振動式マッサージ器、振動式マッサージ装置
【課題】変化に富む振動及び体に柔軟にフィットさせる構造と機能を備えた振動式マッサージ器を提供する。
【解決手段】振動ユニット4を一対、各振動ユニット4は、分銅7の偏芯位置に開けた軸穴にモータ6の軸を接合したものを、一部を揉み玉5として突起させた剛性のあるケース1と共に一体化し、ケース1に振動の減衰の少ないスプリング3を取り付けて振動ユニット4を引張している。このスプリング3は伸張した状態で端部をフレーム1に懸架する。揉み玉5を外部から押すと、押圧に応じてスプリング3が伸縮し変位し、被施療者Mの体形や体位にフィットする。一対の振動ユニット4、4が、互いの振動によって共鳴振動する状態となる。施療の際は、その振幅が施療者Mとの接触で絶えず変化し、被施療者Mは、それぞれの振動ユニット4の振動と共振からの振動を感じながら施療を受け得る。
【解決手段】振動ユニット4を一対、各振動ユニット4は、分銅7の偏芯位置に開けた軸穴にモータ6の軸を接合したものを、一部を揉み玉5として突起させた剛性のあるケース1と共に一体化し、ケース1に振動の減衰の少ないスプリング3を取り付けて振動ユニット4を引張している。このスプリング3は伸張した状態で端部をフレーム1に懸架する。揉み玉5を外部から押すと、押圧に応じてスプリング3が伸縮し変位し、被施療者Mの体形や体位にフィットする。一対の振動ユニット4、4が、互いの振動によって共鳴振動する状態となる。施療の際は、その振幅が施療者Mとの接触で絶えず変化し、被施療者Mは、それぞれの振動ユニット4の振動と共振からの振動を感じながら施療を受け得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を利用して被施療者の施療部位について血行、コリ、疲労感を改善する振動マッサージ器と、これを用いた振動式マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような振動マッサージ器や振動式マッサージ装置では、複数のモータを組み込み、その振動を利用するものや、複数の振動を干渉させて共鳴振動を利用するものが知られている。また、構造的にはスプリングで振動体を懸架するものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、回転数の異なる二個又は複数個の電動機に連結体を介して結合する振動源により合成してビート振動を発生させる発明が開示されている。また特許文献2には、シート体の少なくとも一面に振動装置を具備し、シート体の周縁部には、シート体を張設可能な弾性部材を設け、弾性部材の端部は、被取付部に連結可能に構成されており、既存の家具に取付けて使用でき、且つその座面などの振動伝達面に十分な振動を与えることができる健康増進具が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭55−032526号公報
【特許文献2】特開2002−065794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本願発明者の知るところでは、従来の装置では、共鳴振動を利用するものであっても周期性のある一定的な振動のものであり、使用者が飽きやすいという問題があった。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点にかんがみ、マッサージ器に求められる心地よく飽きのこない変化に富む振動と、使用者の身体の形にフィットするという機能を備えた振動マッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の振動マッサージ器のうち請求項1に係るものは、分銅付きモータとコイルスプリングと揉み玉とからなる振動ユニットと、該振動ユニットを複数個実装するフレームと、前記振動ユニットの動作の制御部とからなり、前記コイルスプリングの一端を前記フレームと前記振動ユニットとの間に懸架し、前記各振動ユニットの振動と、各振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動とを生じさせることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係るものは、請求項1の振動マッサージ器において、前記コイルスプリングを、隣接する他の振動ユニットに各々の振動を伝えるとともに、前記各振動ユニットが生じさせる振動エネルギーの損失を最小にとどめ、前記揉み玉を被施療者の体形の違いに対応させるために用いてなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係るものは、請求項1または2の振動マッサージ器において、前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動が、前記モータの出力や前記分銅や前記フレーム等の構造部材の僅かな性状の違いから生じる前記各振動ユニット個々の振動数の違いから生じる一定の共鳴と、前記各振動ユニットの使用によって前