説明

振動発電ユニット、振動発電装置、及び、振動発電機

【課題】振動発電ユニットの小型化の技術を提供する。
【解決手段】振動発電ユニット5は、永久磁石23と、ユニットバネ体収容蓋21(ユニット外部端子)と、永久磁石23とユニットバネ体収容蓋21を保持するヨーク22(振動源側保持体)と、を含む振動源側ユニット7と、発電コイル50と、発電コイル50を保持するボビン51(可動側保持体)と、を含み、振動源側ユニット7に対して相対的に移動可能な可動側ユニット9と、振動源側ユニット7と可動側ユニット9の間に介装されるユニットバネ体8と、を備える。振動源側ユニット7は、可動側ユニット9よりも振動源側に配置されている。可動側ユニット9の発電コイル50の一端Waは、ユニットバネ体8を介して、振動源側ユニット7のユニットバネ体収容蓋21に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発電ユニット、振動発電装置、及び、振動発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、本願の図11に示すように、動力系の駆動によって生じる振動エネルギーから電気エネルギーを取り出すための電力変換装置100を開示している。この電力変換装置100は、発電コイル101内を丸棒状の磁石体102が軸線移動することで電磁誘導によって起電力が発生し、もって、発電コイル101を構成する電気線材103に電流が流れるようになっている。
【0003】
特許文献1では、発電コイル101に取付具104が取り付けられており、電力変換装置100は、取付具104を介して図示しないベースに固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−320369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、図11に示すように、発電コイル101を振動源(ベース)に対して固定し、磁石体102が発電コイル101に対して相対的に移動するように構成すれば、発電コイル101から電気線材103を介して電力を振動源側に取り出す際に、電気線材103には外力が作用することはない。
【0006】
しかしながら、磁石体102を振動源に対して固定し、発電コイル101を磁石体102に対して相対的に移動するように構成すると、発電コイル101から電気線材103を介して電力を振動源側に取り出す際、電気線材103には、磁石体102に対する発電コイル101の相対的な往復移動に起因する繰り返し応力が発生することになる。そして、この繰り返し応力に起因した屈曲断線から電気線材103を保護には、電気線材103を予め輪の形に湾曲させた所謂サービスループを形成しておくことが効果的である。しかし、この場合、電力変換装置100の小型化の妨げとなる。
【0007】
本願発明の目的は、振動発電ユニットの小型化の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の観点によれば、永久磁石と、ユニット外部端子と、前記永久磁石と前記ユニット外部端子を保持する振動源側保持体と、を含む振動源側ユニットと、発電コイルと、前記発電コイルを保持する可動側保持体と、を含み、前記振動源側ユニットに対して相対的に移動可能な可動側ユニットと、前記振動源側ユニットと前記可動側ユニットの間に介装されるユニットバネ体と、を備え、前記振動源側ユニットは、前記可動側ユニットよりも振動源側に配置されており、前記可動側ユニットの前記発電コイルの一端は、前記ユニットバネ体を介して、前記振動源側ユニットの前記ユニット外部端子に電気的に接続される、振動発電ユニットが提供される。
好ましくは、前記ユニットバネ体は、圧縮コイルバネ又は引張コイルバネ、円錐コイルバネ、渦巻きバネのうち何れかである。
また、上記の振動発電ユニットを一対で備え、前記振動源側ユニット同士は相互に結合しており、前記可動側ユニット同士は軸体を介して相互に連結しており、前記可動側ユニットの前記発電コイルの他端同士は、前記軸体を介して、相互に電気的に接続されている、振動発電装置が提供される。
また、外部接続端子と、前記外部接続端子を保持する外枠保持体と、を含む外枠体と、上記の振動発電装置と、前記振動発電装置を挟むように、前記外枠体と前記振動発電装置の間に一対で介装される外枠バネ体と、を備えた、振動発電機が提供される。
好ましくは、前記振動発電装置の各ユニット外部端子は、各外枠バネ体を介して、各外部接続端子に電気的に接続されている。
