説明

排水口用化粧蓋

【課題】排水流量を確保しつつ排水時の浮き上がりを抑制し、清掃性を向上させた排水口用化粧蓋を提供すること。
【解決手段】洗い場に形成された凹状の排水受部に収容され該排水受部の底部に形成された排水口を覆う樹脂製の化粧板部12と、化粧板部12に形成され洗い場側から排水口側へ貫通する貫通孔16と、化粧板部12の排水口側の貫通孔16周辺に形成され化粧板部12の板厚方向に沿った断面において側壁面20、22での化粧板部12の板厚が貫通孔16に向かって薄くなる窪み18と、を排水口用化粧蓋10が有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い場の排水口を覆う排水口用化粧蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットバスの中には、洗い場床面に設けられた凹状の排水受部の底部に排水口が形成され、この排水口を排水受部に嵌め込んだ蓋で覆うタイプのものがある(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1には、洗い場床面の排水受部に嵌め込まれて排水口を覆う合成樹脂製の排水目皿が開示されている。この排水目皿には、表面(洗い場側の面)から裏面(排水口側の面)へ貫通する排水小孔が複数形成されており、排水受部の側壁と排水目皿との隙間から排水が排水口へ流れるのに加えて、排水小孔を通して排水が排水口へ流れるようになっている。このように、複数個の排水小孔を形成した場合、排水目皿の強度が低下するため、排水目皿の裏面には、排水小孔を複数個ずつに区分けるように板状の補強リブが複数立設されている。
【0004】
一方、特許文献2には、洗い場床面の排水受部に嵌め込まれて排水口を覆う上蓋が開示されている。この上蓋には、表面(洗い場側の面)に排水用の孔が形成されず、排水受部の側壁と上蓋との隙間から排水が排水口へ流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−156261号公報
【特許文献2】特開2007−177542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の排水目皿のように、裏面に補強リブを複数設けると、これらの補強リブが裏面清掃の妨げとなり、清掃作業がしにくくなる(清掃性が低下する)。
【0007】
一方、特許文献2の上蓋のように、排水用の孔が形成されない場合は、補強リブなどで補強する必要がないため裏面清掃が容易になる。しかし、急激に多量の排水が排水口側へ流れ込んだ場合、排水受部の側壁と上蓋との隙間からの排水だけでは排水流量が足りずに洗い場床面に排水が溢れ、上蓋裏面側に残留した空気により、上蓋が窪みから浮き上がりやすくなる。
【0008】
本発明は、排水流量を確保しつつ排水時の浮き上がりを抑制し、清掃性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の排水口用化粧蓋は、洗い場に形成された凹状の排水受部に収容され、前記排水受部の底部に形成された排水口を覆う樹脂製の化粧板部と、前記化粧板部に形成され、前記洗い場側から前記排水口側へ貫通する貫通孔と、前記化粧板部の前記排水口側の前記貫通孔周辺に形成され、前記化粧板部の板厚方向に沿った断面において側壁面での前記化粧板部の板厚が前記貫通孔に向かって薄くなる窪みと、を有する。
【0010】
請求項1に記載の排水口用化粧蓋では、化粧板部に、洗い場側から排水口側へ貫通する貫通孔、すなわち、洗い場側と排水口側とを連通する貫通孔を形成している。洗い場の排水は、排水受部と化粧板部との隙間及び上記貫通孔を通って排水口へ流れるため、例えば、化粧板部に上記のような貫通孔が形成されないものと比べて、洗い場から排水口への排水流量を確保することができる。
【0011】
一方、急激に多量の排水が排水受部に流れ込んで該排水が排水受部から溢れ出す場合に、排水口側の空気が化粧板部の貫通孔を通って洗い場側へ抜け出るため、例えば、化粧板部に上記のような貫通孔が形成されないものと比べて、化粧板部の排水口側に残留する空気量を減らすことができ、排水受部からの化粧板部(すなわち、排水口用化粧蓋)の浮き上がりを抑制することできる。
