説明

排泄物性状測定装置

【課題】大便の性状を確認するにあたり、衛生面に優れると共に、被験者に生理的な嫌悪感を与えることを防止した排泄物性状測定装置を提供すること
【解決手段】被験者の排泄時の局部近傍に設定した所定の計測領域内の物体から放射される赤外線を受けて当該計測領域内の温度分布を計測する放射温度分布計測手段と、放射温度分布計測手段により計測される温度分布に基づいて計測領域内に排泄される便の種類を識別する便識別手段と、便識別手段が大便と識別した場合の温度分布に対して予め用意された性状判定基準を適用することにより、その大便の性状を判定する大便性状判定手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物性状測定装置に関する。さらに、詳細には、被験者の健康状態を把握する指標として大便の性状を判定する排泄物性状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、身体の健康状態を把握するために、便器内に排泄した排泄物、特に、大便の性状を確認することが広く行われている。
【0003】
このように大便の性状を確認する技術としては、例えば、被験者の排泄する大便を受ける便受け部を伸縮自在に備え、排泄時にこの便受け部を便器ボール内に伸出させて採取した大便の成分を抽出して分析する検査便座がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、便器内の大便を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段により撮像された大便の画像を提示して、その画像により大便の大きさ、色、硬さの様子を被験者に直接視認させるようにした排泄物確認装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平11−72492号公報
【特許文献2】特開2006−61296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術は次の問題を有していた。
【0006】
特許文献1に記載の検査便座では、便受け部が大便に直接触れることになるため、使用後に便受け部を洗浄する必要があるが、洗浄後であっても便受け部内に大便が残存することがあり不衛生であるという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載の排泄物確認装置では、被験者の着座により便器内が暗くなるため、別途照明などを用いなければ撮像手段による大便の撮像自体が困難であるという問題があった。また、撮像手段により大便の撮像ができる状況であっても、そもそも実際の大便の画像を視認すること自体が被験者に生理的な嫌悪感を与えてしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、大便の性状を確認するにあたり、衛生面に優れると共に、被験者に生理的な嫌悪感を与えることを防止した排泄物性状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、被験者の排泄時の局部近傍に設定した所定の計測領域内の物体から放射される赤外線を受けて当該計測領域内の温度分布を計測する放射温度分布計測手段と、前記放射温度分布計測手段により計測される温度分布に基づいて前記計測領域内に排泄される便の種類を識別する便識別手段と、前記便識別手段が大便と識別した場合の前記温度分布に対して予め用意された性状判定基準を適用することにより、その大便の性状を判定する大便性状判定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記便識別手段が尿と識別した場合の前記温度分布に基づいて被験者が排泄した尿の温度である尿温を算出する尿温算出手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、所定の計測領域内の物体から放射される赤外線を利用した計測で得られる温度分布を基にして大便の性状確認を行うため、特段の照明や大便に接触することも不要となり、被験者に実際の大便を視認する負荷を与えることなく大便の状態を知ることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、体温に密接な関係がある排泄直後の尿の温度から体温を推定することができるため、身体の健康状態をより的確に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る排泄物性状測定装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る排泄物性状測定装置の使用状態を示す側面視断面図であり、図2は、本実施形態に係る排泄物性状測定装置のリモコン装置を示す斜視説明図であり、図3は、本実施形態に係る排泄物性状測定装置のブロック図である。
【0015】
本実施形態における排泄物性状測定装置1は、被験者Pの排泄する排泄物の性質及び状態(性状)を判定する機能を備えた便器装置であり、図1に示すように、被験者Pが排尿や排便を行うための装置本体部10と、同装置本体部10が設置されたトイレブースの側壁面Wに取り付けられ、装置本体部10の操作等を行うためのリモコン装置11と、を有している。
【0016】
すなわち、この排泄物性状測定装置1は、被験者Pがリモコン装置11を操作することにより、装置本体部10に排泄された排泄物の排出や、排泄後の被験者Pの局部の洗浄や、局部の乾燥を行えるようにしており、また、装置本体部10にて被験者Pが排泄した排泄物の性状を測定し、リモコン装置11に備えられた表示部44にその測定結果を表示して、測定結果を被験者Pに知らせる機能を有している。
【0017】
さらに具体的に説明すると、装置本体部10は、床面G上に配設した便器部12と、同便器部12の後部側の上面に載設したケーシング14と、同ケーシング14にそれぞれ回動自在に枢支した便座15及び便蓋16とで構成している。
【0018】
便器部12は、被験者Pが排泄した排泄物を、床面Gに形成した排水口13に排出させる機能を有するものであり、貯水タンクに貯留した洗浄水を、ボウル部17内へ吐出する便器洗浄手段78(図3参照)が備えられており、この便器洗浄手段78からの水流により、トラップ管路18内でサイホン現象を強制的に生起させて排泄物を排水口13へ排出するようにしている。
【0019】
ケーシング14は、内部に、衛生洗浄装置部19と、排泄物性状測定部20と、装置本体部10の全体を制御する装置本体制御部21とを備えている。
【0020】
衛生洗浄装置部19は、被験者Pの局部の洗浄を行う衛生洗浄手段や、洗浄した局部の乾燥を行う局部乾燥手段を備えている。なお、図3では、説明の便宜上、この衛生洗浄装置部19と、前述した便器部12とを併せて、便器装置部77としている。
【0021】
図1及び図3に示すように、本実施形態に係る排泄物性状測定装置1において、衛生洗浄手段は、装置本体制御部21と、同装置本体制御部21により制御される衛生洗浄水噴射器22とで構成しており、また、局部乾燥手段は、装置本体制御部21と、同装置本体制御部21により制御される温風発生器24とで構成している。
【0022】
また、排泄物性状測定部20は、被験者Pが排泄した尿流から放射される赤外線を測定可能に構成した放射温度分布計測手段60と、便識別手段、大便性状判定手段、及び尿温算出手段として機能する排泄物性状測定制御回路27とにより構成している。
【0023】
この放射温度分布計測手段60は、被験者Pがボウル部17内に排泄する排泄物が被験者Pの排泄時の局部近傍に設定した所定の計測領域を通過するときに、その排泄物から放射される赤外線を受けて当該計測領域内の温度分布を計測するものであり、後に詳述する。
【0024】
