説明

排泄物処理装置

【目的】本考案は、動物から排出される糞等の排泄物の処理に関し、排泄物の分解を促進させるために、細断して水と混合する排泄物処理装置に関し、自然環境を保護しつつ、排泄物の処理時間を短縮し、処理コストを低下できる排泄物処理装置を提供することを目的とする。
【構成】水を噴射させる噴射口202を備えた投入部2から排泄物を投入し、この投入された排泄物を細断し、前記噴射口202より噴射された水と混合するミキサ室4を有し、排泄物を水との混合物として貯留タンク等で貯留するため、排泄物の分解が促進され、自然環境を保護しつつ排泄物の処理時間を短縮し、処理コストを低下させることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、動物から排出される糞等の排泄物の処理に関し、排泄物の分解を促進させるために、細断して水と混合する排泄物処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、動物の糞等の排泄物専用の処理装置は存在していなかったため、排泄物の処理として、排泄物を一定期間タンク等に貯留して自然分解させるという方法が採られており、貯留タンク等である程度まで分解して排泄物は下水に排泄されたり、又は肥料として利用されていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
従来は以上のように動物の排泄物専用の処理装置が存在しておらず、自然分解のみに頼っていたため、分解のため長時間を要するという課題を有していた。特に、動物園等排泄物の量が多い場合には、貯留するためのタンクが大型化し、複数必要となりコストも高くなるという課題を有していた。
【0004】
また、排泄物の分解を自然分解のみで行なっていたため、完全に分解され難く、そのまま下水に排出された場合には自然環境を悪化させる場合があるという課題を有していた。
また、排泄物をタンク等に長期間貯留しておく必要があることから、タンク周辺に悪臭を放ち、周辺の環境をも悪化させるという課題を有していた。
【0005】
本考案は前記課題を解決するためになされたもので、自然環境を保護しつつ、排泄物の処理時間を短縮し、処理コストを低下できる排泄物処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る排泄物処理装置は、両端部に開口部を有し、下端部より上端部に向かって拡開する漏斗状の円筒筒体で形成される投入部と、前記投入部の拡開する上端部の円筒体内側に水を噴射する複数の噴射口と、前記投入部の下端部に接続され、当該投入部より投入された排泄物を細断し、水と混合するミキサ室を有するものである。
【0007】
また、本考案に係る排泄物処理装置は必要に応じて、複数の噴射口が投入部の円筒体内壁面の斜下方向に水を噴射し、当該投入部の内側面を渦巻状に水を流下させて排泄物をミキサ室側に供給するものである。
また、本考案に係る排泄物処理装置は必要に応じて、投入部とミキサ室の間に仕切弁を配設し、前記仕切弁の近傍に、投入部より投入された排泄物の重さを検知して検知信号を出力する検知センサを配設し、前記検知センサより出力された検知信号を検知して噴射口より水を噴射させるものである。
【0008】
【作用】
本考案に係る排泄物処理装置においては、水を噴射させる噴射口を備えた投入部から排泄物を投入し、この投入された排泄物を細断し、前記噴射口より噴射された水と混合するミキサ室を有し、排泄物を水との混合物として貯留タンク等で貯留するため、排泄物の分解が促進され、自然環境を保護しつつ排泄物の処理時間を短縮し、処理コストを低下させることができる。
【0009】
また、本考案に係る排泄物処理装置においては、噴射口より投入部の内側側面を渦巻き状に流れ落ちるように水を噴射させるため、少ない水量で投入部の内側に付着した排泄物を効果的に洗い流すことができる。
また、本考案に係る排泄物処理装置においては、検知センサにより排泄物が投入されたことを確認した後、噴射口より水が噴射されるために、不要な水の使用を避けて節水を行なうことができる。
【0010】
【実施例】
(本発明の実施例)
以下、本考案の実施例を図1ないし図5に基づいて説明する。この図1は本実施例に係る排泄物処理装置の外側正面図、図2は内部概略構成図、図3は図2に記載のミキサ室の詳細説明図、図4は図1記載の収集口の詳細説明図、図5は水の噴射態様図を示す。
【0011】
本考案に係る排泄物処理装置は、排泄物を処理する排泄物処理装置本体1と、前記排泄物処理装置本体1を収納するケーシング101とで構成される。
