説明

捕虫装置

【課題】コンパクト且つシンプルな構成にして、十分な捕獲面積を確保することができ、近付いてきた虫類をその飛翔を待たずに直ちに捕獲することができ、以て、捕獲効率を格段に向上させることができる捕虫装置を提供することを課題とする。
【解決手段】前面を大きく開口して前面開口部2設けた額縁状の本体ケース1と、側辺にLEDユニット3を備えていて本体ケース1に内装される導光板4と、導光板4の上に重合状態にされる透光性の粘着シート5とから成り、粘着シート5が本体ケース1の前面開口部2に露出状態にされ且つ導光板4によってバックライト式照射されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫装置に関するものであり、より詳細には、例えば、食品工場、薬品工場等のように、昆虫その他の小さな虫類の侵入を極力阻止する必要のある場所に設置される、捕獲効率の高い捕虫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工場や薬品工場等においては、有害・無害を問わず、昆虫その他の小さな虫類の侵入は、極力阻止することが要請される。そのために、工場の建屋内要所に種々の捕虫装置が設置される。その多くは、基本的には、虫類を引き寄せるための誘引灯と、集まった虫類を捕獲するための粘着手段とで構成される。
【0003】
例えば、内壁面に粘着性を持たせた断面半円形のケース内に、誘引灯(蛍光管(BLランプ))を配置したものが知られている(特許第2694726号公報、特許第2599101号公報)。この構成の場合、虫類は、誘引灯に誘引されてその周囲を飛翔する間に、その奥の粘着性を有する内壁面に接することにより粘着捕獲される。
【0004】
この従来の捕獲方法は、言わば、粘着面が直接的に虫類を捕獲するのではなく、誘引灯近傍を飛翔する虫類が粘着面に付着するのを待つという、言わば間接的な捕獲方法であるため、決して最も効率の良い捕獲方法ということではない。また、虫類が、粘着面を有する本体内部に進入するための誘引灯周囲の開口部分はそれほど広くはなく、この点も捕獲効率を考える上でマイナス要因となっている。更に、従来誘引灯としては、一般に蛍光管(BLランプ)が用いられているが、より誘引力のある照明手段の採用が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2694726号公報
【特許文献2】特許第2599101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の捕虫装置の場合は、誘引灯に誘引された虫類が誘引灯の周囲を飛翔する間に、その奥の粘着性を有する内壁面に粘着捕獲されるのを待つという、言わば間接的な捕獲方法であり、また、虫類を本体内部に進入させるための誘引灯周囲の開口部分が十分に広くないために捕獲効率が良くないという問題があり、更に、従来用いられている誘引灯は、必ずしも十分な誘引力があるとは言えないものであった。
【0007】
本発明は、上記従来の捕獲装置における諸問題を解決するためになされたもので、コンパクト且つシンプルな構成にして、十分な捕獲面積を確保することができ、近付いてきた虫類をその飛翔を待たずに直ちに捕獲することができ、以て、捕獲効率を格段に向上させることができる捕虫装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、前面を大きく開口して前面開口部を設けた額縁状の本体ケースと、側辺にLEDユニットを備えていて前記本体ケースに内装される導光板と、前記導光板の上に重合状態にされる透光性の粘着シートとから成り、前記粘着シートが前記本体ケースの前面開口部に露出状態にされ且つ前記導光板によってバックライト式照射されることを特徴とする捕虫装置である。
【0009】
一実施形態においては、前記LEDユニットは、前記導光板の少なくとも一側辺に沿って、予め又は前記本体ケース内収納後に配備され、また、前記LEDユニットは、複数のLEDチップを交換可能にして配設したものとされ、更に、捕獲する虫類の種類に応じて適宜所望の波長のLEDチップの組み合わせに交換可能にされる。また更に、誘引力を一層高めるために、適宜個所に虫類を誘引するための音波発生器を付設することが好ましい。
【0010】
また、一実施形態においては、前記本体ケースは、一側面に、前記導光板及び前記粘着シートを挿入するための導光板挿入口を有するものとされる。あるいは、前記本体ケースは、少なくとも一辺が、それが接する2つの辺に対して脱着可能にされて、その取り外し時に、前記導光板及び前記粘着シートの装填が可能にされ、もしくは、前記本体ケースは、少なくとも一辺がヒンジ止めされて開閉可能にされて、その開状態時に、前記導光板及び前記粘着シートの装填が可能にされ、更に一実施形態においては、前記粘着シートは、前面を大きく開口して前面開口部を設けた薄手の透明ケース内に収めた状態で、前記導光板の上に重合される。
【0011】
