説明

掛止具を有するキッチン台等の収納家具

【課題】 たとえ長尺物が下方の収納部を邪魔する位置に掛け止められていても、開閉させたい収納部から容易に待避させることができる掛止具を有するキッチン台等の収納家具を提供すること。
【解決手段】 上方に掛止具12を設けた引出し5a,5bや開き戸6a,6b
を有するキッチン台1等の収納家具であって、掛止具12をキッチン台1前面上部に設けたガイドレール10にスライド自在に係止されるように構成することで、掛止具12をガイドレール10に沿ってスライドさせて、掛止め具12に掛けられたタオルT等が移動できるので、いつでも引出し5a,5bや開き戸6a,6bの開閉位置からタオルT等を待避させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方にタオル等の長尺物を掛止めできる掛止具が設けられたキッチン台等の収納家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチン台や、洗面台にタオル等の長尺物を掛止具で掛止めできるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の従来例のものは、洗面台前面にタオル掛を設けたもので、風通しもよく、洗面台前面の空間を有効利用できるので、使い勝手が良かった。
【0003】
【特許文献1】特開平11−253334号公報(段落0002、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこのような掛止具が設けられた洗面台は、掛止具下方に収納部を有している場合に、物の出し入れの際に掛止具に掛けられた長尺物が邪魔になり、収納部の開閉が煩わしく、かつ面倒であった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、たとえ長尺物が下方の収納部を邪魔する位置に掛け止められていても、開閉させたい収納部から容易に待避させることができる掛止具を有するキッチン台等の収納家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を解決するために、本発明の請求項1に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、上方に掛止具が設けられた収納部を有するキッチン台等の収納家具であって、前記掛止具は収納家具前面上部に設けたレール部にスライド自在に係止されていることを特徴としている。
この特徴によれば、掛止具をキッチン台等の前面上部に設けたレール部に沿ってスライドさせることにより、掛止具に掛けられた長尺物等が移動できるので、いつでも収納部の開閉位置から長尺物等を待避させることができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項1に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記収納部は引出し又は開き戸あるいは前面が開口されて構成されているもののいずれか一つ又はこれらの組み合わせから成ることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部が引出し、開き戸あるいは前面が開口されて構成されているもので構成されている種々のタイプの収納家具に対しても、収納部の開閉位置から掛止具にかけられた長尺物等を待避させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項1または2に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記レール部は収納部以外の部分に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部が設けられていない領域、例えばシンクが設けられたキッチン台の幕板にレール部を設けてキッチン台の前面側の有効利用を図ることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項3に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記レール部は収納家具の前面幅に渡って設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、レール部を収納家具の前面幅に渡って設けることで、掛止具の移動幅を大きくできる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項3または4に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記収納家具は独立した家具が2個以上連接配置されたものであり、前記レール部は複数の家具間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、連接配置した家具間に渡ってレール部が設けられるので、レール部を長いものとすることができ、幅のある掛止具や複数の掛止具を設けることも可能である。
【0011】
本発明の請求項6に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項1または2に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記レール部は収納部の取っ手に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部の取っ手を利用することで、容易にレール部を構築することができる。
【0012】
