説明

振動溶着パレット

【課題】 材料の使用量をできるだけ減らし、軽量化を図りながら、外周壁半部同士の溶着が安定し、外周壁半部同士の接合強度が強く、外観のよい振動溶着パレットを提供する。
【解決手段】 振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の肉厚が、外周壁半部8の振動溶着の振動方向ロと交差する方向の辺の肉厚より薄く形成してある。振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の側面に上下長さが該仕切り壁半部9の上下長さとほぼ等しい補助リブ12が一体に突設してある。外周壁半部8の先端部同士が振動溶着により一体化されて筒状桁部6の外周壁10が形成してある。振動溶着の振動方向ロと交差する方向の仕切り壁半部9の先端部同士が振動溶着により一体化されて両仕切り壁半部9により外周壁内を仕切る仕切り壁11が構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上半体とパレット下半体とを振動溶着により一体化して形成した振動溶着パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上デッキ部の下面から筒状桁半部を一体に突設した合成樹脂製のパレット上半体と、下デッキ部の上面から筒状桁半部を一体に突設した合成樹脂製のパレット下半体とをそれぞれ熱溶着装置の上下に対向する一対の支持具に支持し、パレット上半体とパレット下半体とを離して、両者の間に熱板を入れ、その後、パレット上半体、パレット下半体の筒状桁半部の先端部を熱板に当接して筒状桁半部の先端部を加熱溶融させ、その後、両支持具を離れる方向に移動してパレット上半体、パレット下半体を熱板から離し、次に熱板を抜いて、その後、両支持具を近づく方向に移動して加熱溶融した筒状桁半部の先端部同士を熱溶着して一体化し、これにより上デッキ部と下デッキ部とを一体に連設する桁部を形成するパレットが、特許文献1等により知られている。
【0003】
ところが、上記の従来例にあっては、筒状桁半部の先端を熱板により溶融加熱する工程に時間がかかるという問題があり、生産性が悪く、また、溶着の安定性がないという問題がある。
【0004】
一方、デッキ部に別体の桁部を固着するに当って、振動溶着により固着することが特許文献2により知られている。
【0005】
そこで、本発明者は、本発明に至る過程で、特許文献2で示された振動溶着による固着の技術を特許文献1に示されたようなパレット上半体の筒状桁半部の先端部と、パレット下半体の筒状桁半部の先端部との固着に適用することを考えた。
【0006】
筒状桁半部の先端同士を固着して形成される筒状桁部においてその外周を構成する外周壁はフォークが衝突する部分であるため、フォークが衝突しても損傷しないような強度とする必要がある。一方、筒状桁部内を仕切る仕切り壁はフォークの衝突を考慮する必要がない。
【0007】
そこで、合成樹脂製のパレットにおいては、合成樹脂成形材料の削減とパレットの軽量化を目的として一般に外周壁を構成する外周壁半部の肉厚を仕切り壁を構成する仕切り壁半部の肉厚よりも厚く設定してある。
【0008】
したがって、筒状桁半部の外周を構成する外周壁半部は、振動溶着の際に、振動が作用しても、振動により変形しにくく、このため外周壁半部の先端同士は例え振動方向と交差する方向であってもずれることなく溶着することが可能であるが、外周壁半部に囲まれた部分を仕切る仕切り壁半部は外周壁半部よりも薄いため強度が弱く変形しやすく、振動溶着の際に振動が作用すると、振動方向と交差する方向の仕切り壁半部は振動方向に変形し、仕切り壁半部の先端部同士が振動方向にずれて溶着され、仕切り壁半部の先端部同士が振動方向にずれて溶着されると、このずれの応力が外周壁半部の先端部同士の振動溶着に影響を与え、外周壁半部の先端部同士の振動溶着部分にずれが生じ、溶着の安定性がないといった問題が発生することが判明した。
【0009】
このように外周壁半部の先端部同士の振動溶着部分にずれが生じたり、溶着の安定性がなくなると、フォークが衝突する部分であるため最も強度が必要な外周壁半部同士の接合強度が低下し、また、バリ取りの妨げになり、更にこの部分は形成されるパレットの外面に露出する部分であるため外観が悪くなったり、ずれた部分の隙間から雨水が入り込むことで商品価値が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−312663号公報