【0012】
特に、上記排水口用化粧蓋では、傾斜板部の排水口側に、化粧板部の板厚方向に沿った断面(すなわち、化粧板部を該化粧板部の板厚方向に沿って切断した断面)において側壁面での化粧板部の板厚が貫通孔に向かって薄くなる窪みを形成していることから、上記のように急激に多量の排水が排水受部に流れ込んだ場合、排水口側の空気が窪みの上記側壁面に案内されて窪みの底側へ送られ、窪みの底に開口する貫通孔を通って洗い場側へ抜け出る。すなわち、上記窪みにより、化粧板部の排水口側に空気が残留しにくくなる。
従って、排水時に化粧板部の排水口側に残留する空気量をさらに減らすことができ、排水受部からの浮き上がりを効果的に抑制することができる。
【0013】
また、上記排水口用化粧蓋では、窪みは、側壁面での化粧板部の板厚が貫通孔に向かって薄くなることから、例えば、側壁面での化粧板部の板厚が貫通孔に向かって薄くならないもの(例えば、側壁面が化粧板部の板厚方向に沿って延在しているもの)と比べて、清掃用具などを窪みに入れやすく、清掃作業がしやすくなる(清掃性が向上する)。
【0014】
なお、上記排水口用化粧蓋では、化粧板部の排水口側に窪みを形成していることから、化粧板部の洗い場側の表面の美観を損なわずに、樹脂材料の低減による化粧板部の軽量化、並びにコストダウンを図ることができる。
【0015】
以上のように、上記排水口用化粧蓋によれば、排水流量を確保しつつ排水時の浮き上がりを抑制し、清掃性を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の排水口用化粧蓋は、請求項1に記載の排水口用化粧蓋において、前記化粧板部の前記貫通孔を構成する周壁面の前記排水口側の端部と前記窪みの側壁面の前記洗い場側の端部とが連結されている。
【0017】
請求項2に記載の排水口用化粧蓋では、化粧板部の貫通孔を構成する周壁面の排水口側の端部と窪みの側壁面の洗い場側の端部とが連結されていることから、急激に多量の排水が排水受部に流れ込んだ場合、排水口側の空気は、窪みの側壁面によって貫通孔まで案内されて洗い場側へ抜け出る。このため、窪みの排水口側から貫通孔の洗い場側までの間に空気がさらに残留しにくくなる。
従って、排水時に化粧板部の排水口側に残留する空気量をさらに減らすことができる。
【0018】
請求項3に記載の排水口用化粧蓋は、請求項1または請求項2に記載の排水口用化粧蓋において、前記化粧板部には、前記貫通孔とともに前記窪みが複数形成され、互いに隣り合う前記窪みの側壁面の前記排水口側の端部同士が連結されている。
【0019】
請求項3に記載の排水口用化粧蓋では、互いに隣り合う窪みの側壁面の排水口側の端部同士が連結されていることから、化粧板部の排水口側の大部分が窪みとなり、例えば、互いに隣り合う窪みの側壁面の排水口側の端部同士が連結されないもの(例えば、水平面を介して端部同士が連結されるもの)と比べて、化粧板部の排水口側に空気が残留しにくくなる。
【0020】
請求項4に記載の排水口用化粧蓋は、請求項1または請求項2に記載の排水口用化粧蓋において、前記貫通孔は、長孔であり、化粧板部には、前記長孔とともに前記窪みが少なくとも前記長孔の幅方向に沿って複数形成され、前記幅方向に互いに隣り合う前記窪みの間に該窪みの底よりも前記排水口側へ凸となり且つ前記長孔の長手方向に延びる突条が形成されている。
【0021】
請求項4に記載の排水口用化粧蓋では、化粧板部には、長孔とともに窪み部が少なくとも長孔の幅方向に沿って複数形成され、該幅方向に互いに隣り合う窪みの間に窪みの底よりも排水口側へ凸となり且つ長孔の長手方向に延びる突条が形成されている。この突条により、化粧板部は、窪み形成による樹脂材料の低減を図りつつ、上記長手方向の曲げ剛性を確保することができる。
【0022】
請求項5に記載の排水口用化粧蓋は、請求項4に記載の排水口用化粧蓋において、前記幅方向に互いに隣り合う前記窪みの側壁面の前記排水口側の端部同士が連結されている。
【0023】
請求項5に記載の排水口用化粧蓋では、長孔の幅方向に互いに隣り合う窪みの側壁面の排水口側の端部同士が連結されていることから、化粧板部の排水口側の大部分が窪みとなり、例えば、互いに隣り合う窪みの側壁面の排水口側の端部同士が連結されないもの(例えば、水平面を介して端部同士が連結されるもの)と比べて、化粧板部の排水口側に空気が残留しにくくなる。
