説明する。
図6は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数変化に対する不図示のロータ4の回転速度の変化の周波数応答特性を示すボード線図である。
実線は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzの場合を示している。
また、破線は10Hz、一点鎖線は400Hzの特性をそれぞれ示している。横軸の周波数はこの交流電圧の周波数に付与される変動の周波数を示しており、周波数応答特性計測手段12は変動周波数が200Hzのゲイン及び位相を計測して出力している。
G10、G200、G400はそれぞれ交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との差が10Hz、200Hz、400Hzの時における変動周波数が200Hzでのゲインを示している。同様にP10、P200、P400はそれぞれの位相を示している。
このことから、変動周波数が200Hzにおけるゲイン及び位相特性は、交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差に応じて変化していることがわかる。
【0021】
図7は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差に対する変動周波数が200Hzでのゲイン及び位相の特性を示している。
上記ゲイン及び位相と周波数差の関係を予め求めておくことで、ゲイン及び位相特性から駆動中の周波数差を逆算して求めている。
また、複数の変動周波数のゲイン及び位相から個々に求めて平均する方法、これら複数の値から最小二乗近似で求める方法も効果的である。
また、制御演算手段8で比例積分演算を行う場合、周波数範囲制限手段9で周波数指令に制限がかかると制御演算手段8の積分演算で不必要な積分がなされ正常な状態に復帰するまでの時間が長くなる問題が発生する場合がある。そこで、これを改善した例を以下に示す。
【0022】
図8は図1の制御演算手段8と周波数範囲制限手段9の直列接続構成に対策を施した構成を示すブロック図である。
制御演算手段8は速度比較手段7の出力する速度指令と速度信号の比較結果を入力して比例する値を出力する比例演算手段34と積分した値を出力する積分演算手段35及びこれらの出力結果を加算する加算手段36で構成されている。
そして、更に積分演算手段35には周波数制限された値を差し引くことで飽和を防ぐ機能が追加されている。
それは周波数範囲制限手段9の前後の信号の差を減算手段37で求め、この結果を減算手段38を用いて積分演算手段35の積分値から差し引くようにフィードバックすることで不必要な積分を防ぐ構成となっている。
このように構成することで、急な負荷変動によって周波数制限がかかっても負荷が元に戻ればすぐに制限が解除され速度制御が正常動作に戻るようになる。
また、周波数範囲制限手段は、前記周波数範囲を記憶する記憶手段を有すると共に、この記憶手段は前記周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に対応した周波数範囲情報を予め記憶可能に構成することができる。
そして、周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に応じて、該記憶手段に記憶された周波数範囲情報に基づき周波数範囲を制限するように構成することができる。
【0023】
また、推定に用いる物理量は振動体2の振動振幅に依存して変化する値であればロータ4の速度や振動体2の振動振幅に限るものではない。
例えば、振動体2の振動振幅の変化に応じて変化するものとしては、該振動体または該振動体に接続する機構の振動、該振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの一つ以上の物理量によるものであってもよい。
また、ロータ4の回転によって発生する速度、回転角、トルク等の他圧電素子に流入する電流も、同様に上記した振動体2の振動振幅の変化に応じて変化する物理量に含まれる。
従って、これらの物理量は全て基本特性として図5(a)、図5(b)に示した周波数応答特性を含んでおり、上記した実施例と同様に振動体2の共振周波数を推定するための物理量として利用可能である。
【0024】
本実施例の上記構成によれば、上記変動付与手段に与える変動に対し、付与した変動に応じて変化する上記振動体又は振動体に接続する機構の振動に起因して変化する物理量を計測する。
そして、付与した変動に対する計測した物理量までの周波数応答特性から、前記振動体の共振周波数と振動体の振動周波数の差を検知することで、オフセット的な誤差の影響を受けずに計測することができる。
それと共に、様々な物理量センサを用いて電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧の周波数の設定範囲を制限することが可能となることである。
また、常に周波数応答特性を計測することが可能であることから、動作中の温度変化等による振動体の共振周波数変化にも対応可能となる。
【0025】
[実施例2]
実施例2における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図9は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
上記実施例1では周波数指令を変動させていたのに対し、本実施例では交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅に変調を与える構成となっている。
以下、図1の説明と重複する部分を省いて構成を説明する。
図9において、加算手段10は不図示の指令手段からの振幅指令にM系列乱数生成手段11の出力する変動を加算して出力している。
この変動を付加された振幅指令に応じて交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅が設定される。
図10は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅の変動に対する速度計測手段6の出力する不図示のロータ4の回転速度の変動の周波数応答特性を示している。
図6と同様に実線は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzの場合を示している。
また、破線は10Hz、一点鎖線は400Hzの特性をそれぞれ示している。横軸の周波数はこの交流電圧の振幅に付与される変動の周波数を示しており、周波数応答特性計測手段12は変動周波数が60Hz及び100Hzのゲイン及び位相を計測して出力している。
G10、G200、G400はそれぞれ交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との差の周波数が10Hz、200Hz、400Hzの時の変動周波数が60Hzでのゲインを示している。同様にP10、P200、P400は変動周波数が100Hzでの位相を示している。
図11は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差に対して変動周波数が60Hzでのゲイン及び100Hzでの位相の特性を示している。
実施例1では200Hzの周波数変動に対するゲイン及び位相特性を用いて共振周波数を推定したが、本実施例ではゲイン特性と位相特性は異なる変動周波数の値を用いて推定している。
それは図10より変動周波数が100Hzのゲイン変化がほとんど無いため、ゲイン特性からは共振周波数の推定が出来ないからである。
