説明

掃除機用延長管及び電気掃除機

【課題】ベッド等家具の下側空間を掃除する際に掃除対象の床面が係止具で傷付くことを抑制でき、かつ、前記下側空間を掃除する作業性を向上できるとともに、前記下側空間の奥深くまで確実に吸塵させるのに適した掃除機用延長管を提供する。
【解決手段】掃除機用の延長管31は、管体32と、掃除機本体の延長管支持部11に取外し可能に引掛けられる係合部材41とを具備する。管体32に、円形の外周面をなす部材取付け部を設けるとともに、この取付け部の両側に位置される位置決め部35を設ける。係合部材41は嵌合部42及び引掛け部43を有する。嵌合部42を位置決め部35により管体32の軸方向に移動止めするとともに、この嵌合部42を管体32の周方向に可動し得るように部材取付け部の外周に嵌合する。引掛け部43を管体32に対して離れる方向に嵌合部42から突設する。掃除中に引掛け部43が掃除対象の床面に接した場合に係合部材41が管体32の周方向に回動されるようにしたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に延びるように立った状態で掃除機本体に引掛け支持される延長管に関するとともに、この延長管を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
上下二本継ぎ形の延長管であって、その延長下管に鈎部を有する係止具(接続具)が装着された延長管が、従来技術として知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、前記係止具は延長下管に対して軸方向にも周方向に動かないように固着されている。
【0003】
この延長管を備えた電気掃除機の掃除機本体には、通常の使用状態で掃除対象の床面に対向する底面に、前方に向けて開口する開口部を有した鈎受部が形成されている。そして、電気掃除機を格納する際等に、鈎受部と係止具を用いて延長管が掃除機本体に引掛け支持されるようになっている。
【0004】
即ち、ホース、延長管、及び床ノズルが互いに接続されているとともに、ホースが掃除機本体の吸込み口に接続されたままの状態で、掃除機本体をその後部が底部となるように立位状態にした上で、延長管に固着された係止具の鈎部を掃除機本体の鈎受部に上方から挿入して引掛けることにより、延長管を上下方向に延びるように立った状態に掃除機本体に引掛け支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−64329号公報(従来の技術の欄、第12図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において延長下管に固着された係止具の鈎部は、通常の掃除状態では延長下管に対して下方に突出しているため、ベッドやソファーのような家具の下を掃除する場合に以下の不具合がある。
【0007】
即ち、ベッド等の下を掃除する際、一般的には、使用者により握られたホースの手元部の高さ位置がより低くなるように操作して、手元部に接続された延長管が掃除対象の床面に対してできるだけ略平行となるようにして掃除が行われる。この場合、延長管の延長下管に固着された係止具の鈎部が掃除対象の床面に接触することがある。
【0008】
ベッド等の下を掃除する場合、ベッド等が床ノズル及び係止具の視認を妨げるので、係止具の鈎部が掃除対象の床面に接触したままで、延長管及び床ノズルが前後方向に押し引きされることに伴い、掃除対象のフローリング製床面が傷付けられる恐れがある。こうした床面の傷付きを抑制するには、係止具の鈎部が床面に接触しているかどうかを都度確認しながら掃除をする手間が必要であるので、掃除が面倒となる。そして、床面の傷付きを恐れるあまり、床ノズルをベッド等の下側空間の奥深くまで押し込んで掃除することも躊躇される可能性が高いので、掃除作業上好ましくない。更に、係止具の鈎部が掃除対象の床面に接触したことに気付かずに、床ノズルをベッド等の下側空間の奥深くまで押し込んだ場合には、床面に接触している係止具を支点として床ノズルが床面から浮き上がって、ベッド等家具の下側空間の奥深い場所の吸塵ができない状態になることがある。
【0009】
