説明

掃除ロボット

【課題】室内の脱臭効果や除菌効果の向上を図ることができ、集塵部に堆積した塵埃を廃棄するときのユーザーの煩わしさを解消することが可能な掃除ロボットを提供する。
【解決手段】掃除ロボット1は吸込口6と排気口7とを開口して床面上を自走する本体筐体2と、本体筐体2内に配置した電動送風機22と、電動送風機22の駆動によって吸込口6から吸い込まれた気流の塵埃を集塵する集塵部30と、電動送風機22と排気口7との間の第2排気路24b内にイオンを放出するイオン発生装置25と、吸込口6と集塵部30との間の凹部8及び第1吸気路11と第2排気路24bとに連通してイオンを含む気流の少なくとも一部を集塵部30に導く循環路26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上を自走する掃除ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の掃除ロボットは特許文献1及び2に開示されている。これらの掃除ロボットは平面視略円形の本体筐体に駆動輪が設けられ、床面上を自走して掃除を行う。このとき、テーブル等の下方を掃除するために本体筐体は高さの低い薄型に形成される。本体筐体の下面には吸込口が開口し、本体筐体の周面には掃除時の進行方向に対して後方に排気口が開口する。本体筐体内には電動送風機及び集塵部が設けられる。
【0003】
また、特許文献1に記載の掃除ロボットはイオンを発生するイオン発生装置が本体筐体内に配置されている。イオン発生装置は本体筐体の周面に開口する吐出口に連通したダクト内にイオンを放出する。このダクト内に配置したイオン送風機の駆動によって吐出口からイオンが送出される。
【0004】
上記構成の掃除ロボットにおいて、掃除運転が開始されると駆動輪及び電動送風機が駆動される。本体筐体は駆動輪の回転によって室内の床面上を自走し、電動送風機により吸込口から塵埃を含む気流が吸い込まれる。気流に含まれた塵埃は集塵部で集塵され、塵埃を除去された気流が電動送風機を通過して周面の排気口から後方に排気される。
【0005】
また、イオン発生装置及びイオン送風機が駆動されると吐出口からイオンが送出され、室内の脱臭や除菌を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−46616号公報(第4頁−第8頁、第4図)
【特許文献2】特開2008−279066号公報(第4頁−第5頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の掃除ロボットは集塵部に堆積した塵埃から臭気が発生する虞がある。これにより、排気口から送出される気流によって室内に臭気が漂うという問題があった。また、堆積した塵埃に水分が含まれる場合、カビや雑菌が発生し易くなる。カビや雑菌はアレルゲンとなることもあるので、掃除ロボットの運転中や塵埃を集塵部から廃棄するときにユーザーが健康を害したり、不快感を覚えたりする可能性があるという問題があった。
【0008】
さらに、集塵部に堆積した塵埃には静電気が発生し易くなることがある。これにより、塵埃を集塵部から廃棄するときに塵埃が集塵部に付着して分離し難くなり、廃棄作業が煩わしくなったり、塵埃がユーザーの身体や衣服に付着したり、塵埃が周囲に飛散したりすることがあるといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、室内の脱臭効果や除菌効果の向上を図ることができるのとともに、集塵部に堆積した塵埃を廃棄するときのユーザーの煩わしさを解消することが可能な掃除ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の掃除ロボットは、吸込口と排気口とを開口して床面上を自走する本体筐体と、前記本体筐体内に配置した電動送風機と、前記電動送風機の駆動によって前記吸込口から吸い込まれた気流の塵埃を集塵する集塵部と、前記電動送風機と前記排気口との間の排気流路内にイオンを放出するイオン発生装置と、前記吸込口と前記集塵部との間の吸気流路と前記排気流路とに連通してイオンを含む気流の少なくとも一部を前記集塵部に導く循環流路と、を備えることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、本体筐体は床面上を自走し、電動送風機が駆動されると本体筐体に開口する吸込口から塵埃を含む気流が吸い込まれる。気流に含まれる塵埃は集塵部で集塵される。集塵部で塵埃を除去された気流は電動送風機を通過し、排気流路でイオン発生装置によってイオンが放出される。イオンを含む気流の一部は本体筐体に開口する排気口から排気され、また一部は循環流路及び吸気流路を通って集塵部に導かれる。
