説明

排泄物処理袋、簡易トイレ、及び簡易トイレの使用方法

【課題】 利用後の後処理作業のしやすい排泄物処理袋及び簡易トイレを提供する。
【解決手段】 本発明の排泄物処理袋は、袋体開口部近傍に、該開口部周縁に沿って、紐を通すための孔又はその型が所定間隔で複数個設けられているとともに、袋体の一部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されているか、又は袋体開口部近傍から袋体の口を括るための紐が延設されていることを特徴とする。この排泄物処理袋において、袋体の開口端部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されていてもよい。この場合、袋体の口を括るための紐となる部分が、袋体の開口端部の所定部位から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されていてもよい。袋体の少なくとも内側には脱臭剤を含有させてもよい。また、袋体底部が一方向に傾斜した構造であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震や台風等の災害時、病院や福祉施設での介護時、登山やキャンプ時、車の渋滞時、現場作業時などにおいて、排便処理等に直ちに利用できるとともに、利用後の処理も簡易に行うことのできる排泄物処理袋及び簡易トイレ、並びに該簡易トイレの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震や台風等の災害時(断水時)、病院や福祉施設での介護時やその他緊急時において直ちに利用できる簡易トイレ又は汚物処理袋として、プラスチック製等の袋と吸水性の凝固剤又は凝固シートとを組み合わせたものがいくつか提案されている。
【0003】
例えば、実用新案登録第3062186号には、凝固紙の上下を不織布で被覆した吸水性シートと、該吸水性シートを内部に接合した袋体からなり、該袋体の開口端部が切り取り可能に形成され、該袋体の下端接合部の両端だけが開口部より斜め方向に形成されている汚物処理袋が開示されている。しかし、この汚物処理袋では、袋体の開口端部から切り離した紐を結び紐として汚物の入った袋体の口を縛る際、袋体の開口部を紐で括りやすいように手で絞って形を整え、中の空気を抜いてから袋体の口を紐で縛る必要があり、利用後の処理作業が煩雑である。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3062186号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、利用後の後処理作業のしやすい排泄物処理袋及び簡易トイレ、並びに該簡易トイレの利用しやすい使用方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、臭気の少ない排泄物処理袋及び簡易トイレ、並びに該簡易トイレの使用方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、家庭や施設に備え付けの便器に装着しやすい排泄物処理袋及び簡易トイレ、並びに該簡易トイレの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、袋体の特定部位に紐を通す孔又はその型を所定間隔で複数個設け、且つ袋体の一部に紐となる部分を容易に分離できるように形成すると、使用前は嵩張らないため場所をとらずに収納、保管できるとともに、袋体から切り離した紐を孔に通して袋体の口を締めることにより、使用後の後処理作業を簡易に且つ衛生的に行うことができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、袋体開口部近傍に、該開口部周縁に沿って、紐を通すための孔又はその型が所定間隔で複数個設けられているとともに、袋体の一部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されているか、又は袋体開口部近傍から袋体の口を括るための紐が延設されていることを特徴とする排泄物処理袋を提供する。
【0008】
この排泄物処理袋において、袋体の開口端部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されていてもよい。この場合、袋体の口を括るための紐となる部分が、袋体の開口端部の一部位から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されていてもよい。袋体の少なくとも内側には脱臭剤を含有させてもよい。また、袋体底部が一方向に傾斜した構造であるのが好ましい。
