説明

排熱回収ボイラ及びその運転方法

【課題】ボイラの水処理方法として苛性ソーダ処理を採用する場合に、ドレン管に苛性ソーダの濃縮によるアルカリ腐食又はアルカリ脆化を防止すること。
【解決手段】給水管1から給水されるドラム3と、排ガス流れ16中の蒸発器伝熱管7と、蒸発器伝熱管7にドラム3内の水を供給するドラム降水管4と、ドラム降水管4からドレンをボイラ系外にドレン弁13を介して排出するドレン管11,12と、を備えた排熱回収ボイラであって、ドラム3には苛性ソーダを含む薬品を注入する注入配管22が設けられ、ドレン管は、高温の排ガス中に配置される排熱回収ボイラケーシング内ドレン管11と、排熱回収ボイラケーシング外ドレン管12と、からなり、給水管1からの給水の一部をケーシング外ドレン管12に連続的に給水するドレン管パージ水配管14をドレン弁13の上流側に接続して、ドレン管内の苛性ソーダの濃縮を防止しアルカリ腐食を回避すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排熱回収ボイラの腐食防止装置に係わり、ドラムボイラの水処理方法(リン酸塩処理、アルカリ処理等)として、アルカリ処理の一種である苛性ソーダ処理(OH処理とも称する)または第3リン酸ソーダに苛性ソーダを添加する水処理を採用した場合に、ボイラケーシング内に配置されたドレン管における苛性ソーダの濃縮により発生するアルカリ腐食又はアルカリ脆化を防止するための装置又は運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排熱回収ボイラ装置のドラムおよび蒸発器にはリン酸塩処理やアルカリ処理等の水処理が施されて腐食、浸食の防止が図られており、このような防止策は、例えば特許文献1に従来技術として開示されている。
【0003】
しかしながら、ドレン管がボイラケーシング内に配置されたボイラでは苛性ソーダの濃縮を防止する装置は設置されていなかったため、ドラムボイラの水処理方法として苛性ソーダ処理(OH処理)または第3リン酸ソーダに苛性ソーダを添加する水処理を採用した場合に、ドレン管でアルカリ腐食又はアルカリ脆化発生の可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−196833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の従来の苛性ソーダ処理において、ボイラケーシング内に配置されたドレン管には、運転中に流体の流れがなく、周囲は高温ガス雰囲気の状態にあるため、僅かずつではあるが、ドレン管内において沸騰するのでドラム水中に含まれている苛性ソーダは濃縮される。ドレンの沸騰により苛性ソーダが濃縮され、濃度がある一定のレベル以上になるとドレン管内でアルカリ腐食又はアルカリ脆化を発生する。そして、ドレン配管でアルカリ腐食又はアルカリ脆化を発生した場合、ドレン配管でリークを発生することになり、プラントを停止して補修が必要になるため、プラント運用上で重大な課題となる。
【0006】
また、上記の特許文献1には、加熱ユニットの配管でアルカリが濃縮してアルカリ腐食を生じる課題が開示されているものの、この課題解決のため給水ラインに高いpH運用を図るpH調整剤を注入することが開示されているにとどまる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
排熱回収ボイラの水処理手法として、ドラム内の水に苛性ソーダを注入する苛性ソーダ処理と、第3リン酸ソーダに苛性ソーダを添加する水処理を用いた排熱回収ボイラにおいて、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管に前記ドラム内の水を供給するドラム降水管と、ボイラ系外にドレンを排出するドレン弁と、前記ドラム降水管と前記ドレン弁とを接続するドレン管と、を有し、前記ドラムと前記ドラム降水管を通して前記蒸発器伝熱管に供給される水の一部が、排熱回収ボイラの運転中において、前記ドレン弁の上流側のドレン管にパージ水配管を通して供給され、前記水の一部を連続的に又は間欠的に流すことによって前記ドレン管内での前記苛性ソーダの濃縮を防止する構成とする。
【0008】
また、給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、を備えた排熱回収ボイラであって、前記ドラムには、ドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管が設けられ、前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、前記ケーシング外ドレン管に連続的に給水するドレン管パージ水配管が、前記給水調節弁の下流側と、前記ケーシング外ドレン管に接続された前記ドレン弁の上流側との間に接続される構成とする。
【0009】