また、装置本体制御部21は、放射温度分布計測手段60により得られたデータに基づいて、排泄物性状測定制御回路27が算出した温度のデータや大便性状のデータを記録する記録手段として機能するRAM34と、RAM34の動作等、装置本体部10全体の動作を制御するCPU36と、CPU36が装置本体部10全体の動作を制御するために実行する各種プログラムを記憶するROM38とを備えている。すなわち、CPU36、ROM38、及びRAM34から構成される装置本体制御部21は、装置本体部10全体の動作を統括制御する。
【0025】
なお、ここで、本実施形態に係る排泄物性状測定装置1に備えられたROM38についてさらに説明すると、このROM38には、本発明の要部であり後に図11のフローを用いて詳述するが、放射温度分布計測手段60の計測領域64内を通過する物体が大便であると識別された場合における放射温度分布計測手段60の計測した温度分布から、大便性状判定手段がその大便の性状を判定する際に参照される性状判定基準としての性状判定テーブルが記憶されている。
【0026】
装置本体制御部21は、装置本体部10に備えられた通信部32を介して、装置本体部10とリモコン装置11との間で各種制御信号や各種測定結果情報を送受信することができるように構成している。なお、この通信部32も前述のCPU36で制御されるものである。
【0027】
次に、リモコン装置11について説明する。リモコン装置11は、図2及び図3に示すように、排泄物性状測定装置1を操作するための各種操作ボタンを備えた機能操作部42と、排泄物性状測定装置1の制御内容や各種測定結果を表示するための表示部44と、装置本体部10との間で各種制御信号や各種測定結果の情報を送受信する通信部46と、装置本体部10における大便性状測定結果の情報等を記録するRAM48と、表示部44、通信部46、及びRAM48の動作等、リモコン装置11全体の動作を制御するCPU50と、CPU50がリモコン装置11全体の動作を制御するために実行する各種プログラムを記憶するROM52と、を備えている。CPU50、ROM52、及びRAM48は、リモコン装置11全体の動作を統括制御する制御部54を構成している。
【0028】
また、機能操作部42は、装置本体部10における排泄物性状測定を開始する際に被験者Pが操作する個人別測定スイッチ55と、装置本体部10における排泄物性状測定を終了する際に被験者Pが操作する測定終了スイッチ56と、便器部12を洗浄する際に被験者Pが操作する便器洗浄スイッチ57と、衛生洗浄装置部19により肛門又は尿道口の洗浄動作の開始を指示する衛生洗浄スイッチ58と、洗浄後の肛門又は尿道口の乾燥動作の開始を指示する局部乾燥スイッチ59と、局部の洗浄動作や乾燥動作の動作終了を指示する作動終了スイッチ61と、各種設定等を行うための設定スイッチ63と、を備えている。
【0029】
なお、個人別測定スイッチ55は、図2に示すリモコン装置11では4つのボタンを備えており、例えば家族など、排泄物性状測定装置1を長きに亘って使用する各被験者毎(各個人毎)に割り当てて使用するようにしている。
【0030】
具体的には、被験者A、被験者B、被験者C、被験者Dの4名がいる場合、被験者Aは、「1」のボタン、被験者Bは「2」のボタン、被験者Cは「3」のボタン、被験者Dは「4」のボタンを使用することとなる。
【0031】
これらの4つの個人別測定スイッチ55は、いずれのボタンも放射温度分布計測手段60の計測動作開始を指示する動作開始指示手段として機能するものであるが、制御部54のRAM48には、各ボタン毎に専用の記憶領域が割り当てられており、例えば、「1」のボタンを押して排泄物性状測定を行った場合、得られた結果は、「1」のボタン専用の記憶領域に格納されるようにしている。
【0032】
すなわち、被験者Aは、割り当てられた「1」のボタンを押下して排泄物性状測定を行うようにすることで、「1」のボタンに割り当てられたRAM48の記憶領域上には、被験者Aの排泄物性状測定結果のみが蓄積されるようにすることができる。なお、排泄物性状測定結果には、大便性状測定結果及び尿温測定結果(尿温測定値)が含まれることとする。
【0033】
また、個人別測定スイッチ55の各ボタンには、蓄積された大便性状測定結果を表示部44に表示できるよう構成しても良い。
【0034】
これにより、例えば、「1」のボタンを押して、「1」のボタンに割り当てられたRAM48の記憶領域上に蓄積されている被験者Aの排泄物性状測定結果を表示部44にて表示させることができ、被験者Aの排泄物の性状の推移を容易に知ることができる。
【0035】
また、個人別測定スイッチ55を押下した際に、動作開始指示手段として機能させる場合や、排泄物性状測定履歴を表示させる場合などには、パスワードを要求するように構成しても良い。
【0036】
このように構成することで、個人情報の漏洩を防止したり、プライバシーを保護することが可能となる。
【0037】
(放射温度分布計測手段の具体的構成について)
次に、ケーシング14内部に設けられた放射温度分布計測手段60の具体的な構成について、図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、放射温度分布計測手段60のブロック図である。
【0038】
放射温度分布計測手段60は、図4に示すように、尿の温度に応じて尿から放射される赤外線を受光することによって生じる熱起電力を検出信号として出力する複数の受光素子62aが縦横に隣接配置されて形成された受光素子部としての温度検出素子62を有している。温度検出素子62としては、多数の熱電対を接続して赤外線の受光によって生じる熱起電力を検出信号として出力するサーモパイル素子を複数個まとめて一体にパッケージしたサーモパイル素子アレイなどを採用することができる。
【0039】
温度検出素子62として、サーモパイル素子アレイを採用した場合には、このサーモパイル素子アレイは、図4に示すように、シリコン基板(図示せず)に8行×8列のマトリクス状に64個のサーモパイル素子(受光素子62a)が隣接配置され、外観視で略平板状をなす受光素子群を構成している。
【0040】
さらに、放射温度分布計測手段60は、温度検出素子62の前方に配置され温度検出素子62の計測領域64を通過する尿から放射される赤外線を温度検出素子62に集光させる集光光学系66と、温度検出素子62に近接配置された接触型の基準温度素子68と、装置本体制御部21の制御に従って所定のタイミングで各受光素子62aのアドレス信号を出力するアドレス信号出力手段70と、複数の受光素子62aからの各検出信号をアドレス信号出力手段70から入力されるアドレス信号に基づいて選択するスキャン手段72と、スキャン手段72により選択された受光素子62aからの検出信号や基準温度素子68からの検出信号を増幅する増幅手段74と、増幅手段74からの検出信号をデジタル信号に変換して装置本体制御部21に送信するA/D変換手段76と、を備えている。
【0041】
そして、温度検出素子62、基準温度素子68、スキャン手段72、及び増幅手段74は、図示しない筐体内に封止収納され、この筐体の前面に集光光学系66を一体成形した尿温計測モジュール80を構成している。
【0042】
また、放射温度分布計測手段60は、排泄物性状測定制御回路27を介して装置本体制御部21に接続されている。
【0043】
この排泄物性状測定制御回路27は、後に図11〜図13のフローを用いて説明する処理を実行することにより、放射温度分布計測手段60により得られた計測領域64内の温度分布に基づいて計測領域64内に排泄される便の種類を識別する便識別手段として機能したり、また、便識別手段が大便と識別した場合の温度分布に対して前述の性状判定テーブルを適用することにより、その大便の性状を判定する大便性状判定手段として機能したり、さらには、後に便識別手段が尿と識別した場合の温度分布に基づいて被験者が排泄した尿の温度である尿温を算出する尿温算出手段として機能するものである。
【0044】
次に、温度検出素子62の計測領域64の設定方法に関して以下に説明する。
【0045】
