採光屋根の排水構造
【課題】採光面が折板屋根の傾斜と略平行に配置される採光屋根の排水構造を提供する。
【解決手段】傾斜する屋根の開口部に配置される採光屋根1の排水構造であって、屋根の傾斜と略同一の傾斜を有する採光面と、屋根の傾斜方向に略直交するように配置される連結面とを有する少なくとも2つの第一採光部材80及び81と、前記連結面の下方に配置される樋部材26であって、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材と、を有することを特徴とする。
【解決手段】傾斜する屋根の開口部に配置される採光屋根1の排水構造であって、屋根の傾斜と略同一の傾斜を有する採光面と、屋根の傾斜方向に略直交するように配置される連結面とを有する少なくとも2つの第一採光部材80及び81と、前記連結面の下方に配置される樋部材26であって、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光屋根の排水構造に関し、特に、屋根の採光用開口部に中空合成樹脂板を張設してなる採光屋根の排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の折板屋根に採光性を持たせるために、その一部に一定幅の採光用開口部を設けて、開口部にポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂等の透明樹脂からなる採光板を張設することにより採光屋根を構成することが知られている。
【0003】
また、金属製の折板屋根に採光性を持たせるために、その一部に一定幅の採光用開口部を設けて、開口部に、金属製の折板屋根の長手方向に沿って複数の中空合成樹脂板を組み合わせて張設することにより採光屋根を構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらにまた、結露水又は連結面を止水する止水シール材の劣化などにより採光屋根の内部に流入する雨水などの浸入水が屋内に落下することを防止するために、採光屋根内部に折板屋根の傾斜方向と直交する方向に樋を設置することが知られる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−241804号公報
【特許文献2】実開昭61−32326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、採光屋根の採光面が折板屋根の傾斜と異なる方向に傾斜するため、採光屋根の美観が低下するという問題があった。また、折板屋根の傾斜方向と直交する方向に傾斜する採光部材を支持する支持部が、採光部材を傾斜させるために左右非対称の構造になり、左右の支持部で異なる部材が必要となり、コストアップの要因になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、採光面が折板屋根の傾斜と略平行に配置される採光屋根の排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る排水構造は、傾斜する屋根の開口部に配置される採光屋根の排水構造であって、
屋根の傾斜と略同一の傾斜を有する採光面と、屋根の傾斜方向に略直交するように配置される連結面とを有する少なくとも2つの第一採光部材と、
前記連結面の下方に配置される樋部材であって、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る排水構造では、前記樋部材の上面は、前記第一採光部材に対向し、かつ屋根の傾斜方向に略平行であり、前記上面の反対に位置する前記樋部材の底面は、前記排水経路の傾斜方向に略平行であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る排水構造では、前記樋部材は、
前記連結面に近接して配置される支持部と、
前記支持部の長手方向の一方の側部に配置される第一排水経路と、
前記支持部の前記長手方向の他方の側部に配置され、前記第一排水経路の傾斜と同一の傾斜を有する第二排水経路部と、
を備えることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る排水構造では、前記樋部材の下方に配置される第二採光部材であって、前記排水経路の傾斜方向に傾斜する採光面を有する第二採光部材をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材を採用するので、採光面が屋根の傾斜と略平行に配置される採光屋根を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る排水構造を有する採光屋根の外観の一例を示す図である。
【図2】図1のAA´断面図である。
【図3】図1の部分透視図である。
【図4】(a)は採光屋根で利用される樋部材の平面図であり、(b)は対応した側面図であり、(c)は対応した正面図である。
【図5】(a)は図1のCC´部分断面図であり、(b)は図1のDD´部分断面図であり、(c)は図1のEE´部分断面図であり、(d)は図1のFF´部分断面図である。
【図6(a)】図5(a)の分解斜視図である。
【図6(b)】図5(d)の分解斜視図である。
【図7】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(1)。
【図8】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(2)。
【図9】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(3)。
【図10】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(4)。
【図11】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(5)。
【図12】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(6)。
【図13】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(7)。
【図14】(a)は採光屋根の組み立て手順を説明するための図(8)であり、(b)はサイドカバーの側面図である。
【図15】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(9)。
【図16】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(10)。
【図17】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(11)。
【図18】(a)は採光屋根で利用される樋部材の他の例の平面図であり、(b)は対応した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る採光屋根の排水構造を、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は以下に説明される実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
また、本発明の開示において提供される図面は、本発明の説明を意図したものであり、適当な縮尺を示すことを意図したものではないことを理解すべきである。また、それぞれの図面において、同一又は類似する機能を有する構成要素には、同一又は類似する符号が付される。したがって、先に説明した構成要素と同一又は類似する機能を有する構成要素に関しては、改めて説明をしないことがある。
【0016】
以下、図1〜18を参照して、本発明に係る排水構造について説明する。図1は、本発明に係る排水構造を有する採光屋根10の外観の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、採光屋根10が、屋根構造のもや2及び3上に固定された金属製の折板屋根1上に配置される。金属製の折板屋根1は、水上側にある屋根の頂上部から水下側に所定の角度を持って傾斜するように配置される。したがって、ここでは、図中右上側が水上側であり、図中左下側が水下側である。採光屋根10は、押し縁28、シール材及び止水パッキンなどの連結部材により連結される連結面をそれぞれ備える2枚の第一採光部材80及び81を有する。第一採光部材80及び81は、建物の屋外の太陽光などの外光を採光する採光面が金属製の折板屋根1と同一の傾斜を有し、かつ第一採光部材80及び81を連結するそれぞれの連結面が金属製の折板屋根1の傾斜方向に直交するように配置される。第一採光部材80及び81は、建物の屋外の太陽光などの外光を採光する部材であり、かつ不燃性の部材である。例えば、第一採光部材80及び81は、網入りガラスにしてもよい。
【0018】