【0024】
また、長孔の幅方向に互いに隣り合う窪みの間に形成される上記突条は、排水口側へ凸となり且つ長孔の幅方向の両壁面が該幅方向に互いに隣り合う窪みの側壁面により構成されることから、両壁面に付着した排水が該壁面を伝って排水口側へ流れ落ちやすい。このため、排水口用化粧蓋の水切り性が向上する。
【0025】
請求項6に記載の排水口用化粧蓋は、請求項4または請求項5に記載の排水口用化粧蓋において、前記化粧板部の前記排水口側には、前記長孔の幅方向に沿って直線状に延びると共に前記排水口側に突出するリブが1本のみ形成されている。
【0026】
請求項6に記載の排水口用化粧蓋では、化粧板部には、上記突条が形成されると共に、長孔の幅方向に沿って直線状に延びると共に排水口側に突出するリブが1本のみ形成されている。この化粧板部は、上記突条により長孔の長手方向の曲げ剛性が確保され、上記リブにより上記幅方向の曲げ剛性が確保される。これにより、排水口用化粧蓋が例えば、洗い場側からの外力によって塑性変形させられるのが抑制される。
【0027】
なお、化粧板部にリブを2本以上形成した場合には、リブ間に空気が残留しやすくなる虞があるが、化粧板部に形成するリブを1本のみとすることで、上記のような空気の残留を防止しつつ、排水口用化粧蓋の塑性変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明の排水口用化粧蓋によれば、排水流量を確保しつつ排水時の浮き上がりを抑制し、清掃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排水口用化粧蓋が用いられる浴室を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る排水口用化粧蓋を、洗い場の排水受部に設置した状態を示す、排水受部周辺の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る排水口用化粧蓋を裏返しにして、該化粧蓋の裏面を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【図4】図3の排水口用化粧蓋を直線4Zに沿って切断した切断面を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【図5】図4の排水口用化粧蓋の切断面を矢印5Z方向で見た断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る排水口用化粧蓋の裏面を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る排水口用化粧蓋の裏面の一部を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【図8】図7の排水口用化粧蓋を8Z−8Z線に沿って切断した切断面を正面から見た断面図である。
【図9】本発明のその他の実施形態に係る排水口用化粧蓋の裏面の一部を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【図10】図9の排水口用化粧蓋を10Z−10Z線に沿って切断した切断面を正面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第1実施形態に係る排水口用化粧蓋10について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(第1実施形態)
排水口用化粧蓋10(以下、単に「化粧蓋10」と記載。)は、図1に示す浴室90の洗い場92に設けられる排水口98に適用される。
【0032】
図1に示すように、浴室90は、洗い場92と浴槽94とを含んで構成されている。洗い場92の床面92Aには、浴槽94との境界近傍に凹状の排水受部96が形成されている(図2参照)。
【0033】
洗い場92の床面92Aは、排水受部96に向かって高さが低くなるように緩やかに傾斜している。この傾斜により、床面92A上の排水が排水受部96へ向かって流れるようになっている。
【0034】