被験者Pから排泄された尿の正確な温度を計測するには、排出された直後の尿の温度を計測することが好ましいが、それを計測するためには、温度検出素子62の計測領域64を、被験者Pから排出された直後の尿流に位置させることが必要となる。
【0046】
そこで、本実施形態では、図5に示すように、上記した温度検出素子62の計測領域64(以下、温度検出素子の計測領域を、尿温計測モジュールの計測領域、又は放射温度分布計測手段60の計測領域とも指称する。)を、便座15に着座した被験者Pの臀部P−1と便器部12の便器ボール面17aとにより形成される便器空間90内に位置する被験者Pの尿道先端口P−2近傍に設定している。なお、図5(a)は、放射温度分布計測手段60における尿温計測モジュール80の配置を示す平面図、図5(b)は、図5(a)におけるA−A断面図である。
【0047】
すなわち、図5(a)(b)に示すように、放射温度分布計測手段60における尿温計測モジュール80は、その計測領域64の中心軸65が便座15に着座して形成される便器空間90内に位置する被験者Pの尿道先端口P−2へ向って漸次接近するように、便座15に着座した被験者Pの臀部P−1へ向けた上方傾斜状態で、排泄物性状測定部20のケーシング14内に設けられている。
【0048】
上記のように温度検出素子62の計測領域64が便座15に着座して形成される領域である尿道先端口P−2近傍に設定されているため、被験者Pの尿道先端口P−2から排泄された直後の位置で尿の温度を測定することが可能となり、排泄された尿から周囲の空気への放熱の影響を受けることなく、尿の温度を正確に測定することができる。
【0049】
また、被験者Pが便座15に着座した状態では便座開口部15aによって便器空間90における被験者Pの尿道先端口P−2を含む臀部P−1の位置が安定するため、本実施形態のように温度検出素子62の計測領域を便座15位置を基準に固定しても、被験者Pの排泄する尿を排泄直後の位置で温度検出素子62の計測領域64内に確実に捕捉することができる。
【0050】
ところで、前述したように被験者Pが便座15に着座した状態では、被験者Pの尿道先端口P−2は、一般に便座15の左右方向中心線上に安定して存在している。しかしながら、この状態では、被験者Pの尿道先端口P−2の左右方向には、被験者P自身の臀部P−1が存在している。
【0051】
このため、温度検出素子62の設置位置は便器空間90内で且つ、便座15の左右方向中心線を含む垂直平面内に近い位置が、光学的な尿の温度の計測には適していると言える。
【0052】
そこで、本実施形態では、図5(a)に示すように、放射温度分布計測手段60の受光部である温度検出素子62の計測領域64の中心軸65を、便器空間90の便座15の左右方向中心を通過する垂直平面上に配置するように、温度検出素子62を備えた尿温計測モジュール80が配設されている。なお、図5(a)において、A−A断面は、便座15の左右方向中心線を通過する便器空間90の垂直平面である。
【0053】
さらに、放射温度分布計測手段60における複数の受光素子62aを、便器空間90の後方に配置している。具体的には、図5(b)に示すように、温度検出素子62を設けた尿温計測モジュール80は、便器空間90の後方、すなわち、便座15の後部下面と便器部12の上部に形成されたリム部12aの後部上面との間に突出したケーシング14の中央前端部に配置されている。
【0054】
このように構成することにより、便座15に着座した被験者Pの尿道先端口P−2近傍を放射温度分布計測手段60の計測領域64内により確実に捕捉して、被験者Pの尿道先端口P−2から排泄された直後の尿の温度を容易に測定することができる。
【0055】
次に、上述してきた構成を踏まえ、前述の性状判定基準(性状判定テーブル)を放射温度分布計測手段60により得られた計測領域64内の温度分布に適用することにより、その大便の性状を判定する大便性状判定手段の処理概念について述べる。なお、この大便性状判定手段の処理は、本発明の要部を構成するものであるが、ここでは得られた温度分布からどうように大便の性状を判定するかについて述べるに留め、実際の処理の流れについては図11及び図12のフローを用いて後に説明する。
【0056】
先に図4を用いて説明したように、A/D変換手段76によりデジタル信号に変換された検出信号は、排泄物性状測定制御回路27に送信される。
【0057】
排泄物性状測定制御回路27では、供給される検出信号は、受光素子62a毎に逐次温度データに変換されることとなる。ここで、温度データとは、例えば「36.1℃」など、受光素子62a毎に得られる個々の温度値を示すデータのことをいう。
【0058】
特に、本実施形態で使用している温度検出素子62は、縦8個×横8個で計64個の受光素子62aを備えており、スキャン手段72で1回スキャンすることにより、排泄物性状測定制御回路27では64個の温度データが得られることとなる。
【0059】
この64個の一連の温度データは、集光光学系66による温度検出素子62上での結像状態を加味しながら8×8の2次元データとして配列させると、図6の左側に示すように、計測領域64内の上下左右それぞれの方向に対応した温度分布を示すデータとなる。なお、以下の説明において、1回のスキャンで得られた温度データを2次元に配列させたデータを温度分布データという。すなわち、この温度分布データは、放射温度分布計測手段60によって計測された計測領域64内の温度分布の一形態である。この図6に示した温度分布データは、任意の瞬間に尿流を計測して得られた温度分布データであり、尿流を計測した際に得られる温度分布データの一例として示したものである。
【0060】
次に、排泄物性状測定制御回路27は、得られた温度分布データを量子化する。ここで量子化とは、温度分布データを構成する各温度データを、さらに離散的なレベル値に変換することをいい、具体的には、温度データが28℃未満であればレベル1、28℃以上32℃未満であればレベル2、32℃以上42℃未満であればレベル3の3値に変換する。便宜上以下の説明において、1つの温度データに対応して量子化されたデータを量子化データと呼び、1つの温度分布データに対応して量子化された分布データを量子化分布データと呼ぶ。
【0061】
量子化は、3値に限定されるものではないが、前述の温度範囲や閾値には次のような理由があるため、後に排泄物の性状測定を行う際に有用である。すなわち、28℃未満(レベル1)とは、ボウル部17内の温度に馴染んでいる物体ということができ、排泄物性状測定の対象がない部位であると考えることができる。このレベル1に量子化される物体としては、例えば、排泄物性状測定装置1が設置されている場所の気温が20℃とした場合において、20℃の便器ボール面17aや、15℃の封水が挙げられる。勿論、この便器ボール面17aや封水は、排泄物性状測定の際に計測対象外(物体非検知)とすべきものである。
【0062】
また、28℃以上32℃未満(レベル2)とは、気温よりも温度は高いものの、温度が低めの物体や、もともとは体温付近の温度であったが、放熱により温度が低下した物体ということができる。このレベル2に量子化される物体としては、例えば、肛門より排泄中の大便の下端部や、尿流や大便の周囲の空気の温度を挙げることができる。なお、尿流自体は、流下する速度が速く、また、前述のように計測領域64を尿道先端口P−2の近傍としているため、計測領域64内での温度低下はほとんどない。
【0063】
また、32℃以上42℃未満(レベル3)とは、体温付近の物体ということができる。このレベル3に量子化される物体としては、尿流や、人体から排泄された直後の大便、手などの人体の一部が挙げられ、本発明に係る排泄物性状測定装置1の計測対象である尿流もこのレベル3に分類される。
【0064】
このように各温度データから変換された量子化データは、前述の温度分布データと同様に8×8の2次元データとして配列させると、図6の右側に示す量子化分布データとなる。この量子化分布データもまた、温度分布データと同様に、放射温度分布計測手段60によって計測された計測領域64内の温度分布の一形態である。
