説明

採尿受器保持装置

【課題】
採尿受器を寝具の端部上方に寝具の端面に沿って保持することができ、また、採尿受器を採尿受器ホルダに自由に動かせるように遊嵌して載置していることから、寝具に横臥している人が自ら採尿受器を容易に引き寄せることができる採尿受器保持装置を提供することにある。
【解決手段】
下端が基台の起立板部に固定され上方に起立するホルダ用保持板とホルダ用保持板の上端に設けられ採尿受器を遊嵌して載置する採尿受器ホルダとを有する採尿受器保持手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿瓶や採尿ボトル等の採尿器に連通した輸尿管の先端に設けられた寝具に横臥した人の尿器に密接して排尿を受ける採尿受器を、寝具に配設する採尿受器保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人がベッド等の寝具上に横臥した状態のままで、排尿を受ける採尿手段が各種提案されている。本件発明者も特許文献1に示されるような採尿具を提案している。具体的には、特許文献1に示される採尿具は、採尿ボトルと採尿ボトルへ可撓性の尿管を介して連結された採尿カップとで構成されている。そして、採尿ボルト及び採尿カップは、ベッドの脇に設けられた箱状のボルト受け及びカップ受けに格納される。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、人の尿器に密接して排尿を受ける採尿受器の部分を、ベッドの脇に保持する手段が提案されている。具体的には、特許文献2に示される屎尿器用ホルダはベッドの手摺り部分に吊り下げられた帯状部材で、屎尿器用ホルダに排尿受器を取り出し可能に収納している。
【特許文献1】特開2006−326052号公報
【特許文献2】特開2000−300627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の屎尿器用ホルダでは、手摺り部分に吊り下げる構造であるため、畳の上に布団をひいた状態では、使用できないという問題があった。また、寝具に横臥したままの状態で排尿受器を帯状部材から取り出すためには、体を横に向けたり大きく手を伸ばしたりする必要があり、寝ている本人が自ら帯状部材から排尿受器を取り出すことは困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、採尿受器を寝具の端部上方に寝具の端面に沿って保持することができ、また、採尿受器を採尿受器ホルダに自由に動かせるように遊嵌して載置していることから、寝具に横臥している人が自ら採尿受器を容易に引き寄せることができる採尿受器保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の採尿受器保持装置は、下端が基台の起立板部に固定され上方に起立するホルダ用保持板とホルダ用保持板の上端に設けられ採尿受器を遊嵌して載置する採尿受器ホルダとを有する採尿受器保持手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の採尿受器保持装置は、採尿受器ホルダが、寝具の中央方向に向かって水平に回動可能にホルダ用上部保持板に設けられ、採尿受器ホルダを回動させることにより、採尿受器が寝具に横臥した人に向かって寝具の端部から突出することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の採尿受器保持装置は、ホルダ用保持板が、下端が記基台の起立板部に扇動可能に固定され上方に起立するホルダ用下部保持板と、下端がホルダ用下部保持板に扇動可能に固定され上方に起立するホルダ用上部保持板とからなり、ホルダ用下部保持板とホルダ用上部保持板とを連結部分で屈曲させることができることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の採尿受器保持装置は、ホルダ用下部保持板とホルダ用上部保持板のそれぞれに起立方向に沿って長穴が穿設され、それぞれの長穴に挿嵌されたネジ部材でホルダ用下部保持板とホルダ用上部保持板とが屈曲可能に連結されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