説明

掘削装置

本発明は物質、特に土壌物質を掘削及び搬出する装置に関し、回転軸(y)の周りを回転方向(u)に回転させられる掘削機と、掘削物質(41)を搬出するための長手方向コンベア(18)とを備える。掘削機は、回転軸(y)の周りに回転対称に配置された円錐状に広がる案内面(20)と、円錐状の案内面(20)から放射状に突き出し、回転軸(y)に対して鋭角を形成する案内羽根(22)とを有するインペラホイール(12,14)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の周りを回転させられる少なくとも1つの掘削機と、掘削物質を搬出するための長手方向コンベアとを備える、物質、特に土壌物質を掘削及び搬出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、振動装置に連結された下向きブレードを有し、該ブレードで囲い込まれた物質の断面を切り取るようにした、物質の掘削及び積載装置を開示する。
【0003】
特許文献2は、廃棄物を搬出するための長手方向コンベアを備え、採鉱での坑道支保を目的とした掘削装置を開示する。コンベアの先端部にはコンベアの長手方向に対して横方向に配置された回転ローラーが搭載される。ローラー面には破砕スパイクが設けられ、ローラーの内部に駆動モータが配置されている。駆動ローラーは廃棄物を拾い上げて同時にコンベアが前進する床面を均す。それと同時に廃棄物はコンベアに投げ上げられる。
【0004】
特許文献3は、機械の長手方向に対して横方向に延びる除去チェーンの横ストランド(transverse strand)を有する、軌道バラストのクリーニング装置を開示する。機械はゆっくり前に移動し、エンドレスに周回する除去チェーンによって軌道の下のバラストは掘り取られ、クリーニングユニットへ送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CH−A−331149
【特許文献2】DE−A−3235023
【特許文献3】WO−A−2006/074828
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が基づく目的は、例えばチェーンやバケット等の露出した可動部がなく、そのため、比較的大きな塊を粉砕するように頑強な構造にすることができる、上記で述べたタイプの装置を提供することである。また、本発明の掘削装置はあらゆる種類の掘削物に適応し、最小空間での使用が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、掘削機が回転軸の周りに回転対称に配置された円錐状に広がる案内面と、円錐状案内面から放射状に突き出し、回転軸に対して鋭角を形成する案内羽根とを有するインペラホイールを備えることにより達成される。
【0008】
好ましい実施形態では、インペラホイールの円錐状に広がる案内面が、コンベアベルトに隣接する狭くなる端部を有し、掘削物質の流出面を形成する。
【0009】
掘削機がコンベアベルトを間に配置させた2つのインペラホイールを備えることが好ましい。
【0010】
案内羽根が互いに平行である2つの側面縁で境界づけられ、案内羽根の幅は円錐状に広がる案内面の幅と実質的に対応することが好ましい。
【0011】
案内羽根が走行方向に見て外側の側面縁が内側の側面縁を先導するように、ある角度をなして回転軸に対してねじられていることが好ましい。
【0012】
案内羽根の外側の側面縁は、コンベアベルトの少なくとも下の領域で、固定された案内プレートに隣接することが好ましい。
【0013】
好ましい実施形態の一つでは、案内プレートは、コンベアベルトの上方の、コンベアベルトの搬送面に平行に位置する上縁部で終わる。
【0014】
好ましくは、案内羽根を覆う羽根カバーは案内プレートの周縁部から内側に突き出す。
【0015】
好ましくは、案内羽根が、側面縁に垂直に位置する断面に対して湾曲し、案内羽根の湾曲面はその湾曲した凹面をインペラホイールの回転方向に向けている。
【0016】
好ましくは、羽根歯が案内羽根から横方向外向きに突き出す。
【0017】
好ましくは、インペラホイールにはそれぞれ、別々に制御可能なモータが配設されている。
【0018】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、以下の好ましい例示の実施形態の説明から、及び図を参照して明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1は、掘削装置の概略斜視図を図式的に示す。