【特許文献2】特表平9−500346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、材料の使用量をできるだけ減らし、軽量化を図りながら、外周壁半部同士の溶着が安定し、外周壁半部同士の接合強度が強く、外観のよい振動溶着パレットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成としている。
【0013】
本発明の振動溶着パレットは、上デッキ部1の下面から筒状桁半部2を一体に突設した合成樹脂製のパレット上半体3と、下デッキ部4の上面から筒状桁半部2を一体に突設した合成樹脂製のパレット下半体5とが、パレット上半体3の筒状桁半部2とパレット下半体5の筒状桁半部2との各先端同士を振動溶着することで一体化されて両筒状桁半部2により上デッキ部1と下デッキ部4とを一体に連設する筒状桁部6を形成した振動溶着パレット7であって、筒状桁半部2が外周壁半部8と外周壁半部8に囲まれた部分を仕切る仕切り壁半部9とを備え、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の肉厚が、外周壁半部8の振動溶着の振動方向ロと交差する方向の辺の肉厚より薄く形成され、上記振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の側面に上下長さが該仕切り壁半部9の上下長さとほぼ等しい補助リブ12が一体に突設され、外周壁半部8の先端部同士が振動溶着により一体化されて筒状桁部6の外周壁10が形成され、振動溶着の振動方向ロと交差する方向の仕切り壁半部9の先端部同士が振動溶着により一体化されて両仕切り壁半部9により外周壁10内を仕切る仕切り壁11が構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
このような構成とすることで、筒状桁部6の外周壁10は外部に露出してフォークが衝突する部分であるが、肉厚の厚い外周壁半部8の先端部同士が振動溶着されることで外周壁10の強度が強く、フォークが衝突しても破損することがない。しかも、肉厚の厚い外周壁半部8の先端部同士が振動溶着で一体化してあるので、外周壁半部8の振動溶着における振動方向ロと交差する辺が振動溶着時における振動で変形して外周壁半部同士8の先端部同士が振動方向ロにずれて振動溶着されるというようなことが生じず、位置ずれなく外周壁半部8同士の先端部同士が振動溶着により一体化され、溶着不良や位置ずれのない外観に優れた強度の強い外周壁10とすることができる。また、仕切り壁半部9はフォークが直接衝突しないので、軽量化及び材料節減のために外周壁半部8よりも肉厚を薄くしてあって、振動方向ロと交差する仕切り壁半部9においては、振動溶着時における振動で変形して外周壁半部同士8の先端部同士が振動方向ロにずれて振動溶着されるおそれがあるが、上記のように、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の側面に上下長さが該仕切り壁半部9の上下長さとほぼ等しい補助リブ12が一体に突設してあるので、振動溶着の際に、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9が振動して変形するのを補助リブ12により抑制することができ、これにより薄い仕切り壁半部9の先端部同士がずれて溶着されることによる外周壁半部8の先端部同士の振動溶着部分に及ぼす影響を抑制でき、結果的に、外周壁半部8の先端部同士の振動溶着部分における溶着不良やずれの発生が抑制されることになる。
【0015】