の採尿受器保持装置は、ホルダ用下部保持板の長穴と基台の起立板部とに挿嵌されたネジ部材で、ホルダ用下部保持板を起立板部に扇動可能に固定することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の採尿受器保持装置は、基台の起立板部に上下に伸びて長穴が穿設され、ホルダ用保持板と長穴とに挿嵌されたネジ部材で、ホルダ用保持板を起立板部に扇動可能に固定することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の採尿受器保持装置は、下端が基台の起立板部に固定され、上端がホルダ用保持板の略中央に固定された補助保持板を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の採尿受器保持装置は、下端が基台の起立板部に固定され上方に起立する輸尿管用保持板と輸尿管用保持板の上端に設けられ輸尿管を遊嵌して保持する輸尿管ホルダとを有する輸尿管保持手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の採尿受器保持装置は、輸尿管用保持板が、下端が基台の起立板部に扇動可能に固定され上方に起立する輸尿管用下部保持板と、下端が輸尿管用下部保持板に扇動可能に固定され上方に起立する輸尿管用上部保持板とからなり、輸尿管用下部保持板と輸尿管用上部保持板とを連結部分で屈曲させることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の採尿受器保持装置は、輸尿管用下部保持板と輸尿管用上部保持板のそれぞれに起立方向に沿って長穴が穿設され、それぞれの長穴に挿嵌されたネジ部材で輸尿管用下部保持板と輸尿管用上部保持板とが屈曲可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、下端が基台の起立板部に固定され上方に起立するホルダ用保持板とホルダ用保持板の上端に設けられ採尿受器を遊嵌して載置する採尿受器ホルダとを有する採尿受器保持手段とを備えることから、基台の底板部を寝具の端部裏面に挿入することで、手摺りがないような布団やベッド等の寝具であっても、採尿受器を寝具の端部上方に寝具の端面に沿って保持することができる。また、採尿受器を採尿受器ホルダに自由に動かせるように遊嵌して載置していることから、寝具に横臥している人が自ら採尿受器を容易に引き寄せることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、採尿受器ホルダを回動させることにより採尿受器が寝具に横臥した人に向かって寝具の端部から突出することから、採尿受器を持ったまま自らの体の近くに引き寄せなくとも、採尿受器ホルダに載置させて状態のまま採尿受器を体の近くまで移動させることができることから、採尿受器を使用する人の負担を軽減することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、ホルダ用下部保持板とホルダ用上部保持板とを連結部分で屈曲させることにより、寝具の高さや寝具に横臥する人の体の高さに応じて、容易に採尿受器ホルダの保持高さを変えることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、ホルダ用下部保持板とホルダ用上部保持板のそれぞれに起立方向に沿って長穴が穿設され、それぞれの長穴に挿嵌されたネジ部材でホルダ用下部保持板とホルダ用上部保持板とが屈曲可能に連結されていることから、連結する長穴の位置を変えることによりホルダ用保持板の長さ自体を変えることができ、容易に採尿受器ホルダの保持高さを変えることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、ホルダ用下部保持板の長穴と基台の起立板部とに挿嵌されたネジ部材で、ホルダ用下部保持板を起立板部に扇動可能に固定することで、固定する長穴の位置を変えて起立板部に対するホルダ用下部保持板の長さを変えることができ、容易に採尿受器ホルダの保持高さを変えることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