排水構造
【課題】便器装置の排水時において封水トラップ内の封水が手洗器側に逆流することを防止できる排水構造を提供する。
【解決手段】便器装置２に設けられて便器装置２の排水を便器装置２外部の排水路３に導く便器排水部１３と、手洗器１に設けられた手洗器排水口部２７とが、封水トラップ３１を有する手洗器排水管路２８で接続される。手洗器排水口部２７からの排水が手洗器排水管路２８及び便器排水部１３を介して排水路３に排出される。便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と接続箇所３２の間の部位とが、通気管路２４で接続されている。
【解決手段】便器装置２に設けられて便器装置２の排水を便器装置２外部の排水路３に導く便器排水部１３と、手洗器１に設けられた手洗器排水口部２７とが、封水トラップ３１を有する手洗器排水管路２８で接続される。手洗器排水口部２７からの排水が手洗器排水管路２８及び便器排水部１３を介して排水路３に排出される。便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と接続箇所３２の間の部位とが、通気管路２４で接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は手洗器の排水を便器装置用の排水路を利用して排出できるようにした排水構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から、サニタリー機器の排水構造として、手洗器で生じる排水と便器装置で生じる排水とを共通の排水路を介して排出できるようにした排水構造が特許文献１により知られている。この排水構造は、便器装置に設けられて便器装置で生じた排水を便器装置外部の排水路に導く便器排水部と、手洗器に設けられた手洗器排水口部とが、封水トラップを有する手洗器排水管路で接続され、手洗器から手洗器排水口部を介して排出された水が手洗器排水管路及び便器排水部を介して便器装置外部へと排出されるようになっている。
【０００３】
前記従来例にあっては、建物側に単一の排水路を形成するだけで便器装置と手洗器の排水を行うことができるので施工が簡略化できる。特にリフォーム時には既存の便器装置用の排水路を利用して便器装置と手洗器の排水を行うことができて、大掛かりな工事も不要となり、この点は大きな利点と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−１５０１２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで前記手洗器排水管路の下流端が例えばターントラップ装置のすぐ下流側に接続された場合、便器内の溜め水が排出された際、便器排水部における手洗器排水管路との接続箇所に排水が一気に流れ込んで便器排水部内の圧力が上昇し、これによって手洗器排水管路に設けられた封水トラップ内の封水が手洗器ボウル部内に逆流する恐れがある。
【０００６】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、便器装置の排水時において手洗器の封水トラップ内の封水が手洗器側に逆流することを防止できる排水構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するために本発明の排水構造は以下の構成を有する。便器装置２に設けられて便器装置２の排水を便器装置２外部の排水路３に導く便器排水部１３と、手洗器１に設けられた手洗器排水口部２７とが、封水トラップ３１を有する手洗器排水管路２８で接続されている。これにより手洗器排水口部２７からの排水が手洗器排水管路２８及び便器排水部１３を介して排水路３に排出されるようにしている。そして便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と前記接続箇所３２の間の部位とが、通気管路２４で接続されている。
【０００８】
この構成を有することで、便器装置２で生じた排水が便器排水部１３における接続箇所３２近傍部分に一気に流れこんでこの部位における圧力が高くなったとしても、手洗器排水管路２８の封水トラップ３１よりも下流側にある空気が通気管路２４を介して便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側に流れて圧力を分散させる。このため封水トラップ３１よりも下流側の手洗器排水管路２８の圧力上昇を抑えて、封水トラップ３１内の封水が手洗器ボウル部２５側に逆流することを防止できる。
