説明

振動装置用リニアドライブ

【課題】従来に比して高効率な振動装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る二質点振動装置10は、ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、対象物を受けるための搬送面を規定するベッド12と、当該ベッド12に接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器24と、当該弾性増幅器24の第2端に接続されたベース26とを有する。直動アクチュエータ28が、ベース26に取り付けられており、直動アクチュエータ28は、前記ベッド12を振動させるべく、前記弾性増幅器24によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、これにより前記ベッド12の振動に応じて前記ワーク材料が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して振動プロセス装置に関し、より詳細には、かかる装置で振動を発生させるための駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動プロセス装置は、広範な種類の工業用途に使用されている。例えば、振動フィーダ及び振動コンベヤは、粒状材料、鋳物、及び他の対象物を搬送するために使用される。かかるフィーダ及びコンベヤは、一般的には、搬送される対象物を載せるベッドと、前記対象物を所望の方向へと進行させるための当該ベッドの振動を発生させる駆動装置とを有している。当該駆動装置は、一般的には、出力軸に偏心質量が取り付けられた電動モータを有している。動作中には、偏心質量を有する前記出力軸が回転して振動力が生じ、この振動力が前記ベッドへと伝達される。
【0003】
振動プロセス装置は、一質点系と二質点系とに分類される。一質点系においては、駆動装置がベッドと固定連結され、この駆動装置とベッドとの結合体が、弾性部材によって周辺領域から分離されている。二質点系においては、駆動装置がベッドに弾性的に連結されており、駆動装置及びベッドの何れか一方が弾性部材によって周囲領域から分離されている。二質点系の方が、より効率的に振動を発生させることが可能であることから、多くの用途において好まれている。この結果、同じ振幅を有する力を発生させるのに、二質点系では小型のモータが使用され、一質点系では大型のモータが使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転モータは、不要であり且つ望ましくない力成分を含む回転力を発生する。多くの振動プロセス装置は、ベッドを所望の運動で駆動する。この回転力は回転する偏心質量によって発生されるが、前記所望の方向に垂直な力成分が生じる。二質点系では、駆動装置が弾性部材によってベッドに結合されている。弾性部材は、一般的には、動作するために数自由度を有するように支持されている。例えばスプリングは、主要6自由度(即ち、X,Y,及びZ軸に沿った移動並びにX,Y,及びZ軸回りの回転)を有している。結果として、弾性部材は所望の運動以外のいくつもの方向に励振される。したがって、垂直な力成分は弾性部材を望ましくない方向へ励振し、この結果、所望の運動が損なわれ、システムの効率が低減する。
【0005】
更に、従来の回転モータを使用した振動プロセス装置は、装置の停止及び起動を遅らせる回転慣性を有している。回転モータが静止から運転スピードまで加速されたとき、発生した振動力は種々の望ましくない振動数を経て、これらの振動数の力が連結弾性部材又は分離弾性部材を望ましくない方向へ励振する。モータが運転スピードから静止するまで減速されるときも、振動力は同じ望ましくない振動数を経る。例えば特定の振動数は、中でも分離した跳ね上がり、分離した振動、及び駆動装置とベッドとの間の振動の原因となる。これらの望ましくない運動は、精密フィーダのような急速始動及び急速停止を必要とする用途に対しては特に望ましくないベッドと無関係な運動を引き起こす。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来に比して高効率な振動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る二質点振動装置は、ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、対象物を受けるための搬送面を規定するベッドと、当該ベッドに接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器と、当該弾性増幅器の第2端に接続されたベースと、当該ベースに取り付けられた直動アクチュエータとを備え、前記直動アクチュエータは、前記ベッドを振動させるべく、前記弾性増幅器によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、前記ベッドの振動に応じて前記ワーク材料を移動させる。
【0008】
上記発明においては、前記直動アクチュエータが、一の振動数及び振幅で駆動される往復ピストンを備える構成とすることが好ましい。