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴って振幅が変化してモータ回転数が変化することによる変動的な共鳴とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係るものは、請求項3の振動マッサージ器において、前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動を、前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴う振幅変化に加え、1個または複数個のモータの回転数を連続的に変化させる制御により生じる振動を重ね合わせて得ることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかの振動マッサージ器において、被施療者が接触したことを検知して前記振動ユニットを起動させ、被施療者が非接触となったことを検知して前記振動ユニットを停止させるスイッチ手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵してなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係るものは、請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵しておらず、外部から電源供給可能としてなることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る振動マッサージ装置は、請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器をベルトにより椅子に装着してなることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係るものは、請求項8の振動マッサージ装置において、請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器を椅子に装着した状態で椅子への装着部分とともに覆うカバーを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飽きのこない心地のよい変化に富む振動を発生させることができ、使用者の身体の形によくフィットし得る振動マッサージ器、振動マッサージ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明に係る振動式マッサージ器の基本的な構造を示す概念図、図2は、図1の矢印X方向から見た断面図、図3は、図1の要部平面図である。図中1はフレーム、2はスプリング受け部、3はスプリング、4は振動ユニット、5は揉み玉、6はモータ、7は分銅、9はモータ配線である。また10はコントロールボックス、11は使用スイッチである。
【0019】
図示の例は、振動ユニット4を一対備えており、各振動ユニット4の構造は、分銅7の偏芯位置に開けた軸穴にモータ6の軸を接合したものを、一部を揉み玉5として突起させた剛性のあるケース1と共にゆるみ無く一体化し、ケース1の4方には振動の減衰の少ないスプリング3を取り付けて振動ユニット4を引張しているものである。なお、スプリング3に代えてゴムや一般樹脂を用いてもよいが、減衰が大きいので、スプリング3のほうが好ましい。
【0020】
振動ユニット4のスプリング3は伸張した状態で端部をフレーム1に懸架する。スプリング3の端部の懸架部位は、隣接する他の振動ユニット4のスプリング3の端部と共有するか、十分に振動が伝わり合う位置関係とする。このようにスプリング3で懸架された振動ユニット4は、揉み玉5を外部から押されたとき、その押し圧に応じてスプリング3が伸縮し変位する。すると、使用者である被施療者の体形や体位に柔軟にフィットする。また、減衰の少ないスプリング(上述のようにゴムや樹脂材は振動減衰率が大きいので、材質としては鋼材が好ましい。)を使うことから、モータ6で発生する振動エネルギーを効率よく被施療者に伝えることができると共に、一対の振動ユニット4、4が、互いの振動によって共鳴振動する状態を得られる(図3(B)参照)。
【0021】
なお、図4に示すように、図1に示す振動式マッサージ器を発泡ウレタン等のカバーで覆うことが実際の使用には好ましい。
【0022】
図5は、本実施例に係る振動式マッサージ器を用いた基本的な施療形態を示す概念図である。すなわち、施療の際は実装している複数の揉み玉5が施療者Mの体形、具体的かつ一般的には施療者Mの背中の形状に沿って接触するが、このとき、各揉み玉5が施療者Mの体から均一な押し圧を受けることは稀であると考えられ、むしろ不均一でしかも施療者Mの体の移動などから時間的に変化を伴う押し圧を受けると考えられている。
【0023】