以上のように従来の延長管は、ベッド等家具の下側空間を掃除する際に、掃除機本体に立てた状態に引掛けて支持するために設けられた係止具で掃除対象の床面を傷付けることがあり、かつ、この傷付きを抑制しつつ掃除をする上での作業性が良くないとともに、前記下側空間の奥深い場所を確実に吸塵し難い、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の掃除機用延長管は、管体と、嵌合部及びこの嵌合部から管体に対して離れる方向に突設された引掛け部を有して、掃除機本体の延長管支持部に取外し可能に引掛けられる係合部材とを具備し、管体に、円形の外周面をなす部材取付け部とこの取付け部の両側に位置される位置決め部とを設け、位置決め部で管体の軸方向に嵌合部を移動止めするとともに、この嵌合部を管体の周方向に可動し得るように部材取付け部の外周に嵌合したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、掃除中に係合部材の引掛け部が掃除対象の床面に接した場合に係合部材が管体の周方向に回動されるので、ベッド等家具の下側空間を掃除する際に掃除対象の床面が係合部材で傷付くことを抑制でき、かつ、前記下側空間を掃除する作業性を向上できるとともに、前記下側空間の奥深い場所を確実に吸塵させるのに適した掃除機用延長管を提供できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気掃除機を使用状態で示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る電気掃除機を格納に適した状態で示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る電気掃除機の延長管支持部とこれから分離された係合部材を示す斜視図である。
【図4】図3中F4−F4線に沿う断面図である。
【図5】第1実施形態に係る電気掃除機が備える延長管の一部を示す断面図である。
【図6】図5中F6−F6線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電気掃除機が備える延長管を示す断面図である。
【図8】図7中F8−F8線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る電気掃除機の延長管支持部とこれから分離された係合部材を示す斜視図である。
【図10】図9中F10−F10線に沿う断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る電気掃除機の延長管支持部とこれから分離された係合部材を示す断面図である。
【図12】第4実施形態に係る電気掃除機の延長管支持部に係合部材が支持された状態を示す断面図である。
【図13】図12中F13−F13線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2中符号1は電気掃除機を示しており、この電気掃除機1は、掃除機本体2と、吸塵風路体21を具備している。
【0015】
掃除機本体2の前部に吸込み口3が設けられているとともに、掃除機本体2の後部に電動送風機4が内蔵されている。掃除機本体2はその前部に図示しない集塵室を有している。集塵室の上端は開口されていて、この開口は掃除機本体2に回動可能に取付けられた本体蓋5で閉じられている。本体蓋5に吸込み口3が設けられている。集塵室には集塵部として例えば集塵袋(図示しない)が出し入れ可能に収容され、この集塵袋の内部空間は吸込み口3に連通されている。
【0016】
掃除の際に掃除対象の床面に対向する掃除機本体2の底壁2a(図2及び図3参照)の前部には、図示しない旋回輪が旋回自在に取付けられている。掃除機本体2の後部両側には夫々車輪6が取付けられている。これら旋回輪と車輪6の回転により掃除機本体2は床面上を容易に移動可能である。図2に示すように掃除機本体2は、その後部を底部として立てて床面上等に置くことが可能であり、この縦置きの場合、掃除機本体2の後壁が有する後向きの載置用の凸部2b(図1参照)と車輪6とが床面に接触して掃除機本体2が支持される。掃除機本体2の底壁2aは前記縦置きの状態で略垂直に立てられる。
【0017】
図2〜図4に示すように底壁2aに延長管支持部11が形成されている。延長管支持部11は、引掛け部受け12と、凹部13と、溝部14を備えている。引掛け部受け12は、掃除機本体2が縦置きされた状態(立位状態)で後述の係合部材41が上方から係脱可能に引掛けられるように設けられている。凹部13は引掛け部受け12の裏側に形成されている。図4に示すように凹部13は、その開口が、掃除機本体2が縦置きされた状態で上向きとなるように設けられている。溝部14は掃除機本体2が縦置きされた状態で凹部13の上側に連続して設けられている。この溝部14は凹部13に対する後述の引掛け部43の出し入れを容易にするための斜面14aを有している。斜面14aは、斜状であり、凹部13の開口に対向している。
【0018】
図1に示すように吸塵風路体21は、吸塵ホース22と、延長管31と、吸込み口体25を備えている。
【0019】
吸塵ホース22の一端部22aは掃除機本体2の吸込み口3に取外し可能に接続されている。吸塵ホース22の他端部は手元管22bで形成され、この手元管22bにハンドル23が設けられている。ハンドル23には電動送風機4の運転等を制御するための指示を与える各種操作スイッチ等が取付けられた操作パネル24が装着されている。吸塵ホース22の一端部22aと手元管22bとの間の部位は可動性を有する蛇腹状のホース部材で形成されている。
