説明

排泄物処理装置

人体の尻部を上側に載せる敷板であって、少なくとも、上側に載せられた人体の尻部に接触する部分が軟質弾性資材より形成されている敷板の上側へ、当該敷板の上側に尻部が載せられた人体の陰部及び肛門を覆う形状の中空カップであって、少なくとも、当該人体の陰部及び肛門を覆うように人体に当接された際に人体に接触する部分が軟質弾性資材より形成されている中空カップを直立状に連設し、排泄物流出空間を有する排泄室を該敷板と中空カップとの連接部内側に設け、該排泄室及び/又は中空カップに、洗浄手段、吸引排出手段及び、乾燥手段を接続した排泄物処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自力で排泄排尿ができず、かつ自力で排泄排尿の処理ができないで、オムツを常用している患者用に開発した排泄物処理装置に関する。特に、オムツが不用で、体位変換が容易にできると共に、人体の陰部及び肛門といった局部を洗浄乾燥して常に清潔に保つことができる排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から人体の腰臀部を包囲するオムツカップ本体と、オムツカップ本体に接続されていて、その内部に洗浄水を送水する洗浄水送水ホースと、オムツカップ本体に接続されていて、その内部の洗浄水及び汚物を吸引する汚物吸引ホースとを備えた排泄物処理装置が提案されている。また、このような排泄物処理装置において、複数の湾曲した連結片を連設して屈曲自在に構成した蛇腹ジョイントと、該蛇腹ジョイントの先端に設置したフロントカバーとでオムツカップ本体を構成する提案もされている。例えば、特許第3077083号後方、特開2000−79136号公報、特開2003−24360号公報などである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の排泄物処理装置は、局部の洗浄と乾燥はできるけれども、排泄物処理装置を腰部へ装着する方式である為に、体位変換が困難であったり、装着に多大の労力を要するなどの問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、陰部及び肛門を覆うカップなどの材料としてシリコンゴム又は人工皮膚シートなどのように軟質で人体になじみ易い軟質弾性材料を採用すると共に、カップを前記のように、陰部及び肛門といった局部を覆うものとし、かかるカップを吸着して装着可能にしたものである。これによって、体位の変換を容易にして、前記従来の問題点を解決したのである。すなわち、この発明は、排泄物処理装置の装着に腰部へまつわりつくような手段を一切排除したものである。
【0005】
即ちこの発明が提案する排泄物処理装置は、人体の尻部を上側に載せる敷板であって、少なくとも、上側に載せられた人体の尻部に接触する部分が軟質弾性資材より形成されている敷板の上側へ、当該敷板の上側に尻部が載せられた人体の陰部及び肛門を覆う形状の中空カップであって、少なくとも、当該人体の陰部及び肛門を覆うように人体に当接された際に人体に接触する部分が軟質弾性資材より形成されている中空カップを直立状に連設し、排泄物流出空間を有する排泄室を該敷板と中空カップとの連接部内側に設け、該排泄室及び/又は中空カップに、洗浄手段、吸引排出手段及び、乾燥手段を接続したことを特徴とするものである。
【0006】
ここで、排泄室の内壁表面に露出している又は排泄室の内壁面内に埋設されていて、排泄室内への排泄の有無を検知するセンサーを具備する検出装置を更に備えている構成にすることができる。
【0007】
又、中空カップの内壁表面に露出している又は中空カップの内壁面内に埋設されていて、排泄室内又は中空カップ内への排泄の有無を検知するセンサーを具備する検出装置を更に備えている構成にすることもできる。
【0008】
更に、前記いずれの本発明の排泄物処理装置においても、陰部及び肛門を覆うように人体に当接させた前記中空カップ及び排泄室内を減圧吸引することにより前記中空カップを人体へ水密に装着可能にすることができる。
【0009】
また、洗浄手段は、一端が排泄室及び/又は中空カップに接続され、他端側が温水タンクに接続されている洗浄水パイプを備えている構成にすることができる。