このことは、それぞれの振動ユニット4が持つ固有振動に対し、その振幅が施療者Mの体との接触という外部からの要因で絶えず変化していることを意味する。ここで、角運動量(コマやタイヤなどの回転しているときの勢いは、もちろん質量mや速度vも関係するが、回転の半径rも影響する。そこで回転の勢いを表す量としてL=mxvxrを考え、これを角運動量と言う。図6(A)参照。)を考えると、その定義から振幅が変ると、回転数も変化することが理解できる。したがって、外部要因で振動ユニット4の振動の振幅が変化し、この変化によって振動数も変化し、よって共振周波数も変化することになる。施療者Mがわずかに姿勢を変えた程度であってもこの共振周波数は変化する。したがって、被施療者Mはこの変化に対応した振動を感じながら施療を受けることになる。したがって、本発明で使用するモータは、回転を一定に保つための制御機能を有しないものであることが当然好ましい。
【0024】
なお図6を簡単に説明すると、図6(A)について説明したように、角運動量は質量、速度、半径のそれぞれに比例し、角運動量は回転方向に力が働かないかぎり変化しない。すなわち、質量、速度、半径がそれぞれm1、v1、r1からm2、v2、r2になったとすると、m1xv1xr1=m2xv2xr2となる。例えば、アイススケートでスピンしているとき、腕を広げた回転状態から腕を縮めると回転が速くなるのは角運動量が保存するためである(図6(B)、(C)参照)。
【0025】
被施療者Mは、それぞれの振動ユニット4の振動と共振からの振動を感じながら施療を受け得るが、電気的制御によって、意図的に1個あるいは複数のモータ6の回転数を変化させることによって、被施療者Mが姿勢を変化させずにいても、共振周波数の変化を伴う多様な振動によって施療を受けることができるようにすることも可能である。
【0026】
なお本実施例では、使用スイッチ11に被施療者Mの体が接触したことを検知してコントロールボックス10が装置の作動をオンとするようになっており、使用に際し被施療者Mが背中でこの使用スイッチ11が押下されることでマッサージ機能が起動し、体が装置から離れるとスイッチがオフとなり停止する。
【0027】
図7(A)は、モータ1(例えば一方の振動ユニット4のモータ)によって発生する振動1と、モータ2(例えば他方の振動ユニット4のモータ)によって発生する振動2、およびその合成波としての振動1+2を示す。また図7(B)は、モータ1によって発生する振動1と、外部要因(例えば人体の接触圧)を受けて変化した振動2’、およびその合成波としての振動1+2’を示す。図8(A)〜(G)は、図7(B)と同様の他の種々の振動1+2’を、振動1、2とともに示す図である。
【0028】
図9はコントロールボックスの構成を示す斜視図、図10は、同電気回路ブロック図であり、図中12aは強弱スイッチ(強)、12bは強弱スイッチ(弱)、13はワイヤレスリモコン受信部、14はモニターランプ、15は充電ジャック、16はUSB端子、17はモータ配線コネクタ、18は電池である。また20はマイクロコンピュータ、21は電源制御部、22、23はモータドライバ1、2である。
【0029】
これら各構成要素については種々公知の要素、材料、手段を採用すればよいので、説明は省略するが、マイコンの機能は以下のようなものである。すなわち、
(1)被施療者Mが長時間使用することによる弊害を防ぐため一定時間以上の使用を防止するタイマー管理機能を有する。
(2)それぞれのモータ7は、通常は多少回転数が違って回転しているが、一方のモータ7あるいは両方のモータ7、7(振動ユニットを3個以上備えるものであれば複数のモータ7・・・)の回転を意図的に上下させ、被施療者Mに与える振動に、すなわち被施療者Mが感じるマッサージ効果に変化を与える。
(3)充電式の電池18を電源とする場合、この充電・放電を電源制御部21を介して監視管理する。
(4)使用スイッチ11が押下されると、モータ7を起動させる。
【0030】
また電源制御部21の機能としては、以下のようなものである。すなわち、
(1)マイクロコンピュータ21への電圧安定供給を行う。
(2)マイクロコンピュータ21と連携して電池18の充電時間と充電/放電の電圧制御を行う。
【0031】
図11は、上述してきた実施例に係る振動式マッサージ器100を椅子30にベルト31で装着した例を示す斜視図である。なお図示は省略するが、椅子30の背もたれ部分を覆うカバーで振動式マッサージ器100全体を或いは機械部分を覆うようにすることも可能で、その場合、カバーの色を種々変えて趣向を凝らしたり、コマーシャルとなる文字や図形等を描いたりすることができ、例えば遊戯パーラー用の椅子に用いるのに好ましいものとすることができる。もちろん座面に本振動式マッサージ器100を設置することも可能なので、その場合にはカバーや座布団状の敷物などで覆うようにしても良い。
【実施例2】
【0032】
図12は、上述してきた実施例1に係る電源内蔵式の振動式マッサージ器100を逆T字状になるベルト32で椅子30に装着した例を示す図である。ベルト32は背面側のバックル33により長さを調節可能で、被施療者Mが揉み玉5の当たる位置を調節できる。なお図中34は、振動式マッサージ器100の側面に取り付けたコントローラである。このコントローラ34には公知、周知の形態のものを種々採用でき、また一体形、取り付け、取り外し可能な別体形でもいずれでもよい。
【実施例3】
【0033】