【0020】
延長管31は、例えば二本継型のものであって、管体、つまり、上流側管体32と下流側管体33を備えている。上流側管体32は、下流側管体33の内側に嵌合されていて、この下流側管体33の軸方向に移動可能に設けられている。下流側管体33の先端からの上流側管体32の突出長さを任意に調整することで、延長管31の全長を変えることが可能となっている。下流側管体33の前記先端とは反対側の他端部は、手元管22bの先端部に取外し可能に嵌合して接続されている。
【0021】
図5及び図6に示すように延長管31の管体例えば上流側管体32は、その下部において部材取付け部34及び一対の位置決め部35を有している。部材取付け部34は上流側管体32の一部により形成されていて、この部材取付け部34の外周面は円形である。位置決め部35は、部材取付け部34の両側に位置して上流側管体32の外周面に一体に突設されている。これら位置決め部35は上流側管体32の周方向に一回り連続して形成されている。
【0022】
更に、延長管31は合成樹脂製の係合部材41を備えている。係合部材41は、図5及び図6に示すように合成樹脂製の嵌合部42と、合成樹脂製の引掛け部43と、保護カバー45を有している。
【0023】
嵌合部42は上流側管体32の周方向に可動し得るように部材取付け部34の外周に嵌合されている。この嵌合部42の軸方向両端は位置決め部35に軽微に接触ないしは近接接していて、これら位置決め部35によって上流側管体32の軸方向に移動しないように位置決めされている。
【0024】
引掛け部43は、上流側管体32に対して離れる方向に嵌合部42から一体に突出されており、例えば係合端部43aを有して側面視略L字状のフックをなしている。係合端部43aは上流側管体32と略平行であり、前方、つまり、上流側管体32の先端部に接続された吸込み口体25に向けて折れ曲がっている。引掛け部43を前側又は後側から見た場合、引掛け部43の先端側部位の幅は、引掛け部43の先端に向かうに従い次第に狭く形成されている。言い換えれば、引掛け部43の先端側部位は、引掛け部43の先端に向かうに従い先細り状に形成されていて、本実施形態では図6に示すように略半円形状をなしている。この引掛け部43を、縦置きされた掃除機本体2の延長管支持部11にその上方から取外し可能に引掛けることにより、延長管31を立てて掃除機本体2に支持できるようになっている。
【0025】
保護カバー45は、引掛け部43の少なくとも先端側部位の外面、正確には前記先端側部位の両側面にわたって被着されている。この保護カバー45は、掃除対象のフローリング製床面及び引掛け部43より柔らかい緩衝材、例えば、起毛布、エラストマ、軟質塩化ビニル等からなる。
【0026】
吸込み口体25は、掃除対象である床面の掃除に適した床用のものであって、吸込みヘッド26と、接続管27を備えている。
【0027】
吸込みヘッド26はその下面に吸塵開口(図示しない)を有している。吸込みヘッド26には、この吸込みヘッド26を流通する気流、又は吸込みヘッド26に搭載された電動機により回転される回転清掃体を内蔵することもできる。接続管27は、吸込みヘッド26の中央部に自在継手部28を介して接続されていて、吸込みヘッド26の後方に突出されている。接続管27は自在継手部28の内部を経由し吸込みヘッド26の吸塵開口に連通されている。吸込み口体25は、延長管31の先端部をなした上流側管体32の先端部に取外し可能に嵌合して接続されている。
【0028】
電気掃除機1を格納する際図2に示すように延長管31は掃除機本体2に支持される。即ち、まず、掃除機本体2を縦置き状態とする。つまり、掃除機本体2をその後部を底部とするように起こして、凸部2b及び車輪6で掃除機本体2を立った状態に支持する。この操作は、掃除機本体2の吸込み口3に吸塵風路体21が接続されたままの状態で行う。次に、係合部材41が有した引掛け部43の係合端部43aが下向きとなるように延長管31を操作するとともに、この係合部材41の引掛け部43を掃除機本体2の延長管支持部11に上方から引掛ける。この場合、引掛け部43が掃除機本体2の溝部14の斜面14aにより下方へ導かれ、それに伴い引掛け部43の係合端部43aが掃除機本体2の凹部13に上方から挿入されて、引掛け部43が引掛け部受け12に引掛けられる。この引掛かりにより、図2に示すように延長管31が上下に延びるように配置されて掃除機本体2の底壁2aに沿って支持される。同時に、吸込み口体25の吸込みヘッド26が、延長管31とともに上下に延びるように配置された接続管27に対して直角となるように配置される。このような状態で電気掃除機1は適当な格納場所に格納される。
【0029】