図2に示すように、排水受部96の底部96Aには、排水口98が形成されている。この排水口98は、洗い場92から排水受部96内に流れ込んだ排水を図示しない排水管を通して下水へと流すためのものである。
【0035】
また、図示省略しているが、排水口98には、洗い場からの排水に含まれる異物(例えば、毛髪など)を捕集するためのヘアキャッチャーが着脱自在に取付けられている。
【0036】
図1、図2に示すように、排水受部96には、排水口98を洗い場92や浴槽94から遮蔽する(すなわち、目隠しする)ための化粧蓋10が設置されている。
【0037】
化粧蓋10は、排水受部96に収容されて排水口98を覆う厚肉板状の化粧板部12と、この化粧板部12の裏面12B側(排水口98側)に形成されて排水口98側へ突出し排水受部96の底部96A上に載置される円柱状の複数の脚部14とを含んで構成されている。この脚部14は、排水受部96の底部96A上に載置されて化粧板部12を支持するようになっている。
【0038】
図2に示すように、本実施形態の排水受部96は、平面視で略矩形状(角部が丸められているものも含む)とされている。このため、本実施形態の化粧板部12も、排水受部96の形状に合せて平面視で略矩形状とされている。
また、図3に示すように、脚部14は、化粧板部12の各角部近傍及び4辺の中央近傍にそれぞれ形成されている(合計8箇所)。
【0039】
なお、化粧板部12の形状は、排水受部96に収容されるため、排水受部96の形状に合わせることが、見栄えの観点からは好ましい。
【0040】
図2に示すように、化粧板部12の洗い場92側の表面12Aは、平坦状とされている。なお、排水受部96に化粧蓋10が設置された状態において、化粧板部12の表面12Aは、洗い場92の床面92Aと略面一となるように、脚部14の高さが設定されている。このように、表面12Aと床面92Aを略面一とすることで、洗い場92に段差が形成されるのを防止することができる。
【0041】
図3、図4に示すように、化粧板部12には、洗い場92側の表面12Aから裏面12B側(排水口98側)へ貫通する貫通孔16が複数形成されている。
【0042】
貫通孔16は、スリット状の長孔とされ、化粧板部12に長孔の長手方向(図3中では、矢印X方向)に対して直交する長孔の幅方向(図3中では、矢印Y方向)に間隔をあけて複数形成されている。具体的には、本実施形態の貫通孔16は、上記幅方向Y(以下、単に「幅方向Y」と記載。)を行方向、上記長手方向Xを列方向とした場合に、6行2列の合計12箇所に形成されている。
【0043】
また、本実施形態では、図3に示すように、略矩形状の化粧板部12の中心線L1と上記幅方向Yとが平行とされ、化粧板部12の中心線L2と上記長手方向Xとが平行とされており、貫通孔16は、化粧板部12の中心線L1に対して左右対称でかつ、中心線L2に対して左右対称に配置されている。
【0044】
なお、本発明のその他の実施形態では、貫通孔16の配置や個数が本実施形態と異なっていても構わない。
【0045】
また、本実施形態の貫通孔16は、図3、図4に示すように、上記長手方向Xの両端部が上記長手方向Xの外側へ凸となる半円状とされ、上記幅方向Yの両側部が互いに平行に上記長手方向Xに延びている。
【0046】
なお、本実施形態では、貫通孔16を上記のような形状の長孔としているが、洗い場92からの排水を排水口98側へ流すことができる貫通孔であれば、どのような形状のものでも構わない。例えば、円形の貫通孔でも、多角形の貫通孔でもよい。
【0047】
また、図3〜5に示すように、化粧板部12の裏面12B側(排水口98側)の貫通孔16周辺には、窪み18が形成されている。
【0048】
窪み18は、化粧板部12の板厚方向T(図5参照)に沿った断面において、側壁面での化粧板部12の板厚(図5中の板厚方向Tに沿った厚み)が貫通孔16に向かって薄くなっている。具体的には、側壁面が貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚を薄くするように傾斜している。なお、上記側壁面は、貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚が漸減するように傾斜するものも含む。