このように、図11の特性を予め求めておけばゲイン及び位相特性から振動体2の共振周波数と交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数との周波数差を検出することが出来実施例1と同様に周波数範囲を制限する事が可能となる。
【0026】
ここで、共振周波数推定手段13は例えばゲイン特性がG200、位相特性がP200の近傍であれば交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差を200Hzと推定する。
しかし、共振周波数の推定には時間がかかるので、推定値は推定にかかった一定時間内の平均値及び推定に用いたデータ量に応じた過去の平均値である。
そのため、推定された200Hzを現在の交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数に加算しても正しい共振周波数を推定出来ない場合がある。
そこで、周波数応答特性計測手段12及び共振周波数推定手段13での遅れと同等の特性を有するローパスフィルタ14で周波数指令を遅延及び平均化し、共振周波数推定手段13の出力する200Hzと加算することで推定値の精度を高めている。
【0027】
図12は周波数制限動作の様子を示す図である。
時刻T0、T1において不図示のロータの負荷がステップ的に重くなった際の交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数(実線)、ローパスフィルタ14の出力(点線)、下限周波数(一点鎖線)、不図示の振動体2の共振周波数(破線)の変化を示している。
負荷が重くなるとロータ4の回転速度が低下するので交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数(実線)は共振周波数(破線)の方向に変化する。
ローパスフィルタ14の出力(点線)は交流電圧の周波数(実線)が大きく変化してもわずかな変動しかしていない。
共振周波数推定手段13の出力する推定値は共振周波数(破線)とローパスフィルタ14の出力(点線)の差に応じた値を推定値として出力している。
次に、この推定値とローパスフィルタ14の出力(点線)の値を加算手段15で加算し概ね共振周波数(破線)に近い値が周波数範囲制限手段9へ入力される。周波数範囲制限手段9ではこの共振周波数(破線)近傍の値に若干の余裕を加えて下限周波数(一点鎖線)を設定している。
なお、ここには示さないが上限周波数を下限周波数に一定周波数加算した値とするなどして設定しても良い。
【0028】
また、本実施例では交流電圧の振幅に対して変動を与えたが交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の位相差に変動を与えても良い。
交流電圧φA及びφBには通常90°の位相差を持たせて駆動するが、位相差を変化させると交流電圧の振幅と同様にロータ4の回転速度を変化させることが可能である。
また、周波数応答特性も同様に交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差によって変化するため、周波数応答特性のゲイン特性や位相特性によって振動体2の共振周波数を推定することが出来る。
また、上記実施例ではM系列乱数によって変動を付与したが、ホワイトノイズや他の疑似乱数、正弦波等を変動源としても良い。
また、どちらかと言えば、ゲイン特性より位相特性の方が安定して振動体2の共振周波数を推定することが可能であるが、位相特性、ゲイン特性のどちらか一方のみでも推定は可能である。
【0029】
[実施例3]
実施例3における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図13は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
上記の実施例では不図示のロータ4の速度の変動までの周波数応答特性を計測したが、本実施例では振動体2の振動振幅までの周波数応答特性を用いて不図示の振動体2の共振周波数を推定している。
図13において、16は公知のホワイトノイズ生成手段で上記実施例ではM系列乱数生成手段11で発生させた周波数指令の変動を本実施例ではホワイトノイズ生成手段で行っている。
また、圧電素子を用いた振動検出センサ1−cを不図示の振動体2に設け振動振幅計測手段17で振動体2の振動振幅を計測している。
加算手段10の出力する周波数指令にホワイトノイズ生成手段16の出力を重畳し変動を与えられた信号には広い周波数範囲の均質な周波数特性を有する変動が重畳されている。
交流電圧生成手段5は出力する交流電圧の1周期毎に変動の重畳された周波数指令をサンプリングし、交流電圧1周期分の周波数を決定する。
実際に交流電圧の周波数として設定されるタイミングは実際に交流電圧波形を出力したタイミングであるので、そのタイミングで周波数信号を出力している。
【0030】
つぎに、周波数応答計測手段の構成について説明する。
本実施例では、周波数応答計測手段は交流電圧生成手段5の出力する周波数信号と振動振幅計測手段17の出力する振動振幅信号との間の200Hzにおける位相特性を計測する。
原理的には200Hzの正弦波と余弦波を生成し周波数信号及び振動振幅信号夫々にこれらの波形を乗算後に平滑し、夫々の位相を逆正接演算で求め、周波数信号の位相から振動振幅信号の位相を減算することで位相特性を求めている。
【0031】
つぎに、各ブロックについて説明する。
18及び19は交流電圧発生手段5の出力する交流電圧の周波数より低く200Hzの10倍程度の同じカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。
20は200Hzの正弦波を発生するSIN波発生手段、21は200Hzの余弦波を発生するCOS波発生手段である。
22、23、24、25は乗算手段でローパスフィルタ18、19の出力する帯域制限された周波数信号と振動振幅信号に対し夫々正弦波、余弦波を乗算して出力している。
乗算手段22、23、24、25の各出力はオフセット値を有すると共に200Hzの倍の周波数で変調された波形となっている。
これを次段の1Hzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタ26、27、28、29で平滑して逆正接演算手段30、31を用いて電圧振幅信号及び振動振幅信号の位相を求め位相差検出手段32で夫々の位相の差を求めている。
【0032】
ここでは、逆正接演算手段30、31の出力を位相差検出手段32に入力しているが、再度ローパスフィルタを介してから入力しても良い。
ここで説明した2段乃至3段の直列に接続された各段のローパスフィルタは各段毎にカットオフ周波数を同じにする必要がある。
また、各段のローパスフィルタのカットオフ周波数はここに示した以外でも良いことは当然である。
また、ローパスフィルタとして公知のデシメーションフィルタであるSINCフィルタを用いても良い。
SINCフィルタを用いるとサンプリングレートを低くすることが出来、計算量を減らすことが可能となる。
33は公知のCPUであり交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅である振幅指令Voutを出力すると共にロータ速度Srを検出し不図示の指令手段からの速度指令Ssとロータ速度Srが一致するように周波数指令Fsを出力している。
また、位相差検出手段32の出力する200Hzの位相特性P0を入力して振動体2の共振周波数を推定し、共振周波数の推定値に応じて周波数指令Fsに対して設定範囲を制限している。
【0033】