好ましくは、前記外枠バネ体は、圧縮コイルバネ又は引張コイルバネ、円錐コイルバネ、渦巻きバネのうち何れかである。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、前記可動側ユニットの前記発電コイルの前記一端を、前記振動源側ユニットの前記ユニット外部端子に電気的に接続するための導電経路として前記ユニットバネ体を利用することで、前記可動側ユニットの前記発電コイルの前記一端を、前記振動源側ユニットの前記ユニット外部端子に電気的に接続するための導電経路用のスペースを小さくすることができ、もって、前記振動発電ユニットの小型化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、振動発電機の斜視図である。
【図2】図2は、振動発電機の断面斜視図である。
【図3】図3は、振動発電機の断面図である。
【図4】図4は、外枠体の断面図である。
【図5】図5は、外枠体と振動発電装置の間に介装される外枠バネ体の断面図である。
【図6】図6は、振動発電装置の断面図である。
【図7】図7は、一対の振動源側ユニットの断面図である。
【図8】図8は、振動源側ユニットと可動側ユニットの間に介装されるユニットバネ体の断面図である。
【図9】図9は、軸体によって連結された一対の可動側ユニットの断面図である。
【図10】図10は、図3のA部拡大図である。
【図11】図11は、特許文献1の図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の振動発電機1を説明する。振動発電機1は、例えば自動車や橋梁、機械など、振動を発生する振動源に取り付けられ、その振動源の振動を利用して電気エネルギーを生成するためのものである。本実施形態において振動発電機1は、図1及び図2に示すように略円柱状であって、上下略対称の構成としている。振動発電機1のサイズとしては、例えばφ30mm×80mmやφ45mm×120mmなどを想定しているが、これらの寸法に限られることはない。
【0012】
ここで、図1及び図2において、「長手方向L」と「径方向R」を定義する。「長手方向L」は、略円柱状の振動発電機1の長手方向を意味している。「長手方向L」のうち振動発電機1の長手方向中央から長手方向端部へ向かう方向を「先端方向」と定義し、「長手方向L」のうち振動発電機1の長手方向端部から長手方向中央に向かう方向を「基端方向」と定義する。「径方向R」は、略円柱状の振動発電機1の径方向を意味している。「径方向R」のうち振動発電機1の中心軸から外周側へ向かう方向を「外周側方向」と定義し、「径方向R」のうち振動発電機1の外周側から中心軸へ向かう方向を「内周側方向」と定義する。
【0013】
次に、図3〜図10を参照しつつ、振動発電機1の構成を詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図3〜図9においては、ハッチングは構成要素毎に付することに代えて、相互の連結された構成要素群毎に付しており、図10では、ハッチングを省略している。
【0014】
図3に示す振動発電機1は、外枠体2(図4も併せて参照)と、一対の外枠バネ体3(図5も併せて参照)と、振動発電装置4(図6も併せて参照)と、を備えて構成されている。
【0015】
図6に示す振動発電装置4は、一対の振動発電ユニット5と、軸体6と、を備えて構成されている。
【0016】
図6に示す各振動発電ユニット5は、振動源側ユニット7(図7も併せて参照)と、ユニットバネ体8(図8も併せて参照)と、可動側ユニット9(図9も併せて参照)と、を備えて構成されている。
【0017】
(外枠体2)
図4に示すように、外枠体2は、一対の外部接続端子15と、一対の外部接続端子15を保持する外枠保持体16と、によって構成されている(図1及び図2を併せて参照)。一対の外部接続端子15は、振動発電機1によって生成された電気エネルギーを振動発電機1から取り出す際に、図示しない電気線が接続される端子である。一対の外部接続端子15の一方は第1の交流出力端子であり、他方は第2の交流出力端子である。外枠保持体16は、薄肉筒体17と、一対の筒体閉塞板18と、一対の連結リング19と、によって構成されている。一対の筒体閉塞板18は、薄肉筒体17の各開口端を閉塞するものである。各筒体閉塞板18は、各連結リング19を介して薄肉筒体17に取り付けられている。各筒体閉塞板18には、各外部接続端子15が保持されている。各外部接続端子15は、各筒体閉塞板18の内面18aに取り付けられると共に、部分的に外枠体2の外部へと露出している(図1及び図2を併せて参照)。
【0018】
(外枠バネ体3)