図2は、図1のAA´断面図である。
【0019】
図2に示すように、第一採光部材81の一端は、コーナーサポート43と、サイドカバー45によって挟み込まれ、他端は、コーナーサポート44と、サイドカバー46によって挟み込まれるように支持される。コーナーサポート43及び側面板41は第一縦材15に固定され、コーナーサポート44及び側面板40は第二縦材16に固定されている。コーナーサポート43及び44の外側にはそれぞれ、サイドカバー45及び46(図14(b)を参照のこと)が配置され、コーナーサポート43及び44の側面及び上面をそれぞれ覆うように配置される。
【0020】
第一採光部材80及び81を連結する連結部の下方には、樋部材26が近接して配置される。樋部材26の両端はそれぞれ、ビス95及び96によりコーナーサポート43及び44に固定される。樋部材26の上面は、第一採光部材81に対向し、かつ第一採光部材の採光面に平行である。また、上面の反対に位置する樋部材26の底面は、コーナーサポート43に支持される一端からコーナーサポート44に支持される他端へ傾斜する。この傾斜は、樋部材26の排水経路の傾斜と平行である。したがって、樋部材26の排水経路に流入した侵入水は、排水経路の傾斜によってコーナーサポート44に導水される。次いで、コーナーサポート44に排水された侵入水は、コーナーサポート44に形成される排水孔(不図示)から採光屋根10の外部に排水される。また、侵入水は、コーナーサポート44内をその傾斜に沿って水下側へ流下し、採光屋根10の水下側に配置される吹き込み防止板30(図9を参照のこと)と水下カバー35(図17を参照のこと)との間からも外部に排水される。
【0021】
図3を参照して、第一採光部材80及び81の連結面の下方の配置される樋部材26の設置状態について説明する。図3は、図1の矢印Bの方向から見た採光屋根10の部分透視図である。
【0022】
図3に示すように、樋部材26は、第一採光部材80及び81に対向し、かつ屋根の傾斜方向に平行である上面と、上面の反対に位置する2つの底面とを有する。この底面により形成される2つの排水経路は、屋根の傾斜方向に直交する方向に沿って傾斜する。より具体的には、2つの排水経路屋根は、水下側から見て左手から右手に向けて傾斜する。この傾斜によって、樋部材26の排水経路に流入した侵入水は、樋部材26の右手に配置されるコーナーサポート44に導水される。
【0023】
再び図2を参照すると、樋部材26のさらに下方には、採光屋根10の断熱効果を向上させ、かつ侵入水が屋内に落下することを防止するために、第二採光部材60、61及び62が水上側から順に配置される。図2では、このうち中央に配置される第二採光部材61のみ記載される。
【0024】
第二採光部材61は、採光面が排水経路の傾斜方向に傾斜するように配置される。このような構成により、樋部材26の排水経路をオーバフローした侵入水など第二採光部材61の採光面上に到達した侵入水は、樋部材26の排水経路に流入した侵入水と同様に、コーナーサポート44に導水される。次いで、侵入水は、コーナーサポート44から採光屋根10の外部に排水される。
【0025】
第二採光部材61のさらに下方に位置する結合部材24は、後に詳細に説明するように3つの第二採光部材60、61及び62をそれぞれ結合する部材であり、コーナーサポート43及び44にそれぞれ形成される切欠きに嵌合される。結合部材24をコーナーサポート43及び44にそれぞれ形成される切欠きに嵌合することで、第2採光部材60、61及び62の屋根1の傾斜方向に対するズレを容易に防止することができる。
【0026】
以下、樋部材26、第二採光部材61及び結合部材24について、図4(a)〜図4(c)、図5(a)〜図5(d)並びに図6(a)及び図6(b)を、図2とともに適宜参照して、順に説明する。
【0027】
図4(a)は、樋部材26の平面図であり、図4(b)は矢印Gの方向から見た樋部材26の側面図であり、図4(c)は矢印Hの方向から見た樋部材26の正面図である。また、図5(a)は図1のCC´部分断面図であり、図5(b)は図1のDD´部分断面図であり、図5(c)は図1のEE´部分断面図であり、図5(d)は図1のFF´部分断面図である。さらに、図6(a)は図5(a)の分解斜視図であり、図6(b)は図5(d)の分解斜視図である。
【0028】
まず、樋部材26について説明する。図4(a)〜4(c)に示すように、樋部材26は、支持部26aと、支持部26aの長手方向の一方の側部に配置される第一排水経路26bと、支持部26aの長手方向の他方の側部に配置され、第一排水経路26bの傾斜と同一の傾斜を有する第二排水経路部26cとを備える。樋部材26の支持部26aには、孔26d〜26gが形成される。孔26d及び26eは、図2に示すように、樋部材26をビス95及び96によりコーナーサポート43及び44に固定するように形成される。また、孔26f及び26gは、図5(a)及び5(b)に示すように、押し縁28とともにボルト90及びナット91で第一採光部材80及び81を挟持するように形成される。なお、孔26f及び26gには、ボルト90の頭の周り止めのための周り止め用の凸部が併せて形成される。
【0029】
ここで図2を再び参照すると、樋部材26の上面に位置する支持部26aは採光屋根10において第一採光部材81と平行に配置されるため、支持部26aの長手方向は第一採光部材81の採光面と平行になる。また、樋部材26の底面と平行である第一排水経路26b及び第二排水経路部26cは、長手方向に沿って所定の角度を持って傾斜する。このため、浸入水は、第一排水経路26b又は第二排水経路部26cを介して、コーナーサポート44に導水される。導水された侵入水は、コーナーサポート44に形成される孔(不図示)を介して、サイドカバー46と第二縦材16との間を通って採光屋根10の外部に排水される。本実施形態では、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜角は、1/72程度である。しかしながら、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜角は、この角度に限定されることはなく、侵入水をコーナーサポート44に導水することが可能であればよい。例えば、排水経路の傾斜角の範囲は、1/100〜3/100であることが好ましい。
【0030】
再び図4を参照すると、樋部材26は、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cそれぞれの導水出口側の端部に突起部26h及び26iを有する。突起部26h及び26iは、樋部材26の下方に近接して配置される第二採光部材61を固定する機能を有する。図2に示すように、第二採光部材61は、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜方向と同一方向に傾斜するため、第二採光部材61が傾斜方向にずれるおそれがある。このため、突起部26h及び26iによって、第二採光部材61が傾斜方向にずれることを防止する必要がある。
【0031】
次に、図5(a)及び5(b)並び図6(a)を参照して、第一採光部材80及び81を連結する連結部について説明する。第一採光部材80及び81を連結する連結部は、押し縁28と、樋部材26と、ボルト90及びナット91と、パッキン100と、止水シール材102とにより構成される。図5(a)及び図6(a)に示される様に、第一採光部材80及び第二採光部材81は、押し縁28と樋部材26との間に、挟み込まれるように配置される。また、第一採光部材80及び第二採光部材81は、ボルト90−1と、押し縁28の上側に配置されるナット91−1によって、押し縁28と樋部材26とにより固定される。さらに、押し縁28と第一採光部材80及び第二採光部材81との間にはパッキン100a及び100bがそれぞれ配置され、第一採光部材80及び第二採光部材81と、樋部材26の支持部26aとの間には、パッキン100c及び100dがそれぞれ配置されている。さらに、第一採光部材80及び81の互いに対向するそれぞれの連結面の間には止水シール材102が配置される。
【0032】
このように、本実施形態では、止水シール材102の真下に樋部材26の支持部26aが配置される。このような構成を採用することにより、注入当初は非固形物である止水シール材102を第一採光部材80及び81の間に注入するときに止水シール材が流出することを防止できる。このため、本実施形態では、止水シール材を注入する工程が容易になる。また、本実施形態では、ボルト90を貫通させるための孔は、侵入水を導水する樋部材26の排水経路ではなく、侵入水を導水する経路ではない樋部材26の支持部26aに形成される。このため、排水経路を流れる水の流れがボルト90により阻害されることがない。さらに、排水経路にボルト用の孔が形成されないため、孔から漏水するおそれもない。
【0033】