図14はCPU33の動作を示すフローチャートである。
これを用いてCPU33の動作を説明する。
まず、初期設定として周波数指令Fsを起動周波数F0に、振幅指令Voutを0に設定する。
次に、不図示の指令手段からの速度指令Ssが0の場合には振幅指令Voutを0として速度指令Ssが0でなくなるまで待機する。
速度指令Ssが0でなくなると振幅指令Voutを所定の電圧であるV0に設定する。これにより、不図示のロータ4が回転を始めロータ速度Srが0より大きくなる。次に速度指令Ssとロータ速度Srを比較し速度指令Ssが速い場合には加速するために周波数指令Fsを不図示の振動体2の共振周波数に近付けるために所定周波数Fdだけ周波数指令Fsから減算して周波数変数Fs0に代入する。
逆に、速度指令Ssがロータ速度Srより遅い場合には周波数指令Fsに所定周波数Fdだけ加算して周波数変数Fs0に代入する。
【0034】
ここで、速度指令Ssが0でなくなってから所定時間が経過したかどうかを計測し所定時間以内であれば周波数制限値として初期値を用いる。
その場合下限周波数Fminを下限周波数の初期値Fmin0とし、上限周波数Fmaxを上限周波数の初期値Fmax0とする。
これは所定時間が経過しないと周波数応答特性が計算出来ないため振動体2の共振周波数の推定が出来ないからである。
所定時間が経過した場合には位相差検出手段32からの位相特性P0を入力しルックアップテーブルを用いて下限周波数Fminを求める。
次に、下限周波数Fminに予め決められた周波数範囲Fdltを加算して上限周波数Fmaxを求める。
次に、ここで求めた下限周波数Fmin及び上限周波数Fmaxを用いて周波数指令Fsを求める。
周波数変数Fs0が下限周波数Fmin又は上限周波数Fmaxを超える場合には周波数指令Fsに下限周波数Fmin又は上限周波数Fmaxを代入し、超えない場合には周波数指令Fsに周波数変数Fs0を代入する。
そして、これらを速度指令Ssが0になるまで繰り返す。
【符号の説明】
【0035】
1:圧電素子
2:振動体
3:フレキシブル基板
4:ロータ
5:交流電圧生成手段
6:速度計測手段
7:速度比較手段
8:制御演算手段
9:周波数範囲制限手段
10:加算手段
11:M系列乱数生成手段
12:周波数応答特性計測手段
13:共振周波数推定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気−機械エネルギー変換素子に交流電圧を印加することによって振動体に振動波を発生させ、その振動波によって移動体を摩擦駆動する振動型アクチュエータの制御装置に関する。
特に、振動体を加振する加振力の周波数を振動体の共振周波数より高い周波数領域で制御することにより振動型アクチュエータの速度制御を行う際に、加振力の周波数が振動体の共振周波数より低い周波数領域に達し急停止する現象を防ぐ制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
振動型アクチュエータの速度は、振動体に励起される振動波の振幅に応じて変化する。そのため、振動体に設けられた電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧の振幅や周波数を変化させることで制御する。
そして、温度による振動体の共振周波数の変動や振動体の共振周波数の個体差等の影響を少なくするために、交流電圧の周波数を変化させて速度を制御する方式が多く用いられている。
しかし、目標速度が高すぎる場合や負荷トルク又は推力が想定以上にかかった場合、上記交流電圧の周波数が振動体の共振周波数に達しても目標速度に到達しない場合がある。
そのため、振動型アクチュエータは急減速又は急停止し、異音の発生や場合によっては振動体や移動体の摩擦面に損傷を与えてしまい、耐久性能を低下させる等の問題があった。
従来においては、これらの現象に対処するために、予め負荷条件や目標速度に十分な余裕を設ける方法や、共振周波数を計測し、予め最低周波数を決めておく方法等が提案されている。
また、上記交流電圧の周波数と振動体の共振周波数の差に応じて変化する物理現象を計測し、上記交流電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えないように制御する方法等が提案されている。
【0003】
このような方法の一つとして、特許文献1ではつぎのような方法が提案されている。
この特許文献1による方法では、振動体の振動を計測するセンサを設け、電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧に対する振動の位相遅れ量又は振動振幅を検出する。
そして、これに基いて該交流電圧の下限周波数を決定し記憶手段に下限周波数を記憶しておく。
また、上記交流電圧の周波数を制御する際には、この下限周波数を超えて低い周波数領域に入らないように該交流電圧の周波数を制御する。
また、特許文献2ではつぎのような方法が提案されている。この特許文献2による方法では、振動型アクチュエータの電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧に圧電素子の制動容量計測用の交流電圧を重畳して制動容量を計測する。
そして、圧電素子に流れる交流電流から制動容量に流入する交流電流分を引いた直列共振回路電流を求めている。
この直列共振回路電流は振動体の振動速度に比例して流れるため、圧電素子に印加される交流電圧とこの直列共振回路電流との時間的位相差を求め、この位相差を所定の位相(例えば0°)となるように上記交流電圧の周波数を制御している。
そうすることで、上記交流電圧の周波数を直列共振回路の共振周波数の変化に追従させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3340522号明細書
【特許文献2】特許第3286606号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の方法では、振動体に設けた振動検出センサと印加電圧の間の位相差により共振状態を検出する。そのため、振動体の振幅が小さいと振動体と移動体の加圧接触状態の変化によって位相差にオフセットが重畳されることがあり不安定であるという課題を有している。
また、予め共振状態を検出する工程で下限周波数を記憶しておく方法は温度変化による振動体の共振周波数変化に対応することが難しい。
また、上記特許文献2の方法では、直列共振回路電流を計測することで振動体の振動を検出し印加電圧と振動との位相差により共振状態を検出しているが、共振周波数から離れた周波数で振動体の振幅が小さい時において位相差の検出精度に課題を有している。
また、現在の共振状態を振動センサで検出する方法では急な負荷変動等により印加電圧の周波数を高速に掃引すると、振動検出センサによる位相検出の遅れにより印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えてしまう場合が生じる。
また、上記特許文献1、2どちらのものにおいても、共振状態を検出するために振動検出センサを必要とする。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、振動体の振幅を検出することなく、急激な負荷変動に対しても印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えないように制御し、安定した駆動が可能となる振動型アクチュエータの制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうち、少なくとも周波数を指令する指令手段と、
