説明

掃除機用床ノズルの回転ロータ及び電気掃除機

【課題】床面の種類に応じて容易に組み立てられると共に、掃除機用床ノズルの小型化が図れる掃除機用床ノズルの回転ロータを提供する。
【解決手段】外周面に360度以上の捩り角度で螺旋状に形成された複数の溝部4を有するロータ2を備え、溝部4に装着される清掃体3を、細い繊維からなりブラシ状の清掃体A3aと、軟質材でブレード状に形成された清掃体B3bと、払拭布で形成された清掃体C(図示せず)と、清掃体A3aよりこしの強い繊維からなるブラシ状の清掃体D(図示せず)のいずれかを2つ以上組み合わせて構成したもので、溝部4の捩り角度が360度以上なので、被掃除面と清掃体3との間の摺動抵抗が大幅に軽減し、回転ロータ1を回転させる駆動源(図示せず)の小型化が図れ、かつ、清掃体A3a、B3b、C、Dの組み合わせを変えるだけで、床面(図示せず)の種類に応じた回転ロータ1が組み立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機用床ノズルの回転ロータ及び、それを用いた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の掃除機用床ノズルの回転ロータは、掃除機用床ノズルに回転自在に設けられ外周面の長手方向に複数の溝部を螺旋状に形成したロータと、それぞれの一端が前記溝部に交互に装着される毛ブラシと、周ブレードから構成されていた。毛ブラシは、木床やタイル面で拭き機能の役割を持つもので、周ブレードは、絨毯のパイルから塵埃を剥離させる機能を有している。
【0003】
上記構成により、毛ブラシと、周ブレードのそれぞれの一端を螺旋状の溝部に装着することで、毛ブラシ、周ブレードのそれぞれの先端も螺旋状になり、回転ロータを回転させたときに毛ブラシ、周ブレードのそれぞれの先端が被掃除面に連続して接触して、木床やタイル面を効率よく拭き上げたり、絨毯の塵埃を効率よく掻きとるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−318781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたような従来の掃除機用床ノズルの回転ロータにおいては、螺旋状に形成された溝部の捩り角度は、ロータの両端間で、せいぜい180度で、大きいものでも270度程度までであった。このため、回転ロータを回転させたときの毛ブラシや周ブレードと被掃除面との間の摺動抵抗が大きく、掃除機用床ノズルに設けられた回転ロータを回転駆動するモータなどの駆動源を小型化することが困難であった。
【0005】
それを解決する手段として、毛ブラシや周ブレードの突出代を短くして、それらと被掃除面との間の摺動抵抗を小さくして駆動源に加わる負荷を低減し、駆動源を小型化する方法も可能だが、これでは、毛ブラシや周ブレードの本来の拭き性能や塵埃掻き揚げ性能が低下してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、清掃体の拭き性能や塵埃掻き揚げ性能を低下させること無く、被掃除面と清掃体との間の摺動抵抗が小さく、回転ロータを回転させる駆動源を小型化することが出来る掃除機用床ノズルの回転ロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の掃除機用床ノズルの回転ロータは、掃除機用床ノズルに回転自在に設けられ外周面の長手方向に複数の溝部を形成したロータと、一端が前記溝部に装着される清掃体からなり、前記溝部を前記ロータの全長に渡って360度以上の捩り角度で螺旋状に形成し、前記清掃体を、細い繊維でブラシ状に形成された清掃体Aと、軟質材でブレード状に形成された清掃体Bと、払拭布で形成された清掃体Cと、前記清掃体Aよりこしの強い細い繊維でブラシ状に形成された清掃体Dのいずれかを2つ以上組み合わせて構成したもので、螺旋状に形成された溝部に装着されて、同様に螺旋状になった清掃体により、被掃除面の塵埃がロータの長手方向に沿って確実に掻き揚げられ、その捩り角度が360度以上になっているので、被掃除面と清掃体との間の摺動抵抗が大幅に軽減し、回転ロータを回転させる駆動源の小型化ひいては掃除機用床ノズルの小型化が図れる。
【0008】
さらに、清掃体A〜清掃体Dの組み合わせを変えるだけで、木床、絨毯等床面の種類に応じて、自在に回転ロータが組み立てられるので、製造コスト、在庫管理コスト等を低減させることができる。
