説明

排水トラップ

【課題】洗濯機などの排水ホースが容易に外れることがない構造を有する排水トラップを提供することを目的とするものである。
【解決手段】排水ホース6から流出する洗濯廃水等を排水する排水トラップ10であり、排水トラップ10のホースジョイント16が回転可能に設けられ、ホースジョイント16の回転軸中心を軸中心として回転可能とした排水ホース6を固定するためのホース固定用回動機構を排水トラップ10に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い場或いはバスルームやマンションの台所、洗面所、ベランダ或いは各種キャビネット内など床面の排水口に取り付けられる排水トラップ、特に洗濯機などの排水ホースを接続連結する排水トラップに関し、詳しくは、排水ホースが排水トラップのホースジョイントから不用意に外れることがない排水トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の排水トラップは、洗濯機の排水ホースから排出される廃水を床下に配設した排水管に案内するためのものであり、洗濯機では床面に設置した防水パンに載置され、排水トラップが防水パンに設置される。洗濯機の排水ホースは、洗濯機の左右何れかから導出されて排水トラップのホースジョイントに接続される。図6(a),(b)は、従来の排水トラップ及び防水パンの一例を示すものであり、防水パンPが床面に設置され、排水トラップ本体1が防水パンPの片側に偏った位置に設けられている。排水トラップ本体1の内部に排水カップ2が設けられ、排水カップ2の上部には、屈曲したホースジョイント3が設けられる。ホースジョイント3は案内筒に設けられ、ホースジョイント3の接続部の周囲には、スプリングパッキン8を噛ませて目皿受を設けて目皿受に目皿4が設けられている。排水カップ2の接続部2aには排水配管5が接続され、ホースジョイント3の先端部には排水ホース6が接続され、排水ホース6が固定バンド7で固定されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第30921243号公報(明細書全文、図面全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、防水パンの略中央部分に排水トラップの取付孔が設けられ、ホースジョイントを回転可能とし、洗濯機の排水ホースが左右何れの側から導出されていても対応できるように形成されている。排水ホースはホースジョイントの先端部に接続されて固定バンドで固定されているが、排水ホースを無理に屈曲させて取り付けたり、固定バンドによる締め付けが緩かった場合などでは、防水パンの清掃時に洗濯機を移動させた際、排水ホースが抜け易いといった問題があり、洗濯機の真下に排水トラップが位置していることもあって、排水パンに排水が溢れだして初めて排水ホースがホースジョイントから外れていることに気が付き難くといったこともあった。
【0005】
また、洗い場或いはバスルームやマンションの台所、洗面所、ベランダ或いは各種キャビネット内などでは、防水パンを用いることなく、床面に設けた排水孔に排水トラップを設けられており、排水ホースが排水トラップのホースジョイントから容易に外れることがないような構造を有する排水トラップが望まれている。
【0006】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであって、洗濯機などの排水ホースが容易に外れることがない構造を有する排水トラップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決したものであって、請求項1の発明は、排水ホースから流出する洗濯廃水等を排水する排水トラップにおいて、
前記排水トラップのホースジョイントが回転可能に設けられ、該ホースジョイントの回転軸中心を軸中心として回転可能とした前記排水ホースを固定するためのホース固定用回動機構を前記排水トラップに設けたことを特徴とする排水トラップである。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記ホース固定用回動機構が、前記ホースジョイントの回転軸中心を軸中心として回転するホース固定用回動板と、前記ホースジョイントに差し込まれた前記排水ホースの先端の掛止部に係合し、かつ該排水ホースを跨いで前記ホース固定用回動板の先端部に係合させて前記排水ホースを固定するホース固定バンドとからなることを特徴とする請求項1に記載の排水トラップである。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記ホース固定バンドが、前記ホース固定用回動板の先端部の係合孔に係合させるための係合突起を両脚部に備えたコ字状部材であることを特徴とする請求項2に記載の排水トラップである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、排水ホースから流出する洗濯廃水等を排水する排水トラップにおいて、前記排水トラップのホースジョイントが回転可能に設けられ、該ホースジョイントの回転軸中心を軸中心として回転可能とした前記排水ホースを固定するためのホース固定用回動機構を前記排水トラップに設けたことを特徴とする排水トラップであるので、防水パンの清掃などで洗濯機を移動した際に、ホースジョイントとともにホース固定用回動機構が回動し、ホース固定用回動機構に固定された排水ホースが共に回動するように構成されおり、ホースジョイントに接続された排水ホースに抜脱力が加わり難く、排水ホースがホースジョイントから外れることがない利点がある。また、本発明の排水トラップは、排水ホースが排水トラップのホースジョイントから容易に抜脱されないので、従来、防水パンを使用して水漏れに対処していたが、防水パンをも排除することを可能にするものである。