掃除機用集塵フィルタ、電気掃除機、集塵フィルタの折り目加工方法、及びフィルタ保管袋
【課題】 生分解性樹脂製の集塵袋に対するヒートシールが容易で、かつ、ヒートシール部の耐久性を向上することが可能な掃除機用集塵フィルタを提供する。
【解決手段】 集塵フィルタ4は、吸込み開口12が形成された口枠11と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部22及び吸込み開口12に対向する入口21aを有しかつ入口21aの周部が口枠11に接着された集塵袋21とを備える。シートは、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布である。第2繊維はヒートシール部22に入り込んでいて、この入り込んだ第2繊維に第1繊維が含浸されてヒートシール部22が形成されていることを特徴としている。
【解決手段】 集塵フィルタ4は、吸込み開口12が形成された口枠11と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部22及び吸込み開口12に対向する入口21aを有しかつ入口21aの周部が口枠11に接着された集塵袋21とを備える。シートは、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布である。第2繊維はヒートシール部22に入り込んでいて、この入り込んだ第2繊維に第1繊維が含浸されてヒートシール部22が形成されていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不織布からなる集塵袋を有する使い捨て可能な掃除機用集塵フィルタ、このフィルタを備えた電気掃除機、前記集塵フィルタの折り目加工方法、及び前記集塵フィルタを保管するフィルタ保管袋に関する。
【背景技術】
【0002】
集められた塵ごと廃棄される集塵フィルタによる環境への負荷を軽減するために、ポリ乳酸樹脂等の生分解性を有する繊維製の不織布で構成された集塵袋を有する掃除機用集塵フィルタが、従来技術として知られている。
【0003】
生分解性を有する繊維は、カーボンニュートラルであるので、焼却された場合でも大気中の二酸化炭素が増えず、土中に埋設した場合には微生物によって分解される。したがって、この種の集塵フィルタは環境にやさしい。
【0004】
通常、集塵フィルタの集塵袋はシート状の不織布から形成される。この場合、不織布のシートを所定形状に折って、その合わせ部を接着し、かつ、この結果形成された筒の両端開口部を接着して閉じることで、集塵袋を形成する。この形成における各部の接着は、一般的に接着剤やヒートシールによる接着が採用される。
【0005】
接着剤を用いる接着では、接着剤が必要であるのみならず、接着剤を塗布する自動機が必要であるので、製造コストが高い。これに対して、ヒートシールによる接着は、接着剤を用いないので、低コストで接着ができる。
【0006】
しかし、ポリ乳酸樹脂等の生分解性樹脂製のシートは、融点を超えると溶けるが、一般的な樹脂と比較して粘度が急激に低下し飴のようになる。そのため、溶けた部分でシートが切れる可能性が高く、適正なヒートシールをし難い。
【0007】
更に、ポリ乳酸樹脂等の生分解性樹脂製の集塵袋では、ヒートシールによる溶融後に冷えて固まった部分(以下ヒートシール部と称する。)が非常に硬くなって、このヒートシール部が、もろく折れやすい性質を持つようになる。集塵フィルタが備える集塵袋は、電気掃除機が運転されるたびに、通過する気流によって膨れ、前記運転が中断又は停止するたびに縮む。このような集塵袋の挙動に伴い、そのヒートシール部に負荷が作用する。このため、ヒートシール部に割れを生じる恐れが考えられるとともに、ヒートシール部に剥がれを生じる恐れが考えられる。
【0008】
又、一般的に、集塵袋は、その側面に、この袋を通過する気流によって膨らんで集塵袋での圧力損失が過度に上がらないようにするためのガゼットを1以上有している。このガセットは折り目(山折り部及び谷折り部)によって形成される。しかし、ポリ乳酸樹脂製のシートは比較的硬いので、これに折り目を容易に加工することが難しい。そのため、環境にやさしい集塵袋を有した集塵フィルタを提供する上で、ガセット形成用の折り目を容易に加工できるようにすることが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−80590号公報
【特許文献2】特開2007−236835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、生分解性樹脂製の集塵袋に対するヒートシールが容易で、かつ、ヒートシール部の耐久性を向上することが可能な掃除機用集塵フィルタ、このフィルタを備えた電気掃除機、集塵袋のガセット形成用の折り目を容易に加工することが可能な集塵フィルタの折り目加工方法、及び集塵フィルタの保管性能に優れたフィルタ保管袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、実施形態の集塵フィルタは、吸込み開口が形成された口枠と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部及び吸込み開口に対向する入口を有しかつ入口の周部が口枠に接着された集塵袋とを備える。シートは、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布である。第2繊維はヒートシール部に入り込んでいて、この入り込んだ第2繊維に第1繊維が含浸されてヒートシール部が形成されていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
【図2】一実施形態に係る掃除機用集塵フィルタを示す斜視図である。
【図3】図2の集塵フィルタを示す縦断面図である。
【図4】図2の集塵フィルタを示す横断面図である。
【図5】図2の集塵フィルタが備える集塵袋の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】図5の集塵フィルタが備える集塵袋を形成するシートの平面図である。
【図7】図6のシートから形成された筒を示す斜視図である。
【図8】図7の筒にガゼットをなす折込みが形成された状態を示す斜視図である。
【図9】ガゼットが形成された筒の両端部がヒートシールされて集塵袋が形成された状態を示す平面図である。
【図10】図9の集塵袋と口枠及びパッキンとの関係を分解して示す斜視図である。
【図11】図2の集塵フィルタが収容されたフィルタ保管袋を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態について、図1から図11を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は例えばキャニスタ型の電気掃除機全体を示す斜視図であり、この電気掃除機1は、掃除機本体2と、電動送風機3と、集塵フィルタ4と、吸塵ホース5と、延長管6と、吸込み口体7等を備えている。
【0015】
掃除機本体2には、被掃除面である屋内の床面を自在に移動可能とする車輪が取付けられている。掃除機本体2はその前部上面をなすとともに開閉可能な集塵室蓋2aを有している。掃除機本体2内に、集塵室蓋2aの真下に対向する集塵室(図示しない)が設けられているとともに、この集塵室の後側、言い換えれば、掃除機本体2に吸い込まれてこの本体を通過する気流を基準に集塵室の下流側に位置する送風機室(図示しない)が設けられている。送風機室に電動送風機3が収容されている。電動送風機3の図示しない吸気口は集塵室に連通されている。
【0016】
