説明

掛止機能付き眼鏡フレーム、眼鏡フレーム前側部材、及び眼鏡フレーム後側部材

【課題】使用者が行動を邪魔されずに眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことを可能とする掛止機能付き眼鏡フレームを提供することを目的とする。
【解決手段】掛止機能付き眼鏡フレームは、眼鏡フレーム前側部材と眼鏡フレーム後側部材とを有する。眼鏡フレーム前側部材は、左右一対のリムと、左右一対のリムを接続するブリッジと、左のリムの外側部に設けられている左係合部と、右のリムの外側部に設けられている右係合部とを有する。眼鏡フレーム後側部材は、上記左係合部に取り付けられる左取付部が一端側に設けられておりかつ弾性部を含む左側帯部と、上記右係合部に取り付けられる右取付部が一端側に設けられておりかつ弾性部を含む右側帯部とを有する。上記左側帯部及び上記右側帯部のそれぞれは、他端側に設けられ、左側帯部及び右側帯部の相手方の上記他端側への着脱を可能にする着脱部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掛止機能付き眼鏡フレーム、眼鏡フレーム前側部材、及び眼鏡フレーム後側部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近視、遠視又は乱視等の視力を調整したり、強い光線から目を保護したりするために、眼鏡が用いられる。眼鏡を用いる人のなかには、常に眼鏡を掛ける人もいれば、必要なときにだけ眼鏡を掛ける人もいる。例えば、遠くの物はよく見えるが近くの物が見えにくい人は、近くの物を見るときにだけ眼鏡を掛ける。
【0003】
必要なときにだけ眼鏡を掛ける人(以下、「使用者」と記載する。)には、はずした眼鏡の置き場所を忘れてその眼鏡を探さなければならないという問題が生じる場合がある。その問題を生じさせないこと等のために、使用者が眼鏡を常時携帯することを可能にする紐状物が提案されている(例えば、特開2001−356306号公報参照)。使用者が眼鏡フレームの両テンプルに紐状物の両端部を固定して紐状物の中央部を首の後ろ側に配置すれば、眼鏡をはずしても紐状物により眼鏡は使用者に携帯されるので、使用者には、はずした眼鏡を探さなければならないという問題は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−356306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用者が遠くの物はよく見えるが近くの物が見えにくい者であってかつ荷物の運搬を業として行う者である場合、使用者は、上記の紐状物を用いる際、運搬先の住所が記載されたメモを見るとき等の近くの物を見るときにだけ眼鏡を掛け、手で荷物を運ぶときには眼鏡をはずす。はずされた眼鏡は、使用者の胸に接するような場所に位置するので、使用者が荷物を抱えることを邪魔するという問題を生じさせる。
【0006】
また、使用者が身体全体を使って行動することが多い子供である場合、使用者が上記の紐状物を用いるとき、はずされた眼鏡は使用者の行動を邪魔する。このように、従来の紐状物は、使用者が眼鏡を常時携帯することを可能にするが、眼鏡をはずした使用者の行動に支障をきたす。
【0007】
上記の紐状物が用いられなければ、使用者には、はずした眼鏡の置き場所を忘れてその眼鏡を探さなければならないという上記の問題が生じる場合があり、また、置き場所を認識していても、眼鏡の掛けはずし動作が煩わしく感じられる場合がある。使用者は、行動を邪魔されずに眼鏡の掛けはずしを簡単に行えることを希望する。
【0008】
本発明は、使用者が行動を邪魔されずに眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことを可能とする掛止機能付き眼鏡フレーム、眼鏡フレーム前側部材、及び眼鏡フレーム後側部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様の掛止機能付き眼鏡フレームは、
左右のレンズのそれぞれを保持するための左右一対のリム、それら左右一対のリムを接続するブリッジ、上記左のリムの外側部に設けられている左係合部、及び上記右のリムの外側部に設けられている右係合部を含む眼鏡フレーム前側部材と、
上記左係合部に取り付けられる左取付部が一端側に設けられておりかつ弾性部を含む左側帯部、及び上記右係合部に取り付けられる右取付部が一端側に設けられておりかつ弾性部を含む右側帯部を含む眼鏡フレーム後側部材とを有し、
上記左側帯部及び上記右側帯部のそれぞれが、他端側に設けられ、上記左側帯部及び上記右側帯部の相手方の上記他端側への着脱を可能にする着脱部を含む。
【0010】
