掃除機ヘッド
【課題】真空掃除機のための掃除機ヘッドを提供すること。
【解決手段】掃除器具のための掃除機ヘッドが、空気出口を有するハウジングと、ハウジングの空気出口と流体連通している空気出口130を有する、ハウジングのチャンバ内に配置された回転ブラシ・バー組立体と、チャンバの第1の側壁と第2の側壁との間でチャンバ内に延びる、ブラシ・バー組立体を駆動するための駆動機構とを含み、ブラシ・バー組立体は、駆動機構とチャンバの第1の側壁との間のチャンバの第1の区画内に配置された第1のブラシ・バー区画と、駆動機構とチャンバの第2の側壁との間のチャンバの第2の区画102b内に配置された第2のブラシ・バー区画とを含み、チャンバの空気出口130は、チャンバの両方の区画102bの間に、かつ、それらの中に延びる。
【解決手段】掃除器具のための掃除機ヘッドが、空気出口を有するハウジングと、ハウジングの空気出口と流体連通している空気出口130を有する、ハウジングのチャンバ内に配置された回転ブラシ・バー組立体と、チャンバの第1の側壁と第2の側壁との間でチャンバ内に延びる、ブラシ・バー組立体を駆動するための駆動機構とを含み、ブラシ・バー組立体は、駆動機構とチャンバの第1の側壁との間のチャンバの第1の区画内に配置された第1のブラシ・バー区画と、駆動機構とチャンバの第2の側壁との間のチャンバの第2の区画102b内に配置された第2のブラシ・バー区画とを含み、チャンバの空気出口130は、チャンバの両方の区画102bの間に、かつ、それらの中に延びる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除器具のための掃除機ヘッドに関する。その好ましい実施形態において、本発明は、真空掃除器具のための掃除機ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
直立型真空掃除機は、典型的には、ゴミと埃の分離装置を含む本体と、本体上に取り付けられ、吸引開口部を有する掃除機ヘッドと、吸引開口部を通してゴミを含んだ空気を吸引するためのモータ駆動ファン・ユニットとを含む。ゴミを含んだ空気は、分離装置に運ばれ、空気が大気中に排出される前に、空気からゴミと埃を分離することができる。
【0003】
吸引開口部は、下方に向けられ、掃除される床面に面する。分離装置は、フィルタ、フィルタ・バッグ、又は周知のようなサイクロン装置の形態をとることができる。本発明は、分離装置の性質には関係がなく、従って、上記の装置又は別の適切な分離装置のいずれかを用いる真空掃除機にも適用可能である。
【0004】
駆動式攪拌器(agitator)は、通常ブラシ・バーの形態であり、吸引開口部から僅かに突出するように掃除機ヘッド内に支持される。ブラシ・バーは、主として真空掃除機を用いてじゅうたん敷きの面を掃除する際に作動される。ブラシ・バーは、コアから半径方向外向きに延びる剛毛を有する細長い円筒形コアを含む。ブラシ・バーは、掃除機本体から得られる電力供給によって駆動される空気タービン又は電気モータによって駆動することができる。ブラシ・バーは、駆動ベルトを介してモータによって、或いはモータにより直接駆動して、吸引開口部内で回転させることができる。ブラシ・バーの回転により、剛毛が掃除されるじゅうたんの表面をこすり、ゴミと埃を浮かせ、ゴミを拾い上げる。空気の吸引により、空気がソールプレートの下及びブラシ・バーの周囲に流れて、じゅうたんの表面からゴミ及び埃を持ち上げ、次いで、吸引開口部から掃除機ヘッドを通って分離装置の方向に搬送するのを助ける。
【0005】
例えば、特許文献1は、回転可能なブラシ・バーを収容するブラシ・バー・チャンバを有する掃除機ヘッドについて記載する。ブラシ・バー・チャンバから放出される空気により駆動されるように、ブラシ・バーを駆動するためのタービンが、ブラシ・バー・チャンバからの矩形の空気出口の後ろに配置されたタービン・チャンバ内に配置される。タービンは、ブラシ・バー・チャンバの中に空気出口の一方の側まで延びるタイミングベルトによって、ブラシ・バーに接続される。タイミングベルトは、ブラシ・バー・チャンバを、各々がブラシ・バーの一部を含む比較的大きい第1の区画と比較的小さい第2の区画とに分割するベルトハウジング内に配置される。空気出口は、全体がブラシ・バー・チャンバの第1の区画内に配置されるため、掃除機ヘッドの使用中にブラシ・バー・チャンバの2つの区画間で圧力差が発生し、これにより、ブラシ・バー・チャンバの第2の区画から空気出口への空気の通路が損なわれ、これにより、掃除機ヘッドの吸い上げ性能が損なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許番号第2,388,306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、掃除器具のための掃除機ヘッドを提供し、空気出口を有するハウジングと、ハウジングの空気出口と流体連通する空気出口を有する、ハウジングのチャンバ内に配置された回転ブラシ・バー組立体と、チャンバの第1の側壁と第2の側壁との間でチャンバ内に延びる、ブラシ・バー組立体を駆動するための駆動機構とを含む、清掃器具のための掃除機ヘッドを提供し、ブラシ・バー組立体は、駆動機構とチャンバの第1の側壁との間のチャンバの第1の区画内に配置される第1のブラシ・バー区画と、駆動機構とチャンバの第2の側壁との間の、チャンバの第2の区画内に配置される第2のブラシ・バー区画とを含み、チャンバの空気出口はチャンバの両方の区画の間に、かつ、それらの中に延びる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ブラシ・バー・チャンバの2つの区画間の圧力差を最小にし、両方のブラシ・バーにより床面から攪拌されるゴミと塵が掃除機ヘッドの空気出口に速やかに運ばれることを可能にするために、空気流は、両方のブラシ・バー・チャンバ区画を通って引き込まれることが好ましい。このため、ブラシ・バー・チャンバからの空気出口は、ブラシ・バー・チャンバの両方の区画の間に、かつ、それらの中に延びることが好ましい。
【0009】
各々のブラシ・バー区画は、駆動機構に接続された個別のブラシ・バーを含むことができる。代替的に、ブラシ・バー区画を連続的なものとし、プーリー又はギアを含む駆動機構がブラシ・バー組立体の周りに延び、かつ、ブラシ・バー組立体を第1の区画及び第2の区画に分割する。
【0010】
ブラシ・バー・チャンバからの空気出口は、好ましくはスロットの形態であり、好ましくは、少なくとも3:1のアスペクト比、より好ましくは少なくとも5:1のアスペクト比を有する。
【0011】
各々のブラシ・バー区画は、第1の組の剛毛と、第1の組の剛毛とは異なる第2の組の剛毛とを含む。剛毛の各組は、ブラシ・バー区画に沿って規則的な間隔の螺旋構成で配置された複数のクラスタを含み、第2の組の剛毛のクラスタの螺旋パターンは、第1の組の剛毛のクラスタの螺旋パターンから角度を付けて離間配置される。第1の組の剛毛は、プラッシュの吸い上げのために比較的長く硬い剛毛を含む一方、第2の組の剛毛は、繊維の吸い上げのために比較的短く軟らかい剛毛を含むことが好ましい。
【0012】
ブラシ・バー組立体は、モータ・ハウジング内に配置されたモータによって駆動されることが好ましい。モータの重量が掃除機ヘッドの底面の周りに均等に分散されたバランスのとれた掃除機ヘッドを提供するために、モータは、ブラシ・バー・チャンバの中心上方に配置されることが好ましい。その結果、駆動機構は、チャンバの側壁の間に、一方の側壁より他方の側壁により近く、ブラシ・バー・チャンバの中に延びる。この場合、ブラシ・バー組立体は、駆動機構のハウジングとチャンバの第1の側壁との間に配置された第1の比較的長いブラシ・バーと、好ましくは第1のブラシ・バーと同軸であり、かつ、駆動機構ハウジングとチャンバの第2の側壁との間に配置された第2の比較的短いブラシ・バーとを含む。
【0013】
代替的に、ブラシ・バー組立体は、タービン・チャンバに配置されたタービンで駆動することができ、タービンは、チャンバの空気出口からハウジングの空気出口に向けて通過する空気流によって、又は別個の空気取り入れ口を通ってハウジングに入る空気流によって回転する。駆動機構は、駆動ハウジング内に配置されたギア又はベルトを含むので、駆動機構は、ハウジングを通る空気から隔離される。
【0014】
駆動機構がモータをブラシ・バー組立体に接続するベルトを含む場合は、掃除機ヘッド使用中のベルトの摩耗により、ベルトが延びてしまうことがある。これは、ひいてはベルトの滑りを引き起こし、モータ及び/又は駆動機構の他の構成部品の損傷をもたらしかねない。このため、モータをブラシ・バー組立体に接続する駆動機構は、好ましくは、モータに接続された回転可能な入力駆動部材と、ブラシ・バー組立体に接続され、かつ、駆動部材の回転軸と直交する方向に入力駆動部材に対して移動可能な回転可能な出力駆動部材と、入力駆動部材を出力駆動部材に接続するベルトと、出力駆動部材を入力駆動部材から離すことによってベルトに張力を与えるための、駆動部材間に配置されたベルト・テンション部材とを含む。これにより、ベルトの寿命中、ベルトの張力を概ね一定のレベルに維持することができる。
【0015】
出力駆動部材は、駆動部材の回転軸の間に延びる方向に入力駆動部材に対して可動であることが好ましい。ベルト・テンション部材もまた、この方向に駆動部材に対して可動であることが好ましい。
【0016】
出力駆動部材は、ベルト・テンション部材がハウジングを入力駆動部材に対して動かすように配置された状態で、駆動機構のハウジングにより回転可能に支持されることが好ましい。ベルト・テンション部材は、駆動部材の回転軸に対して好ましくは概ね平行である、ハウジングに接続されたスピゴット上に取り付けられることが好ましい。ベルト・テンション部材は、スピゴットに沿って移動可能であり、従って、駆動部材の回転軸間の相対運動の方向に対して概ね直交する方向に可動である。
【0017】
ベルト・テンション部材は、モータに接続された当接部材によって、入力駆動部材から離れるように押し付けられることが好ましい。当接部材とベルト・テンション部材の係合部分は、楔形状であることが好ましい。弾性部材又は他の手段を与えて、ベルト・テンション部材を当接部材に対して押し付ける。この弾性要素は、ベルト・テンション部材とハウジングとの間に便宜的に配置することができる。
【0018】
掃除機ヘッドは、ゴミを運ぶ空気が掃除機ヘッドに入るのに通る吸引開口部を含むソールプレートと、ソールプレートとハウジングとの間に配置され、ハウジングとソールプレートとの間の相対運動を可能にする可撓性環状シールとを含むことが好ましい。
【0019】
空気流が吸引開口部を通して発生すると、掃除機ヘッドを通過する空気と外部環境との間の圧力差により、掃除機ヘッドのハウジングが床面の方向に吸い込まれ、一方じゅうたん敷きの面の繊維が、掃除機ヘッドのハウジングの方向に持ち上げられる。可撓性スカート又は膜の形態とすることができる可撓性環状シールが、ハウジングとソールプレートとの間に存在するため、ハウジングは、ソールプレートに対して動くことができる。結果として、あったとしても比較的小さい力のみが、ハウジングによってソールプレートに加えられ、これにより、ソールプレートが、ハウジングによってじゅうたんの毛足の中に押し込まれるのを防止する。その結果、このことは、ソールプレートが、床面の上の掃除機ヘッドの動きに対する大きな抵抗を生じさせず、掃除機ヘッド内への空気流を不当に制限しないことを意味する。
【0020】