なお、本実施形態の窪み18は、図3、図5に示すように、断面形状が略台形状とされている。以下では、窪み18の上記長手方向Xに対向する側壁面を側壁面20、上記幅方向Yに対向する側壁面を側壁面22と呼ぶ。
【0049】
図5に示すように、化粧板部12の貫通孔16を構成する周壁面の排水口98側の端部12Cは、化粧板部12の窪み18を構成する側壁面20の洗い場92側の端部20Aに連結されている。すなわち、貫通孔16を構成する周壁面と窪み18を構成する側壁面20とが上記端部12C(または上記端部20A)の位置で交わり、貫通孔16の周壁面と上記側壁面20とが連続している。
また、上記端部12Cは、窪み18を構成する側壁面22の洗い場92側の端部22Aに連結されている。すなわち、貫通孔16を構成する周壁面と窪み18を構成する側壁面22とが上記端部12C(または上記端部22A)の位置で交わり、貫通孔16の周壁面と上記側壁面22とが連続している。
【0050】
一方、化粧板部12には、上記幅方向Yに互いに隣り合う窪み18との間に、窪み18の底よりも排水口98側へ凸となり、上記長手方向Xに延びる突条26が形成されている。この突条26は、断面形状が略三角形状とされ、両側壁面が上記幅方向Yに互いに隣り合う窪み18の側壁面22によって構成されている。
また、上記幅方向Yに互いに隣り合う窪み18の側壁面22の排水口98側の端部同士が連結されている。すなわち、一方の窪み18の側壁面22と他方の窪み18の側壁面22とが突条26の突起先端の位置で交わり、一方の窪み18の側壁面22と他方の窪み18の側壁面22とが連続している。
【0051】
また、化粧板部12には、上記長手方向Xに互いに隣り合う窪み18との間に、窪み18の底よりも排水口98側へ凸となり、上記幅方向Yに延びる突条28が形成されている。この突条28は、断面形状が略三角形状とされ、両側壁面が上記長手方向Xに互いに隣り合う窪み18の側壁面20によって構成されている。
また、上記長手方向Xに互いに隣り合う窪み18の側壁面20の排水口98側の端部同士が連結されている。すなわち、一方の窪み18の側壁面20と他方の窪み18の側壁面20とが突条28の突起先端の位置で交わり、一方の窪み18の側壁面20と他方の窪み18の側壁面20とが連続している。
ここで、図3、図4に示すように、上記突条28は、上記幅方向Yに沿って複数形成されて、一条の連続した突条29を構成している。
【0052】
また、本実施形態の化粧蓋10は、樹脂の一体成型品である。すなわち、化粧板部12と脚部14は一体形成されている。なお、化粧蓋10を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレンにガラス繊維を混ぜたものなどを用いてもよい。
【0053】
次に、第1実施形態の化粧蓋10の作用効果について説明する。
図3に示すように、化粧蓋10では、化粧板部12に、排水口98側と洗い場92側とを連通する貫通孔16を形成している。このため、洗い場92の排水は、排水受部96と化粧板部12との隙間及び貫通孔16を通って排水口98へ流れ、例えば、化粧板部12に本実施形態の貫通孔16が形成されないものと比べて、洗い場92から排水口98への排水流量を確保することができる。
【0054】
また、化粧蓋10では、急激に多量の排水が排水受部96に流れ込んで該排水が排水受部96から溢れ出す場合に、排水口98側の空気が化粧板部12の貫通孔16を通って洗い場92側へ抜け出るため、例えば、化粧板部12に貫通孔16が形成されないものと比べて、化粧板部12の排水口98側に残留する空気量を減らすことができ、排水受部96からの浮き上がりを抑制することできる。
【0055】
特に、化粧蓋10では、窪み18の側壁面20、22が貫通孔16へ向かって化粧板部12の板厚を薄くするように傾斜していることから、上記のように急激に多量の排水が排水受部96に流れ込んだ場合、排水口98側の空気が窪み18の側壁面20、22に案内されて窪み18の底側へ送られ、この窪み18の底に開口する貫通孔16を通って洗い場92側へ抜け出る。すなわち、窪み18により、化粧板部12の排水口側に空気が残留しにくくなる。
