説明

挿管装置

【課題】装置及び関連の気管内チューブの迅速で安全な配置を非常に容易にする要素の輪郭と配置とを含む挿管装置を提供する。
【解決手段】本体20’はハンドル24とこれから伸びるアームとを有する。アームは、好ましくは15°及び85°間の角度をなすベース部202と先端の持ち上げ部204とを備える。持ち上げ部204は、患者の喉頭蓋と係合し又はこれを持ち上げるような寸法及び形状に設定され、これにより、声門を露出させる。ベース部202と持ち上げ部204とは実質的に同じ長さであり、CCD又はCMOSカメラからなる観察装置80’が持ち上げ部204の末端に向けた透視像を与えるべく整列されている。発光ダイオードユニット212からなる光源が観察を容易にすべく持ち上げ部の末端に向けて配置される。装置の清掃を容易にし、また殺菌した多用途を提供するため、透明な保護鞘を前記アセンブリの全面に配置してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置、特に喉頭鏡のような挿管装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
人の気管への挿管は、患者の呼吸を容易にするため、手術室及び緊急施設で毎日行われている。挿管の目的は、気管内チューブの末端を喉頭内に配置しかつ基部端を患者の口の外に配置することにある。
【0003】
安全かつ効果的な挿管は、気管内チューブが患者の組織を傷付けることなく又は患者の組織によって閉塞されることなく喉頭、声門の上部へ向けられるように、患者の口を通しての気管内チューブの制御された挿入が求められる。これまで、挿管装置の改良が行われてきた。この装置は、一般的には、装置の先端又は末端が声帯近傍の声門に位置するように、患者の口の中に挿入されるいくぶん硬い構造を提供する。気管内チューブは前記装置の挿入の間又は挿入後に前記装置を通してスライドされる。
【0004】
先進の挿管装置は、点灯望遠鏡又は光ファイバ観察装置を提供する。前記望遠鏡は、前記装置の末端に配置された対物レンズを有する前記装置により運ばれ、また、使用者が、前記望遠鏡の観察端である前記基部を通して、前記装置及び前記気管内チューブの前進を観察するように配置されている。この装置は、通常、喉頭鏡と呼ばれている。
【0005】
この挿管装置の設計においては、再試行によって生じる有害な又は致命的な遅延なしに前記装置及びチューブの迅速な配置を可能にする形状を提供することが重要である。
【0006】
気管内チューブの正確な配置は確かに重要なことである。顔面及び頸部の外傷又は血液の存在、擦過傷、粘液等は、患者の食道への前記チューブの方向錯誤を引き起こす。
【0007】
一般の喉頭鏡は、前記したように患者の口を通して挿入される末端を有する細長くて、実質的に真っ直ぐなブレード部分を提供する。このような装置の例がコラツェリ ジュニアの米国特許第4,360,008号明細書(「コラツェリ ジュニア」)及びベラルの米国特許第5,827,178号明細書(「ベラル」)に見られる。これらの装置の幾何学的配置は、患者の口を通して挿入され声門へ移動するときの前記ブレードの見通し線を直接に観察する間に、開業医が前記装置を挿入することを可能とする。しかし、患者の口から声門までの通路は真っ直ぐではない。このため、この喉頭鏡の挿入の間、開業医は、通常は患者の顎を上げるために患者の頭部を後ろへ引くことにより、前記喉頭鏡を受け入れるための通路ができるだけ真っ直ぐになるように、努力して患者の頭部を物理的に操作しなければならない。この操作は好ましいものではなく、特に、患者が頸部又は頭部に負傷を負うことがある。さらに、このような真っ直ぐな装置を挿入するための開業医の見通し線すなわち視線は、しばしば、組織等へのぶつかりによる妨害を受ける。
【0008】
発明者等は、挿入の間における開業医の視野を改善することにより、公知の喉頭鏡のこれらの問題を解消せんとする。例えば、「ベラル」は、前記刃の末端の近傍に据えられたカメラと、前記喉頭鏡に据えられた観察装置とを含み、このため、開業医は、挿入の間に見通し及びカメラの視野の線を同時に得る。しかし、末端に向けて配置されたカメラの視野は、通常、組織や破片から保護されず、このため、簡単に妨害される。さらに、このような配置は、通常、あまりにも狭いため、喉頭内への喉頭鏡及び気管内チューブの適切な挿入及び配置を容易にするのに役立つ見通しを開業医に提供しない。また、前記真っ直ぐなブレードが適切な挿入を困難にする。
【0009】