次に、図5(c)及び5(d)並び図6(b)を参照して、第二採光部材60及び61の結合部について説明する。図6(b)に示すように、第二採光部材60及び61の端部はそれぞれ垂直に折り曲げられて、凹状の形状を有する結合部材24に収容される。第二採光部材60及び61の端部はそれぞれ、結合部材24に収容されるので、第二採光部材60及び61の結合部分から漏水することはない。さらに、結合部材24は、コーナーサポート44に形成される切欠きに嵌合される。コーナーサポート44に形成される切欠きは、結合部材24を嵌合することが可能な形状及び大きさを有する。この切欠きが屋根の傾斜方向に直交するため、切欠きに嵌合される第二採光部材60及び61は、屋根の傾斜方向にずれるおそれはない。また、上述のように、第二採光部材61は、樋部材26の突起部26h及び26iにより、屋根の傾斜方向に直交する樋部材26の傾斜方向へのずれが防止されるため、樋部材26の傾斜方向にずれるおそれもない。このため、本実施形態では、第二採光部材は、ボルト・ナットなどの固定具を用いて固定せず、コーナーサポート43及び44に載置しているだけにも関わらず、屋根の傾斜方向と平行な方向及び直交する方向のいずれの方向にもずれるおそれはなく、施工も容易である。さらに、第二採光部材60及び61の固定のために、ボルト・ナットを用いていないので、ボルト用の貫通孔を形成する必要がないため、ボルト用の貫通孔を介して漏水するおそれはない。
【0034】
なお、図5(a)と、図5(b)とを比較すると、図5(a)よりも図5(b)の方が樋部材26の第一排水経路26b及び第二排水経路26cの位置が低くなる。樋部材26の排水経路が傾斜を有するためである。同様に、第一排水経路26b及び第二排水経路26cに近接して配置される第二採光部材61も図5(a)よりも図5(b)の方が、位置が低くなっている。
【0035】
また、図5(c)と、図5(d)とを比較すると、排水経路の傾斜に従って第二採光部材60及び61の位置が低くなる。このため、第二採光部材60及び61の端部を収容する結合部材24を嵌合する切欠きの高さ、及び第二採光部材60及び61を支持するコーナーサポート43及び44の支持部の高さは、図5(c)に示されるコーナーサポート43と、図5(d)に示されるコーナーサポート44とで互いに相違する。したがって、コーナーサポート43及び44は、互いに異なる部材にする必要がある。しかしながら、縦材、側面板およびサイドカバーなどのコーナーサポート43及び44以外の部材は、第二採光部材の両端で同一の部材を使用することができる。このため、本実施形態では、コーナーサポート43及び44以外の多くの部材を共通化することができる。
【0036】
第二採光部材60、61及び62の部材として、中空ハニカム構造を有するポリカーボネイト樹脂からなる複数の中空合成樹脂板が採用される。中空合成樹脂板を採用することにより、第二採光部材は、高い剛性と断熱性能を有することができ、さらに軽量化が可能になる。
【0037】
以下、採光屋根10の組み立て手順について図7〜図17を参照して、順に説明する。
【0038】
図7は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第一の説明図であり、金属製の折板屋根1の一部を取り外して開口部9を形成した状態を示す。
【0039】
金属性の折板屋根1は、屋根構造のもや2及び3上に固定された第一タイトフレーム6及び第二タイトフレーム7にビス等で固定される。第一及び第二タイトフレーム6及び7は、金属性の折板屋根1の凹凸形状に合致する凹凸形状を有している。なお、図1及び7など本実施形態を説明するために使用される図面では、金属性の折板屋根1は、1枚の板で構成されるが、実際には複数の板を組み合わせた構成となっている。
【0040】
図8は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第二の説明図であり、金属製の折板屋根1の開口部9上に、枠構造8を配置した状況を示す。
【0041】
枠構造8は、屋根構造の水下側に配置された第一横枠12及び水上側に配置された第二横枠14と、それらの上に配置された第一縦枠15及び第二縦枠16と、第一横枠12及び第二横枠14の中間部に配置された第三横枠13、第一横枠12の更に水下側に配置されたカバー止め用横枠11等から構成される。カバー止め用横枠11、第一横枠12、第三横枠13及び第二横枠14は、断面コの字状の鉄骨から構成され、第一縦枠15及び第二縦枠16は、断面Cの字状の鉄骨から構成される。
【0042】
第一横枠12はボルト(不図示)により第一タイトフレーム6に固定され、第二横枠14はボルト(不図示)により第二タイトフレーム7に固定され、第一縦枠15及び第二縦枠16はボルト(不図示)によりそれぞれ第一横枠12及び第二横枠14と固定される。また、カバー止め用横枠11はボルト(不図示)により第一縦枠15及び第二縦枠16に固定され、第三横枠13はボルト(不図示)により第一縦枠15及び第二縦枠16に固定される。
【0043】
第三横枠13は、もや2及び3の中間部分で且つもやが存在しない箇所で金属性の折板屋根1とビス(不図示)により固定されている。したがって、第三横枠13によって、その下方の金属性の折板屋根1の強度が補強される。
【0044】
図9は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第三の説明図であり、吹き込み防止板30を取り付けた状況を示している。
【0045】
図9に示すように、吹き込み防止板30は、ビス31によってカバー止め用横枠11に取り付けられる。吹き込み防止板30は、カバー止め用横枠11の側面を覆うように側面側に折り曲げられている。さらに、吹き込み防止板30は、カバー止め用横枠11の水下側の面を覆うように水下側に折り曲げられる。
【0046】
図10は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第四の説明図であり、側面板40及び41を取り付けた状況を示す。
【0047】
側面板40及び41は、第一縦枠15及び第二縦枠16上に貼付されたブチルテープ又はシール材(不図示)及びビス(不図示)によって、第一縦枠15及び第二縦枠16に固定される。なお、側面板40及び41は金属性の折板屋根1の凹凸形状に合うように、それらの先端部40A及び41Aが折り曲げられている。
【0048】
図11は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第五の説明図であり、コーナーサポート43及び44を取り付けた状況を示している。
【0049】
図11に示すように、コーナーサポート43及び44はそれぞれ、第一縦材15及び第二縦材16の上に配置される。コーナーサポート43及び44には、侵入水を採光屋根10の外部に排水するための単数又は複数の排水孔43a及び44aがそれぞれ形成される。コーナーサポート43は、排水孔43aが第一縦材15の外側に位置するように第一縦材15に固定される。侵入水を排水孔43aから採光屋根10の外部に排水するためである。同様に、コーナーサポート44は、排水孔44aが第一縦材15の外側に位置するように第一縦材16に固定される。コーナーサポート43及び44は、ビス(不図示)によって、第一縦材15及び第二縦材16にそれぞれ固定される。
【0050】
また、図5(c)及び5(d)を参照して説明したように、コーナーサポート43及び44にはそれぞれ、第二採光部材を固定するために単数又は複数の切欠きが形成される。本実施形態では、第二採光部材は3つの部材で構成されるので、コーナーサポート43及び44には、2つの切欠きがそれぞれ形成される。
【0051】
図12は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第六の説明図であり、第二採光部材60、61及び62を取り付けた状況を示す。
【0052】
図12に示すように、第二採光部材60、61及び62は、コーナーサポート43及び44によって支持される。図5(c)及び5(d)を参照して説明したように、垂直に折り曲げられた端部を収容する結合部材24を、コーナーサポート43及び44に形成される切欠きに嵌合することによって、第二採光部材60、61及び62は、固定される。また、コーナーサポート43に形成される切欠きよりも、コーナーサポート44に形成される切欠きの方が低い位置にあるため、第二採光部材60、61及び62は、コーナーサポート43からコーナーサポート44への方向に傾斜して配置される。第二採光部材60、61及び62の傾斜方向は、第二採光部材60、61及び62の採光面がそれぞれ樋部材26の排水経路の傾斜方向に傾斜するように配置される。
【0053】
第二採光部材60、61及び62は、透光性樹脂(ポリカーボネイト)を押し出し成形によって形成したものであって、内壁によって仕切られた複数の中空部を含んでいる。本実施例では、第二採光部材60、61及び62はそれぞれ1枚の板で構成されるが、複数の中空合成樹脂板を組み合わせて構成するようにしても良い。