【0009】
本発明は、また、前記の排泄物処理袋と、排泄物を凝固させる凝固シートとからなる簡易トイレを提供する。
【0010】
この簡易トイレにおいて、凝固シートに脱臭剤を含有させてもよい。また、凝固シートが複数枚であるのが好ましい。
【0011】
本発明は、さらに、上記の簡易トイレを便器に装着して使用する簡易トイレの使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る排泄物処理袋によれば、袋体開口部近傍に、開口部の周縁に沿って、紐を通すための孔又はその型が所定間隔で複数個設けられており、且つ袋体の一部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されているか、又は袋体開口部近傍から袋体の口を括るための紐が延設されているので、紐となる部分を袋体から手等で切り離して得た紐、又は袋体開口部近傍から延びている紐を前記孔に通すことにより、袋体の口を縛るための結び紐として使用できる。すなわち、紐を袋体開口部の周縁に沿って設けた複数の孔に順次通し、その紐の先端を引っ張って袋体の口を絞り、紐の先端を結ぶことで、袋体の口を簡単に且つ確実に閉じることができ、その後廃棄に付すことができる。この袋体の口を閉じる作業は便器に蓋をした状態で行うことができるので、排泄物を見ることなく後処理作業をすることができる。また、袋体の口を絞る際、袋体内部の空気が紐を通した複数の孔から逃げるため、容易に袋体を縮小させ保管や持ち運びに便利な大きさにすることができる。袋体の口を絞り、紐で結んだ後は、巾着のように口がきっちりと締まるため、中の空気は外に漏れない。また、紐を引っ張るだけで口が閉じ、且つ袋体を縮小化できるので、便器等からの取り出しが極めて簡易である。さらに、紐が袋体と一体に形成されているので、製品をコンパクト化できるとともに、保管時に紐を無くすようなことがなく、緊急の際にも、すぐに用に供することができる。
【0013】
本発明に係る排泄物処理袋において、袋体の口を括るための紐となる部分が袋体の開口端部に易分離可能に形成されているものは、紐となる部分の長さがちょうど袋体の口を閉じるのに適切な長さとなるため好ましい。袋体の口を括るための紐となる部分が、袋体の開口端部の一部位から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されているものは、紐を袋体から切り離す際、紐の一方の端部が袋体に結合しているので、基点が固定されることとなり、紐を孔に通す作業、袋体の口を絞る作業等を円滑に行うことができる。また、便器にセットする際に、袋体から分離した部分の紐を便座や便器の蓋の付け根に括って結ぶことにより、排泄物処理袋を便器に固定でき、処理袋が便器からずれたり外れたりするのを防止できる。また、一方の端部が共通の部位に固定された2本の紐として活用できるため、処理袋を便器へ固定する作業や、使用後に袋体の口を絞る作業、便器から処理袋を取り出す作業等の後処理作業を円滑に且つ衛生的に行うことが可能となる。袋体の少なくとも内側に脱臭剤を含有させたものでは、保管・廃棄時において排泄物の臭気の揮散を抑制、防止できる。袋体底部が一方向に傾斜した構造を有するものでは、底が傾斜している便器(洋式トイレ等)にフィットするため取り付け作業が簡単であるだけでなく、排泄物が処理袋内の一箇所に集まるため、使用後の処理袋の取り外し作業や運搬作業も容易であり、凝固シートを効率よく使用できる。
【0014】
本発明に係る簡易トイレは、前記本発明の排泄物処理袋と排泄物を凝固させる凝固シートとからなるため、排泄物処理袋による上記の優れた作用効果が奏されるとともに、排泄物(便、嘔吐物)が処理袋内に敷いた凝固シートにより凝固し固形化するため、排泄物の臭いが封じ込まれる。また、凝固シートに脱臭剤を含有させたものは、排泄物から吸収した水分に含まれる臭気成分の揮散を抑制でき、排便時・保管時において、臭いを軽減できる。凝固シートが複数枚のものは、排泄物が固まりやすく、また数回以上の使用が可能となるため、断水時の家庭用の簡易トイレ等として特に有用である。本発明の簡易トイレは、上記のような効果を奏するため、地震や台風等の災害時、病院や福祉施設での介護時、登山やキャンプ時、車の渋滞時、現場作業時に使用でき、特に、緊急時に備えた防災グッズとして好適である。
【0015】