【0009】
また、本発明の電気掃除機は、吸引力を発生させる電動送風機と、塵埃を捕集する集塵室と、前記集塵室に連通するように接続される掃除機用床ノズルとを備え、前記掃除機用床ノズルに、請求項1〜5のいずれか1項に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータを配したもので、被掃除面と回転ロータとの間の摺動抵抗が大幅に軽減することで、回転ロータを回転させるモータなどの駆動源が小型化し、その結果掃除機用床ノズルも小型になっているので、掃除機用床ノズルの操作性が著しく向上し、きわめて使用勝手の良い電気掃除機を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の掃除機用床ノズルの回転ロータは、螺旋状の溝部に取り付けられた清掃体により、被掃除面の塵埃がロータの長手方向に沿って確実に掻き揚げられ、その捩り角度が360度以上になっているので、被掃除面と清掃体との間の摺動抵抗が大幅に軽減し、回転ロータを回転させる駆動源の小型化ひいては掃除機用床ノズルの小型化が図れる。
【0011】
さらに、清掃体A〜清掃体Dの組み合わせを変えるだけで、木床、絨毯等床面の種類に応じて、自在に回転ロータが組み立てられるので、製造コスト、在庫管理コスト等を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、掃除機用床ノズルに回転自在に設けられ外周面の長手方向に複数の溝部を形成したロータと、一端が前記溝部に装着される清掃体からなり、前記溝部を前記ロータの全長に渡って360度以上の捩り角度で螺旋状に形成し、前記清掃体を、細い繊維でブラシ状に形成された清掃体Aと、軟質材でブレード状に形成された清掃体Bと、払拭布で形成された清掃体Cと、前記清掃体Aよりこしの強い細い繊維でブラシ状に形成された清掃体Dのいずれかを2つ以上組み合わせて構成したもので、螺旋状に形成された溝部に装着されて、同様に螺旋状になった清掃体により、被掃除面の塵埃がロータの長手方向に沿って確実に掻き揚げられ、その捩り角度が360度以上になっているので、被掃除面と清掃体との間の摺動抵抗が大幅に軽減し、回転ロータを回転させる駆動源の小型化ひいては掃除機用床ノズルの小型化が図れる。
【0013】
さらに、清掃体A〜清掃体Dの組み合わせを変えるだけで、木床、絨毯等床面の種類に応じて、自在に回転ロータが組み立てられるので、製造コスト、在庫管理コスト等を低減させることができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の清掃体A及び清掃体Dを、細い繊維からなるブラシ片と、前記ブラシ片の下部を保持する帯状体で形成したもので、帯状体によりブラシ片の下部を保持することで、多くの繊維を密に束ねることができ、それにより清掃体A、Dのこしを強くしたり、弱くしたり自由に設定することができ、被掃除面からの塵埃の掻き揚げ性能が向上する。
【0015】
第3の発明は、特に、第2の発明のブラシ片の下部を、芯線と共に帯状体で挟んで保持したもので、ブラシ片の下部の固定がより確実になると共に、ロータの高速回転時のブラシ片の抜けや、清掃体A、Dのロータからの外れなどを確実に防止することができる。
【0016】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の清掃体Bを、平面上で環状になるように形成したもので、環状に形成された清掃体Bの外周長と、内周長のそれぞれを、清掃体Bの一端をロータの溝部に取り付けたときの清掃体Bの先端の展開寸法と、溝部の展開寸法と同じくすれば、清掃体Bを溝部に容易に装着できると共に、平面上で環状になるように形成することで、成形金型の構造が簡素化され、金型費用は勿論、工数も削減されるので、安価に形成できる。
【0017】
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の清掃体A、B、C、及びDの溝部への取り付け前の形状を、前記溝部に取り付けたときの形状と略同一になるようにしたもので、溝部へ取り付けた後の清掃体A、B、C、及びDの形状が取り付け前と同一なので、清掃体A、B、C、及びDに応力が残ることが無く、長寿命化を図ることができる。
【0018】