掃除機本体2の例えば前面に吸塵口2b(図1参照)が設けられている。掃除機本体2の集塵室に集塵フィルタ4が収容されている。集塵室に収容された集塵フィルタ4の内側は吸塵口2bに連通されている。この集塵フィルタ4は集塵室蓋2aが開かれた状態で集塵室に出し入れ可能である。
【0017】
吸塵口2bに吸塵ホース5の一端部が着脱可能に挿入して接続されている。この吸塵ホース5の他端部に延長管6の一端部が挿入して着脱可能に接続され、更に延長管6の他端部に吸込み口体7が着脱可能に接続されている。吸塵ホース5及び延長管6は、集塵室と吸込み口体7とを連通する吸塵管をなしている。図1に示された吸込み口体7は床面清掃に好適なものであって、その下面に吸込み開口を有している。吸塵ホース5の他端部は、吸込み口体7を移動操作するために掃除作業者により把持されるハンドル5aを有している。このハンドル5aに操作パネルが設けられている。
【0018】
この操作パネルでの操作により指定された運転モードで、電気掃除機1の電動送風機3は駆動される。それによる電動送風機3の吸い込み力で、吸込み口体7から被掃除面上の塵埃を吸込んで、延長管6及び吸塵ホース5を経由させて掃除機本体2の集塵室に導き、この塵埃を集塵室内の集塵フィルタ4でろ過してこの袋内に捕捉する。そして、集塵フィルタ4を通過した空気は、集塵室を通って電動送風機3に吸込まれ、この電動送風機3を通過した後、掃除機本体2の排気部(図示しない)を通って掃除機本体2外に排出される。したがって、こうした吸塵によって被掃除面を掃除することができる。
【0019】
次に、集塵フィルタ4を図2〜図10を参照して説明する。この集塵フィルタ4は、口枠11と、集塵袋21とを備えている。
【0020】
口枠11は、環境にやさしい天然の素材である紙からなる厚手の板で形成されている。このため、この板紙製の口枠11は生分解性を有している。このため、口枠11を燃やした場合や土中に埋めた場合の環境に対する負荷が小さい。図2及び図10に示すように口枠11は四角い外形を呈していて、その中央部に丸孔からなる吸込み開口12を有している。
【0021】
掃除機本体2の集塵室には図示しない口枠ホルダが設けられている。このホルダは、上下方向に延びる溝を有しかつ水平断面が略コ字状のレール部を、掃除機本体2の幅方向に所定の間隔を置いて有している。そして、レール部の相対向する溝にその上方から口枠11の互に平行な二辺11a(図2及び図4参照)を挿入することによって、集塵フィルタ4が集塵室に取付けられる。この取付け状態では、レール部間に位置して吸塵口2bに取付けられているリング状のゴム製シールパッキン(図示しない)が、吸込み開口12の周部表面に弾性的に密接して、口枠11と吸塵口2bとの間の気密が保持されるようになっている。尚、集塵室には、以上のように収容された集塵フィルタ4の集塵袋21が膨らんだときに、この集塵袋21の底を下流側から支えるフィルタ支え(図示しない)と集塵袋21をその周囲から支持するリブ(図示しない)とが設けられている。
【0022】
集塵袋21は、通気性を有する濾過材料製のシート25(図6参照)を用いて形成されている。この集塵袋21が有した入口21aの周部は、口枠11の裏面(下流側の側面)でかつ吸込み開口12の周りに接着剤を用いて接着されている。したがって、集塵袋21の入口21aと口枠11の吸込み開口12とは近接して対向し、かつ、連通されている。
【0023】
尚、図2〜図4及び図10中符号15はパッキンを示している。パッキン15は、環境にやさしい天然の素材である天然ゴム(NR)のシートで形成されているので、生分解性を有している。このため、パッキン15を燃やした場合や土中に埋めた場合の環境に対する負荷が小さい。
【0024】
パッキン15は、その中央部に丸孔からなる開口15aを有していて、この開口15aを吸込み開口12に対向させて口枠11の裏面に接着剤を用いて接着されている。開口15aは吸込み開口12より小径である。このパッキン15の周部にも入口21aの周部が接着されている。このパッキン15は、吸塵口2bに挿入された吸塵ホース5の一端部外周に接して、この吸塵ホース5との間の密閉性を確保するために設けられている。
【0025】
集塵袋21は、前記入口21aと、図2及び図4等に示す第1ヒートシール部22と、図2及び図3等に示す第2ヒートシール部23と、図2及び図4に示すガゼット24を有している。
【0026】
この集塵袋21をなすシート25(図6参照)には、図5に例示するように複層例えば外内二層に形成された不織布が用いられている。集塵袋21の各層の密度は最外層程密であり、したがって、集塵袋21の外層26をなす繊維の密度は集塵袋21の内層27をなす繊維の密度より密である。
【0027】
外層26は、生分解性樹脂からなる第1繊維、例えばポリ乳酸樹脂(PLA)からなる繊維で形成されている。この第1繊維の繊維径は30μm程度である。この外層26は例えばスパンボンド法により形成されている。この製法では、ポリ乳酸樹脂のチップを加熱・溶融してノズルから押出して紡糸し、それにより溶出されるエンドレスの長繊維をベルトコンベアの上で何本も重ね合わせてウェブを形成し、このウェブを熱ロールで加熱して長繊維を熱溶着させて繊維同士を結合させて、外層26となる不織布を形成する。
【0028】
このスパンボンド法に代えてサーマルボンド法で外層26となる不織布を形成することも可能である。このサーマルボンド法では、予め紡糸されたポリ乳酸の短繊維を空気中で開繊・攪拌してベルトコンベア上に送り、このコンベアの途中に対応して設置されたカード機が有するオルゴール状のドラムの針で、繊維を一定量・一定方向に送出してウェブを形成し、このウェブを熱ロールで加熱して繊維を熱溶着させて繊維同士を結合させて、外層26となる不織布を形成する。
【0029】
更に、スパンボンド法で溶出されたエンドレスの長繊維に高温エアを吹き付ける工程を追加したメルトブロー法を採用して外層26を製造することも可能である。この製法では、高温エアの吹き付けによって長繊維を更に細くしてウェブを形成できるので、繊維径が1〜3μmの超極細繊維の不織布を形成することができる。このため、メルトブロー法で得たポリ乳酸繊維から成る不織布だけでも、十分な塵埃の捕捉効果を期待することが可能である。
【0030】
又、湿式法で外層26となる不織布を製造することも可能である。この製法では、長さが6mm以下の短繊維を水中に懸濁させ、この短繊維をネットで漉き上げてウェブを作り、このウェブを脱水し、加熱ドラムで乾燥させて、外層26となる不織布を形成する。
【0031】
内層27は、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を混紡した不織布で形成されている。第1繊維は例えば繊維径が30μm程度のポリ乳酸樹脂からなる繊維であり、第2繊維は例えば繊維径が0.1〜数μm程度のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)からなる超極細繊維である。このような超極細繊維を第2繊維に使用することで、集塵袋21での塵埃の捕捉をより確実化できる。なお、第2繊維をなしたポリエチレンテレフタレート樹脂は、その表面に電荷を付与させることで、エレクトレット化することが可能である。このようにすることで、集塵フィルタ4の圧力損失を低減させて集塵効率をより向上させることが可能である。
【0032】
以上説明した積層構成のシート25は、その面積全体にわたっている第1繊維と第2繊維とを含んで形成されている。第1繊維をなしたポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は60℃、融点は180℃である。第2繊維をなしたポリエチレンテレフタレート樹脂の融点は略250℃であり、この第2繊維は第1繊維よりも柔軟性を有している。
【0033】