公知の喉頭鏡ついての他の改善は、ウッドの米国特許第5,800,344号明細書(「ウッド」)に示されているように、前記ブレードの輪郭加工を行うこと及び観察を容易にするためにこのようなブレードに沿ってイメージセンサを滑動可能に取り付けることを必要とする。しかし、適切に挿入されるように、このような装置は、未だ、患者の頭部及び頸部の望ましくない操作を必要とする。
【0010】
これらのタイプの公知の喉頭鏡の挿入を容易にするため、「コラツェリ ジュニア」に示されているように、ある発明者等は、前記ブレードに複数の移動チップを加えた。しかし、これらのチップは、一般的に、あまりにも小さいため、喉頭蓋を適切に支持することができず、また、これらは、未だ、開業医に細長くて真っ直ぐな又は実質的に真っ直ぐなブレードを挿入することを求め、このため、患者の頭部及び頸部の望ましくない操作が必要とされる。
【0011】
本発明は、公知の挿管装置についてのこれらの及び他の問題を解消する。それは、前記装置及び関連の気管内チューブの迅速で安全な配置を非常に容易にする要素の輪郭と配置とを含む挿管装置を提供する。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、その装置は、ベース部と細長い持ち上げ部であってこれから、好ましくは15°と85°とを含むこれらの間の角度で伸びる先端又は末端を有する持ち上げ部とを備えるブレード又はアームを提供する。前記持ち上げ部は、患者の喉頭蓋に係合し、これを持ち上げて支持し、これにより、声門を露出させるようなサイズ及び外形からなる。好ましい実施例では、前記ベース部と前記持ち上げ部とは実質的に同じ長さであり、また、好ましくは前記ベース部と前記持ち上げ部との変化部の近傍に配置されたCCD又はCMOSカメラからなる観察装置が、前記持ち上げ部の末端に向けて透視図を提供するように整列配置されている。好ましくは発光ダイオードのユニットからなる光源が、観察を容易にするため、前記持ち上げ部の末端に向けて配置されている。本装置の洗浄を容易にし、また殺菌された多数回使用のため、透明な保護被覆が組立体を覆うようにこれを配置することができる。
【0013】
他の実施例では、開業医が一瞥して特定の患者に最適な角度を選択することができるように、前記持ち上げ部が前記ベース部に枢着されている。
【0014】
また、本装置は、気管内チューブの末端が声門に向けて直接に本装置に沿って移動可能であるように、前記チューブの移動を案内するための経路を提供する。この例において、本装置は望遠鏡が据えられる通路を含む。前記案内経路及び通路の配列は、前記チューブの末端が声門へ進められるときに前記チューブの末端が観察可能に維持されることを保証する。
【0015】
本装置及び前記チューブの移動の観察は、本装置の末端での障害物除去の創案により拡大される。この点について、本装置は、その末端における空き地又は空間を確立するための構造を含み、これに患者の組織が侵入することが防止される。前記観察装置の内側の端部はこの空間に配置され、また該空間が操作者の視界を遮るであろう流体及び蒸気に妨げられないように維持することを確保するための吸引管が配置されている。
【0016】
さらに、前記空間を確立するため、突出した防護又はガードが含まれる。このガードは、本装置の所望の挿入位置に組織を横切って本装置の円滑な滑動を許すようにある角度に曲げられている。
【0017】
本発明の好ましい実施例では、本装置はその末端へ又は該末端から流体を出すための第2の流体通路を含む。さらに、本装置は、喉頭内の異物を明瞭な監視下で除去するための鉗子のような二次的装置を案内するためのチャンネルを提供する。
【0018】
本発明の他の利点及び特徴は、この明細書及び図面の以下の部分の検討により明らかとなろう。
【0019】
好ましい実施例の詳細な説明
本発明の好ましい実施例に従う改良された挿管装置が図1−図11に示されている。特に、図1−図6は第1の好ましい実施例を示し、図7、図8及び図11A−Bは第2の好ましい実施例を示し、また、図9及び図10は第3の好ましい実施例を示す。不必要な充実を回避するため、これらの3実施例間の共通の要素には同様の番号が付されている。
【0020】
A 第1の好ましい実施例
特に図1及び図6を参照すると、本発明に従って形成されかつ使用される挿管装置の第1の好ましい実施例は、概して、一体に取り付けられたハンドル24を有する細長いアーム22を含む本体20を備える。この装置は、好ましくは、殺菌に耐え得る金属又は硬質プラスチックで形成される。
【0021】
この装置のアームは、患者28の口腔すなわち口に挿入される先端又は末端26を有する。好ましくは、本装置は、患者が横になり、顔面を上に向け、頭部をわずかに後方へ傾け、吸い込み姿勢として知られたものに支持される間に挿入される。本装置の説明を進めるに先立ち、ここで、人間の患者の関連のある部位を確認することは有益であろう(図6)。