【0012】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、前記循環流路が前記本体筐体の下面に開口した前記吸込口を通して床面上にイオンを含む気流を吹き付ける向きで前記吸気流路に接続されていることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、イオンを含む気流が吸込口を通して床面上に吹き付けられた後、吸気流路を通って集塵部に導かれる。これにより、イオンが集塵部に導かれるとともに、床面上にも散布される。
【0014】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、前記排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量と前記循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整可能な弁を備えることを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、弁を作動させることで、排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量と循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量とが調整される。これにより、排気口を通して室内に放出されるイオンの量と循環流路及び吸気流路を通って集塵部に導かれるイオンの量とが調整される。
【0016】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、掃除運転終了後、前記弁が前記排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量より前記循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量のほうが多くなるよう作動することを特徴としている。
【0017】
掃除ロボットによる掃除運転が終了されると、集塵部に堆積した塵埃の廃棄作業が近く行われることが予測される。したがって、この構成によれば、廃棄前の塵埃に対して重点的にイオンを含む気流が吹き付けられる。
【0018】
また、上記構成の掃除ロボットにおいて、掃除ロボットに電力を供給するために前記本体筐体内に配置したバッテリーを備え、前記バッテリーへの充電中に、前記弁が前記排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量と前記循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整することを特徴としている。
【0019】
この構成によれば、バッテリーへの充電中に、排気口を通して室内に放出されるイオンの量と循環流路及び吸気流路を通って集塵部に導かれるイオンの量とが調整される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の構成によれば、イオンを含む気流の一部は循環流路及び吸気流路を通って集塵部に導かれる。これにより、集塵部に堆積した塵埃の脱臭や除菌を行うことができ、さらに静電気の発生を抑制することができる。したがって、室内の脱臭効果や除菌効果の向上を図ることができるのとともに、集塵部に堆積した塵埃を廃棄するときのユーザーの煩わしさを解消することが可能な掃除ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る掃除ロボットの斜視図である。
【図2】図1に示す掃除ロボットの垂直断面側面図である。
【図3】図2の掃除ロボットの集塵部を取り外した状態を示す垂直断面側面図である。
【図4】図2に示す掃除ロボットのモータユニットの斜視図である。
【図5】図2に示す掃除ロボットのモータユニットの正面図である。
【図6】図2に示す掃除ロボットのモータユニットの上面図である。
【図7】図5及び図6に示すモータユニットのVII−VII線で切断した斜視図である。
【図8】図5及び図6に示すモータユニットのVIII−VIII線における垂直断面側面図である。
【図9】図1に示す掃除ロボットの垂直断面部分側面図である。
【図10】図2に示す掃除ロボットの排気流路周辺の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る掃除ロボットの垂直断面部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る掃除ロボットを図1〜図11に基づき説明する。
【0023】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る掃除ロボットについて、図1〜図3を用いてその構造の概略を説明しつつ集塵動作を説明する。図1は掃除ロボットの斜視図、図2は掃除ロボットの垂直断面側面図、図3は掃除ロボットの集塵部を取り外した状態を示す垂直断面側面図である。
【0024】