ヒートシールにより形成された第1ヒートシール部22は集塵袋21の長手方向と平行に設けられている。この第1ヒートシール部22には内層27の第2繊維が入り込んでいて、この第2繊維に外層26及び内層27の第1繊維が含浸されている。この第1ヒートシール部22はそこに含まれた第2繊維によって柔軟性を与えられている。
【0034】
同様に、ヒートシールにより形成された第2ヒートシール部23は集塵袋21の長手方向両端部に、長方向と直角方向に延びて設けられている。この第2ヒートシール部23にも内層27の第2繊維が入り込んでいて、この第2繊維に外層26及び内層27の第1繊維が含浸されている。この第2ヒートシール部23もそこに含まれた第2繊維によって柔軟性を与えられている。
【0035】
集塵袋21を正面に見てその幅方向両側部に夫々設けられたガゼット24は、例えばダブルガセットであるが、これはシングルガゼットでもトリプル又は4以上のガゼットであってもよい。ガゼット24は、図2及び図4に示すように交互に設けられた山折り部24aと谷折り部24bとにより形成されている。このガゼット24を有した集塵袋21はこれを流通する空気によって膨らむことが可能である。
【0036】
前記構成の集塵フィルタ4を構成する口枠11、パッキン15、及び集塵袋21の殆どは、いずれも生分解性の材料で形成されているので、この集塵フィルタ4を捨てた後の焼却や土中埋め込み処理において、環境への負荷が小さい利点がある。
【0037】
更に、前記構成の集塵フィルタ4の集塵袋21は、生分解性のシート25を用いて、それに第1ヒートシール部22と第2ヒートシール部23を設けて形成されているが、シート25全体が生分解性のポリ乳酸樹脂の繊維からなるのではなく、このポリ乳酸樹脂繊維より柔軟性を有した樹脂繊維であるポリエチレンテレフタレート樹脂製の第2繊維を含んで形成されている。しかも、この柔軟性の樹脂が第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23に夫々溶けることなく入り込んでいるので、シート25の第1繊維がヒートシールにより硬化されるにも拘わらず、ヒートシールされた第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23の夫々の適度の柔軟性を与えることができる。
【0038】
この柔軟性により、集塵袋21が膨らむことに伴う第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23への負荷が軽減される。このため、第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23が、割れることを抑制することが可能である。
【0039】
これとともに、後述の製法から分かるように各ヒートシール部に溶けることなく入り込んでいる第2繊維に生分解性の第1繊維が含浸されて第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23が形成されていて、各ヒートシール部では第2繊維が心材として機能している。このため、第1繊維を溶融させてヒートシールをするに拘わらず、ヒートシールの不良を生じ難く適正なヒートシールができる。このため、生分解性樹脂製の集塵袋21に対するヒートシールが容易であるとともに、電動送風機3が運転されるたびに集塵袋21が膨らむに伴って、第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23で剥がれることを抑制できる。
【0040】
以上のように第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23に割れや剥がれを生じ難いので、これらヒートシール部の耐久性を向上することが可能である。
【0041】
又、ポリ乳酸樹脂は空気中の水分と反応して加水分解をすることにより乳酸を生成する。この乳酸は弱酸性であるので、抗菌作用を有する。このようなポリ乳酸樹脂により集塵袋21の外層26が形成されているので、この集塵フィルタ4を集塵室から取出して廃棄する際に、集塵袋21の外層26に掃除作業者の手が触れることがあっても、衛生的である。尚、ポリ乳酸樹脂は、もともと人体に対する安全性が高い性質を有している。又、後述する保管袋から新しい集塵フィルタ4を取出して集塵室にセットする際は、集塵袋21の外層26は汚れていないので、衛生的に取扱うことができる。このように集塵フィルタ4を掃除機本体2の集塵室に着脱する際に、衛生的に取扱える。
【0042】
更に、集塵袋21内に溜められた塵と接する内層27はポリ乳酸樹脂製の第1繊維を含んでいる。既述のようにポリ乳酸樹脂は加水分解により弱酸性となって抗菌性を発揮するので、集塵袋21内面での菌の繁殖が抑制されて、菌の繁殖に基づくカビの発生を抑制することが可能である。
【0043】
次に、集塵フィルタの製造方法を説明する。この製造方法は、筒形成工程と、ガゼット形成工程と、袋形成工程と、口枠接着工程を具備する。
【0044】
筒形成工程では、生分解性のポリ乳酸樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ前記第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布からなるとともに入口21aが予め形成された矩形状のシート25(図6参照)を用意する。尚、図6中点線は、第1ヒートシール部22に充当される部位を示すための境界線とともに、ガゼット24を形成するための折り目に相当する線を示している。このシート25の長手方向両側の側部25a,25b(図6参照)を図7に示すように重ね合わせて、この重なり部分をヒートシールして、シート25を筒とする。
【0045】
この場合、シート25の内層27が重なるようにして前記筒を形成し、また、外層26及び内層27の第1繊維の融点(180℃)を越えるとともに内層27の第2繊維の融点(略250℃)未満の温度で、ヒートシールを実施する。
【0046】
この第1回目のヒートシールによって、前記筒の長手方向、言い換えれば、集塵袋21の長手方向と平行に第1ヒートシール部22が形成される。この第1回目のヒートシールでは、シート25の長手方向両側側の側部25a,25bに含まれたポリエチレンテレフタレート樹脂製の第2繊維は溶融しないが、側部25a,25bに含まれたポリ乳酸樹脂製の第1繊維は溶融して液状となり、この液状樹脂が、第2繊維の内部に浸透し、かつ、冷却するに伴って固化する。それにより、側部25a,25bが接着されて、第2繊維を心材として柔軟性が確保された第1ヒートシール部22が形成される。
【0047】
この後に、ガゼット形成工程が実施される。このガゼット形成工程では、前記筒の側面に、第1ヒートシール部22と平行な山折り部24aと谷折り部24bとからなるガゼットを形成する。この場合、図8に示すように適当な方法で前記筒の一部を折り曲げてから、この折り曲げ部に対して折り目加工を施す。
【0048】
この折り目加工は、外層26及び内層27の第1繊維をなしたポリ乳酸樹脂製のガラス転移温度、つまり、60℃を越えるとともに、ポリ乳酸樹脂の融点(180℃)より低い温度好ましくは融点より20℃低い温度範囲例えば170℃未満の温度で、前記折り曲げ部(山折り部24aと谷折り部24b)をプレス機で圧縮して、実施される。
【0049】
これにより、ガゼット24が形成される。こうしたホットプレスによる折り目加工では、ポリ乳酸樹脂繊維は溶融しないが、そのガラス転移温度を越えた温度でのプレスにより、ポリ乳酸樹脂繊維が柔軟になるので、ガセット形成用の折り目である山折り部24aと谷折り部24bを容易に加工することが可能である。これとともに、こうした折り目加工が施されることで、ガゼット24の折り曲げ状態を長期間にわたって維持することが可能である。
【0050】