【０００９】
また好ましい実施形態では以下の構成を有している。便器排水部１３は、ターントラップ装置１５と、ターントラップ装置１５の下流側に配設される流水方向変換部２０を備える。ターントラップ装置１５は便器ボウル部６に接続された屈曲自在のトラップ筒１８を有して、該トラップ筒１８が屈曲することで、トラップ筒１８を便器ボウル部６内に水を溜める封止状態と便器ボウル部６内の溜め水を排水する排水状態とに切り替え自在となっている。流水方向変換部２０はトラップ筒１８から排出された水を受け、これを横向きの流れに変えて下流側へと流す。前記手洗器排水管路２８が手洗器排水口部２７と流水方向変換部２０とを接続するものである。
【００１０】
このように便器排水部１３が、ターントラップ装置１５と、ターントラップ装置１５のトラップ筒１８から排出された水を受け、これを横向きの流れに変えて下流側へと流す流水方向変換部２０を有し、手洗器排水管路２８が手洗器排水口部２７と流水方向変換部２０とを接続するものである場合、流水方向変換部２０内がトラップ筒１８から一気に排出された水で満たされて高圧となり、封水トラップ３１内の封水が手洗器１側に逆流しやすい構造となる。しかし、本発明では前述のように便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と前記接続箇所３２の間の部位とを通気管路２４で接続することで、流水方向変換部２０に手洗器排水管路２８を接続したものにおいても封水の逆流が生じることを防止できる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明にあっては便器装置の排水時において封水トラップ内の封水が手洗器側に逆流することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の実施形態の一例を示す要部断面図である。
【図２】同上の排水構造の管路構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下本発明を添付図面に基づいて説明する。図１及び図２に示される本実施形態の排水構造では、同一のトイレ室内において離れた位置に設置された手洗器１及び便器装置２からの排水が共通の排水路３を介して排出される。
【００１４】
便器装置２は便器ボウル部６を有する便器形状の便器外郭体７に便座や便蓋等が設けられたものであり、洋式水洗便器として利用される。
【００１５】
便器外郭体７は、前記便器ボウル部６の他、便器ボウル部６上に設けられるリム部１０と、便器外郭体７の外面部を構成して便器ボウル部６の外側を覆うスカート部１１を有し、便器ボウル部６の下端部には後方に向けて突出する排水筒部１２が形成されている。
【００１６】
便器ボウル部６内の溜め水は便器装置２に設けられた便器排水部１３を介して便器装置２外部の排水路３へと排出できるようになっている。本実施形態の便器排水部１３は便器外郭体７に内装されたターントラップ装置１５及び排水アダプター装置１６で構成されている。また、便器外郭体７には、他の付属装置として、便器ボウル部６内に洗浄液を供給する洗浄液吐出装置や局部洗浄装置等も内装されている。
【００１７】
ターントラップ装置１５は、便器ボウル部６の後方に設けられたトラップケース１７と、トラップケース１７内に設けられたフレキシブルなトラップ筒１８と、トラップ筒１８を屈曲させる駆動手段としてのモータとを備えている。トラップ筒１８の一端は排水筒部１２の後部に接続され、他端は自由端となっている。
【００１８】
トラップ筒１８は前記モータを駆動することで屈曲し、これによって自由端側の端部開口１９を上向きとしてトラップ構造をなす封止状態と、図１のように端部開口１９を下向きとして前記トラップ構造を解除した排水状態とに切り替えられる。
【００１９】
トラップ筒１８は不使用時には封止状態とされ、トラップ筒１８の端部開口１９が排水筒部１２よりも上位に配置されて便器ボウル部６内に水が溜まった状態となり、またトラップ筒１８内には水が溜まって封止がなされる。用便後にはトラップ筒１８が排水状態とされ、便器ボウル部６内の溜め水が排水筒部１２及びトラップ筒１８を介して下方の排水アダプター装置１６へと排出される。