、基台の起立板部に上下に伸びて長穴が穿設され、ホルダ用保持板と長穴とに挿嵌されたネジ部材で、ホルダ用保持板を起立板部に扇動可能に固定することで、ホルダ用保持板の高さ自体を変えることができ、容易に採尿受器ホルダの保持高さを変えることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、下端が基台の起立板部に固定され、上端がホルダ用保持板の略中央に固定された補助保持板を備えることから、採尿受器ホルダに強い力が加わっても採尿受器ホルダが傾いたり転倒したりすることを抑えることができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、下端が基台の起立板部に固定され上方に起立する輸尿管用保持板と輸尿管用保持板の上端に設けられ輸尿管を遊嵌して保持する輸尿管ホルダとを有する輸尿管保持手段を備えることから、採尿受器保持手段と採尿器との間の輸尿管を保持することで、輸尿管のたわみを抑え、輸尿管が寝具に横臥している人や介護する人の動作の妨げにならないようにすることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、輸尿管用下部保持板と輸尿管用上部保持板とを連結部分で屈曲させることにより、輸尿管ホルダの保持高さを変えることにより、輸尿管を、採尿受器で採尿した尿が輸尿管を通って逆流することなく採尿器に流れ込むような角度に容易に保持することができる。
【0025】
請求項10の発明によれば、それぞれの長穴に挿嵌されたネジ部材で輸尿管用下部保持板と輸尿管用上部保持板とが屈曲可能に連結されていることから、連結する長穴の位置を変えることにより輸尿管用保持板の長さ自体を変えることができ、容易に輸尿管の保持高さを変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態における採尿受器保持装置は、尿瓶や採尿ボトル等の採尿器に連通した輸尿管の先端に設けられた寝具に横臥した人の尿器に密接して排尿を受ける採尿受器を寝具に配設するためのものである。図1は、本発明に係る採尿受器保持装置の使用の一例を示す説明図である。図2は、同採尿受器保持装置の構成を示す説明図である。図3は、同採尿受器保持装置の基台を示す斜視図である。図4は、同採尿受器保持装置の採尿受器ホルダを示す上面図である。図5は、同採尿受器保持装置の使用方法を示す説明図である。図6は、同採尿受器保持装置の他の使用方法を示す説明図である。図7は、同採尿受器保持装置のさらに他の使用方法を示す説明図である。
【0027】
図において、採尿受器保持装置1は、基台10、ホルダ用保持板20、採尿受器ホルダ30、輸尿管保持板40、輸尿管ホルダ46等から構成されている。ここで、採尿受器保持装置1が保持する採尿受器とは、例えば、図1に示すような、横臥した人の尿器に密接して排尿を受ける採尿受器9で、ベッド4の脇に採尿ボトル・ホルダ7aで配設された尿を貯める採尿ボトル7に輸尿管8を介して連結されている。尚、本実施の形態に係る採尿受器保持装置1で保持可能な採尿受器としては、図に示す物の他、横臥した人の尿器に密接して排尿を受ける構造で、チューブ状等の輸尿管を介して採尿するものであればよい。
【0028】
基台10は、図3に示すように、板材を略L字状に屈曲させ起立板部11と底板部12とを形成している。底板部12は、ベッド4と寝具5との間に差し込まれる部分で、寝具5の端部裏面に深くもぐり込ませて採尿受器保持装置1を寝具5に固定するのに十分な長さである。長さの目安としては、寝具5に横臥する人の体の下にまで到達する長さにするのが好ましい。基台10の起立板部11は、起立する上部端面が円弧状になっており、中央に上下に伸びる長穴11aが穿設されている。また、起立板部11の左右下端部近辺には、それぞれ穴11b,11cが穿設されている。
【0029】