【0009】
上記発明においては、前記往復ピストンの振動数及び振幅が調節可能であることが好ましい。
【0010】
上記発明においては、前記ベースに接続された弾性分離器を更に備える構成とすることが好ましい。
【0011】
上記発明においては、前記ベッドに接続された弾性分離器を更に備える構成とすることが好ましい。
【0012】
上記発明においては、前記弾性増幅器が、少なくとも1つのスプリングを備える構成とすることが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る二質点振動装置は、ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、対象物を受けるための搬送面を規定するベッドと、当該ベッドを基礎領域から分離するために、前記ベッドに接続された弾性分離器と、前記ベッドに接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器と、当該弾性増幅器の第2端に接続されたベースと、当該ベースに取り付けられた直動アクチュエータとを備え、前記直動アクチュエータは、前記ベッドを振動させるべく、前記弾性増幅器によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、前記ベッドの振動に応じて前記ワーク材料を移動させる。
【0014】
上記発明においては、前記直動アクチュエータが、一の振動数及び振幅で駆動される往復ピストンを備える構成とすることが好ましい。
【0015】
上記発明においては、前記往復ピストンの振動数及び振幅が調節可能であることが好ましい。
【0016】
上記発明においては、前記弾性増幅器が、少なくとも1つのスプリングを備える構成とすることが好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る二質点振動装置は、ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、対象物を受けるための搬送面を規定するベッドと、当該ベッドに接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器と、当該弾性増幅器の第2端に接続されたベースと、当該ベースを基礎領域から分離するために、前記ベースに接続された弾性分離器と、前記ベースに取り付けられた直動アクチュエータとを備え、前記直動アクチュエータは、前記ベッドを振動させるべく、前記弾性増幅器によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、前記ベッドの振動に応じて前記ワーク材料を移動させる。
【0018】
上記発明においては、前記直動アクチュエータが、一の振動数及び振幅で駆動される往復ピストンを備える構成とすることが好ましい。
【0019】
上記発明においては、前記往復ピストンの振動数及び振幅が調節可能であることが好ましい。
【0020】
上記発明においては、前記弾性増幅器が、少なくとも1つのスプリングを備える構成とすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書に記載した実施の形態は、本願発明を網羅することを意図するものではなく、また開示された明確な形式に本願発明の範囲を限定することを意図するものでもない。以下の実施の形態は、本願発明の原理を最も詳細に説明し、また当該技術分野における他の当業者が本願発明を実施することを可能とするために選択され、記載されたものである。本明細書において示された振動プロセス装置の実施の形態は、フィーダ又はコンベヤとして通常参照される一方、本願発明の教示するところは、締固め台、製粉機、又は他の振動プロセス装置のような他の用途に使用可能なことが分かる。
【0022】
図面を参照すると、図1には、当該技術分野において周知の一般的なタイプのフィーダ10が示されている。フィーダ10は、トラフ12のようなベッドを有している。このようなベッドは処理すべきワーク材料を受けるためのワーク面を規定している。トラフ12は、受入端18及び排出端20を有しており、当該ベッドを周辺領域から分離するスプリング14のような弾性部材に支持されている。
【0023】
振動駆動装置22は、ベッドの振動運動を発生させるためにトラフ12に弾性的に連結されている。図1に示した実施の形態においては、駆動装置22はスプリング24の如き弾性部材によってトラフ12に連結されている。駆動装置22は、直動アクチュエータ28と転向ウェイト30とを支持するベース26を有している。図1には、スプリング24の内側に配置された直動アクチュエータ28が示されているが、直動アクチュエータがベース26の他の位置に配置されていてもよいことは明らかである。更に、図1には一つのスプリング24が示されているが、ベース26とトラフ12との間に延びた多重スプリングを有していてもよい。また、本願発明の教示から逸脱する場合を除き、転向ウェイト30はベース26の如何なる部位に取り付けられていてもよい。
【0024】
