説明

掃除用器具

【課題】該掃除用器具の汚染された部位に直接手を触れることなく廃棄することのできる掃除用器具の提供。
【解決手段】柔軟性材料である掃除用器具部材、および該掃除用器具部材を保持する治具を有する掃除用器具であって、該掃除用器具部材を該治具に固定する手段、および該掃除用器具部材を該治具から脱離させる手段を有する掃除用器具

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は掃除用器具に関する。より詳細には、柔軟性材料である掃除用器具部材、および該掃除用器具部材を保持する治具を有する掃除用器具であって、該掃除用器具部材を該治具に固定する手段、および該掃除用器具部材を該治具から脱離させる手段を有する掃除用器具に関する。さらに好ましくは該柔軟性材料は発泡体または、非発泡体と発泡体との組み合わせであり、その表面に合成繊維などの針状突起構造を有する。さらに本発明は、柔軟性基体の表面に針状突起を有する、掃除用器具部材にも関し、好ましくは該柔軟性基体が発泡体または、非発泡体と発泡体との組み合わせである掃除用器具部材を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴室の排水口などの掃除用具としてはブラシなどが用いられてきた。しかし、ブラシは付着した毛髪などがとれにくく、後始末が大変であった。また、汚物に直接手を触れることは衛生的に好ましくなく、また精神的にも不快なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる課題を解決するものであり、掃除用に用いられる部位が使い捨て可能であり、かつ該掃除用器具の汚染された部位に直接手を触れることなく廃棄することのできる掃除用器具を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、柔軟性材料である掃除用器具部材、および該掃除用器具部材を保持する治具を有する掃除用器具であって、該掃除用器具部材を該治具に固定する手段、および該掃除用器具部材を該治具から脱離させる手段を有する掃除用器具を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において「柔軟性材料」とは、室温で人間の力によって容易に変形可能な材料をいい、たとえば、Tg(ガラス転移温度)が室温以下、たとえば、30℃以下である熱可塑性樹脂、好ましくはTgが15℃以下、さらに好ましくはTgが0℃以下、最も好ましくはTgが−20℃以下である熱可塑性樹脂があげられる。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、およびこれらのコポリマーなどが好適に使用される。また、Tgが高いポリマーであっても、可塑剤を混合することにより室温で人間の力によって容易に変形可能とされた材料、たとえば、軟質ポリ塩化ビニルも包含される。
掃除用器具部材は、前記柔軟性材料から形成される成形された物品をいう。
【0006】
「掃除用器具部材を保持する治具」とは、掃除用器具部材を保持することのできる構造物をいい、たとえば、合成樹脂、木材、金属、セラミックなどにより作られた、棒状、板状、円筒状等の構造物、およびこれらの構造物の組み合わせを言うが、材質および形状はこれらに限定されるものではない。掃除をする際に要求される適度な大きさ、および使用に際して望まれる強度を有することが必要とされる。
【0007】
「掃除用器具部材を該治具に固定する手段」とは、「掃除用器具部材」を「掃除用器具部材を保持する治具」に固定し、掃除中に掃除用器具部材が治具から脱離しないようにする手段をいい、「掃除用器具部材を該治具から脱離させる手段」とは、「掃除用器具部材」を「掃除用器具部材を保持する治具」から容易に、好ましくは掃除用器具部材に手をふれることなく脱離させることのできる手段をいう。
【0008】
このような手段としてはその作用を発揮する任意の手段を言い、特に制限されるものではない。たとえば、1)掃除用器具部材を保持する治具が同軸で径の異なる大小の2つの管である場合に、a)外側の管の内側と、内側の管の外側にそれぞれ、凹部と凸部または凸部と凹部を形成し、両部位を勘合させることにより掃除用器具部材を固定し、両者を勘合していない状態にすることにより掃除用器具部材を脱離させる方法、b)外側の管の内側と内側の管の外側にそれぞれ凸部を形成し、両者の位置を変化させることにより、たとえば、外側の管の凸部が内側の管の凸部を超えて移動するように外側の管を移動させることにより掃除用器具部材を固定し、元の位置に戻すことにより掃除用器具部材を脱離される方法、c)外側の管の内側に凸部を形成し、外側の管の凸部が掃除用器具部材の端部を超えて移動するように外側の管を移動させることにより掃除用器具部材を固定し、元の位置に戻すことにより掃除用器具部材を脱離される方法、d)外側の管と内側の管にねじをきり、ねじをしめることにより掃除用器具部材を固定し、ねじをゆるめることにより掃除用器具部材を脱離させる方法、2)円筒状の管の内側に金属等の線をループ状に通し、該金属線の管の端から露出したループに掃除用器具部材を保持した後、該線のループ径を小さくすることにより掃除用器具部材を固定し、該線のループ径を大きくすることにより掃除用器具部材を脱離させる方法などがあげられる。