上記構成の本体ケースを複数組み合わせて、1つの捕虫装置を構成することもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る捕虫装置は、上述したように、前面を大きく開口して前面開口部を設けた額縁状の本体ケースと、側辺にLEDユニットを備えていて前記本体ケースに内装される導光板と、前記導光板の上に重合状態にされる透光性の粘着シートとから成り、前記粘着シートが前記本体ケースの前面開口部に露出状態にされ且つ前記導光板によってバックライト式照射されることを特徴とするものであるため、全体的にシンプルでコンパクトな構成であり、装置の前面の大部分が誘引面且つ捕獲面となって、十分な捕獲面積を確保することができるため、捕獲効率の大いなる向上を期待し得る効果がある。
【0013】
また、捕獲面である粘着シートが誘引面である導光板の外側にあるため、誘引されて近付いてきた虫類は、飛翔を待たずに直ちに粘着シートに触れて捕獲されるため、本発明に係る捕虫装置は、この面においても従来の捕虫装置に比較し、格段に捕獲効率が向上し得るものとなる。
【0014】
更に、請求項2、3に係る発明においては、誘引灯としてLEDユニットを採用していて、虫類の好む波長の発光をするLEDを用いることができるために誘引効率を向上させることができ、特に請求項3に係る発明においては、LEDユニットが複数のLEDチップを交換可能にして配設したものとされていて、捕獲する虫類の種類に応じて適宜所望の波長のLEDチップの組み合わせに交換して使用することが可能であるため、より一層誘引効率を向上させることができ、請求項4に係る発明においては、虫類に対する誘引力が一層高まり、以て、捕獲効率の更なる向上を企図し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る捕虫装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る捕虫装置の他の実施形態の構成を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係る捕虫装置の一実施形態の構成を示す斜視図であり、図2はその分解斜視図である。そこに示されるように、本装置は、前面を大きく開口して前面開口部2を形成した額縁状の本体ケース1と、本体ケース1に内装される、LEDユニット3を付設した導光板4と、導光板4の上に重合状態にされて本体ケース1内に装填される透光性の粘着シート5とで構成される。そして、粘着シート5は、本体ケース1内装填時においてその粘着面の全部又は大部分が、本体ケース1の前面開口部2に露出するようにされる(図1参照)。
【0017】
本体ケース1は、通例、無色透明のアクリル板で箱状に形成され、前面開口部2を形成すると共に、例えば、その一側面が開口されて、導光板4及び粘着シート5を本体ケース1内に装填するための導光板挿入口6が形成される。導光板4は、通例、無色透明のアクリル板で、少なくともその一辺に沿って、LEDユニット3が付設され、側方からLEDユニット3の照射を受けて全面が発光状態となる。LEDユニット3は、予め導光板4の側辺に設置しておいてもよいが、導光板4を導光板挿入口6から本体ケース1内に装填した後に、導光板4に組み付けることとしてもよい。
【0018】
本発明においては、誘引灯としてLEDユニット3を採用していて、虫類の好む波長の発光をするLEDを用いることができるため、誘引効率の向上を期待できる。ここで用いるLEDユニット3は、例えば、棒状ケース内に多数のLEDチップを並置して構成されるものであり、各LEDチップは交換可能にされる。そのため、捕獲する虫類の種類に応じ、その虫類の好む波長のLEDチップを選択し、適宜組み合わせて使用することができるため、より一層誘引効率を向上させることが可能となる。
【0019】
言うまでもなく、LEDユニット3は光によって虫類を誘引するものであるが、虫類の中には、光のみならず、音にも誘引される種類のものが少なくない。そこで、LEDユニット3に加えて、虫類を誘引しやすい波長の音波を発生し得る音波発生器を付設することが好ましい。この音波発生器は、本体ケース1の任意の個所に設置することができ、あるいは、本体ケース1外の近傍位置に配置することもできる。
【0020】
粘着シート5は透光性資材で形成される。粘着シート5は直接導光板4上に配置してもよいが、一般に粘着シート5は保型性に欠け、取り扱いにくいため、透明アクリル板製の薄手の粘着シート用ケース7を用意して、そこに収納するようにすることが好ましい(図2参照)。この粘着シート用ケース7の一面は、粘着シート5を露出させるために、本体ケース1と同様に、周辺部を残して開口して全面開口部8を設けた額縁状にされ、また、その一側部に、粘着シート5を挿入するための開口が設けられる。
【0021】
粘着シート用ケース7は、粘着シート5を収めた状態で、導光板4の上側にくるようにして、導光板挿入口6から本体ケース1内に挿入する。あるいは、予め導光板4に重合し、導光板4と共に導光板挿入口6から本体ケース1内に挿入する。そして、必要に応じ、導光板4と粘着シート5を本体ケース1内に挿入した後、導光板挿入口6を適宜閉塞する。粘着シート5は、その裏側に配置されて全面的に発光状態となる導光板4により、全面的にバックライト式照射される。なお、粘着シートに5には剥離シートが被装されており、使用時に剥離して粘着面を露出させて使用に供する。