可撓性環状シールは、吸引開口部の周囲に延びて、ソールプレートとハウジングとの間の気密シールを提供することが好ましい。可撓性環状シールは、このように、吸引開口部から空気出口にゴミを含んだ空気を導くための吸引通路の一部を定めることができる。従って、空気経路を使用して空気を外部環境から吸引通路に入れることを可能にすることにより掃除機ヘッドに作用する力を制限する掃除機ヘッドと比較すると、可撓性環状シールの使用により、掃除機ヘッドのハウジング内の所与の気圧について、その周辺から及びその下のじゅうたん敷きの床面を通る掃除機ヘッド内への空気流の改善を達成することが可能になり、これにより、吸い上げ性能が改善される。
【0021】
ソールプレートの吸引開口部に入る空気流の大部分は、ソールプレートの縁部の下を通り、ソールプレートがじゅうたん敷きの面上に置かれる場合は、じゅうたんの毛足を通過する。ソールプレートは掃除機ヘッドのハウジングによって床面に対して押し付けられないので、特に吸引開口部で提供される吸引量が比較的多いときは、ソールプレートの縁部の下を通る空気流が、ソールプレートを床面から離れるように持ち上げてしまう傾向がある。このことは、掃除機ヘッド内の圧力を増加させる効果をもたらし、吸引開口部を通る空気流の速度を低下させ、掃除機ヘッドの吸引性能を損なう可能性がある。
【0022】
使用中に床面からソールプレートが持ち上がるのを阻止するために、ソールプレートに十分な質量を与えて、ソールプレートの下を通る空気流の作用により床面から離れる動きに抵抗することができる。代替的に、可撓性環状シールを、選択された弾性を有する弾性材料から形成することができ、これにより、可撓性環状シールの圧縮によって掃除機ヘッドに作用する力の量をソールプレートに伝達することができる。好ましい実施形態において、可撓性環状シールは、ラテックスを含む材料で形成する。これに加えて、又は別の代替案として、1つ又はそれ以上のばね或いは他の弾性部材をハウジングとソールプレートとの間に設けて、力をソールプレートに加えることができる。好ましい実施形態において、可撓性環状シールは、蛇腹シール要素を含み、例えば、掃除機ヘッドが硬い床面とじゅうたん敷きの面との間などで移動される際の、スカートの圧縮及び膨張を容易にする。
【0023】
ソールプレートに作用する下向きの力は、それ自体の重みによるものであれ又は可撓性環状シール及び/又は他の弾性部材を介して加えられる力との組み合わせであれ、掃除機ヘッドの床面の上での操作に対する抵抗を最小にしながら、使用中にソールプレートが床面から持ち上がるリスクを最小にするのに十分なものであることが好ましい。この力は、好ましくは、10N未満であり、好ましい実施形態においては2Nから7Nまでの間である。
【0024】
掃除機ヘッドは、可撓性部材の過度の圧縮を回避するように、ソールプレートとハウジングとの間の相対運動の範囲を制限する構造部を含むことが好ましい。ソールプレートとハウジングとの間の相対運動は、好ましくは20mm未満に、より好ましくは15mm未満に制限される。
【0025】
長い毛足のじゅうたん敷きの床の上での掃除機ヘッドの動きを助けるために、好ましい実施形態においては、ソールプレートの前縁は、ソールプレートの後縁より大きい量だけハウジングに対して移動可能である。このことは、ハウジングに対するソールプレートの後縁の動きが阻止された場合に、前縁がハウジングに対して移動することを可能にする。好ましい実施形態においては、ハウジングに対するソールプレートの後部の移動範囲は、約5.5mmから6.5mmまでの距離に制限されるのに対して、ハウジングに対するソールプレートの前部の移動範囲は、約6.5mmから8mmまでの距離に制限される。
【0026】
ソールプレートは、使用中、掃除される床面に面し、吸引開口部の両側上に配置された、前部と後部とを有する底面を含む。ソールプレートはまた、各々がソールプレートの底面から立ち上がり、部分的に吸引開口部を定める前壁及び後壁も含む。後壁は、好ましくは、底面に対して前方に傾斜され、掃除機ヘッドが床面の上で操作される際に、じゅうたん敷きの床面の繊維をソールプレートの底面の後部区画の下に案内する。
【0027】
可撓性環状シールは、その一端が、吸引開口部を取り囲むようにソールプレートに接続されることが好ましい。可撓性環状シールの他端は、ハウジングに取り外し可能に接続されたシャーシに接続されることが好ましい。このことは、ソールプレート、可撓性環状シール及びシャーシが、掃除機ヘッドから、単一の取り外し可能なユニットとして取り外されることを可能にし、例えば、シャーシとソールプレートとの間のシールの完全性を損なうことなく、ブラシ・バー組立体へのアクセスを提供することができる。
【0028】
掃除機ヘッドは、ハウジングとソールプレートとの間の相対運動を案内するための案内手段を含むことが好ましい。案内手段は、ソールプレート及びシャーシ又はハウジングの一つに接続されたロッド、バー、ピン又は他の細長い部材の形態とすることができる複数の案内部材を含むことが好ましい。この場合、ソールプレート及びシャーシ又はハウジングの他方は、各々がそれぞれの案内部材を受けるための複数の案内保持部材を含み、その中で、案内部材が、ソールプレートに向かう方向又は離れる方向へのハウジングの動きとともに動くことが好ましい。好ましい実施形態においては、ソールプレートは、シャーシに接続されるか又はシャーシと一体の案内部材内に受けられる複数の案内部材を含む。
【0029】
案内手段はまた、床面にわたる掃除機ヘッドの動きの方向におけるソールプレートとハウジングとの間の相対的運動を阻止する働きをすることが好ましい。代替的に、床面にわたる掃除機ヘッドの動きの方向におけるソールプレートとハウジングとの間の相対的運動を阻止するための別個の手段を提供することができる。案内手段は、シャーシから離れる方向へのソールプレートの動きの範囲を制限するための手段、及び/又はシャーシに向かう方向へのソールプレートの動きの範囲を制限するための手段を含むことが好ましい。
【0030】
第2の態様において、本発明は、掃除器具、好ましくは、前述の掃除機ヘッドを含む真空掃除機を提供する。
【0031】
ここで、例証としてのみ、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】掃除機ヘッドの正面斜視図である。
【図2】図1の掃除機ヘッドの背面斜視図である。
【図3】図1の掃除機ヘッドの底面図である。
【図4】図1の掃除機ヘッドのシャーシ及びソールプレートの正面斜視図である。
【図5】図4のシャーシ及びソールプレートの背面斜視図である。
【図6】ブラシ・バーが取り外された状態の、図1の掃除機ヘッドの斜めから見た底面図である。
【図7】図3の線X−Xに沿って取られた断面図である。
【図8】図3の線Y−Yに沿って取られた断面図の一部である。
【図9】硬い床面に置かれたときの図1の掃除機ヘッドの側面図である。
【図10】じゅうたん敷きの面に置かれたときの図1の掃除機ヘッドの側面図である。
【図11】図7における線Z−Zに沿って取られたブラシ・バー組立体のための駆動機構の断面図である。
【図12】駆動機構のカバーが取り外された状態の、図11の駆動機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
まず、図1及び図2を参照すると、真空掃除機のための掃除機ヘッド10が、ハウジング12と、ゴミを含んだ流体流が掃除機ヘッド10に入る吸引開口部16を含む下部プレート又はソールプレート14とを含む。ハウジング12は、吸引開口部16から、ハウジング12の後部に配置された流体出口18まで延びる吸引通路17(図7に示す)を規定する。流体出口18は、直立型真空掃除機の本体又はホースに接続するような大きさにされる。
【0034】
ソールプレート14は、図3乃至図5により詳細に示される。ソールプレート14は、使用中に掃除する床面に面し、以下により詳細に説明されるように、じゅうたん敷きの床面の表面に係合する底面を含む。ソールプレート14の底面は、ほぼ平坦であり、吸引開口部16の周りに延びる2つの対向する側部区画20、前部区画22及び後部区画24を含む。
【0035】
吸引開口部16の形状は、ほぼ矩形であり、吸引開口部16は、各々がソールプレート14の底面から立ちあがる、比較的短い側壁26、比較的長い前壁28、及び比較的長い後壁30によって境界が定められる。これらの壁はまた、掃除機ヘッド10を通る吸引通路17の始まりの境界も定める。ラグ又は毛足の長いじゅうたん敷きの床面上での掃除機ヘッド10の動きを案内するための複数のラグ・ストリップ32が、前壁28から後壁30まで吸引開口部16にわたって延び、側壁26と実質的に平行である。
【0036】
吸引開口部16の前壁28は、ソールプレート14の底面とほぼ直交する。ソールプレート14の前部作用縁34は、底面の前部区画22と前壁28との間の交差部に配置され、側壁26間にほぼ連続して延びる。傾斜した前部リップ36は、前部区画22の前部から上向きかつ前方に延び、使用の際には、掃除機ヘッド10がその床面上で操作されるとき、前部区画22の下のラグ又は毛足の長いじゅうたん敷きの床面の繊維を掃いて、これにより掃除機ヘッド10の動きに対する抵抗を低下させる。
【0037】
掃除機ヘッド10が床面上で操作されるとき、後部区画24の下のラグ又は毛足の長いじゅうたん敷きの床面の繊維を掃くために、吸引開口部16の後壁30も、ソールプレート14の底面に対して前方に傾斜される。底面に対する後壁30の傾斜角は、底面に対する前部リップ36の傾斜角と概ね同じであり、40°から50°までの範囲内であることが好ましい。ソールプレート14の後部作用縁38は、底面の後部区画24と後壁区画30との間の交差部に配置され、かつ、側壁26の間に概ね連続して延びる。2つの後部リップ40は、後部区画24の後方から上向きかつ後方に湾曲し、流体出口18の両側に配置される。
【0038】
ソールプレート14は、シャーシ50に接続される。シャーシ50の形状は、概ね矩形であり、比較的短い側壁52と、比較的長い前壁54と、比較的長い後壁56とを含む。シャーシ50の形状は、環状であり、これらの壁は、吸引開口部16を通って掃除機ヘッド10の中に吸引されるゴミを含んだ流体流を受けるための概ね矩形のアパーチャの境界を定め、従って、掃除機ヘッド10を通る吸引通路17の一部の境界も定める。このアパーチャは、吸引開口部16のものと類似のサイズを有する。
【0039】
シャーシ50は、掃除機ヘッド10のハウジング12に解放可能に接続される。図8も参照すると、シャーシ50は、掃除機ヘッド10のハウジング12の周りに延びるL字形のフランジ62によって定められた環状溝60内に位置する、シャーシ50の壁52、54、56の上面から立ち上がる環状突出部58を含む。好ましくはロープ・シールの形態である環状シール部材を、突出部58と係合するように溝60内に配置して、ハウジング12とシャーシ50との間に気密シールが形成されることを保証することができる。シャーシ50の前壁54は、複数の前方に延びる突起64を含む。シャーシ50をハウジング12に取り付けるために、ハウジング12に対してシャーシ50を傾斜させ、これらの突起64の各々が、ハウジング12の前部に形成されたそれぞれの凹部内に配置されることを可能にする。シャーシ50は、次に、これらの突起64の周りかつハウジング12の方向にシャーシ50をピボット運動し、溝60内に環状突出部58を挿入する。シャーシ50はまた、後壁56に接続され、環状突出部58が環状溝60内に完全に挿入された際に、各々がハウジング12の後部に接続された一対の突起68のそれぞれと係合するように配置される、第1の対の環状突起66を含む。ねじ69を各々の係合する突起66、68の対に挿入して、シャーシ50をハウジング12に固定する。
【0040】