【0022】
前記したように、本装置は、患者の口30を通して先ず末端26が挿入される。以下に説明するように、適切に挿入されると、気管内チューブ40の末端が咽頭喉頭部32内に存する。患者の喉頭蓋34が、声門36を露出するように、本装置によって支持される。本発明において、本装置は、声門36を経て声帯44の近くの喉頭42に入る気管内チューブ40の終端38の進行を望遠鏡で見ることを考慮する。この分野において公知のように、気管内チューブ40は患者へ及び患者から空気が導かれることを許容する。本装置は、装置20及びチューブ40が望遠鏡又は他の光学装置によって適切に配置されかつ連続的に観察され得る容易性を非常に増大させる数多くの特徴を含む。
【0023】
より詳細には、装置20のアーム22は、ハンドル24内において及びその前面46において、挿入される装置20に関してチューブ40の円滑な進行のための案内通路を規定する。この説明の目的のため、装置の前面46は、図6に示す場合には、挿管された患者の下顎48に相対する。
【0024】
前記案内通路は、ハンドル24を経て形成されているチャンネル50(図1)からなる一部を含む。注目すべきは、ハンドル24が、細長いアーム22に関して全体に直角な方向に伸びていることである。しかし、チャンネル50は、ハンドル24の長さ及びアーム22に対して全体に斜めの方向へハンドル24を経て伸びている。言い換えれば、チャンネル50の方向は、チューブ40の終端がチャンネル50を経て進行した後、これが現れ、鋭角52で装置の前面46に当接し、前記面に沿って装置の末端26に向けて滑動するようになっている。
【0025】
本装置の前記末端に近づくと、相対する側縁部54が次第に立ち上がり、縁部54間の前面部分との組み合わせで、図5に最も良く示されているように、断面において全体に湾曲した溝56を規定する。好ましくは、溝56の曲率半径は、ほぼチューブ40の外径に一致する。このように、チューブ40の終端はこの溝56を介して正確かつ円滑に案内され、前記溝は、前記した案内通路の他の一部を構成する。
【0026】
側縁部54は、本装置の一部であり、またアーム22の長さに関して約45°の角度で装置の末端26から突出するループ60に終端している。端から見ると、前記ループは、チューブ40の終端38が経て伸びる細長い開口64を規定する。
【0027】
ここで、本装置の好ましい実施例で用いられる気管内チューブ40が可撓性のあるプラスチックの管材料で形成されていることを指摘することは有用である。このようなチューブの1つは、ミズーリ州セントルイスのマリンクロット社(Mallinckrodt, Inc.)により、商標Mallinckrodtの下で製造されている。このチューブは、必要なときに容易に変形するが、緩めると湾曲形状をとるように構成されている。本発明において、ループ60は、チューブ40の終端38がループ60を経てこれを通過するとき、湾曲され、緩められた形状に近づくことが可能であるように構成されている。
【0028】
より詳細には、細長い開口64(細長い、すなわち、図2及び図5に示すように、アーム22の前面から離れる方向へ)が、図1に示すように、可撓性のあるチューブ40がアーム22の末端26から離れて元の形に戻り、ループ60の下側すなわち内面66に着座することを許す。この内面66は、前記チューブの外径に一致するように湾曲しており、これにより、前記した溝56と同様の仕方で、ループ60を通しての正確で円滑な案内を提供する。したがって、前記ループは、前記した案内通路の他の一部を構成する。前記したチューブの移動の利点は以下においてさらに十分に論じる。
【0029】
ループ60は、本装置が完全に挿入されるときに患者の喉頭蓋34を圧迫する表面68を有する。結果として、喉頭蓋34及び周囲の組織は、これらが声門36をふさがない位置に本装置により保持される。
【0030】
ガード70が本装置のアーム22の末端においてアーム22の底部から伸びている。前記ガードはアーム22の延長であり、また、本装置の挿入時に本装置の末端が患者の組織に損傷を与えることなく該組織に対する前進を許す、滑るような動きをする下面を提供するように上方に向けて曲げられている。したがって、ガード70は、患者の組織を保護する間、本装置を挿入するのに必要とされる骨折りを軽減する。
【0031】
