説明

掃除用電気器具

本発明は、手持ち型掃除用電気器具(10)であって、長手方向軸線(Y−Y)を有する吸引導管(14)、吸引導管(14)に沿って空気流を発生させる空気流発生器(36)、吸引導管と連通状態に配置されていて、汚れやほこりを空気流から分離する分離装置(18)、電力を空気流発生器に供給する電源(32)及び空気流発生器(36)と電源(32)との間に配置された細長い取っ手(28)を有することを特徴とする手持ち型掃除用電気器具を提供する。細長い取っ手(28)は、ユーザの手で掴めるような寸法及び構成になっており、細長い取っ手(28)は、吸引導管の長手方向軸線(Y−Y)に対して横方向に位置している。かかる構成の手持ち型真空掃除機(10)を提供することによって、手持ち型真空掃除機(10)は、使用にあたって操作するのが容易且つ快適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち型掃除用電気器具に関する。本発明は、特に、手持ち型真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち型真空掃除機は、例えば英国特許第1207278号明細書から知られている。この特許文献は、入口、吸引導管及び空気流から汚れやほこりを分離する集塵袋を備えた細長い本体を有する手持ち型真空掃除機を開示している。モータ・ファン組立体が、電源と一緒に本体内に設けられている。握り部が、手持ち型真空掃除機の上方部分に設けられている。握り部は、吸引導管に対して浅い角度をなして細長い本体に平行に延びており、空気流発生器と電源の両方は、握り部の下で本体内に配置されている。日本国特開2004−041760号公報は、同様な握り部構成を備えた手持ち型真空掃除機を開示している。しかしながら、この場合、手持ち型真空掃除機のモータ・ファン組立体及び電源は、この機械の重心が、握り部の中心に位置するよう配置されている。
【0003】
握り部の別の構成が、米国特許第1,871,624号明細書に示されている。この特許文献は、円筒形の本体及び一端に配置された握り部を有する手持ち型真空掃除機を開示している。湾曲した吸引導管が、握り部と反対側の端部のところに設けられている。握り部は、円筒形本体の長手方向軸線に対して横方向に且つ吸引導管にほぼ平行に配置されている。この構成は、ユーザには、英国特許第1207278号明細書及び日本国特許出願公開第2004−041760号公報に開示された握り部構成よりも強固な手首位置を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許第1207278号明細書
【特許文献2】日本国特開2004−041760号公報
【特許文献3】米国特許第1,871,624号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、真空掃除機の重いコンポーネント(例えば、モータ・ファン組立体)は、真空掃除機の使用中、ユーザの手に対して握り部の前方に位置する。したがって、手持ち型真空掃除機の質量中心は、握り部の前方に位置することになる。この結果、上述の手持ち型真空掃除機は、使用するのが疲れたり厄介になったりする場合がある。というのは、ユーザは、手持ち型真空掃除機を固定された向きに保つために労力を別途及ぼさなければならないからである。
【0006】
本発明の目的は、使用にあたり公知の構成よりも操作するのが簡単な手持ち型真空掃除機を提供することにある。本発明の別の目的は、握り部、モータ・ファン組立体及び電源の構成が手持ち型真空掃除機を容易且つ快適に操作することができるようになっている手持ち型真空掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、手持ち型掃除用電気器具であって、長手方向軸線を有する吸引導管と、吸引導管に沿って空気流を発生させる空気流発生器と、吸引導管と連通状態に配置されていて、汚れやほこりを空気流から分離する分離装置と、電力を空気流発生器に供給する電源と、空気流発生器と電源との間に配置されると共にユーザの手で掴めるような寸法及び構成になっている細長い取っ手とを有し、細長い取っ手は、吸引導管の長手方向軸線に対して横方向に位置していることを特徴とする手持ち型掃除用電気器具を提供する。かかる構成の手持ち型真空掃除機を提供することによって、ユーザは、快適な手首位置を維持することができ、手持ち型真空掃除機の動きが、快適に感じられる。
【0008】
好ましくは、細長い取っ手は、長手方向軸線に対して80°〜90°の角度をなして位置する。より好ましくは、細長い取っ手は、長手方向軸線に対して直角に近い角度をなして位置する。
【0009】
好ましくは、分離装置は、吸引導管と細長い取っ手との間に配置される。この構成により、手持ち型真空掃除機の重量のバランスが向上する。
【0010】
好ましくは、吸引導管は、吸引開口部を有し、長手方向軸線は、吸引開口部を通る。この構成は、使用者に自然さを感じさせ且つ使用するのが容易である。
【0011】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の手持ち型真空掃除機の等角図である。
【図2】図1の手持ち型真空掃除機の部分切除側面図である。
【図3】図1の手持ち型真空掃除機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、手持ち型真空掃除機10を示している。手持ち型真空掃除機10は、本体12を有している。本体12は、吸引開口部16を備えた吸引導管14を有している。本体12は、吸引開口部16を通って引き込まれた空気流から汚れやほこりを分離するサイクロン型分離装置18を更に有している。サイクロン型分離装置18は、吸引導管14及び吸引開口部16と連通状態にある。サイクロン型分離装置18は、上流側のサイクロン20及び複数の下流側のサイクロン22を有するが、それ以上の詳細は、本発明にとって重要ではないので説明しない。