【0054】
図13は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第七の説明図であり、第一採光部材80及び81を取り付けた状況を示す。
【0055】
図13に示すように、第一採光部材80及び81は、第二採光部材60、61及び62の上にそれぞれ配置される。図5(a)などを参照して先に説明したように、第一採光部材80及び81は、押し縁28と樋部材26とにボルト90及びナット91を介して挟持されることにより連結される。また、樋部材26の両端に形成されるビス用孔26d及び26eと、コーナーサポート43及び44の支持部にそれぞれ形成されるビス用孔とを位置合わせしてビス95及び96(図2参照のこと)で固定することにより、第一採光部材80及び81は、適当な位置に位置決めされる。第一採光部材80及び81を支持するコーナーサポート43及び44の支持部は、金属製の折板屋根1の傾斜方向と同一の傾斜を有するように配置される。このため、第一採光部材80及び81を連結する樋部材26をコーナーサポート43及び44の支持部にそれぞれ配置することにより、樋部材26の上面に配置される第一採光部材80及び81の採光面は、金属製の折板屋根1の傾斜と同一の傾斜を有することになる。
【0056】
図14は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第八の説明図であり、サイドカバー45及び46を取り付けた状況を示す。
【0057】
図14(a)に示すように、サイドカバー45及び46は、コーナーサポート43及び44をそれぞれ覆うように配置され、図2に示すようにビス97及び98により固定される。また、サイドカバー45及び46それぞれは、第一採光部材80及び81の端部をコーナーサポート43及び44とともに挟持するように構成される。
【0058】
図14(b)は、サイドカバー46の側面図である。サイドカバー46の側面部46aは、コーナーサポート44の側面を覆い、サイドカバー46の上面部46bには、単数又は複数のビス孔(不図示)が形成されてビス98によりコーナーサポート44に結合される。また、サイドカバー46の挟持部46cは、コーナーサポート44とともに第一採光部材80及び81の端部を挟持する。
【0059】
図15は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第九の説明図であり、第一後板50を取り付けた状況を示す。
【0060】
第一後板50は、サイドカバー45及び46の水上側の端部に接着材によって固定される。
【0061】
図16は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第十の説明図であり、第二後板51を取り付けた状況を示す。
【0062】
第二後板51は、第一縦枠15及び第二縦枠16上に貼付されたブチルテープ(不図示)及びビス(不図示)によって、第一縦枠15及び第二縦枠16に、第一後板の上側端面を覆うように固定される。第二後面51によって、第一縦枠15及び第二縦枠16の水上側端部の水上側端部が覆われる。
【0063】
図17は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第十一の説明図であり、水下カバー35を取り付けた状況を示す。
【0064】
図17に示すように、水下カバー35は、第一採光部材81並びにサイドカバー45及び46を覆うように配置され、図12に示した吹き込み防止板30上に配置したコの字状の固定具(不図示)で固定される。これによって、第一採光部材80及び81の水下側端部が覆われる。このような構造を採用することによって、採光屋根10の水下部が、吹き込み防止板30、及び水下カバー35によって2重に保護されていることが理解できる。
【0065】
上記の採光屋根10の例では、第二採光部材60、61及び62として、3枚の中空合成樹脂板(例えば、500mm×5000mm)を利用した。しかしながら、使用される中空合成樹脂板の枚数は、3枚に限定されることなく、2枚又はさらに多くの枚数を利用することも可能である。同様に網入りガラスなどで構成される第一採光部材80及び81の枚数も2枚に限定されることはなく、さらに多くの枚数を利用することも可能である。また、上記の採光屋根10の例では、採光屋根10を金属製の折板屋根1上に配置したが、他の屋根構造にも適用することが可能である。
【0066】
また、上記の採光屋根10の例では、樋部材26の第一排水経路26b及び第二排水経路部26cは、一端から他端に一定の角度で傾斜する構造を有する。しかしながら、樋部材26は、他の構造にしてもよい。例えば、単一の排水経路の両端にフランジを有するハット型の断面形状を有する構造としてもよい。この場合、第一採光部材80及び81を挟持するためのボルト90を通すための孔は、排水経路上に形成される。また、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜角は同一でなくてもよい。さらに、樋部材は、図18に示すような構造を有してもよい。
【0067】
図18(a)は、他の例の樋部材27の平面図であり、図18(b)は、図18(a)に対応する側面図である。樋部材27は、排水経路の形状が先に説明した樋部材26と相違する。すなわち、樋部材27は、長手方向の略中央部から両端に一定の角度で傾斜する山型の第一排水経路27b及び第二排水経路部27cを有する。樋部材として図18に示す樋部材27を採用する場合、樋部材27の下方に配置される第二採光部材は、樋部材27の底面の形状と同様に中央部を頂点とした山型になるように形成されることが好ましい。
【0068】
以上、図1〜18を参照して、本発明に係る採光屋根の排水構造を説明してきたが、本発明に係る採光屋根の排水構造は、これらの具体的な記載に限定されるものではなく、各種の変形があり得るのはいうまでもない。
【0069】
例えば、本明細書では、第一採光部材80及び81の採光面は、屋根1の傾斜と同一の傾斜を有するが、第一採光部材の採光面は、屋根1の傾斜と略同一の傾斜を有していればよい。すなわち、第一採光部材の採光面の傾斜は、屋根の開口部に配置される採光屋根が、屋根の傾斜とは異なる傾斜で配置されていると感じない程度、すなわち屋根と採光屋根が一体的に傾斜しているように見えるような程度、又は一体感を損なわない程度であれば、完全に同一の傾斜でなくてもよい。
【0070】
また、本明細書では、第一採光部材80及び81の連結面は、屋根1の傾斜に直交するように配置されるが、第一採光部材の連結面は、屋根1の傾斜に略直交するように配置されればよい。すなわち、第一採光部材の連結面は、連結面が傾斜方向の下側から見たときに多少右下がり又は左下がりであっても、その連結面に沿って排水経路が右または左に向かって傾斜していればよい。このように、第一採光部材の連結面が、屋根1の傾斜に略直交するように配置される場合にも、本発明の効果を奏する。
【0071】
また、本明細書では、樋部材26の排水経路は、屋根1の傾斜方向に直交する方向に沿って傾斜するが、樋部材の排水経路は、屋根1の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜すればよい。すなわち、樋部材の排水経路は、第一採光部材の連結面に沿って排水経路が形成されていれば本発明の効果を奏する。
【符号の説明】
【0072】
1 金属製の折板屋根
2、3 もや
5 連結構造
6、7 タイトフレーム
8 枠構造
10 採光屋根
12 第一横枠
13 第三横枠
14 第二横枠
15 第一縦枠
16 第二縦枠
20〜22 ボルト受け支持部材
26、27 樋部材
28 押し縁
60、61、62 第二採光部材
80、81 第一採光部材
90−1、90−2 ボルト
91−1、91−2 ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光屋根の排水構造に関し、特に、屋根の採光用開口部に中空合成樹脂板を張設してなる採光屋根の排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の折板屋根に採光性を持たせるために、その一部に一定幅の採光用開口部を設けて、開口部にポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂等の透明樹脂からなる採光板を張設することにより採光屋根を構成することが知られている。
【0003】
また、金属製の折板屋根に採光性を持たせるために、その一部に一定幅の採光用開口部を設けて、開口部に、金属製の折板屋根の長手方向に沿って複数の中空合成樹脂板を組み合わせて張設することにより採光屋根を構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらにまた、結露水又は連結面を止水する止水シール材の劣化などにより採光屋根の内部に流入する雨水などの浸入水が屋内に落下することを防止するために、採光屋根内部に折板屋根の傾斜方向と直交する方向に樋を設置することが知られる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−241804号公報