図2は、右インペラホイールを取り除いた図1の細部の斜視図を図式的に示す。
図3は、搬送方向に見た図1の掘削装置の一部の、回転軸を通る垂直断面図を図式的に示す。
図4は、搬送方向とは反対の方向に見た図1の掘削装置の一部の、回転軸を通る図3の、さらに簡略化された垂直断面図を図式的に示す。
図5は、図4の配置の側面図を図式的に示す。
図6−図11は、回転方向に応じて充填された後の物質層を図式的に示す。
図12−図14は、様々なインペラホイールの実施形態を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1の掘削機10は、同軸で互いに距離を置いて配置された2つのインペラホイール12,14を有する。共通の回転軸yの周りに回転可能なインペラホイール12,14の間には、回転軸yに対して直角であり、掘削機10の動作方向Aに通常対応している搬送方向xを有するエンドレスに周回するコンベアベルト18を具備する長手方向のコンベアが配置されている。インペラホイール12,14とコンベアベルト18は機械フレーム16に取り付けられている。
【0021】
インペラホイール12,14はそれぞれ、回転軸yに対して回転対称に配置され、回転軸に対して約45°の角度をなす、中央の円錐状案内面20を有する。円錐状案内面20から外向きに、円錐状案内面の外周に均等に分布させた案内羽根22が突き出す。ここでは、案内羽根22は放射方向に突き出して約45°の鋭角で回転軸yと交差する。即ち、案内羽根22の表面は回転軸yから広がる放射面に対して約45°の角度でねじられる。案内羽根22は円錐状案内面20の幅全体に及び、互いに平行で回転軸yに直角の2つの羽根側面縁24,26によって境界づけられる。側面縁24,26に垂直に延びる断面に関して、案内羽根22は湾曲形状に設計されている。
【0022】
円錐状案内面20は、各インペラホイール12,14の外側からコンベアベルト18に隣接して位置する内側に向かって細くなる。
【0023】
案内羽根22は、走行方向uに見て、外側の側面縁26が内側の側面縁24を先導するようにある角度をなして回転軸yに対してねじられる。ここでは、案内羽根22の湾曲面は湾曲した凹面を回転方向uに向けている。羽根歯28は案内羽根22の外側の側面縁から外向きに、案内羽根22の湾曲面から実質的に接線方向に突き出している。
【0024】
各インペラホイール12,14はその内側を、コンベアベルト18の上に位置する領域まで、円形周縁部32を有する固定された案内プレート30によって覆われる。案内プレート30は、コンベアベルト18に平行に位置する縁部31により、コンベアベルト18の上方に間隔eだけ突き出す。縁部31の領域内の案内プレート30とコンベアベルト18の間の隙間は、縁部31から低位のコンベアベルト18に延びる帯状カバープレート33により覆われる。インペラホイール12,14の最下部ポイントSとコンベアベルト18の上方のポイントTのほぼ間であるさらなる領域では、案内羽根22の幅とおおよそ対応する帯状の羽根カバー34が案内プレート30の周縁部32から外側に実質的に放射状に突き出す。
【0025】
図3から理解されるように、案内羽根22は掘削物質41を導き、案内プレート30に押し付ける。案内プレート30と羽根カバー34で形成される案内塀は、インペラホイール12,14の上昇部分内で掘削物質が流出するのを防ぐ。この羽根カバー34の領域では、2つの連続する案内羽根22の間に、案内プレートと羽根カバー34により画定され、インペラホイール12,14の外側に向かってのみ開放されたチャンバー36が形成される。このチャンバーはインペラホイール12,14の回転方向に移動して、コンベアベルト18の上方の案内プレート30の終端で開放される。コンベアベルト18の上方に位置するチャンバー36の円錐状案内面20は、掘削物質41がコンベアベルト18上へ流れることができる流出面を形成し、円錐状案内面20の内側の周縁部はコンベアベルト18の側面縁に隣接する。また、搬送方向xの横方向に位置する案内羽根22によって、掘削物質41のコンベアベルト18の方向への強制的移動が生み出される。
【0026】
2つの傾斜面、即ち、案内羽根22の方向性と円錐状案内面20のテーパーとは、共同して物質の流れを援助し、その結果、粘土等のかさ高な、又は粘性のある土砂さえも有利に流出させることができる。
【0027】
図2に示されるように、案内羽根22はその自由な放射状の先端部に、インペラホイール12,14の走行方向uに案内羽根22の放射方向に対して実質的に直角に突き出す羽根部38を備えることができ、これにより案内羽根は閉鎖される。案内羽根22が末端に突き出す羽根部38を備えて設計される場合、羽根カバーを省くことが可能である。