一旦、アーム22が正しい位置におかれると、ガード70は、喉頭咽頭部32内の組織がアーム22の末端26に当接し、また本装置によって運ばれる観察装置に有用な視野を遮ることを阻止する。この実施例では、望遠鏡80が示されている。この点について、望遠鏡80は、その端部82に対物レンズを有する長い管状の要素に終わるものである。前記望遠鏡の末端は、アーム22を経て形成された望遠鏡通路83に嵌合している。また、前記望遠鏡は、通路83の外方端部88の近傍で望遠鏡80に据えられ、望遠鏡80に照明を提供する光ポスト86を含む。本装置の好ましい実施例において、適当な望遠鏡は、型番8853.42としてマサチューセッツ州サウスブリッジのヘンケ−サス ウルフ オブ アメリカ社(Henke-Sass Wolf of America Inc)により製造されているような、約25°の観察角を有するものである。
【0032】
本発明の好ましい実施例において、本装置には、通路83の外方端部の近傍でアーム22に据えられたクリップ90が設けられている。クリップ90は、間隔を置かれた2つのアーチ形アーム92を含み、これらのアームは、前記望遠鏡が装置22に関して所定位置にスライドされるとき、全体に円筒形状の光ポスト86を両アーム間に開放可能に受け入れるように、わずかに離れて伸び広がっている。したがって、クリップ90は、使用の間、前記望遠鏡を正確な場所にまた望遠鏡通路83内に保持する作用をなす。さらに、前記クリップのアーム92が前記望遠鏡の放射状突起(すなわち、光ポスト86)と係合しているため、前記望遠鏡は、アーム22に関する所望の方向からの不注意の回転に抗して保持される。クリップ90のアーム92は弾性を有し、また前記望遠鏡が交換及び清掃のために前記装置から引かれるときに光ポスト86を開放するように容易に別々に動く。
【0033】
アーム22の末端26について再考すると、望遠鏡80の端部82は、前記望遠鏡が設置されるとき、通路83の内方端部84に置かれる。前記したように、ガード70は組織が前記望遠鏡の端部に接触することを阻止する。より詳細には、ループ60及びガード70の双方の望遠鏡保護又は組織引込みの効果が、前記装置の末端の近傍にあって視界を遮断する組織から自由である、前記ガードと前記ループとの間の空間100を確立する効果を有する。前記望遠鏡通路の内方端部84(したがって、設置された望遠鏡の端部82)がこの空間100中にある。このため、気管内チューブ40の進行し、先導する端部38の望遠鏡観察を少なくとも部分的に遮る組織による影響を受けない。
【0034】
先に指摘したように、ループ60の形状は、該ループから伸びる前記チューブがその緊張が解かれ、湾曲した形状を呈することに資する。このため、先導部の終わり38が声門36に向けて上方へ方向を変え(図6を考慮して)、患者の食道43への危険な立ち入りとなるであろうことから離れることに役立つ。
【0035】
チューブ40は、患者の下顎と望遠鏡の通路83との間で、アーム22の前面46上に進められる。この方向は、チューブ40の湾曲した前記案内通路との組み合わせで、前記チューブの進行し先導する端部38が前記望遠鏡の端部82の近傍と交差することなしに前記望遠鏡の視野内に残るように(前記声門に残るように)保証する。交差は声門36と相対して前記チューブが見えないように覆い隠す。
【0036】
例えば、望遠鏡の端部82に設けられたレンズが声門36に向けて視界を与えるように上方へ曲げられていると、ループ60の内面下からのチューブの端部38の移動が、前記望遠鏡の視野の中心を規定するラインとほぼ平行になる。望遠鏡の端部82とチューブの端部38とのこの相対的位置決めが、従来の装置と比較して、進行するチューブの観察を非常によくすることが分かった。
【0037】
本装置の挿入に伴う正確性は、本装置により、挿入過程の間に患者に即座の呼吸を与えるようにチューブ40を通しての間欠的な空気(正圧)の供給が可能である。このため、前記チューブへの従来の空気または酸素の供給は、このように本装置の挿入の間につながれまた制御される。
【0038】
空き地又は空間100には、頸部の外傷の場合に存する血液、浸出液、粘液のような流体が入りやすい。本発明の他の態様では、このようなものの十分な吸引除去が行われる。この目的のために、アーム22には、望遠鏡通路83の内方端部84下で本装置の末端26に開放する内方端部104を有する通路102が設けられている。通路102の外方端部で本装置に据えられたコネクタ103に吸引チューブ101(図6)を取り付けることができる。空間100に溜まり始める任意の流体を除去するため、吸引が行われる。本装置は、前記望遠鏡の通路の内方端部が吸引通路102の内方端部104の上方にある(図1)ように配置されることが注目点である。このため、前記吸引通路の端部104は、空間100の貯留場所と呼ばれるところに存する。不所望の流体は、据え付けられた望遠鏡80の端部82を覆い隠すレベルに達する前に除去される。
【0039】