図5に示すように、本実施形態において各外枠バネ体3としては、コイルバネが採用されている。外枠バネ体3は、例えば図2に示すように常に圧縮状態とされる。従って、外枠バネ体3としては、詳しくは、圧縮コイルバネが採用されている。しかし、これに代えて、引張コイルバネや円錐コイルバネ、渦巻きバネであってもよい。外枠バネ体3の素材としては、高コストになるが高い導電率を有する燐青銅が採用されている。しかし、これに代えて、ステンレスやバネ鋼であってもよい。そして、一対の外枠バネ体3は、図3に示すように振動発電装置4を長手方向Lで挟むように、外枠体2と振動発電装置4の間に介装されている。
【0019】
(振動源側ユニット7)
図7に示すように、一対の振動源側ユニット7は同一構造とされている。各振動源側ユニット7は、可動側ユニット収容体20とユニットバネ体収容蓋21を主たる要素として構成されている。
【0020】
可動側ユニット収容体20は、可動側ユニット9を収容すると共に、所望の磁気回路Dを形成するためのものである。即ち、可動側ユニット収容体20は、ヨーク22と、永久磁石23と、ポールピース24(センターポール)と、によって構成されている。ヨーク22は、例えば鉄などの強磁性体であって、長手方向Lを軸とする薄肉筒部25と底部26を有する有底略円筒状に形成されている。底部26は、薄肉筒部25の基端方向側の開口を閉塞している。永久磁石23とポールピース24は、ヨーク22内に収容されている。永久磁石23は、例えばネオジウム磁石やフェライト磁石であって、長手方向Lを軸とする低背略円柱状に形成されており、底部26に取り付けられている。永久磁石23は、長手方向Lに着磁されている。ポールピース24は、例えば鉄などの強磁性体であって、長手方向Lを軸とする低背略円柱状に形成されており、永久磁石23に取り付けられている。以上の構成で、ヨーク22と永久磁石23、ポールピース24は、図7に示す磁気回路Dを形成している。磁気回路Dは、例えば、ヨーク22の薄肉筒部25、ヨーク22の底部26、永久磁石23、ポールピース24を順に跨って形成されている。即ち、ポールピース24の外周面24aと、ヨーク22の薄肉筒部25の内周面25aと、の間には磁気ギャップgが形成されている。磁気ギャップg内では、磁束が外周側方向へ放射状に延びて高い磁束密度を呈している。磁気ギャップgは、長手方向Lを軸とする略円筒状に形成されることになる。
【0021】
また、図7に示すように一対の振動源側ユニット7の可動側ユニット収容体20のヨーク22の底部26同士が図示しない結合手段によって相互に結合しており、もって、振動源側ユニット7同士が相互に結合している。一対の振動源側ユニット7の可動側ユニット収容体20に跨るように、長手方向Lに延びる軸体貫通孔30が形成されている。軸体貫通孔30の両開口端には、ブッシュ31が夫々取り付けられている。
【0022】
ユニットバネ体収容蓋21は、ユニットバネ体8を収容すると共に、可動側ユニット収容体20の薄肉筒部25の先端方向側の開口を閉塞するものである。ユニットバネ体収容蓋21は、高い導電率を有する燐青銅製であって、蓋部35と、ユニットバネ体収容部36と、によって構成されている。蓋部35は、長手方向Lを軸とする有孔円盤状に形成されている。蓋部35の外周端部35aは、リング状のブッシュ37を介して可動側ユニット収容体20のヨーク22の薄肉筒部25に固定されている。蓋部35の内周端部35bは、ユニットバネ体収容部36に接続している。蓋部35の内周端部35bの先端方向側にはワッシャ45が配置される。ユニットバネ体収容部36は、収容筒部38と閉塞部39によって構成されている。収容筒部38は、長手方向Lを軸とし、蓋部35の内周端部35bに接続しつつ、先端方向に延びる筒体である。閉塞部39は、収容筒部38の先端方向側の開口を閉塞する有孔円盤である。閉塞部39には、ロッド貫通孔39aが形成されている。このロッド貫通孔39aの内周面にはメネジが形成されている。ユニットバネ体収容部36には、バネ押え40と、ナット41と、ワッシャ42と、が取り付けられている。バネ押え40は、ユニットバネ体収容部36内に収容されるバネ押え本体43と、バネ押え本体43に接続しつつ先端方向に延びる進退ロッド44と、によって構成されている。進退ロッド44の外周面にはオネジが形成されている。以上の構成で、バネ押え40を回転させると、バネ押え40が閉塞部39に対して長手方向Lで相対的に変位する。バネ押え40を閉塞部39に対して所望の位置に位置決めしたら、進退ロッド44にナット41を嵌めることで、ダブルナットの原理により、バネ押え40は、閉塞部39に対して位置固定される。このとき、ナット41と閉塞部39の間には上記のワッシャ42が介装される。
【0023】
以上に説明した振動源側ユニット7は、可動側ユニット9よりも振動源側に配置されている。具体的には、可動側ユニット9は振動源側ユニット7によって支持され、振動源側ユニット7は外枠体2によって支持され、外枠体2は振動源に支持されているので、この点、振動源側ユニット7は、可動側ユニット9よりも振動源に近い位置(振動源側)に配置されていると言うことができる。