【0065】
そして、得られた温度分布データと、量子化分布データとは、一対の対応するデータとして排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域に記憶される。
【0066】
この、温度データの生成に始まり、温度分布データ及び量子化分布データを記憶するまでの過程は、1回のスキャン毎(例えば、0.1秒毎)に行われ、これが排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域に所定回数分蓄積されることで、経時的に連続した一連のデータ群として、後の処理で用いられることとなる。
【0067】
このようにして所定回数分蓄積された一連の温度分布データを、以下の説明において温度分布データ群といい、所定回数分蓄積された一連の量子化分布データを、量子化分布データ群という。温度分布データ群及び量子化分布データ群もまた、放射温度分布計測手段60によって計測された計測領域64内の温度分布の一形態といえる。
【0068】
なお、上述の所定回数(温度分布データ群や量子化分布データ群を構成するのに必要なスキャン回数)は、特に限定されるものではなく、被験者Pの排泄物性状測定装置1の使用状態や、温度検出素子62の性能に応じて適宜決定することができる。例えば、本実施形態では、0.1秒毎にスキャンを行うこととしたため、前記所定回数は、10回(1秒分の両分布データ群)や50回(5秒分の両分布データ群)などとすることができる。
【0069】
このように、本実施形態では、温度分布データや、量子化分布データを所定回数蓄積することで、計測領域64内の経時的な温度分布の変化を検出できるようにしている。
【0070】
図7は、物体が計測領域64内に入った際に得られる量子温度データ群の例を示しており、図7(a)は尿、(b)は硬便、(c)は通常便、(d)は軟便の量子温度データ群である。なお図7では、説明の便宜上、得られた量子化分布データ群のなかから、それぞれ5つの量子化分布データを抜粋して示している。
【0071】
図7にも示すように、尿、硬便、通常便、軟便などの物体は、このように量子化して、各量子化分布データ毎や、各量子化分布データを経時的に参照することで、それぞれの物体に応じた特徴を見出すことができる。
【0072】
これらの特徴を判定要素として性状判定テーブルとしたものを図8(a)に示す。なお、図8(b)は、硬便、通常便、軟便と比較して説明するために示した尿流の特徴を示す表であり、また、便識別手段が放射温度分布計測手段60の計測領域64内を通過する物体を尿であると識別する際に参照する尿識別テーブルとなるものである。この尿識別テーブルもまた、図8(a)に示す性状判定テーブルと共にROM52に記憶されている。
【0073】
本実施形態では、図8(a)の性状判定テーブル及び図8(b)の表に示すように、判定要素を「直線性」、「面積等」、「検出時間」、「連続性」、「上下温度差」の5つとし、それぞれの物体(尿、大便(硬便、通常便、軟便))の性状を定義している。
【0074】
ここで、直線性とは、各量子化分布データ毎におけるレベル3及びレベル2の量子化データの上下方向への直線性のことをいう。
【0075】
例えば、図7(a)に示す尿流の量子化分布データを参照すると、レベル3の量子化データが上下方向へ直線状に並んでおり、図8(b)に示す表では、尿流の直線性は「高い(直線状)」となる。
【0076】
また、図7(b)に示す硬便の量子化分布データを参照すると、レベル3の量子化データは、殆ど上下方向に直線状とはなっておらず、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、硬便の直線性は「低い(塊状)」と定義されることとなる。
【0077】
同様に、性状判定テーブルでは、通常便や軟便の直線性についても定義されている。
【0078】
また、「面積等」とは、各量子化分布データ毎におけるレベル3及びレベル2の量子化データの幅や面積、形状のことをいう。
【0079】
例えば、図7(a)に示す尿流の量子化分布データを参照すると、左右方向へレベル3及びレベル2の量子化データが3つ並んでおり、図8(b)に示す表では、尿流の面積等は「細い」となる。
【0080】
また、図7(b)に示す硬便の量子化分布データを参照すると、レベル3及びレベル2の量子化データは、左右方向に4つ程の広がりがあるものの、上下方向へは連続しておらず、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、硬便の面積等は「塊状」と定義されることとなる。
【0081】
また、図7(c)に示す通常便の量子化分布データを参照すると、レベル3及びレベル2の量子化データは、左右方向に4つ程の広がりがあり、中断があるものの、上下方向へ連続傾向が見られることから、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、通常便の面積等は「太い」と定義されることとなる。
【0082】
同様に、性状判定テーブルでは、軟便の面積等についても定義されている。
【0083】
また、「検出時間」とは、後に図10のフローを用いて説明することとなるが、被験者Pが計測開始の指示を行ってから、測定終了がなされるまでの間に、所定の物体(例えば硬便)が検出された継続時間のことをいう。
【0084】
放尿に要する一般的な時間は5〜15秒といわれており、図8(b)に示す表では、尿流の検出時間は「5〜15秒」となる。
【0085】
また、硬便は一般に便秘の際に排泄されるものであり、排泄に時間を要するものであるため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、硬便の検出時間は「60秒程度以上」と定義されることとなる。
【0086】
また、通常便を排泄する際に要する時間は、一般に10〜20秒程度といわれており、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、通常便の検出時間は「10〜20秒程度」と定義されることとなる。
【0087】
同様に、性状判定テーブルでは、軟便の検出時間についても「5〜10秒程度」と定義されている。
【0088】
また、「連続性」は、量子化分布データ群の中で、各量子化分布データを経時的に検証した際に、同様の量子化分布データのパターンが続くか否かを示す要素である。
【0089】
例えば、図7(a)に示す尿流の量子化分布データを参照すると、多少の違いはあるものの、ほぼ同様の量子化分布データのパターンが連続しており、図8(b)に示す表では、尿流の連続性は「高い」となる。
【0090】
また、図7(b)に示す硬便の量子化分布データを参照すると、塊状の硬便が落下する状態がパターンとして現れており、いずれの量子化分布データもパターンがあまり重複しておらず、また、硬便は便秘時に排泄されるものであり、排泄される間隔が開くことが多いため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、硬便の連続性は「連続しない場合が多い」と定義されることとなる。
【0091】
また、図7(c)に示す通常便の量子化分布データを参照すると、大便の排泄であることから、排泄される間隔が開くこともあるが、排泄された際には連続することとなるため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、通常便の連続性は「ほぼ連続」と定義されることとなる。
【0092】
また、図7(d)に示す軟便の量子化分布データを参照すると、大便の排泄であることから、排泄される間隔が開くこともあるが、排泄された際には連続することとなるため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、軟便の連続性は「ほぼ連続」と定義されることとなる。
【0093】
また、「上下温度差」は、量子化分布データの中の上部近傍と下部近傍とを比較した際に、どの程度温度差があるかを示す要素である。