更に、ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度で折り目加工をするので、その温度差分のマージンにより、折り目加工の温度がばらつくことがあっても、ポリ乳酸樹脂繊維が溶融してガゼット24で接着が起きることが防止される。
【0051】
次に、袋形成工程が実施される。この袋形成工程では、ガゼット24が形成された前記筒の長手方向両端部を夫々ヒートシールして、図9に示すように前記筒の長手方向両端部に夫々第2ヒートシール部23を形成して、集塵袋21とする。
【0052】
この第2回目のヒートシールは、第1目のヒートシールと同じ温度条件で実施する。つまり。外層26及び内層27の第1繊維の融点(180℃)を越えるとともに内層27の第2繊維の融点(略250℃)未満の温度で、ヒートシールを実施する。
【0053】
この第2回目のヒートシールでは、前記筒の長手方向両側部に位置されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の第2繊維は溶融しないが、ポリ乳酸樹脂製の第1繊維は溶融して液状となり、この液状樹脂が、第2繊維の内部に浸透し、かつ、冷却するに伴って固化する。それにより、前記筒の長手方向両側部側部夫々接着されて、第2繊維を心材として柔軟性が確保された第2ヒートシール部23が形成される。
【0054】
最後に、口枠接着工程が実施される。この工程では、入口21aを有した集塵袋21の正面部位21bに、接着剤を用いてパッキン15と口枠11を夫々接着する。この場合、パッキン15を予め口枠11の裏面に接着しておいて、このパッキン15の周部及び口枠の裏面を正面部位21bに接着してもよいし、或いは、正面部位21bにパッキン15を接着し、パッキン15の周部と正面部位21bとに口枠11の裏面を接着してもよい。こうした接着により、集塵袋21が有した入口21aと、パッキン15の開口15a及び口枠11の吸込み開口12が夫々対向しかつ連通されて、集塵フィルタ4の組立てが完了する。
【0055】
以上の各工程を経て製造された未使用の集塵フィルタ4は、一個ずつ、もしくは図11に示すように数個ずつ纏めて、保管袋31に収容されて販売に供される。図11の保管袋31は、袋体32と、この一端部に形成された非収容端部32aに被せて図示しないホッチキス(商品名)の針などで止められたトップカバー紙33で形成されている。非収容端部32a及びトップカバー紙33には、保管袋31をぶら下げるための通孔(図示しない)が設けられている。
【0056】
袋体32はその内部に封入された集塵フィルタ4を透視可能な樹脂製フィルムで作られている。このフィルムの透湿度は、9g/m2・day、つまり、24時間当たり9g/m2である。これにより、保管期間中に、袋体32に収容された未使用の集塵フィルタ4が含んでいるポリ乳酸樹脂製の繊維が、加水分解して劣化すること、又は水滴がかかったところに菌が付着して、そこで生分解を起こしてポリ乳酸樹脂性の繊維が劣化することなどを抑制可能である。
【0057】
以下の表1は、各種の樹脂フィルムで保管袋31の袋体32を作って、その内部にポリ乳酸樹脂シートを封入した状態で、40℃でかつ98%の湿度環境下に置いた場合のポリ乳酸樹脂シートの劣化の状況を調べた結果を示す。この表1において、HDPEは高密度ポリエチレン樹脂、PPはポロプロピレン樹脂、LDPEは低密度ポリエチレン樹脂、OPPは一軸編心型ポリプロピレン樹脂、PETはポリエチレンテレフタレート樹脂、PCはポリカーボネート樹脂、PVCはポリ塩化ビニル樹脂である。
【表1】
【0058】
この表1により、HDPE、PP、LDPE、OPP製の保管袋では、ポリ乳酸樹脂製シートの劣化は認められなかった。したがって、袋体32をなす樹脂フィルムの透湿度は24時間当たり9g/m2が適当であり、透湿度が24時間当たり21g/m2以上のPET、PC性の樹脂フィルムは袋体32として適当ではないことが分かった。そして、24時間当たり6g/m2のHDPE製の袋体32は、前記試験条件の環境下に200日置いても、内部のポリ乳酸樹脂製シートの劣化は認められなかった。
【0059】
尚、保管袋31は、吸込み開口が形成された口枠11と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部及び前記吸込み開口に対向する入口を有しかつ前記入口の周部が前記口枠に接着された集塵袋21とを備え、前記シートが、その少なくとも一部に生分解性を有したポリ乳酸樹脂からなる繊維を含んで形成された不織布からなる未使用の掃除機用集塵フィルタ4を収容するために使用されるのであるから、収容される集塵フィルタは図2〜図10に示した構成の集塵フィルタ4には制約されない。
【0060】
又、前記実施形態で用いる第1繊維をなすポリ乳酸樹脂は、微生物由来の樹脂、天然物由来の樹脂、又は化学合成由来の樹脂のいずれであっても差し支えないとともに、第2繊維もポリエチレンテレフタレート樹脂以外の樹脂であってもよい。更に、前記実施形態では、集塵袋を積層された複数の層で形成したが、これに代えて、単層、即ち、第1繊維と第2繊維とを混紡してなる単層の集塵袋とすることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…電気掃除機、2…掃除機本体、2b…吸塵口、3…電動送風機、4…集塵フィルタ、11…口枠、12…吸込み開口、21…集塵袋、21a…入口、22…第1ヒートシール部、23…第2ヒートシール部、24…ガゼット、24a…山折り部、24b…谷折り部、25…シート、26…外層、27…内層
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不織布からなる集塵袋を有する使い捨て可能な掃除機用集塵フィルタ、このフィルタを備えた電気掃除機、前記集塵フィルタの折り目加工方法、及び前記集塵フィルタを保管するフィルタ保管袋に関する。
【背景技術】
【0002】
集められた塵ごと廃棄される集塵フィルタによる環境への負荷を軽減するために、ポリ乳酸樹脂等の生分解性を有する繊維製の不織布で構成された集塵袋を有する掃除機用集塵フィルタが、従来技術として知られている。
【0003】
生分解性を有する繊維は、カーボンニュートラルであるので、焼却された場合でも大気中の二酸化炭素が増えず、土中に埋設した場合には微生物によって分解される。したがって、この種の集塵フィルタは環境にやさしい。
【0004】
通常、集塵フィルタの集塵袋はシート状の不織布から形成される。この場合、不織布のシートを所定形状に折って、その合わせ部を接着し、かつ、この結果形成された筒の両端開口部を接着して閉じることで、集塵袋を形成する。この形成における各部の接着は、一般的に接着剤やヒートシールによる接着が採用される。
【0005】
接着剤を用いる接着では、接着剤が必要であるのみならず、接着剤を塗布する自動機が必要であるので、製造コストが高い。これに対して、ヒートシールによる接着は、接着剤を用いないので、低コストで接着ができる。
【0006】
しかし、ポリ乳酸樹脂等の生分解性樹脂製のシートは、融点を超えると溶けるが、一般的な樹脂と比較して粘度が急激に低下し飴のようになる。そのため、溶けた部分でシートが切れる可能性が高く、適正なヒートシールをし難い。
【0007】
更に、ポリ乳酸樹脂等の生分解性樹脂製の集塵袋では、ヒートシールによる溶融後に冷えて固まった部分(以下ヒートシール部と称する。)が非常に硬くなって、このヒートシール部が、もろく折れやすい性質を持つようになる。集塵フィルタが備える集塵袋は、電気掃除機が運転されるたびに、通過する気流によって膨れ、前記運転が中断又は停止するたびに縮む。このような集塵袋の挙動に伴い、そのヒートシール部に負荷が作用する。このため、ヒートシール部に割れを生じる恐れが考えられるとともに、ヒートシール部に剥がれを生じる恐れが考えられる。