使用者は、当該掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に眼鏡フレーム後側部材の左側帯部の左取付部を取り付け、眼鏡フレーム前側部材の右係合部に眼鏡フレーム後側部材の右側帯部の右取付部を取り付け、眼鏡フレーム前側部材の左右一対のリムを目の前に位置させて、左側帯部の他端側と右側帯部の他端側とを後頭部で取り付ける。左側帯部及び右側帯部のそれぞれが他端側に着脱部を含むので、使用者は、左側帯部の他端側と右側帯部の他端側とを容易に取り付けることができ、それにより使用者は当該掛止機能付き眼鏡フレームにレンズが装着された眼鏡を容易に掛けることができる。また、左側帯部及び右側帯部が弾性部を含むので左側帯部及び右側帯部が長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材を後頭部に接触させた状態で、眼鏡フレーム前側部材を手で持って目の前から前頭部に容易に移動させることができ、移動させた眼鏡フレーム前側部材を摩擦力と上記弾性部の復元力とにより前頭部に留まらせることができる。また、上記弾性部により左側帯部及び右側帯部が長さ方向等に伸びるので、使用者は、眼鏡フレーム後側部材を後頭部に接触させた状態で、眼鏡フレーム前側部材を手で持って後頭部から目の前に容易に移動させることができる。このように、眼鏡を頭部に常時位置させることができるので、使用者は眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことができる。また、眼鏡をはずした使用者は眼鏡に邪魔されることなく行動することができる。
【0011】
本発明の別の態様の掛止機能付き眼鏡フレームは、
左右のレンズのそれぞれを保持するための左右一対のリム、それら左右一対のリムを接続するブリッジ、上記左のリムの外側部に設けられている左係合部、及び上記右のリムの外側部に設けられている右係合部を含む眼鏡フレーム前側部材と、
弾性部を含む帯部、上記帯部の一端側に設けられており掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に取り付けられる左取付部、及び上記帯部の他端側に設けられており上記眼鏡フレーム前側部材の右係合部に取り付けられる右取付部を含む帯状の眼鏡フレーム後側部材と
を有する。
【0012】
使用者は、当該掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に眼鏡フレーム後側部材の左取付部を取り付け、眼鏡フレーム前側部材の右係合部に眼鏡フレーム後側部材の右取付部を取り付けて、かぶるようにして当該掛止機能付き眼鏡フレームにレンズが装着された眼鏡を掛ける。眼鏡フレーム後側部材が弾性部を含むので長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材を後頭部に接触させた状態で眼鏡を容易に掛けることができる。また、眼鏡フレーム後側部材が弾性部を含むので長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材を後頭部に接触させた状態で、眼鏡フレーム前側部材を手で持って目の前から前頭部に移動させることができ、移動させた眼鏡フレーム前側部材を摩擦力と上記弾性部の復元力とにより前頭部に留まらせることができる。また、眼鏡フレーム後側部材が弾性部を含むので眼鏡フレーム後側部材が長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材を後頭部に接触させた状態で、眼鏡フレーム前側部材を手で持って目の前に容易に移動させることができる。このように、眼鏡を頭部に常時位置させることができるので、使用者は眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことができる。また、眼鏡をはずした使用者は眼鏡に邪魔されることなく行動することができる。
【0013】
上記左係合部及び上記右係合部が枠状凸片であって、かつ上記左取付部及び上記右取付部が面ファスナであってもよい。その場合、使用者は、眼鏡フレーム前側部材の左係合部による枠に眼鏡フレーム後側部材の一端側を挿入して折り返すことにより、左係合部に眼鏡フレーム後側部材の左取付部を容易に取り付けることができ、同様に、眼鏡フレーム前側部材の右係合部に眼鏡フレーム後側部材の右取付部を容易に取り付けることができる。
【0014】
上記眼鏡フレーム前側部材が、上記左右一対のリムのそれぞれの対向部又は上記ブリッジに設けられている弾性体の鼻パッドを更に含んでよい。その場合、鼻パッドは弾性変形するので、使用者は、前頭部に留まった眼鏡フレーム前側部材に対して痛み等の不快をあまり感じない。
【0015】
上述の通り、当該掛止機能付き眼鏡フレームは眼鏡フレーム前側部材と眼鏡フレーム後側部材とを有しており、眼鏡フレーム前側部材及び眼鏡フレーム後側部材のそれぞれは、相手方と一体化された場合、使用者が行動を邪魔されずに眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことを可能とする。しかしながら、眼鏡フレーム前側部材及び眼鏡フレーム後側部材のそれぞれは、独立して流通可能な物と成り得る。そのため、以下の態様の物も本発明の一つの態様である。
【0016】
すなわち、本発明のある態様の眼鏡フレーム前側部材は、
左右のレンズのそれぞれを保持するための左右一対のリムと、
それら左右一対のリムを接続するブリッジと、
上記左のリムの外側部に設けられている左係合部と、