又、電気掃除機1を使用する際、延長管31を引き上げることにより、その係合部材41の引掛け部43を掃除機本体2の延長管支持部11から外すことができる。その上で、掃除機本体2をその底壁2aが掃除対象のフローリング製床面に向かい合うように配置させるとともに、図1に示すように吸塵風路体21を配置し、そのハンドル23を握って電動送風機4を駆動させながら吸込み口体25を移動操作することにより、床面を掃除できる。多くの掃除の場面では、延長管31と床面とが挟む角度が大きいので、係合部材41が延長管31の下側に突出されているにも拘らず、この係合部材41が床面に接することはない。
【0030】
しかし、図示しないベッドの下の床面を掃除する場合、吸込み口体25がベッドの下方空間の奥深くまで挿入されるように、吸塵風路体21を操作する手元を低くした状態で吸込み口体25が前後に移動される。こうした掃除では、延長管31と床面とが挟む角度が小さくなるので、延長管31の係合部材41が床面に接することがある。
【0031】
この接触に伴い係合部材41は床面で押される。それによって、係合部材41が上流側管体32の周方向に回動されるので、吸塵風路体21のハンドル23を把持した手元を低くする操作が、係合部材41で妨げられることを抑制できる。そのため、吸塵風路体21を操作する手元をより低くした状態で、吸込み口体25を前後に移動させてベッドの下の床面を掃除できる。更に、前記手元をより低くしても、それに見合って係合部材41が上流側管体32の周方向に回動されるので、係合部材41が床面に接触しているにも拘らず、この係合部材41を支点として吸込み口体25が床面から浮き上がることも抑制される。
【0032】
そのため、ベッド等家具の下の床面を掃除する際に、係合部材41が床面に接触したか否かを気にすること、及び吸込み口体25が床面から浮き上がっているか否かを気にすることを要しないで掃除することができるとともに、ベッド等家具の下方空間の奥深くまで挿入される吸込み口体25を挿入して掃除をすることができる。したがって、ベッド等家具の下の床面に対する掃除の作業性と掃除の確実性を向上できる。
【0033】
しかも、係合部材41の先端部は保護カバー45で覆われていて、この保護カバー45が床面に接するので、フローリング床面が係合部材41との接触で傷付けられることを抑制できる。この点でも、ベッド等家具の下の床面に対する掃除の作業性を向上できる。
【0034】
図7及び図8は本発明の第2の実施の形態を示している。この第2実施形態は、以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0035】
第2実施形態では、係合部材41の引掛け部43全体が先細り形状、例えば図7に示すように略三角形状をなしている。こうした形状の採用によって、係合部材41がフローリング製の床面に接触した場合の係合部材41の安定性が極めて低くなるので、前記接触に伴って、係合部材41を、より容易に上流側管体32の周方向に回動させることができる。
【0036】
更に、第2実施形態では、引掛け部43がフローリング製の床面に接しない状態で、この引掛け部43を上流側管体32の周囲所定位置に突出させた状態に保持する保持手段36を備えている。ここに、引掛け部43が保持される上流側管体32の周囲所定位置とは、上流側管体32の先端部に接続された吸込み口体25(図1及び図2参照)との関係で定められ、具体的には上流側管体32を境に吸込み口体25とは反対側に引掛け部43が突出された位置を指している。したがって、掃除中の状態で引掛け部43は、上流側管体32に対して直角でかつ下側に突出された状態に保持される。
【0037】
図7及び図8に示すように保持手段36は、例えばばね配置溝37と、切り欠き溝38と、保持部39と、付勢体例えばばね具体的に捩りコイルばね40を備えている。
【0038】
ばね配置溝37は嵌合部42にその内周に開放して形成されている。切り欠き溝38はばね配置溝37に連通して嵌合部42に形成されている。この切り欠き溝38は、引掛け部42が突出された側とは反対側に設けられているとともに、嵌合部42の外周面に開放されている。保持部39は、延長管31の管体、つまり、上流側管体32の例えば一方の位置決め部35から一体に形成されていて、切り欠き溝38を覆っている。
【0039】
図7に示すように保持部39は、その幅方向両端部にストッパ縁部39a,39bを有し、これらストッパ縁部39a,39bは嵌合部42の外周に向けて折れ曲がっていて、この嵌合部42の外周とは非接触である。捩りコイルばね40は、部材取付け部34の外周面に巻装されるとともにばね配置溝37に収容されている。この捩りコイルばね40は切り欠き溝38を通って保持部39に向けて突出する一対のばね端部40a,40bを有している。
【0040】