本発明に係る簡易トイレの使用方法によれば、前記のような優れた性能を有する簡易トイレを用いるので、既設の便器を利用できる上、災害時等の緊急時において、セットに手間がかからず、簡易に使用でき、しかも後処理を簡易且つ衛生的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の排泄物処理袋の一例を示す概略斜視図である。排泄物処理袋1は2層構造のフィルム積層体からなる袋体で構成されており、外側の面2は白色を呈し、内側の面3は黒色を呈している。袋体の開口部近傍には、該開口部周縁に沿って、紐を通すための孔(穴)5が所定間隔で複数個穿設されているとともに、袋体の開口端と前記孔の形成部位との間に、開口部周縁と平行にミシン目4を施すことにより、袋体の開口端部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されている。
【0017】
本発明における袋体の材質は、排泄物を入れても破損しない程度の強度及び耐水性を有していればよく、例えば、ポリエチレンフィルム(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム;ポリアミドフィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム;ポリ乳酸系フィルム(乳酸と他のヒドロキシカルボン酸又はラクトン類との共重合体からなるフィルムを含む)等の生分解性フィルム;ポリスチレン系フィルム;セルロース系フィルム;ポリ塩化ビニル系フィルム;発泡フィルムなどのプラスチックフィルムなどが用いられる。上記プラスチックフィルムの中でも、安価で強度に優れるポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、微生物により分解可能な生分解性フィルムなどが好ましい。これらのプラスチックフィルムは単層であっても多層であってもよく、他の材質のフィルム(紙、合成紙、金属箔等)を積層していてもよい。多層フィルムは、共押出法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法などの一般的な手法により製造できる。
【0018】
袋体の形状は、扁平に畳んだときの形状として、四角状、円又は楕円の一部を直線又は曲線で切断した形状(半円状、半楕円状等)などの何れであってもよい。図1の例では、袋体を扁平に畳んだときの形状は、袋体の開口端に相当する辺を上辺とした場合、袋体の底部に相当する下辺が上辺に対して傾斜した形状である。このような袋体は、袋体底部が一方向に傾斜した構造をもち、例えば洋式トイレの便器の傾斜している底面に適合した形状となる。前記下辺の傾斜は図1に示すように下に凸の弧状であってもよく、また直線状であってもよい。袋体としては、2枚のフィルムを重ね合わせてその周縁部をヒートシール等で接合して袋状にしたもの、1枚のフィルムを2つ折りにしてその周縁部をヒートシール等により接合して袋状としたもの、筒状のフィルムの底部をヒートシール等により接合して袋状としたもの、底部又は側部にガゼット部を形成したもの等の何れであってもよい。従って、袋体の底部は線状、面状の何れであってもよい。
【0019】
袋体の大きさは、排便等に適合した大きさであればよく、例えば開口部の直径が250〜600mm、好ましくは300〜500mm程度、深さ(最深部の深さ)が例えば300〜1000mm、好ましくは400〜800mm程度である。
【0020】
図1の例では、袋体は共押出しにより製造されたポリオレフィンフィルムからなる2層構造のフィルム積層体で構成されている。内側のフィルム層にはカーボンブラック及び脱臭剤が添加されており黒色を呈している。外側のフィルム層には酸化チタンが添加されており白色を呈している。この例では、袋体が2層で構成されているので強度が強く、また内側を隠蔽力の大きい黒色、外側を白色としているので、中が見えない。さらに、袋体の内側に脱臭剤を含有させているので、保管・廃棄時における排泄物からの臭気の揮散を抑制、防止できる。脱臭剤は外側のフィルム層にも含有させてもよい。なお、本発明では、袋体を構成するフィルムの色は必ずしも上記のように黒色と白色にする必要はなく、他の色であってもよいが、中が見えないようにするため、有色不透明であるのが好ましい。また、袋体を構成する材料中に必ずしも脱臭剤を含有させなくてもよいが、排泄物の臭いを捕捉するため袋体の少なくとも内側に脱臭剤を含有させるのが好ましい。
【0021】