前記指令手段の指令に基づき、前記振動体に加振力を印加するための交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段が出力する変動を入力とし、振動体の振動に応じて変化する物理量を出力とする、一つ以上の所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性から、前記振動体の共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記共振周波数推定手段から出力された共振周波数の推定値に応じて、前記交流電圧生成手段が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する周波数範囲制限手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振動体の振幅を検出することなく、急激な負荷変動に対しても印加電圧の周波数が振動体の共振周波数を超えないように制御し、安定した駆動が可能となる振動型アクチュエータの制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図2】本発明の実施例1における振動型アクチュエータを説明する図であり、(a)は振動型アクチュエータの例を示す構成図、(b)は振動型アクチュエータの振動の様子を示す図。
【図3】本発明の実施例1における圧電素子に設けられた給電用電極パターンを示す図。
【図4】本発明の実施例1における振動体の振動周波数と振動体の振動振幅の関係を示す図。
【図5】(a)は本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性を示すボード線図。(b)は圧電素子に印加される交流電圧の振幅に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性を示すボード線図。
【図6】本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数に対するロータの速度の周波数応答特性を示すボード線図。
【図7】本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数と振動体の共振周波数との周波数差に対する周波数応答特性のゲイン及び位相の変化を示す図。
【図8】本発明の実施例1における制御演算手段の構成例を示すブロック図。
【図9】本発明の実施例2における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図10】本発明の実施例2における圧電素子に印加される交流電圧の振幅に対するロータの速度の周波数応答特性を示すボード線図。
【図11】本発明の実施例2における圧電素子に印加される交流電圧の周波数と振動体の共振周波数との周波数差に対する周波数応答特性のゲイン及び位相の変化を示す図。
【図12】本発明の実施例2における周波数制限動作を説明する図。
【図13】本発明の実施例3における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図14】本発明の実施例3におけるCPUの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0011】
[実施例1]
実施例1として、発明を適用した振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
振動型アクチュエータは金属やセラミック製の弾性体をその固有振動モードの共振現象を利用して振動させ、弾性体に接触または間接的に接続される移動体を相対的に移動させるアクチュエータであって、今日では様々な原理のアクチュエータが提案されている。励振するための加振力の発生源としては主に圧電素子が用いられるが原理的にはどのような加振手段を用いても実現可能である。
例えば、磁歪素子、電歪素子、ボイスコイル、静電アクチュエータ等様々なアクチュエータを用いて励振することができる。
これらのアクチュエータは加振周波数と同じ周波数の交流電圧又は交流電流を入力することで加振力を発生させることができ、圧電素子の場合は印加する交流電圧、ボイスコイルなら交流電流が加振力に相当する。以下は圧電素子を例に説明する。
【0012】
図2(a)は振動型アクチュエータの例を示す構成図、図2(b)は振動型アクチュエータの振動の様子を示す図である。
これらの図において、1は圧電素子、2−a、2−bは弾性体で圧電素子1を挟持している。圧電素子1と弾性体2−a、2−bは一体となって振動体2を構成している。
3は圧電素子1に給電するためのフレキシブル基板、4は振動体2の上面に形成される楕円振動との間に生ずる摩擦力によって回転するロータである。
振動体2には直交する2つの方向の曲げ振動の固有振動モードがある。この2つの固有振動モードの振動を時間的に位相を90°ずらして発生させると図2(b)のように振動体2の上部構造がくびれ部分を支点として振れ回るように回転振動する。
この振動の力を不図示の加圧手段によって振動体2の上部に押し付けられたロータ4に摩擦力を介して伝達し、回転出力を取り出している。
【0013】
図3は圧電素子1上に形成された給電用の電極パターンを示している。
電極は4つの区画に分割されており、各電極にはφA又はφBの交流電圧がフレキシブル基板3を介して供給されている。
圧電素子1の電極1−a(+)、1−a(−)、 1−b(+)、1−b(−)の符号は圧電素子1の分極方向を示しており、対向する電極は極性が逆方向に分極されている。
そして、対向する電極には同じ駆動電圧を印加することによって逆方向の加振力を発生し、φA、及びφBに対応して夫々一つの固有振動モードの振動が励振される。
【0014】
図4は上記振動型アクチュエータの振動体2に励起された振動の周波数と振動体2の振動振幅との関係を示す図である。
Frは振動体2の共振周波数を示しており、共振周波数Frでは振動体2の振動振幅はVmaxとなっている。
また、周波数が共振周波数Frより高い領域から共振周波数Frに近付くと序々に振動体2の振動振幅は増加してVmaxに近付いてゆく。
そして、共振周波数Frより低い周波数になると振動振幅が急に減少する非対称な特性となっている。
また、共振周波数Frより200Hz高い周波数では振動体2の振動振幅はV1となり、400Hz高い周波数では振動体2の振動振幅はV0となる。
この各周波数における周波数変化に対する振動体2の振動振幅変化の割合を比較すると、共振周波数Frより200Hz高い周波数の場合の方が400Hz高い周波数の場合より高い変化率を示している。
【0015】
図5(a)は上記振動型アクチュエータの振動体2を加振する交流電圧の周波数の変化に対する振動体2の振動振幅変化の周波数応答特性を示すボード線図である。
実線の特性は図4で示した共振周波数Frより200Hz高い周波数を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性で、一点鎖線の特性は共振周波数Frより400Hz高い周波数を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性を示している。
また、破線の特性は共振周波数Frの近傍を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性を示している。
共振特性を利用する振動型アクチュエータの周波数応答特性は共振周波数Fr近傍では、概ね振動体のQ値に依存して折点周波数が変化する。
また、共振周波数Frから離れた周波数領域では、共振周波数Frと振動体2を加振する交流電圧の中心周波数との差に依存して折点周波数が変化する。