ホルダ用保持板20は、下端が基台10の起立板部11の長穴11aに固定され、上方に起立する板材である。そして、ホルダ用保持板20の上端には、採尿受器保持手段である採尿受器9を遊嵌して保持する採尿受器ホルダ30が設けられている。具体的には、ホルダ用保持板20は、ホルダ用下部保持板24、ホルダ用上部保持板28、L字板35等から構成されている。ホルダ用下部保持板24及びホルダ用上部保持板28は、細長の長方形の板材で、長手方向に沿って中央部分に長穴24a,28aがそれぞれ穿設されている。そして、その長穴24a,28aに挿嵌されたネジ部材27でホルダ用下部保持板24とホルダ用上部保持板28とが屈曲可能に連結されている。そして、ホルダ用保持板20の下端すなわちホルダ用下部保持板24の長穴24aの下部と、基台10の起立板部11の長穴11aとに挿嵌されたネジ部材26によって、ホルダ用保持板20が、基台10の起立板部11から起立した状態で、扇動可能に固定されている。
【0030】
ホルダ用保持板20の上端すなわちホルダ用上部保持板28の長穴28aの上部には、ネジ部材29を介して、逆L字状の板材であるL字板35が固定されている。そして、図4に示すように、L字板35の上面に採尿受器ホルダ30が載置される形でネジ部材36を介して固定されている。採尿受器ホルダ30は、図4に示すように、長方形の板材を屈曲したもので、長手方向の両端部の一部を上方に湾曲して起立するように屈曲させ、輸尿管8が通過して保持されるホールド部31,32が形成されている。また、ホールド部32の上端部には、断面略C字状に湾曲したホールド鍔33を有している。そして、採尿受器ホルダ30の長手方向の両端部が湾曲していない平面部分は、採尿受器9を乗せる載置部34となっている。尚、L字板35と固定される採尿受器ホルダ30の部分は、長手方向で載置部34とは逆の端部付近の底面である。
【0031】
本実施の形態の採尿受器保持装置1のホルダ用保持板20には、下端が基台10の起立板部11に固定され、上端がホルダ用保持板20の略中央に固定された補助保持板21を備えている。具体的には、補助保持板21は、下部補助保持板21aと上部補助保持板21bとから構成されている。下部補助保持板21a及び上部補助保持板21bは、細長の長方形の板材で、下部補助保持板21aの上端と上部補助保持板21bの下端が軸部材23で屈曲可能に連結されている。そして、補助保持板21の下端すなわち下部補助保持板21aの下端が、基台10の起立板部11の穴11bにネジ部材22を介して固定されている。また、補助保持板21の上端すなわち上部補助保持板21bの上端が、ホルダ用下部保持板24の長穴24aの上部にネジ部材25を介して接続されている。尚、上部補助保持板21bの上端が接続されるのは、好ましくはホルダ用保持板20の上下方向の略中央であり、ホルダ用上部保持板28の長穴28aの下部であってもよい。
【0032】
本実施の形態の採尿受器保持装置1は、輸尿管8を保持するための輸尿管保持手段を備えている。具体的には、輸尿管保持板40であり、下端が基台10の起立板部11に固定され上方に起立し、輸尿管用保持板40の上端には輸尿管8を遊嵌して保持する輸尿管ホルダ46を備えている。この輸尿管保持板40は、輸尿管用下部保持板41及び輸尿管用上部保持板44から構成されている。輸尿管用下部保持板41及び輸尿管用上部保持板44は、細長の長方形の板材で、長手方向に沿って中央部分に長穴41a,44aがそれぞれ穿設されている。そして、その長穴41a,44aに挿嵌されたネジ部材43で輸尿管用下部保持板41及び輸尿管用上部保持板44とが屈曲可能に連結されている。そして、輸尿管用保持板40の下端すなわち輸尿管用下部保持板41の長穴41aの下部と、基台10の起立板部11の穴11cとに挿嵌されたネジ部材42によって、輸尿管用保持板40が、基台10の起立板部11から起立した状態で、扇動可能に固定されている。そして、輸尿管用保持板40の上端すなわち輸尿管用上部保持板44の上端には、板材を湾曲させフック状にした輸尿管ホルダ46が軸部材45を介して扇動自在に固定されている。
【0033】
次に、以上のような構造の採尿受器保持装置1の使用方法を説明する。まず、採尿受器保持装置1の基台10の底板部12を寝具5の端部裏面で、寝具5とベッド4との間に挿入し、図5に示すように、採尿受器保持装置1を寝具5の脇端部のほぼ中央に固定させる。
【0034】