【００２０】
排水アダプター装置１６は前記トラップ筒１８から排出された水をトラップ筒１８の端部開口１９から前方にずれた位置に設けられた排水路３の上流側端部に導く。この排水アダプター装置１６はリフォームにより既存の排水路３を利用して便器装置２を設置する場合等に用いられる。
【００２１】
排水アダプター装置１６は、トラップケース１７下方の床２１上に設置された流水方向変換部２０と、便器ボウル部６下方の床２１上に設置されて流水方向変換部２０の前方に位置する排出部２２と、両者を接続する接続部２３とで構成されている。
【００２２】
流水方向変換部２０は上流端が上方に開口すると共に下流端が前方に開口した略直角に曲がった曲管からなり、前記トラップ筒１８から排出された水は流水方向変換部２０の底部で一旦受けられた後、前方へと向きを変えて下流側に流れる。
【００２３】
接続部２３は直管からなり、上流側端部である後端部が流水方向変換部２０の下流側端部に接続されると共に下流側端部である前端部が排出部２２の上流側端部に接続され、前記流水方向変換部２０から排出された水を排出部２２へ流す。
【００２４】
排出部２２は上流端が後方に開口すると共に下流端が下方に開口した略直角に曲がった曲管からなる。排出部２２の下流側端部は床２１面から上方に突出した排水路３の上流側端部に接続され、前記流水方向変換部２０から排出された水を排水路３に排出する。
【００２５】
一方、手洗器１は便器装置横の壁に沿って配置され、上部に手洗器ボウル部２５と手洗器ボウル部２５に給水するための給水装置２６とを備えている。
【００２６】
手洗器ボウル部２５の底部には手洗器排水口部２７が設けられている。手洗器排水口部２７は手洗器排水管路２８を介して排水アダプター装置１６の流水方向変換部２０に接続されている。添付図面に示す実施形態では、手洗器排水管路２８の下流側端部は流水方向変換部２０の後壁部２９から後方に突出する接続筒部３０に接続されている。
【００２７】
このように手洗器排水管路２８で手洗器排水口部２７と便器排水部１３とを接続することにより、手洗器ボウル部２５内の水は手洗器排水口部２７及び手洗器排水管路２８を順に経て流水方向変換部２０内に排出され、以後は便器ボウル部６からの排水と同様に接続部２３及び排出部２２を順に介して排水路３に排出されることとなる。また、この場合、手洗器排水管路２８の下流側端部は便器装置２の後部に配置される流水方向変換部２０に接続されるので、手洗器排水管路２８を目立ち難い便器装置２後方から便器外郭体７に導入できて見栄えが良く、また手洗器排水管路２８を容易に便器排水部１３に接続できる。
【００２８】
手洗器排水管路２８の上流部には略Ｕ字状に曲げられた管部からなる封水トラップ３１が設けられ、該封水トラップ３１内に溜まる水（封水）によって封止がなされる。
【００２９】
ここで本実施形態の排水構造にあっては、便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と前記接続箇所３２の間の部位とが通気管路２４で接続されている。詳しくは通気管路２４はその一端が手洗器排水管路２８の接続筒部３０から上方に立ち上がった立上管３３に接続されると共に他端が接続部２３に接続され、通気管路２４の両端部は立上管３３や接続部２３に対して略直交する方向から接続されている。
【００３０】
このように通気管路２４で便器排水部１３と手洗器排水管路２８を接続することにより、便器装置２の排水がなされて便器排水部１３の接続箇所３２近傍部分の圧力が高くなった場合にも、手洗器排水管路２８の封水トラップ３１よりも下流側にある空気が通気管路２４を介して便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側に流れて圧力を分散させることができる。従って封水トラップ３１よりも下流側の手洗器排水管路２８における圧力の上昇を抑えて、封水トラップ３１内の封水が手洗器ボウル部２５側に逆流することを防止することができる。
【００３１】
特に本実施形態のように便器ボウル部６からの排水がターントラップ装置１５を介して流水方向変換部２０に一気に流れ込み、ここで流れ方向を変更するものの場合には、流水方向変換部２０内が一時的に排水で満たされるので、流水方向変換部２０内がトラップ筒１８から一気に排出された水で満たされて高圧となりやすいが、このように流水方向変換部２０に手洗器排水管路２８を接続しても封水の逆流の恐れがなくて良いものである。