【0024】
本実施形態では、可動側ユニット収容体20のヨーク22が、振動源側保持体に相当している。また、ユニットバネ体収容蓋21が、ユニット外部端子に相当している。即ち、可動側ユニット収容体20のヨーク22(振動源側保持体)は、永久磁石23とユニットバネ体収容蓋21(ユニット外部端子)を保持している。
【0025】
(ユニットバネ体8)
図8に示すように、本実施形態において各ユニットバネ体8としては、コイルバネが採用されている。ユニットバネ体8は、例えば図6に示すように常に圧縮状態とされる。従って、ユニットバネ体8としては、詳しくは、圧縮コイルバネが採用されている。しかし、これに代えて、引張コイルバネや円錐コイルバネ、渦巻きバネであってもよい。ユニットバネ体8の素材としては、高コストになるが高い導電率を有する燐青銅が採用されている。しかし、これに代えて、ステンレスやバネ鋼であってもよい。そして、一対のユニットバネ体8は、図6に示すように一対の可動側ユニット9を長手方向Lで挟むように、振動源側ユニット7と可動側ユニット9の間に介装されている。
【0026】
(可動側ユニット9)
図9に示すように、一対の可動側ユニット9は、軸体6を介して相互に連結されている。各可動側ユニット9は、振動源側ユニット7に対して長手方向Lに相対的に移動可能であって、発電コイル50と、発電コイル50を保持する絶縁性のボビン51(可動側保持体)と、によって構成されている。ボビン51は、コイル保持部52と、軸体固定部53と、によって構成されている。コイル保持部52は、長手方向Lを軸とする筒体である。コイル保持部52の外周に発電コイル50が形成されている。軸体固定部53は、コイル保持部52の先端方向側の開口を閉塞する有孔円盤であって、その中心には軸体取り付け孔54が形成されている。そして、ボビン51の軸体取り付け孔54には、軸体6の端部が固定されている。軸体固定部53の内周端部53aにはワッシャ55が配置されており、発電コイル50の電気線Wの一端Waはワッシャ55に接続している。一方、発電コイル50の電気線Wの他端Wbは軸体6に接続している。従って、一対の可動側ユニット9の発電コイル50の電気線Wの他端Wb同士は、軸体6を介して電気的に接続している。一対の発電コイル50は、直列に連結されている。
【0027】
(導電経路)
ここで、図10を参照しつつ、発電コイル50とユニットバネ体収容蓋21の間の導電経路について説明する。図10において、発電コイル50の電気線Wの一端Waは、ワッシャ55に接続している。ワッシャ55には、ユニットバネ体8が接触している。ユニットバネ体8には、バネ押え40が接触している。バネ押え40の進退ロッド44のオネジと、ユニットバネ体収容蓋21のロッド貫通孔39aのメネジと、が噛み合っている。従って、発電コイル50の電気線Wの一端Waは、ワッシャ55と、ユニットバネ体8と、バネ押え40と、を順に介して、ユニットバネ体収容蓋21に電気的に接続されている。
【0028】
同様に、図10を参照しつつ、ユニットバネ体収容蓋21と外部接続端子15の間の導電経路について説明する。図10において、ユニットバネ体収容蓋21にはワッシャ45が接触している。ワッシャ45には、外枠バネ体3が接触している。外枠バネ体3には、外部接続端子15が接触している。従って、ユニットバネ体収容蓋21は、ワッシャ45と、外枠バネ体3と、を順に介して、外部接続端子15に電気的に接続されている。
【0029】
(作動)
以上の構成で、振動源の振動により図1の振動発電機1が長手方向Lに振動すると、図3に示す外枠バネ体3とユニットバネ体8の存在により、図6に示す可動側ユニット9は振動源側ユニット7に対して相対的に長手方向Lで強く振動する。すると、図7に示す振動源側ユニット7の可動側ユニット収容体20の磁気ギャップg内の磁束を切るように、図9に示す可動側ユニット9の発電コイル50が往復運動する。そしてこのとき、電磁誘導の原理により、発電コイル50には例えばV1[V]の交流電圧が発生する。本実施形態においては、一対の発電コイル50が直列に接続しているので、図2に示す一対の外部接続端子15間には、V1×2[V]の交流電圧が発生することになる。後は、一対の外部接続端子15に図示しない電気線を接続して、振動発電機1から電気エネルギーを適宜に取り出せばよい。
【0030】
以上に本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特長を有している。
【0031】