前記ケーシング101は、直方体形状の中空箱体で構成されており、この中空箱体の上側に蝶着され、ゴムパッキンを内側に配設して形成される外蓋103と、前記外蓋103の近傍には外蓋103を開蓋時に押圧密閉する外蓋コック102と、このケーシング101の側面に配設され、排泄物処理装置本体1を作動・停止させるスイッチSWと、このケーシング101の側面に配設され、排泄物処理装置本体1への水の供給を調整する給水コック112と、下側から装置本体を支持する4本の支持足104とを備える構成である。
【0012】
前記排泄物処理装置本体1は、上下端部に各々開口部として投入口201、収集口3を有し、収集口3より投入口201に向かって拡開する漏斗状の投入部2と、前記投入口201の周辺に複数の噴射口202と、投入部2の下側には略円筒形状のミキサ室4と、前記ミキサ室4の側方より延出する排出パイプ10と、前記噴射口202に接続され、給水コック112を有する給水パイプ11とを備える構成である。
【0013】
前記ミキサ室4の内部には、中心を駆動軸9で軸支された円盤状のカッター盤5と、この駆動軸9を回転駆動させるモータ7と、前記カッター盤5に間隔を置いてこのカッター盤5とモータ7との間に仕切板として配設され、このカッター盤5との間で混合部8を形成する円盤状のミキサ盤6とを有する構成である。
【0014】
前記カッター盤5は、図3に示すようにダイヤモンド紛状体又は粒状体を表面に塗布して形成される一対の刃501を駆動軸9を中心に対向配設し、複数の流下孔502を有する構成である。
また、前記投入部2とミキサ室4との接合部分に位置し排泄物を収集する収集口3は、図4に示すように中心に向かって窪む渦巻状の切込みを有するゴムの仕切弁301と、前記仕切弁301の上に載置され上部に取手303が配設される内蓋302を有する構成である。
【0015】
さらに、前記仕切弁103の近傍には、この仕切弁301上にある排泄物の重さを検知して、検知信号を出力する検知センサ304を有する構成である。
次に、前記構成に基づく排泄物の処理動作について説明する。
まず、外蓋103を開き、内蓋302を取り除いてケーシング101及び収集口3を各々開蓋状態とし、給水コック112を開放した状態で投入口201より排泄物を投入する。排泄物を投入した後、外蓋103を閉蓋し、外蓋コック102でケーシング101を密閉状態とした後にスイッチSWを操作してON状態とする。
【0016】
投入された排泄物は、投入部2を通って仕切弁301上に落ち、仕切弁301の近傍に配設された検知センサ304が排泄物の重さを検知し、検知信号を噴射口202に出力して噴射口202より水を噴射させ、投入部2の内側側面に付着した排泄物を洗い流す。このとき、図5に示すように噴射口202は斜下側の内側側面に向かって勢いよく水を噴射するため、噴射された水は投入部2の内側側面を収集口3の中心に向かって渦巻状に流れ込み、投入部2の内側側面に付着した排泄物を少ない水量で効果的に洗い流すことができることとなる。
【0017】
また、仕切弁301は、中心に向かって窪む渦巻状の切り込みを有する構成であるため、排泄物が当該仕切弁301よりミキサ室4へ落ちたとき、投入部2への跳ね返りを防止することとなる。
次に、噴射口202からの水の噴射が終了し、排泄物及び水がミキサ室4に流れ込むと同時に又は流れ込んだ後に、モータ7が駆動しミキサ処理を開始することとなる。
【0018】
ミキサ室4に流れ込んだ排泄物及び水のうち、排泄物はモータ7によって回転駆動するカッター盤5に配設された刃501によって細断され、さらにカッター盤5の回転によって水と混合されれ流下孔502よりカッター盤5及びミキサ盤6で仕切られた混合部8に流れ込む。このとき、刃501はダイヤモンドと同程度の硬度を有するため、排泄物に石その他硬い夾雑物が混入している場合でも細断することができることとなる。
【0019】
混合部8に流れ込んだ排泄物及び水の混合物は、ミキサ盤6によって混合されて順次排出されるか、又は混合物の量が一定量に達すると排出され、混合部8より延出する排出パイプ10を介して、貯留タンク等に排出されることとなる。
以上のように、投入された排泄物は細断されて水を混合されるために、貯留タンク等での分解時間が短時間で済み、且つ完全に分解することができるため、自然環境を悪化させることなく効率的に排泄物の処理を行なうことができることとなる。
【0020】
なお、本実施例においては、カッター盤5に一対の刃501を設ける構成としたが、刃501の数を任意に増加し、排泄物をより細かく細断することができる。