次に、図2及び図6に示すように、寝具5の高さに合わせて採尿受器ホルダ30及び輸尿管ホルダ46の高さを変えるべく、ホルダ用保持板20及び輸尿管保持板40を調整する。具体的には、ホルダ用保持板20の場合には、ネジ部材26,27,29を緩めて、ホルダ用下部保持板24及びホルダ用上部保持板28の屈曲の角度を変えたり、ホルダ用下部保持板24が固定されている長穴11aの位置を変えたりする。また、図6に示すように、ホルダ用下部保持板24及びホルダ用上部保持板28の連結位置を、ネジ部材27が挿嵌されている長穴24a,28aの位置を変えることにより変え、ホルダ用保持板20自体の長さを変えつつ、採尿受器ホルダ30の高さを変えるようにしてもよい。尚、採尿受器ホルダ30の高さは、図1及び図5に示すように、寝具5に横臥した人の高さよりわずかに高い位置になるのが望ましい。尚、ホルダ用保持板20の屈伸に追従して、補助保持板21も屈伸することになる。
【0035】
また、採尿受器ホルダ30の高さを調整するのと併せて、輸尿管保持板40で輸尿管ホルダ46の高さを調整する。採尿受器ホルダ30の高さとしては、採尿受器9で採尿した尿が輸尿管8を通って逆流することなく採尿ボトル7に流れ込むような高さに輸尿管8を保持できる高さである。具体的には、輸尿管ホルダ46が保持する輸尿管8の位置は、採尿受器ホルダ30と採尿ボトル7との間であって、採尿受器ホルダ30と採尿ボトル7との高さの中間的な位置が望ましい。具体的な高さ調整は、ネジ部材42,43を緩めて、輸尿管用下部保持板41及び輸尿管用上部保持板44の屈曲の角度を変えて行う。また、図6に示すように、輸尿管用下部保持板41及び輸尿管用上部保持板44の連結位置を、ネジ部材43が挿嵌されている長穴41a,44aの位置を変えることにより変え、輸尿管用保持板40自体の長さを変えつつ、輸尿管ホルダ46の高さを変えるようにしてもよい。
【0036】
そして、次に、採尿受器ホルダ30のホールド部31,32に輸尿管8を通し、載置部34に採尿受器9を乗せるようにし、また輸尿管ホルダ46で輸尿管8を係止するようにする。これにより、採尿受器保持装置1による採尿受器9、輸尿管8の寝具5への設置は終了するが、上述の設置手順はあくまでも一例であり、高さの調整手順や設置手順は適宜変えて行えばよい。また、図1及び図5で示す例では、寝具5に横臥している人の右側に採尿受器保持装置1を設置しているが、図7に示すように、左側に設置するようにしてもよく、横臥している人の症状により変えるようにすればよい。左右を変える場合には、補助保持板21及び輸尿管保持板40を固定する基台10の起立板部11の穴11b,11cを逆に変えるようにすればよい。
【0037】
そして、採尿受器保持装置1を介して採尿受器9が寝具5に固定された状態で採尿する場合、まず、寝具5に横臥している人が、採尿受器ホルダ30のホールド鍔33等に手を掛けて、図5に示すように、採尿受器ホルダ30を、ネジ部材36を回転の中心として回動させ、採尿受器9が寝具5に横臥した人に向かって寝具5の端部から突出するようにする。そして、採尿受器ホルダ30から採尿受器9を引き出すようにして、尿器に採尿受器9を密着させて採尿を行うようにする。採尿が終わったら、採尿受器9を採尿受器ホルダ30に戻し、採尿受器ホルダ30を回動させ、採尿受器ホルダ30を寝具5の端部に沿う位置に戻すようにする。
【0038】
以上のような本実施の形態の採尿受器保持装置1によれば、基台10の底板部12を寝具5の端部裏面に挿入することで、手摺りがないような布団やベッド4等の寝具であっても、採尿受器9を寝具5の端部上方に寝具5の端面に沿って保持することができる。また、採尿受器9を採尿受器ホルダ30に自由に動かせるように遊嵌して載置していることから、寝具5に横臥している人が自ら採尿受器9を容易に引き寄せることができる。
【0039】
また、採尿受器ホルダ30を回動させることにより採尿受器9が寝具5に横臥した人に向かって寝具5の端部から突出することから、採尿受器9を持ったまま自らの体の近くに引き寄せなくとも、採尿受器ホルダ30に載置させた状態のまま採尿受器9を体の近くまで移動させることができることから、採尿受器9を使用する人の負担を軽減することができる。
【0040】
さらに、ホルダ用下部保持板24とホルダ用上部保持板28とを連結部分で屈曲させることにより、寝具5の高さや寝具に横臥する人の体の高さに応じて、容易に採尿受器ホルダ30の保持高さを変えることができる。