第6の発明は、吸引力を発生させる電動送風機と、塵埃を捕集する集塵室と、前記集塵室に連通するように接続される掃除機用床ノズルとを備え、前記掃除機用床ノズルに、請求項1〜5のいずれか1項に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータを配したもので、被掃除面と回転ロータとの間の摺動抵抗が大幅に軽減することで、回転ロータを回転させるモータなどの駆動源が小型化し、その結果掃除機用床ノズルも小型になっているので、掃除機用床ノズルの操作性が著しく向上し、きわめて使用勝手の良い電気掃除機を提供することが出来る。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)本発明の第1の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータについて、図1〜4を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータを搭載した掃除機用床ノズルの分解斜視図(上蓋を除いた図)で、図2は、同回転ロータの展開斜視図である。
【0022】
図1、2において、30は、電気掃除機(図示せず)に、ホース(図示せず)、延長管(図示せず)などを介して接続される掃除機用床ノズルで、前方底部に塵埃を吸引する開口部(図示せず)が設けられ、その開口部に臨むように本実施の形態における回転ロータ1が回転自在に設けられている。回転ロータ1は、ベルト32を介して掃除機用床ノズル30に内蔵されたモータ31により回転駆動される。
【0023】
回転ロータ1は、アルミニウムなどの金属材料からなり外周面の長手方向に均等に4本の溝部4を外方に開口するように設けたロータ2と、一端が溝部4に嵌合装着される清掃体3と、清掃体3をロータ2に装着した後、そのロータ2の一端に圧入されると共にモータ31で駆動されるベルト32が張架されるプーリー付きホルダー33と、ロータ2の他端に圧入される軸受けホルダー34から構成されている。35は、回転ロータ1の両端を掃除機用床ノズル30に回転自在に保持するための軸受けである。
【0024】
ロータ2に設けた溝部4は、ロータ2の全幅に渡って360度の捩り角度で螺旋状に形成されている。なお、本実施の形態においては、捩れ角度を360度に設定しているが、540度、720度と360度を超える角度であれば、その角度を限定するものではない。
【0025】
溝部4の断面形状は、ロータ2の全長に渡って、一定の略いちょう型で、外周開口を内部に対して狭くなるように形成されている。
【0026】
清掃体3は、清掃体A3aと、清掃体B3bと、清掃体C3c、清掃体D3dのいずれかを2つ以上組み合わせて構成されている。
次に、図3を用いて、清掃体A3a、清掃体B3b、清掃体C3c、清掃体D3dの詳細について説明する。
【0027】
清掃体A3aは、主に、木床やタイル上の塵埃を掻き揚げる機能を有するもので、図3(a)に示すように、全体が帯状で、芯線3eを間にして折り曲げた多数の細い繊維からなるブラシ片3fと、ブラシ片3fの根元部を、芯線3eと共に覆い挟むと共に、ロータ2の溝部4に挿入される帯状体3gから構成されている。なお、芯線3eは、清掃体A3aの組み立て上必要なもので、清掃体A3aの完成後、抜き取っても良い。
【0028】
また、芯線3eを用いることなく、清掃体A3aが組み立てられるのであれば、勿論芯線3eは不要である。又、従来から実施されている、基布にパイルを織り込んで加工された起毛布ブラシを使用しても良い。
【0029】
清掃体B3bは、主に、絨毯のパイルについた塵埃を掻きとる機能を有するもので、図3(b)に示すように、ブレード状で、シリコンゴムなどの軟質材で形成されたブレード片3hと、その根元部に一体的に形成され、ロータ2の溝部4に挿入される基部3jから構成されている。
【0030】
清掃体C3cは、主に、木床やタイル等の表面を磨く機能を有するもので、図3(c)に示すように、全体が帯状に形成され、表面に払拭布3kを設けた払拭体3mと、その根元部に一体的に形成され、ロータ2の溝部4に挿入される基部3nから構成されている。
【0031】
清掃体D3dは、主に絨毯上のパイルについて塵埃を掻き取る機能を有するもので、図3(d)に示すように、全体が帯状で芯線3pを間にして折り曲げた多数の繊維からなるブラシ片3rと、ブラシ片3rの根元部を、芯線3pと共に覆い挟むと共に、ロータ2の溝部4に挿入される帯状体3sから構成されている。ブラシ片3rは、清掃体A3aのブラシ片3fより繊維のこしが強くなるように設定されている。