従って、実線は共振周波数Frより200Hz高い周波数を中心として交流電圧の周波数を変化させた場合の特性なので、ほぼ200Hzを折点周波数としてゲイン特性が減衰する特性となっている。
一点鎖線の特性は共振周波数Frより400Hz高い周波数を中心として交流電圧の周波数を変化させた場合の特性なので、ほぼ400Hzを折点周波数としてゲイン特性が減衰する特性となっている。
また、位相特性を見ると各折点周波数でほぼ−90°となっており、周波数が高くなると−180°近傍に収束していることがわかる。
破線の特性は交流電圧の周波数が共振周波数Fr近傍での特性である。交流電圧の周波数と共振周波数Frの周波数差が0に近いが折点周波数は60Hzとなっている。
この折点周波数は振動体2の振動性能を表すQ値に依存して決まる周波数で、交流電圧の周波数と共振周波数Frの周波数差が小さくなると折点周波数は下限周波数(本例では60Hz)に収束する。
【0016】
つぎに、低周波域でのゲインの大きさについて説明する。
図4に示したように交流電圧の周波数変化に対する振動体2の振動振幅変化は、交流電圧の周波数が共振周波数Frに近付くと振動体2の振動振幅の変化率が増加している。
従って交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Frに近いほどゲインが大きくなる。
図5(a)の10Hz以下の周波数領域でも交流電圧の周波数が共振周波数Frに近付くほどゲインが大きくなり、図4と同様の特性となっている。
また、図5(a)は交流電圧の周波数の変化に対する振動体2の振動振幅変化の特性を示したボード線図であったが、交流電圧の振幅や位相の変化に対する振動体2の振動振幅変化の特性についても同様の特性を示す。
共振周波数Frと交流電圧の周波数との差と上記折点周波数の関係は、周波数、振幅、位相のどの操作量についても周波数差が大きい領域では周波数差は折点周波数に近い値となり、周波数差が0に近い場合にはこのずれが大きくなっている。
図5(b)は交流電圧の振幅の変化に対する振動体の振幅変化の特性を示したボード線図である。
図5(a)に対して位相の変化が全体に少ない事と位相の変化のピーク値が交流電圧の周波数によって変化している点が異なっている。
実線、破線、一点鎖線の特性の違いは図5(a)と同じなので説明を省略する。また交流電圧の周波数の違いによるゲインの差が図5(a)と比較して大きいこと等がわかる。
【0017】
この様なボード線図の位相特性に現れる折点周波数と交流電圧の周波数との関係は図2(a)に示した振動型アクチュエータのみの性質ではない。
図2(a)には弾性体2−a、2−bと圧電素子1によって振動体2を構成したが、圧電素子のみ又は他の加振手段で振動体2を構成しても良い。
また、図2(a)は棒状の振動体であったが、円環状、円板状、矩形板状等の他、様々な形状の弾性体と圧電素子を組み合わせた振動型アクチュエータがある。これらの振動型アクチュエータの多くは弾性体と圧電素子からなる振動体の共振特性を利用しており、振動体の固有振動モードに依存する振動形状で振動体に振動波を形成することで振動体に接する被移動体を相対移動する。
共振現象を利用して共振周波数近傍の周波数で振動体を振動させるこの様なタイプの振動型アクチュエータであれば図5(a)、図5(b)で示すような周波数応答特性を持つ。
【0018】
図1は振動型アクチュエータの制御装置における実施例1を示すブロック図であり、不図示のロータ4の回転速度を、不図示の指令手段からの速度指令に応じて制御するシステムを構成している。
5は後述する加算手段10の出力する変動が加算された周波数指令に応じて2相の交流電圧を生成する交流電圧生成手段で、圧電素子1−a、1−bに位相差が90°の交流電圧φA、φBを印加している。
6は不図示のロータ4の回転速度を検出するロータリエンコーダ等の速度計測手段、7は不図示の指令手段からの速度指令と速度計測手段6の出力する速度信号を比較する速度比較手段である。
上記指令手段は、一つ以上の物理量と、該物理量の目標値の差に応じて周波数を指令するように構成することができる。
8は速度比較手段7の比較結果を比例積分演算して交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数を制御する制御演算手段である。
制御演算手段8は速度指令より速度信号の値が小さい場合には不図示のロータ4の回転速度を加速する為に交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数を低い周波数に変更して周波数を振動体2の共振周波数に近付けて行く。
そして、速度指令より速度信号が大きい場合には逆に高い周波数に変更するよう動作する。
【0019】
9は制御演算手段8の出力する信号が示す周波数に対して周波数範囲を制限するための周波数範囲制限手段である。
周波数範囲制限手段9は、後述する共振周波数推定手段の出力する不図示の振動体の共振周波数の推定値に応じて、交流電圧生成手段5が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する。そして、制御演算手段8の出力する信号が示す周波数に制限を与えた周波数指令を出力している。
10はこの周波数指令に後述するM系列乱数生成手段11の出力する乱数信号を加算して周波数指令に変動を付与する加算手段である。
11は公知のM系列信号を使った乱数生成手段であり、ホワイトノイズに近い擬似的な乱数信号を発生することが可能である。
この加算手段10とM系列乱数生成手段11とによって、振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段が構成される。
本実施例では、この変動付与手段によって、上記擬似乱数信号だけではなく、正弦波信号、ホワイトノイズ、等のうちのいずれかを付与する構成を採ることができる。
12は上記変動付与手段が出力する変動あるいは振動体の振動に応じて変化する物理量に対する、一つ以上の所定周波数での不図示のロータ4の周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段である。
周波数応答特性計測手段12は所定の変動周波数に対するゲイン特性と位相特性を出力している。
13は周波数応答特性計測手段12の出力する所定の変動周波数でのゲイン特性及び位相特性から不図示の振動体2の共振周波数を推定する共振周波数推定手段である。これにより交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差を出力している。
周波数範囲制限手段9はこの周波数差を基に現在の周波数指令と周波数差を加算した周波数に対し予め決められた周波数だけ高い周波数を下限周波数とし、更に所定周波数高い周波数を上限周波数としている。
【0020】
つぎに、どのように共振周波数推定手段9が振動体2の共振周波数を推定するかについて説明する。
図6は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数変化に対する不図示のロータ4の回転速度の変化の周波数応答特性を示すボード線図である。
実線は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzの場合を示している。
また、破線は10Hz、一点鎖線は400Hzの特性をそれぞれ示している。横軸の周波数はこの交流電圧の周波数に付与される変動の周波数を示しており、周波数応答特性計測手段12は変動周波数が200Hzのゲイン及び位相を計測して出力している。