【特許文献2】実開昭61−32326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、採光屋根の採光面が折板屋根の傾斜と異なる方向に傾斜するため、採光屋根の美観が低下するという問題があった。また、折板屋根の傾斜方向と直交する方向に傾斜する採光部材を支持する支持部が、採光部材を傾斜させるために左右非対称の構造になり、左右の支持部で異なる部材が必要となり、コストアップの要因になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、採光面が折板屋根の傾斜と略平行に配置される採光屋根の排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る排水構造は、傾斜する屋根の開口部に配置される採光屋根の排水構造であって、
屋根の傾斜と略同一の傾斜を有する採光面と、屋根の傾斜方向に略直交するように配置される連結面とを有する少なくとも2つの第一採光部材と、
前記連結面の下方に配置される樋部材であって、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る排水構造では、前記樋部材の上面は、前記第一採光部材に対向し、かつ屋根の傾斜方向に略平行であり、前記上面の反対に位置する前記樋部材の底面は、前記排水経路の傾斜方向に略平行であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る排水構造では、前記樋部材は、
前記連結面に近接して配置される支持部と、
前記支持部の長手方向の一方の側部に配置される第一排水経路と、
前記支持部の前記長手方向の他方の側部に配置され、前記第一排水経路の傾斜と同一の傾斜を有する第二排水経路部と、
を備えることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る排水構造では、前記樋部材の下方に配置される第二採光部材であって、前記排水経路の傾斜方向に傾斜する採光面を有する第二採光部材をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材を採用するので、採光面が屋根の傾斜と略平行に配置される採光屋根を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る排水構造を有する採光屋根の外観の一例を示す図である。
【図2】図1のAA´断面図である。
【図3】図1の部分透視図である。
【図4】(a)は採光屋根で利用される樋部材の平面図であり、(b)は対応した側面図であり、(c)は対応した正面図である。
【図5】(a)は図1のCC´部分断面図であり、(b)は図1のDD´部分断面図であり、(c)は図1のEE´部分断面図であり、(d)は図1のFF´部分断面図である。
【図6(a)】図5(a)の分解斜視図である。
【図6(b)】図5(d)の分解斜視図である。
【図7】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(1)。
【図8】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(2)。
【図9】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(3)。
【図10】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(4)。
【図11】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(5)。
【図12】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(6)。
【図13】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(7)。
【図14】(a)は採光屋根の組み立て手順を説明するための図(8)であり、(b)はサイドカバーの側面図である。
【図15】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(9)。
【図16】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(10)。
【図17】採光屋根の組み立て手順を説明するための図(11)。
【図18】(a)は採光屋根で利用される樋部材の他の例の平面図であり、(b)は対応した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る採光屋根の排水構造を、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は以下に説明される実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
また、本発明の開示において提供される図面は、本発明の説明を意図したものであり、適当な縮尺を示すことを意図したものではないことを理解すべきである。また、それぞれの図面において、同一又は類似する機能を有する構成要素には、同一又は類似する符号が付される。したがって、先に説明した構成要素と同一又は類似する機能を有する構成要素に関しては、改めて説明をしないことがある。
【0016】
以下、図1〜18を参照して、本発明に係る排水構造について説明する。図1は、本発明に係る排水構造を有する採光屋根10の外観の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、採光屋根10が、屋根構造のもや2及び3上に固定された金属製の折板屋根1上に配置される。金属製の折板屋根1は、水上側にある屋根の頂上部から水下側に所定の角度を持って傾斜するように配置される。したがって、ここでは、図中右上側が水上側であり、図中左下側が水下側である。採光屋根10は、押し縁28、シール材及び止水パッキンなどの連結部材により連結される連結面をそれぞれ備える2枚の第一採光部材80及び81を有する。第一採光部材80及び81は、建物の屋外の太陽光などの外光を採光する採光面が金属製の折板屋根1と同一の傾斜を有し、かつ第一採光部材80及び81を連結するそれぞれの連結面が金属製の折板屋根1の傾斜方向に直交するように配置される。第一採光部材80及び81は、建物の屋外の太陽光などの外光を採光する部材であり、かつ不燃性の部材である。例えば、第一採光部材80及び81は、網入りガラスにしてもよい。
【0018】
図2は、図1のAA´断面図である。
【0019】
図2に示すように、第一採光部材81の一端は、コーナーサポート43と、サイドカバー45によって挟み込まれ、他端は、コーナーサポート44と、サイドカバー46によって挟み込まれるように支持される。コーナーサポート43及び側面板41は第一縦材15に固定され、コーナーサポート44及び側面板40は第二縦材16に固定されている。コーナーサポート43及び44の外側にはそれぞれ、サイドカバー45及び46(図14(b)を参照のこと)が配置され、コーナーサポート43及び44の側面及び上面をそれぞれ覆うように配置される。
【0020】
第一採光部材80及び81を連結する連結部の下方には、樋部材26が近接して配置される。樋部材26の両端はそれぞれ、ビス95及び96によりコーナーサポート43及び44に固定される。樋部材26の上面は、第一採光部材81に対向し、かつ第一採光部材の採光面に平行である。また、上面の反対に位置する樋部材26の底面は、コーナーサポート43に支持される一端からコーナーサポート44に支持される他端へ傾斜する。この傾斜は、樋部材26の排水経路の傾斜と平行である。したがって、樋部材26の排水経路に流入した侵入水は、排水経路の傾斜によってコーナーサポート44に導水される。次いで、コーナーサポート44に排水された侵入水は、コーナーサポート44に形成される排水孔(不図示)から採光屋根10の外部に排水される。また、侵入水は、コーナーサポート44内をその傾斜に沿って水下側へ流下し、採光屋根10の水下側に配置される吹き込み防止板30(図9を参照のこと)と水下カバー35(図17を参照のこと)との間からも外部に排水される。
【0021】
図3を参照して、第一採光部材80及び81の連結面の下方の配置される樋部材26の設置状態について説明する。図3は、図1の矢印Bの方向から見た採光屋根10の部分透視図である。
【0022】