【0032】
例えば、清掃体D3dのブラシ片3rの繊維径を、清掃体A3aのブラシ片3fの繊維径より太くしたり、あるいは、清掃体D3dのブラシ片3rの材質を、清掃体A3aのブラシ片3fの材質より剛性のある繊維を使用したりすることで、ブラシ片3rの繊維のこしをブラシ片3fより強くすれば良い。
【0033】
なお、芯線3pは、清掃体D3dの組み立て上必要なもので、清掃体D3dの完成後、抜き取っても良い。また、芯線3pを用いることなく、清掃体D3dが組み立てられるのであれば、勿論芯線3pは不要である。
【0034】
帯状体3g、3s、基部3j、3nのそれぞれの断面形状は、ロータ2の溝部4の断面形状とほぼ同一で、溝部4に挿入した後は、溝部4の開口から外れないようにしてある。なお、帯状体3g、3s、基部3j、3nの断面形状は、本実施の形態における形状に限定されるものではなく、溝部4の開口幅よりも大きい幅を有した形状のものであれば、いかなる形状のものであってもかまわない。
【0035】
回転ロータ1の組み立ては、各溝部4の一方の端部より、清掃体A3a、清掃体B3b、清掃体C3c、清掃体D3dの帯状体(3g又は3s)又は基部(3j又は3n)を挿入し、ロータ2の一端にプーリー付きホルダー33を、他端に軸受けホルダー34をそれぞれ圧入して完成する。完成された回転ロータ1にベルト32を張架し、両端を軸受け35で保持しながら掃除機用床ノズル30の所定の部位に挿入して、掃除機用床ノズル30への組み立てが完了する。
【0036】
次に、図4を用いて、清掃体A3a、清掃体B3b、清掃体C3c、清掃体D3dの組み合わせ例とその作用を説明する。
【0037】
図4(a)に示す例は、特に、絨毯の清掃に適した組み合わせ例で、清掃体A3aと、清掃体A3aより突出代が小さい清掃体B3bとを交互に溝部4に装着したもので、回転ロータ2を反時計方向に回転させると、突出代の大きな清掃体A3aが絨毯のパイルを倒し、次に突出代が小さい清掃体B3bが、パイルを押し広げると同時にパイルに付着した塵埃を掻き取り、次にくる清掃体A3aでパイルの奥の塵埃を掻き上げるもので、効果的に絨毯の掃除を行うことができる。また、絨毯清掃中に長い髪の毛が清掃体A3aに巻きついても、清掃体B3bの先端より内方に巻きつくことが無いので、髪の毛をはさみ等で切って簡単に除去できるものである。
【0038】
図4(b)に示す例は、特に、絨毯の掃除及び木床の清掃に適した組み合わせ例で、反時計方向に、最も突出代の大きな清掃体A3aと、最も突出代が小さい清掃体B3bと、清掃体A3aと、突出代が清掃体A3aより短く、清掃体B3bより長い清掃体C3cとを順に溝部4に装着したもので、木床上で回転ロータ2を反時計方向に回転させると、木床の溝に突出代の大きな清掃体A3aのブラシ片3fの先端が入り込んで中の塵埃を掻き出し、続いて清掃体C3cが木床の表面を磨き上げ、次の清掃体A3aで塵埃を掻き上げる。この間、出代の短い清掃体B3bは空転するだけで木床の表面に接することは無い。
【0039】
また、同組み合わせで、絨毯上で運転すると、絨毯のパイルに付着した塵埃が清掃体A3aと、清掃体B3bとで、効果的に掻き取られる。また、畳上の清掃においても、同様の効果が得られる。
【0040】
図4(c)に示す例は、主に、木床の清掃に適した組み合わせ例で、時計方向に、清掃体A3aと、突出代が清掃体A3aより大きな清掃体C3cと、清掃体A3aと、突出代が清掃体A3aより短い清掃体B3bとを順に装着したもので、木床上で回転ロータ2を反時計方向に回転させると、磨き機能或いは拭き機能を有する清掃体C3cが常に木床の表面をなぞるので、磨き効果が極めて大きいものである。また、畳上の清掃においても、同様の効果が得られる。
【0041】
図4(d)に示す例は、特に、絨毯の清掃に適した別の組み合わせ例で、清掃体A3aと清掃体A3aより突出代が小さい清掃体D3dとを交互に溝部4に装着したもので、回転ロータ1を反時計方向に回転させると、突出代の大きな清掃体A3aが絨毯のパイルを倒し、次に突出代が小さくてブラシ片3rのこしが清掃体A3aより強い清掃体D3dがパイルを押し広げると同時にブラシ片3rの先端部でパイルに付着した塵埃を掻き取る。次にくる清掃体A3aでパイルの奥の塵埃を掻き上げるもので、効果的に絨毯の掃除を行うことができる。
【0042】