また、上デッキ部1、下デッキ部4にそれぞれ筒状桁半部2間を連結する振動溶着の振動方向ロと交差する連結リブ19を設け、平面視で上記振動溶着の振動方向ロと交差する連結リブ19を、上記振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9と連続させることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9が上記のように薄くても、該仕切り壁半部9と筒状桁半部2間を連結する振動溶着の振動方向ロと交差する連結リブ19とが連続することで、振動溶着パレット7の振動溶着の振動方向ロと交差する方向における曲げ強度が向上し、振動溶着パレット7に載置物を載せてフォークで持ち上げる際の振動溶着パレット7の変形を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記のように構成したので、材料の使用量をできるだけ減らし、軽量化を図りながら、外周壁半部の先端部同士の振動溶着部分における溶着が安定し、振動溶着部分の溶着不良やずれの発生が抑制され且つ接合強度が強く、外観のよい桁部を有する振動溶着パレットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】図1X−X線断面図である。
【図3】(a)は同上に用いるパレット上半体の底面図であり、(b)は同上に用いるパレット下半体の平面図である。
【図4】図3(a)のA部の拡大斜視図である。
【図5】(a)は同上の振動溶着前の正面図であり、(b)は振動溶着時の正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示し、(a)はパレット上半体の底面図であり、(b)はパレット下半体の平面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態を示し、(a)はパレット上半体の底面図であり、(b)はパレット下半体の平面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態を示すパレット上半体底面図(又はパレット下半体の平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0020】
本発明の振動溶着パレット7は合成樹脂製のパレット上半体3とパレット下半体5とを振動溶着により一体化することで形成したものである。
【0021】
図1、図2には本発明の振動溶着パレット7の一実施形態である4方差しの振動溶着パレット7が示してある。
【0022】
振動溶着パレット7は、パレット上半体3とパレット下半体5とを振動溶着により一体化して構成してある。
【0023】
パレット上半体3は、図3(a)、図6(a)、図7(a)に示すようなもので、板状部1aの下面側に多数のリブ部1bを一体に設けて上デッキ部1を構成し、この上デッキ部1の下面から筒状桁半部2を一体に突設してパレット上半体3を構成してある。本実施形態では4方差し用であるため上デッキ部1の下面の四隅部に4つの隅筒状桁半部2aを突設し、中央部に1つの中央筒状桁半部2bを突設し、4辺の各中間部に4つの中間筒状桁半部2cを突設してある。
【0024】
パレット下半体5は、図3(b)、図6(b)、図7(b)に示すようなもので、板状部4aの上面側に多数のリブ部4bを一体に設けて下デッキ部4を構成し、この下デッキ部4の上面から筒状桁半部2を一体に突設してパレット下半体5を構成してあり、本実施形態では4方差し用であるため下デッキ部4の上面の四隅部に4つの隅筒状桁半部2aを突設し、中央部に1つの中央筒状桁半部2bを突設し、4辺の各中間部に4つの中間筒状桁半部2cを突設してある。
【0025】
パレット下半体5の筒状桁半部2に囲まれた部分は上下に開口する下面開口部16となっている。
【0026】
上記パレット上半体3の上デッキ部1の下面、パレット下半体5の下デッキ部4の上面には前述のように多数のリブ部1b、4bが設けてあるが、該多数のリブ部1b、4bのうちそれぞれ隣合う筒状桁半部2間を連結するリブ部1b、4bが連結リブ19となっており、この連結リブ19は筒状桁半部2の突出長さよりも短い。
【0027】
パレット上半体3とパレット下半体5を上下に突き合わせた際、パレット上半体3に突設した各筒状桁半部2と、パレット下半体5に突設した各筒状桁半部2は、ぴったりとつき合わせられるように、同じ位置、同じ大きさに形成してある。
【0028】
パレット上半体3及びパレット下半体5に突設した上記筒状桁半部2はいずれも筒状をした外周壁半部8と外周壁半部8に囲まれた部分を仕切る仕切り壁半部9とを備えている。