図3に示すように、樋部材26は、第一採光部材80及び81に対向し、かつ屋根の傾斜方向に平行である上面と、上面の反対に位置する2つの底面とを有する。この底面により形成される2つの排水経路は、屋根の傾斜方向に直交する方向に沿って傾斜する。より具体的には、2つの排水経路屋根は、水下側から見て左手から右手に向けて傾斜する。この傾斜によって、樋部材26の排水経路に流入した侵入水は、樋部材26の右手に配置されるコーナーサポート44に導水される。
【0023】
再び図2を参照すると、樋部材26のさらに下方には、採光屋根10の断熱効果を向上させ、かつ侵入水が屋内に落下することを防止するために、第二採光部材60、61及び62が水上側から順に配置される。図2では、このうち中央に配置される第二採光部材61のみ記載される。
【0024】
第二採光部材61は、採光面が排水経路の傾斜方向に傾斜するように配置される。このような構成により、樋部材26の排水経路をオーバフローした侵入水など第二採光部材61の採光面上に到達した侵入水は、樋部材26の排水経路に流入した侵入水と同様に、コーナーサポート44に導水される。次いで、侵入水は、コーナーサポート44から採光屋根10の外部に排水される。
【0025】
第二採光部材61のさらに下方に位置する結合部材24は、後に詳細に説明するように3つの第二採光部材60、61及び62をそれぞれ結合する部材であり、コーナーサポート43及び44にそれぞれ形成される切欠きに嵌合される。結合部材24をコーナーサポート43及び44にそれぞれ形成される切欠きに嵌合することで、第2採光部材60、61及び62の屋根1の傾斜方向に対するズレを容易に防止することができる。
【0026】
以下、樋部材26、第二採光部材61及び結合部材24について、図4(a)〜図4(c)、図5(a)〜図5(d)並びに図6(a)及び図6(b)を、図2とともに適宜参照して、順に説明する。
【0027】
図4(a)は、樋部材26の平面図であり、図4(b)は矢印Gの方向から見た樋部材26の側面図であり、図4(c)は矢印Hの方向から見た樋部材26の正面図である。また、図5(a)は図1のCC´部分断面図であり、図5(b)は図1のDD´部分断面図であり、図5(c)は図1のEE´部分断面図であり、図5(d)は図1のFF´部分断面図である。さらに、図6(a)は図5(a)の分解斜視図であり、図6(b)は図5(d)の分解斜視図である。
【0028】
まず、樋部材26について説明する。図4(a)〜4(c)に示すように、樋部材26は、支持部26aと、支持部26aの長手方向の一方の側部に配置される第一排水経路26bと、支持部26aの長手方向の他方の側部に配置され、第一排水経路26bの傾斜と同一の傾斜を有する第二排水経路部26cとを備える。樋部材26の支持部26aには、孔26d〜26gが形成される。孔26d及び26eは、図2に示すように、樋部材26をビス95及び96によりコーナーサポート43及び44に固定するように形成される。また、孔26f及び26gは、図5(a)及び5(b)に示すように、押し縁28とともにボルト90及びナット91で第一採光部材80及び81を挟持するように形成される。なお、孔26f及び26gには、ボルト90の頭の周り止めのための周り止め用の凸部が併せて形成される。
【0029】
ここで図2を再び参照すると、樋部材26の上面に位置する支持部26aは採光屋根10において第一採光部材81と平行に配置されるため、支持部26aの長手方向は第一採光部材81の採光面と平行になる。また、樋部材26の底面と平行である第一排水経路26b及び第二排水経路部26cは、長手方向に沿って所定の角度を持って傾斜する。このため、浸入水は、第一排水経路26b又は第二排水経路部26cを介して、コーナーサポート44に導水される。導水された侵入水は、コーナーサポート44に形成される孔(不図示)を介して、サイドカバー46と第二縦材16との間を通って採光屋根10の外部に排水される。本実施形態では、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜角は、1/72程度である。しかしながら、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜角は、この角度に限定されることはなく、侵入水をコーナーサポート44に導水することが可能であればよい。例えば、排水経路の傾斜角の範囲は、1/100〜3/100であることが好ましい。
【0030】
再び図4を参照すると、樋部材26は、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cそれぞれの導水出口側の端部に突起部26h及び26iを有する。突起部26h及び26iは、樋部材26の下方に近接して配置される第二採光部材61を固定する機能を有する。図2に示すように、第二採光部材61は、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜方向と同一方向に傾斜するため、第二採光部材61が傾斜方向にずれるおそれがある。このため、突起部26h及び26iによって、第二採光部材61が傾斜方向にずれることを防止する必要がある。
【0031】
次に、図5(a)及び5(b)並び図6(a)を参照して、第一採光部材80及び81を連結する連結部について説明する。第一採光部材80及び81を連結する連結部は、押し縁28と、樋部材26と、ボルト90及びナット91と、パッキン100と、止水シール材102とにより構成される。図5(a)及び図6(a)に示される様に、第一採光部材80及び第二採光部材81は、押し縁28と樋部材26との間に、挟み込まれるように配置される。また、第一採光部材80及び第二採光部材81は、ボルト90−1と、押し縁28の上側に配置されるナット91−1によって、押し縁28と樋部材26とにより固定される。さらに、押し縁28と第一採光部材80及び第二採光部材81との間にはパッキン100a及び100bがそれぞれ配置され、第一採光部材80及び第二採光部材81と、樋部材26の支持部26aとの間には、パッキン100c及び100dがそれぞれ配置されている。さらに、第一採光部材80及び81の互いに対向するそれぞれの連結面の間には止水シール材102が配置される。
【0032】
このように、本実施形態では、止水シール材102の真下に樋部材26の支持部26aが配置される。このような構成を採用することにより、注入当初は非固形物である止水シール材102を第一採光部材80及び81の間に注入するときに止水シール材が流出することを防止できる。このため、本実施形態では、止水シール材を注入する工程が容易になる。また、本実施形態では、ボルト90を貫通させるための孔は、侵入水を導水する樋部材26の排水経路ではなく、侵入水を導水する経路ではない樋部材26の支持部26aに形成される。このため、排水経路を流れる水の流れがボルト90により阻害されることがない。さらに、排水経路にボルト用の孔が形成されないため、孔から漏水するおそれもない。
【0033】
次に、図5(c)及び5(d)並び図6(b)を参照して、第二採光部材60及び61の結合部について説明する。図6(b)に示すように、第二採光部材60及び61の端部はそれぞれ垂直に折り曲げられて、凹状の形状を有する結合部材24に収容される。第二採光部材60及び61の端部はそれぞれ、結合部材24に収容されるので、第二採光部材60及び61の結合部分から漏水することはない。さらに、結合部材24は、コーナーサポート44に形成される切欠きに嵌合される。コーナーサポート44に形成される切欠きは、結合部材24を嵌合することが可能な形状及び大きさを有する。この切欠きが屋根の傾斜方向に直交するため、切欠きに嵌合される第二採光部材60及び61は、屋根の傾斜方向にずれるおそれはない。また、上述のように、第二採光部材61は、樋部材26の突起部26h及び26iにより、屋根の傾斜方向に直交する樋部材26の傾斜方向へのずれが防止されるため、樋部材26の傾斜方向にずれるおそれもない。このため、本実施形態では、第二採光部材は、ボルト・ナットなどの固定具を用いて固定せず、コーナーサポート43及び44に載置しているだけにも関わらず、屋根の傾斜方向と平行な方向及び直交する方向のいずれの方向にもずれるおそれはなく、施工も容易である。さらに、第二採光部材60及び61の固定のために、ボルト・ナットを用いていないので、ボルト用の貫通孔を形成する必要がないため、ボルト用の貫通孔を介して漏水するおそれはない。
【0034】
なお、図5(a)と、図5(b)とを比較すると、図5(a)よりも図5(b)の方が樋部材26の第一排水経路26b及び第二排水経路26cの位置が低くなる。樋部材26の排水経路が傾斜を有するためである。同様に、第一排水経路26b及び第二排水経路26cに近接して配置される第二採光部材61も図5(a)よりも図5(b)の方が、位置が低くなっている。
【0035】