本発明の請求項7に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項6に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記取っ手は収納部の全幅に渡って設けられたライン取っ手で構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、レール部を収納部の全幅に渡って設けたライン取っ手とすることで、掛止具の移動幅を大きくとれる。
【0013】
本発明の請求項8に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項7に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記収納部が左右に2個以上連接配置されたものであり、前記ライン取っ手に設けたレール部は複数の収納部間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、ライン取っ手を連接して長いレール部を構成することにより掛止具の移動幅を大きくとれる。
【0014】
本発明の請求項9に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項7または8に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記収納家具は独立した家具が2個以上連接配置されたものであり、前記ライン取っ手に設けたレール部は複数の家具間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、ライン取っ手に設けたレール部が複数の家具間に渡って連接することにより、掛止具の移動幅をより一層大きくとれる。
【0015】
本発明の請求項10に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項7ないし9のいずれかに記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記ライン取っ手に設けたレール部が収納部以外に設けられたレール部と掛止具が移動できるように連接して設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、隣に収納部がない場合であってもレール部を長くして掛止具の移動幅を大きくすることができる。
【0016】
本発明の請求項11に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項7ないし10のいずれかに記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記ライン取っ手に設けたレール部を有する収納家具と、収納部以外に設けられたレール部を有する収納家具が2個以上連接配置されたものであり、少なくともライン取っ手に設けたレール部と収納部以外に設けられたレール部が収納家具間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、タイプの異なる収納家具が連接配置されていても、家具間に渡る長いレール部を構築することができる。
【0017】
本発明の請求項12に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具は、請求項1ないし11のいずれかに記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具であって、前記掛止具はタオルを含む長尺物が掛け止めできる構造を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、掛止具に、タオルのみならず、各種長尺物も掛けられるようにすることで、使い勝手のよい収納家具とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1を図面に基づいて説明すると、先ず図1は本発明の実施例1における掛止具を有するキッチン台の斜視図、図2(a)はキッチン台前面の幕板に設けたレール部に掛止具をスライド自在に係止した状態を示す部分斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、図3は開き戸を備えた移動掛止具を有するキッチン台の斜視図、図4は複数の引出しを備えた移動掛止具を有するキッチン台の斜視図、図5は前面が開口した収納部を備えた移動掛止具を有するキッチン台の斜視図、図6はレール部両端に着脱自在に装着される掛止具ストッパであって、(a)〜(c)は組立説明図である。
【0020】
図1には本発明の掛止具を有する収納家具として、例えばキッチン台1が示されており、このキッチン台1は、天板2上にシンク4が設けられており、キッチン台1前面の幕板8下方には各種形態の収納部が配置されている。
【0021】
収納部の形態としては、主に複数の引出しを配置した引出し型、開き戸型、引出しと開き戸の結合型、キャリアカート等を収容する開口型などが挙げられる。図1に示される収納部は結合型であって、キッチン台1前面の上方左右には一対の引出し5a,5b並びにこれら引出し5a,5bの下方には一対の開き戸6a,6bが設けられている。
【0022】
キッチン台1は、前面に取っ手Nを設けた引出し5a,5bの上部に横長の幕板8が取り付けられており、幕板8の上端縁には長手方向に沿ってレール部となる断面コ字状のガイドレール10が全長に亘って取り付けられている。
【0023】
ガイドレール10は、図2(a),(b)に示すように、上下の対向内面に一対のレール14a,14bが向合って突設し、これらレール14a,14bには例えば長尺物としてのタオルTなどを掛止めることができる掛止具12がスライド自在に係止されている。
