説明

排水配管

【課題】排水管内の洗浄を簡易に行うことができるとともに、シンクや洗面ボウル等の下部収納領域の収納空間を広く確保することに適した排水配管を提供すること。
【解決手段】シンク若しくは洗面化粧台のボウル底部側に接続された排水口14にSトラップ21が介装された排水配管15。この排水配管15は、排水口14から後方に向けられた水平領域20Aを含む上流側排水管20と、S字トラップ21を介して床面方向に向けられた下流側排水管22とを備えており、下流側排水管22に止水弁23が設けられている。止水弁23を閉操作した状態で、配管内に洗浄用薬剤を投入して所定時間放置し、止水弁23を開操作するだけで溶解した汚れ成分を流し落とすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水配管に係り、更に詳しくは、トラップを含む排水管内の洗浄を容易に行うことのできる排水配管に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンを構成するシンクの底部に設けられた排水口には排水管が接続されており、当該排水管の途中には、悪臭が排水口から放出されることを防止するためのトラップが配置されている(特許文献1参照)。
従来では、排水口から略鉛直方向に向けられるタイプの排水管が多く用いられてきたが、最近では、シンクの下部領域における収納領域を広く確保する要請により、排水口の下部から後方に向けられた排水管を用い、当該排水管にトラップを介して床面方向に向けられた排水管を接続する構成が主流になっている。
【0003】
しかしながら、排水口から後方に向けられた排水管を用いた場合には、排水口からトラップに至るまでの長さが長くなる傾向をもたらし、排水管内部でぬめりや黴等が発生し易くなり、これが悪臭を放つ要因となっている。
さて、一般家庭における排水管の洗浄に際しては、配管洗浄剤が使用されることが多い。特に排水管内部全体を洗浄するために発泡する配管洗浄剤があるが、配管洗浄剤投入後、時間が経過するにつれて消泡した場合には、排水口から後方に向けられた排水管の領域において、その上部内面側に泡が接触しなくなることに起因して汚れが取れなくなる、という傾向をもたらし、十分な洗浄効果が期待できなくなる、という不都合を招来する。
ところで、特許文献3には、トラップまでの長さが長くなる場合に有効なカンツール法や高圧洗浄法により排水管内を洗浄する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2003−88821号公報
【特許文献2】特開2003−328418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カンツール法や高圧洗浄方法は、トラップより下流側の洗浄が困難となる。しかも、専用の洗浄用具がないと実施できないという制約があり、そのため、一般家庭における洗浄法としては実用性に乏しい、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、カンツール法や高圧洗浄法等に利用される洗浄用具を用いることなく排水管内の洗浄を簡易に行うことができる排水配管を提供することにある。より具体的には、排水管内に配管洗浄剤を満たした状態を保持でき、排水管内の汚れに応じた洗浄剤保持時間とすることで、配管全体の汚れをとることができる排水配管を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡易なる洗浄を実現すると同時に、シンクや洗面ボウルの下部収納領域の収納空間を広く確保することに適した排水配管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、シンク若しくは洗面化粧台のボウル底部側に接続された排水管にトラップが介装され、当該トラップよりも下流側となる排水管に止水弁を設ける、という構成を採っている。
【0007】
また、本発明は、シンク若しくは洗面化粧台のボウル底部に設けられた排水口から後方に向けられた水平領域を含む上流側排水管と、当該上流側排水管にトラップを介して床面方向に向けられた下流側排水管とを含み、当該下流側排水管に止水弁を設ける、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、トラップの下流側に接続される排水管に止水弁を設けたから、当該止水弁を閉操作した状態で、上流側に水を貯めておくことができる。この状態で、排水管内に配管洗浄剤を投入して所定時間経過後した後に止水弁を開操作するだけで、排水管内のぬめりや黴を流し落とすことが可能となる。
また、上流側排水管が排水口から後方に向けられた水平領域を含む形状であるため、排水口の下部に広い収納領域を形成することができる。しかも、上流側排水管の上部内周面に配管洗浄剤を常に接触させた状態を確保することができるので、近時の要請に応じた配管構造とした場合における前述の不都合を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1には本発明がキッチン用キャビネットのシンクに適用された実施形態に係る概略断面図が示されている。この図において、キッチン用キャビネット10は、内部に収容空間Sを備えたキャビネット本体11と、このキャビネット本体11の上部に配置されたカウンター12と、当該カウンター12の領域内に設けられたシンク13と、このシンク13の底部に位置する排水口14に接続された排水配管15とを備えて構成されている。ここで、排水口14内には、図示しない網籠が収容されている。
【0011】
前記排水配管15は、排水口14から後方に向けられた水平領域20Aを含む上流側排水管20と、当該上流側排水管20にS字トラップ21を介して床面方向に向けられた下流側排水管22とにより構成されている。S字トラップ21よりも下流側、すなわち、下流側排水管22には手動弁からなる止水弁23が設けられている。
【0012】
以上の構成において、排水配管15内を洗浄するときは、止水管23を閉操作しておき、当該止水弁23に至るまでの管内を水で満たしておく。
この状態で、市販の配管洗浄剤を投入し、所定時間放置することで管内に付着したぬめり等の汚れ成分が薬剤で溶解される。この後、止水弁23を開操作して通水させて汚れ成分を流し落とすことができる。
【0013】
従って、このような実施形態によれば、上流側配水管20が排水口14から後方に延びる形状を備えて洗浄しづらいものであっても、止水弁23の開閉操作を行うだけで市販の配管洗浄剤により極めて簡単に配管内の洗浄を行うことができる、という効果を得る。
すなわち、排水口から止水弁までの領域内に水を満たした状態で配管洗浄剤を投入して洗浄を行うことがきるため、配水管内面に薬剤の効果を十分に及ばせることが可能となる。
また、専用の洗浄用具を用いることなく、且つ、負担を伴うことなく配管の洗浄を行うことができる。
しかも、シンク下部の収納領域を広く確保することが可能となり、近時のニーズに対応したキッチンを提供することにも資する。
【0014】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0015】
例えば、前記実施形態では、S字トラップ21を用いた場合を図示、説明したが、U字トラップ等、その他のトラップを用いてもよい。
また、止水弁23としては、手動弁に限らず、電磁弁、電動弁等を利用することができる。
更に、前記実施形態では、排水配管15がキッチンのシンク13に適用された場合を示したが、洗面化粧台の洗面ボウルに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るキッチンの断面図。
【符号の説明】
【0017】
13…シンク、14…排水口、15…排水配管、20…上流側排水管、21…S字トラップ、22…下流側排水管、23…止水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク若しくは洗面化粧台のボウルの底部に位置する排水口に接続される排水管にトラップが設けられた排水配管において、
前記トラップよりも下流側となる排水管に止水弁を設けたことを特徴とする排水配管。
【請求項2】
シンク若しくは洗面化粧台のボウルの底部に位置する排水口に接続されて後方に向けられた水平領域を含む上流側排水管と、当該上流側排水管にトラップを介して接続された下流側排水管とを含み、当該下流側排水管に止水弁を設けたことを特徴とする排水配管。

【図1】
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【公開番号】特開2010−71020(P2010−71020A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241919(P2008−241919)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】