また、図5(c)と、図5(d)とを比較すると、排水経路の傾斜に従って第二採光部材60及び61の位置が低くなる。このため、第二採光部材60及び61の端部を収容する結合部材24を嵌合する切欠きの高さ、及び第二採光部材60及び61を支持するコーナーサポート43及び44の支持部の高さは、図5(c)に示されるコーナーサポート43と、図5(d)に示されるコーナーサポート44とで互いに相違する。したがって、コーナーサポート43及び44は、互いに異なる部材にする必要がある。しかしながら、縦材、側面板およびサイドカバーなどのコーナーサポート43及び44以外の部材は、第二採光部材の両端で同一の部材を使用することができる。このため、本実施形態では、コーナーサポート43及び44以外の多くの部材を共通化することができる。
【0036】
第二採光部材60、61及び62の部材として、中空ハニカム構造を有するポリカーボネイト樹脂からなる複数の中空合成樹脂板が採用される。中空合成樹脂板を採用することにより、第二採光部材は、高い剛性と断熱性能を有することができ、さらに軽量化が可能になる。
【0037】
以下、採光屋根10の組み立て手順について図7〜図17を参照して、順に説明する。
【0038】
図7は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第一の説明図であり、金属製の折板屋根1の一部を取り外して開口部9を形成した状態を示す。
【0039】
金属性の折板屋根1は、屋根構造のもや2及び3上に固定された第一タイトフレーム6及び第二タイトフレーム7にビス等で固定される。第一及び第二タイトフレーム6及び7は、金属性の折板屋根1の凹凸形状に合致する凹凸形状を有している。なお、図1及び7など本実施形態を説明するために使用される図面では、金属性の折板屋根1は、1枚の板で構成されるが、実際には複数の板を組み合わせた構成となっている。
【0040】
図8は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第二の説明図であり、金属製の折板屋根1の開口部9上に、枠構造8を配置した状況を示す。
【0041】
枠構造8は、屋根構造の水下側に配置された第一横枠12及び水上側に配置された第二横枠14と、それらの上に配置された第一縦枠15及び第二縦枠16と、第一横枠12及び第二横枠14の中間部に配置された第三横枠13、第一横枠12の更に水下側に配置されたカバー止め用横枠11等から構成される。カバー止め用横枠11、第一横枠12、第三横枠13及び第二横枠14は、断面コの字状の鉄骨から構成され、第一縦枠15及び第二縦枠16は、断面Cの字状の鉄骨から構成される。
【0042】
第一横枠12はボルト(不図示)により第一タイトフレーム6に固定され、第二横枠14はボルト(不図示)により第二タイトフレーム7に固定され、第一縦枠15及び第二縦枠16はボルト(不図示)によりそれぞれ第一横枠12及び第二横枠14と固定される。また、カバー止め用横枠11はボルト(不図示)により第一縦枠15及び第二縦枠16に固定され、第三横枠13はボルト(不図示)により第一縦枠15及び第二縦枠16に固定される。
【0043】
第三横枠13は、もや2及び3の中間部分で且つもやが存在しない箇所で金属性の折板屋根1とビス(不図示)により固定されている。したがって、第三横枠13によって、その下方の金属性の折板屋根1の強度が補強される。
【0044】
図9は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第三の説明図であり、吹き込み防止板30を取り付けた状況を示している。
【0045】
図9に示すように、吹き込み防止板30は、ビス31によってカバー止め用横枠11に取り付けられる。吹き込み防止板30は、カバー止め用横枠11の側面を覆うように側面側に折り曲げられている。さらに、吹き込み防止板30は、カバー止め用横枠11の水下側の面を覆うように水下側に折り曲げられる。
【0046】
図10は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第四の説明図であり、側面板40及び41を取り付けた状況を示す。
【0047】
側面板40及び41は、第一縦枠15及び第二縦枠16上に貼付されたブチルテープ又はシール材(不図示)及びビス(不図示)によって、第一縦枠15及び第二縦枠16に固定される。なお、側面板40及び41は金属性の折板屋根1の凹凸形状に合うように、それらの先端部40A及び41Aが折り曲げられている。
【0048】
図11は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第五の説明図であり、コーナーサポート43及び44を取り付けた状況を示している。
【0049】
図11に示すように、コーナーサポート43及び44はそれぞれ、第一縦材15及び第二縦材16の上に配置される。コーナーサポート43及び44には、侵入水を採光屋根10の外部に排水するための単数又は複数の排水孔43a及び44aがそれぞれ形成される。コーナーサポート43は、排水孔43aが第一縦材15の外側に位置するように第一縦材15に固定される。侵入水を排水孔43aから採光屋根10の外部に排水するためである。同様に、コーナーサポート44は、排水孔44aが第一縦材15の外側に位置するように第一縦材16に固定される。コーナーサポート43及び44は、ビス(不図示)によって、第一縦材15及び第二縦材16にそれぞれ固定される。
【0050】
また、図5(c)及び5(d)を参照して説明したように、コーナーサポート43及び44にはそれぞれ、第二採光部材を固定するために単数又は複数の切欠きが形成される。本実施形態では、第二採光部材は3つの部材で構成されるので、コーナーサポート43及び44には、2つの切欠きがそれぞれ形成される。
【0051】
図12は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第六の説明図であり、第二採光部材60、61及び62を取り付けた状況を示す。
【0052】
図12に示すように、第二採光部材60、61及び62は、コーナーサポート43及び44によって支持される。図5(c)及び5(d)を参照して説明したように、垂直に折り曲げられた端部を収容する結合部材24を、コーナーサポート43及び44に形成される切欠きに嵌合することによって、第二採光部材60、61及び62は、固定される。また、コーナーサポート43に形成される切欠きよりも、コーナーサポート44に形成される切欠きの方が低い位置にあるため、第二採光部材60、61及び62は、コーナーサポート43からコーナーサポート44への方向に傾斜して配置される。第二採光部材60、61及び62の傾斜方向は、第二採光部材60、61及び62の採光面がそれぞれ樋部材26の排水経路の傾斜方向に傾斜するように配置される。
【0053】
第二採光部材60、61及び62は、透光性樹脂(ポリカーボネイト)を押し出し成形によって形成したものであって、内壁によって仕切られた複数の中空部を含んでいる。本実施例では、第二採光部材60、61及び62はそれぞれ1枚の板で構成されるが、複数の中空合成樹脂板を組み合わせて構成するようにしても良い。
【0054】
図13は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第七の説明図であり、第一採光部材80及び81を取り付けた状況を示す。
【0055】
図13に示すように、第一採光部材80及び81は、第二採光部材60、61及び62の上にそれぞれ配置される。図5(a)などを参照して先に説明したように、第一採光部材80及び81は、押し縁28と樋部材26とにボルト90及びナット91を介して挟持されることにより連結される。また、樋部材26の両端に形成されるビス用孔26d及び26eと、コーナーサポート43及び44の支持部にそれぞれ形成されるビス用孔とを位置合わせしてビス95及び96(図2参照のこと)で固定することにより、第一採光部材80及び81は、適当な位置に位置決めされる。第一採光部材80及び81を支持するコーナーサポート43及び44の支持部は、金属製の折板屋根1の傾斜方向と同一の傾斜を有するように配置される。このため、第一採光部材80及び81を連結する樋部材26をコーナーサポート43及び44の支持部にそれぞれ配置することにより、樋部材26の上面に配置される第一採光部材80及び81の採光面は、金属製の折板屋根1の傾斜と同一の傾斜を有することになる。
【0056】
図14は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第八の説明図であり、サイドカバー45及び46を取り付けた状況を示す。
【0057】
図14(a)に示すように、サイドカバー45及び46は、コーナーサポート43及び44をそれぞれ覆うように配置され、図2に示すようにビス97及び98により固定される。また、サイドカバー45及び46それぞれは、第一採光部材80及び81の端部をコーナーサポート43及び44とともに挟持するように構成される。
【0058】