上記右のリムの外側部に設けられている右係合部とを有し、
上記左係合部には、掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム後側部材の左取付部が取り付けられ、
上記右係合部には、上記眼鏡フレーム後側部材の右取付部が取り付けられる。
【0017】
本発明のある態様の眼鏡フレーム後側部材は、
掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に取り付けられる左取付部が一端側に設けられており、かつ弾性部を含む左側帯部と、
上記眼鏡フレーム前側部材の右係合部に取り付けられる右取付部が一端側に設けられており、かつ弾性部を含む右側帯部とを有し、
上記左側帯部及び上記右側帯部のそれぞれが、他端側に設けられ、上記左側帯部及び上記右側帯部の相手方の上記他端側への着脱を可能にする着脱部を含む。
【0018】
本発明の別の態様の眼鏡フレーム後側部材は、
弾性部を含む帯部と、
上記帯部の一端側に設けられており、掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に取り付けられる左取付部と、
上記帯部の他端側に設けられており、上記眼鏡フレーム前側部材の右係合部に取り付けられる右取付部と
を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、使用者が行動を邪魔されずに眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことを可能とする掛止機能付き眼鏡フレーム、眼鏡フレーム前側部材、及び眼鏡フレーム後側部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の掛止機能付き眼鏡フレームの斜視図である。
【図2】図1の眼鏡フレーム前側部材の斜視図である。
【図3】図1の眼鏡フレーム後側部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
先ず、図1の掛止機能付き眼鏡フレーム1の構成を説明する。掛止機能付き眼鏡フレーム1は、眼鏡フレーム前側部材2と眼鏡フレーム後側部材3とを有する。眼鏡フレーム前側部材2は、左右のレンズが装着される部材であって、図2にも示すように、左側リム21と、右側リム22と、ブリッジ23と、左枠状凸片24と、右枠状凸片25と、左鼻パッド26と、右鼻パッド27とを有する。左側リム21、右側リム22、ブリッジ23、左枠状凸片24、及び右枠状凸片25は、合成樹脂によって一体的に形成されている。
【0023】
左側リム21は、左側レンズを保持するための枠であって、左側レンズが装着され、装着された左側レンズを保持する。右側リム22は、左側リム21と同等の部材であって、装着された右側レンズを保持する。ブリッジ23は、左側リム21と右側リム22とをそれぞれの内側で接続している。左枠状凸片24は、U字状の線部材であって、左側リム21の外側部とともに枠を形成するように、左側リム21の外側部に設けられている。左枠状凸片24と左側リム21の外側部とにより形成されている枠の内側の高さは例えば10〜30mm程度であり、幅は例えば3〜7mm程度である。右枠状凸片25は、左枠状凸片24と同等のU字状の線部材であって、右側リム22の外側部とともに枠を形成するように、右側リム22の外側部に設けられている。
【0024】
左鼻パッド26は図示されていないが本体部と被覆部とを有し、本体部は、従来の鼻パッドと同様の形態のものであって、合成樹脂により左側リム21等との一体的な形成により、左側リム21の右側リム22との対向部に設けられている。左鼻パッド26の被覆部は、本体部の表面を覆う部材であって、弾性を有する低反発材料によって形成されている。右鼻パッド27は、左鼻パッド26と同等の部材であって、図示されていないが本体部と被覆部とを有し、本体部は、合成樹脂により右側リム22等との一体的な形成により、右側リム22の左側リム21との対向部に設けられている。右鼻パッド27の被覆部は、右鼻パッド27の本体部の表面を覆う部材であって、弾性を有する低反発材料によって形成されている。低反発材料は、例えばウレタン樹脂である。
【0025】
眼鏡フレーム後側部材3は、図1及び図3に示すように、左側帯部31と、右側帯部32とを有する。左側帯部31は、内部の全体がゴムで形成されており外表部の全体が布で形成されている帯状体である。左側帯部31の一端側の両面部には、左側帯部31の一端側を眼鏡フレーム前側部材2の左枠状凸片24により形成されている枠に取り付けるための面ファスナ31aが左取付部として設けられており、左側帯部31の他端側の両面部には、右側帯部32の他端側への着脱を可能にする面ファスナ31bが着脱部として設けられている。
【0026】