【0014】
本体12は、複数の排気ベント26が形成されたモータハウジング24を更に有している。流路が、吸引開口部16から吸引導管14、サイクロン型分離装置18及びモータハウジング24を通って排気ベント26まで延びている。使用時に手持ち型真空掃除機10を操作するための握り部28が、モータハウジング24の下方に設けられている。握り部28は、サイクロン型分離装置18が握り部28と吸引開口部16との間に位置するよう配置されている。握り部28は、トリガスイッチ30を有し、このトリガスイッチは、吸引開口部16の最も近くに位置する握り部28の側部に設けられており、ユーザの人差し指でトリガスイッチ30を操作することができるようになっている。電源32が、取付け部分34を介して握り部28に連結されている。
【0015】
図2は、手持ち型真空掃除機10を詳細に示している。空気流発生器36が、モータハウジング24内に設けられている。この実施形態では、空気流発生器36は、モータ・ファン組立体の形態をしている。空気流発生器36は、入口38及び出口40を有している。モータ前方フィルタ42が、微粒子を空気流から濾過して除去するために入口38の上流側に配置されている。モータ後方フィルタ44が、出口40の下流側に配置されている。モータ前方フィルタ42及びモータ後方フィルタ44は、流路中に配置されている。
【0016】
握り部28は、細長い取っ手の形態をしており、この握り部は、第1の端部46、第2の端部48及び軸線X−Xを有している。握り部28の第1の端部46は、モータハウジング24に連結されている。空気流発生器36は、握り部28の第1の端部46に隣接して配置されている。この実施形態では、握り部28及び空気流発生器36は、握り部28の軸線X−Xが空気流発生器36の少なくとも一部分を通るよう配置されている。
【0017】
取付け部分34は、電源32を取り出し可能に受け入れている。電源32は、手持ち型真空掃除機10に取り付けられると、握り部28の第2の端部48のすぐ隣りに配置される。この実施形態では、電源32及び握り部28は、軸線X−Xが電源32の少なくとも一部を通過するよう配置されている。
【0018】
換言すると、握り部28は、空気流発生器36と電源32との間に位置するよう配置されている。この実施形態では、軸線X−Xは、空気流発生器36及び電源32の各々の少なくとも一部分を通っている。さらに、握り部28の軸線X−Xは、吸引導管12の長手方向軸線Y−Yに対して横方向に位置している。長手方向軸線Y−Yは、吸引導管16を通っている。この実施形態では、軸線X−Xは、長手方向軸線Y−Yに対して角度をなして配置され、この角度は、ほぼ90°である。この構成により、ユーザは快適さを感じる。
【0019】
トリガスイッチ30は、握り部28の第1の端部46寄りに配置されている。トリガスイッチ30は、電源32と空気流発生器36との間に配置され、このトリガスイッチは、空気流発生器36をオン又はオフに切り換えることができる。トリガスイッチは、オン位置及びオフ位置を有する。トリガスイッチは、図2で見て左側から右側に動く。オフ位置は、左側に位置決めされ、オン位置は、右側に位置決めされている。オフ位置では、トリガスイッチ30は、開離状態にあり、空気流発生器36は、オフに切り換えられる。オン位置では、トリガスイッチ30は、閉成され、空気流発生器36は、オンに切り換えられる。トリガスイッチ30は、トリガスイッチ30を常開状態に向かって付勢するばね50を有している。この構成により、ユーザの人差し指でトリガスイッチ30を容易に操作することができる。これにより、手持ち型真空掃除機10を片手で作動させることができる。
【0020】
使用にあたり、ユーザは、握り部28を掴んで手持ち型真空掃除機10を使用状態で操作する。ユーザがトリガスイッチ30を引くと、空気流発生器36が作動する。ユーザは、空気流発生器36を作動状態に保つためにはトリガスイッチ30に加わっている圧力を維持しなければならない。このことは、ユーザが掃除を必要としない場合、例えば1つの部屋から別の部屋に移動する際、トリガスイッチ30を放す可能性があるということを意味している。ユーザがトリガスイッチ30を放した場合、ばね50は、トリガスイッチ30をオフ位置に付勢し、空気流発生器36の作動が終了することになる。これにより、空気流発生器36の不必要な使用が減少し、その結果、電池の寿命及びモータの寿命が節約される。
【0021】
空気流発生器36は、作動時に、汚れ及びほこり含有空気の流れを吸引開口部16内に引き込み、吸引導管14を通ってサイクロン型分離装置18内に引き込む。汚れ及びほこり含有空気は、上流側サイクロン20に入り、大きな汚れ及びほこり粒子は、サイクロン運動によって分離される。これら粒子は、次に、上流側サイクロン20内に集められる。
【0022】
次に、部分的に清浄になった空気流は、複数の下流側サイクロン22に入る。下流側サイクロン22は、上流側サイクロン20の場合よりも小さな汚れ及びほこり粒子を部分的に清浄になった空気流から分離することができる。清浄になった空気は、サイクロン型分離装置16から出てモータ前方フィルタ12、空気流発生器36及びモータ後方フィルタ44を順次通り、その後、排気ベント26を介して手持ち型真空掃除機10から排出される。
【0023】
使用にあたり、ユーザは、種々の表面を掃除したいと思う場合があり、これら表面は、互いに異なる角度に差し向けられている場合がある。したがって、ユーザは、効率的に掃除をするために手持ち型真空掃除機10を持ち上げたり動かしたりして種々の位置及び向きにする必要がある。握り部28が空気流発生器36と電源32との間に配置されているので、手持ち型真空掃除機10を使用の際に容易に操作することができる。これは、ユーザの手が手持ち型真空掃除機10の2つの最も重いコンポーネント相互間に位置することになるからである。この結果、手持ち型真空掃除機10の重量がユーザの手の両側に分布される「ダンベル状」の形態が得られる。