図13は、電源ボックス110を別体とした以外は上述してきた実施例1に係る振動式マッサージ器100と同様の振動式マッサージ器120を椅子30へベルト32で装着した例を示す図である。なお本実施例では、正面(図13(A))から見て右側となるベルト部分に配線保護用のジャバラ35を取り付けて振動式マッサージ器120と電源ボックス110を接続している。その他の、構成、変形例などは先の実施例と同様であるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る振動式マッサージ器の基本的な構造を示す概念図
【図2】図1の矢印X方向から見た断面図
【図3】図1の要部平面図
【図4】図1に示す振動式マッサージ器を発泡ウレタン等のカバーで覆った例を示す斜視図
【図5】本実施例に係る振動式マッサージ器を用いた基本的な施療形態を示す概念図
【図6】角運動量について示す図
【図7】モータによって発生する振動と、外部要因を受けて変化した振動、およびその合成波としての振動を示す図
【図8】図7(B)と同様の他の種々の振動を示す図
【図9】コントロールボックスの構成を示す斜視図
【図10】同電気回路ブロック図
【図11】椅子への装着例を示す図
【図12】実施例1に係る電源内蔵式の振動式マッサージ器を逆T字状のベルトで椅子に装着した例を示す図
【図13】電源ボックスを別体とした振動式マッサージ器を椅子へベルトで装着した例を示す図
【符号の説明】
【0035】
1:フレーム
2:スプリング受け部
3:スプリング
4:振動ユニット
5:揉み玉
6:モータ
7:分銅
8:発泡ウレタン製カバー
9:モータ配線
10:コントロールボックス
11:使用スイッチ
12a:強弱スイッチ(強)
12b:強弱スイッチ(弱)
13:ワイヤレスリモコン受信部
14:モニターランプ
15:充電ジャック
16:USB端子
17:モータ配線コネクタ
18:電池
20:マイクロコンピュータ
21:電源制御部
22、23:モータドライバ
30:椅子
31、32:ベルト
33:バックル
34:コントローラ
35:配線保護用のジャバラ
100、120:振動式マッサージ器
110:電源ボックス
M:施療者
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を利用して被施療者の施療部位について血行、コリ、疲労感を改善する振動マッサージ器と、これを用いた振動式マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような振動マッサージ器や振動式マッサージ装置では、複数のモータを組み込み、その振動を利用するものや、複数の振動を干渉させて共鳴振動を利用するものが知られている。また、構造的にはスプリングで振動体を懸架するものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、回転数の異なる二個又は複数個の電動機に連結体を介して結合する振動源により合成してビート振動を発生させる発明が開示されている。また特許文献2には、シート体の少なくとも一面に振動装置を具備し、シート体の周縁部には、シート体を張設可能な弾性部材を設け、弾性部材の端部は、被取付部に連結可能に構成されており、既存の家具に取付けて使用でき、且つその座面などの振動伝達面に十分な振動を与えることができる健康増進具が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭55−032526号公報
【特許文献2】特開2002−065794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本願発明者の知るところでは、従来の装置では、共鳴振動を利用するものであっても周期性のある一定的な振動のものであり、使用者が飽きやすいという問題があった。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点にかんがみ、マッサージ器に求められる心地よく飽きのこない変化に富む振動と、使用者の身体の形にフィットするという機能を備えた振動マッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の振動マッサージ器のうち請求項1に係るものは、分銅付きモータとコイルスプリングと揉み玉とからなる振動ユニットと、該振動ユニットを複数個実装するフレームと、前記振動ユニットの動作の制御部とからなり、前記コイルスプリングの一端を前記フレームと前記振動ユニットとの間に懸架し、前記各振動ユニットの振動と、各振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動とを生じさせることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係るものは、請求項1の振動マッサージ器において、前記コイルスプリングを、隣接する他の振動ユニットに各々の振動を伝えるとともに、前記各振動ユニットが生じさせる振動エネルギーの損失を最小にとどめ、前記揉み玉を被施療者の体形の違いに対応させるために用いてなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