【0041】
さらに、ホルダ用下部保持板24とホルダ用上部保持板28のそれぞれに起立方向に沿って長穴24a,28aが穿設され、それぞれの長穴24a,28aに挿嵌されたネジ部材27でホルダ用下部保持板24とホルダ用上部保持板28とが屈曲可能に連結されていることから、連結する長穴24a,28aの位置を変えることによりホルダ用保持板20の長さ自体を変えることができ、容易に採尿受器ホルダ30の保持高さを変えることができる。
【0042】
さらに、ホルダ用下部保持板24の長穴24aと基台10の起立板部11とに挿嵌されたネジ部材26で、ホルダ用下部保持板24を起立板部11に扇動可能に固定することで、固定する長穴24aの位置を変えて起立板部11に対するホルダ用下部保持板24の長さを変えることができ、容易に採尿受器ホルダ30の保持高さを変えることができる。
【0043】
さらに、基台10の起立板部11に上下に伸びて長穴11aが穿設され、ホルダ用保持板20と長穴11aとに挿嵌されたネジ部材26で、ホルダ用保持板20を起立板部11に扇動可能に固定することで、ホルダ用保持板20の高さ自体を変えることができ、容易に採尿受器ホルダ30の保持高さを変えることができる。
【0044】
さらに、下端が基台10の起立板部11に固定され、上端がホルダ用保持板20の略中央に固定された補助保持板21を備えることから、採尿受器ホルダ30に強い力が加わっても採尿受器ホルダ30が傾いたり転倒したりすることを抑えることができる。
【0045】
さらに、下端が基台10の起立板部11に固定され上方に起立する輸尿管用保持板40と輸尿管用保持板40の上端に設けられ輸尿管8を遊嵌して保持する輸尿管ホルダ46とを有することから、採尿受器ホルダ30と採尿ボトル7との間の輸尿管8を保持することで、輸尿管8のたわみを抑え、輸尿管8が寝具5に横臥している人や介護する人の動作の妨げにならないようにすることができる。
【0046】
さらに、輸尿管用下部保持板41と輸尿管用上部保持板44とを連結部分で屈曲させることにより、輸尿管ホルダ46の保持高さを変えることにより、輸尿管8を、採尿受器9で採尿した尿が輸尿管8を通って逆流することなく採尿ボトル7に流れ込むような角度に容易に保持することができる。
【0047】
さらに、それぞれの長穴41a,44aに挿嵌されたネジ部材43で輸尿管用下部保持板41と輸尿管用上部保持板44とが屈曲可能に連結されていることから、連結する長穴41a,44aの位置を変えることにより輸尿管用保持板40の長さ自体を変えることができ、容易に輸尿管8の保持高さを変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、採尿受器を寝具の端部上方に寝具の端面に沿って保持することができ、また、採尿受器を採尿受器ホルダに自由に動かせるように遊嵌して載置していることから、寝具に横臥している人が自ら採尿受器を容易に引き寄せることができる採尿受器保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る採尿受器保持装置の使用の一例を示す説明図である。
【図2】同採尿受器保持装置の構成を示す説明図である。
【図3】同採尿受器保持装置の基台を示す斜視図である。
【図4】同採尿受器保持装置の採尿受器ホルダを示す上面図である。
【図5】同採尿受器保持装置の使用方法を示す説明図である。
【図6】同採尿受器保持装置の他の使用方法を示す説明図である。
【図7】同採尿受器保持装置のさらに他の使用方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・・排尿受器保持装置
4・・・・・ベッド
5・・・・・寝具
7・・・・・採尿ボトル
7a・・・・採尿ボトル・ホルダ
8・・・・・輸尿管
9・・・・・採尿受器
10・・・・基台
11・・・・起立板部
11a・・・長穴
11b・・・穴
11c・・・穴
12・・・・底板部
20・・・・ホルダ用保持板
21・・・・補助保持板
21a・・・下部補助保持板
21b・・・上部補助保持板
22・・・・ネジ部材
23・・・・軸部材
24・・・・ホルダ用下部保持板
24a・・・長穴
25・・・・ネジ部材