【0094】
例えば、図7(a)に示す尿流の量子化分布データを参照すると、レベル3の量子化データが上下方向に連続しているため、図8(b)に示す表では、尿流の上下温度差は「非常に小さい」となる。
【0095】
また、図7(b)に示す硬便の量子化分布データを参照すると、塊状の硬便が落下する状態がパターンとして現れており、上下方向に連続していないため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、硬便の上下温度差は「中程度若しくは大きい」と定義されることとなる。
【0096】
また、図7(c)に示す通常便の量子化分布データを参照すると、排泄された際には上下方向に連続するが、排泄がとぎれた瞬間の量子化分布データが得られて、上部近傍と下部近傍との間に温度差が生じることもあるため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、通常便の上下温度差は「中程度」と定義されることとなる。
【0097】
また、図7(d)に示す軟便の量子化分布データを参照すると、レベル3の量子化データが上下方向に連続しているものの、大便であることから尿流ほど流下する速度は速くなく、量子化分布データの下部近傍では放熱が検知されることとなるため、図8(a)に示す性状判定テーブルでは、軟便の上下温度差は「小さい」と定義されることとなる。
【0098】
なお、尿流と軟便との量子化分布データは、比較的類似することとなるが、大便である軟便に比して尿流の方が流下する速度が速いため、尿流の上下温度差は「非常に小さい」となるが、軟便の上下温度差は「小さい」に留まることとなり、尿流と軟便とを識別する上で上下温度差は大きな要素となる。
【0099】
換言すれば、上下温度差は、計測対象となる物体の流下速度を検知する要素であるとも言える。
【0100】
したがって、大便(硬便、通常便、軟便)のうち一般に最も流下速度が大きい軟便の上下温度差(「小さい」)と、尿の上下温度差(「非常に小さい」)とを比較対照することにより、大便と尿とを確実に識別することができることとなる。この点から、「上下温度差」は、便識別手段が放射温度分布計測手段60の計測領域64内に排泄される便の種類(大便、尿)を識別する際の重要な判定要素であると言える。
【0101】
上述してきた各物体の特徴に基づいて、性状判定テーブルは定義されている。
【0102】
そして、この性状判定基準としての性状判定テーブルが、大便性状判定手段によって、所定回数分蓄積された量子化分布データ群に対して適用される(対比照合される)ことにより、計測領域64内に排泄される大便の性状が判定される。
【0103】
すなわち、性状判定テーブルによれば、計測領域64を通過する物体が大便である場合に、その大便の性状を判定、言い換えると、その大便が硬便、通常便、又は軟便のいずれであるかを判定することができる。
【0104】
なお、本実施形態における性状判定基準としての性状判定テーブルでは、判定要素を「直線性」、「面積等」、「検出時間」、「連続性」、「上下温度差」の5つとし、それぞれの物体に応じた性状を定義したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、その他の判定要素を加えたり、また、その逆に判定要素を減らしたり、また、上記5つの判定要素でも本実施形態とは異なった基準で判定を行うようにしても良い。
【0105】
また、便識別手段が大便と識別した場合の温度分布に対して、性状判定テーブルを適用することにより、大便性状判定手段が、その大便の性状を判定するに際し、温度分布を解析して各判定要素の比較を行うための具体的なアルゴリズムは、特に限定されるものではなく、排泄物性状測定装置1の仕様等に応じて適宜選択可能である。
【0106】
次に、このように構成した排泄物性状測定装置1の本実施形態における排泄物性状測定の手順を、図9〜図13に示す動作フローチャートにより以下に説明する。
【0107】
まず、被験者Pが便座15に着座した状態でリモコン装置11の機能操作部42における個人別測定スイッチ55を押圧操作する(ステップS10)。
【0108】
この押圧操作に基づいて、リモコン装置11の制御部54は、放射温度分布計測手段60による計測動作を開始させるための指示信号、すなわち、計測動作開始指示信号を通信部46を介して装置本体部10の装置本体制御部21のCPU36へ送信する。
【0109】
CPU36は、通信部32を介して計測動作開始指示信号を受信すると、排泄物性状測定制御回路27を作動させる。
【0110】
そして、排泄物性状測定制御回路27は、放射温度分布計測手段60の制御を開始して、排泄物性状測定処理を実行する(ステップS11)。この排泄物性状測定処理は、図10におけるステップS20〜ステップS28までの処理であり、後に詳説する。
【0111】
次に、装置本体制御部21は、RAM34に記憶されている放射温度分布計測手段60からの尿温測定値の情報、及び大便性状測定結果の情報(以下、これらの情報を総称して「排泄物性状測定結果情報」と言う。)を通信部32を介してリモコン装置11の制御部54へ送信する。
【0112】
通信部46を介して放射温度分布計測手段60の大便性状測定結果の情報及び尿温測定値の情報を受信すると、リモコン装置11の制御部54は、この大便性状測定結果及び尿温測定値を表示部44に表示する(ステップS12)。この際、尿温測定が行われなかったことを示す値を受信した場合には、表示部44には、例えば、「尿温測定は行われませんでした」等の表示を行って被験者に尿温測定が行われなかった旨を報知する。
【0113】
その後、排泄物性状測定部20の排泄物性状測定制御回路27、装置本体部10の装置本体制御部21、及びリモコン装置11の制御部54は、次回の排泄物性状測定に必要な所定の測定準備動作を行い、一連の排泄物性状測定が終了する(ステップS13)。
【0114】
次に、ステップS11における排泄物性状測定処理について、図10を参照して具体的に説明する。
【0115】
図10に示すように、まず、排泄物性状測定処理では、被験者Pが便座15に着座した状態で、ある物体が放射温度分布計測手段60における温度検出素子62の計測領域64を通過すると、排泄物性状測定部20における排泄物性状測定制御回路27は、温度検出素子62における各受光素子62aを順次スキャンして得られる温度検出信号と、基準温度素子68からの温度検出信号とから各受光素子62a毎の全64個分の計測温度を算出し、これを1回のスキャン(1フレーム)分の温度データ、すなわち、全64個分の計測温度で形成する温度分布データを生成する(ステップS20)。
【0116】
このとき、CPU36は、温度検出素子62における全ての受光素子62aについて、例えば、図3に示す温度検出素子62では8行×8列の全64個の受光素子62aについて、それぞれ温度を算出する。
【0117】
次に、排泄物性状測定制御回路27は、得られた温度分布データを参照し、量子化分布データに変換する(ステップS21)。
【0118】
次に、排泄物性状測定制御回路27は、得られた温度分布データと量子化分布データとを、一対の対応するデータとして排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域に記憶する(ステップS22)。
【0119】
次に、排泄物性状測定制御回路27は、温度分布データ及び量子化分布データが予め設定された数、すなわち、予め設定されたフレーム数に達したか否かを判定し(ステップS23)、両分布データの数が予め設定されたフレーム数に達していないと判定すると(ステップS23:No)、処理をステップS20に戻す。
【0120】
例えば、1秒間に各10フレームの両分布データが得られる場合であって、予め設定された各フレーム数が50フレームである場合には、着座状態であれば5秒間でそれぞれ50フレーム分の両分布データが27の一時記憶領域に記憶される。
【0121】