【0010】
吸引排出手段は、一端が排泄室及び/又は中空カップに接続され、他端側が吸引装置を備えている汚物タンクに接続されている排出パイプを備えている構成にすることができる。
【0011】
乾燥手段は、一端が排泄室及び/又は中空カップに接続され、他端側が温風生成装置に接続されている温風パイプを備えている構成にすることができる。
【0012】
この場合、乾燥手段は、温風パイプを介して排泄室に送風される温風を殺菌・浄化処理する滅菌・浄化処理手段を更に備えている構成にすることができる。
【0013】
更に、前記いずれの本発明の排泄物処理装置においても、中空カップの内側へ男性器案内管を着脱自在に取り付けることができる。
【0014】
また、吸引排出手段の排出パイプを介して排泄室から吸引された排気を脱臭及び殺菌処理する排気処理手段を更に備えている構成にすることができる。
【0015】
なお、前記において、滅菌・浄化処理手段、排気処理手段としては、気体を殺菌・浄化する、あるいは、脱臭及び殺菌処理する手段としてこの技術分野で公知のものを使用できる。例えば、オゾンや紫外線を利用して気体を殺菌、浄化、脱臭する手段として公知の空気殺菌脱臭装置を使用できる。
【0016】
また、前記において、排泄室及び/又は中空カップに、洗浄手段、吸引排出手段及び、乾燥手段を接続するとしているのは、洗浄手段、吸引排出手段、乾燥手段を、それぞれ、排泄室と中空カップの両方に接続する形態にしても良いし、排泄室、中空カップのどちらか一方だけに接続する形態にしても良いということであり、更に、いずれかの手段、例えば、洗浄手段、吸引排出手段を排泄室に接続し、残りの手段、例えば、乾燥手段を中空カップに接続する形態にしても良いということである。
【0017】
洗浄手段、吸引排出手段、乾燥手段が、排泄室、中空カップのいずれに接続されていても、これらの手段に連続し、排泄室内壁表面あるいは中空カップ内壁表面に設けられる開口部が、これらの各手段がその機能を果たすためにふさわしい場所に設けられていれば十分だからである。
【0018】
例えば、吸引排出手段に連続し、排泄室内壁表面あるいは中空カップ内壁表面に設けられる開口部は、その機能を果たすために、排泄室内壁の下部の表面に形成される。
【0019】
同様に、洗浄手段、乾燥手段にそれぞれ連続し、排泄室内壁表面あるいは中空カップ内壁表面に設けられる開口部は、これらの機能を果たすために、例えば、排泄室内壁表面、あるいは、中空カップ内壁表面に形成される。
【発明の効果】
【0020】
この発明における軟質弾性資材とは、軟質シリコン、シリコンゴム、人工皮膚などのような軟質弾性材料のことをいう。これらは、人体になじみ易いものであるので、人体の尻部を上側に載せる敷板の、少なくとも、上側に載せられた人体の尻部に接触する部分及び、当該敷板の上側に尻部が載せられた人体の陰部及び肛門を覆う形状の中空カップであって、少なくとも、当該人体の陰部及び肛門を覆うように人体に当接された際に人体に接触する部分を軟質弾性資材製にすることによって、人体になじみ易い排泄物処理装置を提供することができる。
【0021】
陰部及び肛門を覆って人体に当接する中空カップの、少なくとも人体に接触する部分は前記の軟質弾性資材製なので、当該中空カップに当接している人体の皮膚がかぶれるおそれを防止できる。更に、中空カップの人体に当接する接触部に折り返し部を設けておけば、人体の皮膚がかぶれるおそれをより効果的に防止できる。また、折り返し部を設けておけば、水密に人体に当接するにも拘わらず、接触感を良好にできる。
【0022】
また、この発明によれば、人体への装着を簡単にしたので、装着容易で体位変換も容易に出来るようになったなどの効果がある。
【0023】
更に、局部を洗浄乾燥し、常時清潔(滅菌もする)に保つことができる効果がある。
【0024】
また、体位変換が容易であるから、寝たきりの患者に対し、体調を保ってリハビリができるなどの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明の排泄物処理装置は、装着感が良好で、体形に順応し、体位変換が容易にできると共に、自力で排泄できない患者でも容易に排泄ができ、かつ洗浄、乾燥なども自動的に行えるように改良したものである。