【0028】
インペラホイール12,14はそれぞれ、回転軸yの周りに回転的移動を生じさせるためのモータ40を装備する。2つのモータ40は互いに別々に制御することができる。
【0029】
例えば、下部層が粘土42で上部層が砂利44であるような特殊な層構造の土壌物質41の場合、図6〜11に見られるように、2つのインペラホイール12,14を同時に交換する際、インペラホイール12,14の回転方向uを変えることにより、案内羽根22への充填を、掘削する土砂の層構造に適応させることが可能である。
【0030】
図6〜8に示されるような回転方向では、粘性の粘土42だけが遅れて流出する危険性がある。従って、排出時間、又は案内羽根22が開いた案内プレート30を通過する時間は、粘土42が完全に流出するためには不十分である。案内羽根22に付着した残留粘土層は次第に厚さを増し、充填量が減少し、掘削効率が下がる。
【0031】
図9〜11に示される回転方向を反転した配置では、重くて粘着性のない砂利44は粘土42の流れを促進し、さらにインペラホイール12,14上をクリーニングする効果も有する。このように、反時計回りの回転方向uは上記のような状況では望ましい。
【0032】
羽根カバー34により形成された案内塀はコンベアベルト18の上部では案内羽根22を開放し、以下の利点を有する。
−案内羽根22に引っかかった木材、ロープ、ケーブル等の嵩高な物質をインペラホイール12,14の停止後に支障なく取り除くことができる。
−案内羽根22を、運転中のインペラホイール12,14によって自動的に、又はインペラホイール12,14の停止時に手動で、例えば、粘土、泥灰土等の頑固な粘着性土砂を取り除いてクリーニングすることができる。
【0033】
インペラホイール12,14は、連続して回転運動するので、砂、砂礫、石等の掘削される混合物質を高効率で搬送する装置である。
【0034】
例えば底のあるバケット等の閉鎖的な空洞(closed cavities)が常置されないので、この掘削システムは、湿った腐植土、粘土、泥灰土等の厄介な掘削土砂にもよく適合する。
【0035】
インペラホイール12,14は極めてコンパクトで、例えばチェーンやバケット等の露出した可動部品がない。その結果、レンガや石などの比較的大きな塊が存在しても問題なく粉砕されるような頑強な構造が提供できる。ある物体がインペラホイール12,14を妨害すると、自動圧力遮断により装置の変形を防止する。例えば、ケーブルが引っ掛かり、巻き上げられたことがわかった場合、回転運動を直ちに停止でき、回転方向を変えることにより、もつれを解除できる。2つのインペラホイール12,14はそれぞれのモータ40を介して別々に駆動され、別々に制御することも可能である。
【0036】
案内羽根22の外側の側面縁26に装備された羽根歯28は堅い掘削物質41を解す役目を果たす。
【0037】
応用分野に応じて、インペラホイール12,14をさまざまに最適化させて利用することができる。
−回転方向uを変えると、運転方向Aが(後方へ回転して)変えられる。掘削する物質の層構造に適応することも可能である。
−羽根カバー34の代わりとして、角度をつけた羽根部38を有する上方を閉鎖した案内羽根22が、特に、木等の嵩高の物質を含有しない粒状掘削物に適する。
−掘削領域において連続する羽根カバー34(図12)は、特に、大きな石や木等の厄介な掘削物に適する。嵩高な物質は取り除かれる。このような配置は回転動作では機能するが、前方及び後方へ走行する場合には機能しない。
−掘削領域において連続する案内プレート30(図13)は、特に、花崗岩の塊や鉄筋基盤の遺構等の粉砕不可能な嵩高な物質に適している。
−短縮した案内プレート30(図14)は、特に、レンガ等の粉砕可能な嵩高な物質に適している。
【符号の説明】
【0038】
10 掘削機
12 第一のインペラホイール
14 第二のインペラホイール
16 機械フレーム
18 コンベアベルト
20 円錐状案内面
22 案内羽根
24 22の内側の側面縁
26 22の外側の側面縁
28 羽根歯
30 案内プレート
31 30の上縁部
32 30の周縁部
33 カバープレート
34 羽根カバー
36 チャンバー
38 羽根部
40 モータ
41 掘削物質
42 粘土
44 砂利
A 10の運転方向
x 18の搬送方向
y 12,14の回転軸
u 12,14の回転方向
e 18と30の間隔
S 34の下部ポイント
T 34の上部ポイント