また、給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、前記ドラムのドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管と、を備えた排熱回収ボイラにおける運転方法において、前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、前記ケーシング外ドレン管に接続されたドレン弁は、排熱回収ボイラの運転積算時間又は前記ドレン管内での苛性ソーダ濃度値を基に間欠的に短時間開動作され、前記ケーシング内ドレン管内で濃縮した苛性ソーダをボイラ系外に排出するように運転制御される排熱回収ボイラの運転方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボイラの水処理方法として苛性ソーダ処理または第3リン酸ソーダに苛性ソーダを添加する水処理を採用した場合に、排熱回収ボイラケーシング内に配置されるドレン管に発生する可能性のあるアルカリ腐食又はアルカリ脆化を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例1における給水管の水をボイラケーシング外の蒸発器ドレン管に供給する系統構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例2におけるドラム降水管の水をボイラケーシング外の蒸発器ドレン管に供給する系統構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例3における給水調節弁上流側の給水管の水を駆動装置付き遮断弁を介してボイラケーシング外の蒸発器ドレン管に供給する系統構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例4におけるドレン管内のドレンを駆動装置付きドレン弁を介してボイラ通常運転時においてボイラ系外にパージする運転方法を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例5におけるドレン管内のドレンをボイラ通常運転時においてボイラ系外にパージするパージ系統構成とその運転方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラについて、図1〜図5を参照しながら以下説明する。まず、排熱回収ボイラで使用される配管における腐食、浸食を防止する水処理方法の背景について概説する。配管には、水処理方法(配管内に錆が生じないように薄く安定した酸化皮膜を形成するための処理)としてリン酸塩処理やアルカリ処理が施されて腐食、浸食を防止しており、具体的には排熱回収ボイラのドラム内にリン酸ソーダや苛性ソーダを注入している。
【0013】
ドラムボイラの水処理方法として日本国内では、リン酸塩処理が多く採用されているが、リン酸塩処理を行った場合にはボイラ排水にリンが混入する。排水にリンが混入すると海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがあることから、閉鎖性海域に排水を行う場合には濃度の規制が行われている。また、リン酸塩処理を行った場合には、リン酸のハイドアウト及びハイドアウトリターンという現象を発生して、ドラム水のpHが熱負荷により大きく変動する現象を発生する場合があり、リン酸塩処理法の課題となっている。
【0014】
ドラムボイラの水処理方法として苛性ソーダを単独で注入するか、またはリン酸ソーダと苛性ソーダを注入してドラム水のpHを積極的にコントロールする方法があるが、この水処理方法はアルカリ処理と称されており、従来から低圧のボイラに採用されている。ここで、アルカリ処理を高圧のボイラに使用すると、苛性ソーダの局部的な濃縮が発生して、苛性アルカリによるアルカリ腐食又はアルカリ脆化を発生する場合があるので、アルカリ処理の採用は熱負荷の小さい低圧のボイラに限られていたが、高圧のボイラであってもドラム水に1ppm程度の低濃度の苛性ソーダをボイラに注入する苛性ソーダ処理(OH処理とも称され、また、CT(Caustic Treatment)とも称される)が採用され始めている。また、酸性リン酸塩腐食を防止するために第3リン酸ソーダに苛性ソーダを添加した薬品をドラムに注入する水処理方法も採用され始めている。
【0015】
苛性ソーダを含む薬品を注入する水処理を採用した場合、苛性ソーダの添加濃度が小さいので、水・蒸気流れのある部分に対してはアルカリ腐食又はアルカリ脆化の発生は小さいと考えられるが、通常運転中に水・蒸気流れの無いドレン管が高温雰囲気中に配置されている場合には、苛性ソーダが除々に濃縮されて、当該ドレン管内でアルカリ腐食又はアルカリ脆化を発生するおそれが考えられる。
【0016】
そこで、本発明においては、苛性ソーダ処理を採用した場合に発生すると予想される高温雰囲気中に配置されているドレン管等の停滞水部で発生するアルカリ腐食又はアルカリ脆化を防止することを意図するものである。
【0017】
本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの複数の実施例について、図1〜図5を用いて以下説明する。図面において、1は給水管、2は給水調節弁、3はドラム、4はドラム降水管、5は蒸発器供水管、6は蒸発器入口管寄せ、7は蒸発器伝熱管、8は蒸発器出口管寄せ、9は蒸発器上昇管、10は飽和蒸気管、11は排熱回収ボイラケーシング内蒸発器ドレン管、12は排熱回収ボイラケーシング外蒸発器ドレン管、13は排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁、14は蒸発器ドレン管パージ水配管、15は排熱回収ボイラケーシング、16はガス流れ、17は蒸発器ドレン管パージ水配管遮断弁、18は排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁(駆動装置付)、19は排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管、20は排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス弁、21は排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管流量制限オリフィス、22は苛性ソーダ注入配管、をそれぞれ表す。