【0026】
以下この発明の排泄物処理装置ができる機能を説明し、実施の形態を明らかにする。
【0027】
この発明の排泄物処理装置の人体に接触する部分は、皮膚にやさしく加工した軟質シリコン、シリコンゴムあるいは人工皮膚などを用いて成形されている。すなわち、人体の尻部を上側に載せる敷板であって、少なくとも、上側に載せられた人体の尻部に接触する部分及び、当該敷板の上側に尻部が載せられた人体の陰部及び肛門を覆う形状の中空カップであって、少なくとも、当該人体の陰部及び肛門を覆うように人体に当接された際に人体に接触する部分は、前記の軟質シリコンなどを用いて成形されている。
【0028】
また、患者の平均的体形に合せて成形することにより、大小位の比較的少ない種類で、全部の患者に適応することができる。
【0029】
何故ならば、人体の陰部と肛門とを覆うカップとすれば、大型、小型にほぼ分類できるからである。例えば、身長180cm以上の人も、身長160cmの人も、陰部と肛門との距離には大差がないからで、2通り位用意すれば、ほぼ満足するからである。
【0030】
特に、男性器専用の男性器案内管を取り付け、取り外し可能にしているので、同一装置を男女共用することができる。
【0031】
なお、前記の男性器案内管の、少なくとも人体に接触する部分も、上述した理由から、皮膚にやさしく加工した軟質シリコン、シリコンゴムあるいは人工皮膚などを用いて成形しておくことが望ましい。
【0032】
前記のように材質について、研究開発の結果、常時着用していても、異物感が少なく、体位変換も簡単、容易であり、ごく軽量のオムツと同様で、しかも排泄排尿処理できる機能を持っている排泄物処理装置になっている。
【0033】
中空カップの開口部には、全周に亘って折り返しが設けられ、水密にも拘らず接触感が良好なようにしてある。前記折り返し部にはソフト感のある布地を貼着して使用することもできる。
【0034】
また、洗浄手段の洗浄水パイプを、洗浄パイプ等を介して温水タンクに接続し、中空カップ内へ温水タンクからの温水を洗浄水として噴出させ、中空カップで覆われた身体各部を洗浄することができる。
【0035】
洗浄時間は、可変とし、自由に設定できるようにして、汚染の状態に適応させることができる。
【0036】
また、乾燥手段の温風パイプを乾燥パイプを介して温風生成装置に接続することにより、中空カップ内へ温風を噴出させ、洗浄された部分を容易に乾燥することができる。
【0037】
この発明の排泄物処理装置では、吸引排出手段の排出パイプを排出パイプを介して吸引装置を備えている汚物タンクと接続することにより、排泄物及び、臭気を中空カップ内から強制吸引し、排泄物を汚物タンクへ収納する。
【0038】
このような強制吸引により、中空カップ内が減圧されるので、中空カップと身体表面との接触圧不十分の為に、中空カップと人体との間に微小隙間があったとしても、外気を吸引するのみである。これによって、中空カップ内から外部に臭気が流出することを防ぐエアーカーテンの役割が発揮され、中空カップ内、排泄室内の臭気、排泄物及び洗浄水が外部に漏洩するおそれはない。
【0039】
以上の点が、従来多用されている装着方式の排泄物処理装置より優れている。例えば、従来、バンドその他によって排泄物処理装置を装着した場合には、バンドの締めすぎ、緩みすぎ、他物の挟み込みその他によって、最良の装着状態にすることが難しく、最良の装着状態にするには熟練を要した。
【0040】
しかし、この発明においては、単に、敷板を尻部の下に入れ、人体の陰部及び肛門を覆う中空カップを人体に当接し、減圧吸引するのみで、十分水密を保ち、かつ中空カップ内の臭気に対しては気密を保つことができる。
【0041】
本発明において、バンドを用いる場合でも、中空カップをバンドで縛着することはないので装着がきつくなるおそれはない。
【0042】
なお、この発明の排泄物処理装置において、圧力バランスパイプを設けて、中空カップ内、排泄物室内に加圧気体を送り込めるようにすることによって、自動的に吸引圧力を制御し、無理な力が働かないようにすることもできる。