無論、本発明の排水トラップを防水パンに一体に組み込んで使用することができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、前記ホース固定用回動機構が、前記ホースジョイントの回転軸中心を軸中心として回転するホース固定用回動板と、前記ホースジョイントに差し込まれた前記排水ホースの先端の掛止部に係合し、かつ該排水ホースを跨いで前記ホース固定用回動板の先端部に係合させて前記排水ホースを固定するホース固定バンドとからなることを特徴とする請求項1に記載の排水トラップであるので、排水ホースに抜脱力が加わったとしてもホース固定バンドをホース固定用回動板から抜かない限り、排水ホースの先端に設けられた掛止部にホース固定バンドが係合し、排水ホースがホースジョイントから抜脱されることがなく、ホース固定バンドを人為的に取り去らない限り、排水ホースに抜脱することができない構造となっており、また、さらに排水ホースの先端部を緊縮する既設のホースバンド金具と併用すれば、排水ホースの抜けに対し、二重の安全性が確保することができ、水漏れの観点から安全性が極めて良好な排水トラップとすることができる。
【0012】
また、請求項3の発明は、前記ホース固定バンドが、前記ホース固定用回動板の先端部の係合孔に係合させるための係合突起を両脚部に備えたコ字状部材であることを特徴とする請求項2に記載の排水トラップであるので、ホース固定用回動板の先端部の係合孔にコ字状部材の両脚部の係合突起を差し込むだけで排水ホースをホース固定用回動板の先端部に固定することができる。ホース固定バンドは、従来の固定バンドのように長期間使用したとしても固定バンドの締め付け力に弛みが発生することがない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る排水トラップについて、図面を参照して説明する。先ず、本発明の排水トラップは、洗い場或いはバスルームやマンションの台所、洗面所、ベランダ或いは各種キャビネット内などに設置されるものであり、防水パンに本発明の排水トラップを一体に組み込んで使用することも可能であるが、防水パンを使用することなく、床面に排水トラップを設置することが可能な排水トラップに関するものであり、以下、後者の使用例の排水トラップについて図面を参照し説明する。
【0014】
なお、図1は本実施形態を示す排水トラップの上部断面図である。図2(a)はホース固定用回動板の上面図であり、図2(b)はその断面図であり、図2(c)はその正面図である。図3(a)は回動板受部材であり、図3(b)はその断面図である。図4はホース固定用回動板を示す概略分解図である。図5(a)はホース固定用回動板に排水ホースを固定した状態を示す上面図であり、図5(b)はそのAA矢視に沿った断面断面図である。
【0015】
図1〜図5を参照し、本実施形態の排水トラップについて説明する。図1の排水トラップの上部断面に示すように、排水トラップ10は、排水を排水管Cに流しつつ臭気などの発生を防止すためのものであり、床面Aに設けられた床面開口部Bから突出する排水管Cの突出部の周囲に、ホース固定カバー受け部材11が装着され、その周囲にホース固定用回動板12が床面A上に回転自在に載置される。ホース固定用回動板12にはホース接続部13が載置固定される。ホース接続部13は、円筒状部材13aにフランジ部13bが形成され、このフランジ部13bにネジ部13cが形成されたものであり、円筒状部材13aは排水管Cに挿入され、ネジ部13cの外周のフランジ部13bに設けたネジ孔にネジSを差込んで床に螺合することによって、ホース接続部13はホース固定カバー受け部材11上に載置固定される。ホース固定カバー受け部材11に周囲に装着されたホース固定用回動板12は、ホース固定カバー受け部材11の中心を回転軸として回転自在に保持される。
【0016】
ホース接続部13の円筒状部材13aの内周側には、円筒状のスロート15が設けられ、スロート15の外周にリング状のパッキン14が挿入されてネジ部13cの内周側に載置される。このスロート15には、屈曲したホースジョイント16が差し込まれる。ホースジョイント16は、排水ホース6が取り付けられるとともに、排水管Cに接続するものであり、ホースジョイント16は、管状部分16aの外周にテーパー状フランジ16bが設けられて屈曲した管状部分16cが形成され、管状部分16cの先端部分に排水ホース6の取付部16dが形成されている。このホースジョイント16には、パッキンホルダー17が差し込まれてパッキンホルダー17の内面側に設けられたテーパー部分17aをテーパー状フランジ16bに接触させ、ホース接続部13のネジ部13cにパッキンホルダー17の内部に形成されたネジ部17bを螺合させて緊縮することによって、ホースジョイント16はホース接続部13に接続される。パッキンホルダー17により保持されたホースジョイント16は、パッキン14面を摺動しながら回転可能に保持されている。また、ホースジョイント16はスロート15を噛み込んでおり、排水管C内からの臭気が完全に遮断されている。
【0017】
ホース固定用回動板12は、図2に示したように、ホース固定カバー受け部材11が挿入される環状孔12aが形成され、上面形状は環状孔12aの中心にして横方向に広がった舌片形状であり、舌片形状の先端部分に円弧状部分による排水ホース受部12bが形成され、排水ホース受部12bの両側に開口部12cが設けられている。この開口部12cには、ホース固定バンド18の両脚部18aに設けられた係合突起18bが挿入され、ホース固定バンド18は、排水ホース受部12bに載置された排水ホース6の両脚部18aが排水ホース6を跨ぐように装着されてホース固定用回動板12にワンタッチで固定することができる。
【0018】
なお、ホース固定カバー受け部材11は、図3に示したように、リング形状であり、内側円形開口部11aには排水管Cが挿通され、その外周側には凹部11bが形成されており、ネジSでパッキンホルダー17を床面Aに固定する際、ネジSがこの凹部11bに差し込まれることによって、ホース固定カバー受け部材11は床面Aに固定される。