従って、排水時に化粧板部12の排水口98側に残留する空気量をさらに減らすことができ、排水受部96からの浮き上がりを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、化粧蓋10では、窪み18の側壁面20、22が貫通孔16へ向かって化粧板部12の板厚を薄くするように傾斜していることから、例えば、窪み18の側壁面20、22が化粧板部12の板厚方向Tに沿って延在しているものと比べて、清掃用具などを窪みに入れやすく、清掃作業がしやすくなる(清掃性が向上する)。
【0057】
従って、化粧蓋10によれば、排水流量を確保しつつ排水時の浮き上がりを抑制し、清掃性を向上させることができる。
【0058】
化粧蓋10では、化粧板部12の貫通孔16を構成する周壁面の端部12Cと化粧板部12の窪み18を構成する側壁面20の端部20A、及び上記端部12Cと化粧板部12の窪み18を構成する側壁面22の端部22Aとを連結していることから、急激に多量の排水が排水受部96に流れ込んだ場合、排水口98側の空気は、窪み18の側壁面20、22によって貫通孔16まで直接案内されて洗い場92側へ抜け出る。つまり、窪み18の排水口98側から貫通孔16の洗い場92側までの間に空気が残留可能な部分が形成されないため、化粧板部12の排水口98側に空気が残留しにくくなる。
従って、排水時に化粧板部12の排水口98側に残留する空気量をさらに減らすことができる。
【0059】
また、化粧蓋10では、上記幅方向Yに互いに隣り合う窪み18の側壁面22の排水口側の端部同士が連結され、上記長手方向Xに互いに隣り合う窪み18の側壁面20の排水口98側の端部同士が連結されていることから、化粧板部12の裏面12B側(排水口98側)の大部分が窪み18となり、例えば、互いに隣り合う窪み18の側壁面の排水口側の端部同士が連結されないものと比べて、化粧板部12の排水口98側に空気が残留しにくくなる。
【0060】
化粧蓋10には、化粧板部12の排水口98側に窪み18が形成されることから、化粧板部12の洗い場92の美観を損なわずに、樹脂材料を減らして、軽量化及びコストダウンを図ることができる。そして、上記窪み18によって化粧板部12には、複数の突条26及び一条の突条29が形成されることから、複数の突条26により上記長手方向Xの曲げ剛性が確保され、かつ、突条29により上記幅方向Yの曲げ剛性が確保される。このように、化粧板部12の剛性が確保されることで、化粧板部12に洗い場92側から外力が作用しても、化粧板部12の塑性変形などが抑制される。よって、化粧蓋10の耐久性が向上する。
【0061】
また、上記突条26は、下方に凸となり、上記幅方向Yの両側壁面が互いに隣り合う窪み18の側壁面22によって構成されることから、両側壁面に付着した排水が該側壁面を伝って排水口98側(下方)へ流れ落ちやすい。
同様に、上記突条28は、下方に凸となり、上記長手方向Xの両側壁面が互いに隣り合う窪み18の側壁面20によって構成されることから、両側壁面に付着した排水が該側壁面を伝って排水口98側(下方)へ流れ落ちやすい。
これにより、化粧蓋10の水切り性が向上する。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る排水口用化粧蓋40について図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図6に示すように、排水口用化粧蓋40(以下、単に「化粧蓋40」と記載。)の化粧板部12には、貫通孔16の長手方向Xに互いに隣り合う窪み18との間に、窪み18の底よりも排水口98側(脚部14の突出方向)へ凸となり、上記長手方向Xに対して幅方向Yに延びる突条44が形成されている。この突条44は、断面形状が略台形状とされ、両側の傾斜壁面が上記長手方向Xに互いに隣り合う窪み18の側壁面20によって構成されている。ここで、図6に示すように、上記突条44は、上記幅方向Yに沿って複数形成されて、一条の連続した突条45を構成している。
【0064】
化粧板部12の裏面12B側(排水口98側)には、上記幅方向Yに沿って直線状に延び、且つ脚部14の突出方向に突出するリブ46が1本のみ形成されている。具体的には、図6に示すように、リブ46は、一条の突条45の下面(頂面)に沿って延びて、両端部が化粧板部12の中心線L1上に位置する脚部14にそれぞれ連結されている。