吸引を行うことは、(光源により加熱される)前記望遠鏡を冷却することに役立ち、あるいは前記望遠鏡のレンズ上に凝結するであろう蒸気を除去するため、視界を妨げる流体の不存在下においても空間100への吸引を行うことが考えられる。
【0040】
好ましくは、前記アームに、実質的に吸引通路102に匹敵するような、もう1つの他の通路106(図5)が設けられる。この他の通路は、もう一つの他のチューブを確保するように利用可能であり(したがって空間100の全部の吸引を増大させ)、あるいは、選択的に、前記声門領域の酸素濃度を増大させるように酸素のような気体をこの通路106を通るように向けることができる。
【0041】
1又は双方の通路102,106により行われる吸引は、前記望遠鏡通路の内方端部84の近傍に流体流動の渦巻きを生じさせ、これにより、前記望遠鏡を通しての視界を曇らせるであろう血液のような任意の流体汚染物を前記望遠鏡の端部(レンズ)82から除去する、特に効果的な方法を提供する。これにより、前記望遠鏡は前記レンズをきれいにするために除去されることを要しない。
【0042】
本装置の様々な要素の配列が前記アーム及びハンドルの長手方向軸線に関して実質的に対称である1つの装置を示すことが望ましい。したがって、前記装置は右利き又は左利きの操作者により容易に使用可能である。
【0043】
また、ハンドル24内のチャンネル50が表面25(図1)のような前記ハンドルの一側面に開口するような形状のものとすることが考えられ、これにより、前記ハンドル内に溝のようなチャンネル50を形成することが考えられる。その結果、チューブ40は、前記チャンネル又は溝内へ側面から挿入することができる。チャンネル50及び表面25の交差点において、前記溝の幅が、その残部とくらべて、可撓性のチューブ40の直径よりわずかに狭い幅にまで、幾分狭いものとすることができる。この形状は、前記チューブがこの形状のチャンネル内にスナップ係合(snap-fit)により固定されることを可能にする。
【0044】
B 第2の好ましい実施例
図7、図8及び図11を特に参照すると、本発明に従って形成され、使用される挿管装置の第2の好ましい実施例は、好ましくは殺菌に耐えうる金属又は硬質プラスチックで一体に形成された、一体的に取り付けられたハンドル24を有する細長いアーム22を有する本体20’を含む。前記アームは、図7に最もよく示すように、細長いベース部202と、該ベース部から伸びる持ち上げ部204とを含む。前記アームの全長は、前述のように患者内への配置に適正な大きさであり、また持ち上げ部204は、患者の喉頭蓋34(図8)と係合し又はこれを持ち上げるための細長い滑らかな表面206を有するような大きさ、形状であり、これにより、図8に最もよく示すように声門を露出させる。その結果、喉頭蓋34及び周囲の組織が、これらが声門36を塞がない場所に本装置により保持される。
【0045】
好ましくは、持ち上げ部204は、少なくとも約3センチメートルの長さを有し、また、ベース部202と持ち上げ部204との間の角度208は5°及び90°を含んでこれらの間にある。さらに好ましくは、持ち上げ部204の長さ205は、約4センチメートル及び8センチメートル間にあり、持ち上げ部204及びベース部202間の角度208は30°及び60°間にある。より一層好ましくは、持ち上げ部204の長さ205はベース部202の長さ207とほぼ同じであり、これらの双方は約6センチメートルの長さであり、また前記持ち上げ部及び前記ベース部間の角度208は約45°である。明らかに、ベース部202と持ち上げ部204との間の全体的な幾何学的配置は、本装置の効果的な操作のために重要である。比例して小さいサイズは小児科への適用に有用である。
【0046】
好ましくはカメラ80’である観察装置が操作可能に本装置に取り付けられており、好ましくは、ベース部202及び持ち上げ部204間の変わり目又は変化部の近傍に持ち上げ部204の後面に沿って配置され、また持ち上げ部204の末端210に向けての透視図を与えるように整列されている。より好ましくは、カメラ80’は、ハンドル25から見て本装置の左側に据えられており、これにより、患者の舌の中心線の下方への直接の通過を可能にする。持ち上げ部202は、組織及び破片による妨害から前記カメラを保護する。さらに、持ち上げ部204の末端210から離してカメラ80’を配置することは、使用者に全部のエリアの明瞭な透視図を提供する。
【0047】