【0018】
次に、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例1について、図1を参照しながら以下説明する。図1は、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例1における給水管の水をボイラケーシング外の蒸発器ドレン管に供給する系統構成を示す図である。
【0019】
図1において、給水ポンプから送られて来た水は給水管1によりドラム3に給水される。給水調節弁2により、ドラムの水位が一定になるように調整される。ドラム3に給水された水は、ドラム降水管4に入り、蒸発器供水管5に流れていく。蒸発器供水管5から送られて来た水は、蒸発器入口管寄せ6に入り、蒸発器伝熱管7で、ガス流れ16による排ガスの熱を受けて、水と蒸気の気液混合体となり、蒸発器出口管寄せ8に入り蒸発器上昇管9を経由して、ドラム3に戻って行く。
【0020】
ドラム3で、蒸気と水が分離され、蒸気は飽和蒸気管10から出ていく。ドラム3で分離された水は、給水管1から送られてきた水と一緒になりドラム降水管4に入り、再び同じ経路をたどりドラム3に戻っていく。
【0021】
ドラム降水管4には、排熱回収ボイラの停止時に蒸発器の水を抜くため、排熱回収ボイラケーシング内ドレン管11と排熱回収ボイラケーシング外ドレン管12及び排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁13が設置されている。また、ドラムボイラの水処理方法として、苛性ソーダを含む薬品をドラム3に注入する苛性ソーダ注入配管22が設けられている。
【0022】
排熱回収ボイラケーシング内ドレン管11は、ガス流れ16の高温ガス中に配置されており、ドレン管11の内部の水は僅かずつではあるが沸騰するので、ドラム水に苛性ソーダが含まれている場合には徐々に濃度が高くなってくる。
【0023】
図1に示す本実施形態の実施例1は、特に、排熱回収ボイラケーシング内ドレン管11内の水の苛性ソーダ濃度が高くならないように、図示する蒸発器ドレン管パージ水配管14を設置したことを特徴とする。すなわち、給水管1(給水調節弁2の下流側)と、排熱回収ボイラケーシング外ドレン管12(ドレン弁13の上流側)を結ぶ配管を設置することにより、僅かの水を蒸発器ドレン管12に連続的に流し込むことにより、ドレン管12,11内での苛性ソーダの濃縮を防止する。すなわち、蒸発器ドレン管パージ水配管14からの水はドレン管12とドレン管11を通して入口管寄せ6側に流れ込むこととなる。
【0024】
ここで、蒸発器ドレン管パージ水配管14の入口側を給水調節弁2の下流側に接続することで、ドレン管12,11へのパージ水は、給水調節弁2の制御に対応した水量が連続的に流れることになる(給水調節弁2が閉のときにパージ水は流れることはない)。
【0025】
なお、ドレン管パージ水配管14のドレン管への給水位置は、排熱回収ボイラケーシング内ドレン管11でもよいが、この場合には、極力排熱回収ボイラのケーシング15近くに接続して、苛性ソーダが濃縮する範囲をドレン管11内に残さないようにする必要がある。当然のことではあるが、排熱回収ボイラの通常運転時にはドレン弁13は閉じた状態を維持している。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例2について、図2を参照しながら以下説明する。図2は、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例2におけるドラム降水管の水をボイラケーシング外の蒸発器ドレン管に供給する系統構成を示す図である。
【0027】
図2において、図1に示す実施例1と違う点は、蒸発器ドレン管に供給する水を、給水管1からドラム降水管14に変更した点である。ドラム降水管14と、排熱回収ボイラケーシング外蒸発器ドレン管12を結ぶ配管を設けることにより、ドラム降水管4内の水の一部は、排熱回収ボイラケーシング外蒸発器ドレン管12とケーシング内蒸発器ドレン管11に流れていくことになり、実施例1と同様の作用により、排熱回収ボイラケーシング内蒸発器ドレン管11で苛性ソーダが濃縮するのを防止できる。なお、ドレン管パージ水配管14のドレン管への給水位置は、実施例1と同様に排熱回収ボイラケーシング内蒸発器ドレン管11でもよい。また、実施例2は、蒸発器入口管寄せ6に供水する水の一部をドレン弁の上流側に継続して注水することにおいて、実施例1と共通している。ただ、水の送り元が給水調節弁2の下流側か(実施例1)、ドラム降水管4の途中か(実施例2)の相違である。
【0028】
次に、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例3について、図3を参照しながら以下説明する。図3は、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例3における給水調節弁上流側の給水管の水を駆動装置付き遮断弁を介してボイラケーシング外の蒸発器ドレン管に供給する系統構成を示す図である。