図14(b)は、サイドカバー46の側面図である。サイドカバー46の側面部46aは、コーナーサポート44の側面を覆い、サイドカバー46の上面部46bには、単数又は複数のビス孔(不図示)が形成されてビス98によりコーナーサポート44に結合される。また、サイドカバー46の挟持部46cは、コーナーサポート44とともに第一採光部材80及び81の端部を挟持する。
【0059】
図15は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第九の説明図であり、第一後板50を取り付けた状況を示す。
【0060】
第一後板50は、サイドカバー45及び46の水上側の端部に接着材によって固定される。
【0061】
図16は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第十の説明図であり、第二後板51を取り付けた状況を示す。
【0062】
第二後板51は、第一縦枠15及び第二縦枠16上に貼付されたブチルテープ(不図示)及びビス(不図示)によって、第一縦枠15及び第二縦枠16に、第一後板の上側端面を覆うように固定される。第二後面51によって、第一縦枠15及び第二縦枠16の水上側端部の水上側端部が覆われる。
【0063】
図17は、採光屋根の組み立て手順を説明するための第十一の説明図であり、水下カバー35を取り付けた状況を示す。
【0064】
図17に示すように、水下カバー35は、第一採光部材81並びにサイドカバー45及び46を覆うように配置され、図12に示した吹き込み防止板30上に配置したコの字状の固定具(不図示)で固定される。これによって、第一採光部材80及び81の水下側端部が覆われる。このような構造を採用することによって、採光屋根10の水下部が、吹き込み防止板30、及び水下カバー35によって2重に保護されていることが理解できる。
【0065】
上記の採光屋根10の例では、第二採光部材60、61及び62として、3枚の中空合成樹脂板(例えば、500mm×5000mm)を利用した。しかしながら、使用される中空合成樹脂板の枚数は、3枚に限定されることなく、2枚又はさらに多くの枚数を利用することも可能である。同様に網入りガラスなどで構成される第一採光部材80及び81の枚数も2枚に限定されることはなく、さらに多くの枚数を利用することも可能である。また、上記の採光屋根10の例では、採光屋根10を金属製の折板屋根1上に配置したが、他の屋根構造にも適用することが可能である。
【0066】
また、上記の採光屋根10の例では、樋部材26の第一排水経路26b及び第二排水経路部26cは、一端から他端に一定の角度で傾斜する構造を有する。しかしながら、樋部材26は、他の構造にしてもよい。例えば、単一の排水経路の両端にフランジを有するハット型の断面形状を有する構造としてもよい。この場合、第一採光部材80及び81を挟持するためのボルト90を通すための孔は、排水経路上に形成される。また、第一排水経路26b及び第二排水経路部26cの傾斜角は同一でなくてもよい。さらに、樋部材は、図18に示すような構造を有してもよい。
【0067】
図18(a)は、他の例の樋部材27の平面図であり、図18(b)は、図18(a)に対応する側面図である。樋部材27は、排水経路の形状が先に説明した樋部材26と相違する。すなわち、樋部材27は、長手方向の略中央部から両端に一定の角度で傾斜する山型の第一排水経路27b及び第二排水経路部27cを有する。樋部材として図18に示す樋部材27を採用する場合、樋部材27の下方に配置される第二採光部材は、樋部材27の底面の形状と同様に中央部を頂点とした山型になるように形成されることが好ましい。
【0068】
以上、図1〜18を参照して、本発明に係る採光屋根の排水構造を説明してきたが、本発明に係る採光屋根の排水構造は、これらの具体的な記載に限定されるものではなく、各種の変形があり得るのはいうまでもない。
【0069】
例えば、本明細書では、第一採光部材80及び81の採光面は、屋根1の傾斜と同一の傾斜を有するが、第一採光部材の採光面は、屋根1の傾斜と略同一の傾斜を有していればよい。すなわち、第一採光部材の採光面の傾斜は、屋根の開口部に配置される採光屋根が、屋根の傾斜とは異なる傾斜で配置されていると感じない程度、すなわち屋根と採光屋根が一体的に傾斜しているように見えるような程度、又は一体感を損なわない程度であれば、完全に同一の傾斜でなくてもよい。
【0070】
また、本明細書では、第一採光部材80及び81の連結面は、屋根1の傾斜に直交するように配置されるが、第一採光部材の連結面は、屋根1の傾斜に略直交するように配置されればよい。すなわち、第一採光部材の連結面は、連結面が傾斜方向の下側から見たときに多少右下がり又は左下がりであっても、その連結面に沿って排水経路が右または左に向かって傾斜していればよい。このように、第一採光部材の連結面が、屋根1の傾斜に略直交するように配置される場合にも、本発明の効果を奏する。
【0071】
また、本明細書では、樋部材26の排水経路は、屋根1の傾斜方向に直交する方向に沿って傾斜するが、樋部材の排水経路は、屋根1の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜すればよい。すなわち、樋部材の排水経路は、第一採光部材の連結面に沿って排水経路が形成されていれば本発明の効果を奏する。
【符号の説明】
【0072】
1 金属製の折板屋根
2、3 もや
5 連結構造
6、7 タイトフレーム
8 枠構造
10 採光屋根
12 第一横枠
13 第三横枠
14 第二横枠
15 第一縦枠
16 第二縦枠
20〜22 ボルト受け支持部材
26、27 樋部材
28 押し縁
60、61、62 第二採光部材
80、81 第一採光部材
90−1、90−2 ボルト
91−1、91−2 ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜する屋根の開口部に配置される採光屋根の排水構造であって、
屋根の傾斜と略同一の傾斜を有する採光面と、屋根の傾斜方向に略直交するように配置される連結面とを有する少なくとも2つの第一採光部材と、
前記連結面の下方に配置される樋部材であって、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材と、
を有することを特徴とする排水構造。
【請求項2】
前記樋部材の上面は、前記第一採光部材に対向し、かつ屋根の傾斜方向に略平行であり、前記上面の反対に位置する前記樋部材の底面は、前記排水経路の傾斜方向に略平行である請求項1に記載の排水構造。
【請求項3】
前記樋部材は、
前記連結面に近接して配置される支持部と、
前記支持部の長手方向の一方の側部に配置される第一排水経路と、
前記支持部の前記長手方向の他方の側部に配置され、前記第一排水経路の傾斜と同一の傾斜を有する第二排水経路部と、
を備える請求項1又は2に記載の排水構造。
【請求項4】
前記樋部材の下方に配置される第二採光部材であって、前記排水経路の傾斜方向に傾斜する採光面を有する第二採光部材をさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の排水構造。
【請求項1】
傾斜する屋根の開口部に配置される採光屋根の排水構造であって、
屋根の傾斜と略同一の傾斜を有する採光面と、屋根の傾斜方向に略直交するように配置される連結面とを有する少なくとも2つの第一採光部材と、
前記連結面の下方に配置される樋部材であって、屋根の傾斜方向に略直交する方向に沿って傾斜する排水経路を備える樋部材と、
を有することを特徴とする排水構造。
【請求項2】
前記樋部材の上面は、前記第一採光部材に対向し、かつ屋根の傾斜方向に略平行であり、前記上面の反対に位置する前記樋部材の底面は、前記排水経路の傾斜方向に略平行である請求項1に記載の排水構造。
【請求項3】
前記樋部材は、
前記連結面に近接して配置される支持部と、
前記支持部の長手方向の一方の側部に配置される第一排水経路と、
前記支持部の前記長手方向の他方の側部に配置され、前記第一排水経路の傾斜と同一の傾斜を有する第二排水経路部と、
を備える請求項1又は2に記載の排水構造。
【請求項4】
前記樋部材の下方に配置される第二採光部材であって、前記排水経路の傾斜方向に傾斜する採光面を有する第二採光部材をさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の排水構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−57205(P2013−57205A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196338(P2011−196338)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
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