説明

採血台

【課題】
シートを使い捨てにした採血台において、採血台本体の汚染や故障等を防止することを課題とする。
【解決手段】
被採血者の腕を支持しうる支持面を有する支持台と、上記支持面を覆う帯状のシートであって、ロール形状に巻かれたシートロールと、上記支持台における第1端側に設けられて、上記シートロールからシートを引き出し可能に収容するシートロール収容部と、上記支持台における上記第1端と反対側の第2端側に設けられており、上記支持面を覆っているシートを巻き取る回転軸を有するシート巻取部とを具備する採血台であって、上記シートは、腕を支持する側の面が液体吸収層であり、さらに液体不透過層を含む積層構造である、採血台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血において被採血者の身体の腕を支持する採血台に関し、特に、腕を支持する支持面がシートで覆われた採血台に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検査などのために行われる採血においては、注射器や真空採血管のホルダーなどに
取り付けされた採血針が、被採血者の腕において静脈に到達するまで刺通される。その際
、採血針が刺通される腕を安定して載置するために採血台が使用される。この採血台の分野において、出願人は新規な採血台について発明した(特許文献1)。
【0003】
ところで、腕を載置する面は、血液だけでなく、被採血者の汗や穿刺箇所に塗布する消毒液等も飛散する。すると、シートが液体吸収性のものであっても、これらの液体は採血台の本体にまで浸透し、採血台本体の汚染や故障等の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−118888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示されるようなシートを使い捨てにした採血台において、採血台本体の汚染や故障等を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を鑑み、鋭意検討を行った結果、本発明者らは以下の本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、被採血者の腕を支持しうる支持面を有する支持台と、上記支持面を覆う帯状のシートであって、ロール形状に巻かれたシートロールと、上記支持台における第1端側に設けられて、上記シートロールからシートを引き出し可能に収容するシートロール収容部と、上記支持台における上記第1端と反対側の第2端側に設けられており、上記支持面を覆っているシートを巻き取る回転軸を有するシート巻取部とを具備する採血台であって、上記シートは、腕を支持する側の面が液体吸収層であり、さらに液体不透過層を含む積層構造である、採血台である。
【0008】
本発明に係る採血台は、好ましくは、卓上に載置されて使用される。卓上とは、採血用の作業台上や机上を意味する。卓上に載置された採血台は、採血において被採血者の腕を支持する。腕を支持する支持面は支持台の一部であり、一般的には支持台の上面となる。この支持面は、帯状のシートで覆われる。
【0009】
帯状のシートは、支持台の支持面をほぼ覆うことができる幅であり、かつ支持面より十分に長い帯状である。そして、帯状のシートは、腕を載置する面は液体吸収層であり、さらに液体不透過層を含む積層構造である。
【0010】
液体吸収層は、被採血者の血液及び汗並びに採血箇所に塗布される消毒液等を吸収する材料で構成されている。その材料は特に限定されるものではないが、例えば、布、紙(パルプ)、スポンジ、ウレタンフォーム等が挙げられる。材料コストが安価である観点から、液体吸収層は、紙(パルプ)からなることが好ましい。
【0011】
一方、液体不透過層は、前記液体吸収層に吸収された被採血者の血液及び汗並びに採血箇所に塗布される消毒液等が、採血台本体に染み出ることを防止するための層である。液体不透過層としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン、フッ素樹脂、ゴム又はエラストマー等を上記液体吸収層にラミネート又はコーティングすることにより形成した層が挙げられる。材料コストが安価である観点から、液体不透過層は、ポリエチレンのラミネートにより形成される層であることが好ましい。また、液体不透過層は、シート全体の破断強度向上にも寄与する。
【0012】
尚、積層構造の層数は、特に限定されるものではないが、少なくとも腕を載置する面は液体吸収層とする。また、液体不透過層の位置は、腕を載置する面になければ、その位置は特に限定されるものではない。但し、シートの材料コストを安価にする観点から、シートは、液体吸収層と液体不透過層の二層構造であることが望ましい。
【0013】