図1に示すように、掃除ロボット1はバッテリー13により駆動輪5(いずれも図2参照)を駆動して自走する平面視円形の本体筐体2を有している。本体筐体2の上面には集塵部30(図2参照)を出し入れする際に開閉する蓋部3が設けられている。
【0025】
図2に示すように、本体筐体2には底面から突出する一対の駆動輪5が配置されている。駆動輪5の回転軸は本体筐体2の中心線C上に配置されている。駆動輪5の両輪が同一方向に回転すると本体筐体2が進退し、逆方向に回転すると本体筐体2が中心線Cの回りに回転する。
【0026】
掃除を行う際に移動方向の前方となる本体筐体2の前部には吸込口6が下面に設けられている。吸込口6は本体筐体2の底面に凹設した凹部8の開放面によって床面Fに面して形成されている。凹部8内には水平な回転軸で回転する回転ブラシ9が配置され、凹部8の両側方には垂直な回転軸で回転するサイドブラシ10が配置されている。
【0027】
凹部8の前方にはローラー形状の前輪15が設けられている。本体筐体2の後端には自在車輪から成る後輪16が設けられている。前輪15は通常床面Fから離れ、回転ブラシ9、駆動輪5及び後輪16が床面Fに接地して掃除が行われる。前輪15は進路上に現れた段差に接地し、本体筐体2が段差を容易に乗り越えられるようになっている。
【0028】
本体筐体2の周面の後端にはバッテリー13の充電を行う充電端子4が設けられている。本体筐体2は自走して室内に設置される充電台40に帰還し、充電台40に設けた端子部41に充電端子4が接してバッテリー13を充電する。商用電源に接続される充電台40は通常、室内の側壁Sに沿って設置されている。
【0029】
本体筐体2内には塵埃を集塵する集塵部30が配置されている。集塵部30は本体筐体2に設けた集塵室39内に収納されている。集塵室39は四方の周面及び底面が覆われた隔離室として形成され、前壁を除く各壁面は閉塞されている。集塵室39の前壁には凹部8に連通する第1吸気路11及び凹部8の上方に配置され後述するモータユニット20に連通する第2吸気路12が導出されている。
【0030】
集塵部30は本体筐体2の中心線C上に配置され、図3に示すように本体筐体2の蓋部3を開いて出し入れすることができる。集塵部30は有底筒状の集塵容器31の上面にフィルタ33を有する上部カバー32が取り付けられている。上部カバー32は可動の係止部32aにより集塵容器31に係止され、係止部32aの操作によって集塵容器31から取り外すことができる。これにより、集塵容器31に堆積した塵埃を廃棄することができる。
【0031】
集塵容器31の周面には先端に流入口34aを開口して第1吸気路11に連通する流入路34が導出されている。集塵容器31内には流入路34に連続して屈曲により下方に気流を導く流入部34bが設けられている。上部カバー32の周面には先端に流出口35aを開口して第2吸気路12に連通する流出路35が導出されている。
【0032】
流入口34a及び流出口35aの周囲には集塵室39の前壁に密接するパッキン(不図示)が設けられている。これにより、集塵部30を収納した集塵室39内が密閉される。集塵室39の前壁は傾斜面に形成され、集塵部30の出し入れ時の摺動によるパッキンの劣化を防止することができる。
【0033】
本体筐体2内の集塵室39の後方上部には制御基板14が配置されている。制御基板14は掃除ロボット1の各部を制御する制御回路が設けられている。集塵室39の後方の下部には着脱自在のバッテリー13が配置されている。バッテリー13は充電端子4を介して充電台40から充電され、制御基板14、駆動輪5、回転ブラシ9、サイドブラシ10及び電動送風機22等の各部に電力を供給する。
【0034】
本体筐体2の前部にはモータユニット20が配置されている。モータユニット20は樹脂成形品のハウジング21とハウジング21内に収納される電動送風機22とを備えている。ハウジング21は電動送風機22の吸気側において第2吸気路12に連通し、電動送風機22の排気側において本体筐体2の上面に設けた排気口7(図2参照)に連通している。そして、排気口7から矢印A3に示すように上方後方に向けて斜め方向に気流が排気される。
【0035】
続いて、モータユニット20の構成について、図2に加えて図4〜図10を用いてさらに詳しく説明する。図4、図5及び図6はモータユニット20の斜視図、正面図及び上面図である。図7は図5及び図6に示すモータユニット20のVII−VII線で切断した斜視図、図8は図5及び図6に示すモータユニット20のVIII−VIII線における垂直断面側面図である。図9は掃除ロボット1の垂直断面部分側面図、図10は掃除ロボット1の排気流路周辺の構成を示すブロック図である。
【0036】
図4〜図6に示すモータユニット20は前述のように樹脂成形品のハウジング21とハウジング21内に収納される電動送風機22とを備えている。電動送風機22はモータケース22aで覆われたターボファンにより形成される。