【0029】
図3において、図1に示す実施例1と違う点は、蒸発器ドレン管パージ水配管14に蒸発器ドレン管パージ水配管遮断弁17と設けた点と、蒸発器ドレン管パージ水配管14の水抜き出し位置を給水調節弁2の上流側とした点と、にある。
【0030】
蒸発器ドレン管パージ水遮断弁17を定期的又は間欠的に開けることにより排熱回収ボイラケーシング内蒸発器ドレン管11の水を蒸発器伝熱管7側へ押し出してドレン管11内の苛性ソーダの濃縮を防止する。モータ付きの電動遮断弁17の開のタイミングは、例えば、ボイラの運転積算時間又は苛性ソーダ濃度の検出値に基づいて決定しても良い。また、ドレン管パージ水配管14の入口側を給水調節弁2の上流側とすることで、ドレン管パージ水の量調整は給水調節弁2の調節とは独立して制御することができる。
【0031】
次に、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例4について、図4を参照しながら以下説明する。図4は、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例4におけるドレン管内のドレンを駆動装置付きドレン弁を介してボイラ通常運転時においてボイラ系外にパージする運転方法を示す図である。
【0032】
図4において、実施例4は、排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁として、排熱回収ボイラ蒸発器に駆動装置付のドレン弁18を設置し、排熱回収ボイラの通常運転時において、積算運転時間又は苛性ソーダ濃度を基にして定期的又は間欠的に自動的に短時間だけ(ボイラの正常運転を阻害しないように)、ドレンを系外にパージ出来るようにしたものである。定期的に又は間欠的にドレン管11,12内のドレンを駆動装置付きドレン弁18を通してボイラ系外にパージする運転方法を採用することにより、排熱回収ボイラケーシング内蒸発器ドレン管11での苛性ソーダの濃縮を防止することが出来る。
【0033】
次に、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例5について、図5を参照しながら以下説明する。図5は、本発明の実施形態に係る排熱回収ボイラの実施例5におけるドレン管内のドレンを排熱回収ボイラの通常運転時においてボイラ系外にパージするパージ系統構成とその運転方法を示す図である。
【0034】
図5において、実施例5は、蒸発器ドレン弁18に排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管19を設置することを特徴としている。さらに、排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管19には、排熱回収ボイラドレン弁(駆動装置付き)20と排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管流量制限オリフィス21を設置する。実施例5ではオリフィス21を設置することにしているが、流量を制限する装置であれば何でもよい。
【0035】
前述した図4に示すような排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁(駆動装置付)18を運転中に開けると大量のボイラ水がブローされ、蒸発器への流れが阻害されると同時にドラム3の水位が変動する恐れがあり得る。実施例5は、このような蒸発器への流れの阻害と、ドラム3の水位の過度の変動を防止するために、蒸発器ドレン弁バイパス配管19を設置するとともに、蒸発器ドレン弁バイパス配管19に、オリフィス21等の流量を制限する装置を設置することにより、蒸発器ドレン管11,12内のドレンを排熱回収ボイラの通常運転時において、ボイラ系外にブローする時に発生する上述した恐れを回避するようにしたものである。
【符号の説明】
【0036】
1 給水管
2 給水調節弁
3 ドラム
4 ドラム降水管
5 蒸発器供水管
6 蒸発器入口管寄せ
7 蒸発器伝熱管
8 蒸発発器出口管寄せ
9 蒸発器上昇管
10 飽和蒸気管
11 排熱回収ボイラケーシング内蒸発器ドレン管
12 排熱回収ボイラケーシング外蒸発器ドレン管
13 排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁
14 蒸発器ドレン管パージ水配管
15 排熱回収ボイラケーシング
16 ガス流れ
17 蒸発器ドレン管パージ水配管遮断弁
18 排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁(駆動装置付)
19 排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管
20 排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス弁
21 排熱回収ボイラ蒸発器ドレン弁バイパス配管流量制限オリフィス
22 苛性ソーダ注入配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排熱回収ボイラの水処理手法として、ドラム内の水に苛性ソーダを含む薬品を注入する水処理を用いた排熱回収ボイラにおいて、