【0029】
外周壁半部8はフォークが衝突する部分であるため、フォークの衝突により破損しないように仕切り壁半部9に比べて高強度に形成してある。外周壁半部8を仕切り壁半部9よりも高強度とするには、外周壁半部8の肉厚を仕切り壁半部9の肉厚より厚く形成することで高強度としてあり、更にこの外周壁半部8の内面部には補強リブ14を一体に形成して更に、強度を高め変形し難いようにしてある。
【0030】
仕切り壁半部9は、両端が外周壁半部8の平面視で異なる辺の壁部に一体に連結してあって、外周壁半部8に囲まれた部分を仕切るようになっており、外周壁半部8内に囲まれた部分の補強をする役目だけでなく、平面視で上記振動溶着の振動方向ロと交差する連結リブ19と協同して振動溶着パレット7の振動溶着の振動方向ロと交差する方向における曲げ強度を向上させる役目をしており、添付図面に示すように、4方差しの振動溶着パレット7においては、連結リブ19として、少なくとも平面視で振動溶着の振動方向ロと平行な方向と、直交する方向に設けてあって、振動溶着の振動方向ロと平行な連結リブ19と振動溶着の振動方向ロと平行な仕切り壁半部9と連続一体化させ、振動溶着の振動方向ロと交差する連結リブ19と振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9と連続一体化させてある。
【0031】
上記仕切り壁半部9は直接フォークが衝突しないので、外周壁半部8よりも肉厚を薄く形成してある。特に、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の肉厚が、外周壁半部8の振動溶着の振動方向ロと交差する方向の辺の肉厚より薄く形成してある。また、少なくとも、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9には側面に上下長さが該仕切り壁半部9の上下長さとほぼ等しい補助リブ12が一体に突設してある。図4に示す実施形態では補助リブ12の上下長さが仕切り壁半部9の上下長さに等しい例である。
【0032】
上記のパレット上半体3とパレット下半体5は振動溶着により一体化されて振動溶着パレット7を形成するのであるが、振動溶着に当っては、図5(a)に示すように、パレット上半体3を第1治具17に支持し、パレット下半体5を第2治具18に支持し、第1治具17又は第2治具18の一方を図5(a)の矢印イのように移動してパレット上半体3の筒状桁半部2の先端部とパレット下半体5の筒状桁半部2の先端部を強い押付け力を加えて突き合わせた状態で、図5(b)のように第1治具17又は第2治具18の他方(これが振動装置に接続してある)によりパレット上半体3又はパレット下半体5のいずれかに該パレット上半体3(パレット下半体5)の一辺に平行な方向の振動を付与することで、筒状桁半部2を上記振動方向(矢印ロで示す)に振動させ、筒状桁半部2の先端部同士の突き合わせ部分が摩擦熱により溶融して両筒状桁半部2の先端部同士を溶着一体化し、筒状桁部6を形成するようになっている。
【0033】
ここで、本発明においては、外周壁半部8の振動溶着における振動方向ロと交差する辺は厚みが厚いため、振動溶着時における振動で変形して外周壁半部8の先端部同士が振動方向ロにずれて振動溶着されるというようなことが生じず、位置ずれなく外周壁半部8同士の先端部同士が振動溶着により一体化され、溶着不良や位置ずれのない外観に優れた強度の強い外周壁10とすることができる。
【0034】
また、仕切り壁半部9はフォークが直接衝突しないので、軽量化及び材料節減のために外周壁半部8よりも肉厚を薄くしてあって、振動方向ロと交差する仕切り壁半部9においては、振動溶着時における振動で変形して外周壁半部同士8の先端部同士が振動方向ロにずれて振動溶着されるおそれがあるが、上記のように、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9の側面に上下長さが該仕切り壁半部9の上下長さとほぼ等しい補助リブ12が一体に突設してあるので、振動溶着の際に、振動溶着の振動方向ロと交差する仕切り壁半部9が振動して変形するのを補助リブ12により抑制することができる。この結果、振動方向ロと交差する薄い仕切り壁半部9の先端部同士がずれて溶着されることによる外周壁半部8の先端部同士の振動溶着部分に及ぼす影響を抑制でき、結果的に、外周壁半部8の先端部同士の振動溶着部分における溶着不良やずれの発生が抑制されることになる。