動作中には、直動アクチュエータ28が直線力を発生させる。この直線力は、時間経過と共に正弦波的に変化し、又は非正弦波的に変化する。直線力はスプリング24によって増幅され、トラフ12に伝達されて、トラフ12の振動が引き起こされる。トラフ12のワーク面上に載置されたワーク材料は、トラフ12の振動に応じて移動する。トラフ12と駆動装置22との間に弾性結合により、図示された実施の形態は二質点系とみなすことができ、本明細書においては、励振質点に弾性結合されたワーク質点を有する振動装置として定義される。
【0025】
図1の装置においては、直動アクチュエータ28及びスプリング24は、ワーク材料を上昇させ、図中右方へ移動させるベッドの運動を発生させる。この運動によって、ワーク材料はトラフ12の受入端18から排出端20へと移動する。駆動装置22及び/又はスプリング24の取付方向は、異なる態様でワーク材料を移動させるために変更することが可能である。例えば、ワーク面上に載置されたワーク材料を締固めるように方向付けして、駆動装置22及びスプリング24を取り付けることも可能である。一般的には、スプリング24は、直動アクチュエータ28によって発せられる直線運動に沿う方向に配置される。この結果、直動アクチュエータ28が運転振動数にあるときに、スプリング24が所望の方向において固有振動数で励振され、これによってトラフ12が所望の運動を行うこととなる。
【0026】
直動アクチュエータ28は、空気圧、油圧、またはそれ以外の駆動手段により駆動される。図示した実施の形態においては、直動アクチュエータ28は、振動力を発生するために、アクチュエータ内部に往復ピストン29を有している。しかしながら、例えば偏心質量が取り付けられた互いに反対向きに回転する一対のシャフトのようなピストンとは異なる他の直線力の供給源を使用してもよいことは明らかである。直動アクチュエータ28が空気圧式又は油圧式である場合、直動アクチュエータ28への流体圧力は、ピストン29の往復振動数を調節するためだけでなく、直動アクチュエータ28の出力を調節するためにも制御される。その結果、駆動装置22が発生する振動力の振動数及び振幅が調節される。更に、ピストン29を駆動するために流体圧力が使用される場合には、直動アクチュエータ28の振動数及び出力を無制限に調節することが可能である。
【0027】
図2には、本願発明の教示に従った振動装置50の第2の実施の形態を示している。かかる振動装置50は、分離スプリング54によって周辺領域の上方に支持されたベース52を有している。増幅スプリング56は、ベース52に取り付けられた第1端と、ベッド58に取り付けられた第2端とを有している。ベッド58は、ワーク材料を受けるためのワーク面を規定している。
【0028】
振動力を発生するために、直動アクチュエータ60がベース52に取り付けられている。直動アクチュエータ60は、空気圧又は油圧によって動作する往復ピストン62を有している。動作中には、往復ピストン62によって生じた力がスプリング56によって増幅され、これによりベッド58の振動が発生する。
【0029】
図1の実施の形態と、図2の実施の形態との主要な差異は、分離スプリングの配置にある。図1の実施の形態においては、分離スプリング14がトラフ12に直接取り付けられており、その一方で図2の実施の形態においては、分離スプリング54がベース52に取り付けられている。分離スプリングの配置を除いて、これらの2つの実施の形態は構成及び動作は同様である。
【0030】
上述した実施の形態では、二質点系において振動力を発生させるために直動アクチュエータを使用している。直動アクチュエータによって与えられる力は単一の方向に作用し、このため、従来の駆動装置が有している回転モータによって生じる垂直方向の力成分(及びこれにより引き起こされる所望の振動への有害作用)が大幅に減少され、又は排除される。また、直動アクチュエータの重量は電動モータのそれに比べて小さく、よって駆動装置を軽量化することができる。このことは、処理対象の材料が軽量な用途に対して重要である。その理由は、装置を効率的に動作させるためにベッドの重量が駆動装置の重量よりも大きくなければならないことによる。更に、直動アクチュエータが圧縮流体により動作する場合には、電動モータよりも微細に動作を調節することができ、対象物を搬送する速度をより良好に制御することが可能となる。また、二質点系において直動アクチュエータを使用することにより、振動数の調節だけでなく、振幅の調節も可能となり、したがって、容易且つ低コストな方法による振動駆動装置の更なる調節が可能となる。
【0031】
上述の記載に鑑みて、当該技術分野における当業者にとっては、多数の修正実施形態及び代替実施形態が明らかとなるであろう。したがって、本実施の形態の記載は、単なる実例としてのみ解釈されるものであり、また本発明を実施するベストモードを当該技術分野における当業者に教示することを目的とするものである。その構成の詳細については、実質的に本願発明の要旨を損なわない範囲で変更することが可能であり、添付された特許請求の範囲に包含される全ての修正の独占的使用は保護されている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る二質点振動装置は、従来の駆動装置が有している回転モータによって生じる垂直方向の力成分(及びこれにより引き起こされる所望の振動への有害作用)を大幅に減少し、又は排除することができ、従来に比して装置の効率を向上させることができるという効果を奏し、振動プロセス装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る振動プロセス装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る振動プロセス装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 フィーダ