脱臭剤としては、特に制限はなく、例えば、セルロース系消臭剤(銅カルボキシメチルセルロース・水酸化銅・セルロースなど);微粒子酸化チタン、ゼオライト、ケイソウ土、活性炭、アルミナなどの多孔質粒子;硫酸アルミニウム、硫酸鉄などの金属硫酸塩;金属水酸化物;ポリアルデヒド類;サイクロデキストリンなどの包接化合物;フラボノイド及びその配糖体;有機ケイ素化合物;リン酸塩類;カテキン類、タンニン類などの植物からの抽出物;キレート化合物;アルデヒド分解酵素;テルペン類;その他の消臭物質などが挙げられる。これらの脱臭剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
孔5の形状は特に限定されず、例えば、円、楕円、多角形等の何れであってもよいが、通常、円又は楕円である。孔5の大きさは、紐を通すことができる程度であればよく、例えば、直径5〜70mm、好ましくは直径20〜60mm程度である。孔5の個数及び間隔は、紐を通して袋体1の口を閉じることができる個数、間隔であればよい。孔の個数は好ましくは4〜10程度であり、特に6又は8が好ましい。図1の例では、孔の数は6個である。孔と孔の中心間の間隔は、例えば、50〜550mm、好ましくは100〜200mm程度である。孔5は、孔の型、例えば手等で容易に抜くことのできる易分離可能な孔の型であってもよい。孔の型は、例えば、ミシン目等で形成できる。
【0023】
図1の例では、孔5は、袋体を扁平に畳んだとき、袋体の開口端に相当する上辺に対して平行に所定間隔を置いて設けられており、孔の打ち抜き等の作業効率を高めるため、手前側の面の孔(3個の孔)と向こう側の面の孔(3個の孔)とがちょうど重なる位置に設けられている。
【0024】
孔又は孔の型の位置は、袋体の開口端(開口端部に紐となる部分が形成されている場合は、紐を分離した後の開口端)から孔の中心までの距離として、15〜120mm程度が好ましく、より好ましくは40〜100mm程度である。
【0025】
この例では、袋体に形成されたミシン目4は、袋体の口を括るための紐となる部分が、袋体の開口端部の一部位から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されている。より具体的には、袋体を扁平に畳んだとき、ミシン目4は袋体の開口端と孔5との間において、開口部周縁(開口端)に平行に設けられており、扁平に畳んだ袋体の左右の端部のうち開口端に相当する上辺と底部に相当する下辺との距離が短い方(袋体の底の浅い方)の端部では、上方に屈折して開口端にまで至り、紐の固定されていない先端となる部分を構成する。また、扁平に畳んだ袋体の左右の端部のうち上辺と下辺との距離が長い方(袋体の底の深い方)の端部では、ミシン目4は途中で途切れ、紐の袋体に結合した端部を構成する。
【0026】
このように、紐となる部分が、紐の一方の端部が袋体に結合した状態で分離可能に形成されていると、紐を袋体から切り離した際には、紐の一方の端部が袋体に結合しているので、基点が固定されることとなり、紐を孔に通す作業、袋体の口を絞る作業等を円滑に行うことができる。また、便器にセットする際に、分離した部分の紐を便座や便器の蓋の開閉の支点となるヒンジ部位に括って結ぶことにより、排泄物処理袋1を便器に固定でき、処理袋1が便器からずれたり外れたりするのを防止できる。また、紐となる部分が、袋体の開口端部の所定部位(特に、袋体の底の深い部位の上端部(開口端部))から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されているので、紐を分離した際には、一方の端部が同じ部位に固定された2本の紐として活用できるため、処理袋を便器へ固定する作業や、使用後に袋体の口を絞る作業、便器から処理袋を取り出す作業等の後処理作業を円滑に且つ衛生的に行うことが可能となる。
【0027】
なお、分離されることによって紐となる部分は、必ずしも上記のように袋体の開口端部に形成されていなくてもよく、例えば、袋体の底部や側部の端部に形成されていてもよい。また、紐となる部分は、上記のように袋体の一部位から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されていてもよいが、袋体の所定部位から一方向に延びる1本の紐として分離可能に形成されていてもよい。また、紐となる部分は、必ずしもミシン目によって形成されていなくてもよく、例えば、厚みの薄い溝状の切取部を設けて紐となる部分を形成してもよい。さらに、紐となる部分は、紐にしたとき袋体から完全に切り離しできるように形成されていてもよい。また、上記の例では、紐となる部分が袋体に易分離可能に形成されているが、紐が袋体開口部近傍(例えば、袋体の底の深い部位の上端部(開口端部))から延設されていてもよい。このようなものでも、紐は袋体と一体となっているので保管しやすく、緊急時に直ちに使用できるため便利である。