【００３２】
なお本実施形態の流水方向変換部２０はターントラップ装置１５からの排水の向きを前方へ変えるものであるが、前方以外の方向の横向きの流れに変えるものであってもかまわない。
【００３３】
また本実施形態では、排水アダプター装置１６を夫々別体となる流水方向変換部２０、接続部２３及び排出部２２で構成したが、該排水アダプター装置１６は一体に形成された管で構成されるものであってもよい。また、本実施形態では便器排水部１３をターントラップ装置１５を有するターントラップ方式のものとしたが、便器排水部１３は洗い落とし式やサイフォン式であってもよく、つまり便器排水部１３は便器ボウル部６と排水路３とを連通させて便器ボウル部６内の溜め水を排水路３へと導くものであればよい。
【符号の説明】
【００３４】
１ 手洗器
２ 便器装置
３ 排水路
１３ 便器排水部
１５ ターントラップ装置
２０ 流水方向変換部
２４ 通気管路
２７ 手洗器排水口部
２８ 手洗器排水管路
３１ 封水トラップ
３２ 接続箇所
【技術分野】
【０００１】
本発明は手洗器の排水を便器装置用の排水路を利用して排出できるようにした排水構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から、サニタリー機器の排水構造として、手洗器で生じる排水と便器装置で生じる排水とを共通の排水路を介して排出できるようにした排水構造が特許文献１により知られている。この排水構造は、便器装置に設けられて便器装置で生じた排水を便器装置外部の排水路に導く便器排水部と、手洗器に設けられた手洗器排水口部とが、封水トラップを有する手洗器排水管路で接続され、手洗器から手洗器排水口部を介して排出された水が手洗器排水管路及び便器排水部を介して便器装置外部へと排出されるようになっている。
【０００３】
前記従来例にあっては、建物側に単一の排水路を形成するだけで便器装置と手洗器の排水を行うことができるので施工が簡略化できる。特にリフォーム時には既存の便器装置用の排水路を利用して便器装置と手洗器の排水を行うことができて、大掛かりな工事も不要となり、この点は大きな利点と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−１５０１２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで前記手洗器排水管路の下流端が例えばターントラップ装置のすぐ下流側に接続された場合、便器内の溜め水が排出された際、便器排水部における手洗器排水管路との接続箇所に排水が一気に流れ込んで便器排水部内の圧力が上昇し、これによって手洗器排水管路に設けられた封水トラップ内の封水が手洗器ボウル部内に逆流する恐れがある。
【０００６】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、便器装置の排水時において手洗器の封水トラップ内の封水が手洗器側に逆流することを防止できる排水構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するために本発明の排水構造は以下の構成を有する。便器装置２に設けられて便器装置２の排水を便器装置２外部の排水路３に導く便器排水部１３と、手洗器１に設けられた手洗器排水口部２７とが、封水トラップ３１を有する手洗器排水管路２８で接続されている。これにより手洗器排水口部２７からの排水が手洗器排水管路２８及び便器排水部１３を介して排水路３に排出されるようにしている。そして便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と前記接続箇所３２の間の部位とが、通気管路２４で接続されている。
【０００８】
この構成を有することで、便器装置２で生じた排水が便器排水部１３における接続箇所３２近傍部分に一気に流れこんでこの部位における圧力が高くなったとしても、手洗器排水管路２８の封水トラップ３１よりも下流側にある空気が通気管路２４を介して便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側に流れて圧力を分散させる。このため封水トラップ３１よりも下流側の手洗器排水管路２８の圧力上昇を抑えて、封水トラップ３１内の封水が手洗器ボウル部２５側に逆流することを防止できる。