【0043】
前記の圧力バランスパイプは、太さを考慮すればほぼ目的を達成できるが、確実には圧力差によって自動的に開閉する弁を介装することにより、中空カップ内、排泄室内の圧力調整の精度を向上することができる。
【0044】
この発明の排泄物処理装置においては、適所にセンサーが設けてあるので、排便、排尿などの排泄を検出して自動的に排泄物の取り出し(吸引、除去)、洗浄、乾燥を行うことができる。従って洗浄、乾燥も適度に行うことができる。
【0045】
前記における洗浄水と温風は何れも滅菌し、必要に応じて乾燥滅菌も行うようにできる。これにより、いわゆる病人臭が発生するおそれはない。
【0046】
この発明の排泄処理装置の始動、停止は、センサーによる自動方式と、リモコン又はボタンによる手動方式と両方があり、適宜切り替えることができる。
【実施例】
【0047】
この発明の排泄処理装置10の実施例を、図1について説明する。
【0048】
軟質シリコンゴム製の中空カップ1の下部を、軟質シリコンゴム製の尻を載せる敷板2の一側へ連設する。これらの連設部内側へ、排泄物流出空間(ほぼ1000cm程度)を有する筒状の排泄室3を連設する。
【0049】
なお、排泄室3も軟質シリコンゴム製にすることができる。
【0050】
また、敷板2については、上側に人体の尻部が載せられた際に、人体の尻部に接触する部分のみを軟質シリコンゴム製にしておくこともできる。
【0051】
中空カップ1についても、敷板2上側に尻部が載せられた人体の陰部及び肛門を覆うように中空カップ1を人体に当接させた際に、人体に接触する部分のみを軟質シリコンゴム製にしておくこともできる。
【0052】
排泄室3の外側壁には洗浄パイプ4と、温風パイプ5と、排出パイプ6とを夫々接続する。前記各パイプは、排泄室3内の適所へ夫々開口させてある。例えば洗浄水噴出パイプ4からの洗浄水噴出口4a、温風パイプ5からの温風吹き出し口5a、排出パイプ6が接続開口している排出口6aが設けられている。
【0053】
排泄処理装置10は、排泄室3の内壁表面に露出している又は排泄室3の内壁面内に埋設されていて、排泄室3内への排泄の有無を検知するセンサーを具備する検出装置を更に備えている構成にすることができる。
【0054】
また、排泄処理装置10は、中空カップ1の内壁表面に露出している又は中空カップ1の内壁面内に埋設されていて、排泄室3又はは中空カップ1内への排泄の有無を検知するセンサーを具備する検出装置を更に備えている構成にすることができる。
【0055】
また、排泄室3にも、中空カップ1にも検出装置の前述したセンサーが備えられている構成にすることができる。
【0056】
図示の実施形態では、排泄室3の壁面に、センサー7の一端に設けられている大便センサー7a、小便センサー7bがそれぞれ配備されている。大便センサー7aは大便の排泄があったこと、小便センサー7bは小便の排泄があったことを、例えば、電気的手段などによって、感知できるものである。
【0057】
この他に、温度感知センサーなどをセンサー7の一端に設け、排泄室3の壁面などに配備することができる。このセンサー7の一端に設けられるの温度感知センサーも、前記の大便センサー7a、小便センサー7bと同じく、排泄室3や中空カップ1の壁面内に埋め込む形式にすることができる。
【0058】
センサー7の他端は、後述の洗浄手段、吸引排出手段、乾燥手段などにON、OFF動作等の指令を出す制御器8に接続されている。
【0059】
排泄室3には、排泄室3内及び人体に水密に装着されている中空カップ1内の圧力バランスをとる為に、中空カップ1の内外を貫通して圧力バランスパイプ11が設けてあり、図1中、符号11aで示されているものはその開口部である。
【0060】
中空カップ1は、患者の陰部及び肛門を覆う形状であるので、図1図のように、横断面弧状で敷板2から上方向へ弧状に立ち上げてある。中空カップ1の開口部(身体との当接部)には小幅の折り返し部9が設けられている。
【0061】
なお、図1中、符号12で示されているのは、男性器案内管で、中空カップ1内へ着脱自在にされている。
【0062】