ソールプレート14は、この例では、可撓性スカート70の形態である可撓性環状シールによってシャーシ50に接続される。スカート70の一端は、吸引開口部16を囲むようにソールプレート14の壁26、28、30の上面に接続され、スカート70の他端は、シャーシ50のアパーチャを囲むようにシャーシ50の壁52、54、56の下面に接続される。その結果、スカート70はまた、掃除機ヘッド10を通る吸引通路17の一部の境界を定め、シャーシ50、スカート70及びソールプレート14は協働して、掃除機ヘッド10のハウジング12から取り外し可能なユニットを形成する。下記により詳細に説明するように、掃除作業中、スカート70の存在は、ハウジング12とソールプレート14との間の相対運動を可能にする。図7を参照すると、ソールプレート14の後壁30は、隆起部71を有し、鋭利なゴミが吸引開口部16を通ってハウジング12に入ることにより、ソールプレート14とスカート70との間の密封の完全性が損傷される又は他の方法で損なわれることを防止する。
【0041】
掃除機ヘッド10は、ソールプレート14の底面と概ね直交して延びる方向への、ソールプレート14とハウジング12との間の相対運動を阻止するように配置される。図4及び図5を参照すると、ソールプレート14は、ソールプレート14の前部から上向きに延びる一対の矩形の案内部材72を含む。各々の矩形案内部材72は、シャーシ50の前壁54から前方に突出するそれぞれの案内保持部材76内に形成されたアパーチャ74を通る。矩形案内部材72及び案内保持部材76は、ソールプレート14の底面と概ね直交して延びる方向へのそれらの間の相対的摺動運動を可能にし、かつ、シャーシ50とソールプレート14との間の相対的回転、及び、床面にわたる掃除機ヘッド10の動きの方向への、シャーシ50とソールプレート14の前部との間の相対運動の両方を阻止するように形成される。
【0042】
各々の矩形案内部材72は、そこから前方に突出し、かつ、その案内保持部材76の上に配置されたヘッド部78を有することが好ましい。ヘッド部78は、案内保持部材76の上面に係合するよう形状にされ、これにより、ハウジング12から離れる方向へのソールプレート14の前部の移動が制限される。ハウジング12の方向へのソールプレート14の前部の移動は、ソールプレート14の前部リップ36と案内保持部材76の下面との当接によって制限することができる。代替的に、ソールプレート14の前部リップ36に係合させるように、他の部品をハウジング12の前部に配置して、ハウジング12の方向へのソールプレート14の前部の動きを制限することもできる。この例では、ハウジング12に対するソールプレート14の前部リップ36の動きの範囲は、約6.5mmから8mmまでの距離に制限される。
【0043】
ソールプレート14はまた、ソールプレート14の後部から上向きに延びる一対の円筒形案内部材80も含む。各々の円筒形案内部材80は、シャーシ50の後壁56から後方に突出するそれぞれの案内保持部材82によって保持される。各々の案内保持部材82は、円筒形案内部材の周囲に延びる一対のリブを含むことが好ましい。同様に、円筒形案内部材80及び案内保持部材82は、ソールプレート14の底面と概ね直交して延びる方向へのそれらの間の相対的摺動運動を可能にするように形成される。各々の円筒形案内部材80は、そこから前方に突出し、かつ、その案内保持部材82の上方に配置されたヘッド部84を有することが好ましい。ヘッド部84は、案内保持部材82の上面に係合するような形状にされ、これにより、ハウジング12から離れる方向への、ソールプレート14の後部の動きが制限される。ハウジング12の方向へのソールプレート14の後部の動きは、各々の円筒形案内部材80から半径方向外向きに延びるフィン86と案内保持部材82の下面との当接によって制限される。シャーシ50がハウジング12に接続されると、円筒形案内部材80のヘッド部84は、各々が、第1の対の環状突起68から内向きにハウジング12の後部上に配置された第2の対の環状突起68のそれぞれの中に受けられ、その中で円筒形案内部材80のヘッド部84は、摺動可能に動くことができる、案内保持部材82及び環状突起88は、床面にわたる掃除機ヘッド10の動きの方向へのシャーシ50とソールプレート14の後部との間の相対運動を阻止するように形成されることが好ましい。ハウジング12は、掃除作業中、ソールプレート14と家具又は壁等の品目との間の衝突のリスクを減少させるために、該ハウジング12の前部に取り付けられたバンパ90を含み、これがなければ案内部材72、80及び案内保持部材76、82への損傷を招く可能性がある。
【0044】
この例では、ハウジング12に対するソールプレート14の後部リップ40の運動範囲は、約5.5mmから6.5mmまでの距離、すなわち、ハウジング12に対するソールプレート14の前部リップ36の運動範囲より短い距離に制限される。その結果、ハウジング12の方向へのソールプレート14の後部の動きが制限されると、ソールプレート14の前部は、案内保持部材82とフィン86との間の接触点の周りに僅かにピボット運動することができる。
【0045】
スカート70は、掃除作業中、のソールプレート14とハウジング12との間の相対運動に起因して、スカート70が繰り返し圧縮及び伸長されるのを容易にするために、蛇腹型要素の形態であることが好ましい。スカート70は、好ましくはラテックスを含む弾性材料から形成されることが好ましい。
【0046】
ここで図3及び図7を参照すると、掃除機ヘッド10は、床面にあるゴミ及び埃を攪拌するための攪拌機を含む。この例では、攪拌機は、ハウジング12のブラシ・バー・チャンバ102内に取り付けられた回転可能なブラシ・バー組立体100を含む。シャーシ50及びスカート70は、ブラシ・バー組立体100の周囲に延びる。ハウジング12からシャーシ50を取り外すことにより、ユーザが、例えばブラシ・バー組立体100にアクセスして、清掃すること及び/又はブラシ・バー・チャンバ102から取り外すことが可能になる。
【0047】
ブラシ・バー組立体100は、ハウジング12のモータ・ハウジング106内に配置されたモータ104によって駆動される。ブラシ・バー組立体100は、駆動機構ハウジング108内に配置された、以下により詳細に説明される駆動機構107によってモータ104に接続されるので、駆動機構107は、吸引通路17を通る空気から隔離されるようになる。モータ104の重量がソールプレート14の底面の周りに均等に分散されたバランスのとれた掃除機ヘッド10を提供するために、モータ・ハウジング106は、ブラシ・バー・チャンバ102の中心上方かつ後方に配置される。その結果、駆動機構107は、ブラシ・バー・チャンバ102の側壁110、112間に、側壁112より側壁110により近く、ブラシ・バー・チャンバ102の中に延びる。
【0048】
従って、ブラシ・バー組立体100は、駆動機構ハウジング108とブラシ・バー・チャンバ102の側壁110との間に配置された第1の比較的長いブラシ・バー114と、第1のブラシ・バー114と同軸であり、かつ、駆動機構ハウジング108とブラシ・バー・チャンバ102の側壁112との間に配置された第2の比較的短いブラシ・バー116とを含む。各々のブラシ・バー114、116は、モータ104によりブラシ・バー114、116を駆動できるように、一端が駆動機構107に接続される。ブラシ・バー114、116の他端は、ブラシ・バー・チャンバ102の側壁110、112上に取り付けられたエンド・キャップ118によって回転可能に支持される。各々のブラシ・バー114、116は、比較的長く硬い第1の組の剛毛120と、比較的短く軟らかい第2の組の剛毛122とを含む。各々の組120、122の剛毛は、ブラシ・バー114、116に沿って規則的な間隔の螺旋構成で配置された複数のクラスタを含み、第2の組122の剛毛のクラスタの螺旋パターンは、第1の組の剛毛120のクラスタの螺旋パターンから角度を付けて離間配置される。
【0049】
ブラシ・バー・チャンバ102は、吸引開口部16からハウジング12の後部に配置された流体出口18まで延びる吸引通路17の一部を与える。その結果、ブラシ・バー・チャンバ102は、チャンバ空気出口130を含み、これを通って空気流がブラシ・バー・チャンバ102を出て、モータ・ハウジング106の下に延びる導管132に入り、空気流を流体出口18に運ぶ。明確にするためにブラシ・バー114、116が省略されている図6を参照すると、第1のブラシ・バー114は、ブラシ・バー・チャンバ102の第1の区画102a内に配置され、第2のブラシ・バー116は、ブラシ・バー・チャンバ102の第2の区画102b内に配置される。空気流がブラシ・バー・チャンバ102の各区画102a、102bから導管132に速やかに通過できるように、空気出口130は、ブラシ・バー・チャンバ102の両方の区画102a、102b間に、かつ、これらの中に延びる細長いアパーチャの形態である。ブラシ・バー・チャンバ102からの空気出口130は、好ましくはスロットの形態であり、好ましくは少なくとも3:1のアスペクト比、より好ましくは少なくとも5:1のアスペクト比を有する。対照的に、流体出口18は、概ね円形のアパーチャの形態であり、従って、導管132は、その断面が細長い形状から円形の形状に徐々に、かつ、滑らかに変化するような形状にされる。
【0050】
掃除機ヘッド10の流体出口18は、ゴミと埃の分離装置と、床面から吸引開口部16を通ってゴミを含んだ空気を吸引するためのモータ駆動式ファン・ユニットとを含む掃除器具(図示せず)の本体に接続される。使用中、ゴミを含んだ空気は、吸引通路17を通って掃除器具の本体に入り、ここで、空気が大気中に排出される前にゴミと埃が空気から分離される。
【0051】
吸引通路17を通って空気流が生成されると、掃除機ヘッド10を通過する空気と外部環境との間に圧力差が発生する。この圧力差が、床面の方向に掃除機ヘッド10のハウジング12に下向きに作用する力を発生させる。ハウジング12とソールプレート14との間の可撓性スカート70の存在により、ハウジング12は、ソールプレート14に対して移動する。その結果、あるとしても比較的小さい力だけが、ハウジング12によってソールプレート14に加えられ、ハウジング12によってソールプレート14が床面に押し付けられるのを防止する。結果として、ソールプレート14の底面の下から吸引開口部16への空気流は、過度には制限されず、ソールプレート14は、床面にわたる掃除機ヘッド10の移動に対して大きな抵抗を生じさせない。
【0052】
ハウジング12がスカート70の多大な圧縮によりソールプレート14に押し付けられるのを防止するために、掃除機ヘッド10は、ソールプレート14の方向へのハウジング12の移動を制限する複数の床係合支持部材を含む。図2及び図3を参照すると、この複数の床係合支持部材は、一対の後部支持部材140を含む。後部支持部材140の各々は、ブラシ・バー・チャンバ102のそれぞれの側壁110、112に剛に接続され、そこから後方に延びるアーム142の端部に接続されるので、後部支持部材140の各々がソールプレート14の背後に配置される。複数の床係合支持部材はまた、後部支持部材140の前方に配置された更に別の支持部材143も含み、掃除機ヘッド10がこれらの後部支持部材140の周りでピボット運動し、使用中に床面に「食い込む」ことを防止する。この例においては、更に別の支持部材143が、掃除機ヘッド10の吸引開口部16を通って突出するように駆動機構ハウジング108上に取り付けられる。
【0053】
各々の支持部材140、143は、概ね円筒形の上部144と、湾曲し、好ましくは概ね半球形の下部146とを有する支持体を含む。各々の支持部材140、143はまた、支持体から突出するように下部146の外面内に形成された凹部の中に取り付けられた床係合回転要素148も含む。回転要素148は、特に硬い床面上で、支持部材140、143の移動に対する抵抗を最小にするように、掃除機ヘッド10が掃除作業中床面の上で操作される際に床面に沿って回転する円筒形の回転要素の形態であることが好ましい。回転要素148は、回転要素148と床面との間の接触点が支持部材140、143の下面によって描かれる軌跡149と概ね一致するように配置されることが好ましい。言い換えれば、回転要素148の外面は、支持体の下部146と同軸であり、かつ、これと同じ曲率半径を有する、仮想半球形状の最下点と概ね一致することが好ましい。