【０００９】
また好ましい実施形態では以下の構成を有している。便器排水部１３は、ターントラップ装置１５と、ターントラップ装置１５の下流側に配設される流水方向変換部２０を備える。ターントラップ装置１５は便器ボウル部６に接続された屈曲自在のトラップ筒１８を有して、該トラップ筒１８が屈曲することで、トラップ筒１８を便器ボウル部６内に水を溜める封止状態と便器ボウル部６内の溜め水を排水する排水状態とに切り替え自在となっている。流水方向変換部２０はトラップ筒１８から排出された水を受け、これを横向きの流れに変えて下流側へと流す。前記手洗器排水管路２８が手洗器排水口部２７と流水方向変換部２０とを接続するものである。
【００１０】
このように便器排水部１３が、ターントラップ装置１５と、ターントラップ装置１５のトラップ筒１８から排出された水を受け、これを横向きの流れに変えて下流側へと流す流水方向変換部２０を有し、手洗器排水管路２８が手洗器排水口部２７と流水方向変換部２０とを接続するものである場合、流水方向変換部２０内がトラップ筒１８から一気に排出された水で満たされて高圧となり、封水トラップ３１内の封水が手洗器１側に逆流しやすい構造となる。しかし、本発明では前述のように便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と前記接続箇所３２の間の部位とを通気管路２４で接続することで、流水方向変換部２０に手洗器排水管路２８を接続したものにおいても封水の逆流が生じることを防止できる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明にあっては便器装置の排水時において封水トラップ内の封水が手洗器側に逆流することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の実施形態の一例を示す要部断面図である。
【図２】同上の排水構造の管路構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下本発明を添付図面に基づいて説明する。図１及び図２に示される本実施形態の排水構造では、同一のトイレ室内において離れた位置に設置された手洗器１及び便器装置２からの排水が共通の排水路３を介して排出される。
【００１４】
便器装置２は便器ボウル部６を有する便器形状の便器外郭体７に便座や便蓋等が設けられたものであり、洋式水洗便器として利用される。
【００１５】
便器外郭体７は、前記便器ボウル部６の他、便器ボウル部６上に設けられるリム部１０と、便器外郭体７の外面部を構成して便器ボウル部６の外側を覆うスカート部１１を有し、便器ボウル部６の下端部には後方に向けて突出する排水筒部１２が形成されている。
【００１６】
便器ボウル部６内の溜め水は便器装置２に設けられた便器排水部１３を介して便器装置２外部の排水路３へと排出できるようになっている。本実施形態の便器排水部１３は便器外郭体７に内装されたターントラップ装置１５及び排水アダプター装置１６で構成されている。また、便器外郭体７には、他の付属装置として、便器ボウル部６内に洗浄液を供給する洗浄液吐出装置や局部洗浄装置等も内装されている。
【００１７】
ターントラップ装置１５は、便器ボウル部６の後方に設けられたトラップケース１７と、トラップケース１７内に設けられたフレキシブルなトラップ筒１８と、トラップ筒１８を屈曲させる駆動手段としてのモータとを備えている。トラップ筒１８の一端は排水筒部１２の後部に接続され、他端は自由端となっている。
【００１８】
トラップ筒１８は前記モータを駆動することで屈曲し、これによって自由端側の端部開口１９を上向きとしてトラップ構造をなす封止状態と、図１のように端部開口１９を下向きとして前記トラップ構造を解除した排水状態とに切り替えられる。
【００１９】
トラップ筒１８は不使用時には封止状態とされ、トラップ筒１８の端部開口１９が排水筒部１２よりも上位に配置されて便器ボウル部６内に水が溜まった状態となり、またトラップ筒１８内には水が溜まって封止がなされる。用便後にはトラップ筒１８が排水状態とされ、便器ボウル部６内の溜め水が排水筒部１２及びトラップ筒１８を介して下方の排水アダプター装置１６へと排出される。
【００２０】