一方、排泄物性状測定制御回路27は、フレーム数が予め設定された回数に達したと判定すると(ステップS23:Yes)、便識別処理を行う(ステップS24)。換言すると、排泄物性状測定制御回路27は、予め設定されたフレーム数の温度分布データ及び量子化分布データが蓄積されて、それぞれ、温度分布データ群及び量子化分布データ群が形成されたと判断した場合には、便識別処理をおこなうようにしている。
【0122】
このステップS24の便識別処理は、排泄物性状測定制御回路27において実行されることにより、便識別手段として機能するものであり、本発明の要部の一つでもあるため、後に図11を用いて更に詳説する。
【0123】
便識別処理では、得られた量子化分布データ群に対して、放射温度分布計測手段60の計測領域64に入った物体が何であったかを示す便識別フラグを設定する処理を行う。
【0124】
また、後述するが、計測領域64に入った物体が大便であると識別された場合、すなわち得られた量子化分布データ群が大便により得られた量子化分布データ群であると判断された場合には、この量子化分布データ群に性状判定基準としての性状判定テーブルを適用して、その時点での大便の性状を決定し、その大便の性状を示す性状判定フラグを設定する処理を行う。
【0125】
また、後述するが、計測領域64に入った物体が尿であると識別された場合、すなわち、得られた量子化分布データ群が尿により得られた量子化分布データ群であると判断された場合には、この量子化分布データ群に対応する温度分布データ群より、その時点での尿温計測値を決定する。
【0126】
この便識別処理が終了すると、次に、排泄物性状測定制御回路27は、温度分布データ群に、便識別フラグの値と性状判定フラグの値と尿温計測値とを付して、装置本体制御部21のRAM34の所定アドレスに記憶させる(ステップS25)。
【0127】
次に、排泄物性状測定制御回路27は、リモコン装置11の機能操作部42における測定終了スイッチ56が押圧操作されたか否かを判定する(ステップS26)。
【0128】
すなわち、排泄物性状測定制御回路27は、放射温度分布計測手段60による計測を終了させるための終了信号を通信部46を介してリモコン装置11の測定終了スイッチ56から受信したか否かを判定することにより、排泄物性状測定を終了すべきか否かを判定するのである。
【0129】
なお、リモコン装置11に測定終了スイッチ56を設けずに、ステップS25でRAM34に記憶される便識別フラグの値が、所定の時間だけ継続して、物体の非検知を示す値(具体的には、「0」)であった場合に、終了信号が発信されることとしてもよい。
【0130】
上記判定の結果、測定終了スイッチ56が押圧操作されていないと判定すると(ステップS26:No)、排泄物性状測定制御回路27は、処理をステップS20に戻す。
【0131】
なお、前述したステップS25の動作は、終了信号を受信するまで繰り返されることとなるが、装置本体制御部21のRAM34に記憶される便識別フラグの値を付した温度分布データ群は、上書き消去されずに、逐次蓄積される。
【0132】
一方、測定終了スイッチが押圧操作されたと判定すると(ステップS26:Yes)、排泄物性状測定制御回路27は、大便性状判定処理を行うこととなる(ステップS27)。
【0133】
このステップS27の大便性状判定処理は、排泄物性状測定制御回路27において実行されることにより、大便性状判定手段として機能するものであり、本発明の要部の一つでもあるため、後に図12を用いて更に詳説する。
【0134】
大便性状判定処理では、RAM34に蓄積された温度分布データ群の中から、後述する大便の識別を示す便識別フラグ値が付された温度分布データ群を抽出し、さらに、その抽出した温度分布データ群に付された性状判定フラグ値から、大便の性状を判定(大便性状測定結果を確定)する処理を実行する。
【0135】
この大便性状判定処理が終了すると、次に、排泄物性状測定制御回路27は、尿温算出処理を行う(ステップS28)。
【0136】
このステップS28の尿温算出処理は、排泄物性状測定制御回路27において実行されることにより、尿温算出手段として機能するものであり、本発明の要部の一つでもあるため、後に図13を用いて更に詳説する。
【0137】
尿温算出処理では、RAM34に蓄積された温度分布データの中から、後述する尿の識別を示す便識別フラグ値が付された温度分布データ群を抽出して、被験者Pが排泄した尿の温度の算出(尿温測定値の確定)を行う処理を実行する。
【0138】
この尿温算出処理が終了すると、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0139】
次に、ステップS24における便識別処理について、図11を参照して具体的に説明する。
【0140】
前述したように、この便識別処理は、本発明の要部の一つとして、排泄物性状測定制御回路27において実行されることにより、便識別手段として機能するものであり、下記の特徴を有する。
【0141】
すなわち、処理として、まず、所定のアルゴリズムを用いて、所定の量子化分布データ群の間で上述した判定要素「上下温度差」について対比照合を行うことで、計測領域64に排泄される便の種類(大便及び尿)を識別する。
【0142】
この対比照合の結果、「上下温度差」が「小さい」以上、すなわち、「大きい」、「中程度」、「小さい」のいずれかである場合には、計測領域64内に入った物体が大便であると識別する。
【0143】
そして、その大便と識別された量子化分布データ群に、性状判定テーブルを適用し、所定のアルゴリズムを用いて各判定要素について対比照合を行うことで、現時点での大便の性状(硬便、通常便、軟便)を判定(決定)するようにしている。
【0144】
一方、「上下温度差」が「非常に小さい」又は「判定不能」である場合には、計測領域64に入った物体が大便以外の物体であると識別し、その大便以外の物体と識別された量子化分布データ群に、さらに、尿識別テーブルを適用し、所定のアルゴリズムを用いて各判定要素について対比照合を行うことで、尿を識別する。なお、以下の説明において、「所定の量子化分布データ群が、尿識別テーブルの各判定要素を満足する」ことを、「尿識別基準に合致する」という。
【0145】
そして、その尿と識別された量子化分布データ群に対応する温度分布データ群より、その時点での尿温計測値を決定するようにしている。
【0146】
以下に、この便識別処理について、図11に示すフローを追いながら具体的に説明する。
【0147】
まず、排泄物性状測定制御回路27は、排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に記憶された量子化分布データ群の中に、「レベル2」又は「レベル3」の量子化データを少なくとも1つ含む量子化分布データがあるか否かを判断する(ステップS31)。
【0148】
この判断の結果、排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に記憶された量子化分布データ群の中に、「レベル2」又は「レベル3」の量子化データを少なくとも1つ含む量子化分布データがないと判断すると(ステップS31:No)、すなわち、量子化分布データ群の中の各量子化分布データを構成する量子化データが全て「レベル1」の量子化データであると判断すると、排泄物性状測定制御回路27は、便識別フラグの値を物体の非検知を示す「0」に設定し(ステップS32)、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0149】
一方、排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に記憶された量子化分布データ群の中に、「レベル2」又は「レベル3」の量子化データを少なくとも1つ含む量子化分布データがあると判断すると(ステップS31:Yes)、排泄物性状測定制御回路27は、所定のアルゴリズムを用いて、同量子化分布データ群の間で判定要素「上下温度差」について対比照合を行い、「上下温度差」が「小さい」以上、すなわち、「大きい」、「中程度」、又は「小さい」であるか否かを判断する(ステップS33)。