係るものは、請求項1または2の振動マッサージ器において、前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動が、前記モータの出力や前記分銅や前記フレーム等の構造部材の僅かな性状の違いから生じる前記各振動ユニット個々の振動数の違いから生じる一定の共鳴と、前記各振動ユニットの使用によって前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴って振幅が変化してモータ回転数が変化することによる変動的な共鳴とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係るものは、請求項3の振動マッサージ器において、前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動を、前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴う振幅変化に加え、1個または複数個のモータの回転数を連続的に変化させる制御により生じる振動を重ね合わせて得ることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかの振動マッサージ器において、被施療者が接触したことを検知して前記振動ユニットを起動させ、被施療者が非接触となったことを検知して前記振動ユニットを停止させるスイッチ手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵してなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係るものは、請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵しておらず、外部から電源供給可能としてなることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る振動マッサージ装置は、請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器をベルトにより椅子に装着してなることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係るものは、請求項8の振動マッサージ装置において、請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器を椅子に装着した状態で椅子への装着部分とともに覆うカバーを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飽きのこない心地のよい変化に富む振動を発生させることができ、使用者の身体の形によくフィットし得る振動マッサージ器、振動マッサージ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明に係る振動式マッサージ器の基本的な構造を示す概念図、図2は、図1の矢印X方向から見た断面図、図3は、図1の要部平面図である。図中1はフレーム、2はスプリング受け部、3はスプリング、4は振動ユニット、5は揉み玉、6はモータ、7は分銅、9はモータ配線である。また10はコントロールボックス、11は使用スイッチである。
【0019】
図示の例は、振動ユニット4を一対備えており、各振動ユニット4の構造は、分銅7の偏芯位置に開けた軸穴にモータ6の軸を接合したものを、一部を揉み玉5として突起させた剛性のあるケース1と共にゆるみ無く一体化し、ケース1の4方には振動の減衰の少ないスプリング3を取り付けて振動ユニット4を引張しているものである。なお、スプリング3に代えてゴムや一般樹脂を用いてもよいが、減衰が大きいので、スプリング3のほうが好ましい。
【0020】
振動ユニット4のスプリング3は伸張した状態で端部をフレーム1に懸架する。スプリング3の端部の懸架部位は、隣接する他の振動ユニット4のスプリング3の端部と共有するか、十分に振動が伝わり合う位置関係とする。このようにスプリング3で懸架された振動ユニット4は、揉み玉5を外部から押されたとき、その押し圧に応じてスプリング3が伸縮し変位する。すると、使用者である被施療者の体形や体位に柔軟にフィットする。また、減衰の少ないスプリング(上述のようにゴムや樹脂材は振動減衰率が大きいので、材質としては鋼材が好ましい。)を使うことから、モータ6で発生する振動エネルギーを効率よく被施療者に伝えることができると共に、一対の振動ユニット4、4が、互いの振動によって共鳴振動する状態を得られる(図3(B)参照)。
【0021】
なお、図4に示すように、図1に示す振動式マッサージ器を発泡ウレタン等のカバーで覆うことが実際の使用には好ましい。
【0022】
図5は、本実施例に係る振動式マッサージ器を用いた基本的な施療形態を示す概念図である。すなわち、施療の際は実装している複数の揉み玉5が施療者Mの体形、具体的かつ一般的には施療者Mの背中の形状に沿って接触するが、このとき、各揉み玉5が施療者Mの体から均一な押し圧を受けることは稀であると考えられ、むしろ不均一でしかも施療者Mの体の移動などから時間的に変化を伴う押し圧を受けると考えられている。