右側帯部32は、左側帯部31と同等の部材であって、内部の全体がゴムで形成されており外表部の全体が布で形成されている帯状体である。右側帯部32の一端側の両面部には、右側帯部32の一端側を眼鏡フレーム前側部材2の右枠状凸片25により形成されている枠に取り付けるための面ファスナ32aが右取付部として設けられており、右側帯部32の他端側の両面部には、左側帯部31の他端側への着脱を可能にする面ファスナ32bが着脱部として設けられている。左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの幅は例えば7〜25mm程度であり、厚さは例えば1〜3mm程度であり、長さは例えば150〜250mm程度である。
【0027】
次に、図1の掛止機能付き眼鏡フレーム1に左右のレンズが装着された眼鏡の使用方法を説明する。先ず、使用者は、眼鏡フレーム前側部材2の左枠状凸片24により形成されている枠の中に、左側帯部31の一端側をその枠の外側から通して折り返し、面ファスナ31aのある部分を別の部分と貼り合わせることによりその一端側をその枠に取り付ける。同様にして、使用者は、右側帯部32の一端側を右枠状凸片25により形成されている枠に取り付ける。
【0028】
そして、使用者は、眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21を左目の前に位置させ、右側リム22を右目の前に位置させ、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの他端側を後頭部に位置させる。使用者は、左側帯部31の他端側に設けられている面ファスナ31bと、右側帯部32の他端側に設けられている面ファスナ32bとを後頭部において貼り合わせる。それにより使用者は、レンズが掛止機能付き眼鏡フレーム1に装着された眼鏡を掛けることができる。
【0029】
使用者は、眼鏡をはずす場合、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させた状態で、眼鏡フレーム前側部材2を手で持って前頭部に移動させる。眼鏡フレーム後側部材3を構成する左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれが弾性部を含んでいるので左側帯部31及び右側帯部32が長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させたまま眼鏡フレーム前側部材2を容易に前頭部に移動させることができる。また、摩擦力及び上記弾性部の復元力により、眼鏡フレーム前側部材2は前頭部に留まる。また、眼鏡フレーム前側部材2を構成する左鼻パッド26及び右鼻パッド27の表面の被覆部が弾性を有するのでその被覆部が緩衝効果を発揮し、それにより使用者は、前頭部に留まった眼鏡フレーム前側部材2に対して痛み等の不快をあまり感じない。
【0030】
使用者は、眼鏡を再び掛けようとする場合、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させた状態で、眼鏡フレーム前側部材2を手で持って目の前に移動させる。左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれが弾性部を含んでいるので左側帯部31及び右側帯部32が長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させたまま眼鏡フレーム前側部材2を目の前に容易に移動させることができる。
【0031】
上述の通り、使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させた状態で、眼鏡を必要とする場合に眼鏡フレーム前側部材2を目の前に位置させ、眼鏡を必要としない場合に眼鏡フレーム前側部材2を前頭部に位置させる。眼鏡フレーム後側部材3を構成する左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれが弾性部を含んでいるので左側帯部31及び右側帯部32が長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に位置させた状態で眼鏡フレーム前側部材2を容易に移動させることができる。眼鏡は頭部に常時位置するので、使用者は眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことができる。また、眼鏡をはずした使用者は眼鏡に邪魔されることなく行動することができる。
【0032】
また、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31の一端側には、その一端側を眼鏡フレーム前側部材2の左枠状凸片24により形成されている枠に取り付けるための面ファスナ31aが設けられており、眼鏡フレーム後側部材3の右側帯部32の一端側には、その一端側を眼鏡フレーム前側部材2の右枠状凸片25により形成されている枠に取り付けるための面ファスナ32aが設けられている。面ファスナは取り付け及び取り外しを容易に行うことを可能とするものであるので、使用者は、左側帯部31の一端側を左枠状凸片24により形成されている枠に通して折り返すことにより、左側帯部31の一端側をその枠に容易に取り付けることができる。同様に、使用者は、右側帯部32の一端側を右枠状凸片25により形成されている枠に容易に取り付けることができる。