G10、G200、G400はそれぞれ交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との差が10Hz、200Hz、400Hzの時における変動周波数が200Hzでのゲインを示している。同様にP10、P200、P400はそれぞれの位相を示している。
このことから、変動周波数が200Hzにおけるゲイン及び位相特性は、交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差に応じて変化していることがわかる。
【0021】
図7は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差に対する変動周波数が200Hzでのゲイン及び位相の特性を示している。
上記ゲイン及び位相と周波数差の関係を予め求めておくことで、ゲイン及び位相特性から駆動中の周波数差を逆算して求めている。
また、複数の変動周波数のゲイン及び位相から個々に求めて平均する方法、これら複数の値から最小二乗近似で求める方法も効果的である。
また、制御演算手段8で比例積分演算を行う場合、周波数範囲制限手段9で周波数指令に制限がかかると制御演算手段8の積分演算で不必要な積分がなされ正常な状態に復帰するまでの時間が長くなる問題が発生する場合がある。そこで、これを改善した例を以下に示す。
【0022】
図8は図1の制御演算手段8と周波数範囲制限手段9の直列接続構成に対策を施した構成を示すブロック図である。
制御演算手段8は速度比較手段7の出力する速度指令と速度信号の比較結果を入力して比例する値を出力する比例演算手段34と積分した値を出力する積分演算手段35及びこれらの出力結果を加算する加算手段36で構成されている。
そして、更に積分演算手段35には周波数制限された値を差し引くことで飽和を防ぐ機能が追加されている。
それは周波数範囲制限手段9の前後の信号の差を減算手段37で求め、この結果を減算手段38を用いて積分演算手段35の積分値から差し引くようにフィードバックすることで不必要な積分を防ぐ構成となっている。
このように構成することで、急な負荷変動によって周波数制限がかかっても負荷が元に戻ればすぐに制限が解除され速度制御が正常動作に戻るようになる。
また、周波数範囲制限手段は、前記周波数範囲を記憶する記憶手段を有すると共に、この記憶手段は前記周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に対応した周波数範囲情報を予め記憶可能に構成することができる。
そして、周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に応じて、該記憶手段に記憶された周波数範囲情報に基づき周波数範囲を制限するように構成することができる。
【0023】
また、推定に用いる物理量は振動体2の振動振幅に依存して変化する値であればロータ4の速度や振動体2の振動振幅に限るものではない。
例えば、振動体2の振動振幅の変化に応じて変化するものとしては、該振動体または該振動体に接続する機構の振動、該振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの一つ以上の物理量によるものであってもよい。
また、ロータ4の回転によって発生する速度、回転角、トルク等の他圧電素子に流入する電流も、同様に上記した振動体2の振動振幅の変化に応じて変化する物理量に含まれる。
従って、これらの物理量は全て基本特性として図5(a)、図5(b)に示した周波数応答特性を含んでおり、上記した実施例と同様に振動体2の共振周波数を推定するための物理量として利用可能である。
【0024】
本実施例の上記構成によれば、上記変動付与手段に与える変動に対し、付与した変動に応じて変化する上記振動体又は振動体に接続する機構の振動に起因して変化する物理量を計測する。
そして、付与した変動に対する計測した物理量までの周波数応答特性から、前記振動体の共振周波数と振動体の振動周波数の差を検知することで、オフセット的な誤差の影響を受けずに計測することができる。
それと共に、様々な物理量センサを用いて電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧の周波数の設定範囲を制限することが可能となることである。
また、常に周波数応答特性を計測することが可能であることから、動作中の温度変化等による振動体の共振周波数変化にも対応可能となる。
【0025】
[実施例2]
実施例2における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図9は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
上記実施例1では周波数指令を変動させていたのに対し、本実施例では交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅に変調を与える構成となっている。
以下、図1の説明と重複する部分を省いて構成を説明する。
図9において、加算手段10は不図示の指令手段からの振幅指令にM系列乱数生成手段11の出力する変動を加算して出力している。
この変動を付加された振幅指令に応じて交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅が設定される。
図10は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅の変動に対する速度計測手段6の出力する不図示のロータ4の回転速度の変動の周波数応答特性を示している。
図6と同様に実線は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzの場合を示している。
また、破線は10Hz、一点鎖線は400Hzの特性をそれぞれ示している。横軸の周波数はこの交流電圧の振幅に付与される変動の周波数を示しており、周波数応答特性計測手段12は変動周波数が60Hz及び100Hzのゲイン及び位相を計測して出力している。
G10、G200、G400はそれぞれ交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との差の周波数が10Hz、200Hz、400Hzの時の変動周波数が60Hzでのゲインを示している。同様にP10、P200、P400は変動周波数が100Hzでの位相を示している。
図11は交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差に対して変動周波数が60Hzでのゲイン及び100Hzでの位相の特性を示している。
実施例1では200Hzの周波数変動に対するゲイン及び位相特性を用いて共振周波数を推定したが、本実施例ではゲイン特性と位相特性は異なる変動周波数の値を用いて推定している。
それは図10より変動周波数が100Hzのゲイン変化がほとんど無いため、ゲイン特性からは共振周波数の推定が出来ないからである。
このように、図11の特性を予め求めておけばゲイン及び位相特性から振動体2の共振周波数と交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数との周波数差を検出することが出来実施例1と同様に周波数範囲を制限する事が可能となる。
【0026】
ここで、共振周波数推定手段13は例えばゲイン特性がG200、位相特性がP200の近傍であれば交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差を200Hzと推定する。
しかし、共振周波数の推定には時間がかかるので、推定値は推定にかかった一定時間内の平均値及び推定に用いたデータ量に応じた過去の平均値である。