【0028】
紐(及び紐となる部分)の長さ及び幅は、袋体の口を括るための結び紐として使用するのに適合した長さ及び幅であればよい。例えば、紐の全体の長さ(2本の紐が延びている場合はその合計の長さ)は、500〜2000mm程度、好ましくは1000〜1600mm程度であり、紐の幅は、例えば、15〜80mm、好ましくは30〜70mm程度である。
【0029】
本発明の簡易トイレは、上記本発明の排泄物処理袋と、排泄物を凝固させる凝固シートとからなる。凝固シートとしては、排泄物を凝固させる成分を含んだシートであれば特に限定されない。好ましい凝固シートとして、吸水性ポリマー(例えば、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物など)を主材とする凝固紙を、不織布及び又は水溶性の紙で被覆したものが挙げられる。凝固シートにより、例えば排泄物(便や嘔吐物)の水分が吸収されて固形化するため、排泄物の臭いが封じ込まれる。
【0030】
凝固シートには、排泄物から吸収した水分に含まれる臭気成分の揮散を抑制、防止するため、脱臭剤を含有させるのが好ましい。脱臭剤としては前記例示のものを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
凝固シートの大きさは、排泄物処理袋の底部に収容でき、排泄物を凝固可能な大きさであればよいが、通常、縦100〜500mm(好ましくは200〜400mm)、横200〜700mm(好ましくは300〜600mm)程度の大きさである。
【0032】
凝固シートは排泄物処理袋1枚に付き1枚でもよいが、複数枚用いるのが好ましい。凝固シートが複数であると、排泄物が固まりやすいだけでなく、排泄物処理袋1枚で何回も用を足すことができるという利点がある。例えば、凝固シート3枚の場合は、1枚の凝固シートを排泄物処理袋の底に敷いて2〜3回程度使用した後、2枚目の凝固シートをその上にセットし、さらに2〜3回使用した後、3枚目の凝固シートを上に被せて後処理作業をするというように、約3回以上或いは5回以上の使用(排便等)が可能となる。そのため、このような簡易トイレは断水時の家庭用の簡易トイレ等として特に有用である。なお、凝固シート(複数の場合は、例えばそのうちの1枚)は、排泄物処理袋の底部に、熱、接着剤、両面テープ等で接合しておいてもよい。
【0033】
本発明の簡易トイレの使用方法では、上記本発明の簡易トイレを便器に装着して使用する。図2、図3及び図4は、本発明の簡易トイレの使用方法の一例を示した説明図であり、図1に示す排泄物処理袋1を用いた例である。なお、図2は簡易トイレの便器へのセット方法、図3は後処理の方法、図4は凝固シートの使い方をそれぞれ示した図である。以下、これらの図に基づいて本発明の簡易トイレの使用手順を説明する。
【0034】
まず、排泄物処理袋1の紐になる部分をミシン目4に沿って切り離す(図2上図)。5は孔、6は分離された紐である。紐となる部分は、袋体の所定部位(この場合は袋体の底の深い部位の上端部(開口端部))から反対方向に延びる2本の紐として分離される。
【0035】
紐6を切り離したら(2本の紐のそれぞれ一方の端部は袋体に結合したままである)、排泄物処理袋1を既設のトイレの便器7にセットし、凝固シート10を1枚袋体の底に敷く(図2中央図)。このとき、袋体の開口部を拡げて折り返し、袋体の底の深い方が便器の奥(水の溜まる部位のある側)にくるようにして、前記折返し部分を便器7の縁に被せ、袋体の残りの部分を便器7の内部に垂下させる。8は便座、9は便器の蓋である。なお、前記袋体の折返し部分は便座8に被せてもよい。この例では、排泄物処理袋1の袋体の底部が一方向に傾斜しているので、便器底部が傾斜している既設の洋式トイレにうまくフィットすると共に、排泄物が一箇所に集まるため、使用後の排泄物処理袋1の取り外しや持ち運びがしやすく、後処理作業が簡易化される上、凝固シートも効率よく使用できる。
【0036】
排泄物処理袋1を便器7にセットした後、便座8及び蓋9を下ろして、紐6を便座8及び蓋9の付け根(開閉の支点となるヒンジ部)に軽く結ぶ(図2下図)。
【0037】