【0023】
このことは、それぞれの振動ユニット4が持つ固有振動に対し、その振幅が施療者Mの体との接触という外部からの要因で絶えず変化していることを意味する。ここで、角運動量(コマやタイヤなどの回転しているときの勢いは、もちろん質量mや速度vも関係するが、回転の半径rも影響する。そこで回転の勢いを表す量としてL=mxvxrを考え、これを角運動量と言う。図6(A)参照。)を考えると、その定義から振幅が変ると、回転数も変化することが理解できる。したがって、外部要因で振動ユニット4の振動の振幅が変化し、この変化によって振動数も変化し、よって共振周波数も変化することになる。施療者Mがわずかに姿勢を変えた程度であってもこの共振周波数は変化する。したがって、被施療者Mはこの変化に対応した振動を感じながら施療を受けることになる。したがって、本発明で使用するモータは、回転を一定に保つための制御機能を有しないものであることが当然好ましい。
【0024】
なお図6を簡単に説明すると、図6(A)について説明したように、角運動量は質量、速度、半径のそれぞれに比例し、角運動量は回転方向に力が働かないかぎり変化しない。すなわち、質量、速度、半径がそれぞれm1、v1、r1からm2、v2、r2になったとすると、m1xv1xr1=m2xv2xr2となる。例えば、アイススケートでスピンしているとき、腕を広げた回転状態から腕を縮めると回転が速くなるのは角運動量が保存するためである(図6(B)、(C)参照)。
【0025】
被施療者Mは、それぞれの振動ユニット4の振動と共振からの振動を感じながら施療を受け得るが、電気的制御によって、意図的に1個あるいは複数のモータ6の回転数を変化させることによって、被施療者Mが姿勢を変化させずにいても、共振周波数の変化を伴う多様な振動によって施療を受けることができるようにすることも可能である。
【0026】
なお本実施例では、使用スイッチ11に被施療者Mの体が接触したことを検知してコントロールボックス10が装置の作動をオンとするようになっており、使用に際し被施療者Mが背中でこの使用スイッチ11が押下されることでマッサージ機能が起動し、体が装置から離れるとスイッチがオフとなり停止する。
【0027】
図7(A)は、モータ1(例えば一方の振動ユニット4のモータ)によって発生する振動1と、モータ2(例えば他方の振動ユニット4のモータ)によって発生する振動2、およびその合成波としての振動1+2を示す。また図7(B)は、モータ1によって発生する振動1と、外部要因(例えば人体の接触圧)を受けて変化した振動2’、およびその合成波としての振動1+2’を示す。図8(A)〜(G)は、図7(B)と同様の他の種々の振動1+2’を、振動1、2とともに示す図である。
【0028】
図9はコントロールボックスの構成を示す斜視図、図10は、同電気回路ブロック図であり、図中12aは強弱スイッチ(強)、12bは強弱スイッチ(弱)、13はワイヤレスリモコン受信部、14はモニターランプ、15は充電ジャック、16はUSB端子、17はモータ配線コネクタ、18は電池である。また20はマイクロコンピュータ、21は電源制御部、22、23はモータドライバ1、2である。
【0029】
これら各構成要素については種々公知の要素、材料、手段を採用すればよいので、説明は省略するが、マイコンの機能は以下のようなものである。すなわち、
(1)被施療者Mが長時間使用することによる弊害を防ぐため一定時間以上の使用を防止するタイマー管理機能を有する。
(2)それぞれのモータ7は、通常は多少回転数が違って回転しているが、一方のモータ7あるいは両方のモータ7、7(振動ユニットを3個以上備えるものであれば複数のモータ7・・・)の回転を意図的に上下させ、被施療者Mに与える振動に、すなわち被施療者Mが感じるマッサージ効果に変化を与える。
(3)充電式の電池18を電源とする場合、この充電・放電を電源制御部21を介して監視管理する。
(4)使用スイッチ11が押下されると、モータ7を起動させる。
【0030】
また電源制御部21の機能としては、以下のようなものである。すなわち、
(1)マイクロコンピュータ21への電圧安定供給を行う。
(2)マイクロコンピュータ21と連携して電池18の充電時間と充電/放電の電圧制御を行う。
【0031】
図11は、上述してきた実施例に係る振動式マッサージ器100を椅子30にベルト31で装着した例を示す斜視図である。なお図示は省略するが、椅子30の背もたれ部分を覆うカバーで振動式マッサージ器100全体を或いは機械部分を覆うようにすることも可能で、その場合、カバーの色を種々変えて趣向を凝らしたり、コマーシャルとなる文字や図形等を描いたりすることができ、例えば遊戯パーラー用の椅子に用いるのに好ましいものとすることができる。もちろん座面に本振動式マッサージ器100を設置することも可能なので、その場合にはカバーや座布団状の敷物などで覆うようにしても良い。
【実施例2】
【0032】