【0024】
掛止具12は、タオルTなどを掛止めする断面角型の掛止バー16と、掛止バー16の両端を支持する一対の支持アーム15a,15bと、両支持アーム15a,15bを支持する横長矩形のベースプレート18と、ベースプレート18の裏面側左右に回転自在に軸支される一対の溝付きホィールWとから構成されている。
【0025】
そして、掛止具12は、一対の溝付きホィールWをガイドレール10上下のレール14a,14bに係止されることで、ガイドレール10全長に亘って横方向にスライド自在に支持される。ガイドレール10の両端には後述するストッパ19(図6参照)が装着されており、掛止具12の脱落を防止している。
【0026】
次に、図3に示される収納部は開き戸型であって、共通部分には同一符号を付して説明するが、キッチン台1の幕板8下方には前面に取っ手Nを有する一対の開き戸20a,20bが配置されており、幕板8の上端縁には掛止具12をスライド可能に係止するガイドレール10が全長に亘って取り付けられている。
【0027】
また、図4に示される収納部は引出し型であって、キッチン台1の幕板8下方の左右にはそれぞれ前面に取っ手Nを有する複数の引出し22a,22b〜25a,25bが配置されており、幕板8の上端縁には掛止具12をスライド可能に係止するガイドレール10が全長に亘って取り付けられている。
【0028】
更に、図5に示される収納部は開口型であって、この収納部はキャリアカートCR等を収容するためにキッチン台1前面の幕板8下方に大な開口27を形成した収納空間が形成されており、幕板8の上端縁には掛止具12をスライド可能に係止するガイドレール10が全長に亘って取り付けられている。
【0029】
次に、ガイドレール10から掛止具12の脱落を防止するストッパ19に付き図6を参照して説明する。
【0030】
ストッパ19は、角型の閉塞板17と突出片26から成り、突出片26は閉塞板17の片面から鉛直に突設し上下に一対の係止片26a,26bを有すると共に、その中央にはネジ孔28が螺設されている。このストッパ19をガイドレール10の両端に装着する際は、ガイドレール10の端部から両係止片26a,26bを一対のレール14a,14bとガイドレール10の内側面との間に挿嵌すると共に、突出片26を対向する一対のレール14a,14b間から開口側に挿通させて閉塞板17をガイドレール10の両端に当接させる。
【0031】
次いでネジ孔28に止めネジ29をガイドレール10の開口側から螺挿し、止めネジ29回転させてその先端をガイドレール10の内側面に押付けることで、両係止片26a,26bが一対のレール14a,14bと内側面との間で挟持される。
【0032】
そこで、キッチン台1前面に配置された各種形態の引出し型、開き戸型、引出しと開き戸の結合型、及び開口型の収納部を使用するに際し、使用される収納部前面の取っ手Nが掛止具12に掛けられたタオルなどで邪魔になる場合は、掛止具12をガイドレール10にそって横移動させることができる。
【0033】
このようにすることで、掛止具12に掛けられたタオルTなどを移動できるので、いつでも左右に2つ以上分割された複数の引出し5a,5b又は22a,22b〜25a,25bや、複数の開き戸6a,6b又は20a,20bないし大な開口27を形成した収納空間から成る収納部前面の使用位置からタオルTなどを適宜待避させることができる。なお、ガイドレール10をキッチン台1の前面幅に渡って設けた例で説明したが、必ずしもこれに限るものでなく、所要の長さがあれば十分であり、キッチン台1の前面幅に渡って設ける必要はない。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の実施例2を図7に基づいて説明する。図7は本発明の実施例2における引出しの取っ手に掛止具を設けたシンクを有しないキッチン台の斜視図である。
【0035】
本実施例では、キッチン台1’前面の上部に横幅の長い引出し30が設けられ、この引出し30の前面板に取っ手31が取り付けられている。取っ手31は掛止具12’のレール部として構成されており、開き戸20aを開ける場合には、タオルT等の長尺物を掛止具12’と共に右方の開き戸20bがある位置(2点差線で示した位置)に移動することで、開き戸20aが長尺物に邪魔されることなく開けることができる。
【0036】
このように、引出しの取っ手を利用してレール部を構成することで、新規のレールを新たに取り付ける必要がない。また、図示していないが開き扉の取っ手を利用して同様のレール部を構築して掛止具を移動できるようにしてもよい。
【実施例3】
【0037】
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。図8〜図13は本発明の実施例3を示すもので、図8は実施例3における移動掛止具を有するキッチン台の斜視図、図9はライン取っ手の両端に着脱自在に装着される掛止具ストッパであって、(a)は掛止具ストッパをレール部両端に装着する状態を示す斜視図、(b)は掛止具ストッパをライン取っ手両端に装着した状態を示す断面図、図10はレール部として形設されるライン取っ手に移動可能に係止される掛止具の正面図、図11は図10のB−B断面図、図12は図10のC−C断面図、図13は図10のD−D断面図である。実施例1と共通部分は同一符号を使用して説明する。
【0038】
本実施例では、キッチン台前面の上下配置された左右一対の引出し又は開き戸に設けたライン取っ手を、掛止具のレール部として形設したものである。図8にはシンクを有しないキッチン台11の前面に配置された複数の引出し22a,22b〜25a,25bが示されており、少なくとも最上段の左右に配置される引出し21a,21bの取っ手には従来から周知のライン取っ手34が用いられている。
【0039】