即ち、振動発電ユニット5は、永久磁石23と、ユニットバネ体収容蓋21(ユニット外部端子)と、永久磁石23とユニットバネ体収容蓋21を保持するヨーク22(振動源側保持体)と、を含む振動源側ユニット7と、発電コイル50と、発電コイル50を保持するボビン51(可動側保持体)と、を含み、振動源側ユニット7に対して相対的に移動可能な可動側ユニット9と、振動源側ユニット7と可動側ユニット9の間に介装されるユニットバネ体8と、を備える。振動源側ユニット7は、可動側ユニット9よりも振動源側に配置されている。可動側ユニット9の発電コイル50の一端Waは、ユニットバネ体8を介して、振動源側ユニット7のユニットバネ体収容蓋21に電気的に接続される。このように、可動側ユニット9の発電コイル50の一端Waを振動源側ユニット7のユニットバネ体収容蓋21に電気的に接続するための導電経路としてユニットバネ体8を利用することで、可動側ユニット9の発電コイル50の一端Waを振動源側ユニット7のユニットバネ体収容蓋21に電気的に接続するための導電経路用のスペースを小さくすることができ、もって、振動発電ユニット5の小型化に寄与する。また、発電コイル50を構成する電気線が断線することもない。
【0032】
なお、本願出願人の事前の特許調査によれば、コイルバネを導電経路として利用する点は、特開2006−269413号公報に既に開示されている。特開2006−269413号公報の段落番号0063や図10、図11を参照されたい。しかしながら、特開2006−269413号公報においてコイルばねは、そもそものところ、二酸化炭素の気泡を取り除くためにダイレクトメタノール燃料電池を揺らす目的で設けられたものである。従って、コイルばねの本来の用途が本願のものとは全く異なることから、本願に開示した技術アイデアを創作するにあたり、仮に特開2006−269413号公報を事前に知っていたとしても、特開2006−269413号公報に開示の内容を参考にすることはなかったものと考えられる。
【0033】
また、振動発電装置4は、振動発電ユニット5を一対で備えている。振動源側ユニット7同士は相互に結合している。可動側ユニット9同士は軸体6を介して相互に連結している。可動側ユニット9の発電コイル50の他端Wb同士は、軸体6を介して、相互に電気的に接続されている。
【0034】
また、振動発電機1は、外部接続端子15と、外部接続端子15を保持する外枠保持体16と、を含む外枠体2と、上記の振動発電装置4と、振動発電装置4を挟むように、外枠体2と振動発電装置4の間に一対で介装される外枠バネ体3と、を備えている。以上の構成によれば、振動源側ユニット7と可動側ユニット9との相対的な移動が増幅される構成が実現される。
【0035】
また、振動発電装置4の各ユニットバネ体収容蓋21は、各外枠バネ体3を介して、各外部接続端子15に電気的に接続されている。このように、振動発電装置4の各ユニットバネ体収容蓋21を各外部接続端子15に電気的に接続するための導電経路として各外枠バネ体3を利用することで、振動発電装置4の各ユニットバネ体収容蓋21を各外部接続端子15に電気的に接続するための導電経路用のスペースを小さくすることができ、もって、振動発電機1の小型化に寄与する。
【0036】
以上に説明した実施形態は、例えば以下のように変更することができる。
【0037】
上記実施形態において、ワッシャ45は、接触抵抗低減の観点から、省略することも考えられる。
【0038】
上記実施形態において、振動発電機1は、例えば自動車や橋梁、機械など、振動を発生する振動源に取り付けられ、その振動源の振動を利用して電気エネルギーを生成するためのものとした。このとき、振動発電機1が振動源に対して直接取り付けられる場合と、振動発電機1が振動源に対して例えば別部材である専用の取り付け部品を介して間接的に取り付けられる場合と、が考えられる。
【0039】
また、上記実施形態において、ユニットバネ体収容蓋21は、高い導電率を有する燐青銅製とした。しかし、これに代えて、ユニットバネ体収容蓋21を絶縁樹脂等によって構成することも考えられる。この場合、可動側ユニット収容体20のヨーク22及びユニットバネ体収容蓋21、バネ押え40、ナット41が振動源側保持体に相当している。また、ワッシャ42が、ユニット外部端子に相当している。即ち、可動側ユニット収容体20のヨーク22及びユニットバネ体収容蓋21、バネ押え40、ナット41(振動源側保持体)は、永久磁石23とワッシャ42(ユニット外部端子)を保持する。なお、この場合、図7において、ワッシャ42とワッシャ45は電気線X(図10を併せて参照)により相互に電気的に接続される。ここで、図10を参照しつつ、発電コイル50とワッシャ42の間の導電経路について説明する。