【0033】
また、左側帯部31の他端側には、右側帯部32の他端側への着脱を可能にする面ファスナ31bが設けられており、右側帯部32の他端側には、左側帯部31の他端側への着脱を可能にする面ファスナ32bが設けられている。面ファスナは取り付け及び取り外しを容易に行うことを可能とするものであるので、使用者は、面ファスナ31b及び面ファスナ32bを用いることにより、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの他端側を容易に着脱することができる。
【0034】
また、眼鏡フレーム前側部材2の左鼻パッド26及び右鼻パッド27の被覆部は弾性変形するので緩衝部材となり、その被覆部は、前頭部に留まった眼鏡フレーム前側部材2に使用者に痛み等の不快をあまり感じさせないという効果を奏する。
【0035】
また、使用者は、入浴時や就寝時等の眼鏡を全く必要としない場合、掛止機能付き眼鏡フレーム1を台に置く。そのとき、使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を構成する左側帯部31及び右側帯部32が台に接し、かつ眼鏡フレーム前側部材2が左側帯部31及び右側帯部32の上に位置するように掛止機能付き眼鏡フレーム1を台に置くと、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの外表部が布製であるので、レンズに傷をつきにくくすることができる。
【0036】
(変形例)
なお、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21、右側リム22、ブリッジ23、左枠状凸片24、右枠状凸片25、左鼻パッド26の本体部、及び右鼻パッド27の本体部は、合成樹脂によって一体的に形成されている。しかしながら、それらの構成要素は、合成樹脂以外の材料によって形成されてもよい。例えば、それらの構成要素は、チタン等の金属によって形成されてもよい。また、それらの各構成要素は、一体的にではなく個別に形成されて、溶接又は接着剤によって互いに固定されあってもよい。
【0037】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21には、その外側部と左枠状凸片24とによって枠が形成されている。しかしながら、その枠は、左枠状凸片24が用いられることなく、空間部を四方から囲む線部材が左側リム21の外側部に固定されることによって設けられてもよい。同様に、右側リム22には、その外側部と右枠状凸片25とによって枠が形成されているが、その枠は、空間部を四方から囲む線部材が右側リム22の外側部に固定されることによって設けられてもよい。要するに、左側リム21の外側部と右側リム22の外側部とに枠が設けられていればよい。その枠の一部には欠けた部分があってもよい。また、左枠状凸片24及び右枠状凸片25の大きさは、上述した実施の形態に限定されない。
【0038】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム前側部材2の左鼻パッド26は、従来の鼻パッドと同様な形態の本体部と、被覆部とを有する。しかしながら、左鼻パッド26は、左側リム21に固定されていれば、全体又は、左側リム21への固定部分以外の大部分が弾性を有する材料によって形成されたものであってもよい。右鼻パッド27も、左鼻パッド26と同様に、右側リム22に固定されていれば、全体又は、右側リム22への固定部分以外の大部分が弾性を有する材料によって形成されたものであってもよい。要するに、左鼻パッド26及び右鼻パッド27の表面が弾性を有する部材であればよい。その弾性を有する部材は、ウレタン樹脂に限定されない。
【0039】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム前側部材2の左鼻パッド26は左側リム21に設けられており、右鼻パッド27は右側リム22に設けられている。しかしながら、左鼻パッド26及び右鼻パッド27は、ブリッジ23に設けられてもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3は、左側帯部31と、右側帯部32とを有し、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれは、内部の全体がゴムで形成されており外表部の全体が布で形成されている帯状体である。しかしながら、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれは、内部の一部のみがゴムで形成されてもよい。また、ゴムは他の弾性体に置き換えられてもよい。また、左側帯部31及び右側帯部32の外表部は一部のみが布製であってもよいし、外表部は布以外の材料により形成されてもよい。更に、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれは、少なくとも一部に弾性を有していれば、内部と外表部とに分けられることなく、一つの材料により形成されてもよい。