【0150】
すなわち、このステップS33の処理では、判定要素「上下温度差」が「小さい」以上である量子化分布データ群は、大便(硬便、通常便、軟便)によって得られたものと識別する一方、判定要素「上下温度差」が「小さい」以上でない量子化分布データ群は、大便以外の物体であると識別するようにしている。
【0151】
なお、本実施系形態では、判定要素「上下温度差」を用いて計測領域64内の物体が大便であるか否かを識別するようにしたが、これに限らず、その他の判定要素(例えば、「直線性」、「面積等」、「検出時間」、「連続性」など)を用いた識別や、複数の判定要素を任意に組み合わせた識別を行うようにしても良い。
【0152】
上記判断の結果、「上下温度差」が「小さい」以上であると判断すると(ステップS33:Yes)、すなわち、計測領域64に入った物体が大便であると判断すると、排泄物性状測定制御回路27は、同排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に、装置本体制御部21のROM38に予め用意された性状判定基準としての性状判定テーブルを読み出す(ステップS34)。
【0153】
次いで、排泄物性状測定制御回路27は、所定のアルゴリズムを用いて、一時記憶領域上に記憶されている所定の量子化分布データ群に、性状判定テーブルを適用し、対比照合を行って、性状判定テーブルに含まれる大便の分類(硬便、通常便、軟便)のうち、同量子化分布データ群が各判定要素を満足する分類を特定する(ステップS35)。
【0154】
次いで、排泄物性状測定制御回路27は、ステップS35で特定された分類を、その量子化分布データ群における大便の性状として決定する(ステップS36)。
【0155】
そして、排泄物性状測定制御回路27は、決定した大便の性状に応じた値を性状判定フラグに設定する(ステップS37)。例えば、性状判定フラグの値としては、大便が「硬便」である場合には「1」を、「通常便」である場合には「2」を、「軟便」である場合には「3」をそれぞれ設定することができる。
【0156】
なお、上述のステップS34〜ステップS37の処理は、後述する大便性状判定手段の一部として機能するものである。
【0157】
そして、排泄物性状測定制御回路27は、便識別フラグの値を大便の識別を示す「1」に設定し(ステップS38)、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0158】
一方、ステップS33の判断の結果、「上下温度差」が「小さい」以上でない(「非常に小さい」又は「測定不能」である)と判断すると(ステップS33:No)、すなわち、計測領域64に入った物体が大便以外の物体であると判断すると、排泄物性状測定制御回路27は、排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に、装置本体制御部21のROM38に予め用意された尿識別テーブルを読み出す(ステップS39)。
【0159】
次に、排泄物性状測定制御回路27は、所定のアルゴリズムを用いて、一時記憶領域上に記憶されている所定の量子化分布データ群に、尿識別テーブルを適用し、対比照合を行って、尿識別基準に合致するか否かを判断する(ステップS40)。
【0160】
その結果、尿識別基準に合致すると判定すると(ステップS40:Yes)、すなわち、計測領域64に入った物体が尿であると判断すると、排泄物性状測定制御回路27は、この判定に使用された量子化分布データ群に対応する温度分布データ群について、温度検出素子62における受光素子62a毎の温度データに対して平均化処理を行い、予め設定されたフレーム数における各受光素子62aの平均計測温度を算出する(ステップS41)。
【0161】
例えば、温度検出素子62における全ての受光素子62aについて、50フレーム分の平均計測温度を算出する。このように、予め設定されたフレーム数における各受光素子62aの平均計測温度を算出することにより、一般に受光素子62a毎に発生する検出信号のノイズによる計測値への影響量を軽減することができる。
【0162】
そして、排泄物性状測定制御回路27は、予め設定されたフレーム数における各受光素子62aの平均計測温度のうち、最大値を抽出し、これを現時点での尿温計測値として確定する(ステップS42)。
【0163】
すなわち、排泄物性状測定制御回路27は、赤外線を受光した複数の受光素子62aの出力信号からそれぞれの計測温度を算出し、これらの温度のうち最高温度を、放射温度分布計測手段60の尿温測定値とする処理を行う。これにより、一般に尿の温度は被験者Pの皮膚温度よりも高温であるため、排泄物性状測定装置1は放射温度分布計測手段60の計測領域64内に被験者Pの体の一部が存在しても、尿の温度を確実に測定することができる。
【0164】
なお、上述のステップS41及びステップS42は、後述する尿温算出手段の一部として機能するものでもある。
【0165】
そして、排泄物性状測定制御回路27は、便識別フラグの値を小便の識別を示す「2」に設定し(ステップS43)、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0166】
一方、ステップS40の判断の結果、尿識別基準に合致しないと判定すると(ステップS40:No)、排泄物性状測定制御回路27は、異常報知処理を実行する(ステップS44)。
【0167】
このステップS44の異常報知処理は、放射温度分布計測手段60の計測領域64に入った物体が大便でも尿でもない場合に、被験者Pに対して測定異常を報知するための処理である。
【0168】
具体的には、この処理において、排泄物性状測定制御回路27は、測定異常を示すメッセージを表示部44に表示するための指示コマンドをCPU36へ送信する。この指示コマンドは、CPU36からリモコン装置11のCPU50に送信され、このCPU50の制御によって、測定異常を示すメッセージが表示部44に表示される。
【0169】
なお、測定異常を示すメッセージとして、計測領域64に入った物体が手である場合と、手以外の異物である場合とで別個のメッセージを作成して報知するようにしてもよい。この種のメッセージとしては、例えば、「手を退けてください」や「異物が検知されて測定不能です。」などのメッセージを用いるとよい。
【0170】
この異常報知処理により、排泄物性状測定の際に、局部の拭き取り動作を行う手など測定障害物が放射温度分布計測手段60の計測領域64内に誤って侵入した場合であっても、被験者Pにその測定障害物を除去するよう注意を喚起することができ、より正確な排泄物性状測定を行うことができる。
【0171】
そして、排泄物性状測定制御回路27は、便識別フラグの値を測定異常を示す「3」に設定し(ステップS45)、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0172】
次に、ステップS27における大便性状判定処理について、図12を参照して具体的に説明する。
【0173】
前述したように、この大便性状判定処理は、本発明の要部の一つとして、排泄物性状測定制御回路27において実行されることにより、大便性状判定手段の一部として機能するものであり、下記の特徴を有する。
【0174】
すなわち、まず、前述のステップS25によりRAM34に蓄積された複数の温度分布データ群から便識別フラグの値が大便の識別を示す「1」である温度分布データ群を抽出し、その後、その抽出した温度分布データ群に付された性状判定フラグ値(「1」〜「3」)から、最終的な大便性状測定結果を確定するようにしている。
【0175】
以下に、この大便性状判定処理について、図12に示すフローを追いながら具体的に説明すると、まず、排泄物性状測定制御回路27は、同排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に、RAM34に蓄積された複数の温度分布データ群のうち便識別フラグの値が大便の識別を示す「1」である温度分布データ群を読み出す(ステップS50)。