【0008】
又、一般的に、集塵袋は、その側面に、この袋を通過する気流によって膨らんで集塵袋での圧力損失が過度に上がらないようにするためのガゼットを1以上有している。このガセットは折り目(山折り部及び谷折り部)によって形成される。しかし、ポリ乳酸樹脂製のシートは比較的硬いので、これに折り目を容易に加工することが難しい。そのため、環境にやさしい集塵袋を有した集塵フィルタを提供する上で、ガセット形成用の折り目を容易に加工できるようにすることが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−80590号公報
【特許文献2】特開2007−236835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、生分解性樹脂製の集塵袋に対するヒートシールが容易で、かつ、ヒートシール部の耐久性を向上することが可能な掃除機用集塵フィルタ、このフィルタを備えた電気掃除機、集塵袋のガセット形成用の折り目を容易に加工することが可能な集塵フィルタの折り目加工方法、及び集塵フィルタの保管性能に優れたフィルタ保管袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、実施形態の集塵フィルタは、吸込み開口が形成された口枠と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部及び吸込み開口に対向する入口を有しかつ入口の周部が口枠に接着された集塵袋とを備える。シートは、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布である。第2繊維はヒートシール部に入り込んでいて、この入り込んだ第2繊維に第1繊維が含浸されてヒートシール部が形成されていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
【図2】一実施形態に係る掃除機用集塵フィルタを示す斜視図である。
【図3】図2の集塵フィルタを示す縦断面図である。
【図4】図2の集塵フィルタを示す横断面図である。
【図5】図2の集塵フィルタが備える集塵袋の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】図5の集塵フィルタが備える集塵袋を形成するシートの平面図である。
【図7】図6のシートから形成された筒を示す斜視図である。
【図8】図7の筒にガゼットをなす折込みが形成された状態を示す斜視図である。
【図9】ガゼットが形成された筒の両端部がヒートシールされて集塵袋が形成された状態を示す平面図である。
【図10】図9の集塵袋と口枠及びパッキンとの関係を分解して示す斜視図である。
【図11】図2の集塵フィルタが収容されたフィルタ保管袋を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態について、図1から図11を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は例えばキャニスタ型の電気掃除機全体を示す斜視図であり、この電気掃除機1は、掃除機本体2と、電動送風機3と、集塵フィルタ4と、吸塵ホース5と、延長管6と、吸込み口体7等を備えている。
【0015】
掃除機本体2には、被掃除面である屋内の床面を自在に移動可能とする車輪が取付けられている。掃除機本体2はその前部上面をなすとともに開閉可能な集塵室蓋2aを有している。掃除機本体2内に、集塵室蓋2aの真下に対向する集塵室(図示しない)が設けられているとともに、この集塵室の後側、言い換えれば、掃除機本体2に吸い込まれてこの本体を通過する気流を基準に集塵室の下流側に位置する送風機室(図示しない)が設けられている。送風機室に電動送風機3が収容されている。電動送風機3の図示しない吸気口は集塵室に連通されている。
【0016】
掃除機本体2の例えば前面に吸塵口2b(図1参照)が設けられている。掃除機本体2の集塵室に集塵フィルタ4が収容されている。集塵室に収容された集塵フィルタ4の内側は吸塵口2bに連通されている。この集塵フィルタ4は集塵室蓋2aが開かれた状態で集塵室に出し入れ可能である。
【0017】
吸塵口2bに吸塵ホース5の一端部が着脱可能に挿入して接続されている。この吸塵ホース5の他端部に延長管6の一端部が挿入して着脱可能に接続され、更に延長管6の他端部に吸込み口体7が着脱可能に接続されている。吸塵ホース5及び延長管6は、集塵室と吸込み口体7とを連通する吸塵管をなしている。図1に示された吸込み口体7は床面清掃に好適なものであって、その下面に吸込み開口を有している。吸塵ホース5の他端部は、吸込み口体7を移動操作するために掃除作業者により把持されるハンドル5aを有している。このハンドル5aに操作パネルが設けられている。
【0018】
この操作パネルでの操作により指定された運転モードで、電気掃除機1の電動送風機3は駆動される。それによる電動送風機3の吸い込み力で、吸込み口体7から被掃除面上の塵埃を吸込んで、延長管6及び吸塵ホース5を経由させて掃除機本体2の集塵室に導き、この塵埃を集塵室内の集塵フィルタ4でろ過してこの袋内に捕捉する。そして、集塵フィルタ4を通過した空気は、集塵室を通って電動送風機3に吸込まれ、この電動送風機3を通過した後、掃除機本体2の排気部(図示しない)を通って掃除機本体2外に排出される。したがって、こうした吸塵によって被掃除面を掃除することができる。
【0019】
次に、集塵フィルタ4を図2〜図10を参照して説明する。この集塵フィルタ4は、口枠11と、集塵袋21とを備えている。
【0020】
口枠11は、環境にやさしい天然の素材である紙からなる厚手の板で形成されている。このため、この板紙製の口枠11は生分解性を有している。このため、口枠11を燃やした場合や土中に埋めた場合の環境に対する負荷が小さい。図2及び図10に示すように口枠11は四角い外形を呈していて、その中央部に丸孔からなる吸込み開口12を有している。
【0021】
掃除機本体2の集塵室には図示しない口枠ホルダが設けられている。このホルダは、上下方向に延びる溝を有しかつ水平断面が略コ字状のレール部を、掃除機本体2の幅方向に所定の間隔を置いて有している。そして、レール部の相対向する溝にその上方から口枠11の互に平行な二辺11a(図2及び図4参照)を挿入することによって、集塵フィルタ4が集塵室に取付けられる。この取付け状態では、レール部間に位置して吸塵口2bに取付けられているリング状のゴム製シールパッキン(図示しない)が、吸込み開口12の周部表面に弾性的に密接して、口枠11と吸塵口2bとの間の気密が保持されるようになっている。尚、集塵室には、以上のように収容された集塵フィルタ4の集塵袋21が膨らんだときに、この集塵袋21の底を下流側から支えるフィルタ支え(図示しない)と集塵袋21をその周囲から支持するリブ(図示しない)とが設けられている。
【0022】
集塵袋21は、通気性を有する濾過材料製のシート25(図6参照)を用いて形成されている。この集塵袋21が有した入口21aの周部は、口枠11の裏面(下流側の側面)でかつ吸込み開口12の周りに接着剤を用いて接着されている。したがって、集塵袋21の入口21aと口枠11の吸込み開口12とは近接して対向し、かつ、連通されている。
【0023】
尚、図2〜図4及び図10中符号15はパッキンを示している。パッキン15は、環境にやさしい天然の素材である天然ゴム(NR)のシートで形成されているので、生分解性を有している。このため、パッキン15を燃やした場合や土中に埋めた場合の環境に対する負荷が小さい。
【0024】