【0024】
吸引導管14の長手方向軸線Y−Yが握り部28の軸線X−Xに対して横方向に配置されている結果として、吸引導管12は、ユーザの手首が本質的に真っ直ぐなときにユーザの前腕の実質的に真っ直ぐな延長部をなす。この構成は、特に手持ち型真空掃除機10が所与の期間にわたって用いられる場合ユーザに快適さを感じさせる。さらに、吸引導管14の長手方向軸線Y−Yが手持ち型真空掃除機10の中心の近くに配置されていることは、吸引導管14の長手方向軸線Y−Yがユーザの前腕の長手方向回転軸線に一致し又はこの近くに位置することを意味している。この結果、手持ち型真空掃除機10を回す際に吸引開口部14の軸方向変位は殆どなく又はゼロである。
【0025】
本発明は、上述の特定の実施形態の特徴には限定されない。当業者には変形例が明らかである。例えば、空気流発生器又は電源の特定の配置場所は様々であって良い。空気流発生器は、握り部の第1の端部のすぐ隣りに位置しても良い。空気流発生器は、握り部の上方又は下方に位置することができる。加うるに、電源は、握り部の第2の端部のすぐ隣りに位置しても良い。電源は、握り部の上方又は下方に位置することができる。重要なことは、空気流発生器が握り部の第1の端部のすぐ隣りに位置し、電源が握り部の第2の端部の隣りに位置するということである。
【0026】
吸引導管の長手方向軸線と握り部の軸線との間の角度関係は、様々であって良い。吸引導管の長手方向軸線と握り部の軸線とのなす角度は、80°〜90°であることが好ましい。しかしながら、重要なことは、これら軸線が互いに横方向であり、ユーザによる手持ち型真空掃除機の操作が快適さを感じられるようになっているということである。
【0027】
サイクロン型分離ユニット又は装置を用いる必要はない。他の分離装置、例えば袋形フィルタを使用することができる。さらに、手持ち型真空掃除機は、充電可能な電源を備える必要はない。標準電池又は電源コードを用いることができる。さらに、本発明は、手持ち型真空掃除機には限定されない。他形式の手持ち型掃除用電気器具、例えばカーペット洗浄機、湿式及び乾式機械又はブロワ型真空装置を使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち型掃除用電気器具であって、長手方向軸線を有する吸引導管と、前記吸引導管に沿って空気流を発生させる空気流発生器と、前記吸引導管と連通状態に配置されていて、汚れやほこりを前記空気流から分離する分離装置と、電力を前記空気流発生器に供給する電源と、前記空気流発生器と前記電源との間に配置されると共にユーザの手で掴めるような寸法及び構成になっている細長い取っ手とを有し、前記細長い取っ手は、前記吸引導管の長手方向軸線に対して横方向に位置している、手持ち型掃除用電気器具。
【請求項2】
前記細長い取っ手は、前記長手方向軸線に対して80°〜90°の角度をなして位置している、請求項1記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項3】
前記細長い取っ手は、前記長手方向軸線に対して直角に近い角度をなして位置している、請求項1又は2記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項4】
前記分離装置は、前記吸引導管と前記細長い取っ手との間に配置されている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項5】
前記吸引導管は、吸引開口部を有し、前記長手方向軸線は、前記吸引開口部を通っている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項6】
前記吸引開口部は、前記細長い取っ手から見て遠くに位置している、請求項5記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項7】
前記空気流発生器をオン又はオフに切り換えるためのトリガスイッチが、前記細長い取っ手に設けられている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項8】
前記トリガスイッチは、前記吸引開口部の最も近くに位置する前記細長い取っ手の側部に設けられている、請求項6又は7記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項9】
前記トリガスイッチは、前記トリガスイッチをオフ位置に付勢する弾性手段を有する、請求項7又は8記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項10】
前記分離装置は、サイクロン分離器から成る、請求項1〜9のうちいずれ一に記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項11】
前記手持ち型掃除用電気器具は、手持ち型真空掃除機である、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の手持ち型掃除用電気器具。
【請求項12】
実質的に添付の図面を参照して上述した手持ち型掃除用電気器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−543640(P2009−543640A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520031(P2009−520031)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002536
【国際公開番号】WO2008/009888
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】