【0041】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31の一端側には、その一端側を眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21の外側部に設けられている枠に取り付けるための面ファスナ31aが設けられている。しかしながら、左側帯部31の一端側には、面ファスナ31aに代えて鉤が設けられてもよい。要するに、左側帯部31の一端側には、その一端側を上記枠に取り付けるための左取付部が設けられていればよい。同様に、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3の右側帯部32の一端側には、その一端側を眼鏡フレーム前側部材2の右側リム22の外側部に設けられている枠に取り付けるための面ファスナ32aが設けられているが、右側帯部32の一端側には鉤が設けられていてもよい。要するに、右側帯部32の一端側には、その一端側を上記枠に取り付けるための右取付部が設けられていればよい。
【0042】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの他端側には、左側帯部31及び右側帯部32の相手方の他端側への着脱を可能にする面ファスナが着脱部として設けられている。しかしながら、左側帯部31及び右側帯部32の一方の他端側にボタンが設けられており、他方の他端側にそのボタンが嵌め込まれる孔又は穴が設けられてもよい。要するに、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの他端側には、左側帯部31及び右側帯部32の相手方の他端側への着脱を可能にする着脱部が設けられていればよい。
【0043】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの幅は例えば7〜25mm程度であり、厚さは例えば1〜3mm程度であり、長さは例えば150〜250mm程度である。しかしながら、左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれの幅、厚さ及び長さは、上述した実施の形態に限定されない。
【0044】
また、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31及び右側帯部32のそれぞれには、取っ手が設けられてもよい。使用者は、取っ手を用いることにより、左側帯部31及び右側帯部32をより容易に取り扱うことができる。また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3の左側帯部31の一端側を眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21の外側部に設けられている枠に取り付ける場合、面ファスナ31aを折り返して上記一端側を上記枠に取り付ける。その場合、面ファスナ31aのある部分と別の部分とが貼り合わせられた箇所にピンを貫通させることにより、左側帯部31の一端側の枠への取り付けを補強してもよい。同様に、右側帯部32の面ファスナ32aのある部分と別の部分とが貼り合わせられた箇所にピンを貫通させることにより、右側帯部32の一端側の右側リム22の外側部に設けられている枠への取り付けを補強してもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム後側部材3は、左側帯部31と右側帯部32とを有する。しかしながら、眼鏡フレーム後側部材3は、少なくとも一部に弾性を有する一つの帯状体であってもよい。その場合、使用者は、眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21の外側部に設けられている枠に眼鏡フレーム後側部材3の一端側を上述のように面ファスナにより取り付け、かつ右側リム22の外側部に設けられている枠に眼鏡フレーム後側部材3の他端側を上述のように面ファスナにより取り付けて、レンズが掛止機能付き眼鏡フレームに装着された眼鏡をかぶるようにして掛ける。眼鏡フレーム後側部材3が弾性部を含むので長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させながら、眼鏡を容易に掛けることができる。また、眼鏡フレーム後側部材3が弾性部を含むので長さ方向等に伸び、それにより使用者は、眼鏡フレーム後側部材3を後頭部に接触させた状態で、目の前と前頭部との間で眼鏡フレーム前側部材2を容易に移動させることができる。眼鏡は頭部に常時位置するので、使用者は眼鏡の掛けはずし動作を簡単に行うことができる。また、眼鏡をはずした使用者は眼鏡に邪魔されることなく行動することができる。
【0046】