【0035】
ここで、補助リブ12が仕切り壁半部9と同じ上下長さとなっていると、上記振動溶着の際に、溶着一体化の強度が増すだけでなく、振動溶着の際に肉厚の薄い仕切り壁半部9の先端部同士が突き当てられて振動溶着する際に同時に該肉厚の薄い仕切り壁半部9の先端部の一部と一体化した補助リブ12の上下方向の端面同士も突き当てられて振動溶着することになって、いっそう肉厚の薄い仕切り壁半部9の先端部同士が振動で変形してずれるのが抑制され、仕切り壁半部9の先端部同士の溶着部分における溶着不良やずれの発生が抑制される。
【0036】
また、補助リブ12が仕切り壁半部9と同じ上下長さとなっていると、振動の振幅幅を仕切り壁半部9の肉厚よりも長くしても溶着のずれが生じない。
【0037】
補助リブ12は、必ずしも上記のように仕切り壁半部9と同じ上下長さのものにのみ限定されない。すなわち、補助リブ12は仕切り壁半部9より低くて仕切り壁半部9の長さの半分以上であってもよい。更に、パレット上半体3とパレット下半体5における補助リブ12と仕切り壁半部9の関係が同じであっても、同じでなくてもよい。
【0038】
また、仕切り壁半部9の振動溶着の振動方向ロと交差する側面に補助リブ12を突設するに当たり、図3に示す実施形態では、仕切り壁半部9の振動溶着の振動方向ロと交差する両側面のうち一方の側面に補助リブ12を突設した例を示している。また、図6に示す実施形態では、仕切り壁半部9の振動溶着の振動方向ロと交差する両側面にそれぞれ補助リブ12を突設している。この図6では更に両側の補助リブ12が平面視で一直線状に連続していてより強度を発現できるようにしている。また、補助リブ12の平面形状としては、平面視線状のものにのみ限定されず、図7に示すように複数の補助リブ12の先端同士を連結リブで接続して複数の補助リブ12と仕切り壁半部9とで囲まれた部分が筒状となるように形成してもよく、この場合は更に強度が向上する。
【0039】
また、仕切り壁半部9の振動溶着の振動方向ロと交差する側面に突設した補助リブ12は、必ずしも振動方向ロと平行である必要はないが、振動方向ロと平行とするのが最適である。
【0040】
また、補助リブ12と補強リブ14との関係について、補助リブ12を補強リブ14よりも長くすると、強度アップに繋がるが、重量が重くなるので、短くしても良い。
【0041】
後述のような二方差しのパレットにおいては、補助リブ12として、補強リブ14と同じ長さ(高さ)のものと、補強リブ14よりも短いものを組み合わせてもよい。
【0042】
また、両面使用タイプのパレット上半体3とパレット下半体5は同一金型であり、補助リブ12の形状も同一である。一方、片面使用タイプのパレット上半体3とパレット下半体5は同一形状であっても、違っていてもよい。
【0043】
なお、振動方向ロと平行な仕切り壁半部9の先端部同士の振動溶着に当っては、先端部の長手方向が振動方向ロと平行な方向であるため、仕切り壁半部9の肉厚が外周壁半部8の肉厚に比べて薄肉であるといえども撓んで変形することがなく、対向する仕切り壁半部9の先端部同士が位置ずれすることなく振動溶着することになる。
【0044】
上記のようにして、外周壁半部8の先端部同士が振動溶着により一体化されて筒状桁部6の外周壁10が形成されると共に仕切り壁半部9の先端部同士が振動溶着により一体化されて両仕切り壁半部9により外周壁10内を仕切る仕切り壁11が形成されて、この一体化された筒状桁部6を介して上デッキ部1と下デッキ部4とが一体化された振動溶着パレット7が形成されることになる。
【0045】
上記の振動溶着パレット7は図1、図2に示すように、隣合う筒状桁部6間がフォーク挿入用空所13となっており、該フォーク挿入用空所13は振動溶着パレット7の前後、左右の4側面に開口していて4方向差しのパレットを構成することになる。
【0046】
また、上記各実施形態においては、4方差しの振動溶着パレット7の例で示したが、本実施形態は2方差しのパレットであってもよい。図8には2方差しのパレットに用いるパレット上半体3の底面図(又はパレット下半体5の平面図)が示してある。
【0047】