【0009】
本発明の掃除用器具において、柔軟性材料は好ましくは発泡体である。発泡体は先に挙げた柔軟性材料の発泡体であることが好ましい。たとえば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなどの発泡体であることができる。発泡倍率は得られた材料が室温で人間の力によって容易に変形可能であれば、任意であることができる。
また、柔軟性材料は非発泡体である柔軟性材料と発泡体との組み合わせであることもできる。たとえば、ポリエチレンや軟質ポリウレタンなどの柔軟性材料の上に、前記の発泡体を形成して使用することができる。
本発明の掃除用器具において、掃除用器具部材は好ましくはその表面に針状突起を有する。「針状突起」とは、柔軟性材料の表面から飛び出している針状または繊維状の突起を言う。「針状突起」は好ましくは直径約0.1mmから約2mm、より好ましくは約0.2mmから約1mm、最も好ましくは直径約0.2mmから約0.7mmの太さである。針状突起の表面から飛び出している長さは好ましくは約1mmから約5cm、より好ましくは約3mmから約3cm、最も好ましくは約5mmから約1cmである。針状突起の材質は特に制限するものではなく、柔軟性のあるものの他、硬質のものも使用することができる。「針状突起」は好ましくは熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂、天然樹脂、無機物質、または獣毛である。たとえば、針状突起として、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、豚毛、金属線などが使用できる。また、上記範囲の長さの針状突起を形成するならば、使用される繊維状材料自体の長さはとくに制限されるものではない。
また、針状突起の密度は針状突起の材質、掃除用具の用途に応じて適宜決定できる。
針状突起の材質、密度、長さおよび太さを選択することにより、各種の汚れを効果的に除去することができる。たとえば、浴室などの毛髪の多い場所の掃除には、比較的堅い針状突起を比較的多めに形成することにより、効果的に毛髪を除去することができる。また、ガスレンジ付近などの油汚れの多い場所の掃除には、比較的堅くて短い針状突起を形成することにより、効果的に清掃することができる。洗面台などの屈曲の多い場所の掃除には、比較的柔らかい、長い針状突起を形成することにより、効果的に清掃することができる。
【0010】
本発明はさらに、柔軟性基体の表面に針状突起を有する、掃除用器具部材を提供する。
針状突起を形成する方法としては、公知の任意の方法を使用することができる。たとえば、発泡体に繊維状材料を物理的力または電気的力により植え込む方法、接着剤により結合する方法、繊維状材料をあらかじめ混合した発泡体を発泡させる方法、非発泡体である柔軟性材料の基体に繊維状材料を植え込んだ後、柔軟性材料の基体上で発泡体を発泡させる方法などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
柔軟性材料は前記の材料で形成されることができ、好ましくは発泡体である。また、柔軟性材料は非発泡体である柔軟性材料と発泡体との組み合わせであることもできる。
【0011】
以下、本発明の実施態様について、図面を参照しつつ説明する。
図1、図2、および図3は、掃除用器具部材を保持する治具が同軸で径の異なる大小の2つの管である場合の掃除用器具部材を治具に固定する手段および、掃除用器具部材を治具から脱離させる手段の例を示す図である。
図1は、外側の管1の内側と、内側の管2の外側にそれぞれ、凸部3と凹部4を形成し、凸部3と凹部4を勘合させることにより掃除用器具部材5を固定し、両者を勘合していない状態にすることにより掃除用器具部材を脱離させる方法の例を示す。図の状態では掃除用器具部材は脱離するが、外側の管1を下方に動かして、その凸部3を内側の管2の凹部4と勘合させることにより掃除用器具部材5を固定する。図1と反対に外側の管1の内側と、内側の管2の外側にそれぞれ、凹部と凸部を形成し、凹部と凸部を勘合させることにより掃除用器具部材を固定し、両者を勘合していない状態にすることにより掃除用器具部材を脱離させることもできる。