【図1】

【図2】

【図3】

【図4−5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(y)の周りを回転方向(u)に回転させられる少なくとも1つの掘削機(12,14)と、掘削物質(41)を搬出するための長手方向コンベア(18)とを備える、物質、特に土壌物質を掘削及び搬出する装置であって、前記掘削機は、前記回転軸(y)の周りに回転対称に配置された円錐状に広がる案内面(20)と、該円錐状案内面(20)から放射状に突き出し、回転軸(y)に対して鋭角を形成する案内羽根(22)とを有するインペラホイール(12,14)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記インペラホイール(12,14)の円錐状に広がる案内面(20)が、コンベアベルト(18)に隣接する狭くなる端部を有し、掘削物質(41)の流出面を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記掘削機が、コンベアベルト(18)を間に配置させた2つのインペラホイール(12,14)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記案内羽根(22)が互いに平行である2つの側面縁(24,26)で境界づけられ、前記案内羽根(22)の幅が前記円錐状に広がる案内面(20)の幅と実質的に対応することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記案内羽根(22)が、走行方向(u)に見て外側の側面縁(26)が内側の側面縁(24)を先導するように、ある角度をなして前記回転軸(y)に対してねじられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記案内羽根(22)の前記外側の側面縁(26)が、前記コンベアベルト(18)の少なくとも下の領域で、固定された案内プレート(30)に隣接することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記案内プレート(30)が、前記コンベアベルト(18)の搬送面に平行に位置する上縁部(31)により、前記コンベアベルト(18)の上方に間隔(e)を隔てて終わり、帯状カバープレート(33)が前記縁部(31)から低位の前記コンベアベルト(18)へ延びることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記案内羽根(22)を覆う羽根カバー(34)が前記案内プレート(30)の周縁部(32)から内側に突き出すことを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記案内羽根(22)が、前記側面縁(24,26)に垂直に位置する断面に対して湾曲し、前記案内羽根(22)の前記湾曲面はその湾曲した凹面を前記インペラホイール(12,14)の前記回転方向(u)に向けていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記案内羽根(22)はその自由な放射状の先端部に、前記インペラホイール(12,14)の前記走行方向(u)において、前記案内羽根(22)の放射方向に対して実質的に直角に突き出す羽根部(38)を具備することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
羽根歯(28)が前記案内羽根(22)から横方向外向きに突き出すことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記インペラホイール(12,14)にはそれぞれ、別々に制御可能なモータ(40)が配設されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。

【公表番号】特表2010−510415(P2010−510415A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537464(P2009−537464)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000568
【国際公開番号】WO2008/061383
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509053525)ヨット ミュラー アーゲー, マシネラー ゲライゼウンターハルト (2)