排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管に前記ドラム内の水を供給するドラム降水管と、ボイラ系外にドレンを排出するドレン弁と、前記ドラム降水管と前記ドレン弁とを接続するドレン管と、を有し、
前記ドラムと前記ドラム降水管を通して前記蒸発器伝熱管に供給される水の一部が、排熱回収ボイラの運転中において、前記ドレン弁の上流側のドレン管にパージ水配管を通して供給され、
前記水の一部を連続的に又は間欠的に流すことによって前記ドレン管内での前記苛性ソーダの濃縮を防止する
ことを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項2】
給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、を備えた排熱回収ボイラであって、
前記ドラムには、ドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管が設けられ、
前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、
前記ケーシング外ドレン管に連続的に給水するドレン管パージ水配管が、前記給水調節弁の下流側と、前記ケーシング外ドレン管に接続された前記ドレン弁の上流側との間に接続される
ことを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項3】
給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、を備えた排熱回収ボイラであって、
前記ドラムには、ドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管が設けられ、
前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、
前記ケーシング外ドレン管に連続的に給水するドレン管パージ水配管が、前記ドラム降水管と、前記ケーシング外ドレン管に接続された前記ドレン弁の上流側との間に接続される
ことを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項4】
給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、を備えた排熱回収ボイラであって、
前記ドラムには、ドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管が設けられ、
前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、
前記ケーシング外ドレン管に給水するドレン管パージ水配管が、前記給水調節弁の上流側と、前記ケーシング外ドレン管に接続された前記ドレン弁の上流側との間に接続されるとともに、前記ドレン管パージ水配管には間欠的に給水するための遮断弁を設ける
ことを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項5】
給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、前記ドラムのドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管と、を備えた排熱回収ボイラにおける運転方法において、
前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、
前記ケーシング外ドレン管に接続されたドレン弁は、前記排熱回収ボイラの運転中において、排熱回収ボイラの運転積算時間又は前記ドレン管内での苛性ソーダ濃度値を基に間欠的に短時間開動作され、前記ケーシング内ドレン管内で濃縮した苛性ソーダをボイラ系外に排出するように運転制御される
ことを特徴とする排熱回収ボイラの運転方法。
【請求項6】
給水調節弁を通して給水管から給水されるドラムと、排ガス流れ中に配置される蒸発器伝熱管と、前記蒸発器伝熱管にドラム内の水を供給するドラム降水管と、前記ドラム降水管からの水が前記蒸発器伝熱管で排ガスの熱により気液混合体となり前記ドラムに導く蒸発器上昇管と、前記ドラム降水管からドレンをボイラ系外にドレン弁を介して排出するドレン管と、を備えた排熱回収ボイラであって、
前記ドラムには、ドラム水に苛性ソーダを含む薬品を注入する苛性ソーダ注入配管が設けられ、
前記ドレン管は、高温の排ガス中に配置される前記排熱回収ボイラのケーシング内ドレン管と、前記排熱回収ボイラのケーシング外ドレン管と、からなり、
前記ドレン弁にバイパス配管を設け、前記バイパス配管には、前記バイパス配管を流れる流量を制限する流量制限手段とバイパス弁とを設け、
前記排熱回収ボイラの運転中であっても、前記バイパス弁を短時間開動作させて前記制限された流量で前記ケーシング内ドレン管内で濃縮した苛性ソーダをボイラ系外に排出する
ことを特徴とする排熱回収ボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−215314(P2012−215314A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79302(P2011−79302)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)