一方のばね端部40aは、切り欠き溝38を画した嵌合部42の一方の溝縁部42a及び一方のストッパ縁部39aに、捩りコイルばね40のばね力で押し当てられているが、これら一方の溝縁部42a及び一方のストッパ縁部39aに対して接離可能である。同様に、他方のばね端部40bは、切り欠き溝38を画した嵌合部42の他方の溝縁部42b及び他方のストッパ縁部39bに、捩りコイルばね40のばね力で押し当てられているが、これら他方の溝縁部42b及び他方のストッパ縁部39bに対して接離可能である。
【0041】
保持手段36の捩りコイルばね40は、そのばね端部40a,40bがストッパ縁部39a,39bに夫々当たった状態で、一対のばね端部40a,40bが互いに離れる方向のばね力を溝縁部42a,42bに与えている。言い換えれば、係合部材41はその可動方向に捩りコイルばね40で付勢されている。それにより、係合部材41の引掛け部42に外力が作用しない自由状態において、この係合部材41を上流側管体32の周囲所定位置に突出された状態に保持できる。
【0042】
このような保持によって掃除中に係合部材41が勝手に回動することを抑制できる。これとともに、上流側管体32に対して係合部材41が回動した後に、この係合部材41は定められた位置に捩りコイルばね40のばね力で自然に戻される。そのため、延長管31を掃除機本体2(図2参照)に引掛けて保持する際、この係合部材41と吸込み口体25(図2参照)との位置関係を調整する手間を要することなく、係合部材41を掃除機本体2の延長管支持部11(図2参照)に引掛けることができる。
【0043】
捩りコイルばね40のばね力はさほど大きくはない。このため、ベッド等の家具の下方の床面を掃除する際に、係合部材41の引掛け部43の先端部が床面に当たると、それに伴い係合部材41を捩りコイルばね40のばね力に抗して上流側管体32の周方向に回動させることができる。
【0044】
この場合、係合部材41の引掛け部43に図7中矢印R方向の外力が床面側から与えられると、一方の溝縁部42aが、一方のばね端部40aを押して、このばね端部40aをストッパ縁部39bで位置決めされている他方のばね端部40bに近付けながら、係合部材41が回動される。これと同時に、他方の溝縁部42bは他方のばね端部40bから離れる。この回動後に、引掛け部43が床面から離れると、それに伴い捩りコイルばね40のばね力で、係合部材41が上流側管体32の周囲所定位置に突出された状態に戻される。同様に、係合部材41に図7中矢印L方向の外力が床面側から与えられると、他方の溝縁部42bが、他方のばね端部40bを押して、このばね端部40bをストッパ縁部39aで位置決めされている一方のばね端部40aに近付けながら、係合部材41が回動される。これと同時に、一方の溝縁部42aは一方のばね端部40aから離れる。この回動後に、引掛け部43が床面から離れると、それに伴い捩りコイルばね40のばね力で、係合部材41が上流側管体32の周囲所定位置に突出された状態に戻される。
【0045】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。したがって、この第2実施形態でも本発明の課題を解決できる。
【0046】
図9及び図10は本発明の第3の実施の形態を示している。この第3実施形態は、以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0047】
第3実施形態では、掃除機本体2の底壁2aの前側部位が湾曲面2cとなっている。そして、延長管支持部11の溝部14に斜面14a(図6参照)を設けることに代えて、延長管支持部11の溝部14は湾曲面2cに開放されている。それにより、第3実施形態では、縦置きされた掃除機本体2の延長管支持部11に対して、その上方からも係合部材41の引掛け部43を挿脱できるようになっている。
【0048】
更に、第3実施形態では、係合部材41がより容易に上流側管体32の周方向に回動し得るように引掛け部43全体が先細り形状、例えば図9に示すように略三角形状をなしている。これとともに、この引掛け部43を受入れる延長管支持部11の溝部14の幅は、溝部14の奥に行くほど次第に狭く形成されていて、それにより、溝部14は例えば図10に示すように断面略V字形状をなしている。
【0049】
これにより、引掛け部43を、溝部14を経由して凹部13に挿入するとともに引掛け部14に引掛ける際に、溝部14に対して係合部材41の位置が多少ずれていても、このずれを修正する手間を要することなく、係合部材41を延長管支持部11に支持させることができる。
【0050】
即ち、多少位置ずれした係合部材41の引掛け部43の先端部が溝部14に入り込む限りにおいて、溝部14を形成した溝側面に引掛け部43が当接することによって、係合部材41の先細り形状の先端側部位が溝部14の略方向中央に向けて導かれながら、係合部材41が上流側管体32の周方向に回動される。それにより、溝部14に対する係合部材41の位置が適正となるように修正されるので、前記多少の位置ずれに拘らず、係合部材41の位置を修正する手間を要しない。そして、この状態に引き続き、溝部14に引掛け部43が挿入された係合部材41を上流側管体32とともに下降させることで、引掛け部43を引掛け部受け12に引掛けることができる。