そのため、推定された200Hzを現在の交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数に加算しても正しい共振周波数を推定出来ない場合がある。
そこで、周波数応答特性計測手段12及び共振周波数推定手段13での遅れと同等の特性を有するローパスフィルタ14で周波数指令を遅延及び平均化し、共振周波数推定手段13の出力する200Hzと加算することで推定値の精度を高めている。
【0027】
図12は周波数制限動作の様子を示す図である。
時刻T0、T1において不図示のロータの負荷がステップ的に重くなった際の交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数(実線)、ローパスフィルタ14の出力(点線)、下限周波数(一点鎖線)、不図示の振動体2の共振周波数(破線)の変化を示している。
負荷が重くなるとロータ4の回転速度が低下するので交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の周波数(実線)は共振周波数(破線)の方向に変化する。
ローパスフィルタ14の出力(点線)は交流電圧の周波数(実線)が大きく変化してもわずかな変動しかしていない。
共振周波数推定手段13の出力する推定値は共振周波数(破線)とローパスフィルタ14の出力(点線)の差に応じた値を推定値として出力している。
次に、この推定値とローパスフィルタ14の出力(点線)の値を加算手段15で加算し概ね共振周波数(破線)に近い値が周波数範囲制限手段9へ入力される。周波数範囲制限手段9ではこの共振周波数(破線)近傍の値に若干の余裕を加えて下限周波数(一点鎖線)を設定している。
なお、ここには示さないが上限周波数を下限周波数に一定周波数加算した値とするなどして設定しても良い。
【0028】
また、本実施例では交流電圧の振幅に対して変動を与えたが交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の位相差に変動を与えても良い。
交流電圧φA及びφBには通常90°の位相差を持たせて駆動するが、位相差を変化させると交流電圧の振幅と同様にロータ4の回転速度を変化させることが可能である。
また、周波数応答特性も同様に交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との周波数差によって変化するため、周波数応答特性のゲイン特性や位相特性によって振動体2の共振周波数を推定することが出来る。
また、上記実施例ではM系列乱数によって変動を付与したが、ホワイトノイズや他の疑似乱数、正弦波等を変動源としても良い。
また、どちらかと言えば、ゲイン特性より位相特性の方が安定して振動体2の共振周波数を推定することが可能であるが、位相特性、ゲイン特性のどちらか一方のみでも推定は可能である。
【0029】
[実施例3]
実施例3における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図13は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
上記の実施例では不図示のロータ4の速度の変動までの周波数応答特性を計測したが、本実施例では振動体2の振動振幅までの周波数応答特性を用いて不図示の振動体2の共振周波数を推定している。
図13において、16は公知のホワイトノイズ生成手段で上記実施例ではM系列乱数生成手段11で発生させた周波数指令の変動を本実施例ではホワイトノイズ生成手段で行っている。
また、圧電素子を用いた振動検出センサ1−cを不図示の振動体2に設け振動振幅計測手段17で振動体2の振動振幅を計測している。
加算手段10の出力する周波数指令にホワイトノイズ生成手段16の出力を重畳し変動を与えられた信号には広い周波数範囲の均質な周波数特性を有する変動が重畳されている。
交流電圧生成手段5は出力する交流電圧の1周期毎に変動の重畳された周波数指令をサンプリングし、交流電圧1周期分の周波数を決定する。
実際に交流電圧の周波数として設定されるタイミングは実際に交流電圧波形を出力したタイミングであるので、そのタイミングで周波数信号を出力している。
【0030】
つぎに、周波数応答計測手段の構成について説明する。
本実施例では、周波数応答計測手段は交流電圧生成手段5の出力する周波数信号と振動振幅計測手段17の出力する振動振幅信号との間の200Hzにおける位相特性を計測する。
原理的には200Hzの正弦波と余弦波を生成し周波数信号及び振動振幅信号夫々にこれらの波形を乗算後に平滑し、夫々の位相を逆正接演算で求め、周波数信号の位相から振動振幅信号の位相を減算することで位相特性を求めている。
【0031】
つぎに、各ブロックについて説明する。
18及び19は交流電圧発生手段5の出力する交流電圧の周波数より低く200Hzの10倍程度の同じカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。
20は200Hzの正弦波を発生するSIN波発生手段、21は200Hzの余弦波を発生するCOS波発生手段である。
22、23、24、25は乗算手段でローパスフィルタ18、19の出力する帯域制限された周波数信号と振動振幅信号に対し夫々正弦波、余弦波を乗算して出力している。
乗算手段22、23、24、25の各出力はオフセット値を有すると共に200Hzの倍の周波数で変調された波形となっている。
これを次段の1Hzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタ26、27、28、29で平滑して逆正接演算手段30、31を用いて電圧振幅信号及び振動振幅信号の位相を求め位相差検出手段32で夫々の位相の差を求めている。
【0032】
ここでは、逆正接演算手段30、31の出力を位相差検出手段32に入力しているが、再度ローパスフィルタを介してから入力しても良い。
ここで説明した2段乃至3段の直列に接続された各段のローパスフィルタは各段毎にカットオフ周波数を同じにする必要がある。
また、各段のローパスフィルタのカットオフ周波数はここに示した以外でも良いことは当然である。
また、ローパスフィルタとして公知のデシメーションフィルタであるSINCフィルタを用いても良い。
SINCフィルタを用いるとサンプリングレートを低くすることが出来、計算量を減らすことが可能となる。
33は公知のCPUであり交流電圧生成手段5の出力する交流電圧の振幅である振幅指令Voutを出力すると共にロータ速度Srを検出し不図示の指令手段からの速度指令Ssとロータ速度Srが一致するように周波数指令Fsを出力している。
また、位相差検出手段32の出力する200Hzの位相特性P0を入力して振動体2の共振周波数を推定し、共振周波数の推定値に応じて周波数指令Fsに対して設定範囲を制限している。
【0033】
図14はCPU33の動作を示すフローチャートである。
これを用いてCPU33の動作を説明する。
まず、初期設定として周波数指令Fsを起動周波数F0に、振幅指令Voutを0に設定する。
次に、不図示の指令手段からの速度指令Ssが0の場合には振幅指令Voutを0として速度指令Ssが0でなくなるまで待機する。
速度指令Ssが0でなくなると振幅指令Voutを所定の電圧であるV0に設定する。これにより、不図示のロータ4が回転を始めロータ速度Srが0より大きくなる。次に速度指令Ssとロータ速度Srを比較し速度指令Ssが速い場合には加速するために周波数指令Fsを不図示の振動体2の共振周波数に近付けるために所定周波数Fdだけ周波数指令Fsから減算して周波数変数Fs0に代入する。