排水アダプター装置１６は前記トラップ筒１８から排出された水をトラップ筒１８の端部開口１９から前方にずれた位置に設けられた排水路３の上流側端部に導く。この排水アダプター装置１６はリフォームにより既存の排水路３を利用して便器装置２を設置する場合等に用いられる。
【００２１】
排水アダプター装置１６は、トラップケース１７下方の床２１上に設置された流水方向変換部２０と、便器ボウル部６下方の床２１上に設置されて流水方向変換部２０の前方に位置する排出部２２と、両者を接続する接続部２３とで構成されている。
【００２２】
流水方向変換部２０は上流端が上方に開口すると共に下流端が前方に開口した略直角に曲がった曲管からなり、前記トラップ筒１８から排出された水は流水方向変換部２０の底部で一旦受けられた後、前方へと向きを変えて下流側に流れる。
【００２３】
接続部２３は直管からなり、上流側端部である後端部が流水方向変換部２０の下流側端部に接続されると共に下流側端部である前端部が排出部２２の上流側端部に接続され、前記流水方向変換部２０から排出された水を排出部２２へ流す。
【００２４】
排出部２２は上流端が後方に開口すると共に下流端が下方に開口した略直角に曲がった曲管からなる。排出部２２の下流側端部は床２１面から上方に突出した排水路３の上流側端部に接続され、前記流水方向変換部２０から排出された水を排水路３に排出する。
【００２５】
一方、手洗器１は便器装置横の壁に沿って配置され、上部に手洗器ボウル部２５と手洗器ボウル部２５に給水するための給水装置２６とを備えている。
【００２６】
手洗器ボウル部２５の底部には手洗器排水口部２７が設けられている。手洗器排水口部２７は手洗器排水管路２８を介して排水アダプター装置１６の流水方向変換部２０に接続されている。添付図面に示す実施形態では、手洗器排水管路２８の下流側端部は流水方向変換部２０の後壁部２９から後方に突出する接続筒部３０に接続されている。
【００２７】
このように手洗器排水管路２８で手洗器排水口部２７と便器排水部１３とを接続することにより、手洗器ボウル部２５内の水は手洗器排水口部２７及び手洗器排水管路２８を順に経て流水方向変換部２０内に排出され、以後は便器ボウル部６からの排水と同様に接続部２３及び排出部２２を順に介して排水路３に排出されることとなる。また、この場合、手洗器排水管路２８の下流側端部は便器装置２の後部に配置される流水方向変換部２０に接続されるので、手洗器排水管路２８を目立ち難い便器装置２後方から便器外郭体７に導入できて見栄えが良く、また手洗器排水管路２８を容易に便器排水部１３に接続できる。
【００２８】
手洗器排水管路２８の上流部には略Ｕ字状に曲げられた管部からなる封水トラップ３１が設けられ、該封水トラップ３１内に溜まる水（封水）によって封止がなされる。
【００２９】
ここで本実施形態の排水構造にあっては、便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側の部位と、手洗器排水管路２８における封水トラップ３１と前記接続箇所３２の間の部位とが通気管路２４で接続されている。詳しくは通気管路２４はその一端が手洗器排水管路２８の接続筒部３０から上方に立ち上がった立上管３３に接続されると共に他端が接続部２３に接続され、通気管路２４の両端部は立上管３３や接続部２３に対して略直交する方向から接続されている。
【００３０】
このように通気管路２４で便器排水部１３と手洗器排水管路２８を接続することにより、便器装置２の排水がなされて便器排水部１３の接続箇所３２近傍部分の圧力が高くなった場合にも、手洗器排水管路２８の封水トラップ３１よりも下流側にある空気が通気管路２４を介して便器排水部１３における手洗器排水管路２８との接続箇所３２よりも下流側に流れて圧力を分散させることができる。従って封水トラップ３１よりも下流側の手洗器排水管路２８における圧力の上昇を抑えて、封水トラップ３１内の封水が手洗器ボウル部２５側に逆流することを防止することができる。
【００３１】
特に本実施形態のように便器ボウル部６からの排水がターントラップ装置１５を介して流水方向変換部２０に一気に流れ込み、ここで流れ方向を変更するものの場合には、流水方向変換部２０内が一時的に排水で満たされるので、流水方向変換部２０内がトラップ筒１８から一気に排出された水で満たされて高圧となりやすいが、このように流水方向変換部２０に手洗器排水管路２８を接続しても封水の逆流の恐れがなくて良いものである。
【００３２】