好ましくは発光ダイオード(LED)212からなる1又はそれ以上の光源が、操作者の観察を容易にするために好ましくは前記持ち上げ部に沿って配置されている。前記カメラのレンズの前方における1又はそれ以上の発光ダイオード冷光要素の使用により、いかなる熱をも生じさせることなく、必要とされる光が供給される。したがって、光ファイバ咽頭鏡に典型的に使用される従来の高価なゼノン光(Zenon lights)と異なり、経済的な発光ダイオードは感応膜を燃やすことはなく、またほとんどの気管内チューブ(endotracheal tube)に見られる薄いプラスチック製のカフに損傷を与えることもない。
【0048】
カメラ80’は、好ましくはCMOS又はCCDハイブリッドカメラであり、これらの両者は、このような適用において使用された従来のカメラと比べて、よりコンパクトであり、軽量であり、光感応性があり、また経済的である。このようなカメラの製造者及び販売者は、知られたものとして、サン・マイクロシステムズ、アメイン・エレクトロニクス及びミスミ・エレクトロニクスを含む。好ましくは、カメラ80’は、本装置のハンドル24内に収容されたバッテリ又はA/Cコネクションのような電源214と適当な関連エレクトロニクス216とに操作可能に接続されている。図11A及び図11Bに最もよく示すように、カメラ80’は、ディスプレイ218に直接(図11B)又は遠隔(図11A)の接続のいずれかにより操作可能に接続されている。この遠隔接続は、本装置内に受け入れられた送信器220と、送信器220からビデオ信号を受けるための受信器222を含むディスプレイ218とを含み得る。代わりに、このようなシステムは、赤外技術又はこれに類似のものを含み得る。また、カメラ80’と関連の受信器220とはディスプレイ、又は「ブルートゥース」として一般的に知られた発展中の業界標準を通した遠隔設置のような他の機器と通信可能である。また、この通信は、インターネット又はこれに類似のものを通した情報の伝達に利用することができ、これにより、リアルタイムでの遠隔的な可能の分析、助言、援助及び/又は教示を容易にすることができる。
【0049】
ディスプレイ218は本装置から取り外し、又は本装置に取り付けることができ、また、ディスプレイ218は、患者の生命徴候等のような他の関連情報を同時に表示するように構成することができ、これにより、本装置の操作者の使用を容易にすることができる。
【0050】
好ましくは、カメラ80’はアーム22内の密閉されたチャンバ224内に固定され、これにより、水、気体及び殺菌過程において使用される化学物質から保護する。より好ましくは、チャンバ224は湿気のない窒素気体を含み、これにより望ましくない凝結を回避する。好ましくは、CMOS又はCCDカメラ本体もまた密閉される。
【0051】
前記装置の清掃を容易にし、また殺菌した多用途を提供するため、しっかりと取り付けられた透明な保護鞘(図示せず)を前記アセンブリの全面に配置してもよい。前記鞘は前記視界を妨げないように前記カメラのレンズを覆ってしっかりと取り付けられる。好ましくは、前記鞘は、使用中に曇る傾向がほとんどなく、かつ気道の温度と急速に平衡し、粘液及び血液をはじくプラスチックのような透明ポリマーからなる。
【0052】
前記装置は、また、前記カメラのレンズに酸素及び/又は流体を送るための通路(図示せず)を含むようにすることができ、これにより、操作中の前記レンズからの障害物除去及び前記レンズの清掃に役立つ。
【0053】
前記実施例は、また、前記第1の好ましい実施例におけるように、気管内チューブ40を円滑に受け入れるための案内通路、溝及びループを含むものとすることができる。選択的に、前記装置は、気管内チューブ40のようなものの受け入れを与えることのない、従来の喉頭鏡として使用することができる。
【0054】
前記装置の様々な要素の配列が、前記アーム及び前記ハンドルの長手方向軸線に関して実質的に対称である装置を表していることを察知されよう。このため、この装置は、右利きまたは左利きの操作者により容易に使用可能である。
【0055】
C 第3の好ましい実施例
特に図9及び図10を参照すると、本発明に従って形成され、使用される挿管装置の第3の好ましい実施例が開示されている。これは、前記観察装置及び光源を含む前記第2の好ましい実施例の一体に取り付けられたハンドル24を有する細長いアーム22を全体に含む本体20”を含む。しかし、アーム22の持ち上げ部204は、図9に最もよく示すように、枢着点301においてベース部202に枢動可能に取り付けられている。
【0056】
特に、一端部にハンドル302を有する操作レバー300が、持ち上げ部204を枢着点301の周りに枢動させるように、ベース部202内のチャンネル304を経て伸びる。前記操作レバーと前記ベース部との間の複数の戻り止め306が、ユーザーに、持ち上げ部204とベース部202との間の所望の角度208を選択し、また所定の位置にロックすることを可能としている。したがって、前記操作レバーを操作することにより、特定の患者のための持ち上げ部204とベース部202との間の最適な角度208が開業医によりその場において選択可能である。