逆に、速度指令Ssがロータ速度Srより遅い場合には周波数指令Fsに所定周波数Fdだけ加算して周波数変数Fs0に代入する。
【0034】
ここで、速度指令Ssが0でなくなってから所定時間が経過したかどうかを計測し所定時間以内であれば周波数制限値として初期値を用いる。
その場合下限周波数Fminを下限周波数の初期値Fmin0とし、上限周波数Fmaxを上限周波数の初期値Fmax0とする。
これは所定時間が経過しないと周波数応答特性が計算出来ないため振動体2の共振周波数の推定が出来ないからである。
所定時間が経過した場合には位相差検出手段32からの位相特性P0を入力しルックアップテーブルを用いて下限周波数Fminを求める。
次に、下限周波数Fminに予め決められた周波数範囲Fdltを加算して上限周波数Fmaxを求める。
次に、ここで求めた下限周波数Fmin及び上限周波数Fmaxを用いて周波数指令Fsを求める。
周波数変数Fs0が下限周波数Fmin又は上限周波数Fmaxを超える場合には周波数指令Fsに下限周波数Fmin又は上限周波数Fmaxを代入し、超えない場合には周波数指令Fsに周波数変数Fs0を代入する。
そして、これらを速度指令Ssが0になるまで繰り返す。
【符号の説明】
【0035】
1:圧電素子
2:振動体
3:フレキシブル基板
4:ロータ
5:交流電圧生成手段
6:速度計測手段
7:速度比較手段
8:制御演算手段
9:周波数範囲制限手段
10:加算手段
11:M系列乱数生成手段
12:周波数応答特性計測手段
13:共振周波数推定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうち、少なくとも周波数を指令する指令手段と、
前記指令手段の指令に基づき、前記振動体に加振力を印加するための交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段が出力する変動を入力とし、振動体の振動に応じて変化する物理量を出力とする、一つ以上の所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性から、前記振動体の共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記共振周波数推定手段から出力された共振周波数の推定値に応じて、前記交流電圧生成手段が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する周波数範囲制限手段と、
を有することを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項2】
前記振動体の振動に応じて変化する物理量が、
該振動体または該振動体に接続する機構の振動、該振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの一つ以上の物理量であることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項3】
前記指令手段は、前記一つ以上の物理量と、該物理量の目標とする値の差に応じて周波数を指令することを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項4】
前記変動付与手段は、正弦波信号、ホワイトノイズ、擬似乱数信号のうちのいずれかを付与する変動付与手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項5】
前記周波数範囲制限手段は、前記周波数応答特性計測手段から出力される周波数応答特性と、交流電圧生成手段から出力される交流電圧の周波数とにおける一定時間内の平均値に基づき、
前記周波数範囲を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項6】
前記周波数範囲制限手段は、前記周波数範囲を記憶する記憶手段を有すると共に、該記憶手段は前記周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に対応した周波数範囲情報を予め記憶可能に構成され、
前記周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に応じて、前記記憶手段に記憶された周波数範囲情報に基づき周波数範囲を制限することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項1】
振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうち、少なくとも周波数を指令する指令手段と、
前記指令手段の指令に基づき、前記振動体に加振力を印加するための交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段が出力する変動を入力とし、振動体の振動に応じて変化する物理量を出力とする、一つ以上の所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性から、前記振動体の共振周波数を推定する共振周波数推定手段と、
前記共振周波数推定手段から出力された共振周波数の推定値に応じて、前記交流電圧生成手段が出力する交流電圧の周波数範囲を決定する周波数範囲制限手段と、
を有することを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項2】
前記振動体の振動に応じて変化する物理量が、
該振動体または該振動体に接続する機構の振動、該振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの一つ以上の物理量であることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項3】
前記指令手段は、前記一つ以上の物理量と、該物理量の目標とする値の差に応じて周波数を指令することを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項4】
前記変動付与手段は、正弦波信号、ホワイトノイズ、擬似乱数信号のうちのいずれかを付与する変動付与手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項5】
前記周波数範囲制限手段は、前記周波数応答特性計測手段から出力される周波数応答特性と、交流電圧生成手段から出力される交流電圧の周波数とにおける一定時間内の平均値に基づき、
前記周波数範囲を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項6】
前記周波数範囲制限手段は、前記周波数範囲を記憶する記憶手段を有すると共に、該記憶手段は前記周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に対応した周波数範囲情報を予め記憶可能に構成され、
前記周波数応答特性計測手段の出力する位相特性に応じて、前記記憶手段に記憶された周波数範囲情報に基づき周波数範囲を制限することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−135174(P2012−135174A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287441(P2010−287441)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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