12 トラフ
18 受入端
20 排出端
14 スプリング
22 駆動装置
24 スプリング
26 ベース
28 直動アクチュエータ
29 往復ピストン
30 転向ウェイト
50 振動装置
52 ベース
54 分離スプリング
56 増幅スプリング
58 ベッド
60 直動アクチュエータ
62 往復ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、
対象物を受けるための搬送面を規定するベッドと、
当該ベッドに接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器と、
当該弾性増幅器の第2端に接続されたベースと、
当該ベースに取り付けられた直動アクチュエータとを備え、
前記直動アクチュエータは、前記ベッドを振動させるべく、前記弾性増幅器によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、
前記ベッドの振動に応じて前記ワーク材料を移動させる二質点振動装置。
【請求項2】
前記直動アクチュエータは、一の振動数及び振幅で駆動される往復ピストンを備える請求項1に記載の二質点振動装置。
【請求項3】
前記往復ピストンの振動数及び振幅は調節可能である請求項2に記載の二質点振動装置。
【請求項4】
前記ベースに接続された弾性分離器を更に備える請求項1に記載の二質点振動装置。
【請求項5】
前記ベッドに接続された弾性分離器を更に備える請求項1に記載の二質点振動装置。
【請求項6】
前記弾性増幅器は、少なくとも1つのスプリングを備える請求項1に記載の二質点振動装置。
【請求項7】
ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、
対象物を受けるための搬送面を規定するベッドと、
当該ベッドを基礎領域から分離するために、前記ベッドに接続された弾性分離器と、
前記ベッドに接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器と、
当該弾性増幅器の第2端に接続されたベースと、
当該ベースに取り付けられた直動アクチュエータとを備え、
前記直動アクチュエータは、前記ベッドを振動させるべく、前記弾性増幅器によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、
前記ベッドの振動に応じて前記ワーク材料を移動させる二質点振動装置。
【請求項8】
前記直動アクチュエータは、一の振動数及び振幅で駆動される往復ピストンを備える請求項7に記載の二質点振動装置。
【請求項9】
前記往復ピストンの振動数及び振幅は調節可能である請求項8に記載の二質点振動装置。
【請求項10】
前記弾性増幅器は、少なくとも1つのスプリングを備える請求項7に記載の二質点振動装置。
【請求項11】
ワーク材料を処理するための二質点振動装置であって、
対象物を受けるための搬送面を規定するベッドと、
当該ベッドに接続された第1端と第2端とを有する弾性増幅器と、
当該弾性増幅器の第2端に接続されたベースと、
当該ベースを基礎領域から分離するために、前記ベースに接続された弾性分離器と、
前記ベースに取り付けられた直動アクチュエータとを備え、
前記直動アクチュエータは、前記ベッドを振動させるべく、前記弾性増幅器によって増幅される直線的な振動力を発生させるように構成されており、
前記ベッドの振動に応じて前記ワーク材料を移動させる二質点振動装置。
【請求項12】
前記直動アクチュエータは、一の振動数及び振幅で駆動される往復ピストンを備える請求項11に記載の二質点振動装置。
【請求項13】
前記往復ピストンの振動数及び振幅は調節可能である請求項12に記載の二質点振動装置。
【請求項14】
前記弾性増幅器は、少なくとも1つのスプリングを備える請求項11に記載の二質点振動装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−214107(P2008−214107A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121390(P2008−121390)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【分割の表示】特願2004−1282(P2004−1282)の分割
【原出願日】平成16年1月6日(2004.1.6)
【出願人】(398019774)ジェネラル キネマティクス コーポレイション (16)
【Fターム(参考)】