【0057】
この実施例は、また、前記第1の好ましい実施例におけるように、気管内チューブ40を滑動可能に受け入れるための前記案内通路、溝及びループを含む。これの代わりに、図9に示すように、前記装置は、気管内チューブ40のようなものの受け入れを与えることのない、従来の喉頭鏡として使用することができる。
【0058】
本発明が好ましい実施例の点から記載されているが、本発明の精神及び範囲がこれらの実施例に限定されず、しかし、添付の請求の範囲に定義されているように様々な変更及び均等物に及ぶことは当業者によって認識されよう。例えば、他のタイプの観察装置を使用することができる。さらに、前記装置の末端に他の装置を加えるために追加のチャンネルを設けることができる。図1は、例えば喉頭から異物を除去する際に用いられるように前記装置の末端への細長い鉗子の進行を許す選択的なチャンネルのようなものを鎖線110で示す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、気管内チューブを含んで示された、本発明に従って形成された装置の好ましい実施例の側面図である。
【図2】明瞭化のために気管内チューブが除去された、図1に示す装置の正面図である。
【図3】図1に示す装置の底面図である。
【図4】図1に示す装置の平面図である。
【図5】図1の線5−5に沿って得た断面図である。
【図6】患者の口の中に挿入された、図1に示す装置の側面図である。
【図7】気管内チューブを含んで示された、本発明に従って形成された装置の第2の好ましい実施例の側面図である。
【図8】患者の口の中に挿入された、図7に示す装置の側面図である。
【図9】本発明に従って形成された装置の第3の好ましい実施例の側面図である。
【図10】患者の口の中に挿入された、図9に示す装置の側面図である。
【図11A】観察装置の典型を示す組立図である。
【図11B】他の好ましい観察装置の典型を示す組立図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口腔を通して患者に挿入される一部を有する挿管装置であって、
本体であってこれに取り付けられたハンドルを有する本体と、
前記本体に取り付けられた細長いベース部と、患者の喉頭蓋との係合のために滑らかな表面を有する細長い持ち上げ部と、最初に患者の口腔を通して先端を挿入するための先端部とを有する細長いアームであって、前記持ち上げ部が少なくとも3cmの長さを有し、また前記ベース部から少なくとも5°の角度まで伸びる、アームとを含む、挿管装置。
【請求項2】
さらに、前記ベース部が前記アームの持ち上げ部と出会う領域の近傍に配置された観察装置を含み、該観察装置は前記持ち上げ部の先端に向けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記観察装置は、望遠鏡からなる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記観察装置は、CMOSカメラである、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記観察装置は、CCDカメラである、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも5°の角度は、5°及び85°を含みかつこれらの間の全てを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも5°の角度は、30°及び60°を含みかつこれらの間の全てを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも5°の角度は、ほぼ45°である、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記持ち上げ部に操作可能に取り付けられた光源を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記光源は発光ダイオードである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記観察装置はCMOSカメラであり、さらに、前記持ち上げ部に操作可能に取り付けられた発光ダイオードを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記持ち上げ部は、枢着点において前記ベース部に枢動可能に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