【0054】
掃除機ヘッド10が硬い床面160上に置かれる場合は、図9に示すように、支持部材140、143の回転要素148だけが、硬い床面160に係合する。ソールプレート14の重量の下で、案内部材72、80のヘッド部78、84は、それぞれの案内保持部材76、82の上面と接触して、ソールプレート14が硬い床面160に向かって移動するのを制限し、それによりソールプレート14が硬い床面160から離間される。このことにより、ゴミを含んだ空気が、ソールプレート14の底面の下に、及び、吸引開口部16を通って吸引通路17内に制限なく流れることが可能になる。
【0055】
掃除機ヘッド10がじゅうたん敷きの床面170に移動されるとき、図10に示すように、ハウジング12に作用する力が、支持部材140、143をじゅうたんの繊維の中に押し込み、支持部材140、143の下部146の半球形面が、じゅうたん敷きの床面170に係合する。支持部材140、143の下部146の半球形状は、あらゆる方向へのじゅうたん敷きの床面170にわたる掃除機ヘッド10の動きに対して概ね一定の抵抗を与え、じゅうたん敷きの床面にわたる掃除機ヘッド10の動きに対する抵抗を最小にする。回転要素148は、支持部材140、143の下部146の湾曲形状によって描かれる軌跡を超えては突出しないので、回転要素148は、床面170の上での掃除機ヘッド10の動きに対する抵抗を最小にする。
【0056】
支持部材140、143がじゅうたんに沈むと、ソールプレート14の底面は、じゅうたん敷きの床面170と接触する。ハウジング12とソールプレート14との間に配置された可撓性スカート70の圧縮のため、支持部材140、143がじゅうたん内に更に沈むことにより、シャーシ50によってハウジング12に接続された案内保持部材76、82が、ソールプレート14に接続された案内部材72、80のヘッド部78、84から離れるように下向きに移動する。その結果、ハウジング12は、ソールプレート14に対して移動し、じゅうたん敷きの床面170の上面に置かれたままである。じゅうたん敷きの床面170の毛足によっては、ソールプレート14がそれ自体の重みでじゅうたんの中に僅かに沈むため、じゅうたんの繊維の一部が吸引開口部16を通って突出する場合がある。これらの繊維内のゴミ及び埃は、ハウジング12内に配置された回転ブラシ・バー組立体100によって攪拌することができ、吸引通路17に吸い込まれる空気流の中に連行される。
【0057】
このように、比較的少量の力だけが、ハウジング12によってソールプレート14に加えられ、これにより、ハウジング12によってソールプレート14がじゅうたんの毛足の中に押し込まれるのが防止される。同様に、このことは、ソールプレート14が、掃除機ヘッド10のじゅうたん敷きの床面170の上の動きに対して著しい抵抗を生じさせないこと、及び、掃除機ヘッド10への空気流を過度に制限しないことを意味する。支持部材140、143の下部146は、一旦フィン86が案内保持部材82の下面に当接すると、ハウジング12がソールプレート14に大きな力を加え始めてもじゅうたんの繊維内にあまり深く沈まないように、10mmから20mmまでの範囲内の半径を有することが好ましい。
【0058】
ソールプレート14の下を通る空気流の作用を受けてソールプレート14がじゅうたん敷きの床面170から離れるように持ち上がるのが阻止され、掃除機ヘッド10のハウジング12に作用する力の量が可撓性スカート70の圧縮によってソールプレート14に伝達されるように選択された弾性を有することが好ましい。この力の量は、10Nより小さいことが好ましく、好ましい実施形態においては、2Nから7Nまでの間である。これによりソールプレート14がじゅうたん敷きの床面に押し込まれ、吸引開口部16を通ってじゅうたん繊維が突出し、ブラシ・バー組立体100による攪拌がもたらされる。
【0059】
ここで、ブラシ・バー組立体100をモータ104に接続するための駆動機構107について、図11及び図12を参照して説明する。駆動機構107は、駆動シャフト182の長手方向軸の周りに回転するようにモータ104の駆動シャフト182上に取り付けられた、好ましくはプーリーの形態の回転可能な入力駆動部材180を含む。駆動機構107は、駆動ベルト186によって入力駆動部材180に接続された、同じく好ましくはプーリーの形態の回転可能な出力駆動部材184をさらに含む。出力駆動部材184の回転軸は、入力駆動部材180の回転軸に対して概ね平行である。出力駆動部材184は、回転軸受188によって駆動機構ハウジング108内で回転可能に支持される。第1のブラシ・バー114への接続のために、第1の駆動ドッグ190が出力駆動部材184の片側に取り付けられ、第2のブラシ・バー116への接続のために、第2の駆動ドッグ192が出力駆動部材の反対側に取り付けられる。
【0060】
駆動機構ハウジング108は、駆動部材180、184の回転軸と概ね直交する方向にモータ104に対して可動であり、従って、同様に出力駆動部材184は、入力駆動部材180に対しても可動である。案内部材(図示せず)を設けて、この方向へのモータ104に対するハウジング108の移動を制限することができる。
【0061】
される出力駆動部材184を入力駆動部材180から離れるように押し付けることによってベルト186に張力を付与するために、ベルト・テンション部材194を駆動部材180、184間に配置する。ベルト・テンション部材194は、環状であり、駆動機構ハウジング108に接続されたスピゴット196上に取り付けられ、駆動部材180、184の回転軸間に配置される。スピゴット196は、駆動部材180、184の回転軸に対して概ね平行に延びる。ベルト・テンション部材194は、スピゴット196に沿って可動である。ベルト・テンション部材194の環状外面の一部は、スピゴット196の長手方向軸に対して傾斜された楔形状部198を定めるような形状にされる。ベルト・テンション部材194の楔形状部198は、ベルト・テンション部材194と駆動機構ハウジング108のカバー206との間に配置された弾性部材204によってモータ104に接続された取付プレート202の適合する楔形状部200に対して押し付けられる。これにより、弾性部材204が、取付プレート202の楔形状部200によって入力駆動部材180から離れるように押し付けられる。ベルト・テンション部材194が駆動機構ハウジング108の一部、すなわちスピゴット196の周りに延びるので、これにより、駆動機構ハウジング108、及びそれに支持された出力駆動部材184は、入力駆動部材180から離れるように押し付けられて、ベルト186を完全に引っ張られた状態に維持する。
【0062】
本発明は、上記に与えられた詳細な説明に限定されるものではない。当業者には、変形が明らかであろう。
【符号の説明】
【0063】
10:掃除機ヘッド
12:ハウジング
16:吸引開口部
14:ソールプレート
18:流体出口
17:吸引通路
20:側部
22:前部
24:後部
26、110、112:側壁
28、54:前壁
30、56:後壁
32:ラグ・ストリップ
34:前部作用縁
36:前部リップ
40:後部リップ
50:シャーシ
58:環状突起部
60:環状溝
62:フランジ
66:環状突起
69:ねじ
70:可撓性スカート
72:矩形案内部材
76、82:案内保持部材
78:ヘッド部
80:円筒形案内部材
84:ヘッド部
86:フィン
90:バンパ
100:ブラシ・バー組立体
102:ブラシ・バー・チャンバ
104:モータ
106:モータ・ハウジング
107:駆動機構
108:駆動機構ハウジング
114、116:ブラシ・バー
120、122:剛毛
130:チャンバ空気出口
132:導管
140:後部支持部材
142:アーム
143:追加の支持部材
148:床係合回転要素
160:硬い床面
170:じゅうたん敷きの床面
180:入力駆動部材
182:駆動シャフト
184:出力駆動部材
186:駆動ベルト
190、192:駆動ドッグ
194:ベルト・テンション部材
196:スピゴット
198、200:楔形状部
202:取付プレート
204:弾性部材
206:カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除器具のための掃除機ヘッドに関する。その好ましい実施形態において、本発明は、真空掃除器具のための掃除機ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
直立型真空掃除機は、典型的には、ゴミと埃の分離装置を含む本体と、本体上に取り付けられ、吸引開口部を有する掃除機ヘッドと、吸引開口部を通してゴミを含んだ空気を吸引するためのモータ駆動ファン・ユニットとを含む。ゴミを含んだ空気は、分離装置に運ばれ、空気が大気中に排出される前に、空気からゴミと埃を分離することができる。
【0003】
吸引開口部は、下方に向けられ、掃除される床面に面する。分離装置は、フィルタ、フィルタ・バッグ、又は周知のようなサイクロン装置の形態をとることができる。本発明は、分離装置の性質には関係がなく、従って、上記の装置又は別の適切な分離装置のいずれかを用いる真空掃除機にも適用可能である。
【0004】
駆動式攪拌器(agitator)は、通常ブラシ・バーの形態であり、吸引開口部から僅かに突出するように掃除機ヘッド内に支持される。ブラシ・バーは、主として真空掃除機を用いてじゅうたん敷きの面を掃除する際に作動される。ブラシ・バーは、コアから半径方向外向きに延びる剛毛を有する細長い円筒形コアを含む。ブラシ・バーは、掃除機本体から得られる電力供給によって駆動される空気タービン又は電気モータによって駆動することができる。ブラシ・バーは、駆動ベルトを介してモータによって、或いはモータにより直接駆動して、吸引開口部内で回転させることができる。ブラシ・バーの回転により、剛毛が掃除されるじゅうたんの表面をこすり、ゴミと埃を浮かせ、ゴミを拾い上げる。空気の吸引により、空気がソールプレートの下及びブラシ・バーの周囲に流れて、じゅうたんの表面からゴミ及び埃を持ち上げ、次いで、吸引開口部から掃除機ヘッドを通って分離装置の方向に搬送するのを助ける。
【0005】
例えば、特許文献1は、回転可能なブラシ・バーを収容するブラシ・バー・チャンバを有する掃除機ヘッドについて記載する。ブラシ・バー・チャンバから放出される空気により駆動されるように、ブラシ・バーを駆動するためのタービンが、ブラシ・バー・チャンバからの矩形の空気出口の後ろに配置されたタービン・チャンバ内に配置される。タービンは、ブラシ・バー・チャンバの中に空気出口の一方の側まで延びるタイミングベルトによって、ブラシ・バーに接続される。タイミングベルトは、ブラシ・バー・チャンバを、各々がブラシ・バーの一部を含む比較的大きい第1の区画と比較的小さい第2の区画とに分割するベルトハウジング内に配置される。空気出口は、全体がブラシ・バー・チャンバの第1の区画内に配置されるため、掃除機ヘッドの使用中にブラシ・バー・チャンバの2つの区画間で圧力差が発生し、これにより、ブラシ・バー・チャンバの第2の区画から空気出口への空気の通路が損なわれ、これにより、掃除機ヘッドの吸い上げ性能が損なわれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許番号第2,388,306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、掃除器具のための掃除機ヘッドを提供し、空気出口を有するハウジングと、ハウジングの空気出口と流体連通する空気出口を有する、ハウジングのチャンバ内に配置された回転ブラシ・バー組立体と、チャンバの第1の側壁と第2の側壁との間でチャンバ内に延びる、ブラシ・バー組立体を駆動するための駆動機構とを含む、清掃器具のための掃除機ヘッドを提供し、ブラシ・バー組立体は、駆動機構とチャンバの第1の側壁との間のチャンバの第1の区画内に配置される第1のブラシ・バー区画と、駆動機構とチャンバの第2の側壁との間の、チャンバの第2の区画内に配置される第2のブラシ・バー区画とを含み、チャンバの空気出口はチャンバの両方の区画の間に、かつ、それらの中に延びる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ブラシ・バー・チャンバの2つの区画間の圧力差を最小にし、両方のブラシ・バーにより床面から攪拌されるゴミと塵が掃除機ヘッドの空気出口に速やかに運ばれることを可能にするために、空気流は、両方のブラシ・バー・チャンバ区画を通って引き込まれることが好ましい。このため、ブラシ・バー・チャンバからの空気出口は、ブラシ・バー・チャンバの両方の区画の間に、かつ、それらの中に延びることが好ましい。