【0012】
図2は、外側の管1の内側と内側の管2の外側にそれぞれ凸部を形成し、両者の位置を変化させることにより、たとえば、外側の管の凸部が内側の管の凸部を超えて移動するように外側の管を移動させることにより掃除用器具部材5を固定し、元の位置に戻すことにより掃除用器具部材を脱離する方法の例を示す。
図3は、外側の管の内側に凸部を形成し、外側の管の凸部が掃除用器具部材5の端部を超えて移動するように外側の管を移動させることにより掃除用器具部材を固定し、元の位置に戻すことにより掃除用器具部材を脱離する方法の例を示す。
また、図示しないが、外側の管1と内側の管2にねじをきり、ねじをしめて外側の管を下方に移動させることにより掃除用器具部材を固定し、ねじをゆるめることにより掃除用器具部材を脱離させることもできる。
【0013】
図4は、円筒状の中空管10の内側に金属等の線7をループ状に通し、該金属線の管の端から露出したループに掃除用器具部材5を保持した後、該線のループ径を小さくすることにより掃除用器具部材を固定し、該線のループ径を大きくすることにより掃除用器具部材を脱離させる方法の例を示す。
【0014】
図5および図6は、本発明にかかる掃除用器具部材の例を示す図である。
図5は、発泡体である柔軟性材料6の表面に針状突起8を設けた掃除用器具部材の例を示す図である。図5における非発泡体である柔軟性材料9は任意に設けることができる。図5R>5に示された掃除用器具部材は、たとえば、図1に示されたような内側の管に挿入され、その端部が外側の管との間に固定されることとなる。
図6は、たとえば、図4に示された治具において使用される掃除用器具部材の例を示す図である。球状をし、その表面に針状突起8が形成される。たとえば、図6の掃除用器具部材が図4に示された治具の金属線などのループ内に配置され、ループを小さくされることにより掃除用器具部材が固定される。
なお、図5および図6の掃除用器具部材の形状はあくまでも例示にすぎず、たとえば、幅広い形状の掃除用器具部材が図4の治具において使用できることは当業者には容易に理解できる事項である。
なお、煩雑であるので図では針状突起は簡略化して描いたが、掃除用器具部材の表面のほぼ全面を覆うほど多量であることができることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、掃除用に用いられる部位が使い捨て可能であり、かつ該掃除用器具の汚染された部位に直接手を触れることなく廃棄することのできる掃除用器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明における掃除用器具部材を保持する治具の例の断面図である。
【図2】図2は本発明における掃除用器具部材を保持する治具の例の断面図である。
【図3】図3は本発明における掃除用器具部材を保持する治具の例の断面図である。
【図4】図4は本発明における掃除用器具部材を保持する治具の例の断面図である。
【図5】図5は本発明における掃除用器具部材の例の断面図である。
【図6】図6は本発明における掃除用器具部材の例の断面図である。
【符号の簡単な説明】
1:外側の管
2:内側の管
3:凸部
4:凹部
5:掃除用器具部材
6:発泡体である柔軟性材料
7:線
8:針状突起
9:非発泡体である柔軟性材料
10:中空管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性材料である掃除用器具部材、および該掃除用器具部材を保持する治具を有する掃除用器具であって、該掃除用器具部材を該治具に固定する手段、および該掃除用器具部材を該治具から脱離させる手段を有する掃除用器具。
【請求項2】
該柔軟性材料が発泡体または、非発泡体と発泡体との組み合わせである、請求項1記載の掃除用器具。
【請求項3】
該柔軟性材料がその表面に針状突起を有する、請求項1または2記載の掃除用器具。
【請求項4】
該針状突起が合成樹脂、天然樹脂、または獣毛である、請求項1から3のいずれか1項記載の掃除用器具。
【請求項5】
柔軟性基体の表面に針状突起を有する、掃除用器具部材。
【請求項6】
該柔軟性基体が発泡体または、非発泡体と発泡体との組み合わせである、請求項5記載の掃除用器具部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−147732(P2004−147732A)
【公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−313780(P2002−313780)
【出願日】平成14年10月29日(2002.10.29)
【出願人】(502392157)
【Fターム(参考)】