また、本実施例においては、噴射口202からの水の噴射が終了して一定時間後にモータ7を駆動させる構成とすることもできる。この場合にはミキサ処理動作を開始するまでの間に外蓋101を開蓋し、仕切弁301の上に内蓋302を載置した後、再び外蓋101を閉蓋して外蓋コック102で密閉する。
【0021】
このように、排泄物の洗い流し時及びミキサ処理動作時において、外蓋103及び内蓋302で各々排泄物処理装置1、ミキサ室4を完全に密閉するために、排泄物から放出される悪臭や、排泄物等の飛び散りを防止できることとなり、周囲の環境を悪化させることなく排泄物の処理が可能となる。
【0022】
また、前記実施例においてはスイッチSWの投入動作により起動させることとしたが、外蓋103の閉蓋状態及び検知センサ304の検知信号に基づいて自動的に起動状態に移行することもできる。
また、前記実施例においてはミキサ室4にて排泄物を細断すると共に水と混合して後段の貯留タンク等に貯留する構成としたが、排泄物及び水にバクテリア等の菌類を添加する構成とすることもできる。このように菌類を添加することにより、貯留タンク等に貯留された排泄物の混合物の腐敗をより促進させることができる。
【0023】
【考案の効果】
以上のように、本考案に係る排泄物処理装置においては、水を噴射させる噴射口を備えた投入部から排泄物を投入し、この投入された排泄物を細断し、前記噴射口より噴射された水と混合するミキサ室を有し、排泄物を水との混合物として貯留タンク等で貯留するため、排泄物の分解が促進され、自然環境を保護しつつ排泄物の処理時間を短縮し、処理コストを低下させることができるという効果を奏する。
また、本考案に係る排泄物処理装置においては、噴射口より投入部の内側側面を渦巻き状に流れ落ちるように水を噴射させるため、少ない水量で投入部の内側に付着した排泄物を効果的に洗い流すことができるという効果を有する。
また、本考案に係る排泄物処理装置においては、検知センサにより排泄物が投入されたことを確認した後、噴射口より水が噴射されるために、不要な水の使用を避けて節水を行なうことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る排泄物処理装置の外側正面図である。
【図2】本考案に係る排泄物処理装置の内部概略構成図である。
【図3】本考案に係る排泄物処理装置の部分詳細説明図である。
【図4】本考案に係る排泄物処理装置の部分詳細説明図である。
【図5】本考案に係る排泄物処理装置の水の噴射態様図である。
【符号の説明】
1 排泄物処理装置本体
2 投入部
3 収集口
4 ミキサ室
5 カッター盤
6 ミキサ盤
7 モータ
8 混合部
9 駆動軸
10 排出パイプ
11 給水パイプ
101 ケーシング
102 外蓋コック
103 外蓋
104 支持足
112 給水コック
201 投入口
202 噴射口
301 仕切弁
302 内蓋
303 取手
304 検知センサ
501 刃
502 流下孔
SW スイッチ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 両端部に開口部を有し、下端部より上端部に向かって拡開する漏斗状の円筒筒体で形成される投入部と、前記投入部の拡開する上端部の円筒体内側に水を噴射する複数の噴射口と、前記投入部の下端部に接続され、当該投入部より投入された排泄物を細断し、水と混合するミキサ室を有することを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項2】 前記請求項1に記載の排泄物処理装置において、前記複数の噴射口が投入部の円筒体内壁面の斜下方向に水を噴射し、当該投入部の内側面を渦巻状に水を流下させて排泄物をミキサ室側に供給することを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項3】 前記請求項1に記載の排泄物処理装置において、当該投入部とミキサ室の間に仕切弁を配設し、前記仕切弁の近傍に、投入部より投入された排泄物の重さを検知して検知信号を出力する検知センサを配設し、前記検知センサより出力された検知信号を検知して噴射口より水を噴射させることを特徴とする排泄物処理装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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