【0009】
各々のブラシ・バー区画は、駆動機構に接続された個別のブラシ・バーを含むことができる。代替的に、ブラシ・バー区画を連続的なものとし、プーリー又はギアを含む駆動機構がブラシ・バー組立体の周りに延び、かつ、ブラシ・バー組立体を第1の区画及び第2の区画に分割する。
【0010】
ブラシ・バー・チャンバからの空気出口は、好ましくはスロットの形態であり、好ましくは、少なくとも3:1のアスペクト比、より好ましくは少なくとも5:1のアスペクト比を有する。
【0011】
各々のブラシ・バー区画は、第1の組の剛毛と、第1の組の剛毛とは異なる第2の組の剛毛とを含む。剛毛の各組は、ブラシ・バー区画に沿って規則的な間隔の螺旋構成で配置された複数のクラスタを含み、第2の組の剛毛のクラスタの螺旋パターンは、第1の組の剛毛のクラスタの螺旋パターンから角度を付けて離間配置される。第1の組の剛毛は、プラッシュの吸い上げのために比較的長く硬い剛毛を含む一方、第2の組の剛毛は、繊維の吸い上げのために比較的短く軟らかい剛毛を含むことが好ましい。
【0012】
ブラシ・バー組立体は、モータ・ハウジング内に配置されたモータによって駆動されることが好ましい。モータの重量が掃除機ヘッドの底面の周りに均等に分散されたバランスのとれた掃除機ヘッドを提供するために、モータは、ブラシ・バー・チャンバの中心上方に配置されることが好ましい。その結果、駆動機構は、チャンバの側壁の間に、一方の側壁より他方の側壁により近く、ブラシ・バー・チャンバの中に延びる。この場合、ブラシ・バー組立体は、駆動機構のハウジングとチャンバの第1の側壁との間に配置された第1の比較的長いブラシ・バーと、好ましくは第1のブラシ・バーと同軸であり、かつ、駆動機構ハウジングとチャンバの第2の側壁との間に配置された第2の比較的短いブラシ・バーとを含む。
【0013】
代替的に、ブラシ・バー組立体は、タービン・チャンバに配置されたタービンで駆動することができ、タービンは、チャンバの空気出口からハウジングの空気出口に向けて通過する空気流によって、又は別個の空気取り入れ口を通ってハウジングに入る空気流によって回転する。駆動機構は、駆動ハウジング内に配置されたギア又はベルトを含むので、駆動機構は、ハウジングを通る空気から隔離される。
【0014】
駆動機構がモータをブラシ・バー組立体に接続するベルトを含む場合は、掃除機ヘッド使用中のベルトの摩耗により、ベルトが延びてしまうことがある。これは、ひいてはベルトの滑りを引き起こし、モータ及び/又は駆動機構の他の構成部品の損傷をもたらしかねない。このため、モータをブラシ・バー組立体に接続する駆動機構は、好ましくは、モータに接続された回転可能な入力駆動部材と、ブラシ・バー組立体に接続され、かつ、駆動部材の回転軸と直交する方向に入力駆動部材に対して移動可能な回転可能な出力駆動部材と、入力駆動部材を出力駆動部材に接続するベルトと、出力駆動部材を入力駆動部材から離すことによってベルトに張力を与えるための、駆動部材間に配置されたベルト・テンション部材とを含む。これにより、ベルトの寿命中、ベルトの張力を概ね一定のレベルに維持することができる。
【0015】
出力駆動部材は、駆動部材の回転軸の間に延びる方向に入力駆動部材に対して可動であることが好ましい。ベルト・テンション部材もまた、この方向に駆動部材に対して可動であることが好ましい。
【0016】
出力駆動部材は、ベルト・テンション部材がハウジングを入力駆動部材に対して動かすように配置された状態で、駆動機構のハウジングにより回転可能に支持されることが好ましい。ベルト・テンション部材は、駆動部材の回転軸に対して好ましくは概ね平行である、ハウジングに接続されたスピゴット上に取り付けられることが好ましい。ベルト・テンション部材は、スピゴットに沿って移動可能であり、従って、駆動部材の回転軸間の相対運動の方向に対して概ね直交する方向に可動である。
【0017】
ベルト・テンション部材は、モータに接続された当接部材によって、入力駆動部材から離れるように押し付けられることが好ましい。当接部材とベルト・テンション部材の係合部分は、楔形状であることが好ましい。弾性部材又は他の手段を与えて、ベルト・テンション部材を当接部材に対して押し付ける。この弾性要素は、ベルト・テンション部材とハウジングとの間に便宜的に配置することができる。
【0018】
掃除機ヘッドは、ゴミを運ぶ空気が掃除機ヘッドに入るのに通る吸引開口部を含むソールプレートと、ソールプレートとハウジングとの間に配置され、ハウジングとソールプレートとの間の相対運動を可能にする可撓性環状シールとを含むことが好ましい。
【0019】
空気流が吸引開口部を通して発生すると、掃除機ヘッドを通過する空気と外部環境との間の圧力差により、掃除機ヘッドのハウジングが床面の方向に吸い込まれ、一方じゅうたん敷きの面の繊維が、掃除機ヘッドのハウジングの方向に持ち上げられる。可撓性スカート又は膜の形態とすることができる可撓性環状シールが、ハウジングとソールプレートとの間に存在するため、ハウジングは、ソールプレートに対して動くことができる。結果として、あったとしても比較的小さい力のみが、ハウジングによってソールプレートに加えられ、これにより、ソールプレートが、ハウジングによってじゅうたんの毛足の中に押し込まれるのを防止する。その結果、このことは、ソールプレートが、床面の上の掃除機ヘッドの動きに対する大きな抵抗を生じさせず、掃除機ヘッド内への空気流を不当に制限しないことを意味する。
【0020】
可撓性環状シールは、吸引開口部の周囲に延びて、ソールプレートとハウジングとの間の気密シールを提供することが好ましい。可撓性環状シールは、このように、吸引開口部から空気出口にゴミを含んだ空気を導くための吸引通路の一部を定めることができる。従って、空気経路を使用して空気を外部環境から吸引通路に入れることを可能にすることにより掃除機ヘッドに作用する力を制限する掃除機ヘッドと比較すると、可撓性環状シールの使用により、掃除機ヘッドのハウジング内の所与の気圧について、その周辺から及びその下のじゅうたん敷きの床面を通る掃除機ヘッド内への空気流の改善を達成することが可能になり、これにより、吸い上げ性能が改善される。
【0021】
ソールプレートの吸引開口部に入る空気流の大部分は、ソールプレートの縁部の下を通り、ソールプレートがじゅうたん敷きの面上に置かれる場合は、じゅうたんの毛足を通過する。ソールプレートは掃除機ヘッドのハウジングによって床面に対して押し付けられないので、特に吸引開口部で提供される吸引量が比較的多いときは、ソールプレートの縁部の下を通る空気流が、ソールプレートを床面から離れるように持ち上げてしまう傾向がある。このことは、掃除機ヘッド内の圧力を増加させる効果をもたらし、吸引開口部を通る空気流の速度を低下させ、掃除機ヘッドの吸引性能を損なう可能性がある。
【0022】
使用中に床面からソールプレートが持ち上がるのを阻止するために、ソールプレートに十分な質量を与えて、ソールプレートの下を通る空気流の作用により床面から離れる動きに抵抗することができる。代替的に、可撓性環状シールを、選択された弾性を有する弾性材料から形成することができ、これにより、可撓性環状シールの圧縮によって掃除機ヘッドに作用する力の量をソールプレートに伝達することができる。好ましい実施形態において、可撓性環状シールは、ラテックスを含む材料で形成する。これに加えて、又は別の代替案として、1つ又はそれ以上のばね或いは他の弾性部材をハウジングとソールプレートとの間に設けて、力をソールプレートに加えることができる。好ましい実施形態において、可撓性環状シールは、蛇腹シール要素を含み、例えば、掃除機ヘッドが硬い床面とじゅうたん敷きの面との間などで移動される際の、スカートの圧縮及び膨張を容易にする。
【0023】
ソールプレートに作用する下向きの力は、それ自体の重みによるものであれ又は可撓性環状シール及び/又は他の弾性部材を介して加えられる力との組み合わせであれ、掃除機ヘッドの床面の上での操作に対する抵抗を最小にしながら、使用中にソールプレートが床面から持ち上がるリスクを最小にするのに十分なものであることが好ましい。この力は、好ましくは、10N未満であり、好ましい実施形態においては2Nから7Nまでの間である。
【0024】
掃除機ヘッドは、可撓性部材の過度の圧縮を回避するように、ソールプレートとハウジングとの間の相対運動の範囲を制限する構造部を含むことが好ましい。ソールプレートとハウジングとの間の相対運動は、好ましくは20mm未満に、より好ましくは15mm未満に制限される。
【0025】
長い毛足のじゅうたん敷きの床の上での掃除機ヘッドの動きを助けるために、好ましい実施形態においては、ソールプレートの前縁は、ソールプレートの後縁より大きい量だけハウジングに対して移動可能である。このことは、ハウジングに対するソールプレートの後縁の動きが阻止された場合に、前縁がハウジングに対して移動することを可能にする。好ましい実施形態においては、ハウジングに対するソールプレートの後部の移動範囲は、約5.5mmから6.5mmまでの距離に制限されるのに対して、ハウジングに対するソールプレートの前部の移動範囲は、約6.5mmから8mmまでの距離に制限される。
【0026】
ソールプレートは、使用中、掃除される床面に面し、吸引開口部の両側上に配置された、前部と後部とを有する底面を含む。ソールプレートはまた、各々がソールプレートの底面から立ち上がり、部分的に吸引開口部を定める前壁及び後壁も含む。後壁は、好ましくは、底面に対して前方に傾斜され、掃除機ヘッドが床面の上で操作される際に、じゅうたん敷きの床面の繊維をソールプレートの底面の後部区画の下に案内する。
【0027】
可撓性環状シールは、その一端が、吸引開口部を取り囲むようにソールプレートに接続されることが好ましい。可撓性環状シールの他端は、ハウジングに取り外し可能に接続されたシャーシに接続されることが好ましい。このことは、ソールプレート、可撓性環状シール及びシャーシが、掃除機ヘッドから、単一の取り外し可能なユニットとして取り外されることを可能にし、例えば、シャーシとソールプレートとの間のシールの完全性を損なうことなく、ブラシ・バー組立体へのアクセスを提供することができる。
【0028】
掃除機ヘッドは、ハウジングとソールプレートとの間の相対運動を案内するための案内手段を含むことが好ましい。案内手段は、ソールプレート及びシャーシ又はハウジングの一つに接続されたロッド、バー、ピン又は他の細長い部材の形態とすることができる複数の案内部材を含むことが好ましい。この場合、ソールプレート及びシャーシ又はハウジングの他方は、各々がそれぞれの案内部材を受けるための複数の案内保持部材を含み、その中で、案内部材が、ソールプレートに向かう方向又は離れる方向へのハウジングの動きとともに動くことが好ましい。好ましい実施形態においては、ソールプレートは、シャーシに接続されるか又はシャーシと一体の案内部材内に受けられる複数の案内部材を含む。