【0051】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。したがって、この第3実施形態でも本発明の課題を解決できる。
【0052】
図11〜図13は本発明の第4の実施の形態を示している。この第4実施形態は、以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同様な構成については第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0053】
第4実施形態の掃除機本体は更にロック手段51を備えている。ロック手段51は、回り止め面34aと、ロック部材52と、付勢部材例えばばね55を備えていて、係合部材41が延長管支持部11に引掛けられた状態で係合部材41に対して上流側管体32を回動しないように拘束するとともに、延長管支持部11から係合部材41が外されるに伴って前記拘束を解除するように構成されている。
【0054】
即ち、回り止め面34aは上流側管体32の部材取付け部34の一部に設けられた平面で形成されている。又、係合部材41を延長管支持部11にその上方から引掛ける際に、ロック部材52が上流側管体32と干渉しないようにするために、一対の位置決め部35の内で前記引掛け作業の際に下側に位置される方の位置決め部35及び嵌合部42は、
逃げ部53を有している。これら逃げ部53は、前記下側位置の位置決め部35及び嵌合部42の一部を切り欠くように設けられていて、係合部材41が延長管支持部11に引掛けられた状態では上下方向に連続されるようになっている。
【0055】
ロック部材52は、棒状をなす一対のアーム部52aと、これらの一端部にわたって棒けられた棒状の回り止め部52bを有して、図13に示すように平面視略コの字形に形成されている。図11及び図12に示すようにロック部材52のアーム部52aの他端部は、係合部材41の例えば係合端部43aの根元部に回動自在に取付けられている。図11〜図13中符号54は、ロック部材52の回動の支点となる枢軸を示している。アーム部52aの長さは、ロック部材52が回動されるに伴って回り止め部52bが回り止め面34aに接離されるように設定されている。
【0056】
ばね55は枢軸54の両端部に巻装され、その一端がアーム部52aに引掛けられているとともに、他端が係合部材41の例えば係合端部43aに引掛けられている。このばね55のばね力によって、回り止め部52bが上流側管体32から離れる方向にロック部材52が付勢されている。
【0057】
こうした構成のロック手段51は、縦置きされた掃除機本体に延長管を立てて支持する場合に、以下のように動作する。
【0058】
即ち、係合部材41を延長管支持部11に引掛けるに際して、まず、上流側管体32と係合部材41との位置合わせをする。この位置合わせは、必要により係合部材41を回動させることで行い、それにより、ロック部材52の回り止め部52bを上流側管体32の回り止め面34aに正しく対向させる。この状態では、ばね55のばね力によって図11に示すようにロック部材52は、その回り止め部52b側が枢軸54の高さ位置より下側に配置されている。
【0059】
この状態で、図11中矢印に示すように吸塵風路体21(図1及び図2参照)ごと係合部材41を移動させて、その引掛け部43を延長管支持部11の引掛け部受け12に上方から引掛ける。こうした挙動に伴い、ロック部材52のアーム部52aが引掛け部受け12に当たり、この引掛け部受け12によりアーム部52aが上向きに押されるので、ロック部材52はばね55に抗して上向きに回動される。この回動により、ロック部材52の回り止め部52bが上流側管体32の回り止め面34aに接触する。
【0060】
このため、図12及び図13に示すように延長管支持部11に係合部材41が適正に引っ掛かった状態では、回り止め面34aに接触したロック部材52をストッパとして、係合部材41に対して上流側管体32がその周方向に不用意に回動することないように上流側管体32が拘束される。したがって、掃除機本体に吸塵風路体が支持された状態で、掃除機本体に対して吸塵風路体が回動することが抑制され、例えば、図2に示すような適正状態に保持できる。
【0061】
この状態から掃除の準備として、延長管支持部11から係合部材41が上方に引き外されると、それに伴い、引掛け部受け12がアーム部52aを押上げる作用が消失するので、同時に、引掛け部受け12によるロック部材52の回動方向とは逆方向に、ロック部材52がばね55の力で回動される。したがって、図11に示すようにロック部材52の回り止め部52bが、上流側管体32の回り止め面34aから離されて前記拘束が解除されるので、係合部材41は上流側管体32の周方向に回動可能な状態となる。