パッキン15は、その中央部に丸孔からなる開口15aを有していて、この開口15aを吸込み開口12に対向させて口枠11の裏面に接着剤を用いて接着されている。開口15aは吸込み開口12より小径である。このパッキン15の周部にも入口21aの周部が接着されている。このパッキン15は、吸塵口2bに挿入された吸塵ホース5の一端部外周に接して、この吸塵ホース5との間の密閉性を確保するために設けられている。
【0025】
集塵袋21は、前記入口21aと、図2及び図4等に示す第1ヒートシール部22と、図2及び図3等に示す第2ヒートシール部23と、図2及び図4に示すガゼット24を有している。
【0026】
この集塵袋21をなすシート25(図6参照)には、図5に例示するように複層例えば外内二層に形成された不織布が用いられている。集塵袋21の各層の密度は最外層程密であり、したがって、集塵袋21の外層26をなす繊維の密度は集塵袋21の内層27をなす繊維の密度より密である。
【0027】
外層26は、生分解性樹脂からなる第1繊維、例えばポリ乳酸樹脂(PLA)からなる繊維で形成されている。この第1繊維の繊維径は30μm程度である。この外層26は例えばスパンボンド法により形成されている。この製法では、ポリ乳酸樹脂のチップを加熱・溶融してノズルから押出して紡糸し、それにより溶出されるエンドレスの長繊維をベルトコンベアの上で何本も重ね合わせてウェブを形成し、このウェブを熱ロールで加熱して長繊維を熱溶着させて繊維同士を結合させて、外層26となる不織布を形成する。
【0028】
このスパンボンド法に代えてサーマルボンド法で外層26となる不織布を形成することも可能である。このサーマルボンド法では、予め紡糸されたポリ乳酸の短繊維を空気中で開繊・攪拌してベルトコンベア上に送り、このコンベアの途中に対応して設置されたカード機が有するオルゴール状のドラムの針で、繊維を一定量・一定方向に送出してウェブを形成し、このウェブを熱ロールで加熱して繊維を熱溶着させて繊維同士を結合させて、外層26となる不織布を形成する。
【0029】
更に、スパンボンド法で溶出されたエンドレスの長繊維に高温エアを吹き付ける工程を追加したメルトブロー法を採用して外層26を製造することも可能である。この製法では、高温エアの吹き付けによって長繊維を更に細くしてウェブを形成できるので、繊維径が1〜3μmの超極細繊維の不織布を形成することができる。このため、メルトブロー法で得たポリ乳酸繊維から成る不織布だけでも、十分な塵埃の捕捉効果を期待することが可能である。
【0030】
又、湿式法で外層26となる不織布を製造することも可能である。この製法では、長さが6mm以下の短繊維を水中に懸濁させ、この短繊維をネットで漉き上げてウェブを作り、このウェブを脱水し、加熱ドラムで乾燥させて、外層26となる不織布を形成する。
【0031】
内層27は、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を混紡した不織布で形成されている。第1繊維は例えば繊維径が30μm程度のポリ乳酸樹脂からなる繊維であり、第2繊維は例えば繊維径が0.1〜数μm程度のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)からなる超極細繊維である。このような超極細繊維を第2繊維に使用することで、集塵袋21での塵埃の捕捉をより確実化できる。なお、第2繊維をなしたポリエチレンテレフタレート樹脂は、その表面に電荷を付与させることで、エレクトレット化することが可能である。このようにすることで、集塵フィルタ4の圧力損失を低減させて集塵効率をより向上させることが可能である。
【0032】
以上説明した積層構成のシート25は、その面積全体にわたっている第1繊維と第2繊維とを含んで形成されている。第1繊維をなしたポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は60℃、融点は180℃である。第2繊維をなしたポリエチレンテレフタレート樹脂の融点は略250℃であり、この第2繊維は第1繊維よりも柔軟性を有している。
【0033】
ヒートシールにより形成された第1ヒートシール部22は集塵袋21の長手方向と平行に設けられている。この第1ヒートシール部22には内層27の第2繊維が入り込んでいて、この第2繊維に外層26及び内層27の第1繊維が含浸されている。この第1ヒートシール部22はそこに含まれた第2繊維によって柔軟性を与えられている。
【0034】
同様に、ヒートシールにより形成された第2ヒートシール部23は集塵袋21の長手方向両端部に、長方向と直角方向に延びて設けられている。この第2ヒートシール部23にも内層27の第2繊維が入り込んでいて、この第2繊維に外層26及び内層27の第1繊維が含浸されている。この第2ヒートシール部23もそこに含まれた第2繊維によって柔軟性を与えられている。
【0035】
集塵袋21を正面に見てその幅方向両側部に夫々設けられたガゼット24は、例えばダブルガセットであるが、これはシングルガゼットでもトリプル又は4以上のガゼットであってもよい。ガゼット24は、図2及び図4に示すように交互に設けられた山折り部24aと谷折り部24bとにより形成されている。このガゼット24を有した集塵袋21はこれを流通する空気によって膨らむことが可能である。
【0036】
前記構成の集塵フィルタ4を構成する口枠11、パッキン15、及び集塵袋21の殆どは、いずれも生分解性の材料で形成されているので、この集塵フィルタ4を捨てた後の焼却や土中埋め込み処理において、環境への負荷が小さい利点がある。
【0037】
更に、前記構成の集塵フィルタ4の集塵袋21は、生分解性のシート25を用いて、それに第1ヒートシール部22と第2ヒートシール部23を設けて形成されているが、シート25全体が生分解性のポリ乳酸樹脂の繊維からなるのではなく、このポリ乳酸樹脂繊維より柔軟性を有した樹脂繊維であるポリエチレンテレフタレート樹脂製の第2繊維を含んで形成されている。しかも、この柔軟性の樹脂が第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23に夫々溶けることなく入り込んでいるので、シート25の第1繊維がヒートシールにより硬化されるにも拘わらず、ヒートシールされた第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23の夫々の適度の柔軟性を与えることができる。
【0038】
この柔軟性により、集塵袋21が膨らむことに伴う第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23への負荷が軽減される。このため、第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23が、割れることを抑制することが可能である。
【0039】
これとともに、後述の製法から分かるように各ヒートシール部に溶けることなく入り込んでいる第2繊維に生分解性の第1繊維が含浸されて第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23が形成されていて、各ヒートシール部では第2繊維が心材として機能している。このため、第1繊維を溶融させてヒートシールをするに拘わらず、ヒートシールの不良を生じ難く適正なヒートシールができる。このため、生分解性樹脂製の集塵袋21に対するヒートシールが容易であるとともに、電動送風機3が運転されるたびに集塵袋21が膨らむに伴って、第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23で剥がれることを抑制できる。
【0040】
以上のように第1ヒートシール部22及び第2ヒートシール部23に割れや剥がれを生じ難いので、これらヒートシール部の耐久性を向上することが可能である。
【0041】