又清掃体A3a、清掃体D3dの全てが多数の繊維からなるブラシ片3f、3rのため、高速回転を行っても、清掃体B3bのブレード片3hのように空気をたたく時発生するブー音やサイレン音等が無く、騒音を低下させることができる。
【0043】
以上のように本実施の形態によれば、同一のロータ2を用いながら、複数の溝部4に、異なる清掃体3を色々組み合わせて取り付けることにより、被掃除面の種類に適した回転ロータ1を自在に製造することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータ1を用いれば、一つの溝に装着された1本の清掃体3は、360度捩ってあるので、清掃体3の先端を最大で2箇所も床面に接触させることができる。
【0045】
また、本実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータは、4本の清掃体3を装着させてあるので、清掃体3を最大で5箇所も床面に接触させることができ、床面へ接触している総面積が多くなり、塵埃の掃き出し効果が向上する。又、多くの清掃体3を床面に接触させることにより床面からロータ2に加わる圧力をロータ2の全長に渡って均一に分散できるため、回転時のロータ2の芯ブレを最小限に抑えることができる。
【0046】
さらに、床面に接触している清掃体3は、180度の捩り角度で螺旋状に形成されたものと比較して、ロータ2の長手方向に対して傾斜角度が大きくなるので、清掃体3の先端部の床面に対する接触状態を辺接触から点接触に近づかせることができ、これにより床面と清掃体3との接触面積が減少し、清掃体3と床面との間の摺動抵抗を減少させることができる。それにより回転ロータ1を駆動する駆動源であるモータ31に加わる負荷が減り、その分同モータ31を小型化することができる。
【0047】
(実施の形態2)図5は、本発明の第2の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータの清掃体Bの斜視図である。なお、上記第1の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータと同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
ロータ2に設けた螺旋状の溝部4の捩り角度が大きくなると、その溝部4に取着される清掃体3、例えば清掃体B3bの先端部での展開寸法と、溝部4の展開寸法との差が大きくなるため、図3(b)に示すような、両辺の長さが等しい帯状の清掃体B3bを用いた場合、軟質材で形成されているとは言え、清掃体B3bの先端が倒れ、塵埃の掻き上げ性能が低下するという問題が起こる。
【0049】
そこで本発明は、図5に示すように、清掃体B3bを、平面に置いたときに円環状になるように形成し、その外周長Loutと内周長Linのそれぞれを、清掃体B3bをロータ2の溝部4に取り付けたときの清掃体B3bの先端の展開寸法と、溝部4の展開寸法と等しくしたもので、これにより清掃体B3bを溝部4に容易に装着できる。
【0050】
又ロータ2の溝部4に取り付けられたとき、清掃体B3bの先端が倒れることが無く、塵埃の掻き上げ性能が向上する。さらに、平面上で環状になる形状なので、成形金型の構造が簡素化され、金型費用は勿論、成形工数も削減されるので、安価に形成できる。
【0051】
又、同一断面形状のロータ2の長さを変えて回転ロータ1の部品展開を図るときは、ロータ2の長さに応じて円環状に形成した清掃体B3bを切断するだけで対応できるので、清掃体B3b用の金型を複数用意する必要は無く、又在庫管理も容易になるものである。
【0052】
(実施の形態3)図6は、本発明の第3の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータの清掃体Bの斜視図である。なお、上記第1の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータと同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
本実施の形態は、上記第2の実施の形態で述べた、帯状の清掃体B3bを用いた場合の問題点を解決する他の例を示すもので、図6に示すように、清掃体B3bの取り付け前の形状、すなわち清掃体B3bの製造後の形状が、ロータ2の溝4に取り付けた時の形状と略同一になるように形成したもので、清掃体B3bのロータ2の溝部4へ取り付ける前の形状と、取り付けた後の形状が略同一なので、溝部4への装着が無理なく容易に出来ると共に、溝部4へ取り付けた後の清掃体B3bに応力が残ることが無く、長寿命化を図ることができる。