【0029】
案内手段はまた、床面にわたる掃除機ヘッドの動きの方向におけるソールプレートとハウジングとの間の相対的運動を阻止する働きをすることが好ましい。代替的に、床面にわたる掃除機ヘッドの動きの方向におけるソールプレートとハウジングとの間の相対的運動を阻止するための別個の手段を提供することができる。案内手段は、シャーシから離れる方向へのソールプレートの動きの範囲を制限するための手段、及び/又はシャーシに向かう方向へのソールプレートの動きの範囲を制限するための手段を含むことが好ましい。
【0030】
第2の態様において、本発明は、掃除器具、好ましくは、前述の掃除機ヘッドを含む真空掃除機を提供する。
【0031】
ここで、例証としてのみ、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】掃除機ヘッドの正面斜視図である。
【図2】図1の掃除機ヘッドの背面斜視図である。
【図3】図1の掃除機ヘッドの底面図である。
【図4】図1の掃除機ヘッドのシャーシ及びソールプレートの正面斜視図である。
【図5】図4のシャーシ及びソールプレートの背面斜視図である。
【図6】ブラシ・バーが取り外された状態の、図1の掃除機ヘッドの斜めから見た底面図である。
【図7】図3の線X−Xに沿って取られた断面図である。
【図8】図3の線Y−Yに沿って取られた断面図の一部である。
【図9】硬い床面に置かれたときの図1の掃除機ヘッドの側面図である。
【図10】じゅうたん敷きの面に置かれたときの図1の掃除機ヘッドの側面図である。
【図11】図7における線Z−Zに沿って取られたブラシ・バー組立体のための駆動機構の断面図である。
【図12】駆動機構のカバーが取り外された状態の、図11の駆動機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
まず、図1及び図2を参照すると、真空掃除機のための掃除機ヘッド10が、ハウジング12と、ゴミを含んだ流体流が掃除機ヘッド10に入る吸引開口部16を含む下部プレート又はソールプレート14とを含む。ハウジング12は、吸引開口部16から、ハウジング12の後部に配置された流体出口18まで延びる吸引通路17(図7に示す)を規定する。流体出口18は、直立型真空掃除機の本体又はホースに接続するような大きさにされる。
【0034】
ソールプレート14は、図3乃至図5により詳細に示される。ソールプレート14は、使用中に掃除する床面に面し、以下により詳細に説明されるように、じゅうたん敷きの床面の表面に係合する底面を含む。ソールプレート14の底面は、ほぼ平坦であり、吸引開口部16の周りに延びる2つの対向する側部区画20、前部区画22及び後部区画24を含む。
【0035】
吸引開口部16の形状は、ほぼ矩形であり、吸引開口部16は、各々がソールプレート14の底面から立ちあがる、比較的短い側壁26、比較的長い前壁28、及び比較的長い後壁30によって境界が定められる。これらの壁はまた、掃除機ヘッド10を通る吸引通路17の始まりの境界も定める。ラグ又は毛足の長いじゅうたん敷きの床面上での掃除機ヘッド10の動きを案内するための複数のラグ・ストリップ32が、前壁28から後壁30まで吸引開口部16にわたって延び、側壁26と実質的に平行である。
【0036】
吸引開口部16の前壁28は、ソールプレート14の底面とほぼ直交する。ソールプレート14の前部作用縁34は、底面の前部区画22と前壁28との間の交差部に配置され、側壁26間にほぼ連続して延びる。傾斜した前部リップ36は、前部区画22の前部から上向きかつ前方に延び、使用の際には、掃除機ヘッド10がその床面上で操作されるとき、前部区画22の下のラグ又は毛足の長いじゅうたん敷きの床面の繊維を掃いて、これにより掃除機ヘッド10の動きに対する抵抗を低下させる。
【0037】
掃除機ヘッド10が床面上で操作されるとき、後部区画24の下のラグ又は毛足の長いじゅうたん敷きの床面の繊維を掃くために、吸引開口部16の後壁30も、ソールプレート14の底面に対して前方に傾斜される。底面に対する後壁30の傾斜角は、底面に対する前部リップ36の傾斜角と概ね同じであり、40°から50°までの範囲内であることが好ましい。ソールプレート14の後部作用縁38は、底面の後部区画24と後壁区画30との間の交差部に配置され、かつ、側壁26の間に概ね連続して延びる。2つの後部リップ40は、後部区画24の後方から上向きかつ後方に湾曲し、流体出口18の両側に配置される。
【0038】
ソールプレート14は、シャーシ50に接続される。シャーシ50の形状は、概ね矩形であり、比較的短い側壁52と、比較的長い前壁54と、比較的長い後壁56とを含む。シャーシ50の形状は、環状であり、これらの壁は、吸引開口部16を通って掃除機ヘッド10の中に吸引されるゴミを含んだ流体流を受けるための概ね矩形のアパーチャの境界を定め、従って、掃除機ヘッド10を通る吸引通路17の一部の境界も定める。このアパーチャは、吸引開口部16のものと類似のサイズを有する。
【0039】
シャーシ50は、掃除機ヘッド10のハウジング12に解放可能に接続される。図8も参照すると、シャーシ50は、掃除機ヘッド10のハウジング12の周りに延びるL字形のフランジ62によって定められた環状溝60内に位置する、シャーシ50の壁52、54、56の上面から立ち上がる環状突出部58を含む。好ましくはロープ・シールの形態である環状シール部材を、突出部58と係合するように溝60内に配置して、ハウジング12とシャーシ50との間に気密シールが形成されることを保証することができる。シャーシ50の前壁54は、複数の前方に延びる突起64を含む。シャーシ50をハウジング12に取り付けるために、ハウジング12に対してシャーシ50を傾斜させ、これらの突起64の各々が、ハウジング12の前部に形成されたそれぞれの凹部内に配置されることを可能にする。シャーシ50は、次に、これらの突起64の周りかつハウジング12の方向にシャーシ50をピボット運動し、溝60内に環状突出部58を挿入する。シャーシ50はまた、後壁56に接続され、環状突出部58が環状溝60内に完全に挿入された際に、各々がハウジング12の後部に接続された一対の突起68のそれぞれと係合するように配置される、第1の対の環状突起66を含む。ねじ69を各々の係合する突起66、68の対に挿入して、シャーシ50をハウジング12に固定する。
【0040】
ソールプレート14は、この例では、可撓性スカート70の形態である可撓性環状シールによってシャーシ50に接続される。スカート70の一端は、吸引開口部16を囲むようにソールプレート14の壁26、28、30の上面に接続され、スカート70の他端は、シャーシ50のアパーチャを囲むようにシャーシ50の壁52、54、56の下面に接続される。その結果、スカート70はまた、掃除機ヘッド10を通る吸引通路17の一部の境界を定め、シャーシ50、スカート70及びソールプレート14は協働して、掃除機ヘッド10のハウジング12から取り外し可能なユニットを形成する。下記により詳細に説明するように、掃除作業中、スカート70の存在は、ハウジング12とソールプレート14との間の相対運動を可能にする。図7を参照すると、ソールプレート14の後壁30は、隆起部71を有し、鋭利なゴミが吸引開口部16を通ってハウジング12に入ることにより、ソールプレート14とスカート70との間の密封の完全性が損傷される又は他の方法で損なわれることを防止する。
【0041】
掃除機ヘッド10は、ソールプレート14の底面と概ね直交して延びる方向への、ソールプレート14とハウジング12との間の相対運動を阻止するように配置される。図4及び図5を参照すると、ソールプレート14は、ソールプレート14の前部から上向きに延びる一対の矩形の案内部材72を含む。各々の矩形案内部材72は、シャーシ50の前壁54から前方に突出するそれぞれの案内保持部材76内に形成されたアパーチャ74を通る。矩形案内部材72及び案内保持部材76は、ソールプレート14の底面と概ね直交して延びる方向へのそれらの間の相対的摺動運動を可能にし、かつ、シャーシ50とソールプレート14との間の相対的回転、及び、床面にわたる掃除機ヘッド10の動きの方向への、シャーシ50とソールプレート14の前部との間の相対運動の両方を阻止するように形成される。
【0042】
各々の矩形案内部材72は、そこから前方に突出し、かつ、その案内保持部材76の上に配置されたヘッド部78を有することが好ましい。ヘッド部78は、案内保持部材76の上面に係合するよう形状にされ、これにより、ハウジング12から離れる方向へのソールプレート14の前部の移動が制限される。ハウジング12の方向へのソールプレート14の前部の移動は、ソールプレート14の前部リップ36と案内保持部材76の下面との当接によって制限することができる。代替的に、ソールプレート14の前部リップ36に係合させるように、他の部品をハウジング12の前部に配置して、ハウジング12の方向へのソールプレート14の前部の動きを制限することもできる。この例では、ハウジング12に対するソールプレート14の前部リップ36の動きの範囲は、約6.5mmから8mmまでの距離に制限される。
【0043】
ソールプレート14はまた、ソールプレート14の後部から上向きに延びる一対の円筒形案内部材80も含む。各々の円筒形案内部材80は、シャーシ50の後壁56から後方に突出するそれぞれの案内保持部材82によって保持される。各々の案内保持部材82は、円筒形案内部材の周囲に延びる一対のリブを含むことが好ましい。同様に、円筒形案内部材80及び案内保持部材82は、ソールプレート14の底面と概ね直交して延びる方向へのそれらの間の相対的摺動運動を可能にするように形成される。各々の円筒形案内部材80は、そこから前方に突出し、かつ、その案内保持部材82の上方に配置されたヘッド部84を有することが好ましい。ヘッド部84は、案内保持部材82の上面に係合するような形状にされ、これにより、ハウジング12から離れる方向への、ソールプレート14の後部の動きが制限される。ハウジング12の方向へのソールプレート14の後部の動きは、各々の円筒形案内部材80から半径方向外向きに延びるフィン86と案内保持部材82の下面との当接によって制限される。シャーシ50がハウジング12に接続されると、円筒形案内部材80のヘッド部84は、各々が、第1の対の環状突起68から内向きにハウジング12の後部上に配置された第2の対の環状突起68のそれぞれの中に受けられ、その中で円筒形案内部材80のヘッド部84は、摺動可能に動くことができる、案内保持部材82及び環状突起88は、床面にわたる掃除機ヘッド10の動きの方向へのシャーシ50とソールプレート14の後部との間の相対運動を阻止するように形成されることが好ましい。ハウジング12は、掃除作業中、ソールプレート14と家具又は壁等の品目との間の衝突のリスクを減少させるために、該ハウジング12の前部に取り付けられたバンパ90を含み、これがなければ案内部材72、80及び案内保持部材76、82への損傷を招く可能性がある。
【0044】
この例では、ハウジング12に対するソールプレート14の後部リップ40の運動範囲は、約5.5mmから6.5mmまでの距離、すなわち、ハウジング12に対するソールプレート14の前部リップ36の運動範囲より短い距離に制限される。その結果、ハウジング12の方向へのソールプレート14の後部の動きが制限されると、ソールプレート14の前部は、案内保持部材82とフィン86との間の接触点の周りに僅かにピボット運動することができる。
【0045】
スカート70は、掃除作業中、のソールプレート14とハウジング12との間の相対運動に起因して、スカート70が繰り返し圧縮及び伸長されるのを容易にするために、蛇腹型要素の形態であることが好ましい。スカート70は、好ましくはラテックスを含む弾性材料から形成されることが好ましい。