そして、このライン取っ手34は引出しの全幅に渡っており、例えばタオルTなどを掛止めることができる掛止具32がスライド自在に係止され、ライン取っ手34の両端には後述するストッパ37が装着されており、掛止具32の脱落を防止している。
【0040】
図9にはライン取っ手の両端に装着されるストッパ37が示されている。このライン取っ手34は、周知のように前面が開口する断面略コ字状に形成されており、開口側上縁には上部垂下片34aが設けられると共に開口側下縁には下部垂下片34cが設けられ、後方の内壁34bは上方から開口側に向く曲線で形成されている。
【0041】
また、ライン取っ手34の背面には下方に臨む支持板35が長手方向に沿って接合されており、引出し21a,21bの前面板の上端に載せたライン取っ手34を、支持板35を介して前面板の内側からネジ固定されるようになっている。
【0042】
次に、本実施例に係るストッパ37に付き図9を参照して説明する。
【0043】
このストッパ37は、縦長矩形の閉塞板33と、閉塞板33の片面から突設したライン取っ手34の内部形状に合わせた断面形状を有する突出部材39とこの突出部材39の直下に隣接配置される小突出片40とから成る。突出部材39の中央には挿通形成されたネジ孔28が螺設されている。
【0044】
そこで、このストッパ37をライン取っ手34の両端に装着する際は、突出部材39をライン取っ手34の端部から上部垂下片34aの内側と内壁34bの間に挿嵌すると共に、小突出片40をライン取っ手34下方の下部垂下片34c内側に係止させて閉塞板33をライン取っ手34の両端に当接させる。
【0045】
次いで、ネジ孔28に止めネジ29をライン取っ手34の開口側から螺挿し、止めネジ29を回転させてその先端をライン取っ手34の内側面に押付けることで、突出部材39が内側面と上部垂下片34aの内側との間で挟持される。
【0046】
次に、本実施例3の掛止具に付き図10〜図13を参照して説明する。
【0047】
掛止具32は、引出し21a,21bのライン取っ手34の全長より若干短い長さで形成された断面コ字形の外フレーム36aと、この外フレーム36a下端の折曲下片上に支持されると共に内壁に密接した断面L字形の内フレーム36bと、内外フレーム36a,36bの両端に固定されたブロック体38に斜めに回転自在に軸支される一対の下部ホィール41,41と、内外フレーム36a,36bの長さ方向略中間にあって内フレーム36b下端の折曲下片上に一対の調整ネジ48を介して上下方向調整可能なブロック体42に回転自在に軸支される上部の溝付きホィールWと、外フレーム36aの前面両側に内側から皿ネジ56を介して取り付けられる一対の支持アーム44a,44bと、両支持アーム44a,44b間に取り付けられてタオルTなどを掛止めする断面円形の掛止バー46とから構成されている。
【0048】
詳しくは、一対の下部ホィール41,41はライン取っ手34の内壁34bを形成する内部下方の偏曲部と、上部の溝付きホィールWは上部垂下片34aの端部と係合している。 内外フレーム36a,36bは、図11に示すようにライン取っ手34に斜めに移動可能に係止される下部ホィール41,41を支持するブロック体38,38と、ホィールWを支持するブロック体42とを介して垂直に保持されている。
【0049】
図12に示すように、溝付きホィールWを軸支するブロック体42は、内フレーム36bに皿ネジ50を挿通するための一対の縦長孔52が形成されると共に、これら縦長孔52に対応して皿ネジ50に螺着したナット55を回転不能に係止する一対のガイド溝54が形成されており、内フレーム36b下端の折曲下片にはブロック体42を支持する一対の調整ネジ48が設けられている。この調整ネジ48にて高さ調整した後に、縦長孔52を介して皿ネジ50を挿通し、皿ネジ50を回動してブロック体42を内フレーム36bに固定した後、外フレーム36aと内フレーム36bを一体化する。
【0050】
そこで、キッチン台11前面に配置された複数の引出し22a,22b〜25a,25bを使用するに際し、使用される引出し前面の取っ手Nが最上段の左右に配置される何れかの引出し21a,21bのライン取っ手34に移動可能に係止される掛止具32に掛けられたタオルなどで邪魔になる場合は、掛止具32を近接する引出し21aまたは21bのライン取っ手34間で横移動させることができる。
【0051】
掛止具32を隣接配置される引出し又は開き戸間で移動させる際は、ライン取っ手34を同一直線上で且つ近接して配置することで、乗り移りに支障を来すことなく円滑に移動することができる。このようにすることで、引出しのライン取っ手34が掛止具32のレール部として形設されているので、新たにレール部を取り付けることなく、収納家具としてのコストを抑えることができる。
【0052】
また、ライン取っ手34が図示しない複数の開き戸の上部に設けられている場合は、タオル等が開き戸の一部を塞いでいても、掛止具32に掛けられたタオル等が隣接する開き戸上部のライン取っ手34に移動できるので、いつでも開き戸の開閉位置からタオル等を待避させることができるだけでなく、新たにレール部を取り付けることなく、収納家具としてのコストを抑えることができる。
【0053】
なお本実施例では、ライン取っ手34を2つの連接した引出し21a,21bに設け、掛止具32がそれぞれのライン取っ手間を渡って移動できる例で説明したが、必ずしも引出し同士が連接するものに限るものでなく、引出しと開き戸の各ライン取っ手を連接してレール部としてもよく、開き戸同士の各ライン取っ手を連接してレール部としてもよく、あるいは収納部のライン取っ手に設けたレール部と、収納部以外に設けたレール部とを連接して、掛止具がそれぞれのレール部間を渡って移動させてもよい。更に、一つの引出しがある程度幅方向に長さを有していれば、1個の引出しのライン取っ手内で掛止具を移動するようにしたものでもよい。