【0037】
電動送風機22のモータケース22aには軸方向の一端に吸気口(不図示)が開口し、周面の2箇所に排気口(不図示)が開口している。ハウジング21の前面にはモータケース22aの吸気口に対向して開口部23が設けられている。ハウジング21の電動送風機22の両側方にはモータケース22aの各排気口にそれぞれ連通する第1排気路24a及び第2排気路24bが設けられている。第1、第2排気路24a、24bは本体筐体2の上面に設けた排気口7(図2参照)に連通している。
【0038】
第1排気路24aには一対の電極25aを有したイオン発生装置25が配置されている。電極25aには交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加され、電極25aのコロナ放電により生成されたイオンが第1排気路24a、すなわち電動送風機22と排気口7との間の排気流路に放出される。
【0039】
一方の電極25aには正電圧が印加され、コロナ放電による水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH(HO)mから成るプラスイオンを発生する。他方の電極25aには負電圧が印加され、コロナ放電による酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO(HO)nから成るマイナスイオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H(HO)m及びO(HO)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0040】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して排気口7(図2参照)から送出することにより室内の除菌及び脱臭を行うことができる。
【0041】
(HO)m+O(HO)n→・OH+1/2O+(m+n)HO ・・・(1)
(HO)m+H(HO)m’+O(HO)n+O(HO)n’
→ 2・OH+O+(m+m'+n+n')HO ・・・(2)
(HO)m+H(HO)m’+O(HO)n+O(HO)n’
→ H+O+(m+m'+n+n')HO ・・・(3)
【0042】
また、第1排気路24aの下部には後方に向かって開口した循環路26が設けられている。循環路26は開口面26aが凹部8(図8及び図9参照)の壁面に沿った曲面に形成されている。これにより、図9に示すように、循環路26は凹部8の壁面に設けた孔部8aを介して凹部8に連通するとともに、回転ブラシ9にイオンを含む気流を吹き付ける向きで凹部8に接続されている。そして、循環路26は第1排気路24aを流通するイオンを含む気流の一部を吸気側に導く。すなわち、循環路26は吸込口6と集塵部30との間の吸気流路である凹部8及び第1吸気路11と、電動送風機22と排気口7との間の排気流路である第1排気路24aとに連通してイオンを含む気流の一部を集塵部30に導く循環流路として構成されている。
【0043】
図4〜図9には図示していないが、図10に示すように、第1排気路24aと循環路26とにそれぞれ弁27が設けられている。弁27は制御基板14から受信する制御信号に基づいて作動する。弁27を用いることにより、排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量と循環路26に導かれるイオンを含む気流の流量との調整が可能である。
【0044】
設定により、掃除ロボット1は掃除運転終了後、電動送風機22が駆動している状態で排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量より循環路26に導かれるイオンを含む気流の流量のほうが多くなるよう弁27を作動させることができる。
【0045】
また、設定により、掃除ロボット1はバッテリー13への充電中に、弁27を作動させて排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量と循環路26に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整することもできる。
【0046】
上記構成の掃除ロボット1において、掃除運転が指示されると、電動送風機22、イオン発生装置25、駆動輪5、回転ブラシ9及びサイドブラシ10が駆動される。これにより、本体筐体2は回転ブラシ9、駆動輪5及び後輪16が床面Fに接地して所定の範囲を自走し、吸込口6から床面Fの塵埃を含む気流を吸い込む。このとき、回転ブラシ9の回転によって床面F上の塵埃が掻き上げられて凹部8内に導かれる。また、サイドブラシ10の回転によって吸込口6の側方の塵埃が吸込口6に導かれる。
【0047】