【0176】
次いで、排泄物性状測定制御回路27は、読み出した温度分布データ群に付された性状判定フラグの値をカウントして最も多い値の性状判定フラグを抽出し、この性状判定フラグに応じた大便の性状(硬便、通常便、軟便)を、放射温度分布計測手段60の大便性状測定結果として確定し、これをRAM34に記憶させ(ステップS51)、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0177】
次に、ステップS28における尿温算出処理について、図13を参照して具体的に説明する。
【0178】
前述したように、この尿温算出処理は、本発明の要部の一つとして、排泄物性状測定制御回路27において実行されることにより、尿温算出手段の一部として機能するものであり、下記の特徴を有する。
【0179】
すなわち、前述のステップS25によりRAM34に蓄積された複数の温度分布データ群から便識別フラグの値が尿の識別を示す「2」である温度分布データ群を抽出し、その抽出した温度分布データ群の尿温計測値に基づいて、最終的な尿温測定値を確定するようにしている。
【0180】
以下に、本尿温算出処理について、図13に示すフローを追いながら具体的に説明すると、まず、排泄物性状測定制御回路27は、同排泄物性状測定制御回路27の一時記憶領域上に、RAM34に蓄積された複数の温度分布データ群から便識別フラグの値が「2」である温度分布データ群を読み出す(ステップS60)。
【0181】
次いで、排泄物性状測定制御回路27は、読み出した温度分布データ群を参照し、個人別測定スイッチ55が押圧操作されてから測定終了スイッチ56が押圧操作されるまでの間の各時点での尿温計測値のうち最大値を抽出し、放射温度分布計測手段60の尿温測定値として確定し、これをRAM34に記憶させ(ステップS41)、分岐前の元のアドレスに復帰して処理を継続する。
【0182】
ここまで述べてきたように、本実施形態に係る排泄物性状測定装置1の排泄物性状測定制御回路27は、便識別処理を実行することで、放射温度分布計測手段60により計測される温度分布に基づいて計測領域64内に排泄される便の種類を識別する便識別手段として機能し、また、前述のステップS34〜ステップS37の処理や大便性状測定処理を実行することで、便識別手段が大便と識別した場合の温度分布に対して予め用意された性状判定基準(性状判定テーブル)を適用することにより、その大便の性状を判定する大便性状判定手段として機能し、また、便識別手段が尿と識別した場合の前記温度分布に基づいて被験者が排泄した尿の温度である尿温を算出する尿温算出手段として機能する。
【0183】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0184】
例えば、本実施形態では、排泄物性状測定制御回路27に所定の処理を実行させることにより、便識別手段、大便性状判定手段、及び尿温算出手段として機能させることとしているが、特にこれに限定されるものではなく、装置本体制御部21に所定の処理を実行させることにより、上記各手段として機能させるようにしても良いのは勿論である。
【0185】
また、本実施形態では、尿温測定に関する操作や表示を行うものとして排泄物性状測定部20とは別に設けたリモコン装置11に表示部44や機能操作部42等を設置し、排泄物性状測定部20との通信を行なって全体として機能する構成としているが、リモコン装置11の機能が排泄物性状測定部20に含まれる構成でも良い。その場合、操作部や表示部はケーシング14から前方に伸びる袖操作部(図示せず)に設けることで実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の使用状態を示した側部断面説明図である。
【図2】本実施形態に係る排泄物性状測定装置に備えられたリモコン装置の斜視説明図である。
【図3】本実施形態に係る排泄物性状測定装置のブロック図である。
【図4】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の放射温度分布計測手段のブロック図である。
【図5】放射温度分布計測手段における尿温計測モジュールの配置を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係る排泄物性状測定装置における量子化の概念を示した説明図である。
【図7】物体が計測領域内に入った際に得られる量子化分布データ群の例を示した説明図である。
【図8】性状判定テーブル、及び、尿識別テーブルを示した説明図である。
【図9】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の排泄物性状測定の処理を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の排泄物性状測定の処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の排泄物性状測定の処理を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の排泄物性状測定の処理を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る排泄物性状測定装置の排泄物性状測定の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0187】
1 排泄物性状測定装置
10 装置本体部
11 リモコン装置
12 便器部
12a リム部
13 排水口
14 ケーシング
15 便座
15a 便座開口部
16 便蓋
17 ボウル部
17a 便器ボール面
18 トラップ管路
19 衛生洗浄装置部
20 排泄物性状測定部
21 装置本体制御部
22 衛生洗浄水噴射器
24 温風発生器
27 排泄物性状測定制御回路
32 通信部
34 RAM
36 CPU
38 ROM
42 機能操作部
44 表示部
46 通信部
48 RAM
50 CPU
52 ROM
54 制御部
55 個人別測定スイッチ
56 測定終了スイッチ
57 便器洗浄スイッチ
58 衛生洗浄スイッチ
59 局部乾燥スイッチ
60 放射温度分布計測手段
61 作動終了スイッチ
62 温度検出素子
62a 受光素子
63 設定スイッチ
64 計測領域
65 中心軸
66 集光光学系
68 基準温度素子
70 アドレス信号出力手段
72 スキャン手段
74 増幅手段
76 A/D変換手段
77 便器装置部
78 便器洗浄手段
80 尿温計測モジュール
90 便器空間
G 床面
P 被験者
P−1 臀部
P−2 尿道先端口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の排泄時の局部近傍に設定した所定の計測領域内の物体から放射される赤外線を受けて当該計測領域内の温度分布を計測する放射温度分布計測手段と、
前記放射温度分布計測手段により計測される温度分布に基づいて前記計測領域内に排泄される便の種類を識別する便識別手段と、
前記便識別手段が大便と識別した場合の前記温度分布に対して予め用意された性状判定基準を適用することにより、その大便の性状を判定する大便性状判定手段と、を有することを特徴とする排泄物性状測定装置。
【請求項2】
前記便識別手段が尿と識別した場合の前記温度分布に基づいて被験者が排泄した尿の温度である尿温を算出する尿温算出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の排泄物性状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図7】
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