こうして装着した簡易トイレを利用して用を足した後は、結んだ紐6をほどき、便器7の蓋9は下ろした状態で、便器7の左右両側にある紐6の先端を、それぞれ、排泄物処理袋1に形成された便器7の左右両側に位置する孔5に、内側から外側からと交互に通す(図3上図)。この例では、紐6が袋体の開口端部から切り離したものなので、袋体の開口部を閉じるのにちょうど良い長さとなる。
【0038】
紐6を孔5に通した後、便器の蓋9は下ろした状態で、両側の紐6の先端部分を手前に引っ張り、袋体の口をしっかり絞った後、紐6を結ぶ(図3中央図)。袋体の底部が一方向に傾斜しており排泄物が一箇所に集中しやすいこと、袋体の上部に複数の孔を有しているので袋体内部の空気が円滑に外に逃げて袋体の容積が縮小化し易いことに加え、紐6を複数の孔5に内側から外側から交互に通すことにより巾着結びができることから、使用した簡易トイレを簡単に且つ衛生的に廃棄に適した形態にすることができる。また、袋体の口を閉じる作業は便器に蓋をした状態で行うことができるので清潔であり、排泄物を見たり臭いを感じることなく後処理作業をすることができる。
【0039】
紐6を結んだ後、紐6で輪を作り、この輪に紐6を通してしっかりと引っ張って縛ることにより廃棄物の形態とする(図3下図)。
【0040】
凝固シート10の使い方の例は図4に示されている。すなわち、凝固シートが例えば3枚の場合には、最初に1枚の凝固シート10を排泄物処理袋1の底に敷き(図2中央図参照)、2〜3回用を足したら、2枚目の凝固シート10を排泄物の上に敷き、さらに2〜3回用を足した後、3枚目の凝固シート10を排泄物の上に被せてから、後処理作業(図3参照)を行う。11は凝固した排泄物である。なお、凝固シートが1枚の場合には、2〜3回用を足したところで後処理作業に移る。
【0041】
上記のように、本発明の簡易トイレは家庭や介護施設の既設の便器に好適に装着して使用することができるが、そのほか、介護用のポータブルトイレやバケツ状容器に装着したり、屋外では穴を掘ってそこに設置して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の排泄物処理袋の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の簡易トイレの使用方法(便器へのセット方法)の一例を示した説明図である。
【図3】本発明の簡易トイレの使用方法(後処理の方法)の一例を示した説明図である。
【図4】本発明の簡易トイレの使用方法(凝固シートの使い方)の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 排泄物処理袋
2 袋体の外側の面
3 袋体の内側の面
4 ミシン目
5 孔
6 紐
7 便器
8 便座
9 便器の蓋
10 凝固シート
11 凝固した排泄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体開口部近傍に、該開口部周縁に沿って、紐を通すための孔又はその型が所定間隔で複数個設けられているとともに、袋体の一部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されているか、又は袋体開口部近傍から袋体の口を括るための紐が延設されていることを特徴とする排泄物処理袋。
【請求項2】
袋体の開口端部に袋体の口を括るための紐となる部分が易分離可能に形成されている請求項1記載の排泄物処理袋。
【請求項3】
袋体の口を括るための紐となる部分が、袋体の開口端部の一部位から反対方向に延びる2本の紐として分離可能に形成されている請求項2記載の排泄物処理袋。
【請求項4】
袋体の少なくとも内側に脱臭剤を含有させた請求項1〜3の何れかの項に記載の排泄物処理袋。
【請求項5】
袋体底部が一方向に傾斜した構造を有する請求項1〜4の何れかの項に記載の排泄物処理袋。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかの項に記載の排泄物処理袋と、排泄物を凝固させる凝固シートとからなる簡易トイレ。
【請求項7】
凝固シートに脱臭剤を含有させた請求項6記載の簡易トイレ。
【請求項8】
凝固シートが複数枚である請求項6又は7記載の簡易トイレ。
【請求項9】
請求項6〜8の何れかの項に記載の簡易トイレを便器に装着して使用する簡易トイレの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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