【0046】
ここで図3及び図7を参照すると、掃除機ヘッド10は、床面にあるゴミ及び埃を攪拌するための攪拌機を含む。この例では、攪拌機は、ハウジング12のブラシ・バー・チャンバ102内に取り付けられた回転可能なブラシ・バー組立体100を含む。シャーシ50及びスカート70は、ブラシ・バー組立体100の周囲に延びる。ハウジング12からシャーシ50を取り外すことにより、ユーザが、例えばブラシ・バー組立体100にアクセスして、清掃すること及び/又はブラシ・バー・チャンバ102から取り外すことが可能になる。
【0047】
ブラシ・バー組立体100は、ハウジング12のモータ・ハウジング106内に配置されたモータ104によって駆動される。ブラシ・バー組立体100は、駆動機構ハウジング108内に配置された、以下により詳細に説明される駆動機構107によってモータ104に接続されるので、駆動機構107は、吸引通路17を通る空気から隔離されるようになる。モータ104の重量がソールプレート14の底面の周りに均等に分散されたバランスのとれた掃除機ヘッド10を提供するために、モータ・ハウジング106は、ブラシ・バー・チャンバ102の中心上方かつ後方に配置される。その結果、駆動機構107は、ブラシ・バー・チャンバ102の側壁110、112間に、側壁112より側壁110により近く、ブラシ・バー・チャンバ102の中に延びる。
【0048】
従って、ブラシ・バー組立体100は、駆動機構ハウジング108とブラシ・バー・チャンバ102の側壁110との間に配置された第1の比較的長いブラシ・バー114と、第1のブラシ・バー114と同軸であり、かつ、駆動機構ハウジング108とブラシ・バー・チャンバ102の側壁112との間に配置された第2の比較的短いブラシ・バー116とを含む。各々のブラシ・バー114、116は、モータ104によりブラシ・バー114、116を駆動できるように、一端が駆動機構107に接続される。ブラシ・バー114、116の他端は、ブラシ・バー・チャンバ102の側壁110、112上に取り付けられたエンド・キャップ118によって回転可能に支持される。各々のブラシ・バー114、116は、比較的長く硬い第1の組の剛毛120と、比較的短く軟らかい第2の組の剛毛122とを含む。各々の組120、122の剛毛は、ブラシ・バー114、116に沿って規則的な間隔の螺旋構成で配置された複数のクラスタを含み、第2の組122の剛毛のクラスタの螺旋パターンは、第1の組の剛毛120のクラスタの螺旋パターンから角度を付けて離間配置される。
【0049】
ブラシ・バー・チャンバ102は、吸引開口部16からハウジング12の後部に配置された流体出口18まで延びる吸引通路17の一部を与える。その結果、ブラシ・バー・チャンバ102は、チャンバ空気出口130を含み、これを通って空気流がブラシ・バー・チャンバ102を出て、モータ・ハウジング106の下に延びる導管132に入り、空気流を流体出口18に運ぶ。明確にするためにブラシ・バー114、116が省略されている図6を参照すると、第1のブラシ・バー114は、ブラシ・バー・チャンバ102の第1の区画102a内に配置され、第2のブラシ・バー116は、ブラシ・バー・チャンバ102の第2の区画102b内に配置される。空気流がブラシ・バー・チャンバ102の各区画102a、102bから導管132に速やかに通過できるように、空気出口130は、ブラシ・バー・チャンバ102の両方の区画102a、102b間に、かつ、これらの中に延びる細長いアパーチャの形態である。ブラシ・バー・チャンバ102からの空気出口130は、好ましくはスロットの形態であり、好ましくは少なくとも3:1のアスペクト比、より好ましくは少なくとも5:1のアスペクト比を有する。対照的に、流体出口18は、概ね円形のアパーチャの形態であり、従って、導管132は、その断面が細長い形状から円形の形状に徐々に、かつ、滑らかに変化するような形状にされる。
【0050】
掃除機ヘッド10の流体出口18は、ゴミと埃の分離装置と、床面から吸引開口部16を通ってゴミを含んだ空気を吸引するためのモータ駆動式ファン・ユニットとを含む掃除器具(図示せず)の本体に接続される。使用中、ゴミを含んだ空気は、吸引通路17を通って掃除器具の本体に入り、ここで、空気が大気中に排出される前にゴミと埃が空気から分離される。
【0051】
吸引通路17を通って空気流が生成されると、掃除機ヘッド10を通過する空気と外部環境との間に圧力差が発生する。この圧力差が、床面の方向に掃除機ヘッド10のハウジング12に下向きに作用する力を発生させる。ハウジング12とソールプレート14との間の可撓性スカート70の存在により、ハウジング12は、ソールプレート14に対して移動する。その結果、あるとしても比較的小さい力だけが、ハウジング12によってソールプレート14に加えられ、ハウジング12によってソールプレート14が床面に押し付けられるのを防止する。結果として、ソールプレート14の底面の下から吸引開口部16への空気流は、過度には制限されず、ソールプレート14は、床面にわたる掃除機ヘッド10の移動に対して大きな抵抗を生じさせない。
【0052】
ハウジング12がスカート70の多大な圧縮によりソールプレート14に押し付けられるのを防止するために、掃除機ヘッド10は、ソールプレート14の方向へのハウジング12の移動を制限する複数の床係合支持部材を含む。図2及び図3を参照すると、この複数の床係合支持部材は、一対の後部支持部材140を含む。後部支持部材140の各々は、ブラシ・バー・チャンバ102のそれぞれの側壁110、112に剛に接続され、そこから後方に延びるアーム142の端部に接続されるので、後部支持部材140の各々がソールプレート14の背後に配置される。複数の床係合支持部材はまた、後部支持部材140の前方に配置された更に別の支持部材143も含み、掃除機ヘッド10がこれらの後部支持部材140の周りでピボット運動し、使用中に床面に「食い込む」ことを防止する。この例においては、更に別の支持部材143が、掃除機ヘッド10の吸引開口部16を通って突出するように駆動機構ハウジング108上に取り付けられる。
【0053】
各々の支持部材140、143は、概ね円筒形の上部144と、湾曲し、好ましくは概ね半球形の下部146とを有する支持体を含む。各々の支持部材140、143はまた、支持体から突出するように下部146の外面内に形成された凹部の中に取り付けられた床係合回転要素148も含む。回転要素148は、特に硬い床面上で、支持部材140、143の移動に対する抵抗を最小にするように、掃除機ヘッド10が掃除作業中床面の上で操作される際に床面に沿って回転する円筒形の回転要素の形態であることが好ましい。回転要素148は、回転要素148と床面との間の接触点が支持部材140、143の下面によって描かれる軌跡149と概ね一致するように配置されることが好ましい。言い換えれば、回転要素148の外面は、支持体の下部146と同軸であり、かつ、これと同じ曲率半径を有する、仮想半球形状の最下点と概ね一致することが好ましい。
【0054】
掃除機ヘッド10が硬い床面160上に置かれる場合は、図9に示すように、支持部材140、143の回転要素148だけが、硬い床面160に係合する。ソールプレート14の重量の下で、案内部材72、80のヘッド部78、84は、それぞれの案内保持部材76、82の上面と接触して、ソールプレート14が硬い床面160に向かって移動するのを制限し、それによりソールプレート14が硬い床面160から離間される。このことにより、ゴミを含んだ空気が、ソールプレート14の底面の下に、及び、吸引開口部16を通って吸引通路17内に制限なく流れることが可能になる。
【0055】
掃除機ヘッド10がじゅうたん敷きの床面170に移動されるとき、図10に示すように、ハウジング12に作用する力が、支持部材140、143をじゅうたんの繊維の中に押し込み、支持部材140、143の下部146の半球形面が、じゅうたん敷きの床面170に係合する。支持部材140、143の下部146の半球形状は、あらゆる方向へのじゅうたん敷きの床面170にわたる掃除機ヘッド10の動きに対して概ね一定の抵抗を与え、じゅうたん敷きの床面にわたる掃除機ヘッド10の動きに対する抵抗を最小にする。回転要素148は、支持部材140、143の下部146の湾曲形状によって描かれる軌跡を超えては突出しないので、回転要素148は、床面170の上での掃除機ヘッド10の動きに対する抵抗を最小にする。
【0056】
支持部材140、143がじゅうたんに沈むと、ソールプレート14の底面は、じゅうたん敷きの床面170と接触する。ハウジング12とソールプレート14との間に配置された可撓性スカート70の圧縮のため、支持部材140、143がじゅうたん内に更に沈むことにより、シャーシ50によってハウジング12に接続された案内保持部材76、82が、ソールプレート14に接続された案内部材72、80のヘッド部78、84から離れるように下向きに移動する。その結果、ハウジング12は、ソールプレート14に対して移動し、じゅうたん敷きの床面170の上面に置かれたままである。じゅうたん敷きの床面170の毛足によっては、ソールプレート14がそれ自体の重みでじゅうたんの中に僅かに沈むため、じゅうたんの繊維の一部が吸引開口部16を通って突出する場合がある。これらの繊維内のゴミ及び埃は、ハウジング12内に配置された回転ブラシ・バー組立体100によって攪拌することができ、吸引通路17に吸い込まれる空気流の中に連行される。
【0057】
このように、比較的少量の力だけが、ハウジング12によってソールプレート14に加えられ、これにより、ハウジング12によってソールプレート14がじゅうたんの毛足の中に押し込まれるのが防止される。同様に、このことは、ソールプレート14が、掃除機ヘッド10のじゅうたん敷きの床面170の上の動きに対して著しい抵抗を生じさせないこと、及び、掃除機ヘッド10への空気流を過度に制限しないことを意味する。支持部材140、143の下部146は、一旦フィン86が案内保持部材82の下面に当接すると、ハウジング12がソールプレート14に大きな力を加え始めてもじゅうたんの繊維内にあまり深く沈まないように、10mmから20mmまでの範囲内の半径を有することが好ましい。
【0058】
ソールプレート14の下を通る空気流の作用を受けてソールプレート14がじゅうたん敷きの床面170から離れるように持ち上がるのが阻止され、掃除機ヘッド10のハウジング12に作用する力の量が可撓性スカート70の圧縮によってソールプレート14に伝達されるように選択された弾性を有することが好ましい。この力の量は、10Nより小さいことが好ましく、好ましい実施形態においては、2Nから7Nまでの間である。これによりソールプレート14がじゅうたん敷きの床面に押し込まれ、吸引開口部16を通ってじゅうたん繊維が突出し、ブラシ・バー組立体100による攪拌がもたらされる。
【0059】
ここで、ブラシ・バー組立体100をモータ104に接続するための駆動機構107について、図11及び図12を参照して説明する。駆動機構107は、駆動シャフト182の長手方向軸の周りに回転するようにモータ104の駆動シャフト182上に取り付けられた、好ましくはプーリーの形態の回転可能な入力駆動部材180を含む。駆動機構107は、駆動ベルト186によって入力駆動部材180に接続された、同じく好ましくはプーリーの形態の回転可能な出力駆動部材184をさらに含む。出力駆動部材184の回転軸は、入力駆動部材180の回転軸に対して概ね平行である。出力駆動部材184は、回転軸受188によって駆動機構ハウジング108内で回転可能に支持される。第1のブラシ・バー114への接続のために、第1の駆動ドッグ190が出力駆動部材184の片側に取り付けられ、第2のブラシ・バー116への接続のために、第2の駆動ドッグ192が出力駆動部材の反対側に取り付けられる。