排泄物処理装置10は、仰向け状態の患者の尻部を敷板2上におき、中空カップ1で患者の陰部及び肛門を覆うようにして使用される。
【0063】
例えば、仰向け状態の患者の両足を開かせ、下半身側から上半身側に向けて排泄物処理装置10を移動させ、敷板2を人体の尻部の下に滑り込ませると共に、中空カップ1で患者の陰部及び肛門を覆うようにして、排泄物処理装置10を人体に装着する。この際、陰部及び肛門を覆うように人体に当接させた中空カップ1及び排泄室3内を減圧吸引することにより中空カップを人体へ水密に装着できる。
【0064】
なお、この状態で、中空カップ1の開口部が患者の陰部及び肛門を覆って人体にほぼ当接するように、敷板2と、中空カップ1との取付け角度が決めてある。
【0065】
排泄処理装置10は、必要に応じベルトを使用し、患者の局部(陰部及び肛門)と、中空カップ1とを大凡対向状態に保たせることもできる。中空カップ1は常時装着しているので、患者の移動により、患者の局部と中空カップ1とがずれるのを防ぎ、作動時の排泄処理を確実にする為である。
【0066】
本願発明の実施例を図2、3について説明すると次のとおりである。患者の排泄があると、センサー7a、あるいはセンサー7bで検知し、センサー7を介してその出力を制御器8に送る。
【0067】
そこで制御器8の指令により吸引装置13のモータ14を始動し、排気パイプ16を介し汚物タンク17内を減圧する。
【0068】
汚物タンク17内が減圧されると、吸引ホース18と排出パイプ6を介して排気される結果、中空カップ1内および排泄室3内が減圧され、排泄物は矢示19のように吸引ホース18で吸引され、排出パイプ6を介して汚物タンク17へ溜まる。
【0069】
一定時間(例えば1分間)吸引が継続すると、排泄物が全部排出されるので、制御器8の指令によりバルブ23を開き、バルブ21を閉じる。
【0070】
この場合に排気により温水タンク27内を加圧し、温水パイプ22と、洗浄パイプ4を経て送水し、中空カップ1内および排泄室3内を洗浄する。
【0071】
中空カップ1内および排泄室3内の洗浄が一定時間経過したならば(例えば1分間)バルブ23を閉じ、バルブ21を開き温水の送水を中止する。なお、加圧タンク内は適宜加温する。例えば37℃に自動制御する。
【0072】
なお、前記の排出パイプ6を介しての排泄物の吸引排出に加えて、圧力バランスパイプ11の開口部11a、洗浄水噴出口4a、温風吹き出し口5aからそれぞれ加圧空気、温水、乾燥空気を排泄室3内に吹き出させ、排泄室3内に溜まった排泄物を一層強力に、かつ強制的に、排出口6a、排出パイプ6を介して排出させることもできる。これによって、排出パイプ6を介した吸引と併せて、排泄室3内から完全に排泄物を排除し、中空カップ1内および排泄室3内を綺麗にし、清潔を保つことができる。
【0073】
次に、制御器8の指令により、送風パイプ26と温風パイプ5を介して温風を矢示28のように送り、中空カップ1内および排泄室3内を乾燥し、乾燥状態を不図示の温度感知センサーからセンサー7を介して検出して、モータ14を停止して全操作を終了する。
【0074】
前記において、排気ポンプ15からの排気は、排気処理25(脱臭及び殺菌)してから切替弁24を経て放出29する。従って長期間横臥する患者の部屋もいわゆる病人臭を生じるおそれはない。
【0075】
また、前記において、吸引装置13の排気は、排気処理15に送って浄化し、その排気は、切替弁24によって外界へ放出する。また吸引装置13の排気を加圧タンク27に送り、滅菌浄化20を経て送風する。これにより、中空カップ1内および排泄室3内は滅菌乾燥される。更に汚物タンク17は切り離して内容物をトイレ30に捨てる。
【0076】
ここで、前記の脱臭及び殺菌、滅菌する処理手段としては、オゾンや紫外線を利用して気体を殺菌、浄化、脱臭する手段として公知の空気殺菌脱臭装置を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明の実施例の斜視図。
【図2】同じく各装置の動作を説明する為のブロック図。
【図3】同じく各装置の接続を示すブロック図。
【符号の説明】
【0078】
1 中空カップ
2 敷板
3 排泄室