なお本実施形態の流水方向変換部２０はターントラップ装置１５からの排水の向きを前方へ変えるものであるが、前方以外の方向の横向きの流れに変えるものであってもかまわない。
【００３３】
また本実施形態では、排水アダプター装置１６を夫々別体となる流水方向変換部２０、接続部２３及び排出部２２で構成したが、該排水アダプター装置１６は一体に形成された管で構成されるものであってもよい。また、本実施形態では便器排水部１３をターントラップ装置１５を有するターントラップ方式のものとしたが、便器排水部１３は洗い落とし式やサイフォン式であってもよく、つまり便器排水部１３は便器ボウル部６と排水路３とを連通させて便器ボウル部６内の溜め水を排水路３へと導くものであればよい。
【符号の説明】
【００３４】
１ 手洗器
２ 便器装置
３ 排水路
１３ 便器排水部
１５ ターントラップ装置
２０ 流水方向変換部
２４ 通気管路
２７ 手洗器排水口部
２８ 手洗器排水管路
３１ 封水トラップ
３２ 接続箇所
【特許請求の範囲】
【請求項１】
便器装置に設けられて便器装置の排水を便器装置外部の排水路に導く便器排水部と、手洗器に設けられた手洗器排水口部とが、封水トラップを有する手洗器排水管路で接続され、手洗器排水口部からの排水が手洗器排水管路及び便器排水部を介して排水路に排出されるようにした排水構造において、便器排水部における手洗器排水管路との接続箇所よりも下流側の部位と、手洗器排水管路における封水トラップと前記接続箇所の間の部位とが、通気管路で接続されたことを特徴とする排水構造。
【請求項２】
便器排水部は、ターントラップ装置と、ターントラップ装置の下流側に配設される流水方向変換部を備え、ターントラップ装置は便器ボウル部に接続された屈曲自在のトラップ筒を有して、該トラップ筒が屈曲することで、トラップ筒を便器ボウル部内に水を溜める封止状態と便器ボウル部内の溜め水を排水する排水状態とに切り替え自在となり、流水方向変換部はトラップ筒から排出された水を受け、これを横向きの流れに変えて下流側へと流し、前記手洗器排水管路が手洗器排水口部と流水方向変換部とを接続するものであることを特徴とする請求項１に記載の排水構造。
【請求項１】
便器装置に設けられて便器装置の排水を便器装置外部の排水路に導く便器排水部と、手洗器に設けられた手洗器排水口部とが、封水トラップを有する手洗器排水管路で接続され、手洗器排水口部からの排水が手洗器排水管路及び便器排水部を介して排水路に排出されるようにした排水構造において、便器排水部における手洗器排水管路との接続箇所よりも下流側の部位と、手洗器排水管路における封水トラップと前記接続箇所の間の部位とが、通気管路で接続されたことを特徴とする排水構造。
【請求項２】
便器排水部は、ターントラップ装置と、ターントラップ装置の下流側に配設される流水方向変換部を備え、ターントラップ装置は便器ボウル部に接続された屈曲自在のトラップ筒を有して、該トラップ筒が屈曲することで、トラップ筒を便器ボウル部内に水を溜める封止状態と便器ボウル部内の溜め水を排水する排水状態とに切り替え自在となり、流水方向変換部はトラップ筒から排出された水を受け、これを横向きの流れに変えて下流側へと流し、前記手洗器排水管路が手洗器排水口部と流水方向変換部とを接続するものであることを特徴とする請求項１に記載の排水構造。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１１−１１１７７９（Ｐ２０１１−１１１７７９Ａ）
【公開日】平成２３年６月９日（２０１１．６．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２６８１１４（Ｐ２００９−２６８１１４）
【出願日】平成２１年１１月２５日（２００９．１１．２５）
【出願人】（０００００５８３２）パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年６月９日（２０１１．６．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１１月２５日（２００９．１１．２５）
【出願人】（０００００５８３２）パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
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