図12は、上述してきた実施例1に係る電源内蔵式の振動式マッサージ器100を逆T字状になるベルト32で椅子30に装着した例を示す図である。ベルト32は背面側のバックル33により長さを調節可能で、被施療者Mが揉み玉5の当たる位置を調節できる。なお図中34は、振動式マッサージ器100の側面に取り付けたコントローラである。このコントローラ34には公知、周知の形態のものを種々採用でき、また一体形、取り付け、取り外し可能な別体形でもいずれでもよい。
【実施例3】
【0033】
図13は、電源ボックス110を別体とした以外は上述してきた実施例1に係る振動式マッサージ器100と同様の振動式マッサージ器120を椅子30へベルト32で装着した例を示す図である。なお本実施例では、正面(図13(A))から見て右側となるベルト部分に配線保護用のジャバラ35を取り付けて振動式マッサージ器120と電源ボックス110を接続している。その他の、構成、変形例などは先の実施例と同様であるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る振動式マッサージ器の基本的な構造を示す概念図
【図2】図1の矢印X方向から見た断面図
【図3】図1の要部平面図
【図4】図1に示す振動式マッサージ器を発泡ウレタン等のカバーで覆った例を示す斜視図
【図5】本実施例に係る振動式マッサージ器を用いた基本的な施療形態を示す概念図
【図6】角運動量について示す図
【図7】モータによって発生する振動と、外部要因を受けて変化した振動、およびその合成波としての振動を示す図
【図8】図7(B)と同様の他の種々の振動を示す図
【図9】コントロールボックスの構成を示す斜視図
【図10】同電気回路ブロック図
【図11】椅子への装着例を示す図
【図12】実施例1に係る電源内蔵式の振動式マッサージ器を逆T字状のベルトで椅子に装着した例を示す図
【図13】電源ボックスを別体とした振動式マッサージ器を椅子へベルトで装着した例を示す図
【符号の説明】
【0035】
1:フレーム
2:スプリング受け部
3:スプリング
4:振動ユニット
5:揉み玉
6:モータ
7:分銅
8:発泡ウレタン製カバー
9:モータ配線
10:コントロールボックス
11:使用スイッチ
12a:強弱スイッチ(強)
12b:強弱スイッチ(弱)
13:ワイヤレスリモコン受信部
14:モニターランプ
15:充電ジャック
16:USB端子
17:モータ配線コネクタ
18:電池
20:マイクロコンピュータ
21:電源制御部
22、23:モータドライバ
30:椅子
31、32:ベルト
33:バックル
34:コントローラ
35:配線保護用のジャバラ
100、120:振動式マッサージ器
110:電源ボックス
M:施療者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分銅付きモータとコイルスプリングと揉み玉とからなる振動ユニットと、該振動ユニットを複数個実装するフレームと、前記振動ユニットの動作の制御部とからなり、
前記コイルスプリングの一端を前記フレームと前記振動ユニットとの間に懸架し、
前記各振動ユニットの振動と、各振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動とを生じさせることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項2】
請求項1の振動マッサージ器において、
前記コイルスプリングを、隣接する他の振動ユニットに各々の振動を伝えるとともに、前記各振動ユニットが生じさせる振動エネルギーの損失を最小にとどめ、前記揉み玉を被施療者の体形の違いに対応させるために用いてなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項3】
請求項1または2の振動マッサージ器において、
前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動が、前記モータの出力や前記分銅や前記フレーム等の構造部材の僅かな性状の違いから生じる前記各振動ユニット個々の振動数の違いから生じる一定の共鳴と、前記各振動ユニットの使用によって前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴って振幅が変化してモータ回転数が変化することによる変動的な共鳴とからなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項4】
請求項3の振動マッサージ器において、
前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動を、前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴う振幅変化に加え、1個または複数個のモータの回転数を連続的に変化させる制御により生じる振動を重ね合わせて得ることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの振動マッサージ器において、