【0060】
駆動機構ハウジング108は、駆動部材180、184の回転軸と概ね直交する方向にモータ104に対して可動であり、従って、同様に出力駆動部材184は、入力駆動部材180に対しても可動である。案内部材(図示せず)を設けて、この方向へのモータ104に対するハウジング108の移動を制限することができる。
【0061】
される出力駆動部材184を入力駆動部材180から離れるように押し付けることによってベルト186に張力を付与するために、ベルト・テンション部材194を駆動部材180、184間に配置する。ベルト・テンション部材194は、環状であり、駆動機構ハウジング108に接続されたスピゴット196上に取り付けられ、駆動部材180、184の回転軸間に配置される。スピゴット196は、駆動部材180、184の回転軸に対して概ね平行に延びる。ベルト・テンション部材194は、スピゴット196に沿って可動である。ベルト・テンション部材194の環状外面の一部は、スピゴット196の長手方向軸に対して傾斜された楔形状部198を定めるような形状にされる。ベルト・テンション部材194の楔形状部198は、ベルト・テンション部材194と駆動機構ハウジング108のカバー206との間に配置された弾性部材204によってモータ104に接続された取付プレート202の適合する楔形状部200に対して押し付けられる。これにより、弾性部材204が、取付プレート202の楔形状部200によって入力駆動部材180から離れるように押し付けられる。ベルト・テンション部材194が駆動機構ハウジング108の一部、すなわちスピゴット196の周りに延びるので、これにより、駆動機構ハウジング108、及びそれに支持された出力駆動部材184は、入力駆動部材180から離れるように押し付けられて、ベルト186を完全に引っ張られた状態に維持する。
【0062】
本発明は、上記に与えられた詳細な説明に限定されるものではない。当業者には、変形が明らかであろう。
【符号の説明】
【0063】
10:掃除機ヘッド
12:ハウジング
16:吸引開口部
14:ソールプレート
18:流体出口
17:吸引通路
20:側部
22:前部
24:後部
26、110、112:側壁
28、54:前壁
30、56:後壁
32:ラグ・ストリップ
34:前部作用縁
36:前部リップ
40:後部リップ
50:シャーシ
58:環状突起部
60:環状溝
62:フランジ
66:環状突起
69:ねじ
70:可撓性スカート
72:矩形案内部材
76、82:案内保持部材
78:ヘッド部
80:円筒形案内部材
84:ヘッド部
86:フィン
90:バンパ
100:ブラシ・バー組立体
102:ブラシ・バー・チャンバ
104:モータ
106:モータ・ハウジング
107:駆動機構
108:駆動機構ハウジング
114、116:ブラシ・バー
120、122:剛毛
130:チャンバ空気出口
132:導管
140:後部支持部材
142:アーム
143:追加の支持部材
148:床係合回転要素
160:硬い床面
170:じゅうたん敷きの床面
180:入力駆動部材
182:駆動シャフト
184:出力駆動部材
186:駆動ベルト
190、192:駆動ドッグ
194:ベルト・テンション部材
196:スピゴット
198、200:楔形状部
202:取付プレート
204:弾性部材
206:カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除器具のための掃除機ヘッドであって、空気出口を有するハウジングと、前記ハウジングの前記空気出口と流体連通している空気出口を有する、該ハウジングのチャンバ内に配置された回転ブラシ・バー組立体と、前記チャンバの第1の側壁と第2の側壁との間で該チャンバ内に延びる、前記ブラシ・バー組立体を駆動させるための駆動機構とを含み、該ブラシ・バー組立体は、前記駆動機構と該チャンバの前記第1の側壁との間の該チャンバの第1の区画内に配置された第1のブラシ・バー区画と、該駆動機構と該チャンバの前記第2の側壁との間の該チャンバの第2の区画内に配置された第2のブラシ・バー区画とを含み、該チャンバの前記空気出口は該チャンバの両方の区画の間に、かつ、それらの中に延びることを特徴とする掃除機ヘッド。
【請求項2】
前記チャンバの前記空気出口は、少なくとも3:1のアスペクト比を有するスロットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の掃除機ヘッド。
【請求項3】
前記アスペクト比は、少なくとも5:1であることを特徴とする、請求項2に記載の掃除機ヘッド。
【請求項4】
前記ハウジングの前記空気出口は、概ね円形のアパーチャを含むことを特徴とする、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項5】
前記駆動機構はモータを含むことを特徴とする、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項6】
前記モータは、前記チャンバの前記空気出口の中央上方に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の掃除機ヘッド。
【請求項7】
前記第1のブラシ・バー区画は比較的長く、前記第2のブラシ・バー区画は比較的短いことを特徴とする、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項8】
前記第1及び前記第2のブラシ・バー区画は同軸であることを特徴とする、前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項9】
前記掃除機ヘッドは、ゴミを含んだ空気が前記掃除機ヘッドに入る吸引開口部を含むソールプレートと、前記ソールプレートと前記ハウジングとの間の相対運動を可能にするために該ソールプレートと該ハウジングとの間に配置された可撓性環状シールとを含むことを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項10】
前記可撓性環状シールは、前記ブラシ・バー組立体を囲むことを特徴とする、請求項9に記載の掃除機ヘッド。
【請求項11】
前記可撓性環状シールは、弾性材料から形成されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の掃除機ヘッド。
【請求項12】
前記可撓性環状シールは、蛇腹シール要素を含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項13】
前記ハウジングに対する前記ソールプレートの運動を案内するための案内手段を含むことを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項14】
前記案内手段は、前記床面にわたる前記掃除機ヘッドの運動の方向への前記ソールプレートと前記ハウジングとの間の相対運動を阻止するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の掃除機ヘッド。
【請求項15】
前記請求項1〜14のいずれか一項に記載の掃除機ヘッドを含むことを特徴とする掃除器具。
【請求項1】
掃除器具のための掃除機ヘッドであって、空気出口を有するハウジングと、前記ハウジングの前記空気出口と流体連通している空気出口を有する、該ハウジングのチャンバ内に配置された回転ブラシ・バー組立体と、前記チャンバの第1の側壁と第2の側壁との間で該チャンバ内に延びる、前記ブラシ・バー組立体を駆動させるための駆動機構とを含み、該ブラシ・バー組立体は、前記駆動機構と該チャンバの前記第1の側壁との間の該チャンバの第1の区画内に配置された第1のブラシ・バー区画と、該駆動機構と該チャンバの前記第2の側壁との間の該チャンバの第2の区画内に配置された第2のブラシ・バー区画とを含み、該チャンバの前記空気出口は該チャンバの両方の区画の間に、かつ、それらの中に延びることを特徴とする掃除機ヘッド。
【請求項2】
前記チャンバの前記空気出口は、少なくとも3:1のアスペクト比を有するスロットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の掃除機ヘッド。
【請求項3】
前記アスペクト比は、少なくとも5:1であることを特徴とする、請求項2に記載の掃除機ヘッド。
【請求項4】
前記ハウジングの前記空気出口は、概ね円形のアパーチャを含むことを特徴とする、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項5】
前記駆動機構はモータを含むことを特徴とする、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項6】
前記モータは、前記チャンバの前記空気出口の中央上方に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の掃除機ヘッド。
【請求項7】
前記第1のブラシ・バー区画は比較的長く、前記第2のブラシ・バー区画は比較的短いことを特徴とする、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項8】
前記第1及び前記第2のブラシ・バー区画は同軸であることを特徴とする、前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項9】
前記掃除機ヘッドは、ゴミを含んだ空気が前記掃除機ヘッドに入る吸引開口部を含むソールプレートと、前記ソールプレートと前記ハウジングとの間の相対運動を可能にするために該ソールプレートと該ハウジングとの間に配置された可撓性環状シールとを含むことを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項10】
前記可撓性環状シールは、前記ブラシ・バー組立体を囲むことを特徴とする、請求項9に記載の掃除機ヘッド。
【請求項11】
前記可撓性環状シールは、弾性材料から形成されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の掃除機ヘッド。
【請求項12】
前記可撓性環状シールは、蛇腹シール要素を含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項13】
前記ハウジングに対する前記ソールプレートの運動を案内するための案内手段を含むことを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項14】
前記案内手段は、前記床面にわたる前記掃除機ヘッドの運動の方向への前記ソールプレートと前記ハウジングとの間の相対運動を阻止するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の掃除機ヘッド。
【請求項15】
前記請求項1〜14のいずれか一項に記載の掃除機ヘッドを含むことを特徴とする掃除器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−246935(P2010−246935A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−106735(P2010−106735)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106735(P2010−106735)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】
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