【0054】
(実施の形態4)図7は、本発明の第4の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータの側面図である。なお、上記第1の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータと同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
本実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータ11は、溝部4の捩り角度が、両側の部位17でのそれと比較して小さい捩り角度の部位18を設けたものである。
【0056】
高捩れ角度の部位17における捩り角度は、両側共に各150度、低捩れ角度の部位18における捩り角度は60度、即ち、夫々の捩り角度を全部加算して360度となるように設けてある。
【0057】
なお、本実施の形態においては、低捩れ角度の部位18における捩り角度を60度に設定しているが、0度に設定しても良いものであり、この場合は、両側の高捩れ角度の部位17における捩り角度を、例えば、夫々180度に設定することで、全て足して360度とすれば良い。又、本実施の形態においては、低捩れ角度の部位18を、ロータ2の中央に設けているが、中央に限定するものではない。
【0058】
以上のように、本実施の形態によれば、高捩れ角度の部位17によって効率的に床面のゴミの掃き出し効果を得ると共に、低捩れ角度の部位18によって電気掃除機の吸気による効率的な吸引効果を得ることができる。
【0059】
(実施の形態5)図8は、本発明の第5の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータの斜視図である。なお、上記第1の実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータと同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施の形態における掃除機用床ノズルの回転ロータ21は、溝部4の捩り方向を、中央を境に逆方向、すなわち、V字形状にし、その両端側から床面に接するように回転ロータ21を回転(図8中の矢印方向)させるようにしたものである。
【0061】
なお、左右それぞれの溝部4の捩り角度は、第1の実施の形態と同様に、全長に換算したときに、360度となるようにしてある。又、回転ロータ21の略中央部に捩らない部分を設けて、左右夫々の捩り角度を足して360度になるように設定しても良いものである。
【0062】
上記構成により、回転ロータ21が矢印方向に回転すると、床面の塵埃が両側端部から中央に寄せられ、その中央部から、掃除機用床ノズル30に作用する電気掃除機の吸引力で効率よく吸引されていく。
【0063】
なお、特に図示しないが、溝部4の中央部での捩れ角度を、両側でのそれより小さくすれば、清掃体3の両側の捩れ角度の大きな部位で、効率的に床面の塵埃の掃き出しを行い、中央の捩れ角度の小さな部位に、電気掃除機による吸引効果を効率的に作用させることができる。
【0064】
なお、上記実施の形態では、ロータ2の製造法について、特に言及しなかったが、従来の製造法である捩り押し出し成形や、押し出し成形後捩るなどの方法に限らず、上記実施の形態で述べた構成を形成することができれば、種々の製造方法を採用することができる。
【0065】
(実施の形態6)図9は、本発明の第6の実施の形態における電気掃除機の全体側面図である。
本実施の形態における電気掃除機は、前部に塵埃を捕集する集塵室41と、後部に電動送風機42を内蔵した電動送風機室43をそれぞれ備えた掃除機本体40と、前記集塵室41に連通するように一端が掃除機本体40に接続されるホース44と、ホース44の他端に設けられたハンドルパイプ45に着脱自在に接続される延長管46とを備え、前記延長管46の他端に、上記第1〜5の実施の形態における掃除機用床ノズル30の一つを接続するようにしたものである。
【0066】