【実施例4】
【0054】
次に、本発明の実施例4を図面に基づいて説明する。図14、図15は本発明の実施例4を示すもので、図14は、収納部以外のところにそれぞれレール部を設けた2つの収納家具を連接配置した斜視図であり、図15は、収納部以外のところと、収納部のところにそれぞれレール部を設けた2つの収納家具を連接配置した斜視図である。
【0055】
図14はキッチン台60とキッチン具類を収納する家具70の2つの独立した家具が連接配置され、キッチン台60の上部幕板61にはレール部となる断面コ字状のガイドレール62が全長に亘って取り付けられ、下方には一対の開き戸63a、63bが配備されている。そしてこのガイドレール62には掛止具64がスライド自在に係止されている。
【0056】
一方、家具70は複数の引出し71a〜73bが2連に3段並べられ、最上部の収納部として構成されていないところにレール部となる断面コ字状のガイドレール74が全長に亘って取り付けられている。また、両ガイドレール62、74は同一構造のものを使用している。
【0057】
そしてキッチン台60と家具70が連接配置されたとき、キッチン台60のガイドレール62と家具70のガイドレール74とが同じ高さ位置にくるように配設することで、キッチン台60側にある掛止具64を家具70側に移動することができ、再びキッチン台60に戻すこともできる。このように構成することで長いレール部が得られ、複数の掛止具をレール部にスライド支持させることもできる。
【0058】
図15はキッチン台80とキッチン具類を収納する家具90の2つの独立した家具が連接配置され、キッチン台80の上部幕板81の右方にはレール部となる断面コ字状のガイドレール82が取り付けられ、下方には一対の開き戸83a、83bが配備されている。そしてこのガイドレール82には掛止具84がスライド自在に係止されている。
【0059】
一方、家具90は複数の引出し91、92、93が3段並べられ、最上段の引出し91にライン取っ手94が形設されている。このライン取っ手94は前述の実施例と同様掛止具84のレール部として構成されている。そしてキッチン台80と家具90が連接配置されたとき、キッチン台80のガイドレール82と家具90のライン取っ手94とが同じ高さ位置にくるように配設することで、キッチン台80側にある掛止具84を家具90側に移動することができ、再びキッチン台80に戻すこともできる。このように構成することで長いレール部が得られ、またタイプの異なる収納家具であっても、掛止具を家具間に渡って移動させることが可能である。
【0060】
以上説明した独立した家具の組み合わせにおいて、各家具の収納部のライン取っ手を同一高さに配置して、掛止具を家具間に渡って移動させることもできる。また、実施例4における説明では、2つの家具間での掛止具の移動について述べているが、家具を3連、4連等、複数連接したものに適用できることは言うまでもない。
【0061】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、例えば前述した実施例では掛止具をタオル掛けとして説明してきたが、タオルに限らずキッチン関連の長尺物を掛け止めすることが可能である。また、本発明の掛止具を有する収納家具はキッチン台のみならず、洗面台、バスルーム用キャビネットや一般の収納家具にも適用することができる。
【0062】
更に、本実施例においてレール部の取り付け部を、幕板や、収納部に設けた例で説明してきたが、図16に示すように天板を利用してもよい。図16は天板張出部にレール部を取り付けた家具の部分斜視図であり、天板100の下面100aに設けたガイドレール101に掛止具102が2つの車輪103,103を介してスライド可能に支持されている。このように天板100の張出部に掛止具102を設けることができるので、掛止具102に掛けられた長尺物が家具の前面板と若干離れ、移動時に家具に形設された取っ手等の障害物との当接が避けられる。そして、長尺物が家具の前面板とより離れるように、天板下に設ける掛止具のスライド支持手段を、図2に示すように、掛止めバーを前方に突き出すようにする構成でもよい。
【0063】
また、天板にレール部を設ける他の変形例として、天板に所要の厚みがあれば、天板の板厚内にレール部を下方から取り付け外部からレールが見えないようにすることもできる。また、天板を有する家具が複数連接したものであれば、各天板に設けたレール部を介して家具間を掛止具が移動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1における掛止具を有するキッチン台の斜視図である。
【図2】(a)はキッチン台前面の幕板に設けたレール部に掛止具をスライド自在に係止した状態を示す部分斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】開き戸を備えた移動掛止具を有するキッチン台の斜視図である。
【図4】複数の引出しを備えた移動掛止具を有するキッチン台の斜視図である。
【図5】前面が開口した収納部を備えた移動掛止具を有するキッチン台の斜視図である。
【図6】レール部両端に着脱自在に装着される掛止具ストッパであって、(a)〜(c)は組立説明図である。
【図7】本発明の実施例2における引出しの取っ手に掛止具を設けたシンクを有しないキッチン台の斜視図である。
【図8】実施例3における移動掛止具を有するキッチン台の斜視図である。
【図9】ライン取っ手の両端に着脱自在に装着される掛止具ストッパであって、(a)は掛止具ストッパをレール部両端に装着する状態を示す斜視図、(b)は掛止具ストッパをライン取っ手両端に装着した状態を示す断面図である。