4 洗浄パイプ
5 温風パイプ
6 排出パイプ
7 センサー
8 制御器
9 折り返し部
10 処理装置
13 吸引装置
14 モータ
15 排気ポンプ
16 排気パイプ
17 汚物タンク
18 吸引ホース
21、23、24 切替弁
22 送水パイプ
26 送風パイプ
27 加圧タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の尻部を上側に載せる敷板であって、少なくとも、上側に載せられた人体の尻部に接触する部分が軟質弾性資材より形成されている敷板の上側へ、当該敷板の上側に尻部が載せられた人体の陰部及び肛門を覆う形状の中空カップであって、少なくとも、当該人体の陰部及び肛門を覆うように人体に当接された際に人体に接触する部分が軟質弾性資材より形成されている中空カップを直立状に連設し、排泄物流出空間を有する排泄室を該敷板と中空カップとの連接部内側に設け、該排泄室及び/又は中空カップに、洗浄手段、吸引排出手段及び、乾燥手段を接続したことを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項2】
排泄室の内壁表面に露出している又は排泄室の内壁面内に埋設されていて、排泄室内への排泄の有無を検知するセンサーを具備する検出装置を更に備えていることを特徴とする請求項1記載の排泄物処理装置。
【請求項3】
中空カップの内壁表面に露出している又は中空カップの内壁面内に埋設されていて、排泄室内又は中空カップ内への排泄の有無を検知するセンサーを具備する検出装置を更に備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の排泄物処理装置。
【請求項4】
陰部及び肛門を覆うように人体に当接させた前記中空カップ及び排泄室内を減圧吸引することにより前記中空カップを人体へ水密に装着可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の排泄物処理装置。
【請求項5】
洗浄手段は、一端が排泄室及び/又は中空カップに接続され、他端側が温水タンクに接続されている洗浄水パイプを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の排泄物処理装置。
【請求項6】
吸引排出手段は、一端が排泄室及び/又は中空カップに接続され、他端側が吸引装置を備えている汚物タンクに接続されている排出パイプを備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の排泄物処理装置。
【請求項7】
乾燥手段は、一端が排泄室及び/又は中空カップに接続され、他端側が温風生成装置に接続されている温風パイプを備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の排泄物処理装置。
【請求項8】
中空カップの内側へ男性器案内管を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の排泄物処理装置。
【請求項9】
吸引排出手段の排出パイプを介して排泄室から吸引された排気を脱臭及び殺菌処理する排気処理手段を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の排泄物処理装置。
【請求項10】
乾燥手段は、温風パイプを介して排泄室に送風される温風を殺菌・浄化処理する滅菌・浄化処理手段を更に備えていることを特徴とする請求項7記載の排泄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【国際公開番号】WO2005/041829
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515180(P2005−515180)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016134
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(598108722)
【Fターム(参考)】