なお、本実施形態のリブ46も、化粧板部12及び脚部14とともに一体成形されている。
【0065】
次に、第2実施形態の化粧蓋40の作用効果について説明する。なお、第2実施形態の化粧蓋40も第1実施形態と同様の作用効果が得られるため、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
【0066】
化粧蓋10では、化粧板部12には、複数の突条26が形成されると共に1条の突条45が形成されている。この一条の突条45の頂面には、この頂面に沿ってリブ46が1本のみ形成されている。この化粧板部12は、突条45により上記長手方向Xの曲げ剛性が確保され、突条45及びリブ46により上記幅方向Yの曲げ剛性が向上する。このように、化粧板部12の剛性が向上することで、化粧板部12に洗い場92側(表面12A側)から外力が作用しても、化粧板部12の塑性変形などが効果的に抑制される。よって、化粧蓋10の耐久性が向上する。
【0067】
なお、化粧板部12にリブを2本以上形成した場合には、2本のリブ間に空気が残留し易くなる虞がある。また、清掃性が低下する虞もある。しかし、第2実施形態の化粧蓋40のように、化粧板部12に形成するリブを1本のみとすることで、リブ間に空気が残留するのを防止することができ、さらに、清掃性の低下を抑制することができる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る排水口用化粧蓋50について図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0069】
図7に示すように、排水口用化粧蓋50(以下、単に「化粧蓋50」と記載)の化粧板部12の排水口98側の貫通孔16の周辺には、窪み52が形成されている。
【0070】
図8に示すように、窪み52は、側壁面が貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚を薄くするように傾斜している。なお、本実施形態の窪み52は、図8に示すように、略台形状とされている。以下では、窪み52の上記長手方向Xに対向する側壁面を側壁面54、上記幅方向Yに対向する側壁面を側壁面56と呼ぶ。なお、貫通孔16は、窪み52の底面53に開口している。
【0071】
次に、第3実施形態の化粧蓋50の作用効果について説明する。なお、第3実施形態の化粧蓋50も第1実施形態と同様の作用効果が得られるため、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
【0072】
化粧蓋50の窪み52は、底面53に貫通孔16が開口していることから、第1実施形態の窪み18よりも、窪みの容積が大きくなっている。すなわち、化粧蓋50は、窪み52によって、第1実施形態の化粧蓋10よりも樹脂材料を低減することができる。これにより、化粧蓋50の軽量化及びコストダウンをさらに図ることができる。
【0073】
なお、本実施形態の化粧蓋50に第2実施形態の突条44及びリブ46の構成を適用することもできる。
【0074】
(その他の実施形態)
第1〜第3実施形態では、化粧板部12に、側壁面が貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚を薄くするように傾斜する窪み18、52を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図9、図10に示す排水口用化粧蓋60(以下、単に、「化粧蓋60」と記載。)のように、化粧板部12に、側壁面64が貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚(図10中の板厚方向Tに沿った厚み)を薄くするように湾曲する窪み62を形成してもよい。この窪み62は、断面形状が略半円形状とされている。なお、化粧蓋60も第1実施形態の化粧蓋10と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