更に、上述した実施の形態では、眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21の外側部に枠が設けられており、眼鏡フレーム前側部材2の右側リム22の外側部に枠が設けられており、それらに対応して、眼鏡フレーム後側部材3の端側に面ファスナが設けられている。しかしながら、眼鏡フレーム前側部材2の左側リム21及び右側リム22のそれぞれの外側部には枠以外の係合部が設けられていてもよい。その場合、眼鏡フレーム後側部材3の端側には、それらの係合部への取り付け及び取り外しを比較的容易に行うことができる取付部が設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の掛止機能付き眼鏡フレーム、眼鏡フレーム前側部材、及び眼鏡フレーム後側部材は、眼鏡を構成する部材として有用である。眼鏡の例として、老眼鏡、子供用眼鏡、及び工場で使用される眼鏡が挙げられる。
【符号の説明】
【0048】
1 掛止機能付き眼鏡フレーム
2 眼鏡フレーム前側部材
3 眼鏡フレーム後側部材
21 左側リム
22 右側リム
23 ブリッジ
24 左枠状凸片
25 右枠状凸片
26 左鼻パッド
27 右鼻パッド
31 左側帯部
31a 面ファスナ
31b 面ファスナ
32 右側帯部
32a 面ファスナ
32b 面ファスナ







【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のレンズのそれぞれを保持するための左右一対のリム、それら左右一対のリムを接続するブリッジ、上記左のリムの外側部に設けられている左係合部、及び上記右のリムの外側部に設けられている右係合部を有する眼鏡フレーム前側部材と、
上記左係合部に取り付けられる左取付部が一端側に設けられておりかつ弾性部を含む左側帯部、及び上記右係合部に取り付けられる右取付部が一端側に設けられておりかつ弾性部を含む右側帯部を有する眼鏡フレーム後側部材とを備え、
上記左側帯部及び上記右側帯部のそれぞれが、他端側に設けられ、上記左側帯部及び上記右側帯部の相手方の上記他端側への着脱を可能にする着脱部を含む
掛止機能付き眼鏡フレーム。
【請求項2】
左右のレンズのそれぞれを保持するための左右一対のリム、それら左右一対のリムを接続するブリッジ、上記左のリムの外側部に設けられている左係合部、及び上記右のリムの外側部に設けられている右係合部を有する眼鏡フレーム前側部材と、
弾性部を有する帯部、上記帯部の一端側に設けられており掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に取り付けられる左取付部、及び上記帯部の他端側に設けられており上記眼鏡フレーム前側部材の右係合部に取り付けられる右取付部を有する帯状の眼鏡フレーム後側部材と
を備える掛止機能付き眼鏡フレーム。
【請求項3】
上記左係合部及び上記右係合部が枠状凸片であり、
上記左取付部及び上記右取付部が面ファスナである
請求項1又は2に記載の掛止機能付き眼鏡フレーム。
【請求項4】
上記眼鏡フレーム前側部材が、上記左右一対のリムのそれぞれの対向部又は上記ブリッジに設けられている弾性体の鼻パッドを更に有する
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の掛止機能付き眼鏡フレーム。
【請求項5】
左右のレンズのそれぞれを保持するための左右一対のリムと、
それら左右一対のリムを接続するブリッジと、
上記左のリムの外側部に設けられている左係合部と、
上記右のリムの外側部に設けられている右係合部とを備え、
上記左係合部には、掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム後側部材の左取付部が取り付けられ、
上記右係合部には、上記眼鏡フレーム後側部材の右取付部が取り付けられる
眼鏡フレーム前側部材。
【請求項6】
掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に取り付けられる左取付部が一端側に設けられており、かつ弾性部を有する左側帯部と、
上記眼鏡フレーム前側部材の右係合部に取り付けられる右取付部が一端側に設けられており、かつ弾性部を有する右側帯部とを備え、
上記左側帯部及び上記右側帯部のそれぞれが、他端側に設けられ、上記左側帯部及び上記右側帯部の相手方の上記他端側への着脱を可能にする着脱部を有する
眼鏡フレーム後側部材。
【請求項7】
弾性部を有する帯部と、
上記帯部の一端側に設けられており、掛止機能付き眼鏡フレームの眼鏡フレーム前側部材の左係合部に取り付けられる左取付部と、
上記帯部の他端側に設けられており、上記眼鏡フレーム前側部材の右係合部に取り付けられる右取付部と
を備える眼鏡フレーム後側部材。





















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185370(P2012−185370A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49103(P2011−49103)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【特許番号】特許第4986088号(P4986088)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(511059564)
【Fターム(参考)】