又、ポリ乳酸樹脂は空気中の水分と反応して加水分解をすることにより乳酸を生成する。この乳酸は弱酸性であるので、抗菌作用を有する。このようなポリ乳酸樹脂により集塵袋21の外層26が形成されているので、この集塵フィルタ4を集塵室から取出して廃棄する際に、集塵袋21の外層26に掃除作業者の手が触れることがあっても、衛生的である。尚、ポリ乳酸樹脂は、もともと人体に対する安全性が高い性質を有している。又、後述する保管袋から新しい集塵フィルタ4を取出して集塵室にセットする際は、集塵袋21の外層26は汚れていないので、衛生的に取扱うことができる。このように集塵フィルタ4を掃除機本体2の集塵室に着脱する際に、衛生的に取扱える。
【0042】
更に、集塵袋21内に溜められた塵と接する内層27はポリ乳酸樹脂製の第1繊維を含んでいる。既述のようにポリ乳酸樹脂は加水分解により弱酸性となって抗菌性を発揮するので、集塵袋21内面での菌の繁殖が抑制されて、菌の繁殖に基づくカビの発生を抑制することが可能である。
【0043】
次に、集塵フィルタの製造方法を説明する。この製造方法は、筒形成工程と、ガゼット形成工程と、袋形成工程と、口枠接着工程を具備する。
【0044】
筒形成工程では、生分解性のポリ乳酸樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ前記第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布からなるとともに入口21aが予め形成された矩形状のシート25(図6参照)を用意する。尚、図6中点線は、第1ヒートシール部22に充当される部位を示すための境界線とともに、ガゼット24を形成するための折り目に相当する線を示している。このシート25の長手方向両側の側部25a,25b(図6参照)を図7に示すように重ね合わせて、この重なり部分をヒートシールして、シート25を筒とする。
【0045】
この場合、シート25の内層27が重なるようにして前記筒を形成し、また、外層26及び内層27の第1繊維の融点(180℃)を越えるとともに内層27の第2繊維の融点(略250℃)未満の温度で、ヒートシールを実施する。
【0046】
この第1回目のヒートシールによって、前記筒の長手方向、言い換えれば、集塵袋21の長手方向と平行に第1ヒートシール部22が形成される。この第1回目のヒートシールでは、シート25の長手方向両側側の側部25a,25bに含まれたポリエチレンテレフタレート樹脂製の第2繊維は溶融しないが、側部25a,25bに含まれたポリ乳酸樹脂製の第1繊維は溶融して液状となり、この液状樹脂が、第2繊維の内部に浸透し、かつ、冷却するに伴って固化する。それにより、側部25a,25bが接着されて、第2繊維を心材として柔軟性が確保された第1ヒートシール部22が形成される。
【0047】
この後に、ガゼット形成工程が実施される。このガゼット形成工程では、前記筒の側面に、第1ヒートシール部22と平行な山折り部24aと谷折り部24bとからなるガゼットを形成する。この場合、図8に示すように適当な方法で前記筒の一部を折り曲げてから、この折り曲げ部に対して折り目加工を施す。
【0048】
この折り目加工は、外層26及び内層27の第1繊維をなしたポリ乳酸樹脂製のガラス転移温度、つまり、60℃を越えるとともに、ポリ乳酸樹脂の融点(180℃)より低い温度好ましくは融点より20℃低い温度範囲例えば170℃未満の温度で、前記折り曲げ部(山折り部24aと谷折り部24b)をプレス機で圧縮して、実施される。
【0049】
これにより、ガゼット24が形成される。こうしたホットプレスによる折り目加工では、ポリ乳酸樹脂繊維は溶融しないが、そのガラス転移温度を越えた温度でのプレスにより、ポリ乳酸樹脂繊維が柔軟になるので、ガセット形成用の折り目である山折り部24aと谷折り部24bを容易に加工することが可能である。これとともに、こうした折り目加工が施されることで、ガゼット24の折り曲げ状態を長期間にわたって維持することが可能である。
【0050】
更に、ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度で折り目加工をするので、その温度差分のマージンにより、折り目加工の温度がばらつくことがあっても、ポリ乳酸樹脂繊維が溶融してガゼット24で接着が起きることが防止される。
【0051】
次に、袋形成工程が実施される。この袋形成工程では、ガゼット24が形成された前記筒の長手方向両端部を夫々ヒートシールして、図9に示すように前記筒の長手方向両端部に夫々第2ヒートシール部23を形成して、集塵袋21とする。
【0052】
この第2回目のヒートシールは、第1目のヒートシールと同じ温度条件で実施する。つまり。外層26及び内層27の第1繊維の融点(180℃)を越えるとともに内層27の第2繊維の融点(略250℃)未満の温度で、ヒートシールを実施する。
【0053】
この第2回目のヒートシールでは、前記筒の長手方向両側部に位置されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の第2繊維は溶融しないが、ポリ乳酸樹脂製の第1繊維は溶融して液状となり、この液状樹脂が、第2繊維の内部に浸透し、かつ、冷却するに伴って固化する。それにより、前記筒の長手方向両側部側部夫々接着されて、第2繊維を心材として柔軟性が確保された第2ヒートシール部23が形成される。
【0054】
最後に、口枠接着工程が実施される。この工程では、入口21aを有した集塵袋21の正面部位21bに、接着剤を用いてパッキン15と口枠11を夫々接着する。この場合、パッキン15を予め口枠11の裏面に接着しておいて、このパッキン15の周部及び口枠の裏面を正面部位21bに接着してもよいし、或いは、正面部位21bにパッキン15を接着し、パッキン15の周部と正面部位21bとに口枠11の裏面を接着してもよい。こうした接着により、集塵袋21が有した入口21aと、パッキン15の開口15a及び口枠11の吸込み開口12が夫々対向しかつ連通されて、集塵フィルタ4の組立てが完了する。
【0055】
以上の各工程を経て製造された未使用の集塵フィルタ4は、一個ずつ、もしくは図11に示すように数個ずつ纏めて、保管袋31に収容されて販売に供される。図11の保管袋31は、袋体32と、この一端部に形成された非収容端部32aに被せて図示しないホッチキス(商品名)の針などで止められたトップカバー紙33で形成されている。非収容端部32a及びトップカバー紙33には、保管袋31をぶら下げるための通孔(図示しない)が設けられている。
【0056】
袋体32はその内部に封入された集塵フィルタ4を透視可能な樹脂製フィルムで作られている。このフィルムの透湿度は、9g/m2・day、つまり、24時間当たり9g/m2である。これにより、保管期間中に、袋体32に収容された未使用の集塵フィルタ4が含んでいるポリ乳酸樹脂製の繊維が、加水分解して劣化すること、又は水滴がかかったところに菌が付着して、そこで生分解を起こしてポリ乳酸樹脂性の繊維が劣化することなどを抑制可能である。
【0057】
以下の表1は、各種の樹脂フィルムで保管袋31の袋体32を作って、その内部にポリ乳酸樹脂シートを封入した状態で、40℃でかつ98%の湿度環境下に置いた場合のポリ乳酸樹脂シートの劣化の状況を調べた結果を示す。この表1において、HDPEは高密度ポリエチレン樹脂、PPはポロプロピレン樹脂、LDPEは低密度ポリエチレン樹脂、OPPは一軸編心型ポリプロピレン樹脂、PETはポリエチレンテレフタレート樹脂、PCはポリカーボネート樹脂、PVCはポリ塩化ビニル樹脂である。
【表1】
【0058】