また、帯状のシートは、洗濯などによって繰り返し使用されるものであってもよいが、衛生上や感染防止という観点からディスポーザブルであることが好ましい。
【0014】
帯状のシートは、ロール形状に巻かれたシートロールとしてシートロール収容部に収容される。シートロール収容部から引き出されたシートは、支持面を覆って第1端から第2端へ延出される。支持面を覆ったシートは、第2端側においてシート巻取部の回転軸に巻き取られる。
【0015】
採血台が使用される際には、シートで覆われた支持面に被採血者の腕が支持される。そして、採血が行われた後、回転軸を回転させる。この回転軸の回転によって、支持面を覆うシートがシート巻取部の回転軸に巻き取られる。尚、この回転軸の回転は、モーターなどの駆動により行われることが好ましい。このシートの巻き取りに伴って、シートロール収容部からシートの未使用部分が支持面へ供給されて支持面を覆う。したがって、被採血者の腕は、常に新しいシートで覆われた支持面に支持される。
【0016】
本発明の採血台は、前記シートが、液体吸収層及び液体不透過層からなる二層構造であり、さらに前記回転軸の回転が、前記回転軸により巻き取られたシートの最外面が液体不透過層となる方向に回転することが望ましい。回転方向の制御は、当該回転がモーターなどの駆動により行われる場合は、そのモーターの回転方向を特定すればよく、当該回転が手動の場合は、その回転が回転軸により巻き取られたシートの最外面が液体不透過層となる方向のみ回転するように、言い換えれば、逆回転を防止するように回転軸の回転方向を制御すればよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シートを使い捨てにした採血台において、採血台本体の汚染や故障等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の採血台の斜視図である。
【図2】本発明の採血台のシートの側面図(積層構造)の一実施態様を示す図である。
【図3】本発明の採血台のシート巻取部の中央断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 支持台
2 シート
21 液体吸収層
22 液体不透過層
3 シートロール収容部
4 シート巻取部
41 回転軸
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の採血台の斜視図である。図1に示されるように、採血台は、採血が行われる作業台上や机上に載置可能な程度の大きさであり、採血に際して被採血者の腕が載置される。この採血台は、支持台1、上記支持台1の支持面を覆う帯状のシート2、シートロール収容部3、回転軸41を有するシート巻取部4を具備する。帯状のシート2は、シートロール収容部3に収容されたシートロールから引き延ばされ、支持台1の支持面上を通過し、シート巻取部4における回転軸41で巻き取られる。腕を載置する面は紙(パルプ)からなる液体吸収層21が露呈されてなる。
【0022】
図2は、本発明の採血台のシート2の側面図(積層構造)の一実施態様を示す図である。シートは、紙(パルプ)からなる液体吸収層21と、当該液体吸収層21にポリエチレンのラミネートすることにより形成した液体不透過層22の二層構造である。
【0023】
図3は、本発明の採血台のシート巻取部3の中央断面図である。シート2は、図2に示す二層構造のものを使用している。回転軸41は、シート2の液体不透過層22が外側になるように回転する(図3においては、時計回りに回転する)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被採血者の腕を支持しうる支持面を有する支持台と、
上記支持面を覆う帯状のシートであって、ロール形状に巻かれたシートロールと、
上記支持台における第1端側に設けられて、上記シートロールからシートを引き出し可能に収容するシートロール収容部と、
上記支持台における上記第1端と反対側の第2端側に設けられており、上記支持面を覆っているシートを巻き取る回転軸を有するシート巻取部とを具備する採血台であって、
上記シートは、腕を支持する側の面が液体吸収層であり、さらに液体不透過層を含む積層構造である、採血台。
【請求項2】
前記シートが、液体吸収層及び液体不透過層からなる二層構造であり、さらに前記回転軸の回転は、前記回転軸により巻き取られたシートの最外面が液体不透過層となる方向に回転する請求項1に記載の採血台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−78594(P2011−78594A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233739(P2009−233739)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】