【0062】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。したがって、この第4実施形態でも本発明の課題を解決できる。
【0063】
なお、前記各実施形態では、係合部材41の引掛け部43をフック形状に形成したが、これに代えて引掛け部の先端部に係合孔を設けてもよく、この場合、延長管支持部11の引掛け部受けは前記係合孔が係脱される凸部で形成することで実施できる。
【符号の説明】
【0064】
1…電気掃除機、2…掃除機本体、2a…掃除機本体の底壁、3…吸込み口、4…電動送風機、6…車輪、11…延長管支持部、12…引掛け部受け、13…凹部、14…溝部、22…吸塵ホース、25…吸込み口体、31…延長管、32…上流側管体、34…部材取付け部、34a…回り止め面、35…位置決め部、36…保持手段、40…捩りコイルばね(付勢体)、41…係合部材、42…嵌合部、43…引掛け部、45…保護カバー、51…ロック手段、52…ロック部材、52b…回り止め部、54…枢軸、55…ばね(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の外周面をなす部材取付け部及びこの取付け部の両側に設けられた位置決め部を有した管体と、
この管体の周方向に可動し得るように前記部材取付け部の外周に嵌合されるとともに前記位置決め部により前記管体の軸方向に移動止めされた嵌合部、及び前記管体に対して離れる方向に前記嵌合部から突出された引掛け部を有する係合部材と、
を具備することを特徴とする掃除機用延長管。
【請求項2】
前記引掛け部の少なくとも先端側部位が、前記引掛け部の先端に向かうに従い先細り状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用延長管。
【請求項3】
前記管体の周囲所定位置に前記引掛け部が突出されるように前記係合部材をその可動方向に付勢する付勢体を有した保持手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の掃除機用延長管。
【請求項4】
前記引掛け部より柔らかい緩衝材製でかつ前記引掛け部の外面に被着された保護カバーを、前記係合部材が有していることを特徴とする請求項1から3の内のいずれか一項に記載の掃除機用延長管。
【請求項5】
電動送風機が内蔵されるとともに、前部に吸込み口を有し、後部を底部として立てて置くことが可能に形成され、かつ、掃除の際に掃除対象の床面に対向する底壁に延長管支持部が設けられた掃除機本体と、
前記吸込み口に接続される吸塵ホースと、
この吸塵ホースの先端部に接続される請求項1から4の内のいずれか一項に記載の延長管であって、前記掃除機本体がその後部を底部として立てて置かれた状態で前記延長管の係合部材が前記延長管支持部に上方から取外し可能に引掛けられて前記掃除機本体に支持される延長管と、
この延長管の先端部に接続される吸込み口体と、
を具備することを特徴とする電気掃除機。
【請求項6】
前記延長管支持部が、前記掃除機本体がその後部を底部として立てて置かれた状態で、前記係合部材が引掛けられる引掛け部受けと、この引掛け部受けの裏側に形成されて前記引掛け部が上方から挿入される凹部と、この凹部の上方に連続された溝部を備え、前記溝部の幅がこの溝部の奥に行くほど次第に狭く形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記係合部材が前記延長管支持部に引掛けられた状態で前記係合部材に対して前記管体を回動しないように拘束するとともに、前記延長管支持部から前記係合部材が外されるに伴って前記拘束を解除するロック手段を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記ロック手段が、前記管体の外周に形成された回り止め面と、この回り止め面に接離する回り止め部を有して前記係合部材に回動自在に取付けられ、前記係合部材が前記延長管支持部に引掛けられるに伴い前記引掛け部受けに当たって前記回り止め部が前記回り止め面に接触される方向に回動されるロック部材と、このロック部材の前記引掛け部受けによる回動方向とは逆方向に前記ロック部材を付勢する付勢部材とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−19624(P2011−19624A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165936(P2009−165936)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】