この表1により、HDPE、PP、LDPE、OPP製の保管袋では、ポリ乳酸樹脂製シートの劣化は認められなかった。したがって、袋体32をなす樹脂フィルムの透湿度は24時間当たり9g/m2が適当であり、透湿度が24時間当たり21g/m2以上のPET、PC性の樹脂フィルムは袋体32として適当ではないことが分かった。そして、24時間当たり6g/m2のHDPE製の袋体32は、前記試験条件の環境下に200日置いても、内部のポリ乳酸樹脂製シートの劣化は認められなかった。
【0059】
尚、保管袋31は、吸込み開口が形成された口枠11と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部及び前記吸込み開口に対向する入口を有しかつ前記入口の周部が前記口枠に接着された集塵袋21とを備え、前記シートが、その少なくとも一部に生分解性を有したポリ乳酸樹脂からなる繊維を含んで形成された不織布からなる未使用の掃除機用集塵フィルタ4を収容するために使用されるのであるから、収容される集塵フィルタは図2〜図10に示した構成の集塵フィルタ4には制約されない。
【0060】
又、前記実施形態で用いる第1繊維をなすポリ乳酸樹脂は、微生物由来の樹脂、天然物由来の樹脂、又は化学合成由来の樹脂のいずれであっても差し支えないとともに、第2繊維もポリエチレンテレフタレート樹脂以外の樹脂であってもよい。更に、前記実施形態では、集塵袋を積層された複数の層で形成したが、これに代えて、単層、即ち、第1繊維と第2繊維とを混紡してなる単層の集塵袋とすることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…電気掃除機、2…掃除機本体、2b…吸塵口、3…電動送風機、4…集塵フィルタ、11…口枠、12…吸込み開口、21…集塵袋、21a…入口、22…第1ヒートシール部、23…第2ヒートシール部、24…ガゼット、24a…山折り部、24b…谷折り部、25…シート、26…外層、27…内層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込み開口が形成された口枠と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともに、ヒートシール部及び前記吸込み開口に対向する入口を有し、かつ前記入口の周部が前記口枠に接着された集塵袋とを備える掃除機用集塵フィルタにおいて、
前記シートは、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ前記第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布であり、前記第2繊維は前記ヒートシール部に入り込んでいて、この入り込んだ第2繊維に前記第1繊維が含浸されて前記ヒートシール部が形成されていることを特徴とする掃除機用集塵フィルタ。
【請求項2】
前記集塵袋をなした前記シートが複数の不織布を積層してなる不織布であるとともに、少なくとも最外層がポリ乳酸樹脂製の前記第1繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用集塵フィルタ。
【請求項3】
吸塵口及びこの吸塵口に連通する集塵室を有した掃除機本体内に、前記集塵室の下流側に位置して電動送風機を収容するとともに、前記集塵室に集塵フィルタを収容し、前記吸塵口を通して吸込み気流とともに吸い込まれた塵埃を前記集塵フィルタで捕捉する電気掃除機において、前記集塵フィルタが請求項1又は2に記載の集塵フィルタであることを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
生分解性のポリ乳酸樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ前記第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布からなる集塵袋の側面に、山折り部と谷折り部とからなるガゼットを設ける際、60℃を越えるとともに前記ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度で前記山折り部と谷折り部をプレスすることを特徴とする掃除機用集塵フィルタの折り目加工方法。
【請求項5】
吸込み開口が形成された口枠と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部及び前記吸込み開口に対向する入口を有しかつ前記入口の周部が前記口枠に接着された集塵袋とを備え、前記シートが、その少なくとも一部に生分解性を有したポリ乳酸樹脂からなる繊維を含んで形成された不織布からなる未使用の掃除機用集塵フィルタを収容し、透湿度が9g/m2・dayであることを特徴とするフィルタ保管袋。
【請求項1】
吸込み開口が形成された口枠と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともに、ヒートシール部及び前記吸込み開口に対向する入口を有し、かつ前記入口の周部が前記口枠に接着された集塵袋とを備える掃除機用集塵フィルタにおいて、
前記シートは、生分解性樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ前記第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布であり、前記第2繊維は前記ヒートシール部に入り込んでいて、この入り込んだ第2繊維に前記第1繊維が含浸されて前記ヒートシール部が形成されていることを特徴とする掃除機用集塵フィルタ。
【請求項2】
前記集塵袋をなした前記シートが複数の不織布を積層してなる不織布であるとともに、少なくとも最外層がポリ乳酸樹脂製の前記第1繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の掃除機用集塵フィルタ。
【請求項3】
吸塵口及びこの吸塵口に連通する集塵室を有した掃除機本体内に、前記集塵室の下流側に位置して電動送風機を収容するとともに、前記集塵室に集塵フィルタを収容し、前記吸塵口を通して吸込み気流とともに吸い込まれた塵埃を前記集塵フィルタで捕捉する電気掃除機において、前記集塵フィルタが請求項1又は2に記載の集塵フィルタであることを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
生分解性のポリ乳酸樹脂からなる第1繊維と、柔軟性を有しかつ前記第1繊維よりも融点が高い樹脂からなる第2繊維を含んで形成された不織布からなる集塵袋の側面に、山折り部と谷折り部とからなるガゼットを設ける際、60℃を越えるとともに前記ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度で前記山折り部と谷折り部をプレスすることを特徴とする掃除機用集塵フィルタの折り目加工方法。
【請求項5】
吸込み開口が形成された口枠と、通気性を有する濾過材料製のシートを用いて形成されるとともにヒートシール部及び前記吸込み開口に対向する入口を有しかつ前記入口の周部が前記口枠に接着された集塵袋とを備え、前記シートが、その少なくとも一部に生分解性を有したポリ乳酸樹脂からなる繊維を含んで形成された不織布からなる未使用の掃除機用集塵フィルタを収容し、透湿度が9g/m2・dayであることを特徴とするフィルタ保管袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−152272(P2012−152272A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11838(P2011−11838)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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