さらに、前記枢着点の周りの予め選択された位置で前記持ち上げ部を作動させまた保持するためのロックレバーアームを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
さらに、前記観察装置から映像を見るためのディスプレイを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
前記ディスプレイは前記カメラに遠隔的に接続されている、請求項14に記載の装置、
【請求項16】
前記持ち上げ部は、3−10cmの長さの全てを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記持ち上げ部は、4−8cmの長さの全てを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記持ち上げ部は、ほぼ6cmの長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
患者の口腔を通して患者に挿入される一部を有する挿管装置であって、
本体であってこれに取り付けられたハンドルを有する本体と、
前記本体に取り付けられた細長いベース部と、患者の喉頭蓋との係合のために滑らかな表面を有する細長い持ち上げ部と、最初に患者の口腔を通して先端を挿入するための先端部とを有する細長いアームであって、前記持ち上げ部が少なくとも前記ベース部と同じ長さを有し、また前記ベース部から少なくとも5°の角度まで伸びる、アームとを含む、挿管装置。
【請求項20】
さらに、前記ベース部が前記アームの持ち上げ部と出会う領域の近傍に配置された観察装置を含み、該観察装置は前記持ち上げ部の先端に向けられている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記観察装置は、CMOSカメラである、請求項21に記載の装置。
【請求項22】
前記観察装置は、CCDカメラである、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
さらに、前記持ち上げ部に操作可能に取り付けられた光源を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記光源は発光ダイオードである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
患者の口腔を通して患者に挿入される一部を有する挿管装置であって、
本体であってこれに取り付けられたハンドルを有する本体と、
前記本体に取り付けられた細長いベース部と、患者の喉頭蓋との係合のために滑らかな表面を有する細長い持ち上げ部と、最初に患者の口腔を通して先端を挿入するための先端部とを有する細長いアームと、
前記ベース部が前記持ち上げ部と出会う近傍で前記アームの後方に取り付けられた観察装置であって前記持ち上げ部の先端に向けられている観察装置とを含む、挿管装置。
【請求項26】
前記ベース部は、前記細長いアームの実質的に中間部で前記持ち上げ部と出会う、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記観察装置は、CMOSカメラである、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記持ち上げ部は、前記ベース部に枢動可能に取り付けられている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
さらに、前記持ち上げ部に操作可能に固定された発光ダイオードを含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
さらに、前記カメラに操作可能に取り付けられたディスプレイを含む、請求項29に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2012−161617(P2012−161617A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−58737(P2012−58737)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【分割の表示】特願2002−516952(P2002−516952)の分割
【原出願日】平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願人】(503051039)
【Fターム(参考)】