図10において、発電コイル50の電気線Wの一端Waは、ワッシャ55に接続している。ワッシャ55には、ユニットバネ体8が接触している。ユニットバネ体8には、バネ押え40が接触している。バネ押え40の進退ロッド44のオネジと、ナット41のメネジと、が噛み合っている。ナット41は、ワッシャ42に接触している。従って、発電コイル50の電気線Wの一端Waは、ワッシャ55と、ユニットバネ体8と、バネ押え40と、ナット41を順に介して、ワッシャ42に電気的に接続されている。同様に、図10を参照しつつ、ワッシャ42と外部接続端子15の間の導電経路について説明する。図10において、ワッシャ42とワッシャ45は、電気線Xによって電気的に接続されている。ワッシャ45には、外枠バネ体3が接触している。外枠バネ体3には、外部接続端子15が接触している。従って、ワッシャ42は、電気線Xと、ワッシャ45と、外枠バネ体3と、を順に介して、外部接続端子15に電気的に接続されている。
【符号の説明】
【0040】
1 振動発電機
2 外枠体
3 外枠バネ体
4 振動発電装置
5 振動発電ユニット
6 軸体
7 振動源側ユニット
8 ユニットバネ体
9 可動側ユニット
15 外部接続端子
16 外枠保持体
17 薄肉筒体
18 筒体閉塞板
18a 内面
19 連結リング
20 可動側ユニット収容体
21 ユニットバネ体収容蓋(ユニット外部端子、振動源側保持体)
22 ヨーク(振動源側保持体、振動源側保持体)
23 永久磁石
24 ポールピース
24a 外周面
25 薄肉筒部
25a 内周面
26 底部
30 軸体貫通孔
31 ブッシュ
35 蓋部
35a 外周端部
35b 内周端部
36 ユニットバネ体収容部
37 ブッシュ
38 収容筒部
39 閉塞部
39a ロッド貫通孔
40 バネ押え(振動源側保持体)
41 ナット
42 ワッシャ(ユニット外部端子)
43 バネ押え本体
44 進退ロッド
45 ワッシャ
50 発電コイル
51 ボビン(可動側保持体)
52 コイル保持部
53 軸体固定部
54 軸体取り付け孔
53a 内周端部
55 ワッシャ
L 長手方向
R 径方向
D 磁気回路
W 電気線
Wa 一端
Wb 他端
X 電気線
g 磁気ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石と、ユニット外部端子と、前記永久磁石と前記ユニット外部端子を保持する振動源側保持体と、を含む振動源側ユニットと、
発電コイルと、前記発電コイルを保持する可動側保持体と、を含み、前記振動源側ユニットに対して相対的に移動可能な可動側ユニットと、
前記振動源側ユニットと前記可動側ユニットの間に介装されるユニットバネ体と、
を備え、
前記振動源側ユニットは、前記可動側ユニットよりも振動源側に配置されており、
前記可動側ユニットの前記発電コイルの一端は、前記ユニットバネ体を介して、前記振動源側ユニットの前記ユニット外部端子に電気的に接続される、
振動発電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発電ユニットであって、
前記ユニットバネ体は、圧縮コイルバネ又は引張コイルバネ、円錐コイルバネ、渦巻きバネのうち何れかである、
振動発電ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動発電ユニットを一対で備え、
前記振動源側ユニット同士は相互に結合しており、
前記可動側ユニット同士は軸体を介して相互に連結しており、
前記可動側ユニットの前記発電コイルの他端同士は、前記軸体を介して、相互に電気的に接続されている、
振動発電装置。
【請求項4】
外部接続端子と、前記外部接続端子を保持する外枠保持体と、を含む外枠体と、
請求項3に記載の振動発電装置と、
前記振動発電装置を挟むように、前記外枠体と前記振動発電装置の間に一対で介装される外枠バネ体と、
を備えた、
振動発電機。
【請求項5】
請求項4に記載の振動発電機であって、
前記振動発電装置の各ユニット外部端子は、各外枠バネ体を介して、各外部接続端子に電気的に接続されている、
振動発電機。
【請求項6】
請求項5に記載の振動発電機であって、
前記外枠バネ体は、圧縮コイルバネ又は引張コイルバネ、円錐コイルバネ、渦巻きバネのうち何れかである、
振動発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−90503(P2013−90503A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230778(P2011−230778)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)