前述した各実施形態では、化粧板部12に、側壁面が貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚を薄くするように傾斜(直線状)又は湾曲(円弧曲線状)する窪みを形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、化粧板部12に、側壁面が貫通孔16に向かって化粧板部12の板厚を薄くするように波形状に傾斜する窪みを形成してもよい。また、平面視における窪みの形状は、円形状、楕円形状、及び多角形状など、いずれの形状を用いても構わない。
【0076】
また、前述した各実施形態では、突条26の幅方向Yの両壁面を構成する幅方向Yに互いに隣り合う窪みの側壁面の端部同士を連結する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、幅方向Yに互いに隣り合う窪みの側壁面の端部同士を、平坦面または排水口98側へ凸となる湾曲面を介して連結する構成としてもよい。なお、突条28を構成する長手方向Xに互いに隣り合う窪みの側壁面の端部同士を、平坦面または排水口98側へ凸となる湾曲面を介して連結してもよい。
【0077】
そして、前述した各実施形態では、浴室90の洗い場92の排水受部96に化粧蓋10、40、50、60を設置して排水口98を洗い場92や浴槽94から遮蔽する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、例えば、水廻り器具の一例としての台所の、洗い場(流し)の底面に形成された凹状の排水受部に本発明の排水口用化粧蓋を設置して排水受部の底部に形成された排水口を洗い場などから遮蔽する構成としてもよい。
【0078】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10 排水口用化粧蓋
12 化粧板部
12A 表面
12C 端部(周壁面の排出口側の端部)
16 貫通孔
18 窪み
20、22 側壁面
20A、22A 端部
26 突条
30 リブ
40 排水口用化粧蓋
46 リブ
50 排水口用化粧蓋
52 窪み
54、56 側壁面
60 排水口用化粧蓋
62 窪み
90 浴室
92 洗い場
96 排水受部
96A 底部
98 排水口
X 長手方向(長孔の長手方向)
Y 幅方向(長孔の幅方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗い場に形成された凹状の排水受部に収容され、前記排水受部の底部に形成された排水口を覆う樹脂製の化粧板部と、
前記化粧板部に形成され、前記洗い場側から前記排水口側へ貫通する貫通孔と、
前記化粧板部の前記排水口側の前記貫通孔周辺に形成され、前記化粧板部の板厚方向に沿った断面において側壁面での前記化粧板部の板厚が前記貫通孔に向かって薄くなる窪みと、
を有する排水口用化粧蓋。
【請求項2】
前記化粧板部の前記貫通孔を構成する周壁面の前記排水口側の端部と前記窪みの側壁面の前記洗い場側の端部とが連結されている請求項1に記載の排水口用化粧蓋。
【請求項3】
前記化粧板部には、前記貫通孔とともに前記窪みが複数形成され、
互いに隣り合う前記窪みの側壁面の前記排水口側の端部同士が連結されている請求項1または請求項2に記載の排水口用化粧蓋。
【請求項4】
前記貫通孔は、長孔であり、
化粧板部には、前記長孔とともに前記窪みが少なくとも前記長孔の幅方向に沿って複数形成され、
前記幅方向に互いに隣り合う前記窪みの間に該窪みの底よりも前記排水口側へ凸となり且つ前記長孔の長手方向に延びる突条が形成されている請求項1または請求項2に記載の排水口用化粧蓋。
【請求項5】
前記幅方向に互いに隣り合う前記窪みの側壁面の前記排水口側の端部同士が連結されている請求項4に記載の排水口用化粧蓋。
【請求項6】
前記化粧板部の前記排水口側には、前記長孔の幅方向に沿って直線状に延びると共に前記排水口側に突出するリブが1本のみ形成されている請求項4または請求項5に記載の排水口用化粧蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−207418(P2012−207418A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72977(P2011−72977)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】