【図10】レール部として形設されるライン取っ手に移動可能に係止される掛止具の正面図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】図10のC−C断面図である。
【図13】図10のD−D断面図である。
【図14】実施例4における、収納部以外のところにそれぞれレール部を設けた2つの収納家具を連接配置した斜視図である。
【図15】同じく実施例4における、収納部以外のところと、収納部のところにそれぞれレール部を設けた2つの収納家具を連接配置した斜視図である。
【図16】本発明の変形例である、天板張出部にレール部を取り付けた家具の部分斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1、1’ キッチン台
2 天板
4 シンク
5a,5b 引出し
6a,6b 開き戸
8 幕板
10 ガイドレール
11 キッチン台
12、12’ 掛止具
14a,14b レール
15a,15b 支持アーム
16 掛止バー
17 閉塞板
18 ベースプレート
19 ストッパ
20a〜20b 開き戸
21a〜25b 引出し
30 引出し
31 掛止具
32 掛止具
34 ライン取っ手
46 掛止バー
60 キッチン台
61 幕板
62 ガイドレール(レール部)
63a,63b 一対の開き戸
64 掛止具
70 家具
71a〜73b 引出し
74 ガイドレール(レール部)
80 キッチン台
81 幕板
82 ガイドレール(レール部)
83a,83b 一対の開き戸
84 掛止具
90 家具
91〜93 引出し
94 ライン取っ手
100 天板
101 ガイドレール(レール部)
102 掛止具
CR キャリアカート
N 取っ手
T タオル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に掛止具が設けられた収納部を有するキッチン台等の収納家具であって、前記掛止具は収納家具前面上部に設けたレール部にスライド自在に係止されていることを特徴とする掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項2】
前記収納部は引出し又は開き戸あるいは前面が開口されて構成されているもののいずれか一つ又はこれらの組み合わせから成る請求項1に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項3】
前記レール部は収納部以外の部分に設けられている請求項1または2に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項4】
前記レール部は収納家具の前面幅に渡って設けられている請求項3に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項5】
前記収納家具は独立した家具が2個以上連接配置されたものであり、前記レール部は複数の家具間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられている請求項3または4に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項6】
前記レール部は収納部の取っ手に設けられている請求項1または2に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項7】
前記取っ手は収納部の全幅に渡って設けられたライン取っ手で構成されている請求項6に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項8】
前記収納部が左右に2個以上連接配置されたものであり、前記ライン取っ手に設けたレール部は複数の収納部間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられている請求項7に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項9】
前記収納家具は独立した家具が2個以上連接配置されたものであり、前記ライン取っ手に設けたレール部は複数の家具間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられている請求項7または8に記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項10】
前記ライン取っ手に設けたレール部が収納部以外に設けられたレール部と掛止具が移動できるように連接して設けられている請求項7ないし9のいずれかに記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項11】
前記ライン取っ手に設けたレール部を有する収納家具と、収納部以外に設けられたレール部を有する収納家具が2個以上連接配置されたものであり、少なくともライン取っ手に設けたレール部と収納部以外に設けられたレール部が収納家具間に渡って掛止具が移動できるように連接して設けられている請求項7ないし10のいずれかに記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。
【請求項12】
前記掛止具はタオルを含む長尺物が掛け止めできる構造を有している請求項1ないし11のいずれかに記載の掛止具を有するキッチン台等の収納家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−26251(P2006−26251A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212532(P2004−212532)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)