上記構成により、掃除機本体40を運転し、ハンドルパイプ45を操作して、掃除機用床ノズル30を木床や絨毯上で操作すると、掃除機用床ノズル30に内蔵された回転ロータ(11又は21)が回転し、塵埃が清掃体3により掻き上げられ、電動送風機42による吸引力で、空気と共に塵埃が、延長管46、ホース44を通って集塵室41に流れそこで塵埃が捕集される。
【0067】
本実施の形態によれば、上記第1〜5の実施の形態で述べたように、被掃除面と清掃体3との間の摺動抵抗が大幅に軽減し、回転ロータ1を回転させるモータなどの駆動源が小型化し、その結果掃除機用床ノズルも小型になっているので、掃除機用床ノズルの操作性が著しく向上し、きわめて使用勝手の良い電気掃除機を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係る掃除機用床ノズルの回転ロータは、被掃除面と清掃体との間の摺動抵抗が大幅に軽減し、回転ロータを回転させる駆動源の小型化ひいては掃除機用床ノズルの小型化が図れ、さらに、清掃体A、清掃体B、清掃体C及び清掃体Dの組み合わせを変えるだけで、木床、絨毯等床面の種類に応じて、自在に回転ロータが組み立てられるもので、電気掃除機の床ノズルに限らず、床面洗浄機や、床磨き機などにも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態1における掃除機用床ノズルの回転ロータを搭載した掃除機用床ノズルの分解斜視図
【図2】同回転ロータの展開斜視図
【図3】(a)同回転ロータの清掃体Aの斜視図、(b)同回転ロータの清掃体Bの斜視図、(c)同回転ロータの清掃体Cの斜視図、(d)同回転ロータの清掃体Dの斜視図
【図4】(a)〜(d)同回転ロータの清掃体A、清掃体B、清掃体C、清掃体Dの組み合わせ例を示す同回転ロータの断面図
【図5】本発明の実施の形態2における掃除機用床ノズルの回転ロータの清掃体Bの斜視図
【図6】本発明の実施の形態3における掃除機用床ノズルの回転ロータの清掃体Bの斜視図
【図7】本発明の実施の形態4における掃除機用床ノズルの回転ロータの側面図
【図8】本発明の実施の形態5における掃除機用床ノズルの回転ロータの斜視図
【図9】本発明の実施の形態6における電気掃除機の全体側面図
【符号の説明】
【0070】
1、11、21 回転ロータ
2 ロータ
3 清掃体
3a 清掃体A
3b 清掃体B
3c 清掃体C
3d 清掃体D
4 溝部
30 掃除機用床ノズル
40 掃除機本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機用床ノズルに回転自在に設けられ外周面の長手方向に複数の溝部を形成したロータと、一端が前記溝部に装着される清掃体からなり、前記溝部を前記ロータの全長に渡って360度以上の捩り角度で螺旋状に形成し、前記清掃体を、細い繊維でブラシ状に形成された清掃体Aと、軟質材でブレード状に形成された清掃体Bと、払拭布で形成された清掃体Cと、前記清掃体Aよりこしの強い細い繊維でブラシ状に形成された清掃体Dのいずれかを2つ以上組み合わせて構成した掃除機用床ノズルの回転ロータ。
【請求項2】
清掃体A及び清掃体Dを、細い繊維からなるブラシ片と、前記ブラシ片の下部を保持する帯状体で形成した請求項1に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータ。
【請求項3】
ブラシ片の下部を、芯線と共に帯状体で挟んで保持した請求項2に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータ。
【請求項4】
清掃体Bを、平面上で環状になるように形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータ。
【請求項5】
清掃体A、B、C、及びDの溝部への取り付け前の形状を、前記溝部に取り付けたときの形状と略同一になるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータ。
【請求項6】
吸引力を発生させる電動送風機と、塵埃を捕集する集塵室と、前記集塵室に連通するように接続される掃除機用床ノズルとを備え、前記掃除機用床ノズルに、請求項1〜5のいずれか1項に記載の掃除機用床ノズルの回転ロータを配した電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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