なお、図示を省略しているが、2方差しのパレットにおいて片面使用タイプのものは、パレット下半体5に開口部が形成されており、連結リブ19と連結されている仕切り壁半部9は振動溶着に強いが、筒状桁半部2間の連結リブ19と連結されていない仕切り壁半部9は振動溶着に弱いので、この部分の仕切り壁半部9の側面に突設する補助リブ12は連結リブ19が連結されている仕切り壁半部9に設ける補助リブ12よりも長さを長くしたり、肉厚を厚くしたり、高さを高くする。
【0048】
筒状桁半部2内を仕切り壁半部9で平面視横長長方形状をした枠状に仕切る場合、平面視横長長方形状をした枠の長辺側の仕切り壁半部9の1箇所以上に補助リブ12を形成するのが好ましい。つまり、平面視横長長方形状をした枠の短辺側の仕切り壁半部9は振動溶着の際にずれ難いが、平面視横長長方形状をした枠の長辺側の仕切り壁半部9は振動溶着の際にずれ易いため、補助リブ12を設けるのである。
【0049】
また、補助リブ12の肉厚を外周壁半部8よりも薄くすると、仕切り壁半部9、補助リブ12とも外周壁半部8よりも薄くなり、板状部1a(4a)の表面側にヒケが生じない。
【0050】
ところで、振動溶着においては、振動方向ロと平行な壁が溶着しやすいことから、振動方向ロを決定するに当たっては、平面視で筒状桁部6に長辺側と短辺側がある場合は、平面視で筒状桁部6の長辺側の壁を振動方向ロと平行に位置させて長辺側の壁を振動方向ロと平行に振動させるのが好ましい。平面視で筒状桁部6に長辺側と短辺側がない場合は、平面視で筒状桁部6の一辺側の壁を振動方向ロと平行に位置させて当該一辺側の壁を振動方向と平行に振動させる。
【0051】
なお、添付図面に示す実施形態では、一方(図面において左右方向に長い仕切り壁半部9の側面)のみに補助リブ12を形成しているが、この場合は方向性がでるので、他方(図面において上下方向に長い仕切り壁半部9の側面)にも補助リブ12を設けてもよく、この場合は方向性を無くすことができる。
【0052】
また、添付図面に示すように、筒状桁半部2の隅部には、隣合う外周壁半部8と連結する平面視L字状の側壁20を形成することにより、強度が増すことになり、特に連結リブ19と連結しない外周壁半部8に平面視L字状の側壁20を形成すると効果的である。
【符号の説明】
【0053】
1 上デッキ部
2 筒状桁半部
3 パレット上半体
4 下デッキ部
5 パレット下半体
6 筒状桁部
7 振動溶着パレット
8 外周壁半部
9 仕切り壁半部
10 外周壁
11 仕切り壁
12 補助リブ
19 連結リブ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上デッキ部の下面から筒状桁半部を一体に突設した合成樹脂製のパレット上半体と、下デッキ部の上面から筒状桁半部を一体に突設した合成樹脂製のパレット下半体とが、パレット上半体の筒状桁半部とパレット下半体の筒状桁半部との各先端同士を振動溶着することで一体化されて両筒状桁半部により上デッキ部と下デッキ部とを一体に連設する筒状桁部を形成した振動溶着パレットであって、筒状桁半部が外周壁半部と外周壁半部に囲まれた部分を仕切る仕切り壁半部とを備え、振動溶着の振動方向と交差する仕切り壁半部の肉厚が、外周壁半部の振動溶着の振動方向と交差する方向の辺の肉厚より薄く形成され、上記振動溶着の振動方向と交差する仕切り壁半部の側面に上下長さが該仕切り壁半部の上下長さとほぼ等しい補助リブが一体に突設され、外周壁半部の先端部同士が振動溶着により一体化されて筒状桁部の外周壁が形成され、振動溶着の振動方向と交差する方向の仕切り壁半部の先端部同士が振動溶着により一体化されて両仕切り壁半部により外周壁内を仕切る仕切り壁が構成されていることを特徴とする振動溶着パレット。
【請求項2】
上デッキ部、下デッキ部にそれぞれ筒状桁半部間を連結する振動溶着の振動方向と交差する連結リブを設け、平面視で上記振動溶着の振動方向と交差する連結リブを、上記振動溶着の振動方向と交差する仕切り壁半部と連続させて成ることを特徴とする請求項1記載の振動溶着パレット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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