被施療者が接触したことを検知して前記振動ユニットを起動させ、被施療者が非接触となったことを検知して前記振動ユニットを停止させるスイッチ手段を備えることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、
前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵してなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、
前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵しておらず、外部から電源供給可能としてなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器をベルトにより椅子に装着してなることを特徴とする振動マッサージ装置。
【請求項9】
請求項8の振動マッサージ装置において、
請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器を椅子に装着した状態で椅子への装着部分とともに覆うカバーを含むことを特徴とする振動マッサージ装置。
【請求項1】
分銅付きモータとコイルスプリングと揉み玉とからなる振動ユニットと、該振動ユニットを複数個実装するフレームと、前記振動ユニットの動作の制御部とからなり、
前記コイルスプリングの一端を前記フレームと前記振動ユニットとの間に懸架し、
前記各振動ユニットの振動と、各振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動とを生じさせることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項2】
請求項1の振動マッサージ器において、
前記コイルスプリングを、隣接する他の振動ユニットに各々の振動を伝えるとともに、前記各振動ユニットが生じさせる振動エネルギーの損失を最小にとどめ、前記揉み玉を被施療者の体形の違いに対応させるために用いてなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項3】
請求項1または2の振動マッサージ器において、
前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動が、前記モータの出力や前記分銅や前記フレーム等の構造部材の僅かな性状の違いから生じる前記各振動ユニット個々の振動数の違いから生じる一定の共鳴と、前記各振動ユニットの使用によって前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴って振幅が変化してモータ回転数が変化することによる変動的な共鳴とからなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項4】
請求項3の振動マッサージ器において、
前記振動ユニットの振動の合成によって生じる共鳴振動を、前記揉み玉の使用者との接触状態の変化に伴う振幅変化に加え、1個または複数個のモータの回転数を連続的に変化させる制御により生じる振動を重ね合わせて得ることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの振動マッサージ器において、
被施療者が接触したことを検知して前記振動ユニットを起動させ、被施療者が非接触となったことを検知して前記振動ユニットを停止させるスイッチ手段を備えることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、
前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵してなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかの振動マッサージ器において、
前記振動ユニットが前記モータ駆動用の電源を内蔵しておらず、外部から電源供給可能としてなることを特徴とする振動マッサージ器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器をベルトにより椅子に装着してなることを特徴とする振動マッサージ装置。
【請求項9】
請求項8の振動マッサージ装置において、
請求項1から7のいずれかの振動マッサージ器を椅子に装着した状態で椅子への装着部分とともに覆うカバーを含むことを特徴とする振動マッサージ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−46367(P2010−46367A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214718(P2008−214718)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(508255920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(508255920)
【Fターム(参考)】
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