吸込口6から吸い込まれた気流は矢印A1に示すように第1吸気路11を後方に流通し、流入口34aを介して集塵部30に流入する。集塵部30に流入した気流はフィルタ33により塵埃が捕集され、流出口35aを介して集塵部30から流出する。これにより、集塵容器31内に塵埃が集塵して堆積する。集塵部30から流出した気流は矢印A2に示すように第2吸気路12を前方に流通し、開口部23を介してモータユニット20の電動送風機22に流入する。
【0048】
電動送風機22を通過した気流は第1排気路24a及び第2排気路24bを流通する。第1排気路24aを流通する気流にはイオン発生装置25が放出するイオンが含まれる。そして、本体筐体2の上面に設けた排気口7から矢印A3に示すように上方後方に向けて斜め方向にイオンを含む気流が排気される。これにより、室内の掃除が行われるとともに、自走する本体筐体2の排気に含まれるイオンが室内に行き渡って室内の除菌や脱臭が行われる。このとき、排気口7から上方に向けて排気するので、床面Fの塵埃の巻き上げを防止して室内の清浄度を向上することができる。
【0049】
第1排気路24aを流通する気流の一部は矢印A4に示すように循環路26を介して凹部8に導かれる。このため、吸込口6から第1吸気路11に導かれる気流内にイオンが含まれる。
【0050】
また、駆動輪5の両輪を互いに逆方向に回転すると本体筐体2が中心線Cを中心に回転して向きを変える。これにより、所望の範囲全体に本体筐体2を自走させるとともに障害物を避けて自走させることができる。なお、駆動輪5の両輪を前進時に対して反転して本体筐体2を後退させても良い。
【0051】
掃除が終了すると、本体筐体2は自走して充電台40に帰還する。これにより、充電端子4が端子部41に接してバッテリー13が充電される。設定により、掃除ロボット1は掃除運転終了後やバッテリー13への充電中に、電動送風機22が駆動している状態でイオン発生装置25及び弁27を作動させて排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量と循環路26に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整することができる。
【0052】
上記のように、掃除ロボット1は凹部8及び第1吸気路11と、第1排気路24aとに連通してイオンを含む気流の一部を集塵部30に導く循環路26を備えているので、イオンを含む気流の一部が循環路26、凹部8及び第1吸気路11を通って集塵部30に導かれる。したがって、集塵部30に堆積した塵埃の脱臭や除菌を行うことができ、さらに静電気の発生を抑制することができる。
【0053】
また、掃除ロボット1は排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量と循環路26に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整可能な弁27を備えているので、排気口7を通して室内に放出されるイオンの量と循環路26、凹部8及び第1吸気路11を通って集塵部30に導かれるイオンの量とが調整される。したがって、所望のイオン量、タイミングで気流を集塵部30に導くことができ、集塵部30に堆積した塵埃の脱臭や除菌、静電気の発生を抑制する作用を向上させることが可能になる。
【0054】
また、掃除ロボット1は掃除運転終了後、電動送風機22が駆動している状態で弁27が排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量より循環路26に導かれるイオンを含む気流の流量のほうが多くなるよう作動するので、廃棄前の塵埃に対して重点的にイオンを含む気流が吹き付けられる。したがって、廃棄前の塵埃に対して脱臭や除菌、静電気の発生を抑制する作用を向上させることができ、塵埃の廃棄作業中に室内に臭気が漂ったり、塵埃が飛散したりすることを妨げることが可能になる。
【0055】
また、掃除ロボット1はバッテリー13への充電中に、弁27が排気口7側に導かれるイオンを含む気流の流量と循環流26に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整するので、充電中に室内に放出されるイオンの量と集塵部30に導かれるイオンの量とが調整される。したがって、充電中に所望のイオン量、タイミングで気流を集塵部30に導くことができ、集塵部30に堆積した塵埃の脱臭や除菌、静電気の発生を抑制する作用を向上させることが可能になる。
【0056】
そして、本発明の上記実施形態の構成によれば、イオンを含む気流の一部は循環路26、凹部8及び第1吸気路11を通って集塵部30に導かれる。これにより、集塵部30に堆積した塵埃の脱臭や除菌を行うことができ、さらに静電気の発生を抑制することができる。したがって、室内の脱臭効果や除菌効果の向上を図ることができるのとともに、集塵部30に堆積した塵埃を廃棄するときのユーザーの煩わしさを解消することが可能な掃除ロボット1を提供することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施形態に係る掃除ロボットについて、図11を用いて説明する。図11は掃除ロボットの垂直断面部分側面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図10を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