【0019】
続いて、図4,図5を参照し、排水ホース6をホース固定用回動板12に固定し回転可能にしたホース固定用回動機構について説明する。図4は、配水管Cとホースジョイント16とを接続する部分を示し、かつホース固定バンド18をホース固定用回動板12の先端部分に装着する斜視図を示し、図5は排水ホース6を固定した図を示している。ホース固定バンド18はコ字状部材であり、その両脚部18aの先端にそれぞれ係合突起18bが設けられている。ホースジョイント16の先端に接続された排水ホース6は、ホース固定用回動板12の先端の円弧状の排水ホース受部12bに載置され、ホース固定バンド18の脚部18a間に排水ホース6が陥入するように、ホース固定バンド18を押すことによって、脚部18aの先端の係合突起18bが、排水ホース受部12bの両側に設けられた係合孔12cに嵌合し、ホース固定バンド18が排水ホース6を跨ぐように装着され、係合突起18bの中側に設けた凹嵌部18cに係合孔12cの側壁が嵌合して固定される。また、排水ホース6の先端に設けられた掛止部6aは、ホース固定バンド18に掛合し、排水ホース6がホースジョイント16から脱抜されるのを防止している。さらに、ホースジョイント16の先端に差し込まれた排水ホース6の先端部を、既設のホースバンド金具19で緊縮すれば、排水ホース6の抜けを一層防止することができる。
【0020】
即ち、本発明の排水トラップは、ホース固定用回動機構が設けられることによって、ホース固定用回動板12がホースジョイント16の回転軸中心を軸心として回動可能とするとともに、ホースジョイント16の先端に接続された排水ホース6が、ホース固定用回動板12の先端部の排水ホース受部12bに載置してホース固定バンド18で固定されるので、ホース固定用回動板12とともに360°回転させることが可能となる。従って、排水ホースは、異常な屈曲状態で排水トラップに接続されることがなく、無理のない接続状態に保持することが可能であり、不用意に排水ホースがホースジョイントから抜脱されることがない。
【0021】
なお、上記実施形態では、排水トラップを床面に設置する例について説明したが、防水パンに設置することも可能であり、その場合、ホース固定用回動板は、防水パンの載置面を回転可能に構成されることになる。また、排水トラップは、上記実施形態のように、排水管に直接接続する配管構造であってもよいし、配水カップを設けた配水管構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の活用例としては、洗い場或いはバスルームやマンションの台所、洗面所、ベランダ或いは各種キャビネット等の排水トラップとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本実施形態を示す排水トラップの上部断面図である。
【図2】図2(a)はホース固定用回動板の上面図であり、図2(b)はその断面図であり、図2(c)はその正面図である。
【図3】図3(a)は回動板受部材であり、図3(b)はその断面図である。
【図4】図4はホース固定用回動板を示す概略分解図である。
【図5】図5(a)はホース固定用回動板に排水ホースを固定した状態を示す上面図であり、図5(b)はそのAA矢視に沿った断面断面図である。
【図6】(a)は、従来の排水トラップの要部断面図であり、(b)は排水トラップを防水パンに設置した例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0024】
6 排水ホース
6a 掛止部
10 排水トラップ
11 ホース固定カバー受け部材
12 ホース固定用回動板
12a 環状孔
12b 排水ホース受部
12c 係合孔
13 ホース接続部
13a 円筒状部材
13b フランジ部
13c ネジ部
14 パッキン
15 スロート
16 ホースジョイント
16a 管状部分
16b テーパー状フランジ
16c 管状部分
16d 取付部
17 パッキンホルダー
17a テーパー部分
17b ネジ部
18 ホース固定バンド
18a 脚部
18b 係合突起
19 ホースバンド金具
A 床面
B 床面開口部
C 排水管
S ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水ホースから流出する洗濯廃水等を排水する排水トラップにおいて、
前記排水トラップのホースジョイントが回転可能に設けられ、該ホースジョイントの回転軸中心を軸中心として回転可能とした前記排水ホースを固定するためのホース固定用回動機構を前記排水トラップに設けたことを特徴とする排水トラップ。
【請求項2】
前記ホース固定用回動機構が、前記ホースジョイントの回転軸中心を軸中心として回転するホース固定用回動板と、前記ホースジョイントに差し込まれた前記排水ホースの先端の掛止部に係合し、かつ該排水ホースを跨いで前記ホース固定用回動板の先端部に係合させて前記排水ホースを固定するホース固定バンドとからなることを特徴とする請求項1に記載の排水トラップ。
【請求項3】
前記ホース固定バンドが、前記ホース固定用回動板の先端部の係合孔に係合させるための係合突起を両脚部に備えたコ字状部材であることを特徴とする請求項2に記載の排水トラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−146414(P2007−146414A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339796(P2005−339796)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(592139887)株式会社テクノテック (26)
【Fターム(参考)】