26・・・・ネジ部材
27・・・・ネジ部材
28・・・・ホルダ用上部保持板
28a・・・長穴
29・・・・ネジ部材
30・・・・採尿受器ホルダ
31・・・・ホールド部
32・・・・ホールド部
33・・・・ホールド鍔
34・・・・載置部
35・・・・L字板
36・・・・ネジ部材
40・・・・輸尿管保持板
41・・・・輸尿管用下部保持板
41a・・・長穴
42・・・・ネジ部材
43・・・・ネジ部材
44・・・・輸尿管用上部保持板
44a・・・長穴
45・・・・軸部材
46・・・・輸尿管ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿瓶や採尿ボトル等の採尿器に連通した輸尿管の先端に設けられた寝具に横臥した人の尿器に密接して排尿を受ける採尿受器を、該寝具に配設する採尿受器保持装置において、
薄板を略L字状に折曲した底板部と起立板部と有する基台と、
下端が該基台の起立板部に固定され上方に起立するホルダ用保持板と該ホルダ用保持板の上端に設けられ該採尿受器を遊嵌して載置する採尿受器ホルダとを有する採尿受器保持手段とを備えることを特徴とする採尿受器保持装置。
【請求項2】
前記採尿受器ホルダが、前記寝具の中央方向に向かって水平に回動可能に前記ホルダ用上部保持板に設けられ、
該採尿受器ホルダを回動させることにより、前記採尿受器が該寝具に横臥した人に向かって該寝具の端部から突出することを特徴とする請求項1記載の採尿受器保持装置。
【請求項3】
前記ホルダ用保持板が、
下端が前記基台の起立板部に扇動可能に固定され上方に起立するホルダ用下部保持板と、
下端が該ホルダ用下部保持板に扇動可能に固定され上方に起立するホルダ用上部保持板とからなり、
該ホルダ用下部保持板と該ホルダ用上部保持板とを連結部分で屈曲させることができることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の採尿受器保持装置。
【請求項4】
前記ホルダ用下部保持板と前記ホルダ用上部保持板のそれぞれに起立方向に沿って長穴が穿設され、
それぞれの該長穴に挿嵌されたネジ部材で該ホルダ用下部保持板と該ホルダ用上部保持板とが屈曲可能に連結されていることを特徴とする請求項3記載の採尿受器保持装置。
【請求項5】
前記ホルダ用下部保持板の長穴と前記基台の起立板部とに挿嵌されたネジ部材で、ホルダ用下部保持板を該起立板部に扇動可能に固定することを特徴とする請求項4記載の採尿受器保持装置。
【請求項6】
前記基台の起立板部に上下に伸びて長穴が穿設され、
前記ホルダ用保持板と該長穴とに挿嵌されたネジ部材で、該ホルダ用保持板を該起立板部に扇動可能に固定することを特徴とする請求項1〜請求項5の採尿受器保持装置。
【請求項7】
下端が前記基台の起立板部に固定され、上端が前記ホルダ用保持板の略中央に固定された補助保持板を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の採尿受器保持装置。
【請求項8】
下端が該基台の起立板部に固定され上方に起立する輸尿管用保持板と該輸尿管用保持板の上端に設けられ前記輸尿管を遊嵌して保持する輸尿管ホルダとを有する輸尿管保持手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の採尿受器保持装置。
【請求項9】
前記輸尿管用保持板が、
下端が前記基台の起立板部に扇動可能に固定され上方に起立する輸尿管用下部保持板と、
下端が該輸尿管用下部保持板に扇動可能に固定され上方に起立する輸尿管用上部保持板とからなり、
該輸尿管用下部保持板と該輸尿管用上部保持板とを連結部分で屈曲させることを特徴とする請求項8記載の採尿受器保持装置。
【請求項10】
前記輸尿管用下部保持板と前記輸尿管用上部保持板のそれぞれに起立方向に沿って長穴が穿設され、
それぞれの該長穴に挿嵌されたネジ部材で該輸尿管用下部保持板と該輸尿管用上部保持板とが屈曲可能に連結されていることを特徴とする請求項9記載の採尿受器保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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