【0058】
第2の実施形態に係る掃除ロボット1は、図11に示すように循環路28が凹部8の壁面に設けた孔部8bを介して凹部8に連通している。そして、循環路28は回転ブラシ9が配置された箇所より前方に設けられ、吸込口6を通して床面上にイオンを含む気流を吹き付ける向きで凹部8に接続されている。
【0059】
このようにして第2の実施形態の構成によれば、イオンを含む気流が吸込口6を通して床面上に吹き付けられた後、凹部8及び第1吸気路11を通って集塵部30に導かれる。これにより、イオンが集塵部30に導かれるとともに、床面上にも散布される。その結果、集塵部30に堆積した塵埃に加えて、床面に対しても脱臭や除菌、静電気の発生を抑制する作用を向上させることが可能になる。
【0060】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によると、床面上を自走する掃除ロボットに利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 掃除ロボット
2 本体筐体
3 蓋部
4 充電端子
5 駆動輪
6 吸込口
7 排気口
8 凹部(吸気流路)
9 回転ブラシ
10 サイドブラシ
11 第1吸気路(吸気流路)
12 第2吸気路
13 バッテリー
14 制御基板
20 モータユニット
21 ハウジング
22 電動送風機
23 開口部
24a 第1排気路
24b 第2排気路(排気流路)
25 イオン発生装置
26、28 循環路(循環流路)
30 集塵部
31 集塵容器
32 上部カバー
33 フィルタ
34 流入路
35 流出路
40 充電台
41 端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口とを開口して床面上を自走する本体筐体と、
前記本体筐体内に配置した電動送風機と、
前記電動送風機の駆動によって前記吸込口から吸い込まれた気流の塵埃を集塵する集塵部と、
前記電動送風機と前記排気口との間の排気流路内にイオンを放出するイオン発生装置と、
前記吸込口と前記集塵部との間の吸気流路と前記排気流路とに連通してイオンを含む気流の少なくとも一部を前記集塵部に導く循環流路と、
を備えることを特徴とする掃除ロボット。
【請求項2】
前記循環流路が前記本体筐体の下面に開口した前記吸込口を通して床面上にイオンを含む気流を吹き付ける向きで前記吸気流路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の掃除ロボット。
【請求項3】
前記排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量と前記循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整可能な弁を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掃除ロボット。
【請求項4】
掃除運転終了後、前記弁が前記排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量より前記循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量のほうが多くなるよう作動することを特徴とする請求項3に記載の掃除ロボット。
【請求項5】
掃除ロボットに電力を供給するために前記本体筐体内に配置したバッテリーを備え、
前記バッテリーへの充電中に、前記弁が前記排気口側に導かれるイオンを含む気流の流量と前記循環流路に導かれるイオンを含む気流の流量とを調整することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の掃除ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−70966(P2013−70966A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214614(P2011−214614)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【特許番号】特許第5160678号(P5160678)
【特許公報発行日】平成25年3月13日(2013.3.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】