【0022】
図3に示す実施形態は、本体ケース1を額縁状に形成し、少なくともその前面側の一辺を、ヒンジ止めし又は脱着可能にして、それが接する2辺から離れるようにし、それが離れた状態において、導光板4と粘着シート5(又は粘着シート5を収めた粘着シート用ケース7)を重ねて本体ケース1内に装填するようにしたものである。もちろん、図3において仮想線で示されるように、前面側の四辺ともヒンジ止めすることとし、四辺とも開いた状態で導光板4と粘着シート5(又は粘着シート5を収めた粘着シート用ケース7)を重ねて装填するようにしてもよい。
【0023】
以上いずれの実施形態においても、粘着シート5は、額縁状の本体ケース1の前面開口部2においてその全体が露出状態となり、また、その裏面側に存する導光板4によってバックライト式照射されて粘着シート5自体が光るため、装置の前面の大部分が誘引面であると共に捕獲面ということになる。そのため、本捕虫装置はその大きさの割に十分な捕獲面積を確保することができ、しかも、捕獲面である粘着シート5が誘引面である導光板の外側にあるため、誘引されて近付いてきた虫類は、飛翔を待たずに直ちに粘着シートに触れて捕獲されることになる。従って、本捕虫装置は、従来の捕虫装置に比較し、格段に捕獲効率が向上したものとなる。
【0024】
上記構成の本体ケース1を複数組み合わせ、1つの捕虫装置を構成することもある。その場合は、例えば、2つの本体ケース1をヒンジ止めし、非使用時(運搬時、保管時等を含む)には重ねて閉めた状態にし、使用時に開いて使用する。言うまでもなくこの場合は、誘引面及び捕獲面は倍になる。また、本体ケース1を3枚、三面鏡のように連結して構成することにより、誘引面及び捕獲面を3倍にすることもできる。
【0025】
この発明をある程度詳細にその好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは言うまでもない。また、本捕虫装置を利用した発展的形態として、ウェブカメラ等を用い、捕獲した虫類の同定、カウント等を含む捕獲状況の把握、分析を、遠隔地においてリアルタイムに行い得るシステムの構築が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 本体ケース
2 前面開口部
3 LEDユニット
4 導光板
5 粘着シート
6 導光板挿入口
7 粘着シート用ケース
8 前面開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面を大きく開口して前面開口部を設けた額縁状の本体ケースと、側辺にLEDユニットを備えていて前記本体ケースに内装される導光板と、前記導光板の上に重合状態にされる透光性の粘着シートとから成り、前記粘着シートが前記本体ケースの前記前面開口部に露出状態にされ且つ前記導光板によってバックライト式照射されることを特徴とする捕虫装置。
【請求項2】
前記LEDユニットは、前記導光板の少なくとも一側辺に沿って、予め又は前記本体ケース収納後に配備される、請求項1に記載の捕虫装置。
【請求項3】
前記LEDユニットは、複数のLEDチップを交換可能にして配設したものであり、捕獲する虫類の種類に応じて適宜所望の波長のLEDチップの組み合わせに交換可能である、請求項1又は2に記載の捕虫装置。
【請求項4】
更に、適宜個所に虫類を誘引するための音波発生器を付設した、請求項1乃至3のいずれかに記載の捕虫装置。
【請求項5】
前記本体ケースは、一側面に、前記導光板及び前記粘着シートを挿入するための導光板挿入口を備えている、請求項1乃至4のいずれかに記載の捕虫装置。
【請求項6】
前記本体ケースは、少なくとも一辺が、それが接する2つの辺に対して脱着可能にされて、その取り外し時に、前記導光板及び前記粘着シートの装填が可能にされる、請求項1乃至4のいずれかに記載の捕虫装置。
【請求項7】
前記本体ケースは、少なくとも一辺がヒンジ止めされて開閉可能にされて、その開状態時に、前記導光板及び前記粘着シートの装填が可能にされる、請求項1乃至4のいずれかに記載の捕虫装置。
【請求項8】
前記粘着シートは、前面を大きく開口して前面開口部を設けた薄手の透明ケース内に収めた状態で、前記導光板の上に重合状態にされる、請求項1乃至7のいずれかに記載の捕虫装置。
【請求項9】
請求項1に記載の本体ケースを複数組み合わせて成る捕虫装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−31385(P2013−31385A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168177(P2011−168177)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【特許番号】特許第5064588号(P5064588)
【特許公報発行日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(594120157)アース環境サービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】